説明

幅可変マットレスカバー

【課題】 マットレスの幅に適合できるマットレスカバーを提供する。
【解決手段】 主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部からなり、カバー底部とカバー側部に設けた複数列の係止具の係止列を変更することにより、収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することが可能としたマットレスカバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や療養施設等で用いられるベッド用マットレスのマットレスカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から病院や療養施設等ではベッドにはマットレスの上に敷布団を敷いて用いられていた。本発明者は、マットレスを分割して、カセット型カバーに収納することにより、マットレスの運搬や、汚れたり、破損したりした場合の取替えを容易にすることを提案してきた。また、マットレス素材・形状の工夫や、3分割カセットカバーの仕切り部の工夫等により、マットレスのみにて敷布団の役目も果たさせることも提案してきた。(例えば、実開昭59−150352号公報、特開平11−128028号公報等)
【0003】
近年では、体格等の身体状況や症状、余裕のある生活空間等の要求により、ベッドの幅も多様化してきて、それに合わせてマットレスの幅も多様化してきている。これに用いるマットレスカバーもその幅に合わせて準備される必要があるが、洗濯交換等の場合にマットレスの幅に合ったカバーを探す必要があり、サイズ毎の管理、保管が必要である。
【0004】
【特許文献1】実開昭59−150352号公報
【特許文献2】特開平11−128028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような現状を鑑みてなされたものであり、マットレスの幅に適合できるマットレスカバーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、
1)
主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部からなるマットレスカバーにおいて、カバー底部を長手方向に2分して複数列の係止具を設け、係止具の係止列を変更して連結することにより、収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することが可能であることを特徴とする幅可変マットレスカバー、
2)
主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部を連結してなるマットレスカバーであって、カバー底部とカバー側部に設けた複数列の係止具の係止列を変更することにより、収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することが可能であることを特徴とする幅可変マットレスカバー、
3)
分割マットレスが収納可能である上記の幅可変マットレスカバー、
4)
係止具がスナップボタンである上記の幅可変マットレスカバー、
5)
係止列毎に異なる色相のスナップボタンが用いられている上記の幅可変マットレスカバー、
6)
カバー底部の裏面に滑り止め隆起体が形成されている上記の幅可変マットレスカバー
を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマットレスカバーは、収納するマットレスを上面側から出し入れできる構造をしていて、多層マットレスを収納するのに適している。本発明のように収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することができるマットレスカバーにしておくと、施設内に準備するマットレスカバーの種類を最小限にすることができ、洗濯交換等の場合にマットレスの幅に合ったカバーを探す必要がなくなり、サイズ毎の管理や保管の必要がなくなって、作業効率がよくなり、コストの低減を図ることができる。
【0008】
また、従来は部分的に破損した場合も廃棄する必要があったが、本発明のマットレスカバーでは、マットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部とが、係止具により着脱可能になっているので、破損した部分だけの廃棄ですませることができる。
【0009】
本発明の底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部とを、係止具により着脱可能としたマットレスカバーでは、マットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部とのそれぞれに要求に応じて適した素材を用いることができるようになる。例えば、カバー底部の裏面に滑り止め隆起体を形成させておくと、マットレスの位置ずれを防止することができ、特に分割型のマットレスを稼動式ベッドに用いる場合、ベッドを傾けても位置ずれを防ぐことができる。
