干渉制約を受けるワイヤレス設計のための方法及びシステム
ワイヤレス通信システムは、他のワイヤレス通信ネットワークからの干渉を受ける。干渉を受けるワイヤレス通信システムの設計方法は、ワイヤレス環境によって導入される伝播の影響(経路損失、シャドーイング、及びマルチパスフェージングなど)、及び送信機の空間散乱(ポアソン場)を考慮した現実的な干渉モデルに基づいて提供される。この方法は、信号対雑音比(SNR)、干渉対雑音比(INR)、経路損失指数、干渉の空間密度、及び誤り確率などのネットワークパラメータ間のトレードオフを考慮している。この方法の利点は、1)広範囲の性能測定基準を組み込みながら、累積干渉及び雑音を受けるワイヤレスシステムを設計するための統一フレームワーク、及び2)広範囲のクラスのワイヤレス通信システム及びチャネルフェージング分布をカバーする一般的アプリケーション、を含む。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、(a)2007年1月31日に出願された米国仮特許出願第60/887,540号、及び(b)2008年1月24日に出願された米国特許出願第12/019,562号に関し、これら米国出願の優先権を主張するものである。本出願は、これら米国出願は、参照することにより本明細書に援用するものである。米国を指定国とする場合、本出願は、前述した米国特許出願第12/019,562号の継続出願である。
【発明の背景】
【0002】
1.発明の分野
【0003】
本発明は、ワイヤレス通信に関するものである。特に、本発明は、干渉制約を受けるワイヤレス通信システムの設計に関するものである。
【0004】
2.関連技術の記述
【0005】
他のネットワークからの干渉を最小限に抑え、ワイヤレス通信システムの信頼性を高めるための様々なワイヤレスネットワーク設計方法が提案されている。例えば、2005年7月28日に公開されたR.D.Robertsの「Wireless Ultra Wideband Network Having Interference Mitigation and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2005/0163042号には、干渉軽減能力を備えるが、異種ネットワーク用のフレームワークを与えない超広帯域(UWB)システムアーキテクチャが開示されている。この点に関して、異種ネットワークは、独立したネットワークに属するか、又は異なる技術を使用するデバイスを含む。
【0006】
ポアソン場モデルに基づいたセルラーネットワークの設計については、例えば、「Performance of a Spread Spectrum Packet Radio Network Link in a Poisson Field of Interferers」(E.Sousa,IEEE Trans.Inform.Theory,vol.38,no.6,pp.1743−1754,November 1992掲載)という文献、及び「Performance of FH SS Radio Networks with Interference Modeled as a Mixture of Gaussian and Alpha−stable Noise」(J.How,D.Hatzinakos,and A.Venetsanopoulos,IEEE Trans.Commun.,vol.46,no.4,pp.509−520,April 1998掲載)という文献に開示されている。これらの方法は、ランダム伝播の影響を考慮しておらず(例えば、経路損失、シャドーイング、及びマルチパスフェージング)、非コヒーレント変調に制限されている。
【0007】
「Co−channel Interference Modeling and Analysis in a Poisson Field of Interferers in Wireless Communications」(X.Yang及びA.Petropulu,IEEE Trans.Signal Processing,vol.51,no.1,pp.64−76,January 2003掲載)という文献には、シンボル又はスロットレベルで同期化されたシステムに適用可能な技術が開示されている。このような同期化の制限は、通常、実用的ではない。
【0008】
「The performance of linear multiple−antenna receivers with interferers distributed on a plane」(S.Govindasamy,F.Antic,D.Bliss,及びD.Staelin,Proc.IEEE Workshop on Signal Proc.Advances in Wireless Commun.,June 2005,pp.880−884掲載)という文献及び「Uncoordinated rate−division multiple−access scheme for pulsed UWB signals」(M.Weisenhorn及びW.Hirt,IEEE Trans.Veh Technol.,vol.54,no.5,pp.1646−1662,September 2005掲載)という文献に、二次元(2D)平面のディスクにノード位置を制限するアプローチが開示されている。このアプローチは、有限数の干渉を想定したもので、設計手順を複雑化し、ネットワーク設計に有用なツールを提供しない。
【0009】
一般に、従来技術の上記の方法は、信号対雑音比(SNR)、干渉対雑音比(INR)、経路損失指数、干渉の空間密度、及び誤り確率などのネットワーク設計に重要な多くのパラメータを考慮していない。
【概要】
【0010】
