説明

平盤打抜き装置

【課題】本発明は、従来の装置に不良品回収部を後付けしやすい上、既設の装置の各部を有効に利用できる平盤打抜き装置を提供することにある。
【解決手段】プレス部と、プレスされた被打抜き材から非製品部分を取り除くストリッピング部と、製品部分を切り離す良品ノックオフ部と、その製品部分を収容するデリバリー部と、被打抜き材の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、被打抜き材の良または不良の被打抜き材を判別し、不良の被打抜き材を判定したときに、当該不良の被打抜き材を不良品回収部に送る制御部とを備え、不良品回収部には不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部が設けられているとともに、不良品ノックオフ部が良品ノックオフ部の上流側に配置されていて、被打抜き材をプレス部、ストリッピング部、不良品回収部、デリバリー部に順次搬送する搬送手段とを備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート、厚紙、フィルム等の板状部材に型押しして打抜く平盤打抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートなどの被打抜き材に所定の型をプレスした後、製品部分を打抜く平盤打抜き装置A1としては、図9(a)(b)に示すように、被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部Bと、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部Cと、グリッパーマージンから製品部分を切り離すノックオフ部Dと、ノックオフ部Dにより切り離された製品部分を収容するデリバリー部E1と、デリバリー部E1を通過した不良品を検出する検出手段Nと、被打抜き材をプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E1に順次搬送する搬送手段Fとを備えたものが知られている。
【0003】
この平盤打抜き装置Aは、印刷された段ボールシート等の被打抜き材をフィーダー部Gに積層させてセットしておき、フィーダー部Gから一枚ずつ被打抜き材を搬送手段Fへ送った後、該搬送手段Fによって、被打抜き材がプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E1に順次搬送されるようになっている。
【0004】
前記搬送手段Fは、被打抜き材のグリッパーマージンを保持する保持部Hを所定間隔ごとに備えるエンドレスなローラーチェーンJを、プレス部Bの打抜き機構に伴って間欠的に回転駆動される回転ホイールKに掛け渡して、前記各保持部Hがプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E1を順次通過するように回転駆動するようになっている。
【0005】
なお、プレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E1は、等間隔に配設されており、搬送手段FのローラーチェーンJを間欠的に回転駆動させるとき、保持部Hに保持された複数の被打抜き材がプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E1の定位置に同時に停止できるようになっている。
【0006】
被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部Bでは、被打抜き材に、製品部分とグリッパーマージンと非製品部分とを分けるように、型がプレスされる。
【0007】
ストリッピング部Cでは、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分のみ取り除かれる。
【0008】
デリバリー部E1には、搬送手段FのローラーチェーンJより内方に位置し、該デリバリー部E1の出口近くに、グリッパーマージンから製品部分を切り離すノックオフ部Dが上下動可能に配設されている。このノックオフ部Dは、被打抜き材がデリバリー部E1に搬送されて定位置に一次停止したときに、降下するように駆動制御されている。このノックオフ部Dにより切り離された製品部分が、デリバリー部E1に収容される。
【0009】
デリバリー部E1に収容された製品部分は、上下動する排出テーブルLに移される。この排出テーブルLは、ノックオフ部Dにより切り離された製品部分を受け止める上位位置と、積層された製品部分を搬出用コンベアP1に移す下位位置とに昇降可能となっている。搬出用コンベアP1は、排出テーブルLの下流側に配置されており、排出テーブルLから移された製品部分を装置の下流側まで搬出するようになっている。
