説明

平らな基体に偽造防止マークを製造する方法

【課題】簡単に検知可能でかつ暗号を簡単かつエラーなしに評価可能な偽造防止マークを、簡単かつ安価に製造することができる、偽造防止マークを製造する方法を提供する。
【解決手段】平らな基体上に偽造防止マークを製造する方法であって、暗号のランダムパターン4を形成する粒子7を、基体1上に設ける形式の方法において、フレキシブルなワイヤ片又は繊維片7を、偽造防止マーク3に対応するマーク領域8において、基体1上に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び2の上位概念部に記載された形式の平らな基体に偽造防止マークを製造する方法であり、すなわち、暗号のランダムパターンを形成する粒子を、基体上に設ける形式の方法及び、暗号のランダムパターンを形成する粒子を、基体内に設ける形式の方法に関する。本発明はさらに、請求項10に記載された、偽造防止マークを備えた印刷製品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば証明書又は薬剤パッケージのような印刷された製品の真贋検査の場合には、いわゆる偽造防止マークを製造するための種々様々な方法が用いられる。偽造防止マークは、大量生産に有利なように、安価に製造されねばならず、しかも、偽造認識に際しても高い信頼性を提供しなくてはならない。
【0003】
DE102005013962A1には、偽造防止エレメントを製造する枠内において、印刷基体のランダムな微細構造の検出及び評価が開示されている。これに類した発明は、US4423415にも開示されている。微細構造の評価は、高価かつ手間の掛かる技術的手段を用いてしか可能でない。
【0004】
またDE19614174A1に基づいて、物質又は対象物に目印を付けるために、多層の微粒子を例えばラッカ内に設けることが公知である。この場合に使用される微粒子は、あまり高価ではない汎用の手段によっては、検知することができない。
【0005】
DE10304805A1に基づいて、基体に偽造防止マークを製造するために、粒子の設置によってランダムパターンを生ぜしめることが公知である。この場合の粒子は例えば、着色された粒子、蛍光性の粒子又は燐光性の粒子である。また、隆起部を備えた表面構造を使用することも可能である。
【0006】
出願時点においてはまだ公開されていないDE102008014322には、印刷物の真贋を検査する方法が記載されている。この方法では、ランダムパターンは、冷間シート移動(Kaltfolientransfer)時における間隙によって生ぜしめることができる。
【0007】
さらに例えば、蛍光繊維を紙の中に一体に加工すること及びUV光よって紙幣を検査することは、紙幣製造から公知である。しかしながらこの公知の検査では、個別化された検査、つまり対象物がただ一つのものであることを示すユニキャット(Unikat)の信憑性の検査は、不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE102005013962A1
【特許文献2】US4423415
【特許文献3】DE19614174A1
【特許文献4】DE10304805A1
【特許文献5】DE102008014322
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の背景技術に基づいて本発明の課題は、従来技術に対して改善された、偽造防止マークを製造する方法を提供することであり、簡単に(例えばカメラ付き移動通信機器のような汎用の手段を用いて)検知可能でかつ暗号を簡単かつエラーなしに評価可能な偽造防止マークを、簡単かつ安価に製造することができる、偽造防止マークを製造する方法を提供することである。さらに本発明の別の又は択一的な課題は、従来技術に比べて改善された、つまり容易に検知可能でかつ暗号的に簡単にかつエラーなしに評価可能な偽造防止マークを備えた印刷製品を提供することである。本発明の別の又は択一的な課題は、本物の偽造防止マークと単に模倣された偽造防止マークとの間における良好な識別可能性を、視覚的に及び/又は触覚的に可能にする、従来技術に対して改善された方法及び印刷製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために請求項1記載の発明では、平らな基体上に偽造防止マークを製造する方法であって、暗号のランダムパターンを形成する粒子を、基体上に設ける形式の方法において、フレキシブルなワイヤ片又は繊維片を、偽造防止マークに対応するマーク領域において、基体上に設けるようにした。または請求項2記載の発明では、平らな基体内に偽造防止マークを製造する方法であって、暗号のランダムパターンを形成する粒子を、基体内に設ける形式の方法において、フレキシブルなワイヤ片又は繊維片を、偽造防止マークに対応するマーク領域において、基体内に設けるようにした。さらに請求項10記載の発明では、偽造防止マークを備えた印刷製品であって、偽造防止マークが、基体上に設けられていてランダムパターンを形成するフレキシブルなワイヤ片又は繊維片を有しているようにした。