ワイヤレス通信システムは、他のワイヤレス通信ネットワークからの干渉を受ける。干渉を受けるワイヤレス通信システムの設計方法は、ワイヤレス環境によって導入される伝播の影響(経路損失、シャドーイング、及びマルチパスフェージング)、及び送信機の空間散乱(ポアソン場)を考慮した現実的な干渉モデルに基づいて提供される。この方法は、SNR、INR、経路損失指数、干渉の空間密度、及び誤り確率などのネットワークパラメータ間のトレードオフを考慮している。この方法の利点は、1)広範囲の性能基準を組み込みながら、累積干渉及び雑音を受けるワイヤレスシステムを設計するための統一フレームワーク、及び、2)広範囲のクラスのワイヤレス通信システム及びチャネルフェージング分布をカバーする一般的アプリケーション、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ワイヤレスネットワークの設計方法が、(a)所望のサービス品質に基づいて性能パラメータを選択するステップと、(b)予測伝播チャネルパラメータのセットを組み込むステップと、(c)予測伝播チャネルパラメータ及び干渉制約に基づいて、システムパラメータのセットを決定するステップと、を含む。干渉制約は、累積干渉に基づいて計算されてもよく、所定の閾値を超える累積干渉の確率として表されてもよい。累積干渉は、安定分布に基づいて計算されてもよい。或いは、干渉制約は、所定の閾値を超えるビット誤り測定の確率として表され得るビット誤り測定に基づいて計算されてもよい。
【0012】
本発明の方法は、狭帯域及びUWBの干渉源の双方に適用可能な干渉制約を使用する。干渉制約は、送信機の空間密度、測定された干渉又は雑音電力、変調方法、及びビット誤り率を考慮してもよい。空間密度のための一つのモデルは、ポアソン場によって与えられる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、伝播チャネルパラメータは、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータのうちの一つ以上を含む。システムパラメータは、送信機の空間密度、測定された干渉又は雑音電力、変調方法、及びビット誤り率のうちの一つ以上を含み得る。本発明の方法は、同期及び非同期式のワイヤレスネットワークを設計するために適用され得る。
【0014】
本発明は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を考慮することにより、さらに深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による、ネットワーク設計フレームワークにおける干渉源の空間分布を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による、2Dポアソン場において空間分布されたと見なされ得る狭帯域(NB)及び超広帯域(UWB)の干渉源を含む多数のネットワーク送信機によって発生する累積干渉を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、NB干渉源の影響を受けるNB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による、NB干渉源の影響を受けるUWB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による、UWB干渉源の影響を受けるNB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、UWB干渉源の影響を受けるUWB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による、干渉減量制約に基づいてワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による、誤り確率制約に基づいたワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである
【図9】本発明の一実施形態による、ワイヤレス伝播チャネルパラメータを組み込んだ、図7及び図8のフローチャートのいずれかのステップ900を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、図7のステップ1000の干渉減量設計モードサブシステムを示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による、図8のステップ1100の誤り確率設計モードサブシステムを示す図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による、ネットワーク設計フレームワークの送信機の空間分布を示している。図1に示すように、例えば、送信機は、2次元(2D)無限平面において一様なポアソン点過程に従って空間分布される。結果的に、所与の領域R内にn個の干渉を見出す確率(必ずしも、接続されていない)は、この領域の全面積Aにのみ依存し、以下の式により与えられる。
【数1】
