説明

幌装置

【課題】運転席からの広い後方視界を確保することが可能な幌装置を提供する。
【解決手段】幌装置1は、車両の荷台2の前後方向両端部に立設された支持部材12と、各支持部材12において、荷台2の前後方向に延びる軸13を中心に回動可能に支持される複数の回転アーム4と、両支持部材12により支持されている回転アーム4間を懸架する複数の幌シート支持梁5と、各幌シート支持梁5に被せられる幌シート8とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両荷台用幌装置に関するものであり、特に、扇旋回方式を採用することにより広い後方視界を確保することが可能な車両荷台用幌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両荷台用幌装置として、例えば図11に示すトラックの幌装置が知られている(特許文献1参照)。
図11に示すトラックの幌装置40は、トラックの幌天井面と幌左右側面を一体的に形成する幌シート41が、幌シート41をトラックの荷台42の前後方向に沿って内側から支持する複数本のシート支持梁43に固定されている。また、幌シート41を補助的に支持するアーチ型幌骨44が、左右のあおり板45の上端に形成されたレール46上において、幌シート41の開放時に荷台42の後端側に片寄せできるように移動可能に配設されている。そして、各シート支持梁43は、荷台42の前端側と後端側に設けた前後一対のアーチ型ガイドレール47間に架設されると共に、各アーチ型ガイドレール47に沿って正逆方向に循回する駆動策(図示せず)で荷台42左右方向に移動され、幌全体を側面方向から開閉可能に構成している。
【特許文献1】特開2000−94966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、トラックの幌装置40においては、幌シート41を閉めた状態における、前後方向から見た投影面が略方形であるため、運転席からの後方視界が悪くなるという問題点がある。また、トラックの幌装置40においては、幌シート41を開けた状態において、幌シート41の重なり部分が荷台42の側方へと突出するため、これによっても運転席からの後方視界が悪くなるという問題点がある。かかる運転席からの後方視界の不良は、特に、車両を荷物積載場等の建屋にバックにて入庫させる際において、建屋等に車両を接触させる危険性が増加するため問題となる。
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、運転席からの広い後方視界を確保することが可能な幌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1に係る幌装置は、車両の荷台の前後方向両端部に立設された支持部材と、
前記各支持部材において、前記荷台の前後方向に延びる軸を中心に回動可能に支持される複数の回転アームと、
前記両支持部材により支持されている回転アーム間を懸架する複数の幌シート支持梁と、
前記各幌シート支持梁に被せられる幌シートとを備えることを特徴とする。
【0005】
また、本発明のうち請求項2に係る幌装置は、請求項1に記載の幌装置において、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、前記軸を挟んで、前記幌シート支持梁が備えられている側と反対側端にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項3に係る幌装置は、請求項1又は2に記載の幌装置において、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、その回動面に対して略並行に延びる吹き込み防止プレートを備えていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のうち請求項4に係る幌装置は、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の幌装置において、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、電動モータにより自動的に回動することを特徴とする。
さらに、本発明のうち請求項5に係る幌装置は、請求項1乃至4のうち1項に記載の幌装置が、鋼板コイル搬送用トレーラの荷台に備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願請求項1に係る幌装置によれば、車両の荷台の前後方向両端部に立設された支持部材と、前記各支持部材において、前記荷台の前後方向に延びる軸を中心に回動可能に支持される複数の回転アームと、前記両支持部材により支持されている回転アーム間を懸架する複数の幌シート支持梁と、前記各幌シート支持梁に被せられる幌シートとを備える構成により、幌シートの開閉により生じる前後方向から見た投影面の変化を最小限に抑えることにより、運転席からの広い視界を確保することが可能となる。
