説明

平坦化層用硬化性樹脂組成物、平坦化層、平坦化層の製造方法及び固体撮像素子

【課題】固体撮像素子の平坦化層用の低屈折率硬化物及びマイクロレンズ用反射防止膜を与え、かつスピンコート法による塗布性に優れた光硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた、フレアの防止された固体撮像素子を提供する。
【解決手段】(A)特定構造を有する水酸基含有含フッ素重合体と(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸のハロゲン塩とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物、(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物を含有する低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦化層用硬化性樹脂組成物及びそれを硬化させてなる平坦化層及び前記平坦化層を含む固体撮像素子に関する。より詳細には、低屈折率で、スピンコート法による塗布性に優れる平坦化層用硬化性樹脂組成物及びそれを用いたフレア防止性に優れる平坦化層に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等のオンチップカラーフィルターの結像光学系あるいは光ファイバーコネクタの光学系材料として、3〜100μm程度のレンズ径を有するマイクロレンズ、又はそれらのマイクロレンズを規則的に配列したマイクロレンズアレイが使用されている。
【0003】
マイクロレンズは、外部からの光を、固体撮像素子等の感光部に集光する機能を有するレンズであるが、近年の素子の高集積化により、素子のサイズが小さくなっており、1つの素子に入射する光量は減少する傾向にある。そのため、素子に入射する光を損失なく感光部に集光させること(集光率の向上)が課題となっている。
【0004】
さらに、従来の低屈折率層形成用のフッ素材料では、塗布したときのハジキ、ムラ等により膜厚ムラが生じ、均一な画像が得られないという問題があった。また、固体撮像素子等のマイクロレンズでは、カメラレンズから入射する光の強度が大きいと、カメラレンズ、リッドガラスを透過した光の一部が、カラーフィルタ表面で反射し、その光がリッドガラスで再度反射して固体撮像素子に入り、映像に映る、フレアという現象が生じることが問題となっている。
【0005】
上記問題に対して、固体撮像素子に平坦化層を設けることにより上記課題を解決しようとする技術が知られている(特許文献1〜3)。固体撮像素子に用いられる平坦化層としては、集光用のマイクロレンズ間の受光部平坦化層(特許文献1)、光電変換を行う受光部の表面を平坦化する受光部平坦化層(特許文献3)、受光部平坦化層上に形成されるカラーフィルタ上に形成されるカラーフィルタ平坦化層(特許文献2)等が挙げられる。
しかし、平坦化層は液状硬化性樹脂組成物をスピンコート法等により塗布した後これを硬化せしめて製造されるものであるところ、従来の平坦化層に用いられた材料では、屈折率が十分に低くないため、フレアを効果的に防止することが困難であり、集光率を十分に向上させることができないという問題があった。また、液状組成物を塗布した際のハジキや塗布ムラを生じやすく、このため平坦化層の膜厚を均一にすることが困難であり、その結果、均一な光透過性を付与する上で問題があった。
【0006】
本願出願人は、フレアを効果的に防止することができ、かつ平坦化層の膜厚を均一にすることが可能な熱硬化性の平坦化層用硬化性樹脂組成物を開発し、特許出願を行っている(特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】特開平06−232379号公報
【特許文献2】特開平06−204441号公報
【特許文献3】特開2001−308300号公報
【特許文献4】特開2006−96983号公報
【特許文献5】特開2006−199902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4で開示した熱硬化性の平坦化層用硬化性樹脂組成物は、水酸基含有含フッ素重合体とメラミン化合物を用いたものであるが、これを、厳しい湿熱条件に曝される車載用のデバイス等に用いた場合、平坦化層にスポット(穴)が生じ、その部分の画像が見えなくなるという不都合が生じる場合があることを本発明者らは見出した。
また、特許文献5で開示した放射線硬化性の平坦化層用硬化性樹脂組成物は、水酸基含有含フッ素重合体と、イソシアネート基とエチレン性不飽和基とを有する化合物を反応して得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体からなり、厳しい湿熱条件にさらされてもスポットを生じないが、極度の高温条件下では膜減りが生じる場合があることを本発明者らは見出した。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、固体撮像素子の平坦化層用の低屈折率硬化物を与え、スピンコート法による塗布性に優れ、かつ耐熱性、耐湿熱性にも優れた硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた、フレアの防止された固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、ウレタン基を介さずにエチレン性不飽和基を有する特定の構造を有する含フッ素重合体を用いることで光硬化性とし、UV硬化性、耐湿熱性、耐熱性に優れ、かつ低屈折率の膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明によれば、以下に示す平坦化層用光硬化性樹脂組成物、それを硬化させてなる平坦化層、平坦化層の製造方法及びその平坦化層を含む固体撮像素子が提供される。
1.下記成分(A)〜(C):
(A)下記構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c’)とを含んでなる水酸基含有含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸のハロゲン塩とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b−1)下記式(2−1)で表される構造単位。
(b−2)下記式(2−2)で表される構造単位。
(c’)下記式(3’)で表される構造単位。
【化8】

[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【化9】

[式(2−1)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、nは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
【化10】

[式中、Rは式(2−1)で定義した通りであり、R24はフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す]
【化11】

[式(3’)中、R6は水素原子又はメチル基を、vは0又は1の数を、R27は下記式(3’−a)又は(3’−b)
【化12】

(式(3’−a)及び(3’−b)中、Rは水素原子又はメチル基であり、kは1〜6である)を示す]
(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
を含有する低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
2.さらに、前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中に、下記式(4)で表される構造単位(d)を0.1〜10質量%含有する、上記1に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
構造単位(d):
【化13】

[式中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
3.さらに、前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中に、下記式(5)で表される構造単位(e)を1〜15質量%含有する、上記1又は2に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
構造単位(e):
【化14】