式中、λは単位面積当たりのノード数で表された干渉ノードの(一定の)空間密度である。このモデルにおいて、干渉ノードは、着目する周波数帯内及び着目する時間間隔(例えば、一つのシンボル期間)中に送信する端末セットを形成する。したがって、これらの干渉ノードは、全干渉に事実上寄与する。ネットワークトポロジー(例えば、ユニキャスト、マルチキャスト、ブロードキャストなど)又は使用される多元接続技術(例えば、時間、周波数ホッピング、符号など)にかかわらず、本発明のフレームワークは、干渉ノードの密度λにのみ依存する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、上記ポアソンモデルを組み込む設計方法が提供される。図2は、本発明の一実施形態による、2Dポアソン場において空間的に分布されると見なされ得るNB及びUWB干渉源を含む多数のネットワーク送信機によって発生した累積干渉を示している。2006年、P.C.Pintoがマサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学電子工学・コンピュータサイエンス学科に提出した修士論文「Communication in a Poisson Field of Interferers」(論文指導者はMoe Z.Win教授)において得た結果に基づいて、このモデルにおける全ての送信機により発生した集合、即ち累積干渉は、安定分布によって得られる。
【数2】
式中、αは干渉の特性指数であり、βは干渉のひずみパラメータであり、γは干渉の分散パラメータであり、bはワイヤレス伝播媒体の経路損失指数であり、σはワイヤレス伝播媒体のシャドーイングパラメータであり、及びM(b)は変調依存パラメータである。
【0018】
本発明のフレームワークは、一般的であり、パラメータM(b)を適切に変更することによって、NB及びUWBシステムなどの大きなグループの通信システム及び伝播チャネルに適用可能にされ得る。さらに、累積干渉のこのモデルは、チャネルフェージング統計(例えば、レイリー、ナカガミ−mフェージングなど)とは関係ない。図3〜図6は、異種ネットワークにおける本発明の設計フレームワークの、(a)NB干渉源の影響を受けるNBリンク(図3を参照)、(b)NB干渉源の影響を受けるUWBリンク(図4を参照)、(c)UWB干渉源の影響を受けるNBリンク(図5を参照)、及び(d)UWB干渉源の影響を受けるUWBリンク(図6を参照)に対する四つの可能な応用を示している。この設計フレームワークは、干渉制約が導入される場合に、ワイヤレスネットワーク設計を著しく簡潔にする。特に、設計フレームワークは、図7〜図11に例示するように、設計基準「干渉減量制約」及び「誤り確率制約」に見合う。
【0019】
図7は、本発明の一実施形態による干渉減量制約に基づいてワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。図7に示すように、物理レイヤ(PHY)で指定されたサービス品質(QoS)性能値に応じて、適切な干渉閾値Ythreshold及び適切な確率閾値p1が選択される。伝播チャネルパラメータ(例えば、図9に示すように、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータ)に基づいて、システムパラメータ(例えば、ノード空間密度、送信電力、ビット率、及び変調)を、P(|Y|>Ythreshold)<p1という制約を受けた式(2)を用いて算出することができる。図10は、干渉減量モード(即ち、空間密度、電力、又はビット率)を選択することを例示したサブシステム1000を示している。例えば、図10に示すように、適切な空間密度値は、制約P(|Y|>Ythreshold)<p1を受けた許容電力及びビット率値から求めることができる。同様に、適切な電力又はビット率値が、同じ制約P(|Y|>Ythreshold)<p1を受けた他の二つのシステムパラメータから求められ得る。
【0020】
図8は、本発明の一実施形態による、誤り確率制約に基づいたワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。図8に示すように、PHYで指定されたQoS性能値に応じて、適切な誤り確率閾値p2が選択される。システムパラメータ(例えば、図9に示すように、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータ)に基づいて、システムパラメータ(例えば、ノード空間密度、送信電力、ビット率、及び変調)を、例えば、P(ビット誤り)<p2の制約を受けた式(2)を用いて算出することができる。図11は、誤り確率モード(即ち、空間密度、電力、又はビット率)の選択を例示したサブシステム1100を示している。例えば、図11に示すように、適切な空間密度値が制約P(ビット誤り)<p2を受けた許容電力及びビット率値から求めることができる。同様に、制約(ビット誤り)<p2を受けた他の二つのシステムパラメータから、適切な電力又はビット率値が求められてもよい。
【0021】
したがって、本発明の方法は、広範囲の設計基準を組み込んだ、累積干渉及び雑音を受けたワイヤレス通信システムを設計する統一設計方法又はフレームワークを提供している。この方法は、広範囲のクラスのワイヤレス通信システムをカバーしてもよく、任意のフェージング分布に対して確率的な不変性を有してもよい。従来技術とは異なり、本発明の設計方法は、経路損失、シャドーイング、マルチパスフェージングなどの重要な伝播の影響を考慮した現実的なワイヤレスモデルに基づいている。このようなフレームワークは、扱いや見通しがしやすく、ネットワーク設計者にとって価値のある重要な結果を確立する。
【0022】
上述した詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を例示するように与えたものであり、限定的であることを意図したものではない。本発明の範囲内にある多数の修正及び変形が可能である。本発明は、以下の特許請求の範囲に示されている。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、(a)2007年1月31日に出願された米国仮特許出願第60/887,540号、及び(b)2008年1月24日に出願された米国特許出願第12/019,562号に関し、これら米国出願の優先権を主張するものである。本出願は、これら米国出願は、参照することにより本明細書に援用するものである。米国を指定国とする場合、本出願は、前述した米国特許出願第12/019,562号の継続出願である。
