説明

平面スピーカ

【課題】 低周波数帯の音圧を向上させる。
【解決手段】 表示装置付機器のケースの表示用窓枠に周縁部を支持され、前記表示装置の表示面の保護を兼ねる音響用振動板としての透明パネル2と、透明パネル2を前記表示用窓枠に支持するためのサスペンション4と、前記表示装置を避けて透明パネル2の内面に固定され電気音響信号を機械振動に変換するアクチュエータ3とから成る平面スピーカ1において、透明パネル2の厚さは均一であるが、透明パネル2の幅b(y方向)はアクチュエータ3を固定した側に対して反対側(−x側)へ向かうに従って狭くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯機器、パソコン、テレビ等の表示装置付機器に用いる平面スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(液晶表示装置)等の表示装置を装備する機器のケースの表示窓枠に、周縁部を固定されて表示装置の保護と振動板とを兼ねる透明パネルと、この透明パネルの周縁部を前記表示窓枠に支持するための枠状のサスペンションと、前記透明パネルの裏面に表示装置を避けて固定され電気信号を機械振動に変換するアクチュエータとから成る平面スピーカがある(例えば、特許文献1参照。)。このような従来の平面スピーカの一例について説明する。図6は従来の平面スピーカを用いた携帯電話の要部平面図であり、図7は図6のC−C断面を示す要部断面図である。図8はこの平面スピーカの音響特性を示す波形図である。
【0003】
図6、図7において、50は表示装置付機器である携帯電話であり、52は携帯電話50のケースである。53は携帯電話50の回路基板であり、54は回路基板52に固定された表示装置であるLCDを示している。ここで言うLCD54とは、例えばLCDホルダ等のLCD54を回路基板53に固定するための部材をも含んでいる表現である。32はケース52の表示窓枠52aに周縁部を固定された、LCD54の表示面の保護を兼ねる音響用振動板としての透明パネルを示している。透明パネル32の背面のアクチュエータを固定した部分を含む周縁部には見切り用の印刷膜32aが施されている。透明パネル32は表示装置の形に応じて略長方形をしており、アクリル樹脂などの均一材料で均一な厚さのものが用いられている。
【0004】
3は透明パネル32の背面のLCD54を避けた印刷膜32a面に固定されたエキサイタと呼ばれる圧電素子型又は動電型などのアクチュエータを示している。4は透明パネル32の裏面の周縁部をケース52の表示窓枠52aの上面に支持している枠状のサスペンションを示しており、スポンジ等のクッション性部材両面に粘着剤を塗布したもの(例えば日東化工(株)のポロンL32)若しくは両面テープ等の粘着部材から成っている。
【0005】
図7に示すように、51は透明パネル32とアクチュエータ3とサスペンション4とから構成されている平面スピーカを示している。6はスポンジ等のクッション性部材から成る枠状のシールを示しており、表示窓枠52aの背面とLCD54との間にLCD54を囲むように配設されている。
【特許文献1】特表2002−533957号公報(図1−図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のこのような構成の平面スピーカ51では、透明パネル32の周縁部のみがサスペンション4によりケース52に支持されているので、駆動信号によってアクチュエータ3が振動すると透明パネル32がたわみ振動する。しかし、携帯電話等の小型機器の場合には透明パネル32の面積が小さく制約されていてあまり複雑な形の振動をしない。特に、2kHz以下ではアクチュエータ3側とその反対側の透明パネル32とでは逆相動作をして音をうち消し合い音圧を低下させてしまうという問題があった。図8の点線の波形がこのことを示している。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、特に低周波数帯での音圧の低下を防止できる平面スピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、表示装置付機器のケースの表示用窓枠に周縁部を支持され、前記表示装置の保護を兼ねる音響用振動板としての透明パネルと、この透明パネルを前記表示用窓枠に支持するためのサスペンションと、前記表示装置を避けて前記透明パネルの内面に固定され電気音響信号を機械振動に変換するアクチュエータとから成る平面スピーカにおいて、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの幅又は厚さを前記アクチュエータを固定した側に対して部分的に変更したことを特徴とする。
【0009】
また、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの厚さを前記アクチュエータを固定した側の厚さより徐々に厚くしたことを特徴とする。
【0010】
また、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの幅を前記アクチュエータを固定した側の幅より徐々に狭くしたことを特徴とする。
【0011】
また、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネル面の外周部近傍に部分的に部分的に突起を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示装置付機器のケースの表示用窓枠に周縁部を支持され、前記表示装置の保護を兼ねる音響用振動板としての透明パネルと、この透明パネルを前記表示用窓枠に支持するためのサスペンションと、前記表示装置を避けて前記透明パネルの内面に固定され電気音響信号を機械振動に変換するアクチュエータとから成る平面スピーカにおいて、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの幅又は/及び厚さを前記アクチュエータを固定した側に対して部分的に変更したので、特に低周波数帯での音圧の低下を防止できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態である平面スピーカを示す平面図である。