【0010】
さらに、デリバリー部E1の下流側には、デリバリー部E1内に進退動作するアンローディング部Qが設けられており、排出テーブルLが下位位置にあるときに、アンローディング部Qをデリバリー部E1内に進出させて、製品部分を受け止めるようにしている。
【0011】
また、ノックオフ部Dにより製品部分が切り離された後の被打抜き材は、ローラーチェーンJの保持部Hに保持されるグリッパーマージンのみが残されており、このグリッパーマージンは、グリッパーマージン回収部Mに回収される。
【0012】
ここで、検出手段N1は、デリバリー部E1を通過した直後に、保持部Hに保持されたグリッパーマージンに印刷された検出用マークをカメラで検出して、不良品を検出する。しかしながら、この方法では、不良品があることを検出できても、デリバリー部E1に不良品が収容されていることのみしか判らないので、該デリバリー部E1に収容された製品の中から不良品を抜き出す作業を手作業で行わなくてはならなかった。その結果、手作業で、一枚ずつ不良品のチェックを行わなくてはならず、作業が煩雑となるばかりか、チェックに時間も要し、また、手作業なので、不良品を見逃してしまう場合も生じていた。
【0013】
このような背景から、本願発明者は、不良品の回収が自動で確実に行える平盤抜打ち装置を既に提案している(例えば特許文献1参照)。
【0014】
この平盤打抜き装置A2は、図10に示すように、被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部Bと、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部Cと、被打抜き材の状態を検出する検出手段N2と、前記検出手段N2の検出結果に基づいて、良または不良の被打抜き材を判別して、装置下流側の各部の動作を制御する図示しない制御部と、良品の被打抜き材についてグリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部R1と、良品ノックオフ部R1により切り離された製品部分を収容するデリバリー部E2と、デリバリー部E2を通過した不良の被打抜き材についてグリッパーマージンから不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部R2と、不良品ノックオフ部R2により切り離された製品部分を回収する不良品回収部Tと、被打抜き材をプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E2、不良品回収部Tに順次搬送する搬送手段Fとを備えている。
なお、図9に示す平盤打抜き装置A1と同一の構成部分については、同一符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0015】
搬送手段Fは、被打抜き材のグリッパーマージンを保持する保持部Hを所定間隔ごとに備えるエンドレスのローラーチェーンJを、プレス部の打抜き機構に伴って間欠的に回転駆動される回転ホイールKに掛け渡して構成されている。プレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E2、不良品回収部Tは、順次等間隔に配設されており、搬送手段FのローラーチェーンJを間欠的に回転駆動させるとき、保持部Hに保持された複数の被打抜き材がプレス部B、ストリッピング部C、デリバリー部E2、不良品回収部Tの定位置に同時に停止するように、保持部Hが等間隔にローラーチェーンJに設けられている。
【0016】
制御部は、検出手段N2の検出結果に基づいて、良または不良の被打抜き材を判別し、良品の被打抜き材であると判別したときに、デリバリー部E2の良品ノックオフ部R1を作動させ、不良の被打抜き材であると判別したときに、デリバリー部E2の良品ノックオフ部R1を作動させないように、良品ノックオフ部R1の動作を制御する。
【0017】
デリバリー部E2は、ストリッピング部Cの下流側に設けられており、良品の被打抜き材が、搬送手段Fによりデリバリー部E2に搬送されてきて、デリバリー部E2の定位置にまで搬送されて一時停止すると、良品ノックオフ部R1が降下して、グリッパーマージンから製品部分が切り離されて、切り離された製品部分が、デリバリー部E2に収容されるようになっている。デリバリー部E1に収容された製品部分は、上下動する排出テーブルWに移される。搬出用コンベアP2は、排出テーブルWの下流側に配置されており、排出テーブルWから移された製品部分を装置の下流側まで搬出するようになっている。
【0018】