【0008】
また、本願請求項2に係る幌装置によれば、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、前記軸を挟んで、前記幌シート支持梁が備えられている側と反対側端にカウンターウェイトを備えている構成により、幌シートの開閉時における、回転アームに対する、幌シート支持梁の上昇時に回転アームの回動方向に対して逆方向にかかる負荷及び幌シート支持梁の下降時に回転アームの回動方向に対して同一方向にかかる負荷を共に軽減することができ、幌シートの開閉を円滑に行うことが可能となる。
【0009】
また、本願請求項3に係る幌装置によれば、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、その回動面に対して略並行に延びる吹き込み防止プレートを備えている構成により、幌装シートの前後方向両端面からの風雨等の吹込みを防止することが可能となる。
また、本願請求項4に係る幌装置によれば、前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、電動モータにより自動的に回動する構成により、幌シートの開閉を自動で簡単に行うことが可能となる。
【0010】
さらに、本願請求項5に係る幌装置によれば、請求項1乃至4のうち1項に記載の幌装置が、鋼板コイル搬送用トレーラの荷台に備えられる構成により、鋼板コイルを積載し幌シートを開放した状態における前後方向投影面と、幌シートを閉じた状態における前後方向投影面との変化を最小限に抑えることができ、運転席からの広い後方視界を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る幌装置を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを省略し、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。図2は幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを備え、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。図3は前後方向側面の幌シートを省略し、幌シートを開放した状態の幌装置を示す正面図である。図4は幌シートを開放した状態の幌装置を示す側面図である。図5は前後方向側面の幌シートを省略し、幌シートを閉じた状態の幌装置を示す正面図である。図6は前後方向側面の幌シートを備え、幌シートを閉じた状態の幌装置を示す正面図である。図7は幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを閉じた時の状態を示す斜視図である。
【0012】
幌装置1は、図1から図7に示すように、鋼板コイル搬送用トレーラの荷台2に備えられており、1対の支持部3と、複数の回転アーム4と、複数の幌シート支持梁5と、カウンターウェイト6と、複数の吹き込み防止プレート7と、幌シート8と、2機の電動モータ9とを備えている。なお、説明上の便宜のため、図1及び図4においては幌シート8の記載を省略しており、また、図3及び図5においては前後方向(図3における奥行き方向)側面の幌シート8の記載を省略している。
【0013】
鋼板コイル搬送用トレーラの荷台2は、図1に記載するように、その進行方向を前後方向、前後方向に直交する方向を左右方向として、左右方向に対して前後方向が長く略方形に形成されている。そして、荷台2の左右方向略中央部においては、前後方向から見た断面が略V字形に形成された、前後方向に延びる溝状のコイル積載部25が設けられている。
【0014】
各支持部3は、台座部11と、2本の支持部材12と、回転軸13と、2枚の補助板14とを備えている。
台座部11は、4本のH形鋼を、各H形鋼の両フランジ間を上下方向として略長方形状に配置し、その各端部を溶接等により接続したものであり、台座部11の長手側である左右方向(図3における左右方向)の長さと荷台2の左右方向の長さとが略同一になるように形成されている。そして、台座部11の各H形鋼の下フランジには複数のボルト孔(図示せず)が形成されている。ここで、台座部11は、溝形鋼により形成しても構わない。
【0015】
両支持部材12は、溝形鋼により形成された柱材であり、台座部11の左右方向略中央部において、互いに溝側を背にして鉛直上向きに立設されている。そして、両支持部材12の先端部間には、回転軸13が両支持部材12に対して固定された状態で懸架されている。さらに、両支持部材12のうち前後方向外側の支持部材12においては、その左右方向両側面にリミットスイッチ15が備えられている。