【0011】
本発明のその他の有利な構成は、従属請求項並びに明細書の記載及び図面に記載されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の枠内において「フレキシブル」というのは、「変形可能性」、特に「可撓性」を意味している。そしてこの場合変形可能性という言葉には、弾性的な変形可能性も、塑性的な変形可能性も、可逆性の変形可能性も、非可逆性の変形可能性も含まれる。例えばワイヤ片又は繊維片は、その長手方向軸線に沿って、持続的に維持される単数又は複数の湾曲部が得られるように、変形可能である。
【0013】
ワイヤ片又は繊維片の使用は、オリジナルもしくは本物と模倣(贋作)との間における良好な識別可能性を提供することができる。それというのは、ワイヤ片又は繊維片は、その3D構造に基づいて特徴付けられた光反射を有しているので、肉眼によって種々異なる角度からワイヤ片又は繊維片を認識可能であり、しかも3D構造を知覚することができるからである。さらにワイヤ片又は繊維片は重ねることができ、これによりさらに複雑で、かつさらに明瞭に知覚可能な3D構造を生ぜしめることができる。
【0014】
改善された検知特性に基づいて有利な本発明による別の方法では、プラスチック又は金属製のワイヤ片、特に銅ワイヤ片を基体上にもしくは基体内に設けるようにした。
【0015】
簡単な製造に関して有利な本発明の別の方法では、ワイヤ片又は繊維片を、基体の、接着剤によって前処理されたマーク領域上に、特に散布もしくはばらまきによって、設けるようにした。
【0016】
丈夫さもしくは耐久性の点で有利な本発明の別の方法では、ワイヤ片又は繊維片を保護層、特にラミネートによってカバーするようにした。
【0017】
簡単な製造に基づいて有利な本発明の別の方法では、繊維片を液体、特に印刷インキ又はラッカと共に、基体上にもたらすようにした。
【0018】
改善された偽造防止の点で有利な本発明の別の方法では、ワイヤ片又は繊維片が少なくとも1つの湾曲部を有している。
【0019】
改善された偽造防止及び改善された検知の点で有利な本発明の別の方法では、着色された又は蛍光を発するワイヤ片又は繊維片を、基体上にもしくは基体内に設けるようにした。
【0020】
丈夫さもしくは耐久性の点及び改善された偽造防止の点で有利な本発明の別の方法では、ワイヤ片又は繊維片をフリース又はシート内に装入してから、基体上に設けるようにした。
【0021】
本発明による印刷製品は、既に述べたように、偽造防止マークを備えた印刷製品であって、偽造防止マークが、基体上に設けられていてランダムパターンを形成するフレキシブルなワイヤ片又は繊維片を有しているようにした。
【0022】
本発明の枠内には、印刷素材を処理する機械、例えば印刷機、特にリソグラフィのオフセット印刷のための枚葉紙輪転印刷機、又は、例えば相応なインキング装置によって前記本発明による方法のうちの1つを実施するために構成されている、印刷をさらに処理する機械も含まれる。
【0023】
上に述べた本発明及び本発明の有利な構成はまた、互いに組み合わせることも可能である。接着剤の塗布、ワイヤ片の散布もしくはばらまき、及びラッカ又はシートのコーティングもしくは被着を、相前後して行うと特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によって製造された偽造防止マークの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明によって製造された偽造防止マークの第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
基体(Substrat)における本発明による偽造防止マーク(Sicherheitsmerkmal)は、主として、特殊なランダムパターン(Zufallmuster)に基づいており、このランダムパターンはその本発明による製造に基づいて検出及び評価され、つまり、ランダムパターンを記載する識別ベクトル(Kennvektor)と、場合によっては別のデータを補足された、(非対称的に)コード化されたサイン(Signatur)とに変えられる。このようにして生ぜしめられたサインは、同様に基体に設けられ、有利には印刷され、真偽検査時に、ランダムパターンとの比較のために働く。例えば解読されたサインから比較ランダムパターン(Vergleichs-Zufallmuster)を計算すること、又はランダムパターンから比較サイン(Vergleichs-Signatur)を計算することができる。両方の場合において使用者は、解読の鍵、有利には開示された解読の鍵を使用しなくてはならない。このような暗号法(Kryptografie-Verfahren)は例えばDE102008014322に、冷間シートによって生ぜしめられたランダムパターンのために記載されている。この明細書において、開示された暗号法及び評価法に関しては、DE102008014322が関連付けられる。