不良品回収部Tは、デリバリー部E2の下流側に設けられている。被打抜き材が、制御部で不良であると判別され、デリバリー部E2の良品ノックオフ部R1が作動しないように制御され、デリバリー部E2を通過して不良品回収部Tの定位置にまで搬送されて一時停止すると、不良ノックオフ部R2が降下して、グリッパーマージンから切り離された製品部分が、不良品回収部Tに回収されるようになっている。なお、不良品回収部Tには、排出コンベアXが設けられており、回収された製品部分を不良品回収部Tの下流側に配置される不良品ストック部Yに順次排出するようになっている。
【0019】
しかしながら、この平盤打抜き装置A2は、不良品回収部Tがデリバリー部E2の下流側に配設されているため、従来、デリバリー部E1の内部に配置されていた回転ホイールKを不良品回収部Tの内部に配置する必要があり、従来のデリバリー部E1の内部構造とは著しく異なってしまう。したがって、不良品回収部Tだけを既設の装置に後付けすることが不可能であり、デリバリー部E2と不良品回収部Tの両方を取り替えなければならない。
【0020】
このように、この平板打抜き装置A2は、従来の装置A1と構造的な共通性に乏しく、従来の装置A1に不良品回収部Tを後付けするための取替え作業が非常に煩雑となる上、不要となる部分が多く廃棄処理のコストがかかる上、資源の有効利用の観点からも好ましくない。
【特許文献1】特許第2994638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、従来の装置に不良品回収部を後付けしやすい上、既設の装置の各部を有効に利用できる平盤打抜き装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の請求項1記載の発明は、被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部と、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部と、グリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部と、良品ノックオフ部により切り離された製品部分を収容するデリバリー部と、ストリッピング部若しくはその上流側又は下流側に設けられて被打抜き材の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、被打抜き材の良または不良の被打抜き材を判別し、不良の被打抜き材を判定したときに、当該不良の被打抜き材を不良品回収部に送る制御部とを備え、不良品回収部にはグリッパーマージンから不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部が設けられているとともに、不良品ノックオフ部が良品ノックオフ部の上流側に配置されていて、被打抜き材をプレス部、ストリッピング部、不良品回収部、デリバリー部に順次搬送する搬送手段とを備える構成とした。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、検出手段が、プレス部の後方に設けたカメラを備える構成とした。
【0024】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、不良品ノックオフ部をストリッピング部と良品ノックオフ部との間に設け、不良品回収部に不良品ノックオフ部でノックオフされた不良品を取り出す排出手段を設ける構成とした。
【0025】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、良品ノックオフ部でノックオフされた良品を搬送する定量搬送手段を、良品ノックオフ部の下部に形成し、良品ノックオフ部と定量搬送手段との間に定量搬送手段で良品を搬送している間、良品ノックオフ部でノックオフされる良品を一時的にストックするストック部を設ける構成とした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部と、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部と、グリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部と、良品ノックオフ部により切り離された製品部分を収容するデリバリー部と、ストリッピング部若しくはその上流側又は下流側に設けられて被打抜き材の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、被打抜き材の良または不良の被打抜き材を判別し、不良の被打抜き材と判定したときに、当該不良の被打抜き材を不良品回収部に送る制御部とを備え、不良品回収部にはグリッパーマージンから不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部が設けられているとともに、不良品ノックオフ部が良品ノックオフ部の上流側に配置されていて、被打抜き材をプレス部、ストリッピング部、不良品回収部、デリバリー部に順次搬送する搬送手段とを備えた構成としたので、
