平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法
【課題】作動時に高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなる平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法を得る。
【解決手段】複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法。
【解決手段】複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法に関し、より詳しくは、その作動時における燃料欠乏を回避するようにしてなる平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cell):以下適宜“SOFC”と言う〕の一つの形式として平板型SOFCがある。平板型SOFCには、膜厚の厚いアノードで電解質膜を支持する支持膜式や電解質膜自体でその構造を保持する自立膜式のほか、多孔質の絶縁性支持基体の上に電池を配置した形式なども考えられている。図18〜20はそれらの態様例を説明する図である。
【0003】
図18は支持膜式のセル1を示す図で、図18(a)は断面図、図18(b)は斜視図である。電解質膜3はアノード2の上に支持されて配置され、電解質膜3の上にカソード4が配置されて構成される。図19は自立膜式のセル1を示す図で、膜厚の厚い電解質膜3の下面にアノード2が配置され、電解質膜3の上面にカソード4が配置されて構成される。図20は、支持基体の上に支持膜式のセルを配置した形式のセル1を示す図で、支持基体5の上に順次、アノード2、電解質3及びカソード4を配置して構成される。
【0004】
SOFCの運転時には、セルのアノード側に燃料を流し、カソード側に酸化剤ガス(空気、酸素富化空気、酸素等。以下代表して“空気”と言う)を流して、両電極を外部負荷に接続することで電力が得られる。ところが、セル一つでは高々0.7〜0.8V程度の電圧しか得られないので、実用的な電力を得るためにセルとセルをインターコネクタを介して交互に積層配置してスタック化される。
【0005】
図1はその態様例を説明する図である。スタックを構成する各部材は密に積層されるが、図1ではその配置関係を示すため各部材を間隔を置いて示している。また、図1中セル1が前述図18〜20に示す各セル1に相当している。図1のとおり、セル1がインターコネクタ6を介して交互に積層される。最下部のセルの下部と最上部のセルの上部にもそれぞれインターコネクタ7、7′が配置される。
【0006】
インターコネクタは、隣接するセルを電気的に接続するとともに、カソードとアノードのそれぞれに空気と燃料を分配し供給し排出する役割を果たす部材である。SOFCスタックの運転時には、インターコネクタを介してセルのアノード側に燃料を流し、カソード側に空気を流して、両電極間に外部負荷Wを接続することで電力が得られる。図1には、燃料と空気が直交流する態様を示しているが、並行流、向流などの態様もとられる。
【0007】
図2は、図1中のインターコネクタ6を取り出し拡大して示した図で、図1に対応して斜視図として示している。表面及び裏面にそれぞれ複数の凹凸が形成されている。表面の隣合う凸部8間とその底面間に溝9が形成され、溝9が燃料流路9となる。各凸部8の上面と燃料流路9の上面にはセルのアノード面が当接している。また、裏面の隣合う凸部10とその底面(図2では隣合う凸部10間の上面)間に溝11が形成され、溝11が空気流路11となる。各凸部11の下面と空気流路11の下面にはセルのカソード面が当接している。
【0008】
インターコネクタには枠体が設けられる。図3はその態様例を示す図である。図3(a)のとおり、インターコネクタを囲って枠体12が設けられる。枠体12には、燃料供給口13が設けられ、その反対側には利用済み燃料排出口15が設けられる。枠体12は、インターコネクタを囲い、燃料の分配と利用済み燃料を排出する役割を果たし、セルスタックの強度を保持する役割も果たすものである。枠体12とインターコネクタとは一体に構成してもよく、別個に構成してもよいが、通常ステンレス鋼等により一体に構成される。枠体12を含めてインターコネクタとも呼ばれる。本明細書においては、適宜、枠体を含めてインターコネクタと言う。
【0009】
図3(b)のとおり、燃料供給口13には燃料供給管14が連結される。Sはその空隙である。空隙Sは、枠体12の燃料供給口13の空隙に連通し、燃料供給管14の空隙Sと燃料供給口13の空隙とで燃料分配路が構成される。燃料供給口13の空隙は燃料供給管14の空隙Sと同じであり、当該燃料分配路の空隙Sが、後述図9における燃料分配路22に相当する。燃料供給口13と相対する側の利用済み燃料排出口15には燃料排出管16が連結されている。18は空気供給管であり、枠体12に設けられた空気供給口17に連通している。19は利用済み空気排出管である。図3(c)は燃料供給管14、空隙Sを含む部分を拡大して示した図である。
【0010】
図4は、インターコネクタに対するセルの配置関係を説明する図である。図4(a)のように、セル1は枠体20に囲まれ、アノード2が下部になるように配置される。図4(b)は図3(b)のように構成されたインターコネクタ6である。図4(a)〜(b)のように、枠体20に囲まれて配置されたセル1がインターコネクタ6の上に載置される。図4(c)はその載置状態を示した図である。なお、図4には支持膜セルの場合を示しているが、他の形式のセルの場合も同様である。
【0011】
図5〜6は、図4(c)中A−A線断面図である。図5はその断面を上から見た図、図6はその断面を下から見た図で、燃料の流れ方向を矢印(→)で示している。図5のとおり、燃料は、燃料供給管14の空隙Sを通り、燃料供給口13を経てマニホールドから各燃料流路9に分配されて流通した後、利用済み燃料としてその排出口15を経て燃料排出管16から排出される。また、図6のとおり、その断面を下から見ると、インターコネクタ6の溝すなわち燃料流路を形成する隣合う凸部8間にアノード2の下面が見える。
【0012】
図7は、前述図1のように、セルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最下部のインターコネクタ7を説明する図である。図7のとおり、最下部のインターコネクタ7は、その上面側に溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を有している。そして、燃料流路9、9、9・・・の上面にセルのアノードが当接する。
【0013】
図8は、前述図1のように、セルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最上部のインターコネクタ7′を説明する図である。図8では、図1に示す配置に対して、上下を逆にして示している。図8のとおり、インターコネクタ7′は溝すなわち空気流路11、11、11・・・を有し、空気流路11、11、11・・・の面にセルのカソードが当接する。図1に示す配置に対して上下を逆にして示しているので、図1に示す配置では空気流路11、11、11・・・の下面にセルのカソードが当接することになる。
【0014】
図9は、複数個のセルとインターコネクタを図1のように上下に積層配置したSOFCスタックにおける、燃料分配機構、各セルへの燃料分配路等の関係を説明する図である。
【0015】
図9中、21は燃料分配機構、22は各セルへの燃料分配路、23、24は燃料流路部(そのうち23は、最下部の燃料流路部)、25は各燃料流路23、24からの利用済み燃料排出路、26は利用済み燃料排出機構である。燃料分配路22は、図3〜7で言えば燃料供給管14及び燃料供給口13の空隙Sからなっている。燃料排出路25は、図3〜7で言えば利用済み燃料排出口15と燃料排出管16からなっている。
