説明

帯電装置

【課題】 帯電ローラと被帯電体との微小な間隙を一定に維持することができるようにして、帯電ローラの間隙の変動による帯電ムラをなくす。
【解決手段】 回転する帯電ローラ1を感光体2(被帯電体)と常に非接触状態に保って感光体2を帯電させる帯電装置において、帯電ローラ1の両端部と感光体2の両端部との間に、上記非接触状態を保持することが可能な一定の厚み(10〜50μm)を有する低摩擦抵抗の、好ましくはフッ素樹脂材料で形成されているスペーサ部材10を挟み込むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電装置に関し、さらに詳しくはプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いるのに適する非接触ローラ帯電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の帯電装置は接触式のものである。例えば特開平6−348110号公報に開示の帯電ローラおよび帯電装置では、芯金上に感圧導電ゴムを含有した弾性体層および表層を積層し、加圧力を調節することにより、長期に亘って被帯電部材(感光体)を所望の帯電電圧に一様に帯電制御することができるというものである。
【0003】上述のような接触帯電方式では、帯電電位の均一安定化のための配慮がそれぞれになされているが、被帯電部材である感光体表面に残留する異物(クリーニングで除去できなかった残トナー成分や、紙粉、タルク等の紙構成物質等)が帯電ローラに固着することは避けられず、経時的に帯電ムラが発生してしまって寿命が短く、この寿命の短さから高速、高信頼性の必要とされるクラスの電子写真複写機等までの商品化は実現していなかった。これを解決するために、非接触の帯電ローラを用いた非接触ローラ帯電装置が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、非接触ローラ帯電装置を用いて、印加電圧を800V前後にしてムラのない安定した感光体帯電を行うには、上記帯電ローラと上記被帯電部材との間隙(エアーギャップ)を10μm〜50μmに保たねばならない。これを可能とする技術としては、例えば実開平5−15057号公報記載の技術がある。この技術では、リング状弾性スペーサ部材を被帯電体の両側端円周部(両端円周部)に装着して帯電ローラと被帯電体との間隙を維持する様にしている。しかし、この方法では、リング状弾性スペーサ部材の円周の厚みの変動を30μm以下にしなければ被帯電体の1回転の回転周期で間隙の変動による帯電ムラが生じてしまう。
【0005】また、特開平9−311526号公報記載の技術では、帯電ローラと被帯電体との間隙を維持する方法として、帯電ローラの軸端にスペーサコロを配置して、上記スペーサコロを被帯電体に突き当てるように設け、スペーサコロと帯電ローラの径の差の半分に間隙を設定しているが、この方法では帯電ローラの円筒度と両端のスペーサコロの円筒度、帯電ローラの軸の振れなどを精度良く加工しなければ帯電ローラ1回転の間隙の変動を30μm以下にすることは難しく、帯電ローラの間隙の変動による帯電ムラを生じてしまう。
【0006】そこで、本発明は、非接触ローラ帯電装置において、帯電ローラと被帯電体との微小な間隙を一定に維持することができるようにして、帯電ローラの間隙の変動による帯電ムラをなくすことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項記載の発明では以下の特徴ある手段を採用している。請求項1記載の発明は、回転する帯電ローラを被帯電体と常に非接触状態に保って該被帯電体を帯電させる帯電装置において、上記帯電ローラの両端部と上記被帯電体の両端部との間に、上記非接触状態を保持することが可能な厚みを有する低摩擦抵抗のスペーサ部材を挟み込むことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、フッ素樹脂材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の帯電装置において、上記帯電ローラの両端部および上記被帯電体の両端部と当接する上記スペーサ部材の当接部分の位置を変える可変手段を有することを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、一定の厚みを有し、上記可変手段は、上記スペーサ部材を上記帯電ローラの回転方向に沿って移動する移動機構であることを特徴とする。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、可撓性を有するベルト状の形状をなすベルト状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記ベルト状スペーサ部材を巻き取る巻取機構であることを特徴とする。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、円盤状の形状をなす回転可能な円盤状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記円盤状スペーサ部材を回転させる回転機構であることを特徴とする。