[式中、R18は乳化作用を有する基を示す]
4.前記(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である上記1〜3のいずれかに記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
5.さらに、(D)有機溶剤を含有する上記1〜4のいずれかに記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
6.上記1〜5のいずれかに記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜。
7.上記1〜5のいずれかに記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法により塗布して該組成物の塗布膜を形成した後に、加熱又は放射線を照射して該塗布膜を硬化せしめる工程を有する硬化膜の製造方法。
8.上記6に記載の硬化膜からなる平坦化層。
9.少なくとも基材層、上記8に記載の平坦化層、マイクロレンズを含む固体撮像素子。
10.上記6に記載の硬化膜からなる低屈折率層を有する反射防止膜。
11.マイクロレンズ用である上記10に記載の反射防止膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、低屈折率で、スピンコート法による塗布性に優れている。本発明の光硬化性樹脂組成物は、塗布したときのハジキ、塗布ムラが生じないため、塗布均一性が良く、従って、本発明の組成物を硬化させてなる硬化物は均一な画像を与えることができる。また、均一に塗布することができるため、本発明の平坦化層を含む固体撮像素子等の歩留まりの向上が図れる。
【0012】
上記本発明の平坦化層を含む、本発明の固体撮像素子は、固体撮像素子等のマイクロレンズで問題となるフレアが効果的に防止されている他、従来よりも屈折率の低い平坦化層が得られるため集光率が向上している。
さらに、本発明の平坦化層は、耐湿熱性、耐熱性にも優れているため、厳しい湿熱条件に曝される車載用デバイス等に用いた場合にもスポットが発生することなく、信頼性の高い固体撮像素子を提供できる。
【0013】
本発明の光硬化性樹脂組成物に用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、フッ素含量が高いため、従来よりもさらに低屈折率とすることができる。本発明の組成物をマイクロレンズ上に塗布、硬化させることによって形成されたマイクロレンズ用反射防止膜は、マイクロレンズとの屈折率差に起因するレンズ表面での光の反射を効果的に抑制できるため、マイクロレンズの光線透過率を向上させることができる。このため、固体撮像素子等の感光部に入射する光量を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、一般に、固体撮像素子1は、CCD基板2上に設けられたフォトダイオード3、ハレーション防止層4、カラーレジスト層5、平坦化層6及びマイクロレンズ7を有している。平坦化層6は、本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜からなる。
ここで、本発明でいう、「平坦化層」とは、図1に示すようなマイクロレンズ7とカラーレジスト層5の間に設けられるもの(6a;カラーフィルタ平坦化層ともいう。)のみでなく、図2(a)に示すようなマイクロレンズ7を覆う形態のもの(6b;マイクロレンズ間の受光部平坦化層ともいう)、図2(b)に示すようなハレーション防止層4とカラーレジスト層との間に設けられるもの(6c;受光部平坦化層ともいう)をも含む概念である。
【0015】
本発明のマイクロレンズ用反射防止膜は、図3に示すように、少なくともマイクロレンズ24表面に、本発明の組成物から得られた硬化膜である低屈折率膜22を有する反射防止膜20である。低屈折率層22は、本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜からなる。
尚、本発明において、マイクロレンズとは、マイクロレンズアレイ(マイクロレンズを複数形成した基板)を含む意味で使用している。
【0016】
I.光硬化性樹脂組成物
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下、本発明の組成物ということがある)は、(A)特定構造を有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物及び活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物を必須成分として含有する。以下、各成分について説明する。
【0017】
(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A)は、フッ素系オレフィンの重合物である。(A)成分により本発明の組成物は低屈折率、防汚性、耐薬品性、耐水性等の反射防止膜用低屈折率材料としての基本性能を発現する。
(A)成分は、側鎖水酸基が(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸のハロゲン塩で変性されている。このような変性により、重合性基を有する後述する成分(B)(メタ)アクリル化合物と共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
【0018】
本発明で用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、下記構造単位を有する水酸基含有含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸のハロゲン塩(以下、(メタ)アクリル酸等ということがある)とを反応させて得られる。
【0019】
水酸基含有含フッ素重合体と反応させる(メタ)アクリル酸のハロゲン塩としては、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミド等が挙げられ、アクリル酸クロリドが好ましい。
【0020】
(2)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)とを含んでなる。
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b−1)下記式(2−1)で表される構造単位。
(b−2)下記式(2−2)で表される構造単位。
(c)下記式(3)で表される構造単位。
【0021】
【化15】

[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【0022】
【化16】

[式(2−1)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、nは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
【0023】
【化17】

[式中、Rは式(2−1)で定義した通りであり、R24はフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す]
【0024】
【化18】

[式(3)中、R6は水素原子又はメチル基を、R7は水素原子又は−(CH−OH基(kは1〜6の数を示す)を、vは0又は1の数を示す]
【0025】
(i)構造単位(a)
上記式(1)において、R1及びR2のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0026】
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0027】
尚、構造単位(a)の含有率は、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、20〜70モル%である。この理由は、含有率が20モル%未満になると、本願が意図するところのフッ素含有材料の光学的特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0028】
(ii)構造単位(b−1)
式(2−1)において、R4又はR5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
【0029】
構造単位(b−1)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルもしくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0030】
尚、構造単位(b−1)の含有率は、構造単位(a)と、(b−1)と、(c)との合計を100モル%としたときに、10〜70モル%である。この理由は、含有率が10モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b−1)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)と、(c)との合計を100モル%としたときに、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
【0031】
(iii)構造単位(b−2)
また、本発明の共重合体において構造単位(b−1)の代わりに(b−2)を用いることができる。構造単位(b−2)は、式(2−2)で示されるビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の具体例としては、以下の構造式を有するものが挙げられる。
【化19】

(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、xは0〜2の数を表す。また、上記式中、芳香環の中にFと記した基は、5つの水素の全てがフッ素原子で置換されていることを示す。)
【0032】
尚、構造単位(b−2)の含有率は、構造単位(a)と、(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、10〜70モル%である。この理由は、含有率が10モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b’)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)と、(c)との合計を100モル%としたときに、20〜60モル%とすることがより好ましく、30〜60モル%とすることがさらに好ましい。
【0033】
(iv)構造単位(c)
式(3)において、R7のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基が挙げられる。
【0034】
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0035】
尚、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、5〜70モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計を100モル%としたときに、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
【0036】
(v)構造単位(d)及び構造単位(e)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
【0037】
(d)下記式(4)で表される構造単位。
【化20】

[式(4)中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
【0038】
式(4)において、R8又はR9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
【0039】
構造単位(d)は、前記式(4)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化21】

[式(5)中、R10〜R13は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R14〜R17は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、p、qは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数、zは1〜20の数を示す。]
【0041】
式(5)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。
【0042】
(e)下記式(6)で表される構造単位。
【化22】

[式(6)中、R10〜R13、R14〜R17、p、q、s、t及びyは、上記式(5)と同じである。]
【0043】
式(5)、(6)において、R10〜R13のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R14〜R17のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
【0044】
本発明において、上記式(5)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記式(7)で表される化合物が特に好ましい。
【0045】
【化23】

[式(7)中、y及びzは、上記式(5)と同じである。]
【0046】
尚、構造単位(d)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜10モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が10モル部を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜5モル部とするのがより好ましく、0.1〜3モル部とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
【0047】
(v)構造単位(f)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
【0048】
(f)下記式(8)で表される構造単位。
【化24】