【0016】
ここで、燃料流路部23、24は、図3〜7に示すように燃料流路すなわち溝9、9、9・・・を有しており、これを具体的に示せば図10のようになる。すなわち、図10は、図9に示す燃料流路部23、24のうちの一個を取り出し、これに備える溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を平面図として示した図である。図10のとおり、隣合う凸部8間とその底面間に溝9、9、9・・・が形成され、それら溝が燃料流路9、9、9・・・となる。溝すなわち燃料流路9の数は適宜設定される。図10には関連する燃料分配機構21、燃料分配路22、利用済み燃料排出路25、利用済み燃料排出機構26を併せて示している。
【0017】
図11は、図9における燃料流路部23、24とインターコネクタ7、6、7′、セル1等の配置関係を示した図である。図11のとおり、最下部のインターコネクタ7の燃料流路部23上にセル1のアノード2が位置し、各インターコネクタ6の燃料流路部24上に各セル1のアノード2が位置している。最上部のインターコネクタ7′の下面にはセル1のカソード4が位置している。
【0018】
図9における燃料流路部23、24は、以上の構成のうち、最下部のインターコネクタ7と、その上に位置する複数のインターコネクタ6の各溝9すなわち各燃料流路9の部分を“面状”に示したものである。すなわち、図9中図示は省略しているが、図9に示す燃料流路部23、24にはそれぞれ各溝9すなわち各燃料流路9を有しており、各燃料流路9間には10個のセル1が配置され、図11に示すような構造が介在していることになる。なお、図9にはセル数10個の場合を示しているが、その数は適宜設定される。
【0019】
図9において、燃料は、燃料分配機構21から分岐して、各燃料分配路22に供給され、図9では燃料流路部23、24として示す、各インターコネクタ7、6の各燃料流路9を流通しながら発電に寄与する。利用済み燃料は各排出路25を経て利用済み燃料排出機構26から排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、以上のような平板型SOFCスタックにおいては、燃料分配機構21、それから分岐した各セルへの燃料分配路22、22、22・・・へと燃料が均等に分配されるように、各燃料分配路22の流路を同じ構造、すなわち各燃料分配路22の流路の形状、寸法等を等しくし、同じ流路断面積としている。
【0021】
より詳しくは、燃料分配機構21での圧力損失に対して、各セルへの燃料分配路22、22、22・・・における圧力損失を大きくし、且つ、各燃料分配路22における圧力損失が等しくなるように各燃料分配路22の流路を同じ構造、すなわち流路の断面形状、寸法等を等しくしている。
【0022】
このような流路構造においては、積層セルスタック内の温度分布が一様である場合には、各セルへの燃料が均等ないしほぼ均等に分配される。しかし、積層セルスタック内の温度分布が一様でない場合には、燃料の密度及び粘性(気体である燃料は、より高温になると粘性がより大きくなる)が異なるために、各セルへの燃料分配路22、22、22・・・及び各セルの燃料流路(インターコネクタ7、6で形成された各燃料流路9、9、9・・・)における圧力損失がセル毎に異なり、各セルに供給される燃料の分配が不均一となる。
【0023】
例えば、平板型SOFCスタックにおいては、一般に積層中央部が高温となるため、積層中央部に位置するセルへ供給される燃料流量は他のセルに比べて少なくなる。このため、積層中央部に位置するセルでは燃料が欠乏し、濃度過電圧による電圧低下やアノードの再酸化による破損等を生じる恐れが生じる。
【0024】
また、平板型SOFCスタックは通常断熱容器に収容されるが、その作動時に生成するアノードオフガスとカソードオフガスは断熱容器内で燃焼した後、排出される。その際、燃焼熱、また燃焼ガスの流動方向如何によっては、上記のように積層中央部が高温となるとは限らず、積層上部が高温となるなどの温度分布が生じる場合もある。この場合には、積層上部に位置するセルでは燃料が欠乏し、濃度過電圧による電圧低下やアノードの再酸化による破損等を生じる恐れが生じる。
【0025】
本発明は、平板型SOFCスタックにおけるそのような問題点を解決するためになされたものであり、複数の平板型SOFCセルが積層され、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型SOFCスタックにおいて、例えば積層中央部のセルでの燃料欠乏を回避するようにしてなる平板型SOFCスタック及びその燃料欠乏回避方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、(1)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックを提供する。
【0027】
本発明は、(2)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせることにより、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法を提供する。
【0028】
本発明は、(3)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックを提供する。
【0029】
本発明は、(4)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせることにより、その運転時に、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法を提供する。
【0030】
これらのうち、本発明(3)〜(4)は、各セルへの燃料の分配が不均一であっても、例えば積層中央部のセルへの燃料分配量が少なくても、燃料分配量の少ない積層中央部のセルの電極面積を大きくすることによって、電流密度を下げることで燃料欠乏を回避するようにした平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数の平板型SOFCセルを積層した平板型SOFCスタックにおいて、その運転時に、温度分布の不均一に起因するセルの燃料欠乏を回避することができる。これにより、アノード中の触媒金属、例えばNiの酸化に伴って起こるアノードの破損を防止し、平板型SOFCスタックを長期間にわたり安全に運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の形態、具体的態様について順次説明する。
【0033】
〈平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様〉
本発明(1)〜(2)に係る平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様として、以下(A)〜(C)のような態様をとることができる。なお、以下では積層中央部が高温となる場合を例に記載しているが、前述のように積層上部が高温となる場合などについても同様である。
【0034】
(A) 作動時の温度が最も高いセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、それより漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、その上方に位置する漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくし、その下方に位置する漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。