【0013】請求項7記載の発明は、請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、上記帯電ローラの回転方向に沿って上記厚みが変化するくさび状の形状をなすくさび状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記くさび状スペーサ部材を上記回転方向に沿って往復移動させる往復移動機構であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等については、同一符号を付すことによりその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない部材や構成部品は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。また、図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき部材や構成部品であっても、その図において特別に説明する必要がない部材や構成部品は適宜断わりなく省略することがある。
【0015】まず、図1を参照して、後述する実施形態に共通する技術事項を説明する。これらの共通する技術事項は、後述する実施形態での説明を省略する。図1において、符号1は帯電ローラを、符号2は被帯電体の一例としての感光体を、符号3は帯電ローラ用電源(以下、単に「電源3」という)を、符号4は静電潜像を形成する露光を、符号5は現像装置を、符号6は転写部を、符号7は除電分離部を、符号8は転写材としての転写紙を、それぞれ示す。後述する各実施形態を示す図2ないし図8では、帯電ローラ1および感光体2等は、図の簡明化を図るためそれらを簡略的に示す。
【0016】帯電ローラ1は、図示しない軸受によりその芯軸1cの両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)により、図1中矢印で示す反時計回りに回転可能となっている。帯電ローラ1は、後述する各実施形態のスペーサ部材によって、感光体2の外周表面と常に非接触状態に保たれて感光体2の外周表面を帯電させるものである。帯電ローラ1は、上記スペーサ部材を挟み込み、感光体2に圧接する向きに図示しない加圧機構により一定の圧力で加圧されている(例えば後述する図8の加圧機構29参照)。
【0017】帯電ローラ1は、最外周の中〜高抵抗層部1a(以下、単に「高抵抗層部1a」という)と、その内周の低抵抗層部1bと、最内周の芯軸1cとからなる。高抵抗層部1aは、その抵抗値ρ1(Ω・cm)をρ1>105とするのが好適であり、また層厚のもっとも薄い部分の厚みを0〜10μmとするとよい。低抵抗層部1bは、その抵抗値ρ2(Ω・cm)をρ2<ρ1とする。なお、電源3からの電圧印加は、芯軸1cに対して行うため、芯軸1cには導電性の金属を用いる。
【0018】そして、感光体2に帯電させる場合は、帯電ローラ1の外周表面をなす高抵抗層部1aの表面と感光体2の外周表面との空隙もしくは間隙(エアーギャップ)の電圧が、空気の破壊電圧を超える程度になるように電源3により電圧印加を行う。ムラのない安定した感光体帯電を行うには、帯電ローラ1の外周表面(以下、単に「帯電ローラ1」というときがある)と感光体2の外周表面(以下、単に「感光体2」というときがある)との間隙Gを、6〜48μmにして印加電圧を800V前後にしたほうがよい。
【0019】感光体2は、図示しない軸受によりその軸の両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)により、図1中矢印で示す時計回り方向に回転する。
【0020】図1に示す帯電装置は、帯電ローラ1の両端部(図1の紙面の手前側および奥側)と感光体2の両端部(図1の紙面の手前側および奥側)との間に、非接触状態を保持することが可能な厚み、すなわち所定範囲の間隙Gを保持することが可能な厚みを有する低摩擦抵抗のスペーサ部材を挟み込む態様で帯電を行うことを特徴とするものである。したがって、図1に示す帯電装置によれば、後述する第1ないし第5に共通する利点、すなわち帯電ローラ1と感光体2との微小な間隙Gを一定に維持することができて、帯電ローラ1の間隙の変動による帯電ムラをなくすことができるという利点がある。
