平面型放電管
【課題】製造時において放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給を円滑に行うことができる平面型放電管を提供する。
【解決手段】両基板12,13間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する中間支持枠14を介装するようにした。そして中間支持枠14の外周縁部には当該中間支持枠14の他の部位よりも厚みを大きくした肉厚部、即ち突部33を両基板12,13に干渉しないように設けるようにした。この突部33を利用して両基板12,13間の距離以上の外径を有する給排気管Pを挿入可能とした給排気口31を設け、当該給排気口31に前記給排気管Pを固定するようにした。このため、給排気管Pの流路面積が確保され、放電空間に対する空気及び放電ガスの給排気を円滑に行うことができる。
【解決手段】両基板12,13間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する中間支持枠14を介装するようにした。そして中間支持枠14の外周縁部には当該中間支持枠14の他の部位よりも厚みを大きくした肉厚部、即ち突部33を両基板12,13に干渉しないように設けるようにした。この突部33を利用して両基板12,13間の距離以上の外径を有する給排気管Pを挿入可能とした給排気口31を設け、当該給排気口31に前記給排気管Pを固定するようにした。このため、給排気管Pの流路面積が確保され、放電空間に対する空気及び放電ガスの給排気を円滑に行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト、平面型蛍光ランプ及び平面型紫外線ランプ等に利用される平面型放電管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の平面型放電管としては次のような構成が知られている。即ち、図14(a)に示すように、平面型放電管51は、互いに所定間隔をおいて対向配置された一対のガラス基板52,52を備えている。両ガラス基板52,52の外面にはそれぞれ透明電極53,53が敷設されており、同じく両内面にはそれぞれ蛍光体54,54が塗布されている。両ガラス基板52,52はそれぞれの内面の周縁部においてガラス接着剤55により互いに接合されている。また、両ガラス基板52,52の内面の周縁部間がガラス接着剤55により封止されることにより、両ガラス基板52,52間には密閉された放電空間56が形成されている。この放電空間56内にはアルゴン及びネオン等の不活性ガス(放電ガス)が封入されている。そして、平面型放電管51の両透明電極53,53間に所定の電圧(高周波交流電圧)を印加すると、両透明電極53,53間の誘電体バリア放電により紫外線が発生し、この紫外線により前記蛍光体54が励起発光する。
【0003】
前記放電空間56への放電ガスの封入は次のようにして行われる。即ち、ガラス材により太管部61aと細管部61bとが形成されたチップ管61の細管部61bを、両ガラス基板52,52間の外周に予め形成された排気口62を介して前記放電空間56に挿入し、ガラス接着剤55により気密状に固定する。次に、チップ管61の外端部にゴム製の給排気管63の一端部を接続し、当該給排気管63の他端部に連結された真空ポンプ(図示略)を駆動させることにより放電空間56内の空気を外部に吸い出して当該放電空間56内を真空状態とする。この後、給排気管63の他端部を不活性ガス供給部(図示略)に接続し、チップ管61を介してアルゴン及びネオン等の不活性ガスを放電空間56内に供給する。最後に、チップ管61の細管部61bをバーナで焼き切る。すると、細管部61bの切断開口部はその周囲のガラス接着剤55及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間56内には不活性ガスが封入される。
【0004】
しかし、前記従来の平面型放電管においては、放電空間56内の空気の排気及び当該放電空間56への放電ガスの供給を行う場合、チップ管61は細管部61bにおいてガラス基板52に固定される。この細管部61bは排気口62を介して放電空間56内に挿入しなくてはならないため、非常に細く(即ち、両ガラス基板52,52間の距離よりも小径となるように)形成されている。従って、排気口62に細管部61bを介して固定されたチップ管61に給排気管63を接続する際等において、チップ管61が細管部61bにおいて非常に折れやすいという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、従来、チップ管61の両ガラス基板52,52に対する固定部分を2重管構造とした平面型放電管が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。即ち、図14(b)に示すように、内側チップ管71及び外側チップ管72の2種類のチップ管を予め用意する。内側チップ管71の外径は両ガラス基板52,52間の距離よりも小さくなるように形成されており、放電空間56内に挿入可能となっている。外側チップ管72は太管部72a及び当該太管部72aよりも小径の細管部72bを備えている。当該細管部72bの外径は両ガラス基板52,52間の距離よりも大きくなるように形成されており、放電空間56内に挿入不能となっている。放電空間56内に放電ガスを封入する際には、内側チップ管71の内端部を放電空間56に挿入固定した後、当該内側チップ管71の外端側に外側チップ管72の細管部72bを被せるように挿通し、細管部72bを両ガラス基板52,52に対して気密状に固定する。
【0006】
次に、この状態で、外側チップ管72の外端部に給排気管63の一端部を連結し、当該給排気管63の他端部に連結された前記真空ポンプの駆動により放電空間56内の空気を外部に吸い出して真空状態とする。次に、給排気管63の他端部を前記不活性ガス供給部に接続し、内側チップ管71及び外側チップ管72を介してアルゴン及びネオン等の不活性ガスを放電空間56内に供給する。最後に、外側チップ管72の細管部72bをバーナで焼き切る。すると、細管部72bの切断開口部は周囲のガラス接着剤55及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間56内には不活性ガスが封入される。
【0007】
このように、内側チップ管71を外側チップ管72で覆う2重管構造としたことにより、内側チップ管71及び外側チップ管72は破損しにくくなる。例えば、外側チップ管72へ給排気管63を接続する際、当該給排気管63の装着方向へ作用する力は外側チップ管72にのみ作用し、内側チップ管71に作用することはない。また、外側チップ管72は内側チップ管71よりもその外径が大きくされているので、当該内側チップ管71よりも大きな強度を有している。このため、図14(a)に示すように、細管部61bにおいてのみチップ管61を固定するようにした場合に比べて、給排気管63の取付け時等におけるチップ管、即ち内側チップ管71及び外側チップ管72の破損が低減する。
【特許文献1】特開2002−237258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記従来の平面型放電管においては、次のような問題があった。即ち、平面型放電管51の製造過程において、放電空間56内の空気の外部への吸い出し作業及び同じく不活性ガスの放電空間56内への供給作業は、いずれも内側チップ管71を介して行われる。そして、この内側チップ管71の外径は放電空間56に挿入可能となる程度、即ち両ガラス基板52,52間の距離よりも小さくなるように形成する必要があった。
【0009】
このため、内側チップ管71の外径の増大には限界があった。ここで、両ガラス基板52,52間の距離を増大させれば、それに応じて内側チップ管71の外径を大きくすることは可能である。しかし、両ガラス基板52,52間の距離は、平面型放電管51の放電特性に大きく影響し、予め設定された距離(放電距離)だけ確保する必要がある。従って、当該放電距離をむやみに増大させることもできない。このように、内側チップ管71の外径は両ガラス基板52,52間の放電距離に左右されていた。
【0010】
また近年では、例えば液晶ディスプレイ等の薄型化及び大型化に対する要求に伴い、当該液晶ディスプレイのバックライトとして使用される平面型放電管についてもいっそうの薄型化及び大型化が求められている。このため、両ガラス基板の離間距離の短縮化が進行する程ガラス基板の内面の加工精度(即ち表面粗さ)をよほど高めないと細いチップ管を両ガラス基板間に挿入することは困難である。そしてこのような細いチップ管を使用する場合には放電空間内の空気の円滑な排気及び放電空間内への放電ガスの円滑な供給も困難となる。これはチップ管の縮径化に伴い、当該チップ管の流路面積が小さくなるからである。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、製造時において放電空間内の空気の排出及び放電空間内への放電ガスの供給を円滑に行うことができる平面型放電管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、互いに対向する一対の透明な誘電体平板間の周縁部間を封止することにより両誘電体平板間に放電空間を形成し、当該放電空間に連通するように配置された給排気管を使用して当該放電空間内の空気と所定の放電ガスとを置換するようにした平面型放電管において、前記両誘電体平板間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する透明な誘電体支持枠を介装し、前記誘電体支持枠の外周縁部には当該誘電体支持枠の他の部位よりも肉厚を大きくした肉厚部を両誘電体平板に干渉しないように設けると共に、当該肉厚部を利用して前記両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管を挿入可能とした給排気口を設け、当該給排気口に前記給排気管を固定するようにしたことをその要旨とする。
【0013】