【0027】
この明細書に記載されたランダムパターンは、暗号のランダムパターン、つまり模倣され得ない又は採算に合わない形式でしか模倣され得ないランダムパターンであり、その特別な特性によって、検出、コード化、解読及び比較を簡単かつエラーなしに可能にするランダムパターンである。これによって、一般的な偽造防止及び不正操作防止のみならず、個々の製品保護、つまり個々の製品を合目的的に偽造品と認識することができる。簡単に言えば、仮想の偽造者は、製品を偽造するためには、同様な形式のランダムパターンのみならず、同一のランダムパターンをも模倣又は生ぜしめることができなくてはならないことになる。暗号のランダムパターンは、有利には局部的なランダムパターンであり、つまり基体の、規定された位置を制限された箇所に合目的的に位置決めされたランダムパターンであり、ほぼ基体全体にわたって又は基体の大きな領域にわたって延在するランダムパターンではない。
【0028】
図1には、本発明によって製造された偽造防止マークの第1実施形態が略示されている。ほぼ平らな基体1、有利には薄紙、厚紙又はプラスチック(例えば薄紙又は厚紙の枚葉紙又はプラスチックラベル)は、有利には印刷された領域2、例えばテキスト及び/又は画像を有している。従って基体は有利には印刷製品を形成しており、例えば、リソグラフィのオフセット印刷で製造された、パッケージのような製品を形成している。そのそばに基体は、空間的に画成された、有利には約50〜約500平方ミリメートルの面積に画成された、例えば約20×20ミリメートルの大きさの偽造防止マーク3を有している。偽造防止マークは、暗号のランダムパターン4と、それに対応するサイン5とを有している。最適には、偽造防止マークはさらに、有利に印刷されたフレーム6、例えば暗い又は黒い色のフレーム6か、又はその他のマーキング、例えば十字線(Fadenkreuz)を有している。フレームは主として、ランダムパターンの検出及び評価の際における基準マークとして働く。偽造防止マークは区分Aが拡大して示されている。
【0029】
偽造防止マーク3の暗号のランダムパターン4は、本発明の第1実施形態によって製造され、この場合フレキシブルなワイヤ片又は繊維片は、つまり制限された長さのワイヤ片又は繊維片は、偽造防止マーク3に対応するマーク領域8において、基体に設けられる。ワイヤ片及び繊維片は、そのそれぞれの長さに比べて細く、ゆえにフレキシブルな構造体である。繊維片は主としてその直径が小さいことによって、ワイヤ片と異なっている。繊維片は、ステープルファイバとも呼ばれる。有利には約3〜20の繊維片が設けられる。
【0030】
使用されるフレキシブルなワイヤ片7は、有利には金属ワイヤであるが、しかしながらプラスチックワイヤも使用することができる。特に有利なワイヤ片としては、例えば約50〜100mmの太さ、特に約80mmの太さと、約3〜約30mmまでの長さを有する銅ワイヤを挙げることができる。横断面は有利には円形である。銅はその形状安定性(ほぼ不変の湾曲)と、後続のプロセスに対する頑丈さ、自色、輝き、及びこれらによって得られる容易な識別可能性もしくは検知可能性に基づいて有利である。同時に、汎用の方法、例えば冷間シート塗布によって、金属ワイヤ片の視覚的な(及び手触りによる)表示形態は、ほとんど模造することができない。さらに互いに上下に位置するワイヤ片は、隆起した、ゆえに容易に検知可能な交差ポイントを有していて、一塊になりにくい。
【0031】
使用されるフレキシブルな繊維片7は、有利には合成繊維(例えばナイロン;ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維又はセラミック繊維のような、天然ポリマ又は合成ポリマから成る繊維)であり、しかしながらまた、天然繊維(例えば植物繊維;人間を含む動物の繊維、毛又は絹;鉱物繊維)を使用することも可能である。さらにまた、糸、つまり単繊維から製造された繊維複合材(本明細書では繊維という中にこのような繊維複合材も含まれている)も使用可能である。
【0032】
図1に示された偽造防止マーク3の製造は、有利には以下のように行うことができる。すなわちマーク領域8は接着剤9(分かり易くするために部分的に、かつ線として示されている)、例えば紫外線接着剤(UV-Kleber)によって前処理され、つまり接着剤9をマーク領域9に局部的に制限して塗布することによって、粘着性の状態にもたらされる。そのためには、例えばスプレ装置又はローラ装置のような塗布装置10を使用することができる。そしてワイヤ片又は繊維片7が、このように前処理されたマーク領域の上に撒かれる、もしくは散布される。
【0033】