(第1の実施形態)図2および図3に第1の実施形態を示す(請求項1および請求項2参照)。図2および図3に示すように、帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部との間に、その厚みが10〜50μmのスペーサ部材10を挟み込んで、装置本体側に固設されたスペーサ支持部材11により、スペーサ部材10が帯電ローラ1の回転によって動かないように固定されている。スペーサ部材10は、薄い板状の部材である。スペーサ部材10の一端部は図2において左方のスペーサ支持部材11に固定され、その他端部は帯電ローラ1の一端部と感光体2の一端部との間におよび帯電ローラ1の他端部と感光体2の他端部との間に、すなわち帯電ローラ1の両端部と感光体2の両端部との間に、挟み込まれる態様で設けられている。
【0021】帯電ローラ1は、図示しない軸受によりその芯軸1cの両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)により、図1中矢印で示す反時計回り方向に回転可能となっている。帯電ローラ1は、スペーサ部材10を挟み込み、感光体2に圧接する向きに図示しない加圧機構により一定の圧力で加圧されている(例えば後述する図8の加圧機構29参照)。感光体2は、図示しない軸受によりその軸の両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)によって、図1中矢印で示す時計回り方向に回転する。
【0022】第1の実施形態では、上述したように、帯電ローラ1と感光体2との各両端部に、所定範囲の間隙Gを保持することが可能な厚みを有する低摩擦抵抗のスペーサ部材10を挟み込むことにより、帯電ローラ1と感光体2の間に10〜50μmの間隙Gを形成している。したがって、実施形態1によれば、一定の間隙Gを保て帯電ローラ1の一回転周期による間隙Gの変動がない。また、加工精度による間隙変動を極力なくすことができるという利点がある。
【0023】ここで、スペーサ部材10の材料・材質は、帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部との間に挟み込まれ、帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部と当接する際の摩擦抵抗を極力減少させてその回転抵抗や摩耗を減らす上から、低摩擦抵抗のフッ素樹脂で形成することが好ましい。これは、後述する第2ないし第5の実施形態の各スペーサ部材でも同様である。フッ素樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)などが好ましく用いられる。
【0024】なお、スペーサ部材10の材料・材質としては、上記したほどの利点を望まなくてもよいのであれば、低摩擦抵抗のフッ素樹脂以外の適宜の低摩擦抵抗性の樹脂で形成してもよい(請求項1参照)。
(第2の実施形態)図4に第2の実施形態を示す(請求項3および請求項4参照)。第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、第1の実施形態において装置本体側に固設されたスペーサ支持部材11に代えて、移動可能なスペーサ支持部材11Aを有すること、および帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部と当接するスペーサ部材10の当接部分の位置を変える可変手段としての、スペーサ部材10を帯電ローラ1の回転方向に沿って移動する移動機構を有することが主に相違する。
【0025】図4に示すように、帯電ローラ1と感光体2との各両端部の間に、厚みが10〜50μmで一定の厚みのスペーサ部材10の他端部を挟み込んで、スペーサ支持部材11Aによりスペーサ部材10が帯電ローラ2の回転により動かないように固定されている。
【0026】スペーサ支持部材11Aの一端部側には、スペーサ支持部材11Aを帯電ローラ2の回転方向に沿って水平に移動するようにラック12とこれに噛み合うピニオン13とで構成された移動機構が配設されている。ピニオン13は、図示しない軸受を介して装置本体側の定位置に図4中矢印で示す時計回り方向に回転自在に支持されている。上記移動機構により、スペーサ支持部材11Aと共にスペーサ部材10が帯電ローラ2の回転方向に沿って水平に一定の量で送り出される。
【0027】例えば、ピニオン13を、装置本体側に固設された電動モータ13Aの出力軸に連結し、この電動モータ13Aが図示しない制御装置からの指令により、スペーサ部材10の厚みが摩耗して減少したときに回転駆動されるように構成してもよい。そして、スペーサ部材10の厚みが摩耗して減少したことを間接的に、あるいは直接的に検出する検出手段を適宜配設し、その検出手段からの出力信号に基づいて、上記制御装置がスペーサ部材10の送り出し移動量を調整するように電動モータ13Aを制御してもよい。なお、第2の実施形態の移動機構は、上記した電動による利点を望まなくてもよいのであれば、例えばピニオン13に取り付けたハンドルを手動で回転調整するようなことも考えられる。