従来の平盤打抜き装置にも、ストリッピング部とデリバリー部との間に、不良品ノックオフ部を備えた不良品回収部を簡単に後付けでき、取替え作業が非常に容易である。
また、既設の装置を有効利用できるので、不要部分の廃棄処理コストを低減できる上、資源の有効利用の観点からも好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0028】
本発明の一実施形態の平盤打抜き装置1は、図1に示すように、印刷された段ボールシート等の被打抜き材10を積層させてセットするフィーダー部2と、被打抜き材10に所定の型をプレスするプレス部3と、プレスされた被打抜き材10から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部4と、グリッパーマージンから不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部51を備え、この不良ノックオフ部51により切り離された製品部分を回収する不良品回収部5と、グリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部61を備え、この良品ノックオフ部61により切り離された製品部分を収容するデリバリー部6と、被打抜き材10をプレス部3、ストリッピング部4、不良品回収部5、デリバリー部6の順に順次搬送する搬送手段7とを備えている。
【0029】
前記搬送手段7は、該被打抜き材10のグリッパーマージンを保持する保持部71を所定間隔ごとに備えるエンドレスなローラーチェーン72を、プレス部3の打抜き機構に伴って間欠的に回転駆動される回転ホイール73に掛け渡して構成されている。
【0030】
この搬送手段7は、フィーダー部2に積層される被打抜き材10が一枚ずつ抜き出されたときに、保持部71でグリッパーマージンを保持し、被打抜き材10を保持したまま、プレス部3、ストリッピング部4、不良品回収部5、デリバリー部6を順次通過するようにエンドレスなローラーチェーン72を間欠的に回転駆動させるようにしている。
【0031】
なお、プレス部3、ストリッピング部4、不良品回収部5、デリバリー部6は、順次等間隔に配設されており、また、搬送手段7のローラーチェーン72を間欠的に回転駆動させるとき、保持部71に保持された複数の被打抜き材10がプレス部3、ストリッピング部4、不良品回収部5、デリバリー部6の定位置に同時に停止するように、保持部71が等間隔にローラーチェーン72に設けられている。
【0032】
フィーダー部2の排出側に被打抜き材10に所定の型をプレスするプレス部3が設けられており、該プレス部3は、被打抜き材10を挟み込むように、被打抜き材10の上方に固定されて、型が装着される固定盤31と、被打抜き材10の下方に位置されて、固定盤31に対し上下動する押え盤32とにより構成されている。
【0033】
そして、このプレス部3において、被打抜き材10に製品部分とグリッパーマージンと非製品部分とを分けるように、型がプレスされる。
【0034】
プレス部3の下流側にはストリッピング部4が設けられており、該ストリッピング部4では、プレスされた被打抜き材10から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分のみ取り除かれる。
【0035】
さらに、プレス部3とストリッピング部4との間にスペースを設けて、該スペースに被打抜き材10の状態を検出する検出手段8を設けている。
【0036】
この検出手段8は、図3及び図4に示すように、一台のCCDカメラ81と被打抜き材10を照らす照明部82とを有し、これらカメラ81と照明部82とは、搬送方向に直交する幅方向に往復動するように設けられている。
【0037】
検出手段8は、被打抜き材10の印刷面におけるグリッパーマージンの部分に印刷される検出用マーカーを検出するようにしており、前記カメラ81で検出用マーカーが所定の位置にあるか否かが検出される。
【0038】
本例では、検出手段8が、プレス部3の後方で、ストリッピング部4の上流側にカメラ81を備えているので、検出手段8によって良品または不良品であることが検出された後、制御部9からの指令を受けて良品ノックオフ部61または不良品ノックオフ部51が作動するまでに、被打抜き材10がストリッピング部4を通過する時間だけ時間的に余裕がある。したがって、制御部9、良品ノックオフ部61、不良品ノックオフ部51の動作負担を軽減でき、検出結果に基づいて、正確に良品ノックオフ部61または不良品ノックオフ部51を作動させることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、カメラは、1台しか設置していないが、2台のカメラを搬送方向幅方向両端側に位置するように配置しても差し支えない。この場合は、被打抜き材10の位置ずれをより正確に検出することができる。