【0010】
本発明のマットレスカバーにおいて、係止具としてスナップボタンを用い、係止列毎に異なる色相のスナップボタンを用いておくと、カバーの取替えに際し、係止するスナップボタンの間違いを防止することができ、作業効率を低下させることなく作業することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の幅可変マットレスカバーは、長手方向1枚もののマットレスや複数のマットレス材を重ねて多層マットレスとして用いる場合には、図1〜図4に示す形状のものを例示することができ、分割型マットレスに用いる場合には、図5〜図10に示す形状のものを例示することができる。
【0012】
図1と図2は、長手方向1枚もののマットレスや複数のマットレス材を重ねて多層マットレスとして用いる場合の本発明の幅可変マットレスカバー1を例示したものであり、図1は、主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部を2分し、複数列の係止具を設け、選定した列の係止具を係止することによってマットレスを収容する状態に組み上げた状態を示す図である
【0013】
図2は、2分したカバー底部を係止具で係止する前の状態を示す図である。図2において、マットレスカバーは、長手方向にほぼ真ん中でマットレスカバー片2とマットレスカバー片3とに2分されている。マットレスカバー片2は、マットレスカバーの底部となるカバー底部4と、マットレスの片側の側部を把持するカバー側部6と、主としてカバー底部を折り立ててマットレスの上下端を保持する端保持部8とからなり、カバー底部4と端保持部8の連結部に幅方向に複数列の係止具が取り付けられている。図2では、一例として3列の係止具10、11、12を取り付けた例を示している。カバー底部4には、適当な列間隔で係止具10、11、12は取り付けておく。同様にマットレスカバー片3は、マットレスカバーの底部となるカバー底部5と、マットレスの片側の側部を把持するカバー側部7と、主としてカバー底部を折り立ててマットレスの上下端を保持する端保持部9とからなり、カバー底部5と端保持部9の連結部の、マットレスカバー片2に取り付けた係止具と係合する位置に2列の係止具13、14が取り付けられている。
【0014】
図2には、片側のマットレスカバー片2には3列の係止具10、11、12を、今一方のマットレスカバー片3には2列の係止具13、14を取り付けた例を示したが、この列数は、使用する可能性のあるマットレスの幅の種類数、各々の幅によってこれらが収容できるように選べばよいのであって、本発明の効果を出す最低の係止具の取り付け列数は、片側のマットレスカバー片に2列、今一方のマットレスカバー片に1列であって、2種類の幅のマットレスに対応できるようになる。
係止具10の列と係止具12の列の間隔と、係止具13の列と係止具14の列の間隔を同じにして図2のように係止具を取り付けると5種類の幅のマットレスに対応できるようになる。
【0015】
図1は、図2のマットレスカバー片2とマットレスカバー片3を組合せてマットレスを収容できるマットレスカバーに組み上げた状態を示している。図1のマットレスカバーは、マットレスカバー片3の連結部の上にマットレスカバー片2の連結部を重ねて係止具10の列と係止具13の列を係合させ、係止具12の列と係止具14の列を係合させた例を示している。係止具12の列と係止具13の列を係合させると一番幅の広いマットレスに、係止具10の列と係止具14の列を係合させると一番狭いマットレスに適用できる幅になる。
【0016】
本発明にて用いることのできる係止具としては、係止要素が鈎フックと掛け環であり、鈎フックを掛け環に掛けたり外したりすることによって着脱する係止具、係止要素が紐と紐であり、両方の紐を結び合わせることによる係止具、係止要素がボタンとボタンホールであり、ボタンをボタンホールに通すことによる係止具、係止要素が面ファスナーの雄材と雌材であって、これらを押し付けたり引き剥がしたりして着脱する係止具、係止要素が雄スナップボタンと雌スナップボタンであって、これらを嵌合したり外したりすることによって着脱するスナップ等を挙げることができる。これらの中では、スナップを用いるのが好適であり、図1〜図10では、スナップボタンを用いた例を示している。
【0017】
係止具としてスナップボタンを用いる場合には、図1、図2の例の場合には、例えば、片側のマットレスカバー片2の係止具10、11、12として雄スナップボタンを取り付け、マットレスカバー片3の係止具13、14として雌スナップボタンを取り付けて、これらを嵌合させてマットレスカバーに組み上げる。
【0018】