【0028】帯電ローラ1は、スペーサ部材10の他端部を挟み込み、感光体2に圧接する向きに図示しない加圧機構により一定の圧力で加圧されている(例えば後述する図8の加圧機構29参照)。帯電ローラ1は、図示しない軸受によりその芯軸1cの両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)により、図4中矢印で示す反時計回り方向に回転可能となっている。感光体2は、図示しない軸受によりその軸の両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)によって、図4中矢印で示す時計回り方向に回転する。
【0029】第2の実施形態によれば、上記移動機構を有することにより、スペーサ部材10の厚みが摩耗により減少しても新しいスペーサ部材10を送り出すことによって、スペーサ部材10の厚みの減少が元にもどるため帯電ローラ1と感光体2との間隙Gの減少をなくすことができる。
(第3の実施形態)図5に第3の実施形態を示す(請求項3および請求項5参照)。第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、装置本体側に固定されたスペーサ部材10に代えて、可撓性を有するベルト状の形状をなすベルト状スペーサ部材10A(以下、単に「スペーサ部材10A」という)を有すること、および帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部と当接するスペーサ部材10Aの当接部分の位置を変える可変手段としての、スペーサ部材10Aを巻き取る巻取機構を有することが主に相違する。
【0030】図5に示すように、帯電ローラ1と感光体2との各両端部の間に、厚みが10〜50μmで一定の厚みのスペーサ部材10Aを挟み込んで、帯電ローラ1の回転方向に水平に移動するようスペーサ部材10Aを送り出す送り出し機構14と、送り出されたスペーサ部材10Aを巻き取る巻き取り機構15とが配設されている。スペーサ部材10Aは、所定の可撓性を有する上記したフッ素樹脂材料で形成されていて、送り出し機構14によりスペーサ部材10Aが送り出され、巻き取り機構15により使用済みのスペーサ部材10Aがロール状に巻き取られるようになっている。上記巻取機構は、送り出し機構14および巻き取り機構15から構成される。
【0031】送り出し機構14は、装置本体側に対して着脱自在であり、かつ、スペーサ部材10Aの一端を係止し、スペーサ部材10Aをロール状に巻き付けていて、図5中矢印で示す時計回り方向に回転自在な送り出し軸14Aと、この送り出し軸14Aを回転自在に支持する、装置本体側に設けられた図示しない支持部材とを有する。巻き取り機構15は、装置本体側に対して着脱自在であり、かつ、スペーサ部材10Aの他端を係止し、図5中矢印で示す時計回り方向に回転自在な巻き取り軸15Aと、この巻き取り軸15Aを回転自在に支持する、装置本体側に設けられた図示しない支持部材と、巻き取り軸15Aを時計回り方向に回転駆動する電動モータ15Bとを有する。
【0032】このように、送り出し軸14Aおよび巻き取り軸15Aを、スペーサ部材10Aを介して連結された一種のスペーサ部材収納カセットとして構成し、このスペーサ部材収納カセットを装置本体側に対して着脱するようにしてもよい。
【0033】電動モータ15Bは図示しない制御装置からの指令により、スペーサ部材10Aの厚みが摩耗して減少したときに回転駆動されるように構成されている。スペーサ部材10Aの厚みが摩耗して減少したことを間接的に、あるいは直接的に検出する検出手段を適宜配設し、その検出手段からの出力信号に基づいて、上記制御装置がスペーサ部材10Aの送り出し量を調整するように電動モータ15Bを制御するようにすればよい。なお、第3の実施形態の移動機構は、上記した電動による利点を望まなくてもよいのであれば、例えば巻き取り軸15Aに取り付けたハンドルを手動で回転調整するようなことも考えられる。
【0034】帯電ローラ1は、スペーサ部材10Aを挟み込み、感光体2に圧接する向きに図示しない加圧機構により一定の圧力で加圧されている(例えば後述する図8R>8の加圧機構29参照)。帯電ローラ1は、図示しない軸受によりその芯軸1cの両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)により、図5R>5中矢印で示す反時計回り方向に回転可能となっている。感光体2は、図示しない軸受によりその軸の両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば後述する図6参照)によって、図5中矢印で示す時計回り方向に回転する。
【0035】第3の実施形態によれば、スペーサ部材10Aの厚みが摩耗により減少しても新しいスペーサ部材10Aを送り出すことによって、スペーサ部材10Aの厚みの減少が元にもどるため帯電ローラ1と感光体2との間隙Gの減少をなくすことができる。加えて、スペーサ部材10Aの送り出す量が増えるため、間隙Gを一定に維持する時間が増えるという利点もある。