この発明によれば、誘電体支持枠の給排気口には両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管が挿入固定される。このため、例えば給排気管を両誘電体平板間(即ち、放電空間)に側方から挿入するようにした場合に比べて、給排気管の外径、ひいては内径を大きくすることができる。従って、平面型放電管の製造時において放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給が円滑に行われる。また、両誘電体平板間の距離によらず給排気管を取り付けることができるので、平面型放電管の放電特性に影響を与えることもない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記肉厚部は誘電体支持枠の上面又は下面に形成された突部とすると共に誘電体支持枠の突部が形成された面に重ね合わせられる誘電体平板には当該突部の逃げ部を設けることにより突部と誘電体平板とが干渉しないようにし、前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から誘電体支持枠の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管を挿入可能とした凹部と、当該凹部と誘電体支持枠の内側との間を連通すると共に前記凹部よりも浅い溝部とを形成し、さらに前記凹部と溝部との間には当該凹部の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面を形成し、前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面に重ね合わせられた誘電体平板と、前記凹部と、前記溝部とにより囲まれた空間部を前記給排気口として構成するようにしたことをその要旨とする。
【0015】
この発明によれば、給排気口に給排気管を挿入する際、給排気管の給排気口に対する挿入方向への移動は給排気管の先端面下部が勾配面の下部に当接することにより規制される。この状態において給排気管の先端面と勾配面との間には所定の間隙が形成されるので、給排気効率が確保される。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠は四角枠状に形成すると共に当該誘電体支持枠の4つの隅角部のうち少なくとも1つには当該誘電体支持枠の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部を形成し、当該誘電体支持枠の面取り部に対応する部位に前記肉厚部を形成するようにしたことをその要旨とする。
【0017】
この発明によれば、肉厚部を誘電体支持枠の隅角部に設けられるので当該肉厚部は目立ちにくくなる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の平面型放電管において、前記肉厚部は前記面取り部の全長にわたって設けるようにしたことをその要旨とする。
【0018】
この発明によれば、面取り部の強度が確保される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠の内側には、前記放電空間を複数の放電セルに区画すると共に前記両誘電体平板を支持する単数又は複数の誘電体リブを配置し、前記誘電体リブには隣り合う前記放電セル間を連通する連通口を形成するようにしたことをその要旨とする。
【0019】
この発明によれば、誘電体リブにより区画形成された放電セル間が連通口を介して連通するので、平面型放電管の製造時における放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給がいっそう円滑に行われる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠の上面及び下面の外縁側には該外縁に沿うように連続する段差部を形成し、当該段差部に塗布された接着剤により両誘電体平板と中間支持枠とを接合するようにしたことをその要旨とする。
【0021】
この発明によれば、両誘電体平板と誘電体支持枠とを接合する際には、段差部に塗布された接着剤により当該誘電体支持枠と両誘電体平板とが接合される。誘電体支持枠の上面及び下面における内縁側には接着剤は塗布されることはなく誘電体平板の内面に直接的に当接する。このため、両誘電体平板の間隔は誘電体支持枠の厚み(正確には誘電体支持枠の上面の内縁側と下面の内縁側との間の距離)により決まる。即ち、両誘電体平板の間隔は接着剤の塗布量に影響されることなく一定となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記両誘電体平板の外面にはそれぞれ透明な電極を敷設して当該両電極間に所定の電圧を印加することにより前記放電空間内に放電を発生させるようにし、前記誘電体支持枠の外周面が前記両誘電体平板の外周面に対して内側又は外側に位置するように当該誘電体支持枠及び両誘電体平板をそれぞれ設けるようにしたことをその要旨とする。
【0023】
この発明によれば、両誘電体平板の表面にそれぞれ配設された電極間の沿面距離が確保される。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜請求項7のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記両誘電体平板のいずれか一方の外面を前記放電空間内の放電により発生した光を取り出す発光面とし、前記突部は前記誘電体支持枠の前記発光面を備えた誘電体平板とは反対側の面に形成するようにしたことをその要旨とする。
【0024】
この発明によれば、平面型放電管を発光面側から見たときの外観性が向上する。
請求項9に記載の発明は、請求項3〜請求項8のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記給排気口に挿入固定された給排気管の外端部が前記面取り部と当該面取り部の両隣に位置する誘電体支持枠の外側面を含む仮想平面とに囲まれた領域から突出しないように、当該給排気管を設けるようにしたことをその要旨とする。
【0025】
この発明によれば、例えば平面型放電管を運搬する際において、平面型放電管の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管の外端部は平面型放電管の当該側面から突出することがないので、給排気管が前記物体に接触することはない。従って、平面型放電管の運搬時における給排気管の損傷が抑制される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製造時において放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の平面型放電管を例えば車両用の天井灯として使用される平面型蛍光ランプに具体化した一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示すように、平面型放電管11は対向配置された一対の長方形の基板12,13及び両基板12,13間に配置された中間支持枠14を備えている。
【0028】
両基板12,13は透明ガラス等の誘電体により同一寸法の板状に形成されている。そして両基板12,13の互いに対向する内面にはそれぞれ薄膜状の蛍光体層15(図1では基板13の蛍光体層15のみ図示する。)が設けられている。この蛍光体層15は両基板12,13の内面における外周縁部を除いた部位に設けられている。蛍光体層15は例えば赤,緑,青の3色が混合されたものが使用されている。また、両基板12,13の外面にはそれぞれ薄膜状の透明電極16(図1では基板12の透明電極16のみ図示する。)が設けられている。この透明電極16は両基板12,13の外面における外周部を除いた部位に設けられている。透明電極16は例えば酸化インジウムスズ、酸化スズ又は酸化亜鉛をスパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相蒸着法)により堆積させること又は塗布することにより形成されている。
【0029】
中間支持枠14は透明ガラス等の誘電体により一体形成されており、全体として簀の子状をなしている。具体的には、中間支持枠14は長方形の外枠21を備えており、その内側には外枠21の長手方向へ延びる複数本の長尺状の支持部材22が外枠21の短手方向において所定間隔毎に平行配置されている。支持部材22の一側縁(基板12側の側縁)における一端寄りには長方形状の切欠23が形成されている。外枠21の上面及び下面における外縁側にはそれぞれ四角環状の段差部24が連続して形成されており、これにより外枠21の上面及び下面における内縁側には四角環状の突条25が連続して形成されている。
【0030】
図2(a),(b)に示すように、両基板12,13と中間支持枠14とは、両基板12,13の内面の蛍光体層15がない周縁部と中間支持枠14の外枠21の上下両面との間でそれぞれガラス接着剤Gにより気密状に接合されている。具体的には、両基板12,13の周縁部と中間支持枠14の外枠21とは段差部24に塗布したガラス接着剤Gにより封着される。外枠21の段差部24よりも内縁側に位置する突条25の先端縁は両基板12,13の内面にそれぞれ当接している。
【0031】
両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、両基板12,13の内面は互いに平行をなすと共に、一方の基板12の内面と他方の基板13の内面とが予め設定された放電距離d1だけ離間するように、外枠21の厚み(即ち突条25の先端縁間の距離)は設定されている。このように両基板12,13の対向間隔はそれらの内面側に当接した中間支持枠14の外枠21の厚み(即ち突条25の先端縁間の距離)により決まる。このため、両基板12,13と中間支持枠14との封着部分におけるガラス接着剤の量に影響されることなく両基板12,13の対向間隔、即ち放電距離d1は一定に保たれる。ちなみに、ガラス接着剤は、封着対象(ここでは透明ガラス等の誘電体)よりも低融点のガラスフリットをビヒクル(展色剤)に混合したペースト材であり、ペースト形態で接着作用を発揮し、焼成によって溶剤が蒸発するとともに溶融ガラス化する。
【0032】