【0016】
各補助板14は、両支持部材12のうち前後方向内側の支持部材12に備えられ、支持部材12の左右方向両側面から左右方向外側に向かって延びている。
そして、各支持部3は、荷台2の前後方向各端部において、台座部11の各H形鋼の下フランジに形成された複数のボルト孔にボルトを螺合させることにより荷台2と固定される。このように、幌装置1が、荷台2に対してボルトにより固定される構成により、荷台2への幌装置1の着脱を用意に行うことが可能となるとともに、他のトレーラ等への付け替えも容易に行うことが可能となっている。
【0017】
各回転アーム4は、荷台2の左右方向の長さの略半分の長さに形成されたアーム部16と、アーム部16の一方の端面に外周面が接続された回転筒17とを備えている。そして、本実施形態においては、各支持部3の両支持部材12間において、荷台2の前後方向外側から順に第1から第7まで7本の回転アーム4が、各回転筒17に回転軸13が嵌合することにより、荷台2の前後方向に延びる回転軸13を中心に回転軸13に対して回動可能に備えられている。
【0018】
各幌シート支持梁5は、各支持部3において回動可能に支持されている第1から第7の回転アーム4について、対応する両回転アーム4の先端部間を懸架している。ここで、説明上、両第1の回転アーム4間を懸架する幌シート支持梁5を第1の幌シート支持梁5というように、順次第1から第7の幌シート支持梁5とする。
カウンターウェイト6は、略方形の鋼材により形成されており、回転アーム4の回転筒17の外周面において、アーム部16が接続されている側と反対側の位置に備えられ、回転軸13に対して回転アーム4と同期して回動可能に構成されている。ここで、本実施形態においては、カウンターウェイト6は、各第2の回転アーム4においてのみ備えられているが、他の回転アーム4において備えるように構成しても構わず、また、全ての回転アーム4において備えるように構成しても構わない。
【0019】
吹き込み防止プレート7は、略三角形状の金属板であり、回転軸13側を頂点とした場合の頂点の角度が約45°に形成されている。そして、吹き込み防止プレート7は、各第1から第6の回転アーム4において備えられており、各アーム部16の左右方向側方において、吹き込み防止プレート7の表面と回転アーム4の回動面とが略並行となるように接続されている。なお、本実施形態においては、吹き込み防止プレート7は、各アーム部16の左右方向側方のうち、幌シート8を閉じる場合における各回転アーム4の回動方向に対して後側に備えられている。ここで、本実施形態においては、吹き込み防止プレート7は、各第1から第6の回転アームにおいて備えられているが、全ての回転アーム4において備える構成としても構わない。
【0020】
幌シート8は、前後方向両側面及び前後方向から見た外周面が一連に形成されたシート部材であり、幌シート支持梁5に被せられる。そして、幌シート8の内面側においては、各幌シート支持梁5が所定の間隔で固定され、幌シート支持梁5により幌シート8は内面側から支持されている。また、幌シート8の前後方向両側面は、幌シート8を閉じた状態において、各吹込み防止プレート7の回転軸13側を頂点とした場合の対辺側に一部分が被さるように形成されている。
【0021】
各電動モータ9は、各台座部11の左右方向に延びる両H形鋼のうち前後方向外側のH形鋼上に備えられている。ここで、各支持部3おいては、回転軸13により回転軸13に対して回動可能に支持された動力付与プレート20が備えられている。また、動力付与プレート20は、同様に回転軸13により回転軸13に対して回動可能に支持された連結部材(図示せず)を介して、各第1の回転アーム4の回転筒17と固定され、動力付与プレート20と第1の回転アーム4とは同期して回転するように構成されている。そして、電動モータ9は、動力付与プレート20に対してチェーン21を介して回転力を付与するように構成されている。
【0022】
幌装置1は、幌シート8を開放した状態においては、回転アーム4が台座部11の左右方向片側(本実施形態において左右方向右側)に片寄せされた状態となる。そして、幌シート8を開放した状態においては、各回転アーム4は、前後方向外側から内側にかけて第1から第7の回転アーム4の順に、前後方向から見て扇状に重なった状態で配置される。この場合において、各回転アーム4の側方に備えられた吹き込み防止プレート7についても前後方向から見て扇状に順次重なった状態となっている。かかる構成により、回転アーム4及び吹き込み防止プレート7を荷台2の左右方向片側においてコンパクトに収納することが可能となり、荷台2上において広い積荷積載スペースを確保することが可能となる。
【0023】