【0035】
(B) 作動時の温度が最も高い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、それより温度の低い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくし、それより温度の低い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくするというように、作動時の温度高低に対応してセルグループ単位でセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる。
【0036】
(C) (B)の態様のように、複数のセルをグループ単位でセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせるのに代えて、セルグループ単位とセル単位とで交互にセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部の複数のセル(セルグループ)のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、その上方に順次位置する各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくし、その下方に順次位置する各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。
【0037】
〈積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくする態様〉
平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様の一つとして、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくする。図12は、図9〜11のようなSOFCスタックにおいて、各セル間で温度分布が無い場合と有る場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図である。図12における横軸はセル番号であり、セル番号は、図9中10個のセルについて上部から下部へ付した番号である。図12における縦軸は燃料の質量流量であり、その流量は、均等分配された場合に1セルに分配される流量で、無次元化してある。
【0038】
図12のとおり、積層された各セル間で温度分布がない場合(図12中“●温度分布なし”の場合)には、各セルにほぼ均等に燃料が分配されている。これに対して、積層された各セル間で温度分布がある場合(図12中“○温度分布あり”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は少なくなっている。これは、温度が高くなることにより、燃料が流れにくくなることによるものである。
【0039】
そこで、本発明においては、作動時に温度が高くなり、燃料が流れにくくなる積層中央部のセルへの燃料分配路及びセル内の燃料流路における圧力損失を他のセルのそれに比べて小さくする構造とする。具体的には、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他のセルへの燃料分配路の流路断面積に比べて大きくする。図9で言えば、積層中央部の4個のセルへの各燃料分配路22の流路断面積を、その上下の6個のセルへの各燃料分配路22の流路断面積より大きくする。
【0040】
図13〜14はこの態様を説明する図である。図13のとおり、積層中央部の4個のセルへの各燃料流路22を大きくする。前述図3(a)〜(c)で言えば、燃料分配路を構成している燃料供給管14の空隙Sと燃料供給口13の断面の形状、寸法を大きくする。これに対して、図14のとおり、他のセルすなわち中央部の4個のセル以外の6個のセルへの各燃料分配路22の形状、寸法は相対的に小さくする。このような構造とすることにより、積層中央部のセルへ分配される燃料量が減少することを防ぐことができ、濃度過電圧による電圧低下やアノードの酸化による破損等の発生を低減することができる。
【0041】
図15は、図13〜14のように積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくし、その他のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくした場合における、各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図である。図12と同様、図15における燃料の質量流量は無次元化した値である。図15における横軸のセル番号は、図9中10個のセルについて上部から下部へ付けた番号である。
【0042】
図15のとおり、積層された各セル間で温度分布がなく、燃料分配路の流路断面積調整のない場合(図15中“●温度分布なし、燃料分岐路の流路面積調整なし”の場合)には、燃料は各セルにほぼ均等に分配されている。また、積層された各セル間で温度分布があり、燃料分配路の流路断面積調整のない場合(図15中“○温度分布あり、燃料分岐路の流路面積調整なし”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は少なくなっている。これは温度が高くなることにより、燃料が流れにくくなることによるものである。
【0043】
これに対して、積層された各セル間で温度分布があり、本発明による燃料分配路の流路断面積調整がある場合(図15中“□温度分布あり、燃料分岐路の流路面積調整あり”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は平均値に近づき、燃料分配は均等化の方向へと改善されている。
【0044】
〈平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様〉
本発明(3)〜(4)に係る平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様として、以下(a)〜(c)のような態様をとることができる。
【0045】
(a) 作動時の温度が最も高いセルの電極面積を最も大きくし、それより漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくする。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部のセルの電極面積を最も大きくし、その上方に位置する漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくし、その下方に位置する漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくする。
【0046】
(b) 作動時の温度が最も高い複数のセルの電極面積を最も大きくし、それより温度の低い複数のセルの電極面積を小さくし、それより温度の低い複数のセルの電極面積をそれより小さくするというように、作動時の温度高低に対応してセルグループ単位でセルの電極面積を異ならせる。
【0047】
(c) (b)の態様のように、すべて複数のセルのグループ単位でセルの電極面積を異ならせるのに代えて、セルグループ単位とセル単位とで交互にセルの電極面積を異ならせる。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部の複数のセル(セルグループ)のセルの電極面積を最も大きくし、その上方に順次位置する各セルの電極面積を漸次小さくし、その下方に順次位置する各セルの電極面積を漸次小さくする。