【0040】
また、カメラは、ストリッピング部4それ自体、または、ストリッピング部4の下流側、即ち、ストリッピング部4と不良品回収部5との間に配置するようにしてもよい。ストリッピング部で非製品部分が取り除かれた後に検出すれば、被打抜き材10の最終形状を検出できる。したがって、例えばラインカメラを使用することにより被打抜き材10の幅全体を検出するようにしておけば、当該被打抜き材10の印刷全面の検出が可能となり、より確実な不良品の検出が可能となる。
【0041】
さらに、検出手段は、CCDカメラに限らず、被打抜き材の印刷面が検出できれば、フォトセンサー等の他のセンサーを用いても差し支えない。
【0042】
そして、検出手段8による検出結果は、図6に示すように、平盤打抜き装置1内に設ける制御部9に送られる。
【0043】
この制御部9では、前記検出手段8の検出結果に基づいて、良または不良の被打抜き材10を判別し、不良品の被打抜き材10であると判別したときに、不良品回収部5の不良品ノックオフ部51を作動させ、良品の被打抜き材10であると判別したときに、不良品回収部5の不良品ノックオフ部51を作動させないように、不良品ノックオフ部51の動きを制御している。
【0044】
ここで、被打抜き材10が良品であるか、または不良品であるかの判断は、前記検出手段8のカメラ81によって検出用マーカーが所定の位置で検出されるか否かで行い、検出されない場合を不良品と判断する。検出用マーカーが所定の位置で検出されないのは、被打抜き材10の印刷面が反対となっているか、または、印刷がされていないか、さらには、被打抜き材10のセット位置がずれているという可能性があるので、これらの場合には、不良品と判断する。
【0045】
なお、前記制御部9において、不良の被打抜き材10の枚数のカウントおよび発生時刻も記録するように制御するようにすれば、不良品の発生原因をあとからチェックすることができる。
【0046】
ストリッピング部4の下流側には、前記不良品回収部5が設けられており、この不良品回収部5には、グリッパーマージンから不良の製品部分を切り離して回収する不良品ノックオフ部51が設けられている。不良品ノックオフ部51は、図2(a)(b)に示すように、搬送手段7のローラーチェーン72より内方に位置し、当該不良品回収部5の出口近くに、上下動可能に配設されている。そして、前記検出手段8の検出結果に基づいて、前記制御部9によって不良の被打抜き材10であると判別されると、当該制御部9により不良品ノックオフ部51が作動して、この不良品回収部5に不良の被打抜き材10が搬送されて、不良の被打抜き材10の製品部分が不良品回収部5に回収される。
【0047】
不良品回収部5には、排出手段として、回収された製品部分を順次排出するための排出コンベア52と、排出コンベア52の下流側に配置される不良品ストック部53とが設けられている。排出コンベア52は、搬送手段の搬送方向に対して幅方向に交差する向きに配置されており、その下流側端部は、装置ケーシング56の側壁部に設けられた開口部54に位置している。不良品ストック部53は、装置ケーシング56の外部に配置されており、排出コンベア52により搬送された不良の製品部分を受け止めて保管する。なお、回収された製品部分を不良品ストック部53に搬送する手段は、排出コンベア52に限られず、回収された製品部分を不良品ストック部53まで滑らせて移動可能な程度に傾斜した傾斜板でも構わない。このようにすれば、排出コンベア52を駆動させる駆動源が不要となり、省エネルギー化に貢献できる上、ランニングコストを低減できる。
【0048】
また、前記不良品回収部5には、良品の被打抜き材10と判別されて不良品回収部5を通過する良品の被打抜き材10の搬送方向後部を受け止める仮受け部55が設けられている。
【0049】
この仮受け部55は、図2(a)に示すように、排出テーブル62の上方で、デリバリー部6の収容空間内に進退されるピストン55aを備えたエアシリンダにより構成されている。この仮受け部55は、不良品が不良品回収部5に収容されるときには、ピストン55aが引っ込んだ状態にあり、良品の被打抜き材10と制御部9において判断されると、この良品の被打抜き材10が不良品回収部5に送られてきたと同時にピストン55aが進出しはじめ、ローラーチェーン72が一次停止したときに、良品の被打抜き材10の搬送方向後部をこのピストン55aで受け止めるようにしている。
【0050】