この散布は、例えばエアジェット又はコンベヤベルト、一般的に言えば塗布装置11によって行うことができる。そのためにワイヤ片又は繊維片7は、蓄え部から調量されてエアジェットに送り込まれ、エアジェットによってマーク領域8に運ばれるか、又はワイヤ片又は繊維片7は、蓄え部から、搬送速度が可変のコンベヤベルトにもたらされて、マーク領域8に運ばれる。散布は、マーク領域の内部においてワイヤ片又は繊維片7をランダムに空間的に分布及び方向付けするために、役立つ。
【0034】
さらに、ワイヤ片又は繊維片7を被圧縮体として蓄えることも可能であり、回転するブラシ又はこれに類したものを用いて、被圧縮体から解離させて、個々に基体1に供給することも可能である。
【0035】
択一的にワイヤ片又は繊維片7は、もっぱら又は付加的に、追加のラッカ又はシートの塗布によって(相応な装置12による)、例えば透明なラミネート又は少なくとも部分的に透明なラミネート13によって(識別のために部分的に、かつ線として示されている)、固定され、かつシフト又は損傷に対して保護されることができる。その代わりに、不透明な保護シートが設けられている場合には、ワイヤ片又は繊維片7によって惹起される、かつ有利には着色によって良好に認識可能になる、保護層の隆起を検知することができる。
【0036】
択一的にワイヤ片又は繊維片7を、押出し成形して、所定の又はランダムな長さに切断することも可能である。この場合ワイヤ片又は繊維片7には、所定の又はランダムな湾曲が加えられることができる。
【0037】
ワイヤ片又は繊維片7もしくは相応な材料は、容易な検知のためにさらに、着色されたり、金属被覆されたり、蛍光を発するように又は燐光を発するようになっていてもよい。ワイヤ片又は繊維片7は有利には、基体1に対して良好な視覚的なコントラストを有しており、例えば明るい又は白い基体上に暗い又は黒いワイヤ片又は繊維片7が設けられる。
【0038】
このようにして製造された暗号(kryptografisch)のランダムパターン4は、DE102008014322に開示された方法によってメーカ側において検出され、基体1に設けられるサイン5に変えられる。使用者側において、この暗号のランダムパターン4又はサイン5は検出することができ、そして利用可能な解読の鍵を使用して、真贋鑑定のための比較を実施することができる。この場合、顕微鏡によって分かるランダムパターン特性を検出することができるカメラを備えたモバイル通信機器を使用することができる。
【0039】
撮影された像からワイヤ片又は繊維片7の位置、方向付け、湾曲、交差ポイントなどが抽出され、有利には軽く曲げられただけのワイヤ片又は繊維片7は、有利には約5つまでの支持ポイントを備えた多角形に引かれた線(Polygonzuege)によって接近させられることができる。10のワイヤ片又は繊維片と36ビットの付加的なフォーメーション情報を仮定して、(40マイクロメータの精度に相当する)支持ポイントの座標毎のデータ量が9ビットの場合、ランダムパターン4を十分正確に記載するためには、単に117バイトの著しく僅かな全データ量しか生じない。
【0040】
択一的に、ワイヤ片又は繊維片をフリースに組み込んで、基体1に設けることも可能である。そのために始めに、着色されたフリースがその内部にある、有利には他の色のワイヤ片又は繊維片7と一緒に、例えば溶接によって製造され、このフリース片が基体1のマーク領域8に、例えば接着によって配置される。例えば、数千、有利には約5000の暗い又は黒い繊維(約20〜200mmの長さ、約10〜100μmの太さ、約5mmよりも大きな曲率半径)が、明るい又は白い繊維から成るフリース内に存在している。
【0041】
さらに択一的に、ワイヤ片又は繊維片7を、有利には透明な保持材料、例えばシート内に入れ、もしくはシートに混ぜて、基体1に設けることも可能である。例えば、シートのためのプラスチック顆粒にワイヤ片又は繊維片を混入し、この材料からシートを引出し、押出し又は注型によって形成することが可能である。この場合有利に、ワイヤ片又は繊維片を撒くこともしくは分散すること及び固定することを省くことができ、その代わりに本発明によって製造されたシートをマーク領域8において基体に装着するだけでよい。
【0042】
別の択一的な構成では、ワイヤ片又は繊維片7が、パッケージ、例えばプラスチックボトルのようなパッケージを形成する材料に直に装入され、その結果ランダムパターン4を、有利には単に局部的に、パッケージの材料内に再び見出すことができる。
【0043】
図2には、本発明によって製造された偽造防止マークの第2実施形態を示す図である。偽造防止マーク3は区分Aが拡大して示されている。この実施形態によれば繊維片7が、液体13と一緒にもしくは液体13内において(分かり易くするために部分的に、かつ線として示されている)、特に印刷インキ又はラッカによって基体1に書き写される。言い換えれば、有利には明るい印刷インキ又は透明なラッカに、印刷の前に、繊維片が混ぜられる。このようにして準備された液体によって、(相応な装置1による)別の印刷過程において暗号のランダムパターン4が印刷により生ぜしめられる。この際に使用される繊維片は、有利には、液体及び基体を形成する自色に対して、認識可能かつ良好なコントラストを有している。さらに繊維片は有利には蛍光特性を有しているので、UV光のもとでは、改善された検知が可能になる。
