説明

常時情報表示型プリンタ装置

【課題】 装置稼働時にも電源切断時にも必要な消耗品、用紙残量等の情報をプリンタ表示部に表示しておくことができる常時情報表示型プリンタ装置を得る。
【解決手段】 利用者に報知すべき第1の情報を表示する主表示装置11と、利用者に報知すべき第2の情報を表示する副表示装置12とを備える。第1の情報を、第2の情報よりも利用者に報知すべき必要性が高い情報であって、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がない情報とし、第2の情報を、装置の主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がある消耗品の状態を利用者に知らしめるための情報とする。そして、副表示装置を、ひとたび表示駆動されれば、その後該副表示装置に対する電源供給を遮断されても前記表示状態を維持する電子ペーパーによる表示装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源切断時にも必要な情報をプリンタ表示部に表示しておくことが可能な常時情報表示型プリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリンタ装置においては、消耗品の寿命、印刷用紙の残量等は、通常のプリンタ装置の電源を投入してイニシャル処理(印刷処理可能な状態にするための初期設定処理)が終了するか、または実際に印刷が実行されるまで、通常は表示されないようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような従来のプリンタ装置におけるプリンタ処理とそれに対応するプリンタ表示例を、図3に示す。
【0004】
そして、上述したような状況では、操作者は電源を投入してプリンタからの交換・補充の要求(アラーム)を見てから初めて消耗品を用意したり、用紙を用意したりしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−86017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のプリンタ装置にあっては、プリンタ使用中であれば消耗品の寿命が来たり、印刷用紙が不足したりした場合には瞬時に対応できるが、前回使用した人がプリンタからの交換・補充の要求(アラーム)があったにもかかわらず、そのまま電源を切ってしまっていたような場合には、それまで表示されていたであろう交換・補充の要求(アラーム)は、図3から明らかなように、電源切断と共に表示部がオフされて消えてしまう。
【0007】
ここで、上述した消耗品欠乏等のアラームは、プリンタが印刷準備動作を実行し、消耗品の状態を識別するセンサーの信号を識別判断して初めて、消耗しているかどうかがプリンタの制御部で判断されるので、一旦プリンタ装置の主電源を切断すると、その識別結果も消去されてしまい、再び装置の電源が投入された時点では、消耗品等の欠乏アラームは自動的には発生されず、イニシャル処理等により改めて消耗品等の状態確認判断処理を行うことが必要になる。
【0008】
したがって、このような従来の装置では、次に使用する人は電源を投入してイニシャル処理が終了してから初めて交換・補充の必要性を知ることになり、非効率的に作業を行わなければならなくなってしまう。
【0009】
特に、このような問題は、電源切断直前にそのプリンタに何らかの交換、補充の必要があったのかが、電源切断と共に消えてしまい、わからなくなってしまうところに原因があるものであり、このような状況を考慮し何らかの対策を講じることが求められている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、電源切断時にも必要な情報をプリンタ表示部に表示しておくことが可能な常時情報表示型プリンタ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係る常時情報表示型プリンタ装置は、利用者に報知すべき第1の情報を表示する主表示装置と、利用者に報知すべき第2の情報を表示する副表示装置とを備え、前記第1の情報は、前記第2の情報よりも前記利用者に報知すべき必要性が高い情報であって、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がない情報であり、前記第2の情報は、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がある情報であり、前記副表示装置は、ひとたび表示駆動されれば、その後該副表示装置に対する電源供給を遮断されても前記表示状態を維持する表示装置であることを特徴とする。
【0012】
本発明(請求項2記載の発明)に係る常時情報表示型プリンタ装置は、請求項1記載の常時情報表示型プリンタ装置において、副表示装置は、電子ペーパーであることを特徴とする。
【0013】
本発明(請求項3記載の発明)に係る常時情報表示型プリンタ装置は、請求項1または請求項2記載の常時情報表示型プリンタ装置において、第2の情報は、常時情報表示型プリンタ装置内において使用される消耗品の状態を利用者に知らしめるための情報であることを特徴とする。
【0014】