さらに、ローラーチェーン72が駆動しはじめると、このピストン55aは反対方向に引っ込んでいくようになっている。この仮受け部55により、ローラーチェーン72の一次停止によって、良品の被打抜き材10が一次停止しても、該被打抜き材10が折れ曲がって、不良品回収部5へ落下することなく、デリバリー部6へと搬送できる。
【0051】
尚、この仮受け部は、被打抜き材10の後端ではなく、側部両端を受け止めるように配設するようにしてもよい。
【0052】
さらに、不良品回収部5の下流側に設けられるデリバリー部6には、図5に示すように、搬送手段7のローラーチェーン72より内方に位置し、該デリバリー部6の出口近くに、グリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部61が上下動可能に配設されている。
【0053】
そして、前記検出手段8の検出結果に基づいて、前記制御部9によって良品の被打抜き材10であると判別されると、当該制御部9により不良品回収部5の不良品ノックオフ部51が作動しないように制御される。良品ノックオフ部61は、良品の被打抜き材10が、図2に示すようにデリバリー部6に搬送されてきて、デリバリー部6の定位置にまで搬送されて一次停止したときに、降下するように駆動制御されている。そして、この良品ノックオフ部61により切り離された製品部分がデリバリー部6に収容される。
【0054】
さらに、デリバリー部6には、製品部分を収容する排出テーブル62と、デリバリー部6内に進退動作するアンローディング部64とが設けられている。排出テーブル62は、上下動するようになっており、良品ノックオフ部61により切り離された製品部分を受け止める上位位置と、積層された製品部分を搬出用コンベア63に移す下位位置とに昇降させるようにしている。搬出用コンベア63は、排出テーブル62の下位位置と略同じ高さに設けられており、排出テーブルから受け取った製品部分をアンローディング部64よりも下流側まで搬出する。アンローディング部64は、デリバリー部6の下流側からデリバリー部6内に進退可能に設けられており、排出テーブル62が下位位置にあるときに、デリバリー部6内に進出させて、製品部分を受け止めるようにしている。
【0055】
なお、良品の製品部分を搬出する搬送手段としては、上記実施例に限られず、例えば、図8に示す平盤打抜き装置1bのように、排出テーブル62の下位位置を設置面近傍に配置させ、排出テーブルの上に所定量の製品部分を載置するためのパレット11を設置するとともに、排出テーブル62の上流側に、排出テーブル62にパレット11を供給するためのパレットコンベア12を設け、排出テーブル62の下流側に、排出テーブル62の下位位置と略同じ高さの搬出用コンベア63を設けることにより、所定量の良品の製品部分を搬送する定量搬送手段を設けてもよい。このようにすれば、パレット11に大量の製品部分を積層させて搬送することができる上、荷崩れも防止でき、作業効率や安全性に優れる。
【0056】
また、良品ノックオフ部61、または、不良品ノックオフ部51により製品部分が切り離された後の被打抜き材(グリッパーマージン)は、デリバリー部6の上方に設けられるグリッパーマージン回収部13に回収される。
【0057】
以上の構成により、本実施の形態によれば、不良品ノックオフ部51を備えた不良品回収部5が良品ノックオフ部61を備えたデリバリー部6の上流側に配置されており、図9に示す従来の平盤打抜き装置A1とは、不良品回収部5以外の基本的な構造が略同一であるので、図7に示すように、従来の平盤打抜き装置A1に、不良品回収部5を後付けするだけで、容易に本実施形態の装置を実現できる。また、既設の装置を有効利用できるので、不要部分の廃棄処理コストを低減できる上、資源の有効利用の観点からも好適である。
【0058】
なお、図10に示す従来の平盤打抜き装置A2は、不良品回収部Tがデリバリー部E2の下流側に配設されているため、不良品ノックオフ部R2により切り離された不良の製品部分をローラーチェーンJとアンローディング部Qとの間のわずかな隙間で回収しなくてはならない。そのため、この隙間に排出コンベアXを設置して、不良品ストック部Yを不良品回収部Tよりも後方に配置するとともに、搬出用コンベアPの下流側端部を不良品回収部Tの不良品ストック部Yよりも下流側に位置させる必要がある。その結果、従来の搬出用コンベアP1よりも搬出距離の長い新たな搬出用コンベアP2を設置して、デリバリー部E2で収容した製品部分を不良品ストック部Yよりも下流側まで搬出しなければならず、装置全体が大型化していた。しかし、本実施形態では、不良品回収部5における排出コンベア52が、搬送手段7の搬送方向に対して幅方向に交差する向きに配置されており、その下流側端部を、装置ケーシング55の側壁部に設けられた開口部54近傍に位置させるとともに、装置ケーシングの外部に不良品ストック部53を設けた構成であるので、装置の全長を短縮でき、装置の設置スペースを確保しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)本発明の一実施形態にかかる平盤打抜き装置の全体構成を示す外観図である。(b)本発明の一実施形態にかかる平盤打抜き装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】(a)本発明の平盤打抜き装置における不良品回収部での、被打抜き材の搬送状態を示す説明図である。(b)(図2)(a)におけるX−X断面図であって、不良の被打抜き材が回収される状態を示す。