【0044】
使用される繊維片7は、ほぼ平滑な片であっても縮れた片であってもよい。さらに、分岐された単繊維片(典型的には天然繊維)を使用することも、又は実質的に分岐されていない単繊維片又は分岐された単繊維片から成る繊維複合体を使用することも可能である。
【0045】
印刷過程は有利にはフレキソ印刷版(Flexodruckform)14の使用下で、繊維片によって損なわれない、例えばアニロックスなし(rasterfrei)の、単純化されたインキング装置との関連において実施することができる。そして繊維片7の印刷(Verdrucken)によって、該繊維片のランダムな位置決め及び方向付けが保証される。
【0046】
図2に示された実施形態でも、ランダムパターン4の撮影及び暗号の評価は、消費者が原則的に誰でも利用できる汎用の技術、例えばカメラ付きのモバイル通信機器によって可能になる。両実施形態において特に、その都度生ぜしめられるランダムパターンを肉眼で認識することができ、その結果第1の真贋検査もしくは妥当性検査がいかなる技術的な補助手段なしでも可能であることは、共通である。さらに両実施形態において、その都度生ぜしめられたランダムパターンを簡単かつ安価に製造できること、及び各製造プロセスを既存の印刷プロセスもしくは印刷機に容易に組み込めることは、共通である。
【符号の説明】
【0047】
1 基体、 2 印刷された領域、 3 偽造防止マーク、 4 暗号のランダムパターン、 5 サイン、 6 フレーム、 7 ワイヤ片又は繊維片、8 マーク領域、 9 接着剤、 10 接着剤塗布装置、 11 ワイヤ片又は繊維片用の塗布装置、 12 ラッカ又はシートの塗布装置、 13 染料又はラッカ、 14 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな基体上に偽造防止マークを製造する方法であって、暗号のランダムパターン(4)を形成する粒子(7)を、基体(1)上に設ける形式の方法において、
フレキシブルなワイヤ片又は繊維片(7)を、偽造防止マーク(3)に対応するマーク領域(8)において、基体(1)上に設けることを特徴とする、平らな基体に偽造防止マークを製造する方法。
【請求項2】
平らな基体内に偽造防止マークを製造する方法であって、暗号のランダムパターン(4)を形成する粒子(7)を、基体(1)内に設ける形式の方法において、
フレキシブルなワイヤ片又は繊維片(7)を、偽造防止マーク(3)に対応するマーク領域(8)において、基体(1)内に設けることを特徴とする、平らな基体に偽造防止マークを製造する方法。
【請求項3】
プラスチック又は金属製のワイヤ片(7)、特に銅ワイヤ片(7)を基体(1)上にもしくは基体(1)内に設ける、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ワイヤ片又は繊維片(7)を、基体(1)の、接着剤(9)によって前処理されたマーク領域(8)上に、特に散布もしくはばらまきによって、設ける、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ワイヤ片又は繊維片(7)を保護層(13)、特にラミネート(13)によってカバーする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
繊維片(7)を液体(13)、特に印刷インキ(13)又はラッカ(13)と共に、基体(1)上にもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ワイヤ片又は繊維片(7)が少なくとも1つの湾曲部を有している、請求項1又は2記載の方法。
【請求項8】
着色された又は蛍光を発するワイヤ片又は繊維片(7)を、基体(1)上にもしくは基体(1)内に設ける、請求項1又は2記載の方法。
【請求項9】
ワイヤ片又は繊維片(7)をフリース又はシート内に装入してから、基体(1)上に設ける、請求項1記載の方法。
【請求項10】
偽造防止マークを備えた印刷製品であって、偽造防止マーク(3)が、基体(1)上に設けられていてランダムパターン(4)を形成するフレキシブルなワイヤ片又は繊維片(7)を有していることを特徴とする、偽造防止マークを備えた印刷製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−262559(P2009−262559A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98914(P2009−98914)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】