(第4の実施形態)図6および図7に第4の実施形態を示す(請求項3および請求項6参照)。第4の実施形態は、第1の実施形態と比較して、装置本体側に固定されたスペーサ部材10に代えて、円盤状の形状をなす回転可能な円盤状スペーサ部材16(以下、単に「スペーサ部材16」という)を有すること、および帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部と当接するスペーサ部材16の当接部分の位置を変える可変手段としての、スペーサ部材16を回転させる回転機構31を有することが主に相違する。
【0036】帯電ローラ1と感光体2の両端部の間に、厚みが10〜50μmで一定の厚みの円盤状のスペーサ部材16が挟み込まれている。スペーサ部材16は、上記したフッ素樹脂材料で円い板状に形成されている。
【0037】回転機構31は、図6および図7に示すように、スペーサ部材16を貫通してその回転中心に取り付けられた回転軸20と、この回転軸20の一端上部に設けられた軸受19と、回転軸20の他端下部に設けられた従動ギヤ17Bと、この従動ギヤ17Bと噛み合うアイドルギヤ17Aと、このアイドルギヤ17Aと常時噛み合う駆動ギヤ17と、この駆動ギヤ17を出力軸に有する、装置本体側に固設された円盤状スペーサ部材駆動モータ18とから主に構成されている。アイドルギヤ17Aは、図示しない軸受を介して装置本体側に回転自在に支持・配設されている。
【0038】各スペーサ部材16は、回転軸20を介して軸受19により回転自在に支持されていることにより、各スペーサ部材16の上面および下面が帯電ローラ1および感光体2の各外周母線と垂直になるように帯電ローラ1の両端部に対称に配設されている。帯電ローラ1の両側端部には、円盤状のスペーサ部材16が配置されている。これに伴い、回転機構31も、帯電ローラ1の両側に対称に配設されている。図6に示す左右の円盤状スペーサ部材駆動モータ18は、図7に示すように、スペーサ部材16を回転駆動する方向のみが相違する。
【0039】帯電ローラ1の駆動機構は、図6に示すように、帯電ローラ1の両端部の芯軸1cを回転自在に支持する左右一対の軸受23,23と、帯電ローラ1の芯軸1cの図6において右側端部に固設された従動ギヤ22Aと、この従動ギヤ22Aと噛み合う駆動ギヤ22と、この駆動ギヤ22を出力軸に有する帯電ローラ駆動モータ21とから主に構成されている。上記したとおり、帯電ローラ1は、上記駆動機構の帯電ローラ駆動モータ21により回転駆動される。
【0040】一方、感光体2の駆動機構は、図6に示すように、感光体2の両端部の軸を回転自在に支持する左右一対の軸受24,24と、感光体2の軸の図6において右側端部に固設された従動プーリ25Aと、従動プーリ25の近傍の装置本体側に設けられた駆動プーリ25と、従動プーリ25Aと駆動プーリ25との間に掛け渡されたベルト25Bと、駆動プーリ25を出力軸に有する、装置本体側に固設された感光体駆動モータ26とから主に構成されている。上記したとおり、感光体2は、上記駆動機構の感光体駆動モータ26により回転駆動される。
【0041】第4の実施形態によれば、一定の厚みの円盤状のスペーサ部材16を有することにより、スペーサ部材16の厚みが摩耗により減少しても、上記回転機構の円盤状スペーサ部材駆動モータ18を駆動してスペーサ部材16を回転させ新しいスペーサ部材16の当接部分を出すことにより、スペーサ部材16の厚みの減少が元にもどるため、帯電ローラ1と感光体2との間隙Gの減少をなくすことができるという利点がある。
(第5の実施形態)図8に第5の実施形態を示す(請求項3および請求項7参照)。第5の実施形態は、第1の実施形態と比較して、装置本体側に固定されたスペーサ部材10に代えて、帯電ローラ1の回転方向に沿って厚みが変化するくさび状の形状をなすくさび状スペーサ部材27(以下、単に「スペーサ部材27」という)を有すること、および帯電ローラ1の両端部および感光体2の両端部と当接するスペーサ部材27の当接部分の位置を変える可変手段としての、スペーサ部材27を帯電ローラ1の回転方向に沿って往復移動させる往復移動機構32を有することが主に相違する。
【0042】図8に示すように、帯電ローラ1と感光体2の各両端部の間に、厚みがt=10μmからt=50μmに変化するくさび状のスペーサ部材27を挟み込んで、スペーサ支持部材11Aによりスペーサ部材27が帯電ローラ1の回転により動かないように固定してある。
【0043】往復移動機構32は、スペーサ支持部材11Aの図8における左端に固定されたラック12と、このラック12と噛み合うピニオン13と、ラック12の非ラック形成部の上面および下面に当接し、スペーサ支持部材11Aを帯電ローラ1の回転方向に沿って水平に往復移動すべく案内する案内部材としての上下一対のコロ28,28と、その出力軸にピニオン13が固設され装置本体側に固設された正逆転可能な電動モータ13Bとから主に構成されている。スペーサ部材27、スペーサ支持部材11Aおよび往復移動機構32は、図8における紙面の手前側および奥側の、帯電ローラ1と感光体2の各両端部の間に同様に配設されている。