【発明の背景】
【0002】
1.発明の分野
【0003】
本発明は、ワイヤレス通信に関するものである。特に、本発明は、干渉制約を受けるワイヤレス通信システムの設計に関するものである。
【0004】
2.関連技術の記述
【0005】
他のネットワークからの干渉を最小限に抑え、ワイヤレス通信システムの信頼性を高めるための様々なワイヤレスネットワーク設計方法が提案されている。例えば、2005年7月28日に公開されたR.D.Robertsの「Wireless Ultra Wideband Network Having Interference Mitigation and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2005/0163042号には、干渉軽減能力を備えるが、異種ネットワーク用のフレームワークを与えない超広帯域(UWB)システムアーキテクチャが開示されている。この点に関して、異種ネットワークは、独立したネットワークに属するか、又は異なる技術を使用するデバイスを含む。
【0006】
ポアソン場モデルに基づいたセルラーネットワークの設計については、例えば、「Performance of a Spread Spectrum Packet Radio Network Link in a Poisson Field of Interferers」(E.Sousa,IEEE Trans.Inform.Theory,vol.38,no.6,pp.1743−1754,November 1992掲載)という文献、及び「Performance of FH SS Radio Networks with Interference Modeled as a Mixture of Gaussian and Alpha−stable Noise」(J.How,D.Hatzinakos,and A.Venetsanopoulos,IEEE Trans.Commun.,vol.46,no.4,pp.509−520,April 1998掲載)という文献に開示されている。これらの方法は、ランダム伝播の影響を考慮しておらず(例えば、経路損失、シャドーイング、及びマルチパスフェージング)、非コヒーレント変調に制限されている。
【0007】
「Co−channel Interference Modeling and Analysis in a Poisson Field of Interferers in Wireless Communications」(X.Yang及びA.Petropulu,IEEE Trans.Signal Processing,vol.51,no.1,pp.64−76,January 2003掲載)という文献には、シンボル又はスロットレベルで同期化されたシステムに適用可能な技術が開示されている。このような同期化の制限は、通常、実用的ではない。
【0008】
「The performance of linear multiple−antenna receivers with interferers distributed on a plane」(S.Govindasamy,F.Antic,D.Bliss,及びD.Staelin,Proc.IEEE Workshop on Signal Proc.Advances in Wireless Commun.,June 2005,pp.880−884掲載)という文献及び「Uncoordinated rate−division multiple−access scheme for pulsed UWB signals」(M.Weisenhorn及びW.Hirt,IEEE Trans.Veh Technol.,vol.54,no.5,pp.1646−1662,September 2005掲載)という文献に、二次元(2D)平面のディスクにノード位置を制限するアプローチが開示されている。このアプローチは、有限数の干渉を想定したもので、設計手順を複雑化し、ネットワーク設計に有用なツールを提供しない。
【0009】
一般に、従来技術の上記の方法は、信号対雑音比(SNR)、干渉対雑音比(INR)、経路損失指数、干渉の空間密度、及び誤り確率などのネットワーク設計に重要な多くのパラメータを考慮していない。
【概要】
【0010】
ワイヤレス通信システムは、他のワイヤレス通信ネットワークからの干渉を受ける。干渉を受けるワイヤレス通信システムの設計方法は、ワイヤレス環境によって導入される伝播の影響(経路損失、シャドーイング、及びマルチパスフェージング)、及び送信機の空間散乱(ポアソン場)を考慮した現実的な干渉モデルに基づいて提供される。この方法は、SNR、INR、経路損失指数、干渉の空間密度、及び誤り確率などのネットワークパラメータ間のトレードオフを考慮している。この方法の利点は、1)広範囲の性能基準を組み込みながら、累積干渉及び雑音を受けるワイヤレスシステムを設計するための統一フレームワーク、及び、2)広範囲のクラスのワイヤレス通信システム及びチャネルフェージング分布をカバーする一般的アプリケーション、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、ワイヤレスネットワークの設計方法が、(a)所望のサービス品質に基づいて性能パラメータを選択するステップと、(b)予測伝播チャネルパラメータのセットを組み込むステップと、(c)予測伝播チャネルパラメータ及び干渉制約に基づいて、システムパラメータのセットを決定するステップと、を含む。干渉制約は、累積干渉に基づいて計算されてもよく、所定の閾値を超える累積干渉の確率として表されてもよい。累積干渉は、安定分布に基づいて計算されてもよい。或いは、干渉制約は、所定の閾値を超えるビット誤り測定の確率として表され得るビット誤り測定に基づいて計算されてもよい。