本発明(請求項4記載の発明)に係る常時情報表示型プリンタ装置は、請求項1、請求項2または請求項3記載の常時情報表示型プリンタ装置において、常時情報表示型プリンタ装置は、消耗品を補充交換する必要が不定期に生じる装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明に係る常時情報表示型プリンタ装置によれば、電源切断時にもプリンタの情報を消費電力0Wで表示し続け、常に最新の情報として表示しておける電子ペーパーによる表示装置を設けているから、電源切断時にも必要な情報をプリンタの表示部に表示状態としておくことができ、従来のようにプリンタの情報を知るためにプリンタの電源を再投入する等、操作者が余計な待ち時間を必要としなくなるという優れた効果がある。
【0016】
すなわち、電源切断時においても、プリンタの情報、たとえば消耗品交換、用紙補充の必要性などを確認するのに、わざわざプリンタに電源を入れる必要もなくなる。
【0017】
また、表示部に電子ペーパーと通常のLCDとを採用して、電源切断時にも表示しておきたい情報のみを電子ペーパー表示部に表示させることにより、電源を切っても(消費電力0Wの状態でも)、必要な情報を保持、表示し続けることが可能となる。
【0018】
換言すれば、更新がそれほど頻繁ではなく電源断時にも表示しておきたい消耗品、用紙残量等、ユーザーが前もって準備しておくのに必要な情報のみを、不揮発性の情報専用の表示部として、電子ペーパーによるプリンタ情報表示部に表示し、その他の情報は反応速度の速い従来通りのLCDに表示することで、効率的な操作とメンテナンスが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る常時情報表示型プリンタ装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る常時情報表示型プリンタ装置において表示動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】従来のプリンタ装置におけるプリンタ表示部の表示状態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1ないし図3は本発明に係る常時情報表示型プリンタ装置の一実施形態を示すものである。
これらの図において、符号1で示すプリンタ装置において、プリンタエンジンの構成としては、図1に示すように、エンジン制御基板2とインターフェース(以下、「I/F」と略す)制御基板(画像形成基板)3の2つの制御部に大別することができる。
【0021】
ここで、「エンジン」とはプリンタ装置1において、用紙等に画像形成処理を行う主機構部及びその制御部を示す。
また、「インターフェース部」とは、ホストPC4との間で印刷情報の授受及び受信した印刷情報から印刷すべき画像データを生成する機能を有する部分である。
【0022】
エンジンは、前記インターフェース部から送られた画像データに基づいて、画像形成処理を実行する。
【0023】
このとき、エンジン制御部では、消耗品、用紙残等の情報を検知し、I/F制御基板3に通知を行う。I/F制御基板3は、通知を受け取ったら必要に応じて、主電源断時には消えてしまってもいい情報はLCD等の通常表示部(標準LCD表示部)11に、主電源断後も表示保持しておきたい内容については電子ペーパー表示部12に表示を行う。
なお、10はオペレーションパネルである。
【0024】
これを詳述すると、プリンタ装置1は、消耗品を補充交換する必要が不定期に生じる装置であって、本発明によれば、このようなプリンタ装置1において、プリンタの主電源がオフ状態(電源切断時)にあっても、ユーザーにとって必要な情報を継続的に表示する必要があるプリンタの情報を、消費電力0Wで表示し続ける電子ペーパーによる表示装置(副表示装置)12を、通常表示部(標準LCD表示部;主表示装置)11以外に設けるようにしたところに特徴を有している。
【0025】
ここで、通常表示部11で表示する第1の情報としては、電子ペーパー表示部12で表示する第2の情報よりもユーザーに報知すべき必要性が高い情報であって、主電源が遮断された状態において、ユーザーに報知する必要がない情報である。一方、第2の情報は、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がある、たとえば装置内において使用される消耗品の状態を利用者に知らしめるための情報である。
【0026】
また、上述した電源供給を遮断されてもその表示状態を維持する表示装置として、不揮発性の情報専用の表示部である電子ペーパーを使用している。
【0027】
ここで、電子ペーパーとは、従来から周知の通り、液晶による表示装置であって、螺旋状の電子ペーパー用の液晶(コレステリック液晶など)分子によって光を透過させたり反射させたりして表示するものである。この分子は低い電圧をかけると光を通過させる方向で安定し、それは電圧を切っても安定し続ける(メモリ性がある)。また、高い電圧をかけてすぐに電圧を切ると、光を反射する方向に回転して安定する。この特性によって、表示を変更したいときのみ電源を必要とし、その後は電圧を切っても表示が保持されるのが電子ペーパーの特徴である。
【0028】
なお、この電子ペーパーには、通常の液晶に比べて書き換えにかなりの時間がかかってしまうという欠点がある。そして、電子ペーパーの表示を、通常のプリンタの操作パネルの表示装置として活用することは、表示応答性の観点から、多少問題が残る。
【0029】
したがって、本発明では、このような不具合を補うために、頻繁に起こるわけではない「消耗品の交換・補充」の要求に関しては、電子ペーパーによる表示部12を使用して表示を行い、頻繁に書き換えが起きるような内容の表示については、従来通りのLCD表示部11を使用して表示を行うことにより、必要とする表示を所要の状態で行えるプリンタ装置1を得ることができるものである。
【0030】
上述した構成によるプリンタ装置1の動作について、図2のフローチャートにおいて、順を追って説明をする。