[式(8)中、R18は乳化作用を有する基を示す]
【0049】
式(8)において、R18の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。具体的には旭電化工業製アデカリアソープNE−30、ER−30などが挙げられる。
【0050】
尚、構造単位(f)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜5モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部以上になると、水酸基含有含フッ素重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が5モル部以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c)との合計100モル部に対して、0.1〜3モル部とするのがより好ましく、0.2〜3モル部とするのがさらに好ましい。
【0051】
(vi)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
【0052】
(3)反応モル比
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、水酸基含有含フッ素重合体と(メタ)アクリル酸等とを、(メタ)アクリロイル基/水酸基のモル比が0.5〜1.5の割合で反応させるのが好ましい。この理由は、モル比が0.5未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.5を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、(メタ)アクリロイル基/水酸基のモル比を、0.6〜1.4とするのが好ましく、0.8〜1.3とするのがより好ましい。
【0053】
(2)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造方法の詳細
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造方法は、
(1)前述の水酸基含有含フッ素重合体(ただし、前記構造単位(a)、(b−1)又は(b−2)及び(c)の合計100モル%に対する構造単位(c)の割合は、5〜70モル%の範囲内である。)を有機溶剤に溶解して、5質量%以上の濃度の該水酸基含有含フッ素重合体の溶液を得る工程、及び
(2)該水酸基含有含フッ素重合体の溶液と、アクリル酸又はアクリル酸のハロゲン塩とを、塩基性化合物の存在下で混合して、前述のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を合成する工程
を含む。
水酸基含有含フッ素重合体エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体水酸基含有含フッ素重合体
【0054】
以下、各工程について説明する。
工程(1):
工程(1)に用いられる有機溶剤(以下、「有機溶剤1」という。)としては、水酸基含有フッ素共重合体とアクリル酸及びアクリル酸のハロゲン化物との反応に影響を与えない性質を有していれば特に限定されないが、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルアミルケトン、アセトン、酢酸ブチル及び酢酸エチル等が好ましい。これらの有機溶剤1は、一種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
上記溶液中の水酸基含有含フッ素重合体の濃度は、5質量%以上であることが好ましい。その理由は、5質量%未満では、後述の工程(2)においてアクリル酸等との反応性が低下するためである。また、濃度の上限は、水酸基含有含フッ素重合体の溶解性により自ずから定まるが、通常は、30質量%程度である。
【0056】
工程(2):
水酸基含有含フッ素重合体とアクリル酸又はアクリル酸のハロゲン塩(本明細書で、「アクリル酸等」ともいう。)とを反応させる工程である。詳細には、水酸基含有含フッ素重合体中の構造単位(c)の水酸基とアクリル酸又はアクリル酸のハロゲン塩が反応して、下記構造単位(c’)となる。アクリル酸のハロゲン塩としては、アクリル酸クロライドが好ましい。
【0057】
【化25】