また両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、両基板12,13及び中間支持枠14により密閉された放電空間Sが形成されており、当該放電空間Sは各支持部材22により複数の放電セルSa,Sb,Sc,Sd,Se,Sfに区画されている。各放電セルSa〜Sf間は前記切欠23により相互に連通している。さらに、両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、中間支持枠14の外周面と両基板12,13の外周面とは面一になるように両基板12,13及び中間支持枠14はそれぞれ形成されている。
【0033】
放電空間S内には中間支持枠14の外枠21を貫通した給排気管(チップ管)Pを使用して放電ガスとしてキセノンガス(Xe)等の不活性ガス又はキセノンガスを含む混合ガスが封入されている。放電空間S内の放電ガスのガス圧は大気圧よりも低く設定されている。ここで、図2(b)に示されるように、各支持部材22の上下2つの側縁部はそれらの全長にわたってそれぞれ蛍光体層15を介して両基板12,13の内面に当接している。即ち、両基板12,13の外枠21に対応しない内側領域は各支持部材22により支持されている。
【0034】
このため、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に起因する両基板12,13の互いに近接する方向への変形(撓み)は中間支持枠14により規制される。具体的には両基板12,13の周縁部の互いに近接する方向への変形は外枠21により規制され、同じく周縁部よりも内側の部位の互いに近接する方向への変形は各支持部材22により規制される。従って、真空容器としての平面型放電管11の耐圧強度が確保される。即ち、両基板12,13がそれぞれ外枠21及び各支持部材22によって支持されることにより、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に対する真空容器としての平面型放電管11の剛性が確保される。尚、前記給排気管Pの外枠21に対する取付け構造については後に詳述する。
【0035】
さて、前述のように構成された平面型放電管11において、両透明電極16,16間に所定の電圧(例えば1〜3kV)を印加すると、両透明電極16,16間に形成された放電空間S(各放電セルSa〜Sf)内の放電(誘電体バリヤ放電)により紫外線が発生する。この紫外線は蛍光体層15によって可視光に変換されて照明光となり、両基板12,13の外面(以下、「発光面」という。)から外部に放射される。ここで、蛍光体層15は赤,緑,青の3色が混合されたものが使用されているので、前記発光面から白色光が照射される。また、各支持部材22の厚みは、両基板12,13の発光面における所定の有効照射面積が確保される程度に設定されているので、良好な発光状態が得られる。さらに、両基板12,13が各支持部材22によって支持されることにより、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に対する平面型放電管11の剛性が確保される。このため、放電空間S内のガス圧と大気圧との内外圧力差による両基板12,13の内方への撓みが抑制され、両透明電極16,16間の距離及び両基板12,13間の距離(放電距離d1)はそれぞれ一定に保たれる。その結果、放電距離d1のばらつきに伴う放電特性のばらつきが抑制され、安定した放電が得られる。
【0036】
尚、本実施形態では、平面型放電管11は基板12が車両の室内側を向くように、また基板13が車両の天井側を向くように配設されており、基板12の外面が光を取り出す発光面とされている。この基板12の外面から出射した光により車両の室内が照明される。
【0037】
<給排気管の取付け構造>
次に、給排気管Pの中間支持枠14に対する取付け構造について詳述する。図3に示すように、中間支持枠14の外枠21の隅角部と基板12との間には給排気口31が形成されており、当該給排気口31に先端部が上下方向から押し潰された扁平状をなす給排気管Pが挿入固定されている。即ち、中間支持枠14の4つの隅角部のうちのいずれか1つ(本実施形態では、放電セルSaに対応する隅角部)には面取り部32が形成されている。この面取り部32は、中間支持枠14の外枠21において互いに隣り合う2つの外側面にそれぞれ交わるように延設されている。外枠21の下面(基板13側の側面)において、面取り部32に対応する隅角部には突部33が当該面取り部32に沿うように形成されている。図4(a)に一点鎖線で併せ示すように、当該突部33は平面視台形状に形成されている。また図4(b)に併せ示すように、外枠21において、突部33が形成された部位は当該外枠21の他の部位よりも厚みが大きい肉厚部とされている。突部33の内側面(図4(b)における左側側面)には下方に向かうにつれて外側(図4(b)における右側側面)に傾斜する傾斜面33aが形成されており、当該傾斜面33aと外枠21の下面に形成された段差部24とは鈍角をなしている。
【0038】
外枠21において突部33に対応する外縁側の中央には収容凹部34が当該外枠21の上面から側面(面取り部32)にわたって開口形成されている。即ち、外枠21には前記肉厚部を利用して収容凹部34が形成されている。収容凹部34は平面から見たとき外側に開口するコの字状をなしている。収容凹部34の内側面には、突部33の延びる方向において互いに対向する勾配面34a,34b及び両勾配面34a,34b間をそれらの奥側において連結する勾配面34cが形成されている。各勾配面34a,34b,34cはそれぞれ上方に向かうにつれて外側に拡がるように形成されている。具体的には、図6に示すように、互いに対向する一対の勾配面34a,34bは上方に向かうにつれて離間するように傾斜しており、勾配面34cは上方へ向かうにつれて外枠21の内方へ傾斜している。図4(b)に示されるように、収容凹部34の内底面は平坦面とされており、当該内底面と各勾配面34a,34b,34cとのなす角度θ(図4(b)では収容凹部34の内底面と勾配面34cとのなす角度θのみを示す。)は鈍角に設定されている。
【0039】
また、外枠21の上面(基板12側の側面)において突部33に対応しない内縁側の中央には溝35が収容凹部34と外枠21の内側との間を連通するように形成されている。図4(b)に示されるように、溝35の深さd2は収容凹部34の深さd3よりも浅くなるように設定されている(d2<d3)。
【0040】
図5に示すように、収容凹部34の深さd3、即ち外枠21における突条25の上面と当該収容凹部34の内底面との間の距離は、両基板12,13の離間距離である放電距離d1よりも大きくされている。中間支持枠14の肉厚部、即ち突部33を利用することにより収容凹部34の深さd3を放電距離d1よりも大きくすることが可能となっている。そして、収容凹部34と基板12とから構成される給排気口31には、両基板12,13間の距離である放電距離d1以上且つ収容凹部34の深さd3以下の外径d4を有する給排気管Pの先端扁平部位が挿入可能となっている(d1<d4<d3)。また、溝35と基板12とにより放電空間Sの内部と給排気口31とを連通する連通路W1が形成されている。
【0041】
給排気口31には給排気管Pの先端扁平部位が外方から挿入され、ガラス接着剤Gにより固定されている。給排気管Pの給排気口31への挿入方向の移動は当該給排気管Pの先端下部が収容凹部34の勾配面34cの下部に当接することにより規制される。この給排気管Pの下部と勾配面34cの下部とが係合した状態において、当該給排気管Pの先端面と勾配面34cとの間には三角形状の中継空間W2が形成されている。即ち、放電空間Sの内部と給排気管Pの内部とは連通路W1及び中継空間W2を介して連通している。
【0042】
尚、基板12において中間支持枠14の面取り部32に対応する角隅部には面取り部12aが形成されている。この面取り部12aは基板12の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに当該中間支持枠14の面取り部32と一致するように形成されている。また、基板13において中間支持枠14の面取り部32に対応する角隅部には突部33に対する逃げ部として面取り部13aが形成されている。即ち、この面取り部13aは基板13の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに当該中間支持枠14の突部33に干渉しないように形成されている。本実施形態では、基板13の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに、基板13の面取り部13aは傾斜面33aの基端縁に沿うように位置する。そして、両基板12,13及び中間支持枠14を重ね合わせた状態において、突部33の先端面(下面)は基板13の表面よりも突出している。
【0043】
また図4(a)に二点鎖線で示すように、給排気管Pは、その外端部が面取り部32(正確には、その外面)と、当該面取り部32の両隣に位置する外枠21の外面を含む一対の仮想平面Sx,Syに囲まれる領域からはみ出さないように設けられている。これにより、例えば中間支持枠14、ひいては平面型放電管11の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管Pの外端部は当該平面型放電管11の当該側面から突出することがないので、当該給排気管Pが前記物体に接触することが回避される。
【0044】
<放電ガスの封入>
次に、平面型放電管11の放電空間S内の空気の排出作業及び当該放電空間S内への放電ガスの供給作業について説明する。平面型放電管11の製造過程において、放電空間S内の空気を放電ガスに置換する際には、まずガラス接着剤Gを塗布した給排気管Pを給排気口31に外方から挿入し、この状態で焼成することにより当該給排気管Pを給排気口31に気密状に固定する。そして、給排気口31に固定された給排気管Pの外端部に、一端部が真空ポンプ(図示略)に接続された連結管(図示略)の他端部を連結し、当該真空ポンプの駆動により放電空間S内の空気を外部に吸い出して真空状態とする。放電空間S内の空気、正確には各放電セルSa〜Sf内の空気は切欠23を介して連通路W1が開口している放電セル(本実施形態では、放電セルSa)、連通路W1、中継空間W2及び給排気管Pを介して外部に円滑に排出される。
【0045】