また、スナップボタンを用いる場合には、各列の雄スナップボタンと雌スナップボタンを異なる色相にしておき、使用するマットレスの幅に適合したボタンの色相の列を選定して作業するようにしておくと、カバーの取替えに際し、嵌合させるスナップボタンの間違いを防止することができ、作業効率を低下させることなく作業することができるようになる。
例えば図1、図2の例の場合に、マットレスカバー片2の係止具10の列とマットレスカバー片3の係止具13の列のボタンを白色に、マットレスカバー片2の係止具11の列のボタンを赤色に、マットレスカバー片2の係止具12の列とマットレスカバー片3の係止具14の列のボタンを青色にしておく。そうすると、このマットレスの幅には白色同士を、これの場合は白色と青色を嵌合させると決められるので、作業性を向上させることができる。このことは、以下に示す例においても適用できる。
【0019】
図3と図4は、分割型マットレスに用いるマットレスカバーの場合の例を示し、3分割の場合を示している。図3は、図4のように長手方向にほぼ真ん中で2分されたマットレスカバー片22とマットレスカバー片23とを、カバー底部24、25に設けられた係止具を係止することによって得た本発明の幅可変マットレスカバーを示している。図3のカバーに3分割されたマットレス材をそれぞれ収納させてマットレスとして用いる。このマットレスは、中央部を中にして、右側は上方向に折り曲げて重ねることができ、左側は下方向に折り曲げることができる。これにより運搬時には長さが1/3の状態にして持ち運びすることができる。カバー底部とカバー側部には、図2と同様の考え方で係止具を取り付ける。図では、スナップを取り付けた例を示している。
【0020】
図4は、2分したカバー底部を係止具で係止する前の状態を示す図であり、図2と同様の考え方にて、マットレスカバー片22のカバー底部24と端保持部28の連結部に幅方向に複数列の係止具30、31、32が取り付けられている。マットレスカバー片23のカバー底部25と端保持部29の連結部に幅方向に複数列の係止具33、34が取り付けられている。図3には、マットレスカバー片23の連結部の上にマットレスカバー片22の連結部を重ねて係止具30の列と係止具33の列を係合させ、係止具32の列と係止具34の列を係合させた例を示している。係止具32の列と係止具33の列を係合させると一番幅の広いマットレスに、係止具30の列と係止具34の列を係合させると一番狭いマットレスに適用できる幅になる。
【0021】
図5と図6は、主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部42とマットレスの左右の側部を把持するカバー側部43、44を組み合わせてマットレスカバーとする例を示している。図5は、マットレスを収容する状態に組み上げた状態を示す図であり、図6は、組み合わせる前のカバー底部と左右のカバー側部の状態を示す図である。長手方向1枚もののマットレスや複数のマットレス材を重ねて多層マットレスとして用いる場合のマットレスカバーの一例である。
【0022】
図6は、主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部42とマットレスの左右の側部を把持するカバー側部43、44を組み合わせる前の状態を示す図である。この場合、主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部42は、ほぼ1枚の布帛であり、上下部がマットレスの厚さに相当する分が折り曲げられてマットレスの上端と下端を把持する役目を果たす。カバー底部42には、この折り曲げられた部分および底部には、カバー側部43と組み合わせてマットレスを収容する状態に組み上げるための係止具46、47、48が取り付けられている。またカバー側部43、44は、マットレスの左右の側部を把持するために、箱型に縫製されていて、その内側には、カバー底部42の係止具46の取り付け位置に対応して、係止具49、50が取り付けられている。
【0023】
カバー底部42の係止具の一番内側の係止具46の列を選定し、カバー側部43の一番外側の係止具50の列を選んで係止すると一番狭い幅のマットレスを収納するように設定できる。またカバー底部42の係止具の一番外側の係止具48の列を選定し、カバー側部43の一番内側の係止具49の列を選定して係止すると一番広い幅のマットレスを収納するように設定できる。このようにカバー底部42に幅方向に複数列の係止具を取り付けておいて、これらから選定してカバー側部の係止具と係止させることにより、収納するマットレスの幅に設定することができる。
【0024】