[式(3’)中、R6は水素原子又はメチル基を、vは0又は1の数を、R27は下記式(3’−a)又は(3’−b)
【0058】
【化26】

(式(3’−a)及び(3’−b)中、Rは水素原子又はメチル基であり、kは1〜6である)を示す]
【0059】
この反応は、塩基性化合物を触媒として行われる。塩基性化合物の具体例としては、アクリル酸との反応の場合には、硫酸やp−トルエンスルホン酸等の強酸が好ましく、アクリル酸のハロゲン塩との反応の場合には、ジメチルアニリンやジエチルアミン等が好ましい。
【0060】
具体的には、工程(1)で得られた水酸基含有含フッ素重合体の溶液にアクリル酸等と塩基性化合物を添加して、120〜130℃で4〜8時間撹拌しつつ、反応させる。反応中は、例えばディーンスターク管等を用いて脱水することが好ましい。
アクリル酸等の添加量は、水酸基含有含フッ素重合体中に含まれる構造単位(b)のモル数に対して、5〜120モル%であり、塩基性化合物の添加量は、水酸基含有含フッ素重合体中に含まれる構造単位(b)のモル数に対して、5〜120モル%である。
【0061】
工程(2)の条件における、アクリル酸等の付加率は、アクリル酸の場合には、通常、5〜60モル%であり、好ましくは、30〜60モル%である。アクリル酸のハロゲン塩の場合には、通常、5〜100モル%であり、好ましくは、30〜95モル%である。ここで、アクリル酸等の付加率とは、水酸基含有含フッ素重合体中の構造単位(c)の全量を100モル%として、アクリル酸等との反応により得られた構造単位(c’)のモル%をいう。付加率が5モル%未満となると、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のアクリロイル基の量が低いため、光硬化性が低下し、ひいては、低屈折率材料としての耐擦傷性が低下する場合がある。一方、付加率の上限値は、アクリル酸又はアクリル酸のハロゲン塩を用いる各方法の限界値として定まる。
【0062】
工程(3):
反応終了後、アンモニア等の塩基を添加して、反応液のpHをほぼ中性とする。例えば、pH6〜7が好ましい。
【0063】
工程(4):
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体が生成している反応液を、前述の有機溶剤1と異なる、有機溶剤1との相溶性の低い有機溶剤2に添加し、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を析出させ、析出物を回収する。さらに、得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体を、再び有機溶剤1に溶解してもよい。このとき、例えば硫酸マグネシウム等の脱水剤を用いて、溶液中の水分を除去することが好ましい。
【0064】
得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、前述の水酸基含有含フッ素重合体を出発原料として製造されるため、水酸基含有含フッ素重合体と同様に構造単位(d)、構造単位(e)等を含有することができる。
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中における構造単位(d)の含有率は、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.1〜5質量%とすることがさらに好ましい。この理由は、水酸基含有含フッ素重合体における構造単位(d)の含有量と同様である。
また、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中における構造単位(e)の含有率を、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の全体量を100質量%としたときに、1〜15質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とするのがより好ましく、3〜7質量%とするのがさらに好ましい。この理由は、水酸基含有含フッ素重合体における構造単位(d)の含有量と同様である。
さらに、水酸基含有含フッ素重合体と同様に、上記構成単位(a)〜(e)の他に、各種官能基を含有する単量体を共重合することにより官能基を有する含フッ素共重合体を得ることができる。エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の分子量についても、前記水酸基含有含フッ素重合体と同様である。
【0065】
本発明の組成物中における成分(A)の添加量は、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%としたときに、通常、50〜98質量%、好ましくは60〜98質量%、より好ましくは70〜96質量%の範囲内である。成分(A)の添加量が50質量%未満であると、得られる屈折率が大きくなりフレアの防止や集光効率向上の効果が発現しないおそれがあり、99質量%を超えると、硬化性樹脂組成物が硬化しないおそれがある。
【0066】
(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
2個以上の重合性不飽和基を有する化合物は、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の硬度を高めるために用いられる。
【0067】
この化合物については、分子内に2個以上の重合性不飽和基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0068】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等を例示することができる。これらの多官能性モノマーの市販品としては、例えば、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700(以上、大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−526、HDDA、NPGDA、TPGDA、MANDA、R−551、R−712、R−604、R−684、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、DPHA、DPHA−2H、DPHA−2C、DPHA−2I、D−310、D−330、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、T−1420、T−2020、T−2040、TPA−320、TPA−330、RP−1040、RP−2040、R−011、R−300、R−205(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(以上、東亞合成(株)製)、ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(以上、共栄社化学(株)製)、ニューフロンティアBPE−4、BR−42M、GX−8345(以上、第一工業製薬(株)製)、ASF−400(以上、新日鐵化学(株)製)、リポキシSP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(以上、昭和高分子(株)製)、NKエステルA−BPE−4(以上、新中村化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0069】
尚、本発明の組成物には、これらのうち、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物がさらに好ましい。かかる3個以上の化合物としては、上記に例示されたトリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ペンタ(メタ)アクリレート化合物、ヘキサ(メタ)アクリレート化合物等の中から選択することができ、これらのうちジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。上記の化合物は、各々1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
また、これら(メタ)アクリレート化合物はフッ素を含んでいてもよい。このような化合物の例として、パーフルオロ―1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタン―1,6−ジ(メタ)アクリレート、オクタフルオロオクタンジオールと2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートとの付加物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0071】
(B)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤を除く組成物全量を100質量%として、通常、1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲内である。この理由は、添加量が1質量%未満となると、本発明の組成物の硬化が不十分となり硬化膜の耐熱性が得られないおそれがあり、一方、添加量が20質量%を超えると、組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、目的とする低屈折率の平坦化層が得られない場合があるためである。
【0072】
(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物は、本発明の組成物を効率よく硬化させるために用いる。
【0073】
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型である点で、紫外線を使用することが好ましい。
【0074】
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
【0075】
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
【0076】
本発明の組成物中における成分(C)の添加量は特に制限されるものではないが、溶剤を除く組成物全量を100質量%としたときに、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜18質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲内である。成分(C)の添加量が0.1質量%未満となると、硬化反応が不十分となるおそれがあるためである。一方、添加量が20質量%を超えると、硬化物の屈折率が増加し目的とする低屈折率の平坦化層が得られないおそれがあるためである。
【0077】
(D)有機溶剤
本発明の組成物には、必要に応じて有機溶剤を添加することができる。本発明で用いる有機溶剤は特に限定されないが、本発明の組成物の溶剤は、通常、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造又は精製に用いた溶剤をそのまま使用してもよいし、本発明の組成物の塗布性等を改善すること、その他の目的で、別途溶剤を添加し、配合することができる。
本発明の組成物に含有される好ましい溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類を挙げることができる。さらに、本発明の組成物の溶液には、フッ素含有オレフィン系重合体を溶解し得ない溶剤、例えば、水、アルコール類、エーテル類等の貧溶剤を、フッ素含有オレフィン系重合体が析出しない範囲で併用することができる。これにより、当該フッ素含有オレフィン系重合体の溶液が、良好な保存性と好ましい塗布性を有するものとなる場合がある。このような貧溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等を挙げることができる。
【0078】
本発明の組成物中における有機溶剤の配合量は、特に制限されず、用途に応じて適宜決定すべきであるが、本発明の組成物中の固形分全量100質量部に対して、通常100〜100、000質量部、好ましくは100〜50,000質量部、より好ましくは100〜20,000質量部の範囲内である。
【0079】
尚、平坦化層を形成する場合には、本発明の組成物の固形分濃度は高い方が好ましい。この場合の好ましい固形分濃度としては、通常10〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。固形分濃度が10質量%未満であると、平坦化層とならず下層の形状を追随してしまうおそれがあり、一方、50質量%を超えると、塗膜の液安定性が低下するおそれがある。
【0080】
(E)1個の重合性不飽和基を有する化合物
本発明の組成物には、上記成分の他に、1個の重合性不飽和基を有する化合物を添加してもよい。重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物としては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(15)で表される化合物等が挙げられる。
【0081】
CH=C(R26)−COO(R27O)−Ph−R28 (15)
(式中、R26は水素原子又はメチル基を示し、R27は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R28は水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、Phはフェニレン基を示し、dは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す。)
【0082】
これらの市販品としては、アロニックス M−101、M−102、M−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亜合成(株)製);ビスコート LA、STA、IBXA、2−MTA、#192、#193(大阪有機化学(株)製);NK エステル AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G(以上、新中村化学工業(株)製);ライトアクリレート L−A、S−A、IB−XA、PO−A、PO−200A、NP−4EA、NP−8EA(以上、共栄社化学(株)製);FA−511、FA−512A、FA−513A(以上、日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0083】
また、これら(メタ)アクリレート化合物はフッ素を含んでいてもよい。このような化合物の例として、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレート等が挙げられる。
【0084】
(F)添加剤
本発明の組成物には、当該組成物の塗布性及び硬化後の薄膜の物性の改善や、塗膜に対する感光性の付与等を目的として、例えば、顔料又は染料等の着色剤、老化防止剤や紫外線吸収剤等の安定化剤、界面活性剤、重合禁止剤、溶剤等の各種の添加剤を含有させることができる。
【0085】
(ii) 顔料又は染料等の着色剤
本発明の組成物に配合することができる着色剤としては、例えば、(1)アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウム等の体質顔料;(2)亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラック等の無機顔料;(3)ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料;(4)マゼンタ、ローダミン等の塩基性染料;(5)ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジ等の直接染料;(6)ローセリン、メタニルイエロー等の酸性染料;その他を挙げることができる。
【0086】
(iii) 老化防止剤、紫外線吸収剤等の安定化剤
本発明の組成物に配合することができる老化防止剤、紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができる。
老化防止剤の具体例としては、例えば、ジ−tert−ブチルフェノール、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、ジフェニルアミン類、フェニレンジアミン類、フェノチアジン、メルカプトベンズイミダゾール等を挙げることができる。
【0087】
また、紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレートに代表されるサリチル酸系紫外線吸収剤、ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の各種プラスチックの添加剤として使用される紫外線吸収剤を利用することができる。
【0088】
(vi) 界面活性剤
本発明の組成物には、当該硬化性樹脂組成物の塗布性を改善する目的で界面活性剤を配合することができる。この界面活性剤としては、公知のものを使用することができ、具体的には、例えば、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を利用することができるが、特に、硬化膜が優れた強度を有し、しかも良好な光学特性を有するものとするために、カチオン系界面活性剤を用いることが好ましい。さらには、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、その中でも第4級ポリエーテルアンモニウム塩を用いると、埃拭き取り性がさらに改善される点で特に好ましい。第4級ポリエーテルアンモニウム塩であるカチオン系界面活性剤としては、旭電化工業社製アデカコールCC−15、CC−36、CC−42等が挙げられる。界面活性剤の使用割合は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下である。
【0089】
(vii) 重合禁止剤
本発明の組成物に配合することができる熱重合禁止剤としては、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4′−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ジフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン等を挙げることができる。この熱重合禁止剤は、本発明の組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下で用いられる。
【0090】
上記のようにして得られた本発明の組成物は塗布均一性が良いため、ハジキ、塗布ムラ等が無く、特にスピンコート法による塗布性に優れている。
【0091】
次に、本発明の組成物の調製方法を説明する。
本発明の組成物は、上記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、上記(B)成分、及び上記(C)成分及び必要に応じて(D)有機溶剤、(E)成分、及び(F)添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
【0092】
II.硬化膜及びその製造方法
本発明の硬化膜は、上記本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させてなり、通常、屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)が1.3〜1.5、好ましくは1.3〜1.45の範囲内である。屈折率が前記範囲であれば、固体撮像素子の平坦化層として用いた場合、フレアが有効に防止され、集光率が向上し、マイクロレンズ用反射防止膜として用いた場合には、高い反射防止効果が得られる。
【0093】
本発明の硬化膜は、上記本発明の組成物をコーティングした後、これを硬化させて形成される。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、ダイコート法、スリットコート法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができるが、スピンコート法が均一な硬化膜が得られ易い点で優れている。
【0094】
本発明の組成物の硬化条件については特に制限されるものではないが、例えば活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、このような理由により、露光量を0.05〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.1〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
さらに酸素による重合阻害を防ぐために硬化雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることが望ましい。不活性ガスとは、ヘリウム、アルゴン、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。これらの不活性ガスの雰囲気としては、残存酸素濃度が5000ppm以下となることが好ましく、さらに好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。残存酸素濃度が5000ppmを超えると硬化不良が生じることがある。
【0095】
また、本発明の組成物を、加熱して硬化させる場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、5〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
本発明の硬化膜は、屈折率が非常に低く、かつ耐擦傷性に優れている。
【0096】
III.平坦化層
本発明の平坦化層、特に、上記本発明の組成物で、図2(b)に示すようにハレーション防止層とカラーレジスト層との間に低屈折率の平坦化層6cを設けることにより、固体撮像素子等のマイクロレンズで問題となるフレアを効果的に防止することができる。