次に、前記連結管の一端部を前記真空ポンプから取り外し、その取り外した一端部を不活性ガス供給装置(図示略)に接続する。そして当該不活性ガス供給装置を駆動して、放電ガスを放電空間S内に給排気管Pを介して供給する。前記不活性ガス供給装置からの放電ガスは給排気管P、中継空間W2及び連通路W1を介して放電セルSa内に供給され、当該放電セルSa内に供給された放電ガスは各支持部材22の切欠23を介して放電セルSb→放電セルSc→放電セルSd→放電セルSe→放電セルSfの順に供給される。各支持部材22にそれぞれ切欠23が形成されていることにより放電ガスは各放電セルSa〜Sf内に円滑に行き渡る。各放電セルSa〜Sf内への放電ガスの供給の完了後、給排気管Pの途中をバーナで焼き切る。すると、図5に示されるように、給排気管Pの切断開口部は周囲のガラス接着剤G及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間S内には不活性ガスが封入される。
【0046】
放電空間Sに対する空気及び放電ガスの給排気効率は給排気管Pの内径に大きく依存する。即ち、給排気管Pの内径が大きくなるほど流路面積は大きくなり、空気及び放電ガスはそれぞれ当該給排気管Pを流通しやすくなる。本実施形態の給排気管Pの外径d4は、両基板12,13の離間距離である放電距離d1よりも大きく設定されている。このため、給排気管Pの外径d4を放電空間S内に挿入可能な程度に設定するようにした場合と異なり、給排気管Pの流路面積が確保される。従って、放電空間S内の空気の排出及び放電空間S内への放電ガスの供給が円滑に行われる。
【0047】
<実施形態の効果>
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)両基板12,13間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する中間支持枠14を介装するようにした。そして中間支持枠14の外周縁部には当該中間支持枠14の他の部位よりも厚みを大きくした肉厚部、即ち突部33を両基板12,13に干渉しないように設けるようにした。この突部33を利用して両基板12,13間の距離以上の外径を有する給排気管Pを挿入可能とした給排気口31を設け、当該給排気口31に前記給排気管Pを固定するようにした。このため、給排気管Pの外径d4、ひいては流路面積が確保され、放電空間Sに対する空気及び放電ガスの給排気を円滑に行うことができる。
【0048】
(2)中間支持枠14の突部33が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から中間支持枠14の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管Pを挿入可能とした収容凹部34と、当該収容凹部34と中間支持枠14の内側とを連通すると共に収容凹部34よりも浅い溝35とを形成するようにした。また収容凹部34と溝35との間には当該収容凹部34の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面34cを形成するようにした。そして中間支持枠14の突部33が形成された面と反対側の面に重ね合わせられる基板12と収容凹部とによって囲まれた空間部が給排気口31として構成されるようにした。
【0049】
このため、給排気口31に給排気管Pを挿入する際、給排気管Pの給排気口31に対する挿入方向への移動は給排気管Pの先端面下部が勾配面34cの下部に当接することにより規制される。この状態において給排気管Pの先端面と勾配面34cとの間には所定の間隙(即ち中継空間W2)が形成されるので、放電空間Sに対する空気の排出及び放電ガスの供給をいっそう円滑に行うことができる。また給排気管Pの先端部と勾配面34cとが当接することにより、当該給排気管Pの給排気口31に対する挿入方向における位置決めが容易になされる。
【0050】
(3)中間支持枠14は四角枠状に形成すると共に当該中間支持枠14の4つの隅角部のうちのいずれか1つには当該中間支持枠14の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部32を形成し、当該中間支持枠14の面取り部32に対応する部位に突部33を形成するようにした。このため、例えば突部33を側縁部の中央に形成するようにした場合に比べて当該突部33、ひいては当該突部33を利用して形成された給排気口31に挿入された給排気管Pを極力目立たなくすることができる。従って、平面型放電管11の意匠性を向上させることができる。
【0051】
(4)突部33は面取り部32の全長にわたって設けるようにした。このため、面取り部32の剛性が高められる。
(5)中間支持枠14の内側、具体的には外枠21の内側には、放電空間Sを複数の放電セルSa〜Sfに区画すると共に両基板12,13を支持する複数の支持部材22を配置するようにした。そして各支持部材22にはそれぞれ隣り合う前記放電セル間(例えば放電セルSaと放電セルSbとの間、放電セルSbと放電セルScとの間)を連通する連通口として切欠23を形成するようにした。各支持部材22により区画形成された放電セル間が切欠23を介して連通するので、平面型放電管11の製造時における放電空間Sに対する空気の排出及び放電ガスの供給がいっそう円滑に行われる。
【0052】
(6)中間支持枠14、正確には外枠21の上面及び下面の外縁側には当該外縁に沿うように連続する四角環状の段差部24を形成するようにした。そして、両基板12,13と中間支持枠14とを接合する際には、段差部24に塗布されたガラス接着剤Gにより両基板12,13と中間支持枠14とを接合するようにした。外枠21の上面及び下面における内縁側にはガラス接着剤Gは塗布されることはなく両基板12,13の内面に直接的に当接する。このため、両基板12,13の間隔は中間支持枠14の厚み、正確には外枠21の上面の内縁側及び下面の内縁側との間の距離により決まる。従って、両基板12,13の間隔、即ち放電距離d1はガラス接着剤Gの塗布量に影響されることなく一定となる。その結果、放電空間Sにおける放電も安定する。
【0053】
(7)両基板12,13のうち一方の基板12の外面を放電空間S内の放電により発生した光を取り出す発光面とした。そして突部33は外枠21の基板12とは反対側の面に形成するようにした。このため、平面型放電管11を発光面側(基板12側)から見たときの外観性が向上する。本実施形態のように、平面型放電管11を車両の天井灯として使用する場合、当該平面型放電管11は発光面が車両の室内を向くように配置されることが多い。そのような設置状態においては、発光面と反対側に位置する基板13側に突部33を設けることが好ましい。
【0054】
(8)給排気口31に挿入固定された給排気管Pの外端部が面取り部32と当該面取り部32の両隣に位置する中間支持枠14(外枠21)の外側面を含む仮想平面Sx,Syとに囲まれた領域から突出しないようにした。このため、例えば平面型放電管11を運搬する際において、平面型放電管11の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管Pの外端部は平面型放電管11の当該側面から突出することがないので、給排気管Pが前記物体に接触することが回避され、当該給排気管Pの破損を抑制することができる。
【0055】
(9)突部33の内側面には下方に向かうにつれて外側に傾斜する傾斜面33aを形成するようにした。このため、平面型放電管11の製造時において、中間支持枠14と基板13とを重ね合わせる際、基板13の面取り部13aは傾斜面33aに案内されて中間支持枠14の下面と接する所定位置に位置決めされる。従って、平面型放電管11の製造効率が向上する。
【0056】
(10)給排気管Pは給排気口31に挿入した状態で固定されている。即ち、給排気管Pは収容凹部34及び基板12により支持された状態でガラス接着剤Gにより固定されている。このため、給排気管Pの支持強度が確保される。
【0057】
(11)収容凹部34の内面には上方へ向かうにつれて拡開する勾配面34a,34bを形成するようにした。このため、給排気管Pは収容凹部34の底部において安定して保持される。
【0058】
(12)両基板12,13は何ら凹凸が形成されていない平板状に形成されている。このため、全体で見たときは多少湾曲している場合もあるものの、局所的に見た場合にはかなりの平坦度が得られる。このように両基板12,13の寸法精度が確保されることにより、両基板12,13間の放電距離d1のばらつきも抑制され、安定した放電が得られる。
【0059】
<他の実施形態>
尚、前記実施形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本実施形態では、突部33を面取り部32の全長にわたって設けるようにしたが、図7に示すように、収容凹部34に対応する部位にのみに突部33を形成するようにしてもよい。
【0060】
・図8に示すように、中間支持枠14において収容凹部34及び溝35が形成された部位を別部材とし、ガラス接着剤等により互いに接合するようにしてもよい。この場合、収容凹部34及び溝35を含む別部材は例えば型成型される。中間支持枠14の残りの部位は加熱成形により形成される。
【0061】
・本実施形態では、中間支持枠14の外周面と両基板の外周面とを面一にしたが、図9(a)に示すように、中間支持枠14の外周面が両基板12,13の外周面に対して外側に位置するように当該中間支持枠14及び両基板12,13をそれぞれ設けるようにしてもよい。また、図9(b)に示すように、中間支持枠14の外周面が両基板12,13の外周面に対して内側に位置するように当該中間支持枠14及び両基板12,13をそれぞれ設けるようにしてもよい。このようにすれば、両基板12,13の外面にそれぞれ配設された両透明電極16,16の端縁間の沿面距離が確保される。このため、平面型放電管11の表面に導電性の汚損物質等が付着した際における両透明電極16,16間の沿面放電の発生が抑制される。
【0062】
・中間支持枠14の面取り部32を省略し、図10に示すように、外枠21の4つの側縁部のうちのいずれかの上面又は下面において、例えばその中央部に突部33を設け、当該突部33を利用して収容凹部34を形成するようにしてもよい。この場合、基板12又は基板13は突部33に干渉しないように逃げ部を形成する。逃げ部の構成としては例えば四角形状の切欠41が採用可能である。
【0063】
・本実施形態では中間支持枠14の基板13側の面に突部33を形成するようにしたが、図11に示すように、基板13と反対側の基板12側に突部33を形成し、当該該突部33を利用して給排気口31(収容凹部34)を形成するようにしてもよい。