【0048】
〈積層中央部のセルの電極面積を大きくする態様〉
平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様の一つとして、積層セルスタックにおいて温度が高くなり、燃料が流れ難くなる積層中央部のセルの電極面積を大きくした構造とする。発電に寄与するSOFCセルの面積、すなわち発電に係わるセルの実質面積は、アノード、電解質及びカソードの各層のうち、その面積が最小の層の面積で決まる。そこで、本態様においては、積層中央部のセルの電極の面積を他のセルのその面積に比べて大きくする。
【0049】
図16〜17はこの態様を説明する図である。図16のとおり、積層中央部の4個のセルの電極面積を大きくする。面積を小さくする電極はアノード及びカソードのうち少なくとも一方、すなわちアノードでも、カソードでもよく、その両者でもよい。これに対して、図17のとおり、他のセルすなわち中央部の4個のセル以外の6個のセルの電極面積を相対的に小さくする。このような構造とすることにより、積層中央部のセルにおける電流密度を低下させることができ、濃度過電圧による電圧低下やアノードの酸化による破損等の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】複数個の固体酸化物形燃料電池セルを積層配置してスタック化する態様を説明する図
【図2】図1中のインターコネクタ6を取り出し拡大して示した図
【図3】インターコネクタ、枠体、燃料供給管等の配置関係を説明する図
【図4】インターコネクタに対するセルの配置関係を説明する図
【図5】図4(c)中A−A線断面図で、その断面を上から見た図(平面図)
【図6】図4(c)中A−A線断面図で、その断面を下から見た図(平面図)
【図7】図1のようにセルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最下部のインターコネクタ7を説明する図
【図8】図1のようにセルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最上部のインターコネクタ7′を説明する図
【図9】複数個のセルとインターコネクタを図1のように上下に積層配置したSOFCスタックにおける燃料分配機構と各セルへの燃料分配路の関係を説明する図
【図10】図9に示す燃料流路部23、24における溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を示した図(平面図)
【図11】図9における燃料流路部23、24と、インターコネクタ7、6、7′、セル1等の配置関係を示した図
【図12】例えば図9〜11のようなSOFCスタックにおいて、各セル間で温度分布が無い場合と有る場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図
【図13】積層中央部のセルと他のセルとの流路断面積を異ならせる態様例を説明する図
【図14】積層中央部のセルと他のセルとの流路断面積を異ならせる態様例を説明する図
【図15】図13〜14のように積層中央部のセルの流路断面積を大きくし、他のセルの流路断面積を小さくし場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図
【図16】積層中央部のセルと他のセルとの電極面積を異ならせる態様例を説明する図
【図17】積層中央部のセルと他のセルとの電極面積を異ならせる態様例を説明する図
【図18】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【図19】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【図20】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【符号の説明】
【0051】
1 SOFCセル
2 アノード
3 電解質
4 カソード
5 支持基体
6、7、7′ インターコネクタ
8、10 凸部
9 溝すなわち燃料流路
11 溝すなわち空気流路
12、20 枠体
13 燃料供給口
14 燃料供給管
S 空隙
15 利用済み燃料排出口
16 利用済み燃料排出管
17 空気供給口
18 空気供給管
19 利用済み空気排出管
21 インターコネクタ6、7への燃料分配機構
22 燃料分配路
23 燃料流路部(最下部のインターコネクタ7)
24 燃料流路部(インターコネクタ6)
25 利用済み燃料排出路
26 利用済み燃料排出機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法に関し、より詳しくは、その作動時における燃料欠乏を回避するようにしてなる平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cell):以下適宜“SOFC”と言う〕の一つの形式として平板型SOFCがある。平板型SOFCには、膜厚の厚いアノードで電解質膜を支持する支持膜式や電解質膜自体でその構造を保持する自立膜式のほか、多孔質の絶縁性支持基体の上に電池を配置した形式なども考えられている。図18〜20はそれらの態様例を説明する図である。
【0003】
図18は支持膜式のセル1を示す図で、図18(a)は断面図、図18(b)は斜視図である。電解質膜3はアノード2の上に支持されて配置され、電解質膜3の上にカソード4が配置されて構成される。図19は自立膜式のセル1を示す図で、膜厚の厚い電解質膜3の下面にアノード2が配置され、電解質膜3の上面にカソード4が配置されて構成される。図20は、支持基体の上に支持膜式のセルを配置した形式のセル1を示す図で、支持基体5の上に順次、アノード2、電解質3及びカソード4を配置して構成される。
【0004】
SOFCの運転時には、セルのアノード側に燃料を流し、カソード側に酸化剤ガス(空気、酸素富化空気、酸素等。以下代表して“空気”と言う)を流して、両電極を外部負荷に接続することで電力が得られる。ところが、セル一つでは高々0.7〜0.8V程度の電圧しか得られないので、実用的な電力を得るためにセルとセルをインターコネクタを介して交互に積層配置してスタック化される。
【0005】
図1はその態様例を説明する図である。スタックを構成する各部材は密に積層されるが、図1ではその配置関係を示すため各部材を間隔を置いて示している。また、図1中セル1が前述図18〜20に示す各セル1に相当している。図1のとおり、セル1がインターコネクタ6を介して交互に積層される。最下部のセルの下部と最上部のセルの上部にもそれぞれインターコネクタ7、7′が配置される。
【0006】
インターコネクタは、隣接するセルを電気的に接続するとともに、カソードとアノードのそれぞれに空気と燃料を分配し供給し排出する役割を果たす部材である。SOFCスタックの運転時には、インターコネクタを介してセルのアノード側に燃料を流し、カソード側に空気を流して、両電極間に外部負荷Wを接続することで電力が得られる。図1には、燃料と空気が直交流する態様を示しているが、並行流、向流などの態様もとられる。
【0007】
図2は、図1中のインターコネクタ6を取り出し拡大して示した図で、図1に対応して斜視図として示している。表面及び裏面にそれぞれ複数の凹凸が形成されている。表面の隣合う凸部8間とその底面間に溝9が形成され、溝9が燃料流路9となる。各凸部8の上面と燃料流路9の上面にはセルのアノード面が当接している。また、裏面の隣合う凸部10とその底面(図2では隣合う凸部10間の上面)間に溝11が形成され、溝11が空気流路11となる。各凸部11の下面と空気流路11の下面にはセルのカソード面が当接している。