【0097】
IV.固体撮像素子
本発明の固体撮像素子は、少なくとも基材層、前記本発明の平坦化層及びマイクロレンズを含む。
前述したように、本発明の平坦化層は、(1)マイクロレンズとカラーレジスト層の間に設けられるもの(カラーフィルタ平坦化層)のみでなく、(2)マイクロレンズを覆う形態のもの(マイクロレンズ間の受光部平坦化層)、(3)ハレーション防止層とカラーレジスト層との間に設けられるもの(受光部平坦化層)の全てを含む。
【0098】
上記(1)の位置に平坦化層を設けることは従来から知られており、この位置に平坦化層を設けることにより、集光率の向上という効果が得られる。
上記(2)の位置に平坦化層を設けることにより、フレアを防止することができる。
上記(3)の位置に平坦化層を設けることにより、集光率の向上という効果が得られる。
【0099】
本発明の固体撮像素子を構成するマイクロレンズとしては、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等オンチップカラーフィルターの結像光学系あるいは光ファイバーコネクタの光学系等に、一般的に使用されているものであれば、問題なく使用できる。マイクロレンズの製造法としては、例えば、イオン交換法による分布屈折率型平板マイクロレンズを作る方法、感光性ガラスによる凸型マイクロレンズを作る方法、半導体集積回路用ポジ型フォトレジスト等を用いてメルトフロー法による作製法やメルトフローさせた感光性樹脂をマスクにしてドライエッチングにより下地にレンズ形状を転写させる方法等がある。
【0100】
本発明の固体撮像素子を製造する方法について説明する。
本発明の固体撮像素子におけるマイクロレンズを形成する方法について述べる。マイクロレンズ作製用のアルカリ可溶性樹脂を含む放射線硬化性樹脂組成物は、下地基板表面に塗布し、プレベークにより溶媒を除去することによって塗膜とすることができる。塗布方法として、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法等の各種の方法を採用することができる。また、プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常70〜90℃で1〜15分間程度の条件が最適である。次にプレベークされた塗膜に所定パターンマスクを介して紫外線等の放射線を照射し、さらにアルカリ現像液により現像し、不要な部分を除去して所定パターンを形成する。現像方法は液盛り法、ディッピング法、シャワー法等のいずれでもよく、現像時間は通常30〜180秒間である。
【0101】
上記現像液としては、アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン類;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の環状3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリン等の芳香族3級アミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩の水溶液を使用することができる。また上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒及び/又は界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0102】
現像後、流水洗浄を30〜90秒間行い、不要な部分を除去し、さらに圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、パターンが形成される。形成されたパターンに紫外線等の放射線を照射し、その後このパターンを、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、所定温度、例えば150〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では30〜90分間加熱処理をすることにより、目的とするマイクロレンズであるパターン状塗膜を得ることができる。
【0103】
高屈折率材料や低屈折率材料から、それぞれ高屈折率膜や低屈折率膜を形成する場合、マイクロレンズに対してコーティングすることが好ましい。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、スピンコート法又はインクジェット法等の方法を用いることができる。このなかで、スピンコート法やディッピング法が均一な硬化膜が得られやすい点で優れている。
【0104】
また、高屈折率材料や低屈折率材料を硬化する手段も特に制限されないが、例えば、加熱することが好ましい。その場合、30〜200℃で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、マイクロレンズや形成される反射防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた反射防止用積層体を得ることができる。好ましくは、50〜180℃で、2〜120分間、より好ましくは、80〜150℃で、5〜60分間加熱する。
尚、高屈折率材料や低屈折率材料の硬化程度は、例えば、硬化性化合物としてメラミン化合物を用いた場合は、メラミン化合物のメチロール基又はアルコキシ化メチル基の量を赤外分光分析したり、又は、ゲル化率を、ソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
【0105】
V.反射防止膜
本発明の反射防止膜(以下、本発明の反射防止膜という)は、スピンコート性にすぐれているため、特に、マイクロレンズ用反射防止膜として好適に用いることができる。本発明のマイクロレンズ用反射防止膜は、図3に示すようにマイクロレンズ24表面に、本発明の組成物から得られた硬化膜である低屈折率膜22を有する反射防止膜20である。
【0106】
低屈折率膜における屈折率(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)は、低い程、高屈折率膜と組み合わせた場合に優れた反射防止効果が得られる。低屈折率膜の屈折率は、高屈折率膜の屈折率よりも小さく、具体的には、1.50未満とするのが好ましい。屈折率が1.45を超えると、高屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合がある。低屈折率膜の屈折率は、より好ましくは1.45以下であり、さらに好ましくは1.43以下である。
また、低屈折率膜を複数設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していればよい。従って、その他の低屈折率膜は1.50を超える場合があってもよい。
【0107】
また、低屈折率膜の厚さについても特に制限されないが、例えば、50〜300nmが好ましい。低屈折率膜の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率膜に対する密着性が低下する場合がある。一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて、反射防止効果が低下する場合がある。低屈折率膜の厚さは、50〜250nmがより好ましく、60〜200nmがさらに好ましい。
尚、より高い反射防止性を得るために、低屈折率膜を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計の厚さを50〜300nmとすればよい。
【0108】
本発明の反射防止膜が形成されるマイクロレンズとしては、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等オンチップカラーフィルターの結像光学系あるいは光ファイバーコネクタの光学系等に、一般的に使用されているものであれば、問題なく使用できる。マイクロレンズの製造法としては、例えば、イオン交換法による分布屈折率型平板マイクロレンズを作る方法、感光性ガラスによる凸型マイクロレンズを作る方法、半導体集積回路用ポジ型フォトレジスト等を用いてメルトフロー法による作製法やメルトフローさせた感光性樹脂をマスクにしてドライエッチングにより下地にレンズ形状を転写させる方法等がある。
【0109】
高屈折率材料や低屈折率材料から、それぞれ高屈折率膜や低屈折率膜を形成する場合、マイクロレンズに対してコーティングすることが好ましい。このようなコーティング方法としては、ディッピング法、スプレー法、スピンコート法又はインクジェット法等の方法を用いることができる。このなかで、スピンコート法やディッピング法が均一な硬化膜が得られやすい点で優れている。
【0110】
また、高屈折率材料や低屈折率材料を硬化する手段も特に制限されないが、例えば、加熱することが好ましい。その場合、30〜200℃で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、マイクロレンズや形成される反射防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた反射防止用積層体を得ることができる。好ましくは、50〜180℃で、2〜120分間、より好ましくは、80〜150℃で、5〜60分間加熱する。
尚、高屈折率材料や低屈折率材料の硬化程度は、例えば、硬化性化合物としてメラミン化合物を用いた場合は、メラミン化合物のメチロール基又はアルコキシ化メチル基の量を赤外分光分析したり、又は、ゲル化率を、ソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
【0111】
本発明のマイクロレンズ用反射防止膜は、図3に示す低屈折率膜の他に、各種機能層を含んでいてもよい。例えば、図4に示すように、マイクロレンズ24と高屈折率膜21との間にハードコート層23を介在させてもよい。即ち、マイクロレンズ24上に、ハードコート層23と、高屈折率膜21と、低屈折率膜22とを順次に含む反射防止膜20としてもよい。この場合高屈折率層21を設けることで反射率をさらに低減することができる。また、ハードコート層23を介在させることにより、高屈折率膜21のマイクロレンズ24に対する密着性をより向上させることができる。また、ハードコート層23の機械的特性により、反射防止膜20の耐久性をより向上させることができる。さらに、図5に示すようにハードコート層を設けず、低屈折率層22と高屈折率膜21とで反射防止膜を形成することもできる。この場合、高屈折率膜21がハードコート層の機能を担保しているため、反射防止膜20の構成がシンプルとなり、生産プロセスの簡略化と低コスト化が可能になる。
【0112】
以下、反射防止膜における高屈折率層とハードコート層について説明する。
また、高屈折率膜を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率膜と低屈折率膜との間の屈折率差を0.05以上とするのが好ましい。屈折率差が0.05未満となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合がある。屈折率差は、0.1〜0.8がより好ましく、0.15〜0.7がさらに好ましい。
【0113】
次に、高屈折率膜及び低屈折率膜の厚さについて説明する。まず、高屈折率膜の厚さは特に制限されないが、例えば、50〜30,000nmが好ましい。高屈折率膜の厚さが50nm未満となると、低屈折率膜と組み合わせた場合に、反射防止効果やマイクロレンズに対する密着性が低下する場合がある。一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて、逆に反射防止効果が低下する場合がある。高屈折率膜の厚さは、50〜1,000nmがより好ましく、60〜500nmがさらに好ましい。
また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率膜を複数層設けて多層構造とすることもでき、この場合には、複数の高屈折率膜の合計の厚さを50〜30,000nmとすればよい。
尚、高屈折率膜とマイクロレンズとの間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率膜の厚さを50〜300nmとすることができる。
【0114】
ハードコート層は、例えば、SiO、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。
ハードコート層の厚さは特に制限されないが、具体的には、1〜50μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。厚さが1μm未満となると、反射防止膜のマイクロレンズに対する密着性を向上させることができない場合がある。一方、厚さが50μmを超えると、ハードコート層を、均一に形成するのが困難となる場合がある。
【実施例】
【0115】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。また、以下の説明において「部」及び「%」は、特に断らない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
【0116】
合成例1:水酸基含有含フッ素重合体(a−1)の製造
内容積3.0Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1500g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(FPVE)159.6g、エチルビニルエーテル151.2g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)79.2g、過酸化ラウロイル3.75g、NE−30を150g仕込み、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。次にヘキサフルオロプロピレン(HFP)を432.0g仕込み、昇温を開始した。70℃で20時間攪拌下に反応を継続後、オートクレーブを水冷し、反応を停止させた。反応液の温度が室温に達した後、オートクレーブを開放し、反応液を回収後、メタノール30kgに反応液を滴下した。沈殿物を取り出し、50℃にて減圧乾燥を行い、水酸基含有含フッ素重合体(a−1)を得た。
【0117】
合成例2:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体溶液(A−1)の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管、ガラス製滴下漏斗及び温度計を備えた容量5リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られた水酸基含有含フッ素重合体(a−1)300gと、溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)1500gを仕込み、室温で攪拌を行い、水酸基含有含フッ素重合体(a−1)を溶剤に溶解させた。次に、ジメチルアニリン36.1gを仕込み、室温で攪拌を行い、溶液が均一になったことを確認した。次にガラス製滴下漏斗を用い、アクリル酸クロリド26.9gを、室温で攪拌を行いながら滴下した。滴下終了後、乾燥空気下、室温で6時間反応させた後、系内の温度が40℃になるようオイルバスを用いて加温し、さらに5時間攪拌した。室温まで冷却後、10%アンモニア水溶液を用いて系内を中和し、反応液のpHが6〜7であることを、pH指示薬を用いて確認した。得られた反応液をメタノール/水(混合質量比95/5)混合溶液20kgに滴下しポリマーを析出させた。析出したポリマーをMIBKに固形分濃度30質量%になるよう溶解させた後、無水硫酸マグネシウムにより系内の水分を除去後、ろ過を行い、固形分濃度30%のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体溶液(A−1)を得た。得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の組成分析を13C−NMRにより行い、アクリル酸クロリドの付加率は90%であった。
【0118】
合成例3:
水酸基含有含フッ素重合体(a−2)の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル400g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)53.2g、エチルビニルエーテル36.1g、ヒドロキシエチルビニルエーテル44.0g、過酸化ラウロイル1.00g、上記式(4−3)で表されるアゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)6.0g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)20.0gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
【0119】
次いでヘキサフルオロプロピレン120.0gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度26.4%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体(a−2)を得た。
【0120】
合成例4:
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−2)の合成
合成例3で得られた水酸基含有含フッ素重合体(a−2)を50.0g、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK148.6g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを13.7g、ジブチルチンジラウレート0.1gを用いて反応を行い、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−2)のMIBK溶液を得た。固形分含量を求めたところ、30質量%であった。
【0121】
<光硬化性樹脂組成物の製造>
実施例1
表1に示すように、合成例2で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体A−1のMIBK溶液を291.3g(固形分として8.7g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを9.7g、光開始剤2-メチル−1−〔4-(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907)を2.9g、MIBKを36g、乳酸エチル160gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、室温にて1時間攪拌し均一な硬化性樹脂組成物を得た。この溶液の固形分濃度を求めたところ、20重量%であった。
【0122】
実施例2〜8及び比較例1〜6
表1又は2の記載に従って各成分を配合した以外は実施例1と同様にして各光硬化性樹脂組成物を製造した。
【0123】
<平坦化膜の形成>
実施例1〜5及び比較例1〜3で得た光硬化性樹脂組成物を用い、次のようにして平坦化膜を形成、評価した。
硬化性樹脂組成物をガラス基板上及びシリコンウェハー上に1mL滴下し、300rpmで5秒、1500rpmで40秒スピンコートした。次いで窒素雰囲気下で高圧水銀灯により0.6mJ/cmで硬化させ、膜厚約1μmの塗膜を得た。
【0124】
<光硬化性樹脂組成物の平坦化膜の特性評価>
上記で得られた光硬化性樹脂組成物及び平坦化膜の特性を、下記項目について評価した。結果を表1に示す。
【0125】
(1)塗布性
各実施例及び比較例で調製した低屈折率の硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。得られた低屈折率膜を有する基板を以下の基準で目視評価した。
◎:基板全体に塗布ムラ、風紋、スジ等が全く無く、均一塗布されている。
○:基板のごく一部に塗布ムラ等があるものの全体的に均一に塗布されている。
△:基板の半分以上に塗布ムラ、風紋、スジがある。
×:基板全体に塗布ムラ、風紋、スジがある。
【0126】
(2)屈折率
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。
得られたシリコンウェハー上の各低屈折率硬化膜について、エリプソメーターを用いて、25℃での波長589nmにおける屈折率(n25)を測定した。
【0127】
(3)透明性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、ガラス基板上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。
○:全光線透過率が99%以上である。
×:全光線透過率が99未満である。
【0128】
(4)耐溶剤性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。得られた硬化膜をアセトンに23℃にて30分間浸漬した。水でリンスし乾燥した後の硬化膜の外観を目視にて観察し、初期と比較して変化があったものを×、変化がなかったものを○とした。
【0129】
(5)耐熱性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。
得られた塗膜にシリコンウェハー表面が露出するように傷を入れ、触針式段差計にて膜厚を測定した。ホットプレート上にて220℃、5分間加熱の後に膜厚を測定し、以下の基準で評価した。
○:加熱試験後の膜厚維持率が、98%を超える。
△:加熱試験後の膜厚維持率が、95%を超え、98%以下である。
×:加熱試験後の膜厚維持率が、95%以下である。
【0130】
(6)耐湿熱性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。得られた塗膜を、高度加速寿命試験機(エスペック社製EHS−211M)を用い、120℃、100%RH、96時間の条件にて湿熱試験を行なった。試験後の塗膜外観を以下の基準で評価した。
○:試験後に塗布欠陥が観察されない。
×:試験後に塗布欠陥が観察される。
【0131】
【表1】