【0014】
まず、本発明の第一の実施の形態である平面スピーカの構成を説明する。図1において、1は平面スピーカを示しており、2は透明パネルを示している。その他の構成は従来技術で説明したものと同様であるから、同一構成要素には同じ符号と名称と付して詳細な説明を省略する。透明パネル2は厚さは均一であるが、長辺の間隔(y方向の幅b)がアクチュエータ3を固定してある側から反対側(−x)へ向かうに従って狭くなっている。
【0015】
次に、本発明の第一の実施の形態の効果について説明する。アクチュエータ3を固定してある側の透明パネル2の面積に対して反対側の透明パネル2の面積が小さくなっているので、その分透明パネル2がたわみ難くなり、逆相発生音が小さくなる。これにより2kHz以下の音圧の打ち消し合いが減少して音圧を上げることができる。
【0016】
次に、本発明の第二の実施の形態である平面スピーカの構成を説明する。図2は第二の実施の形態である平面スピーカを示す平面図であり、図3は図2のA−A断面図である。図2及び図3において、11は平面スピーカを示しており、12はこのスピーカの透明パネルを示している。透明パネル12は、平面形状は従来のものと同様に略長方形をしているが、長辺方向(x方向)の厚さt(z方向)がアクチュエータ3を固定してある側から反対側(−x側)へ向かうにしたがって徐々に増している。その他の構成は第一の実施の形態で説明したものと同様であるから、同一構成要素には同じ符号と名称と付して詳細な説明を省略する。
【0017】
次に、本発明の第二の実施の形態の効果について説明する。アクチュエータ3を固定してある側の透明パネル12の厚さに対して反対側の透明パネル12の厚さが大きくなっているので、その分透明パネル12が硬く重くなって動き難くなり、逆相発生音が小さくなる。例えば厚さtを1mmから次第に厚くして1.5mmとなるようにした場合に、600Hz、1kHzにおいて3dB程度音圧が上昇している。図8の実線の波形がこのことを示している。
【0018】
次に、本発明の第三の実施の形態である平面スピーカの構成について説明する。図4は第三の実施の形態である平面スピーカを示す平面図であり、図5は図4のB−B断面を示す断面図である。図4、図5において、21は平面スピーカを示しており、22はこのスピーカの透明パネルを示している。透明パネル22は、従来のものと同様に略長方形をしており厚さも均一であるが、アクチュエータ3を固定してある側と反対側の長辺に沿ってサスペンション4の内側に当たる位置に一対の突条部であるリブ22aが形成されている。その他の構成は第一の実施の形態で説明したものと同様であるから、同一構成要素には同じ符号と名称と付して詳細な説明を省略する。突条部は必ずしもリブ22aに限定されるものではなく、表示の見やすさを妨げない限りにおいて透明パネル22の外周部近傍に部分的に設けた突起であってもよい。
【0019】
次に、本発明の第三の実施の形態の効果について説明する。アクチュエータ3を固定してある側と反対側の透明パネル22にリブ22aが形成されているので、その分透明パネル22が硬くなって動き難くなり逆相発生音が小さくなる。したがって、特に低周波数帯における音圧の低下を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の平面スピーカは、特に携帯電話やPDA等の小型携帯情報端末に広く応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施の形態である平面スピーカを示す平面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態である平面スピーカを示す平面図である。
【図3】図2のA−A断面を示す断面図である。
【図4】本発明の第三の実施の形態である平面スピーカを示す平面図である。
【図5】図4のB−B断面を示す断面図である。
【図6】従来の平面スピーカを組み込んだ携帯機器の要部平面図である。
【図7】図6のC−C断面を示す要部断面図である。
【図8】平面スピーカの音響特性を示す波形図である。
【符号の説明】
【0022】
1、11、21 平面スピーカ
2、12、22 透明パネル
3 アクチュエータ
4 サスペンション
22a リブ
t 厚さ
b 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置付機器のケースの表示用窓枠に周縁部を支持され、前記表示装置の表示面の保護を兼ねる音響用振動板としての透明パネルと、この透明パネルを前記表示用窓枠に支持するためのサスペンションと、前記表示装置を避けて前記透明パネルの内面に固定され電気音響信号を機械振動に変換するアクチュエータとから成る平面スピーカにおいて、前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの幅又は厚さを前記アクチュエータを固定した側に対して部分的に変更したことを特徴とする平面スピーカ。
【請求項2】
前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの厚さを前記アクチュエータを固定した側の厚さより徐々に厚くしたことを特徴とする請求項1記載の平面スピーカ。
【請求項3】
前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネルの幅を前記アクチュエータを固定した側の幅より徐々に狭くしたことを特徴とする請求項1記載の平面スピーカ。
【請求項4】
前記アクチュエータを固定した側とは反対側の前記透明パネル面の外周部近傍に部分的に突起を設けたことを特徴とする請求項1記載の平面スピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−94072(P2006−94072A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276242(P2004−276242)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】