【0012】
本発明の方法は、狭帯域及びUWBの干渉源の双方に適用可能な干渉制約を使用する。干渉制約は、送信機の空間密度、測定された干渉又は雑音電力、変調方法、及びビット誤り率を考慮してもよい。空間密度のための一つのモデルは、ポアソン場によって与えられる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、伝播チャネルパラメータは、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータのうちの一つ以上を含む。システムパラメータは、送信機の空間密度、測定された干渉又は雑音電力、変調方法、及びビット誤り率のうちの一つ以上を含み得る。本発明の方法は、同期及び非同期式のワイヤレスネットワークを設計するために適用され得る。
【0014】
本発明は、添付の図面と共に、以下の詳細な説明を考慮することにより、さらに深く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による、ネットワーク設計フレームワークにおける干渉源の空間分布を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による、2Dポアソン場において空間分布されたと見なされ得る狭帯域(NB)及び超広帯域(UWB)の干渉源を含む多数のネットワーク送信機によって発生する累積干渉を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による、NB干渉源の影響を受けるNB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による、NB干渉源の影響を受けるUWB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による、UWB干渉源の影響を受けるNB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、UWB干渉源の影響を受けるUWB通信リンクへの異種ネットワークの設計フレームワークの適用を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による、干渉減量制約に基づいてワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による、誤り確率制約に基づいたワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである
【図9】本発明の一実施形態による、ワイヤレス伝播チャネルパラメータを組み込んだ、図7及び図8のフローチャートのいずれかのステップ900を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、図7のステップ1000の干渉減量設計モードサブシステムを示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による、図8のステップ1100の誤り確率設計モードサブシステムを示す図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による、ネットワーク設計フレームワークの送信機の空間分布を示している。図1に示すように、例えば、送信機は、2次元(2D)無限平面において一様なポアソン点過程に従って空間分布される。結果的に、所与の領域R内にn個の干渉を見出す確率(必ずしも、接続されていない)は、この領域の全面積Aにのみ依存し、以下の式により与えられる。
【数1】
式中、λは単位面積当たりのノード数で表された干渉ノードの(一定の)空間密度である。このモデルにおいて、干渉ノードは、着目する周波数帯内及び着目する時間間隔(例えば、一つのシンボル期間)中に送信する端末セットを形成する。したがって、これらの干渉ノードは、全干渉に事実上寄与する。ネットワークトポロジー(例えば、ユニキャスト、マルチキャスト、ブロードキャストなど)又は使用される多元接続技術(例えば、時間、周波数ホッピング、符号など)にかかわらず、本発明のフレームワークは、干渉ノードの密度λにのみ依存する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、上記ポアソンモデルを組み込む設計方法が提供される。図2は、本発明の一実施形態による、2Dポアソン場において空間的に分布されると見なされ得るNB及びUWB干渉源を含む多数のネットワーク送信機によって発生した累積干渉を示している。2006年、P.C.Pintoがマサチューセッツ州ケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学電子工学・コンピュータサイエンス学科に提出した修士論文「Communication in a Poisson Field of Interferers」(論文指導者はMoe Z.Win教授)において得た結果に基づいて、このモデルにおける全ての送信機により発生した集合、即ち累積干渉は、安定分布によって得られる。
【数2】
式中、αは干渉の特性指数であり、βは干渉のひずみパラメータであり、γは干渉の分散パラメータであり、bはワイヤレス伝播媒体の経路損失指数であり、σはワイヤレス伝播媒体のシャドーイングパラメータであり、及びM(b)は変調依存パラメータである。
【0018】