また、幌シート8を開放した状態においては、各幌シート支持梁5は、台座部11の左右方向片側(本実施形態においては左右方向右側)上に、第7から第1の幌シート支持梁5の順に下方から上方に積み重なった状態となっている。よって、幌シート8を開放した状態においては、前後方向から見た各回転アーム4の支持部材12に対する回転角度は、第7から第1の回転アーム4にかけて少しずつ大きくなるように配置されている。このように、幌シート8を開放した状態においては、荷台2の左右方向片側及び上方が広く開放されることにより、荷台2への積荷の積載時において、フォークリフトを用いる場合でも、クレーンを用いる場合でも作業を円滑に行うことが可能となる。
【0024】
ここで、本実施形態においては、幌シート8は前後方向から見て左側が開放する構成となっているが、右側が開放する構成としても、また、右側又は左側のうちいずれかを選択的に開放できる構成としても構わない。
そして、幌シート8を開放した状態においては、前後方向から見た各回転アーム4の支持部材12に対する回転角度は、第1から第7の回転アーム4にかけて、順次小さくなっているため、各回転アーム4の先端部が第1から第7の回転アーム4にかけて徐々に左右方向内側に配置されていくこととなる。これにより、荷台2上の左右方向側方にスペースが生じ、かかるスペースに幌シート8の重なり部分が積み重なることで、幌シート8を開放した状態において、幌シート8が荷台2の左右方向外方へ突出することを防止することが可能となり、運転席からの広い後方視界を確保することが可能となる。
【0025】
次に、幌シート8を閉じた状態においては、各回転アーム4は、前後方向から見て、第1の幌シート支持梁5及び第7の幌シート支持梁5が台座部11の左右方向各側方に接触するように両第1の回転アーム4及び両第7の回転アーム4が位置した状態で、各回転アーム4間の角度が約45°となるように配置される。そして、前後の各回転アーム4間に懸架された各幌シート支持梁5により内面側から支持された幌シート8は、各幌シート支持梁5間で緊張した状態となっており、かかる幌シート8の張力により各回転アーム4が所定の位置に固定されている。したがって、幌シート8の前後方向から見た投影面は左右対称な略7角形状となっている。これにより、荷台2に鋼板コイルSを積載した状態の前後方向から見た投影面と、幌シート8を閉じた状態の前後方向から見た投影面との変化を最小限に抑えることが可能となり、運転席からの広い後方視界を確保することが可能となる。
【0026】
また、各回転アーム4の長さは、荷台2の左右方向の長さの略半分の長さとなっているため、各回転アーム4の回動時及び幌シート8を閉じた状態において、回転アーム4の先端部が荷台2の左右方向外方へ突出することもない。
そして、幌シート8を閉じた状態においては、各回転アーム4は、各回転アーム4間の角度を約45°として配置されているため、各回転アーム4の側方に備えられた吹き込み防止プレート7が、前後方向から見た各回転アーム4間の隙間を塞ぐこととなる。また、各補強板14が、前後方向から見た第1の回転アーム4と第7の回転アームとの間の隙間を塞ぐこととなる。さらに、幌シート8は、その前後方向側面が各吹込み防止プレート7の回転軸13側を頂点とした場合の対辺側に一部分が被さるように形成されている。よって、かかる構成により、幌シート8の前後方向側面側からの風雨の侵入を防止することが可能となる。
【0027】
次に、本実施形態に係る鋼板コイル搬送用トレーラの荷台2に備えられた幌装置1の動作について説明する。
図8は幌装置を備えたトレーラにおいて、鋼板コイルを積載し、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。図9は幌装置が幌シートを閉じる過程を示す正面図である。図10は幌装置が幌シートを閉じる過程を示す側面図である。なお、説明上の便宜のため、図9及び図10においては前後方向側面の幌シート8の記載を省略している。
【0028】
鋼板コイル搬送用トレーラに鋼板コイルSを積載する際には、幌シート8を開放した状態で、クレーン等を用いて鋼板コイルSを荷台2のコイル積載部25に、鋼板コイルSの軸の延びる方向を前後方向として積載する。この場合において、コイル積載部25は、前後方向から見た断面が略V字状の溝形に形成されているため、荷台2において鋼板コイルSが転動することが防止され、鋼板コイルSを安定して積載及び搬送することが可能となる。
【0029】
幌シート8を閉じる場合においては、まず、電動モータ9の閉スイッチを押すことにより、電動モータ9の回転を開始する。ここで、電動モータ9の回転力はチェーン21を介して動力付与プレート20に伝達される。そして、動力付与プレート20と第1の回転アーム4の回転筒17とは、回転軸13に対して同期して回動するように固定されているため、電動モータ9の回転力は第1の回転アーム4に伝達されることとなる。