【図3】本発明の平盤打抜き装置における検出手段の側部からみた断面図である。
【図4】本発明の平盤打抜き装置における検出手段の正面からみた断面図である。
【図5】本発明の平盤打抜き装置におけるデリバリー部での、被打抜き材の搬送状態を示す説明図である。
【図6】本発明の平盤打抜き装置における制御部のブロック図である。
【図7】従来使用していた平盤打抜き装置に本発明の不良品回収部を設置する様子を示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる平盤打抜き装置の全体構成を示す外観図である。
【図9】(a)従来使用していた平盤打抜き装置の全体構成を示す外観図である。(b)従来使用していた平盤打抜き装置の概略断面図である。
【図10】(a)本願発明者が提案していた従来使用していた平盤打抜き装置の全体構成を示す外観図である。(b)従来使用していた不良品回収部を備えてなる平盤打抜き装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1a,1b 平盤打抜き装置
3 プレス部
4 ストリッピング部
5 不良品回収部
51 不良品ノックオフ部
52 排出コンベア(排出手段)
53 不良品ストック部(排出手段)
6 デリバリー部
61 良品ノックオフ部
64 アンローディング部(ストック部)
7 搬送手段
8 検出手段
9 制御部
10 被打抜き材
11 パレット(定量搬送手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被打抜き材に所定の型をプレスするプレス部と、プレスされた被打抜き材から製品部分とグリッパーマージンとを残して非製品部分を取り除くストリッピング部と、グリッパーマージンから製品部分を切り離す良品ノックオフ部と、良品ノックオフ部により切り離された製品部分を収容するデリバリー部と、ストリッピング部若しくはその上流側又は下流側に設けられて被打抜き材の状態を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づいて、被打抜き材の良または不良の被打抜き材を判別し、不良の被打抜き材と判定したときに、当該不良の被打抜き材を不良品回収部に送る制御部とを備え、不良品回収部にはグリッパーマージンから不良の製品部分を切り離す不良品ノックオフ部が設けられているとともに、不良品ノックオフ部が良品ノックオフ部の上流側に配置されていて、被打抜き材をプレス部、ストリッピング部、不良品回収部、デリバリー部に順次搬送する搬送手段とを備えた平盤打抜き装置。
【請求項2】
検出手段が、プレス部の後方に設けたカメラを備えていることを特徴とする請求項1に記載の平盤打抜き装置。
【請求項3】
不良品ノックオフ部をストリッピング部と良品ノックオフ部との間に設け、不良品回収部に、不良品ノックオフ部でノックオフされた不良品を取り出す排出手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平盤打抜き装置。
【請求項4】
良品ノックオフ部でノックオフされた良品を搬送する定量搬送手段を、良品ノックオフ部の下部に形成し、良品ノックオフ部と定量搬送手段との間に定量搬送手段で良品を搬送している間、良品ノックオフ部でノックオフされる良品を一時的にストックするストック部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の平盤打抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−346779(P2006−346779A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173570(P2005−173570)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(391047857)旭マシナリー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】