【0008】
インターコネクタには枠体が設けられる。図3はその態様例を示す図である。図3(a)のとおり、インターコネクタを囲って枠体12が設けられる。枠体12には、燃料供給口13が設けられ、その反対側には利用済み燃料排出口15が設けられる。枠体12は、インターコネクタを囲い、燃料の分配と利用済み燃料を排出する役割を果たし、セルスタックの強度を保持する役割も果たすものである。枠体12とインターコネクタとは一体に構成してもよく、別個に構成してもよいが、通常ステンレス鋼等により一体に構成される。枠体12を含めてインターコネクタとも呼ばれる。本明細書においては、適宜、枠体を含めてインターコネクタと言う。
【0009】
図3(b)のとおり、燃料供給口13には燃料供給管14が連結される。Sはその空隙である。空隙Sは、枠体12の燃料供給口13の空隙に連通し、燃料供給管14の空隙Sと燃料供給口13の空隙とで燃料分配路が構成される。燃料供給口13の空隙は燃料供給管14の空隙Sと同じであり、当該燃料分配路の空隙Sが、後述図9における燃料分配路22に相当する。燃料供給口13と相対する側の利用済み燃料排出口15には燃料排出管16が連結されている。18は空気供給管であり、枠体12に設けられた空気供給口17に連通している。19は利用済み空気排出管である。図3(c)は燃料供給管14、空隙Sを含む部分を拡大して示した図である。
【0010】
図4は、インターコネクタに対するセルの配置関係を説明する図である。図4(a)のように、セル1は枠体20に囲まれ、アノード2が下部になるように配置される。図4(b)は図3(b)のように構成されたインターコネクタ6である。図4(a)〜(b)のように、枠体20に囲まれて配置されたセル1がインターコネクタ6の上に載置される。図4(c)はその載置状態を示した図である。なお、図4には支持膜セルの場合を示しているが、他の形式のセルの場合も同様である。
【0011】
図5〜6は、図4(c)中A−A線断面図である。図5はその断面を上から見た図、図6はその断面を下から見た図で、燃料の流れ方向を矢印(→)で示している。図5のとおり、燃料は、燃料供給管14の空隙Sを通り、燃料供給口13を経てマニホールドから各燃料流路9に分配されて流通した後、利用済み燃料としてその排出口15を経て燃料排出管16から排出される。また、図6のとおり、その断面を下から見ると、インターコネクタ6の溝すなわち燃料流路を形成する隣合う凸部8間にアノード2の下面が見える。
【0012】
図7は、前述図1のように、セルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最下部のインターコネクタ7を説明する図である。図7のとおり、最下部のインターコネクタ7は、その上面側に溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を有している。そして、燃料流路9、9、9・・・の上面にセルのアノードが当接する。
【0013】
図8は、前述図1のように、セルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最上部のインターコネクタ7′を説明する図である。図8では、図1に示す配置に対して、上下を逆にして示している。図8のとおり、インターコネクタ7′は溝すなわち空気流路11、11、11・・・を有し、空気流路11、11、11・・・の面にセルのカソードが当接する。図1に示す配置に対して上下を逆にして示しているので、図1に示す配置では空気流路11、11、11・・・の下面にセルのカソードが当接することになる。
【0014】
図9は、複数個のセルとインターコネクタを図1のように上下に積層配置したSOFCスタックにおける、燃料分配機構、各セルへの燃料分配路等の関係を説明する図である。
【0015】
図9中、21は燃料分配機構、22は各セルへの燃料分配路、23、24は燃料流路部(そのうち23は、最下部の燃料流路部)、25は各燃料流路23、24からの利用済み燃料排出路、26は利用済み燃料排出機構である。燃料分配路22は、図3〜7で言えば燃料供給管14及び燃料供給口13の空隙Sからなっている。燃料排出路25は、図3〜7で言えば利用済み燃料排出口15と燃料排出管16からなっている。
【0016】
ここで、燃料流路部23、24は、図3〜7に示すように燃料流路すなわち溝9、9、9・・・を有しており、これを具体的に示せば図10のようになる。すなわち、図10は、図9に示す燃料流路部23、24のうちの一個を取り出し、これに備える溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を平面図として示した図である。図10のとおり、隣合う凸部8間とその底面間に溝9、9、9・・・が形成され、それら溝が燃料流路9、9、9・・・となる。溝すなわち燃料流路9の数は適宜設定される。図10には関連する燃料分配機構21、燃料分配路22、利用済み燃料排出路25、利用済み燃料排出機構26を併せて示している。
【0017】
図11は、図9における燃料流路部23、24とインターコネクタ7、6、7′、セル1等の配置関係を示した図である。図11のとおり、最下部のインターコネクタ7の燃料流路部23上にセル1のアノード2が位置し、各インターコネクタ6の燃料流路部24上に各セル1のアノード2が位置している。最上部のインターコネクタ7′の下面にはセル1のカソード4が位置している。
【0018】
図9における燃料流路部23、24は、以上の構成のうち、最下部のインターコネクタ7と、その上に位置する複数のインターコネクタ6の各溝9すなわち各燃料流路9の部分を“面状”に示したものである。すなわち、図9中図示は省略しているが、図9に示す燃料流路部23、24にはそれぞれ各溝9すなわち各燃料流路9を有しており、各燃料流路9間には10個のセル1が配置され、図11に示すような構造が介在していることになる。なお、図9にはセル数10個の場合を示しているが、その数は適宜設定される。
【0019】
図9において、燃料は、燃料分配機構21から分岐して、各燃料分配路22に供給され、図9では燃料流路部23、24として示す、各インターコネクタ7、6の各燃料流路9を流通しながら発電に寄与する。利用済み燃料は各排出路25を経て利用済み燃料排出機構26から排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、以上のような平板型SOFCスタックにおいては、燃料分配機構21、それから分岐した各セルへの燃料分配路22、22、22・・・へと燃料が均等に分配されるように、各燃料分配路22の流路を同じ構造、すなわち各燃料分配路22の流路の形状、寸法等を等しくし、同じ流路断面積としている。
【0021】
より詳しくは、燃料分配機構21での圧力損失に対して、各セルへの燃料分配路22、22、22・・・における圧力損失を大きくし、且つ、各燃料分配路22における圧力損失が等しくなるように各燃料分配路22の流路を同じ構造、すなわち流路の断面形状、寸法等を等しくしている。
【0022】
このような流路構造においては、積層セルスタック内の温度分布が一様である場合には、各セルへの燃料が均等ないしほぼ均等に分配される。しかし、積層セルスタック内の温度分布が一様でない場合には、燃料の密度及び粘性(気体である燃料は、より高温になると粘性がより大きくなる)が異なるために、各セルへの燃料分配路22、22、22・・・及び各セルの燃料流路(インターコネクタ7、6で形成された各燃料流路9、9、9・・・)における圧力損失がセル毎に異なり、各セルに供給される燃料の分配が不均一となる。
【0023】