【0132】
表1中の商品名は、下記のものを表す。
ビスコート4F:テトラフルオロプロピルアクリレート、大阪有機化学社製
SR399E:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、サートマー社製
サイメル303:ヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂(重合度:1.7)、日本サイテック社製
Irg.907:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
キャタリスト4050:p−トルエンスルホン酸アミン塩、日本サイテック社製
【0133】
表1の結果から、アクリルモノマーを用いた比較例1では、耐溶剤性以外の特性が劣っており、本発明の成分(A)とは異なる構造を有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−2)を用いた比較例2では、屈折率及び耐熱性に劣ることがわかる。また、メラミン樹脂を用いた比較例3は耐湿熱性が劣っている。これに対し、本発明の成分(A)である特定構造を有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−1)を用いた実施例1〜5では、全ての特性が優れていることがわかる。
【0134】
<マイクロレンズ上の反射防止膜の製造>
製造例1
[マイクロレンズ用アルカリ可溶性樹脂の合成(1)]
攪拌機、冷却管、窒素導入管及び温度計を装着したセパラブルフラスコにp−tert−ブトキシスチレン95g、スチレン5g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル10g、ジオキサン100gを仕込み、30分間窒素でパージした後、セパラブルフラスコを油浴に浸し、内温を80℃に保ち、攪拌しながら5時間重合を行い、樹脂を合成した。得られた樹脂溶液に7.2%塩酸水溶液60gを加え、80℃で3時間攪拌し、t−ブトキシ基の加水分解によりポリマーに水酸基を導入した。反応混合物をメタノール/水混合液(メタノール:水=2:8(容積比))に注ぎ、得られたスラリーをメタノール/水混合液で2回再沈精製した。50℃で12時間減圧乾燥させ、白色樹脂粉末を得た(以下、この樹脂を「樹脂A」と称する)。得られた樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)が10,000であった。
【0135】
製造例2
[マイクロレンズ用アルカリ可溶性樹脂の合成(2)]
製造例1と同様なセパラブルフラスコに、ブタジエン7.5g、メタクリル酸20.0g、メタクリル酸ジシクロペンタニル22.5g、メタクリル酸グリシジル50.0g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.0g、ジグライム250.0gを仕込み、30分間窒素でパージした後、セパラブルフラスコを油浴に浸し、内温を80℃に保ち、攪拌しながら4時間重合を行い、樹脂を合成した(以下、この樹脂を「樹脂B」と称する)。
【0136】
製造例3
[マイクロレンズ用感光性樹脂組成物の調製]
製造例1で得られた樹脂A100質量部に対して、製造例2で得られた樹脂B40.0質量部(固形分換算)、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル)との縮合物30.0質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート828(ジャパンエポキシレジン(株)製)30.0質量部、サイメル300(日本サイテック(株)製)10.0質量部、2−(4−メトキシ−β−スチリル)−ビス(4,6−トリクロロメチル)−S−トリアジン0.5質量部を混合し、全体の固形分濃度が32%になるように3−メトキシプロピオン酸メチル(MMP)で希釈・溶解させた後、孔径0.1μmのメンブランフィルターで濾過し、マイクロレンズ用感光性樹脂組成物を得た。
【0137】
製造例4
[マイクロレンズの作製]
製造例3で得られたマイクロレンズ用感光性樹脂組成物を石英基板に、2.5μmの膜厚になるようにスピンコートし、70℃にて3分間ホットプレート上でプレベークした。ニコン製NSR1755i7A縮小投影露光機(NA=0.50,λ=365nm)で露光を行った後、1.5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、1分間現像した。水でリンスし、乾燥して石英板上にパターンを形成した。得られたパターン付き石英板を10mW/cmの紫外線で60秒間照射した。その後ホットプレート上、150℃で10分間加熱してパターンをメルトフローさせマイクロレンズを形成した。
【0138】
<マイクロレンズ上の反射防止膜(低屈折率膜)の形成>
製造例4で得られたマイクロレンズ付き基板に、実施例6〜8及び比較例4〜6で得られた低屈折率の硬化性樹脂組成物を、スピンコート装置を用いて塗布した。当該硬化性樹脂組成物を基板上に1mL滴下し、300rpmで5秒、1000rpmで40秒でスピンコートした。次いで窒素雰囲気下で、高圧水銀灯1J/cmで硬化させ、膜厚約0.1μmの低屈折率硬化膜をマイクロレンズ上に形成した。
【0139】
<光硬化性樹脂組成物及びマイクロレンズ上の反射防止膜の特性評価>
上記で得られた光硬化性樹脂組成物及び反射防止膜の特性を、下記項目について評価した。結果を表2に示す。
【0140】
(1)塗布性
各実施例及び比較例で調製した低屈折率の硬化性樹脂組成物を、マイクロレンズ付き基板上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。得られた低屈折率膜を有するマイクロレンズ付き基板を以下の基準で目視評価した。
○:基板のごく一部に塗布ムラ等があるものの全体的に均一に塗布されている。
×:基板全体に塗布ムラ、風紋、スジがある。
【0141】
(2)屈折率
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。
得られたシリコンウェハー上の各低屈折率硬化膜について、エリプソメーターを用いて、25℃での波長589nmにおける屈折率(n25)を測定した。
【0142】
(3)反射防止性
反射防止膜付きマイクロレンズ基板の裏面を黒色スプレーで塗装し、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率をマイクロレンズ側から測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止膜の反射率を測定し、そのうち波長550nmにおける光の反射率から、反射防止性を、以下の基準で評価した。
◎:反射率が0.5%以下である。
○:反射率が0.5%を超え1.0%以下である。
△:反射率が1.0%を超え1.5%以下である。
×:反射率が1.5%を超える。
【0143】
(4)透明性
反射防止膜付きマイクロレンズ基板の濁度(Haze値)を、カラーヘイズメーターを用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:Haze値が2%以下である。
△:Haze値が2%を超え3%以下である。
×:Haze値が3%を超える。
【0144】
(5)基材密着性
反射防止膜付きマイクロレンズ基板上に6cmのセロハンテープを3cm(持ちしろ3cm)接着させ、手で瞬間的に剥がした。セロハンテープの剥離面を以下の基準で目視評価した。
○:変化なし。
△:一部に積層体の剥離が確認できる。
×:積層体が全体的に剥離している。
【0145】
(6)耐光性
反射防止膜付きマイクロレンズ基板の反射率を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)で測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における硬化膜の反射率を測定し、さらに硬化膜に対して、QUV促進耐候試験機(Q−Panel社製)を用いて、150時間紫外線を照射した後、同様に反射率を測定して、以下の基準で評価した。
○:耐光性試験前後で、反射率曲線の最低反射率の波長シフトが、−50nm以下、又は最高反射率値の減少が1%以下である。
×:耐光性試験前後で、反射率曲線の最低反射率の波長シフトが、−100nm以下、又は最高反射率値の減少が2%以下である。
【0146】
(7)耐熱性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。
得られた塗膜にシリコンウェハー表面が露出するように傷を入れ、触針式段差計にて膜厚を測定した。ホットプレート上にて220℃、5分間加熱の後に膜厚を測定し、以下の基準で評価した。
○:加熱試験後の膜厚維持率が、98%を超える。
△:加熱試験後の膜厚維持率が、95%を超え、98%以下である。
×:加熱試験後の膜厚維持率が、95%以下である。
【0147】
(8)耐湿熱性
各実施例及び比較例で調製した硬化性樹脂組成物を、4インチシリコンウェハー上にスピンコーター(MIKASA社製1H−360S型)を用いて塗布した。スピンコーターの回転条件及び硬化条件は、前記低屈折率膜の形成と同様にして行った。得られた塗膜を、高度加速寿命試験機(エスペック社製EHS−211M)を用い、120℃、100%RH、96時間の条件にて湿熱試験を行なった。試験後の塗膜外観を以下の基準で評価した。
○:試験後に塗布欠陥を生じない。
×:試験後に塗布欠陥を生じる。
【0148】
【表2】