【0064】
・また、図12(a),(b)に示すように、中間支持枠14の上面及び下面の双方に突出するように突部33を設け、当該突部33を利用して中間支持枠14を貫通する給排気口31を形成するようにしてもよい。このようにすれば、突部33を中間支持枠14の上面又は下面の一方にのみ突出させるようにした場合に比べて、突部33の中間支持枠14の上面又は下面からの突出高さを極力低く抑えることができる。
【0065】
・本実施形態では、中間支持枠14に突部33を設けるようにしたが、図13に示すように、基板12又は基板13に突部33を設け、当該突部33を利用して収容凹部34を形成するようにしてもよい。
【0066】
・本実施形態では、平面型放電管11を、キセノンが放電時に発生する真空紫外線を蛍光体層15に照射して可視光を得る照明用ランプとして使用したが、次のようにしてもよい。即ち、蛍光体層15を省略して、キセノンが放電時に発生する真空紫外線を得る紫外線ランプとして平面型放電管11を使用するようにしてもよい。
・本実施形態では、単一の給排気口31を設けるようにしたが、2つ、3つ又はそれ以上の複数の給排気口31を設けるようにしてもよい。
【0067】
・面取り部32及び突部33は中間支持枠14の4つの隅角部のうちいずれに設けてもよい。
・本実施形態では、平面型放電管11を平面型蛍光ランプとして車両の天井灯に使用するようにしたが、例えば液晶表示装置のバックライト及び住宅用の照明用ランプとして使用するようにしてもよい。
【0068】
・本実施形態では、平面型放電管11を両基板12,13の表面からそれぞれ光が取り出せる両面発光タイプとしたが、一方の基板12又は基板13を不透明にしたり、一方の基板12又は基板13側に遮光部材を設けたりして片面発光タイプとしてもよい。また、一方の基板12又は基板13側に反射部材を設けて他方の基板13又は基板12側に光を反射させるようにしてもよい。
【0069】
・給排気管Pの断面形状を全長にわたって扁平の楕円状としてもよい。このようにしても、給排気管Pの流路面積を確保することができる。また平面型放電管11の薄型化にも好適に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態の平面型放電管の分解斜視図。
【図2】(a)は図1における1−1線断面図、(b)は図1における2−2線断面図。
【図3】本実施形態の平面型放電管の要部を拡大した分解斜視図。
【図4】(a)は本実施形態の中間支持枠の要部平面図、(b)は図4(a)の3−3線断面図。
【図5】本実施形態の平面型放電管の要部正断面図。
【図6】同じく平面型放電管を給排気口側から見た側面図。
【図7】他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図8】他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図9】(a),(b)はそれぞれ他の実施形態の平面型放電管の要部側断面図。
【図10】他の実施形態の平面型放電管の要部分解斜視図。
【図11】他の実施形態の平面型放電管の要部側面図。
【図12】(a)は他の実施形態の平面型放電管の要部側面図、(b)は他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図13】他の実施形態の平面型放電管の要部側面図。
【図14】(a),(b)はそれぞれ従来の平面型放電管の要部正断面図。
【符号の説明】
【0071】
11…平面型放電管、12,13…基板(誘電体平板)、
13a…逃げ部を構成する面取り部、14…中間支持枠(誘電体支持枠)、
16…透明電極(電極)、22…支持部材(誘電体リブ)、
23…連通口を構成する切欠、24…段差部、31…給排気口、32…面取り部、
33…肉厚部を構成する突部、34…収容凹部(凹部)、35…溝部、34c…勾配面、41…逃げ部を構成する切欠、d4…外径、G…ガラス接着剤(接着剤)、
P…給排気管、S…放電空間、Sa,Sb,Sc,Sd,Se,Sf…放電セル、
Sx,Sy…仮想平面、θ…角度。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト、平面型蛍光ランプ及び平面型紫外線ランプ等に利用される平面型放電管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の平面型放電管としては次のような構成が知られている。即ち、図14(a)に示すように、平面型放電管51は、互いに所定間隔をおいて対向配置された一対のガラス基板52,52を備えている。両ガラス基板52,52の外面にはそれぞれ透明電極53,53が敷設されており、同じく両内面にはそれぞれ蛍光体54,54が塗布されている。両ガラス基板52,52はそれぞれの内面の周縁部においてガラス接着剤55により互いに接合されている。また、両ガラス基板52,52の内面の周縁部間がガラス接着剤55により封止されることにより、両ガラス基板52,52間には密閉された放電空間56が形成されている。この放電空間56内にはアルゴン及びネオン等の不活性ガス(放電ガス)が封入されている。そして、平面型放電管51の両透明電極53,53間に所定の電圧(高周波交流電圧)を印加すると、両透明電極53,53間の誘電体バリア放電により紫外線が発生し、この紫外線により前記蛍光体54が励起発光する。
【0003】
前記放電空間56への放電ガスの封入は次のようにして行われる。即ち、ガラス材により太管部61aと細管部61bとが形成されたチップ管61の細管部61bを、両ガラス基板52,52間の外周に予め形成された排気口62を介して前記放電空間56に挿入し、ガラス接着剤55により気密状に固定する。次に、チップ管61の外端部にゴム製の給排気管63の一端部を接続し、当該給排気管63の他端部に連結された真空ポンプ(図示略)を駆動させることにより放電空間56内の空気を外部に吸い出して当該放電空間56内を真空状態とする。この後、給排気管63の他端部を不活性ガス供給部(図示略)に接続し、チップ管61を介してアルゴン及びネオン等の不活性ガスを放電空間56内に供給する。最後に、チップ管61の細管部61bをバーナで焼き切る。すると、細管部61bの切断開口部はその周囲のガラス接着剤55及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間56内には不活性ガスが封入される。
【0004】
しかし、前記従来の平面型放電管においては、放電空間56内の空気の排気及び当該放電空間56への放電ガスの供給を行う場合、チップ管61は細管部61bにおいてガラス基板52に固定される。この細管部61bは排気口62を介して放電空間56内に挿入しなくてはならないため、非常に細く(即ち、両ガラス基板52,52間の距離よりも小径となるように)形成されている。従って、排気口62に細管部61bを介して固定されたチップ管61に給排気管63を接続する際等において、チップ管61が細管部61bにおいて非常に折れやすいという問題があった。
【0005】
この問題を解決するために、従来、チップ管61の両ガラス基板52,52に対する固定部分を2重管構造とした平面型放電管が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。即ち、図14(b)に示すように、内側チップ管71及び外側チップ管72の2種類のチップ管を予め用意する。内側チップ管71の外径は両ガラス基板52,52間の距離よりも小さくなるように形成されており、放電空間56内に挿入可能となっている。外側チップ管72は太管部72a及び当該太管部72aよりも小径の細管部72bを備えている。当該細管部72bの外径は両ガラス基板52,52間の距離よりも大きくなるように形成されており、放電空間56内に挿入不能となっている。放電空間56内に放電ガスを封入する際には、内側チップ管71の内端部を放電空間56に挿入固定した後、当該内側チップ管71の外端側に外側チップ管72の細管部72bを被せるように挿通し、細管部72bを両ガラス基板52,52に対して気密状に固定する。
【0006】
次に、この状態で、外側チップ管72の外端部に給排気管63の一端部を連結し、当該給排気管63の他端部に連結された前記真空ポンプの駆動により放電空間56内の空気を外部に吸い出して真空状態とする。次に、給排気管63の他端部を前記不活性ガス供給部に接続し、内側チップ管71及び外側チップ管72を介してアルゴン及びネオン等の不活性ガスを放電空間56内に供給する。最後に、外側チップ管72の細管部72bをバーナで焼き切る。すると、細管部72bの切断開口部は周囲のガラス接着剤55及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間56内には不活性ガスが封入される。
【0007】
このように、内側チップ管71を外側チップ管72で覆う2重管構造としたことにより、内側チップ管71及び外側チップ管72は破損しにくくなる。例えば、外側チップ管72へ給排気管63を接続する際、当該給排気管63の装着方向へ作用する力は外側チップ管72にのみ作用し、内側チップ管71に作用することはない。また、外側チップ管72は内側チップ管71よりもその外径が大きくされているので、当該内側チップ管71よりも大きな強度を有している。このため、図14(a)に示すように、細管部61bにおいてのみチップ管61を固定するようにした場合に比べて、給排気管63の取付け時等におけるチップ管、即ち内側チップ管71及び外側チップ管72の破損が低減する。
【特許文献1】特開2002−237258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前記従来の平面型放電管においては、次のような問題があった。即ち、平面型放電管51の製造過程において、放電空間56内の空気の外部への吸い出し作業及び同じく不活性ガスの放電空間56内への供給作業は、いずれも内側チップ管71を介して行われる。そして、この内側チップ管71の外径は放電空間56に挿入可能となる程度、即ち両ガラス基板52,52間の距離よりも小さくなるように形成する必要があった。
【0009】