例えば、平板型SOFCスタックにおいては、一般に積層中央部が高温となるため、積層中央部に位置するセルへ供給される燃料流量は他のセルに比べて少なくなる。このため、積層中央部に位置するセルでは燃料が欠乏し、濃度過電圧による電圧低下やアノードの再酸化による破損等を生じる恐れが生じる。
【0024】
また、平板型SOFCスタックは通常断熱容器に収容されるが、その作動時に生成するアノードオフガスとカソードオフガスは断熱容器内で燃焼した後、排出される。その際、燃焼熱、また燃焼ガスの流動方向如何によっては、上記のように積層中央部が高温となるとは限らず、積層上部が高温となるなどの温度分布が生じる場合もある。この場合には、積層上部に位置するセルでは燃料が欠乏し、濃度過電圧による電圧低下やアノードの再酸化による破損等を生じる恐れが生じる。
【0025】
本発明は、平板型SOFCスタックにおけるそのような問題点を解決するためになされたものであり、複数の平板型SOFCセルが積層され、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型SOFCスタックにおいて、例えば積層中央部のセルでの燃料欠乏を回避するようにしてなる平板型SOFCスタック及びその燃料欠乏回避方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、(1)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックを提供する。
【0027】
本発明は、(2)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせることにより、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法を提供する。
【0028】
本発明は、(3)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックを提供する。
【0029】
本発明は、(4)複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせることにより、その運転時に、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法を提供する。
【0030】
これらのうち、本発明(3)〜(4)は、各セルへの燃料の分配が不均一であっても、例えば積層中央部のセルへの燃料分配量が少なくても、燃料分配量の少ない積層中央部のセルの電極面積を大きくすることによって、電流密度を下げることで燃料欠乏を回避するようにした平板型固体酸化物形燃料電池スタック及びその燃料欠乏回避方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、複数の平板型SOFCセルを積層した平板型SOFCスタックにおいて、その運転時に、温度分布の不均一に起因するセルの燃料欠乏を回避することができる。これにより、アノード中の触媒金属、例えばNiの酸化に伴って起こるアノードの破損を防止し、平板型SOFCスタックを長期間にわたり安全に運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の形態、具体的態様について順次説明する。
【0033】
〈平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様〉
本発明(1)〜(2)に係る平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様として、以下(A)〜(C)のような態様をとることができる。なお、以下では積層中央部が高温となる場合を例に記載しているが、前述のように積層上部が高温となる場合などについても同様である。
【0034】
(A) 作動時の温度が最も高いセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、それより漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、その上方に位置する漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくし、その下方に位置する漸次温度の低い各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。
【0035】
(B) 作動時の温度が最も高い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、それより温度の低い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくし、それより温度の低い複数のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくするというように、作動時の温度高低に対応してセルグループ単位でセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる。
【0036】
(C) (B)の態様のように、複数のセルをグループ単位でセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせるのに代えて、セルグループ単位とセル単位とで交互にセルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部の複数のセル(セルグループ)のセルへの燃料分配路の流路断面積を最も大きくし、その上方に順次位置する各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくし、その下方に順次位置する各セルへの燃料分配路の流路断面積を漸次小さくする。
【0037】
〈積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくする態様〉
平板型SOFCスタックの各セルへの燃料分配路の流路断面積を異ならせる態様の一つとして、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくする。図12は、図9〜11のようなSOFCスタックにおいて、各セル間で温度分布が無い場合と有る場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図である。図12における横軸はセル番号であり、セル番号は、図9中10個のセルについて上部から下部へ付した番号である。図12における縦軸は燃料の質量流量であり、その流量は、均等分配された場合に1セルに分配される流量で、無次元化してある。
【0038】
図12のとおり、積層された各セル間で温度分布がない場合(図12中“●温度分布なし”の場合)には、各セルにほぼ均等に燃料が分配されている。これに対して、積層された各セル間で温度分布がある場合(図12中“○温度分布あり”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は少なくなっている。これは、温度が高くなることにより、燃料が流れにくくなることによるものである。
【0039】
そこで、本発明においては、作動時に温度が高くなり、燃料が流れにくくなる積層中央部のセルへの燃料分配路及びセル内の燃料流路における圧力損失を他のセルのそれに比べて小さくする構造とする。具体的には、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他のセルへの燃料分配路の流路断面積に比べて大きくする。図9で言えば、積層中央部の4個のセルへの各燃料分配路22の流路断面積を、その上下の6個のセルへの各燃料分配路22の流路断面積より大きくする。