本発明のフレームワークは、一般的であり、パラメータM(b)を適切に変更することによって、NB及びUWBシステムなどの大きなグループの通信システム及び伝播チャネルに適用可能にされ得る。さらに、累積干渉のこのモデルは、チャネルフェージング統計(例えば、レイリー、ナカガミ−mフェージングなど)とは関係ない。図3〜図6は、異種ネットワークにおける本発明の設計フレームワークの、(a)NB干渉源の影響を受けるNBリンク(図3を参照)、(b)NB干渉源の影響を受けるUWBリンク(図4を参照)、(c)UWB干渉源の影響を受けるNBリンク(図5を参照)、及び(d)UWB干渉源の影響を受けるUWBリンク(図6を参照)に対する四つの可能な応用を示している。この設計フレームワークは、干渉制約が導入される場合に、ワイヤレスネットワーク設計を著しく簡潔にする。特に、設計フレームワークは、図7〜図11に例示するように、設計基準「干渉減量制約」及び「誤り確率制約」に見合う。
【0019】
図7は、本発明の一実施形態による干渉減量制約に基づいてワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。図7に示すように、物理レイヤ(PHY)で指定されたサービス品質(QoS)性能値に応じて、適切な干渉閾値Ythreshold及び適切な確率閾値p1が選択される。伝播チャネルパラメータ(例えば、図9に示すように、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータ)に基づいて、システムパラメータ(例えば、ノード空間密度、送信電力、ビット率、及び変調)を、P(|Y|>Ythreshold)<p1という制約を受けた式(2)を用いて算出することができる。図10は、干渉減量モード(即ち、空間密度、電力、又はビット率)を選択することを例示したサブシステム1000を示している。例えば、図10に示すように、適切な空間密度値は、制約P(|Y|>Ythreshold)<p1を受けた許容電力及びビット率値から求めることができる。同様に、適切な電力又はビット率値が、同じ制約P(|Y|>Ythreshold)<p1を受けた他の二つのシステムパラメータから求められ得る。
【0020】
図8は、本発明の一実施形態による、誤り確率制約に基づいたワイヤレスシステムを設計するためのフローチャートである。図8に示すように、PHYで指定されたQoS性能値に応じて、適切な誤り確率閾値p2が選択される。システムパラメータ(例えば、図9に示すように、経路損失パラメータ、シャドーイングパラメータ、及びフェージングパラメータ)に基づいて、システムパラメータ(例えば、ノード空間密度、送信電力、ビット率、及び変調)を、例えば、P(ビット誤り)<p2の制約を受けた式(2)を用いて算出することができる。図11は、誤り確率モード(即ち、空間密度、電力、又はビット率)の選択を例示したサブシステム1100を示している。例えば、図11に示すように、適切な空間密度値が制約P(ビット誤り)<p2を受けた許容電力及びビット率値から求めることができる。同様に、制約(ビット誤り)<p2を受けた他の二つのシステムパラメータから、適切な電力又はビット率値が求められてもよい。
【0021】
したがって、本発明の方法は、広範囲の設計基準を組み込んだ、累積干渉及び雑音を受けたワイヤレス通信システムを設計する統一設計方法又はフレームワークを提供している。この方法は、広範囲のクラスのワイヤレス通信システムをカバーしてもよく、任意のフェージング分布に対して確率的な不変性を有してもよい。従来技術とは異なり、本発明の設計方法は、経路損失、シャドーイング、マルチパスフェージングなどの重要な伝播の影響を考慮した現実的なワイヤレスモデルに基づいている。このようなフレームワークは、扱いや見通しがしやすく、ネットワーク設計者にとって価値のある重要な結果を確立する。
【0022】
上述した詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を例示するように与えたものであり、限定的であることを意図したものではない。本発明の範囲内にある多数の修正及び変形が可能である。本発明は、以下の特許請求の範囲に示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスネットワークの設計方法であって、
所望のサービス品質に基づいて性能パラメータを選択するステップと、
予測伝播チャネルパラメータのセットを組み込むステップと、
予測伝播チャネルパラメータ及び干渉制約に基づいて、システムパラメータのセットを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項1】
ワイヤレスネットワークの設計方法であって、
所望のサービス品質に基づいて性能パラメータを選択するステップと、
予測伝播チャネルパラメータのセットを組み込むステップと、
予測伝播チャネルパラメータ及び干渉制約に基づいて、システムパラメータのセットを決定するステップと、
を含む方法。
【図1】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2010−517484(P2010−517484A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548377(P2009−548377)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/052186
【国際公開番号】WO2008/094858
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/052186
【国際公開番号】WO2008/094858
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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