図5、図6において係止具の取り付け間隔の例を挙げて幅の異なるマットレスへの対応の可能なことを示す。図6でカバー底部42の全幅を90cmとし、カバー側部43,44の最も奥の部分がカバー底部42の両耳に当る位置まで入れて係止具46の列と係止具49の列とで係止してマットレスを収容する状態に組み上げるようにすると、幅が90cmのマットレスに使用できる。ここで係止具46から2.5cm外側に係止具47を取り付けておいて係止具49の列とで係止すると5cm幅の広い95cmのマットレスに使用できるようになる。この場合片側は係止具46の列と係止具49の列とで係止し、今一方は係止具47の列と係止具49の列とで係止すると2.5cm幅の広い92.5cmのマットレスに使用できるようになる。係止具47から2.5cm外側に係止具48を取り付けておいて係止具49の列とで係止すると100cmのマットレスに、片側は係止具47の列と係止具49の列とで係止し、今一方は係止具48の列と係止具49の列とで係止すると97.5cmのマットレスに使用できるようになる。このような例においてカバー側部の係止具50は、係止具46と係止具49とで係止した場合に、係止具47とで係止できる位置に設けておくと、係止具47と係止具49とで係止した場合には、係止具48と係止できる位置になり、カバー側部の取り付けがしっかりして好適である。
【0025】
図7〜図10は、分割型マットレスに用いる場合の例を示し、3分割の場合を示している。図7は、図8のように準備されたカバー底部51、52とカバー側部53、54とを組み合わせて得た本発明の幅可変マットレスカバーを示している。図7のカバーにマットレス材を収納させると、中央部を中にして、右側は上方向に折り曲げて重ねることができ、左側は下方向に折り曲げることができる。これにより運搬時には長さが1/3の状態にして持ち運びすることができる。カバー底部とカバー側部には、図6と同様の考え方で係止具を取り付ける。図では、スナップを取り付けた例を示している。
【0026】
図9と図10は、図7、図8と同様であるが、カバー側部の表側の形状を弓状とした例である。
【0027】
本発明の幅可変マットレスカバーのカバー底部の裏側には、合成樹脂をスポット状に付与した滑り止め隆起体を形成しておくと、軽量マットレスの場合でもベッド上でマットレスが滑り落ちたり、位置がずれたりしにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の幅可変マットレスカバーの構造の例を示す図である。
【図2】図1の幅可変マットレスカバーを組み合わせる前の状態を示す図である。
【図3】本発明の幅可変マットレスカバーの構造の例を示す図である。
【図4】図3の幅可変マットレスカバーを組み合わせる前の状態を示す図である。
【図5】本発明の幅可変マットレスカバーの構造の例を示す図である。
【図6】図5の幅可変マットレスカバーを組み合わせる前の状態を示す図である。
【図7】本発明の幅可変マットレスカバーの構造の例を示す図である。
【図8】図7の幅可変マットレスカバーを組み合わせる前の状態を示す図である。
【図9】本発明の幅可変マットレスカバーの構造の例を示す図である。
【図10】図9の幅可変マットレスカバーを組み合わせる前の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1、21、41 幅可変マットレスカバー
2、3、22、23 マットレスカバー片
4、5、24、25、42、51、52 カバー底部
6、7、26、27、43、44、53、54 カバー側部
10、11、12、13、14 係止具(スナップ)
46、47、48、49、50 係止具(スナップ)
8、9、45 端保持部
15、55 滑り止め隆起体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部からなるマットレスカバーにおいて、カバー底部を長手方向に2分して複数列の係止具を設け、係止具の係止列を変更して連結することにより、収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することが可能であることを特徴とする幅可変マットレスカバー。
【請求項2】
主としてマットレスカバーの底部を形成するカバー底部と、マットレスの側部を把持するカバー側部を連結してなるマットレスカバーであって、カバー底部とカバー側部に設けた複数列の係止具の係止列を変更することにより、収納するマットレスの幅に適合する幅に変更することが可能であることを特徴とする幅可変マットレスカバー。
【請求項3】
分割マットレスが収納可能である請求項1または請求項2記載の幅可変マットレスカバー。
【請求項4】
係止具がスナップボタンである請求項1から請求項3のいずれかに記載の幅可変マットレスカバー。
【請求項5】
係止列毎に異なる色相のスナップボタンが用いられている請求項4記載の幅可変マットレスカバー。
【請求項6】
カバー底部の裏面に滑り止め隆起体が形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の幅可変マットレスカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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