すなわち、プリンタの主電源が投入されると、S1において、エンジン制御基板2とI/F制御基板3が、それぞれイニシャル処理を開始する。
【0031】
S2において、エンジン制御基板2では、イニシャル処理中に装置内部に多数配設された消耗品等の状態検知センサー(図示せず)から出力される信号を基に、消耗品や用紙残量等の情報を読み取る。
【0032】
この情報の読み取りはイニシャル処理後も定期的に実施し、随時I/F制御基板3からの要求に従って、エンジン制御基板2からI/F制御基板3に送出される。
【0033】
ここで、I/F制御基板3のファームウェアは、起動時にエンジン制御基板2(消耗品状態識別用センサー信号が入力している)から消耗品や用紙残量等の情報を読み取り、電子ペーパー表示部12に表示を行う(S3,S4参照)。
【0034】
その後も、定期的にエンジン制御基板2から情報を読み取り、S3において、消耗品や用紙残量等の状態に変化が生じ、それが表示を更新するべき内容であった場合には、S4において、電子ペーパー表示部12の表示を更新する。
【0035】
この制御により、電子ペーパー表示部12には常に最新の状態が表示され続けていることになる。
また、消耗品や用紙残量以外の、電源断時には消えてしまってもいい情報は、S5において、従来通りにLCD等の通常表示部11に表示を行う。
【0036】
換言すれば、この種のプリンタ装置1において、電源が切断された場合には、従来通りのLCD等の通常表示部11に表示されている内容は、電源が供給されなくなるため消えてしまう。
一方、電子ペーパー表示部12に表示されている内容は、電子ペーパーの特性によって、電源が切断されても切断時の内容を保持したまま安定して表示を継続することができる。
そして、このことにより、消耗品や用紙残量等の情報に関しては、常に最新の情報を表示し続けることが可能となるものである。
【0037】
したがって、上述したような本発明による常時情報表示型プリンタ装置1によれば、電源切断時にもプリンタの情報を消費電力0Wで表示し続け、常に最新の情報として表示しておける電子ペーパーによる表示装置(12)を設けているから、電源切断時にも必要な情報をプリンタの表示部に表示状態としておくことができ、従来のようにプリンタの情報を知るためにプリンタの電源を再投入する等、操作者が余計な待ち時間を必要としなくなる。
【0038】
すなわち、電源切断時においても、プリンタの情報、たとえば消耗品交換、用紙補充の必要性などを確認するのに、わざわざプリンタに電源を入れる必要もなくなる。
また、表示部に電子ペーパーと通常のLCDとを採用して、電源切断時にも表示しておきたい情報のみを電子ペーパー表示部12に表示させることにより、電源を切っても(消費電力0Wの状態でも)、必要な情報を保持、表示し続けることが可能となるもので、これにより効率的な操作とメンテナンスが可能となるものである。
【0039】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、常時情報表示型プリンタ装置1を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
たとえば上述した実施形態において、副表示装置である不揮発性の表示部として、電子ペーパーを例示しているが、この種の表示部としては、電源OFFとなっても、表示状態を継続して行える表示装置であればよいものであり、従来から周知の構造をもつ表示装置を適宜採用すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 常時情報表示型プリンタ装置
2 エンジン制御基板
3 I/F制御基板
4 PC
11 標準LCD表示部(主表示装置)
12 電子ペーパー表示部(副表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に報知すべき第1の情報を表示する主表示装置と、
利用者に報知すべき第2の情報を表示する副表示装置とを備え、
前記第1の情報は、前記第2の情報よりも前記利用者に報知すべき必要性が高い情報であって、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がない情報であり、
前記第2の情報は、主電源が遮断された状態において、利用者に報知する必要がある情報であり、
前記副表示装置は、ひとたび表示駆動されれば、その後該副表示装置に対する電源供給を遮断されても前記表示状態を維持する表示装置であることを特徴とする常時情報表示型プリンタ装置。
【請求項2】
請求項1記載の常時情報表示型プリンタ装置において、
前記副表示装置は、電子ペーパーであることを特徴とする常時情報表示型プリンタ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の常時情報表示型プリンタ装置において、
前記第2の情報は、前記常時情報表示型プリンタ装置内において使用される消耗品の状態を利用者に知らしめるための情報であることを特徴とする常時情報表示型プリンタ装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3記載の常時情報表示型プリンタ装置において、
前記常時情報表示型プリンタ装置は、消耗品を補充交換する必要が不定期に生じる装置であることを特徴とする常時情報表示型プリンタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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