【0040】
図13〜14はこの態様を説明する図である。図13のとおり、積層中央部の4個のセルへの各燃料流路22を大きくする。前述図3(a)〜(c)で言えば、燃料分配路を構成している燃料供給管14の空隙Sと燃料供給口13の断面の形状、寸法を大きくする。これに対して、図14のとおり、他のセルすなわち中央部の4個のセル以外の6個のセルへの各燃料分配路22の形状、寸法は相対的に小さくする。このような構造とすることにより、積層中央部のセルへ分配される燃料量が減少することを防ぐことができ、濃度過電圧による電圧低下やアノードの酸化による破損等の発生を低減することができる。
【0041】
図15は、図13〜14のように積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を大きくし、その他のセルへの燃料分配路の流路断面積を小さくした場合における、各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図である。図12と同様、図15における燃料の質量流量は無次元化した値である。図15における横軸のセル番号は、図9中10個のセルについて上部から下部へ付けた番号である。
【0042】
図15のとおり、積層された各セル間で温度分布がなく、燃料分配路の流路断面積調整のない場合(図15中“●温度分布なし、燃料分岐路の流路面積調整なし”の場合)には、燃料は各セルにほぼ均等に分配されている。また、積層された各セル間で温度分布があり、燃料分配路の流路断面積調整のない場合(図15中“○温度分布あり、燃料分岐路の流路面積調整なし”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は少なくなっている。これは温度が高くなることにより、燃料が流れにくくなることによるものである。
【0043】
これに対して、積層された各セル間で温度分布があり、本発明による燃料分配路の流路断面積調整がある場合(図15中“□温度分布あり、燃料分岐路の流路面積調整あり”の場合)には、各セルのうち積層中央部のセルへの燃料流量は平均値に近づき、燃料分配は均等化の方向へと改善されている。
【0044】
〈平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様〉
本発明(3)〜(4)に係る平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様として、以下(a)〜(c)のような態様をとることができる。
【0045】
(a) 作動時の温度が最も高いセルの電極面積を最も大きくし、それより漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくする。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部のセルの電極面積を最も大きくし、その上方に位置する漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくし、その下方に位置する漸次温度の低い各セルの電極面積を漸次小さくする。
【0046】
(b) 作動時の温度が最も高い複数のセルの電極面積を最も大きくし、それより温度の低い複数のセルの電極面積を小さくし、それより温度の低い複数のセルの電極面積をそれより小さくするというように、作動時の温度高低に対応してセルグループ単位でセルの電極面積を異ならせる。
【0047】
(c) (b)の態様のように、すべて複数のセルのグループ単位でセルの電極面積を異ならせるのに代えて、セルグループ単位とセル単位とで交互にセルの電極面積を異ならせる。一例として、作動時の温度が最も高い積層中央部の複数のセル(セルグループ)のセルの電極面積を最も大きくし、その上方に順次位置する各セルの電極面積を漸次小さくし、その下方に順次位置する各セルの電極面積を漸次小さくする。
【0048】
〈積層中央部のセルの電極面積を大きくする態様〉
平板型SOFCスタックの各セルの電極面積を異ならせる態様の一つとして、積層セルスタックにおいて温度が高くなり、燃料が流れ難くなる積層中央部のセルの電極面積を大きくした構造とする。発電に寄与するSOFCセルの面積、すなわち発電に係わるセルの実質面積は、アノード、電解質及びカソードの各層のうち、その面積が最小の層の面積で決まる。そこで、本態様においては、積層中央部のセルの電極の面積を他のセルのその面積に比べて大きくする。
【0049】
図16〜17はこの態様を説明する図である。図16のとおり、積層中央部の4個のセルの電極面積を大きくする。面積を小さくする電極はアノード及びカソードのうち少なくとも一方、すなわちアノードでも、カソードでもよく、その両者でもよい。これに対して、図17のとおり、他のセルすなわち中央部の4個のセル以外の6個のセルの電極面積を相対的に小さくする。このような構造とすることにより、積層中央部のセルにおける電流密度を低下させることができ、濃度過電圧による電圧低下やアノードの酸化による破損等の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】複数個の固体酸化物形燃料電池セルを積層配置してスタック化する態様を説明する図
【図2】図1中のインターコネクタ6を取り出し拡大して示した図
【図3】インターコネクタ、枠体、燃料供給管等の配置関係を説明する図
【図4】インターコネクタに対するセルの配置関係を説明する図
【図5】図4(c)中A−A線断面図で、その断面を上から見た図(平面図)
【図6】図4(c)中A−A線断面図で、その断面を下から見た図(平面図)
【図7】図1のようにセルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最下部のインターコネクタ7を説明する図
【図8】図1のようにセルとインターコネクタを交互に積層して構成したSOFCスタックにおける最上部のインターコネクタ7′を説明する図
【図9】複数個のセルとインターコネクタを図1のように上下に積層配置したSOFCスタックにおける燃料分配機構と各セルへの燃料分配路の関係を説明する図
【図10】図9に示す燃料流路部23、24における溝すなわち燃料流路9、9、9・・・を示した図(平面図)
【図11】図9における燃料流路部23、24と、インターコネクタ7、6、7′、セル1等の配置関係を示した図
【図12】例えば図9〜11のようなSOFCスタックにおいて、各セル間で温度分布が無い場合と有る場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図
【図13】積層中央部のセルと他のセルとの流路断面積を異ならせる態様例を説明する図
【図14】積層中央部のセルと他のセルとの流路断面積を異ならせる態様例を説明する図
【図15】図13〜14のように積層中央部のセルの流路断面積を大きくし、他のセルの流路断面積を小さくし場合における各セルのアノードへの燃料の質量流量を示した図
【図16】積層中央部のセルと他のセルとの電極面積を異ならせる態様例を説明する図
【図17】積層中央部のセルと他のセルとの電極面積を異ならせる態様例を説明する図
【図18】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【図19】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【図20】固体酸化物形燃料電池セルの態様例を説明する図
【符号の説明】
【0051】
1 SOFCセル
2 アノード
3 電解質
4 カソード
5 支持基体
6、7、7′ インターコネクタ
8、10 凸部