【0044】ピニオン13は、図示しない軸受を介して装置本体側の定位置に、図8中両矢印で示す時計回りおよび反時計回り方向に回動自在に支持されている。往復移動機構32により、スペーサ支持部材11Aと共にスペーサ部材27が帯電ローラ2の回転方向に沿って水平に一定の量で送り出したり、引き戻したりすることができる。
【0045】例えば、電動モータ13Bが図示しない制御装置からの指令により、スペーサ部材27の厚みが摩耗して減少したときに回転駆動されるように構成してもよい。スペーサ部材27の厚みが摩耗して減少したことを間接的に、あるいは直接的に検出する検出手段を適宜配設し、その検出手段からの出力信号に基づいて、上記制御装置がスペーサ部材27の送り出し方向および移動量を調整するように電動モータ13Bを制御するようにしてもよい。
【0046】帯電ローラ1は、スペーサ部材27を挟み込み、帯電ローラ1を感光体2に圧接する向きに付勢する加圧バネ29A(圧縮バネ)等を備えた加圧機構29により一定の圧力で加圧されている。また、帯電ローラ1は、両端部の芯軸1cが軸受30(奥側図示せず)により回転自在に支持されており、図示しない駆動機構により図8中矢印で示す反時計回り方向に回転する。感光体2は、図示しない軸受によりその軸の両端で支持されており、図示しない駆動機構(例えば図6参照)によって、図8中矢印で示す時計回り方向に回転する。
【0047】なお、第5の実施形態の往復移動機構は、上記した電動による利点を望まなくてもよいのであれば往復移動機構32に限らず、例えばピニオン13に図示しないハンドルを取り付け、そのハンドルを手動で回動調整するようなことも考えられる。往復移動機構32は、上述した例に限らず、部品点数を減らすために、往復移動機構32を図8における紙面の手前側および奥側の中央部に1箇所のみ配設することもできる。
【0048】したがって、第5の実施形態によれば、往復移動機構32により、帯電ローラ1の回転方向に沿って厚みが変化するスペーサ部材27が帯電ローラ1の回転方向に沿って往復移動されることにより、スペーサ部材27を任意の厚みの位置に移動させ固定することで、帯電ローラ1と感光体2との間の間隙Gを容易に調整できるという利点がある。
【0049】以上述べたとおり、本発明を実施例を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、上述した各実施形態および各変形例等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、従来装置の有する上述した課題を解決すると共に上記目的を達成することができて、新規な帯電装置を提供することができる。請求項毎の効果を挙げれば以下のとおりである。請求項1記載の発明によれば、帯電ローラの両端部と被帯電体の両端部との間に、非接触状態を保持することが可能な厚みを有する低摩擦抵抗のスペーサ部材を挟み込んでいるため、帯電ローラと感光体との間に一定の間隙を保つことができ、これにより帯電ローラの一回転周期による間隙の変動がなくなって帯電ムラをなくすことができる。また、加工精度による間隙変動を極力なくすことができる。
【0051】請求項2記載の発明によれば、スペーサ部材をフッ素樹脂材料で形成することにより、請求項1記載の発明の効果に加えて、帯電ローラや感光体との摩擦が小さくなり、摩擦による回転抵抗や摩耗を減らすことができる。
【0052】請求項3記載の発明によれば、帯電ローラの両端部および被帯電体の両端部と当接するスペーサ部材の当接部分の位置を変える可変手段を有することにより、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、スペーサ部材の当接部分の厚みが摩耗により減少してもスペーサ部材の新しい当接部分に位置を変えることができるので、帯電ローラと感光体との間の間隙の減少をなくすことが可能となる。
【0053】請求項4記載の発明によれば、移動機構により、一定の厚みを有するスペーサ部材が帯電ローラの回転方向に沿って移動することにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、スペーサの厚みの減少が元にもどるため、帯電ローラと感光体との間の間隙の減少をなくすことができる。
【0054】請求項5記載の発明によれば、巻取機構により、可撓性を有するベルト状スペーサ部材が巻き取られることにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、スペーサ部材の送り出す量が増えるため、帯電ローラと感光体との間の間隙を一定に維持する時間が増える。