このため、内側チップ管71の外径の増大には限界があった。ここで、両ガラス基板52,52間の距離を増大させれば、それに応じて内側チップ管71の外径を大きくすることは可能である。しかし、両ガラス基板52,52間の距離は、平面型放電管51の放電特性に大きく影響し、予め設定された距離(放電距離)だけ確保する必要がある。従って、当該放電距離をむやみに増大させることもできない。このように、内側チップ管71の外径は両ガラス基板52,52間の放電距離に左右されていた。
【0010】
また近年では、例えば液晶ディスプレイ等の薄型化及び大型化に対する要求に伴い、当該液晶ディスプレイのバックライトとして使用される平面型放電管についてもいっそうの薄型化及び大型化が求められている。このため、両ガラス基板の離間距離の短縮化が進行する程ガラス基板の内面の加工精度(即ち表面粗さ)をよほど高めないと細いチップ管を両ガラス基板間に挿入することは困難である。そしてこのような細いチップ管を使用する場合には放電空間内の空気の円滑な排気及び放電空間内への放電ガスの円滑な供給も困難となる。これはチップ管の縮径化に伴い、当該チップ管の流路面積が小さくなるからである。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、製造時において放電空間内の空気の排出及び放電空間内への放電ガスの供給を円滑に行うことができる平面型放電管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、互いに対向する一対の透明な誘電体平板間の周縁部間を封止することにより両誘電体平板間に放電空間を形成し、当該放電空間に連通するように配置された給排気管を使用して当該放電空間内の空気と所定の放電ガスとを置換するようにした平面型放電管において、前記両誘電体平板間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する透明な誘電体支持枠を介装し、前記誘電体支持枠の外周縁部には当該誘電体支持枠の他の部位よりも肉厚を大きくした肉厚部を両誘電体平板に干渉しないように設けると共に、当該肉厚部を利用して前記両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管を挿入可能とした給排気口を設け、当該給排気口に前記給排気管を固定するようにしたことをその要旨とする。
【0013】
この発明によれば、誘電体支持枠の給排気口には両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管が挿入固定される。このため、例えば給排気管を両誘電体平板間(即ち、放電空間)に側方から挿入するようにした場合に比べて、給排気管の外径、ひいては内径を大きくすることができる。従って、平面型放電管の製造時において放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給が円滑に行われる。また、両誘電体平板間の距離によらず給排気管を取り付けることができるので、平面型放電管の放電特性に影響を与えることもない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記肉厚部は誘電体支持枠の上面又は下面に形成された突部とすると共に誘電体支持枠の突部が形成された面に重ね合わせられる誘電体平板には当該突部の逃げ部を設けることにより突部と誘電体平板とが干渉しないようにし、前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から誘電体支持枠の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管を挿入可能とした凹部と、当該凹部と誘電体支持枠の内側との間を連通すると共に前記凹部よりも浅い溝部とを形成し、さらに前記凹部と溝部との間には当該凹部の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面を形成し、前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面に重ね合わせられた誘電体平板と、前記凹部と、前記溝部とにより囲まれた空間部を前記給排気口として構成するようにしたことをその要旨とする。
【0015】
この発明によれば、給排気口に給排気管を挿入する際、給排気管の給排気口に対する挿入方向への移動は給排気管の先端面下部が勾配面の下部に当接することにより規制される。この状態において給排気管の先端面と勾配面との間には所定の間隙が形成されるので、給排気効率が確保される。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠は四角枠状に形成すると共に当該誘電体支持枠の4つの隅角部のうち少なくとも1つには当該誘電体支持枠の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部を形成し、当該誘電体支持枠の面取り部に対応する部位に前記肉厚部を形成するようにしたことをその要旨とする。
【0017】
この発明によれば、肉厚部を誘電体支持枠の隅角部に設けられるので当該肉厚部は目立ちにくくなる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の平面型放電管において、前記肉厚部は前記面取り部の全長にわたって設けるようにしたことをその要旨とする。
【0018】
この発明によれば、面取り部の強度が確保される。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠の内側には、前記放電空間を複数の放電セルに区画すると共に前記両誘電体平板を支持する単数又は複数の誘電体リブを配置し、前記誘電体リブには隣り合う前記放電セル間を連通する連通口を形成するようにしたことをその要旨とする。
【0019】
この発明によれば、誘電体リブにより区画形成された放電セル間が連通口を介して連通するので、平面型放電管の製造時における放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給がいっそう円滑に行われる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記誘電体支持枠の上面及び下面の外縁側には該外縁に沿うように連続する段差部を形成し、当該段差部に塗布された接着剤により両誘電体平板と中間支持枠とを接合するようにしたことをその要旨とする。
【0021】
この発明によれば、両誘電体平板と誘電体支持枠とを接合する際には、段差部に塗布された接着剤により当該誘電体支持枠と両誘電体平板とが接合される。誘電体支持枠の上面及び下面における内縁側には接着剤は塗布されることはなく誘電体平板の内面に直接的に当接する。このため、両誘電体平板の間隔は誘電体支持枠の厚み(正確には誘電体支持枠の上面の内縁側と下面の内縁側との間の距離)により決まる。即ち、両誘電体平板の間隔は接着剤の塗布量に影響されることなく一定となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記両誘電体平板の外面にはそれぞれ透明な電極を敷設して当該両電極間に所定の電圧を印加することにより前記放電空間内に放電を発生させるようにし、前記誘電体支持枠の外周面が前記両誘電体平板の外周面に対して内側又は外側に位置するように当該誘電体支持枠及び両誘電体平板をそれぞれ設けるようにしたことをその要旨とする。
【0023】
この発明によれば、両誘電体平板の表面にそれぞれ配設された電極間の沿面距離が確保される。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜請求項7のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記両誘電体平板のいずれか一方の外面を前記放電空間内の放電により発生した光を取り出す発光面とし、前記突部は前記誘電体支持枠の前記発光面を備えた誘電体平板とは反対側の面に形成するようにしたことをその要旨とする。
【0024】
この発明によれば、平面型放電管を発光面側から見たときの外観性が向上する。
請求項9に記載の発明は、請求項3〜請求項8のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、前記給排気口に挿入固定された給排気管の外端部が前記面取り部と当該面取り部の両隣に位置する誘電体支持枠の外側面を含む仮想平面とに囲まれた領域から突出しないように、当該給排気管を設けるようにしたことをその要旨とする。
【0025】
この発明によれば、例えば平面型放電管を運搬する際において、平面型放電管の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管の外端部は平面型放電管の当該側面から突出することがないので、給排気管が前記物体に接触することはない。従って、平面型放電管の運搬時における給排気管の損傷が抑制される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製造時において放電空間内の空気の排出及び放電ガスの供給を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の平面型放電管を例えば車両用の天井灯として使用される平面型蛍光ランプに具体化した一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1に示すように、平面型放電管11は対向配置された一対の長方形の基板12,13及び両基板12,13間に配置された中間支持枠14を備えている。
【0028】
両基板12,13は透明ガラス等の誘電体により同一寸法の板状に形成されている。そして両基板12,13の互いに対向する内面にはそれぞれ薄膜状の蛍光体層15(図1では基板13の蛍光体層15のみ図示する。)が設けられている。この蛍光体層15は両基板12,13の内面における外周縁部を除いた部位に設けられている。蛍光体層15は例えば赤,緑,青の3色が混合されたものが使用されている。また、両基板12,13の外面にはそれぞれ薄膜状の透明電極16(図1では基板12の透明電極16のみ図示する。)が設けられている。この透明電極16は両基板12,13の外面における外周部を除いた部位に設けられている。透明電極16は例えば酸化インジウムスズ、酸化スズ又は酸化亜鉛をスパッタリング、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相蒸着法)により堆積させること又は塗布することにより形成されている。