9 溝すなわち燃料流路
11 溝すなわち空気流路
12、20 枠体
13 燃料供給口
14 燃料供給管
S 空隙
15 利用済み燃料排出口
16 利用済み燃料排出管
17 空気供給口
18 空気供給管
19 利用済み空気排出管
21 インターコネクタ6、7への燃料分配機構
22 燃料分配路
23 燃料流路部(最下部のインターコネクタ7)
24 燃料流路部(インターコネクタ6)
25 利用済み燃料排出路
26 利用済み燃料排出機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積より大きくしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項3】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせることにより、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項4】
請求項3の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料供給路の流路断面積より大きくすることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項5】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項6】
請求項5の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、積層中央部のセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積より大きくしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項7】
請求項5または6の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、面積を異ならせる電極がアノード及びカソードのうち少なくとも一方の電極であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項8】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせることにより、その運転時に、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項9】
請求項8の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、積層中央部のセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積より大きくすることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項10】
請求項8または9の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、面積を異ならせる電極がアノード及びカソードのうち少なくとも一方の電極であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項1】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積より大きくしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項3】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料分配路の流路断面積と異ならせることにより、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項4】
請求項3の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、積層中央部のセルへの燃料分配路の流路断面積を他の位置のセルへの燃料供給路の流路断面積より大きくすることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項5】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせ、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避するようにしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項6】
請求項5の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、積層中央部のセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積より大きくしてなることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項7】
請求項5または6の平板型固体酸化物形燃料電池スタックにおいて、面積を異ならせる電極がアノード及びカソードのうち少なくとも一方の電極であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタック。
【請求項8】
複数の平板型固体酸化物形燃料電池セルを積層し、且つ各セルへの燃料分配機構を備えた平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法であって、その作動時に高温となるセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積と異ならせることにより、その運転時に、温度分布の不均一に起因して高温となるセルの燃料欠乏を回避することを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項9】
請求項8の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、積層中央部のセルの電極面積を他の位置のセルの電極面積より大きくすることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【請求項10】
請求項8または9の平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法において、面積を異ならせる電極がアノード及びカソードのうち少なくとも一方の電極であることを特徴とする平板型固体酸化物形燃料電池スタックの燃料欠乏回避方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−280652(P2007−280652A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102586(P2006−102586)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「燃料電池発電技術開発、固体酸化物形燃料電池の研究開発適用性拡大に関する要素研究(耐熱衝撃性平板形セル・スタックの研究)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「燃料電池発電技術開発、固体酸化物形燃料電池の研究開発適用性拡大に関する要素研究(耐熱衝撃性平板形セル・スタックの研究)」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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