【0030】
そして、各回転アーム4は、図9及び図10に示すように、まず第1の回動アーム4が電動モータ9の回転力により、回転軸13に対して回動を開始する。そして、第1の回転アーム4が一定の回転角まで回動すると、第1の幌シート支持梁5と第2の幌シート支持梁5との間の幌シート8が緊張する。すると、かかる幌シート8の張力により第2の回転アーム4が回転軸13に対して回動を開始する。そして、さらに電動モータ9により第1の回転アーム4の回動を進め、第2の回転アーム4が一定の回転角まで回動すると、さらに第2の幌シート支持梁5と第3の幌シート支持梁5との間の幌シート8が緊張する。すると、かかる幌シート8の張力により第3の回転アーム4が回転軸13に対して回動を開始することとなる。同様にして、電動モータ9による第1の回転アーム4の回動を進めることで、各幌シート支持梁5間の幌シート8が緊張していき、かかる幌シート8の張力により順次第6の回転アーム4までの回転軸13に対する回動が行われる。
【0031】
ここで、第2の回転アーム4に対しては、第2の回転アーム4の先端部に懸架されている第2の幌シート支持梁5の上昇時においては第2の回転アーム4の回動方向に対して逆方向の負荷がかかり、第2の幌シート支持梁5の下降時においては第2の回転アーム4の回動方向に対して同一方向の負荷がかかる。したがって、第2の回転アーム4の回動を進めることで、第2の幌シート支持梁5が回転軸13の鉛直方向上方頂点を通過すると、第2の回転アーム4が電動モータ9に対して電動モータ9の回転方向に対して逆方向にかけていた負荷が急減することとなり、電動モータ9が急速に回転を行い、第1の幌シート支持梁5が台座部11上に落下する場合がある。そこで、本実施形態においては、第2の回転アーム4においてカウンターウェイト6を備えることにより、第2の幌シート支持梁5の上昇時と下降時とにおける第2の回転アーム4の電動モータ9に対する負荷の変動を抑えることができ、第1の幌シート支持梁5が台座部11上に落下することを防止することが可能となる。
【0032】
そして、第1の回転アーム4が、台座部11における第7の回転アーム4が位置している側と左右方向逆側まで達すると、支持部材12に備えられているリミットスイッチ15が第1の回転アーム4を検出することにより電動モータ9の回転を停止し、これにより各回転アーム4の回動が停止する。
なお、第7の回転アーム4については、第7の幌シート支持梁5が台座部11に固定されており回動を行わない。
【0033】
そして、幌シート8が閉じた状態においては、各幌シート支持梁5間の幌シート8は緊張した状態となっており、これにより各回転アーム4が所定の位置に固定され、鋼板コイルSが幌シート8により被われることとなる。
これにより、雨天時においても、風雨を避けつつ鋼板コイルSの搬送が可能となり、かつ、運転席からの広い後方視界を確保することが可能となる。
【0034】
ここで、鋼板コイルSの搬送時においては、必ずしも幌シート8を閉じる必要はなく、晴天時においては幌シート8を開放した状態で鋼板コイルSの搬送を行うことも可能である。そして、かかる場合においても、幌シート8の重なり部分が荷台2上の左右方向側方のスペースに積み重なることで、幌シート8が荷台2の左右方向外方へ突出することはなく、運転席からの広い後方視界を確保することが可能となる。
【0035】
鋼板コイルSを積載した鋼板コイル搬送用トレーラは、目的の建屋に到着すると、鋼板コイルSを被う幌シート8の開放を開始する。そして、幌シート8の開放は、電動モータ9の開スイッチを押し、電動モータ9の幌シート8を閉じる時とは逆向きへの回転を開始し、第1の回転アーム4の回動を開始する。そして、幌シート8の開放は、電動モータ9により第1の回転アーム4の回動を行うことで、第1の幌シート支持梁5により順次各幌シート支持梁5を押し上げていくことにより行われる。
【0036】
そして、各幌シート支持梁5が台座部11の左右方向片側上において、第7から第1の幌シート支持梁5の順に下方から上方に積み重なった状態に配置されるまで、第1の回転アーム4の回動が行われると、支持部材12に備えられているリミットスイッチ15が第1の回転アーム4を検出することにより電動モータ9の回転を停止し、これにより、各回転アーム4の回動が停止し、幌シート8の開放が完了する。
その後、クレーン等により、コイル積載部25に積載されている鋼板コイルSを目的の場所に搬送格納する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実本発明の実施形態においては、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、本実施形態においては、幌装置1は鋼板コイル搬送用トレーラの荷台2に備えられているが、かかる場合に限定される事は無く、他の荷物を搬送するトラック、トレーラ等の荷台部分において備えることが可能である。