【0149】
表2の結果から、アクリルモノマーを用いた比較例4では、耐光性及び耐擦傷性以外の特性が劣っており、本発明の成分(A)とは異なる構造を有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−2)を用いた比較例5では、屈折率及び耐熱性に劣ることがわかる。また、メラミン樹脂を用いた比較例6は耐湿熱性が劣っている。これに対し、本発明の成分(A)である特定構造を有するエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(A−1)を用いた実施例6〜8は、何れの特性にも優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の光硬化性樹脂組成物は、低屈折率でハジキ、塗布むらが無く、特にスピンコート法による塗布性に優れているため、均一な平坦化層を形成することができる。
本発明の光硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる平坦化層は、低屈折率で、透明性及び耐熱性、耐湿熱性に優れている。
本発明の光硬化性樹脂組成物で形成された平坦化層を有する固体撮像素子は、固体撮像素子等のマイクロレンズで問題となるフレア及び湿熱条件下で問題となるスポットの形成が有効に防止され、集光率、信頼性が向上する。
本発明の平坦化層は、固体撮像素子、CCD、CMOSその他レンズ形状の物品に適用できる。
本発明のマイクロレンズ用反射防止膜は、塗布性に優れ、屈折率が高く、耐熱性、耐湿熱性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】本発明の一実施形態である固体撮像素子の断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態である固体撮像素子の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるマイクロレンズ用反射防止膜の断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態であるマイクロレンズ用反射防止膜の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態であるマイクロレンズ用反射防止膜の断面図である。
【符号の説明】
【0152】
1 固体撮像素子
2 CCD基板
3 フォトダイオード
4 ハレーション防止層
5 カラーレジスト層
6a、6b、6c 平坦化層
7 マイクロレンズ
20 反射防止膜
21 高屈折率層
22 低屈折率層
23 ハードコート層
24 マイクロレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(C):
(A)下記構造単位(a)と、(b−1)又は(b−2)と、(c’)とを含んでなる水酸基含有含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸のハロゲン塩とを反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(a)下記式(1)で表される構造単位。
(b−1)下記式(2−1)で表される構造単位。
(b−2)下記式(2−2)で表される構造単位。
(c’)下記式(3’)で表される構造単位。
【化1】