【0029】
中間支持枠14は透明ガラス等の誘電体により一体形成されており、全体として簀の子状をなしている。具体的には、中間支持枠14は長方形の外枠21を備えており、その内側には外枠21の長手方向へ延びる複数本の長尺状の支持部材22が外枠21の短手方向において所定間隔毎に平行配置されている。支持部材22の一側縁(基板12側の側縁)における一端寄りには長方形状の切欠23が形成されている。外枠21の上面及び下面における外縁側にはそれぞれ四角環状の段差部24が連続して形成されており、これにより外枠21の上面及び下面における内縁側には四角環状の突条25が連続して形成されている。
【0030】
図2(a),(b)に示すように、両基板12,13と中間支持枠14とは、両基板12,13の内面の蛍光体層15がない周縁部と中間支持枠14の外枠21の上下両面との間でそれぞれガラス接着剤Gにより気密状に接合されている。具体的には、両基板12,13の周縁部と中間支持枠14の外枠21とは段差部24に塗布したガラス接着剤Gにより封着される。外枠21の段差部24よりも内縁側に位置する突条25の先端縁は両基板12,13の内面にそれぞれ当接している。
【0031】
両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、両基板12,13の内面は互いに平行をなすと共に、一方の基板12の内面と他方の基板13の内面とが予め設定された放電距離d1だけ離間するように、外枠21の厚み(即ち突条25の先端縁間の距離)は設定されている。このように両基板12,13の対向間隔はそれらの内面側に当接した中間支持枠14の外枠21の厚み(即ち突条25の先端縁間の距離)により決まる。このため、両基板12,13と中間支持枠14との封着部分におけるガラス接着剤の量に影響されることなく両基板12,13の対向間隔、即ち放電距離d1は一定に保たれる。ちなみに、ガラス接着剤は、封着対象(ここでは透明ガラス等の誘電体)よりも低融点のガラスフリットをビヒクル(展色剤)に混合したペースト材であり、ペースト形態で接着作用を発揮し、焼成によって溶剤が蒸発するとともに溶融ガラス化する。
【0032】
また両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、両基板12,13及び中間支持枠14により密閉された放電空間Sが形成されており、当該放電空間Sは各支持部材22により複数の放電セルSa,Sb,Sc,Sd,Se,Sfに区画されている。各放電セルSa〜Sf間は前記切欠23により相互に連通している。さらに、両基板12,13及び中間支持枠14を一体的に固定した状態において、中間支持枠14の外周面と両基板12,13の外周面とは面一になるように両基板12,13及び中間支持枠14はそれぞれ形成されている。
【0033】
放電空間S内には中間支持枠14の外枠21を貫通した給排気管(チップ管)Pを使用して放電ガスとしてキセノンガス(Xe)等の不活性ガス又はキセノンガスを含む混合ガスが封入されている。放電空間S内の放電ガスのガス圧は大気圧よりも低く設定されている。ここで、図2(b)に示されるように、各支持部材22の上下2つの側縁部はそれらの全長にわたってそれぞれ蛍光体層15を介して両基板12,13の内面に当接している。即ち、両基板12,13の外枠21に対応しない内側領域は各支持部材22により支持されている。
【0034】
このため、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に起因する両基板12,13の互いに近接する方向への変形(撓み)は中間支持枠14により規制される。具体的には両基板12,13の周縁部の互いに近接する方向への変形は外枠21により規制され、同じく周縁部よりも内側の部位の互いに近接する方向への変形は各支持部材22により規制される。従って、真空容器としての平面型放電管11の耐圧強度が確保される。即ち、両基板12,13がそれぞれ外枠21及び各支持部材22によって支持されることにより、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に対する真空容器としての平面型放電管11の剛性が確保される。尚、前記給排気管Pの外枠21に対する取付け構造については後に詳述する。
【0035】
さて、前述のように構成された平面型放電管11において、両透明電極16,16間に所定の電圧(例えば1〜3kV)を印加すると、両透明電極16,16間に形成された放電空間S(各放電セルSa〜Sf)内の放電(誘電体バリヤ放電)により紫外線が発生する。この紫外線は蛍光体層15によって可視光に変換されて照明光となり、両基板12,13の外面(以下、「発光面」という。)から外部に放射される。ここで、蛍光体層15は赤,緑,青の3色が混合されたものが使用されているので、前記発光面から白色光が照射される。また、各支持部材22の厚みは、両基板12,13の発光面における所定の有効照射面積が確保される程度に設定されているので、良好な発光状態が得られる。さらに、両基板12,13が各支持部材22によって支持されることにより、放電空間S内のガス圧と大気圧との圧力差に対する平面型放電管11の剛性が確保される。このため、放電空間S内のガス圧と大気圧との内外圧力差による両基板12,13の内方への撓みが抑制され、両透明電極16,16間の距離及び両基板12,13間の距離(放電距離d1)はそれぞれ一定に保たれる。その結果、放電距離d1のばらつきに伴う放電特性のばらつきが抑制され、安定した放電が得られる。
【0036】
尚、本実施形態では、平面型放電管11は基板12が車両の室内側を向くように、また基板13が車両の天井側を向くように配設されており、基板12の外面が光を取り出す発光面とされている。この基板12の外面から出射した光により車両の室内が照明される。
【0037】
<給排気管の取付け構造>
次に、給排気管Pの中間支持枠14に対する取付け構造について詳述する。図3に示すように、中間支持枠14の外枠21の隅角部と基板12との間には給排気口31が形成されており、当該給排気口31に先端部が上下方向から押し潰された扁平状をなす給排気管Pが挿入固定されている。即ち、中間支持枠14の4つの隅角部のうちのいずれか1つ(本実施形態では、放電セルSaに対応する隅角部)には面取り部32が形成されている。この面取り部32は、中間支持枠14の外枠21において互いに隣り合う2つの外側面にそれぞれ交わるように延設されている。外枠21の下面(基板13側の側面)において、面取り部32に対応する隅角部には突部33が当該面取り部32に沿うように形成されている。図4(a)に一点鎖線で併せ示すように、当該突部33は平面視台形状に形成されている。また図4(b)に併せ示すように、外枠21において、突部33が形成された部位は当該外枠21の他の部位よりも厚みが大きい肉厚部とされている。突部33の内側面(図4(b)における左側側面)には下方に向かうにつれて外側(図4(b)における右側側面)に傾斜する傾斜面33aが形成されており、当該傾斜面33aと外枠21の下面に形成された段差部24とは鈍角をなしている。
【0038】
外枠21において突部33に対応する外縁側の中央には収容凹部34が当該外枠21の上面から側面(面取り部32)にわたって開口形成されている。即ち、外枠21には前記肉厚部を利用して収容凹部34が形成されている。収容凹部34は平面から見たとき外側に開口するコの字状をなしている。収容凹部34の内側面には、突部33の延びる方向において互いに対向する勾配面34a,34b及び両勾配面34a,34b間をそれらの奥側において連結する勾配面34cが形成されている。各勾配面34a,34b,34cはそれぞれ上方に向かうにつれて外側に拡がるように形成されている。具体的には、図6に示すように、互いに対向する一対の勾配面34a,34bは上方に向かうにつれて離間するように傾斜しており、勾配面34cは上方へ向かうにつれて外枠21の内方へ傾斜している。図4(b)に示されるように、収容凹部34の内底面は平坦面とされており、当該内底面と各勾配面34a,34b,34cとのなす角度θ(図4(b)では収容凹部34の内底面と勾配面34cとのなす角度θのみを示す。)は鈍角に設定されている。
【0039】
また、外枠21の上面(基板12側の側面)において突部33に対応しない内縁側の中央には溝35が収容凹部34と外枠21の内側との間を連通するように形成されている。図4(b)に示されるように、溝35の深さd2は収容凹部34の深さd3よりも浅くなるように設定されている(d2<d3)。
【0040】
図5に示すように、収容凹部34の深さd3、即ち外枠21における突条25の上面と当該収容凹部34の内底面との間の距離は、両基板12,13の離間距離である放電距離d1よりも大きくされている。中間支持枠14の肉厚部、即ち突部33を利用することにより収容凹部34の深さd3を放電距離d1よりも大きくすることが可能となっている。そして、収容凹部34と基板12とから構成される給排気口31には、両基板12,13間の距離である放電距離d1以上且つ収容凹部34の深さd3以下の外径d4を有する給排気管Pの先端扁平部位が挿入可能となっている(d1<d4<d3)。また、溝35と基板12とにより放電空間Sの内部と給排気口31とを連通する連通路W1が形成されている。
【0041】
給排気口31には給排気管Pの先端扁平部位が外方から挿入され、ガラス接着剤Gにより固定されている。給排気管Pの給排気口31への挿入方向の移動は当該給排気管Pの先端下部が収容凹部34の勾配面34cの下部に当接することにより規制される。この給排気管Pの下部と勾配面34cの下部とが係合した状態において、当該給排気管Pの先端面と勾配面34cとの間には三角形状の中継空間W2が形成されている。即ち、放電空間Sの内部と給排気管Pの内部とは連通路W1及び中継空間W2を介して連通している。
【0042】