また、本実施形態においては、各支持部3に備えられる回転アーム4の本数は7本に設定されているが、かかる構成に限定されることはなく、適宜増減することが可能である。
【0038】
また、本実施形態においては、幌シート8は、荷台2の前後に備えられた電動モータ9により自動的に開閉する構成となっているが、前方又は後方の一方に電動モータ9を備える構成としても構わず、また、電動モータ9を用いずに手動により開閉するように構成しても構わない。
また、吹き込み防止プレート7については必ずしも設ける必要はなく、補助板14を、幌シート8を閉じた状態において、幌シート8の前後方向側面部を塞ぐことが可能な大きさに形成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを省略し、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。
【図2】幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを備え、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。
【図3】前後方向側面の幌シートを省略し、幌シートを開放した状態の幌装置を示す正面図である。
【図4】幌シートを開放した状態の幌装置を示す側面図である。
【図5】前後方向側面の幌シートを省略し、幌シートを閉じた状態の幌装置を示す正面図である。
【図6】前後方向側面の幌シートを備え、幌シートを閉じた状態の幌装置を示す正面図である。
【図7】幌装置を備えたトレーラにおいて、幌シートを閉じた時の状態を示す斜視図である。
【図8】幌装置を備えたトレーラにおいて、鋼板コイルを積載し、幌シートを開放した時の状態を示す斜視図である。
【図9】幌装置が幌シートを閉じる過程を示す正面図である。
【図10】幌装置が幌シートを閉じる過程を示す側面図である。
【図11】従来のトラックの幌装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 幌装置
2 荷台
3 支持部
4 回転アーム
5 幌シート支持梁
6 カウンターウェイト
7 吹き込み防止プレート
8 幌シート
9 電動モータ
11 台座部
12 支持部材
13 回転軸
14 補助板
15 リミットスイッチ
16 アーム部
17 回転筒
20 動力付与プレート
21 チェーン
25 コイル積載部
S 鋼板コイル
40 幌装置
41 幌シート
42 荷台
43 シート支持梁
44 アーチ型幌骨
45 あおり板
46 レール
47 アーチ型ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の前後方向両端部に立設された支持部材と、
前記各支持部材において、前記荷台の前後方向に延びる軸を中心に回動可能に支持される複数の回転アームと、
前記両支持部材により支持されている回転アーム間を懸架する複数の幌シート支持梁と、
前記各幌シート支持梁に被せられる幌シートとを備えることを特徴とする幌装置。
【請求項2】
前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、前記軸を挟んで、前記幌シート支持梁が備えられている側と反対側端にカウンターウェイトを備えていることを特徴とする請求項1記載の幌装置。
【請求項3】
前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、その回動面に対して略並行に延びる吹き込み防止プレートを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の幌装置。
【請求項4】
前記複数の回転アームのうち少なくとも1本は、電動モータにより自動的に回動することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の幌装置。
【請求項5】
鋼板コイル搬送用トレーラの荷台に備えられることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項記載の幌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−131205(P2007−131205A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327145(P2005−327145)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(593005644)JFE物流株式会社 (11)
【出願人】(505419981)谷本エンジニアリング株式会社 (1)