【0055】請求項6記載の発明によれば、回転機構により、円盤状の形状をなす回転可能な円盤状スペーサ部材が回転されることにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、スペーサ部材の厚みが摩耗により減少しても円盤状スペーサ部材を回転させ新しいスペーサ部材の当接部分を出すことによってスペーサの厚みの減少が元にもどるため、帯電ローラと感光体との間の間隙の減少をなくすことができる。
【0056】請求項7記載の発明によれば、往復移動機構により、帯電ローラの回転方向に沿って厚みが変化するくさび状スペーサ部材が帯電ローラの回転方向に沿って往復移動されることにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、くさび状スペーサ部材を任意の厚みの位置に移動させ固定することで帯電ローラと感光体との間の間隙を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態に共通する帯電装置周りの正面図である。
【図2】第1の実施形態を示す帯電装置の簡略的な一部断面正面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】第2の実施形態を示す帯電装置の簡略的な一部断面正面図である。
【図5】第3の実施形態を示す帯電装置の簡略的な一部断面正面図である。
【図6】第4の実施形態を示す帯電装置の簡略的な一部断面側面図である。
【図7】図6の要部の平面図である。
【図8】第5の実施形態を示す帯電装置の簡略的な一部断面正面図である。
【符号の説明】
1 帯電ローラ
2 被帯電体としての感光体
10,10A,16,27 スペーサ部材
12 移動機構または往復移動機構を構成するラック
13 移動機構または往復移動機構を構成するピニオン
14 巻取機構を構成する送り出し機構
15 巻取機構を構成する巻き取り機構
29 加圧機構
31 回転機構
32 往復移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】回転する帯電ローラを被帯電体と常に非接触状態に保って該被帯電体を帯電させる帯電装置において、上記帯電ローラの両端部と上記被帯電体の両端部との間に、上記非接触状態を保持することが可能な厚みを有する低摩擦抵抗のスペーサ部材を挟み込むことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】請求項1記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、フッ素樹脂材料で形成されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項3】請求項1または2記載の帯電装置において、上記帯電ローラの両端部および上記被帯電体の両端部と当接する上記スペーサ部材の当接部分の位置を変える可変手段を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項4】請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、一定の厚みを有し、上記可変手段は、上記スペーサ部材を上記帯電ローラの回転方向に沿って移動する移動機構であることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、可撓性を有するベルト状の形状をなすベルト状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記ベルト状スペーサ部材を巻き取る巻取機構であることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、円盤状の形状をなす回転可能な円盤状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記円盤状スペーサ部材を回転させる回転機構であることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】請求項3記載の帯電装置において、上記スペーサ部材が、上記帯電ローラの回転方向に沿って上記厚みが変化するくさび状の形状をなすくさび状スペーサ部材であり、上記可変手段は、上記くさび状スペーサ部材を上記回転方向に沿って往復移動させる往復移動機構であることを特徴とする帯電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−258581(P2002−258581A)
【公開日】平成14年9月11日(2002.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−53890(P2001−53890)
【出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】