[式(1)中、R1はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR2で表される基(R2はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
【化2】

[式(2−1)中、R3は水素原子又はメチル基を、R4はアルキル基、−(CH2)−OR5若しくは−OCOR5で表される基(R5はアルキル基又はグリシジル基を、nは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
【化3】

[式中、Rは式(2−1)で定義した通りであり、R24はフロロアルキル基を示し、xは0〜2の数を示す]
【化4】

[式(3’)中、R6は水素原子又はメチル基を、vは0又は1の数を、R27は下記式(3’−a)又は(3’−b)
【化5】

(式(3’−a)及び(3’−b)中、Rは水素原子又はメチル基であり、kは1〜6である)を示す]
(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
を含有する低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中に、下記式(4)で表される構造単位(d)を0.1〜10質量%含有する、請求項1に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
構造単位(d):
【化6】

[式中、R8及びR9は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
【請求項3】
さらに、前記(A)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体中に、下記式(5)で表される構造単位(e)を1〜15質量%含有する、請求項1又は2に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
構造単位(e):
【化7】

[式中、R18は乳化作用を有する基を示す]
【請求項4】
前記(B)2個以上の重合性不飽和基を有する化合物が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、(D)有機溶剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化膜。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の低屈折率材形成用光硬化性樹脂組成物をスピンコート法により塗布して該組成物の塗布膜を形成した後に、加熱又は放射線を照射して該塗布膜を硬化せしめる工程を有する硬化膜の製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の硬化膜からなる平坦化層。
【請求項9】
少なくとも基材層、請求項8に記載の平坦化層、マイクロレンズを含む固体撮像素子。
【請求項10】
請求項6に記載の硬化膜からなる低屈折率層を有する反射防止膜。
【請求項11】
マイクロレンズ用である請求項10に記載の反射防止膜。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−208235(P2008−208235A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47010(P2007−47010)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】