尚、基板12において中間支持枠14の面取り部32に対応する角隅部には面取り部12aが形成されている。この面取り部12aは基板12の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに当該中間支持枠14の面取り部32と一致するように形成されている。また、基板13において中間支持枠14の面取り部32に対応する角隅部には突部33に対する逃げ部として面取り部13aが形成されている。即ち、この面取り部13aは基板13の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに当該中間支持枠14の突部33に干渉しないように形成されている。本実施形態では、基板13の四隅と中間支持枠14の四隅とを一致させるように重ね合わせたときに、基板13の面取り部13aは傾斜面33aの基端縁に沿うように位置する。そして、両基板12,13及び中間支持枠14を重ね合わせた状態において、突部33の先端面(下面)は基板13の表面よりも突出している。
【0043】
また図4(a)に二点鎖線で示すように、給排気管Pは、その外端部が面取り部32(正確には、その外面)と、当該面取り部32の両隣に位置する外枠21の外面を含む一対の仮想平面Sx,Syに囲まれる領域からはみ出さないように設けられている。これにより、例えば中間支持枠14、ひいては平面型放電管11の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管Pの外端部は当該平面型放電管11の当該側面から突出することがないので、当該給排気管Pが前記物体に接触することが回避される。
【0044】
<放電ガスの封入>
次に、平面型放電管11の放電空間S内の空気の排出作業及び当該放電空間S内への放電ガスの供給作業について説明する。平面型放電管11の製造過程において、放電空間S内の空気を放電ガスに置換する際には、まずガラス接着剤Gを塗布した給排気管Pを給排気口31に外方から挿入し、この状態で焼成することにより当該給排気管Pを給排気口31に気密状に固定する。そして、給排気口31に固定された給排気管Pの外端部に、一端部が真空ポンプ(図示略)に接続された連結管(図示略)の他端部を連結し、当該真空ポンプの駆動により放電空間S内の空気を外部に吸い出して真空状態とする。放電空間S内の空気、正確には各放電セルSa〜Sf内の空気は切欠23を介して連通路W1が開口している放電セル(本実施形態では、放電セルSa)、連通路W1、中継空間W2及び給排気管Pを介して外部に円滑に排出される。
【0045】
次に、前記連結管の一端部を前記真空ポンプから取り外し、その取り外した一端部を不活性ガス供給装置(図示略)に接続する。そして当該不活性ガス供給装置を駆動して、放電ガスを放電空間S内に給排気管Pを介して供給する。前記不活性ガス供給装置からの放電ガスは給排気管P、中継空間W2及び連通路W1を介して放電セルSa内に供給され、当該放電セルSa内に供給された放電ガスは各支持部材22の切欠23を介して放電セルSb→放電セルSc→放電セルSd→放電セルSe→放電セルSfの順に供給される。各支持部材22にそれぞれ切欠23が形成されていることにより放電ガスは各放電セルSa〜Sf内に円滑に行き渡る。各放電セルSa〜Sf内への放電ガスの供給の完了後、給排気管Pの途中をバーナで焼き切る。すると、図5に示されるように、給排気管Pの切断開口部は周囲のガラス接着剤G及び自身を構成するガラス材が溶融することにより密閉され、放電空間S内には不活性ガスが封入される。
【0046】
放電空間Sに対する空気及び放電ガスの給排気効率は給排気管Pの内径に大きく依存する。即ち、給排気管Pの内径が大きくなるほど流路面積は大きくなり、空気及び放電ガスはそれぞれ当該給排気管Pを流通しやすくなる。本実施形態の給排気管Pの外径d4は、両基板12,13の離間距離である放電距離d1よりも大きく設定されている。このため、給排気管Pの外径d4を放電空間S内に挿入可能な程度に設定するようにした場合と異なり、給排気管Pの流路面積が確保される。従って、放電空間S内の空気の排出及び放電空間S内への放電ガスの供給が円滑に行われる。
【0047】
<実施形態の効果>
従って、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)両基板12,13間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する中間支持枠14を介装するようにした。そして中間支持枠14の外周縁部には当該中間支持枠14の他の部位よりも厚みを大きくした肉厚部、即ち突部33を両基板12,13に干渉しないように設けるようにした。この突部33を利用して両基板12,13間の距離以上の外径を有する給排気管Pを挿入可能とした給排気口31を設け、当該給排気口31に前記給排気管Pを固定するようにした。このため、給排気管Pの外径d4、ひいては流路面積が確保され、放電空間Sに対する空気及び放電ガスの給排気を円滑に行うことができる。
【0048】
(2)中間支持枠14の突部33が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から中間支持枠14の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管Pを挿入可能とした収容凹部34と、当該収容凹部34と中間支持枠14の内側とを連通すると共に収容凹部34よりも浅い溝35とを形成するようにした。また収容凹部34と溝35との間には当該収容凹部34の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面34cを形成するようにした。そして中間支持枠14の突部33が形成された面と反対側の面に重ね合わせられる基板12と収容凹部とによって囲まれた空間部が給排気口31として構成されるようにした。
【0049】
このため、給排気口31に給排気管Pを挿入する際、給排気管Pの給排気口31に対する挿入方向への移動は給排気管Pの先端面下部が勾配面34cの下部に当接することにより規制される。この状態において給排気管Pの先端面と勾配面34cとの間には所定の間隙(即ち中継空間W2)が形成されるので、放電空間Sに対する空気の排出及び放電ガスの供給をいっそう円滑に行うことができる。また給排気管Pの先端部と勾配面34cとが当接することにより、当該給排気管Pの給排気口31に対する挿入方向における位置決めが容易になされる。
【0050】
(3)中間支持枠14は四角枠状に形成すると共に当該中間支持枠14の4つの隅角部のうちのいずれか1つには当該中間支持枠14の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部32を形成し、当該中間支持枠14の面取り部32に対応する部位に突部33を形成するようにした。このため、例えば突部33を側縁部の中央に形成するようにした場合に比べて当該突部33、ひいては当該突部33を利用して形成された給排気口31に挿入された給排気管Pを極力目立たなくすることができる。従って、平面型放電管11の意匠性を向上させることができる。
【0051】
(4)突部33は面取り部32の全長にわたって設けるようにした。このため、面取り部32の剛性が高められる。
(5)中間支持枠14の内側、具体的には外枠21の内側には、放電空間Sを複数の放電セルSa〜Sfに区画すると共に両基板12,13を支持する複数の支持部材22を配置するようにした。そして各支持部材22にはそれぞれ隣り合う前記放電セル間(例えば放電セルSaと放電セルSbとの間、放電セルSbと放電セルScとの間)を連通する連通口として切欠23を形成するようにした。各支持部材22により区画形成された放電セル間が切欠23を介して連通するので、平面型放電管11の製造時における放電空間Sに対する空気の排出及び放電ガスの供給がいっそう円滑に行われる。
【0052】
(6)中間支持枠14、正確には外枠21の上面及び下面の外縁側には当該外縁に沿うように連続する四角環状の段差部24を形成するようにした。そして、両基板12,13と中間支持枠14とを接合する際には、段差部24に塗布されたガラス接着剤Gにより両基板12,13と中間支持枠14とを接合するようにした。外枠21の上面及び下面における内縁側にはガラス接着剤Gは塗布されることはなく両基板12,13の内面に直接的に当接する。このため、両基板12,13の間隔は中間支持枠14の厚み、正確には外枠21の上面の内縁側及び下面の内縁側との間の距離により決まる。従って、両基板12,13の間隔、即ち放電距離d1はガラス接着剤Gの塗布量に影響されることなく一定となる。その結果、放電空間Sにおける放電も安定する。
【0053】
(7)両基板12,13のうち一方の基板12の外面を放電空間S内の放電により発生した光を取り出す発光面とした。そして突部33は外枠21の基板12とは反対側の面に形成するようにした。このため、平面型放電管11を発光面側(基板12側)から見たときの外観性が向上する。本実施形態のように、平面型放電管11を車両の天井灯として使用する場合、当該平面型放電管11は発光面が車両の室内を向くように配置されることが多い。そのような設置状態においては、発光面と反対側に位置する基板13側に突部33を設けることが好ましい。
【0054】
(8)給排気口31に挿入固定された給排気管Pの外端部が面取り部32と当該面取り部32の両隣に位置する中間支持枠14(外枠21)の外側面を含む仮想平面Sx,Syとに囲まれた領域から突出しないようにした。このため、例えば平面型放電管11を運搬する際において、平面型放電管11の側面が壁等の物体に接触しても、給排気管Pの外端部は平面型放電管11の当該側面から突出することがないので、給排気管Pが前記物体に接触することが回避され、当該給排気管Pの破損を抑制することができる。
【0055】
(9)突部33の内側面には下方に向かうにつれて外側に傾斜する傾斜面33aを形成するようにした。このため、平面型放電管11の製造時において、中間支持枠14と基板13とを重ね合わせる際、基板13の面取り部13aは傾斜面33aに案内されて中間支持枠14の下面と接する所定位置に位置決めされる。従って、平面型放電管11の製造効率が向上する。
【0056】
(10)給排気管Pは給排気口31に挿入した状態で固定されている。即ち、給排気管Pは収容凹部34及び基板12により支持された状態でガラス接着剤Gにより固定されている。このため、給排気管Pの支持強度が確保される。
【0057】
(11)収容凹部34の内面には上方へ向かうにつれて拡開する勾配面34a,34bを形成するようにした。このため、給排気管Pは収容凹部34の底部において安定して保持される。
【0058】
(12)両基板12,13は何ら凹凸が形成されていない平板状に形成されている。このため、全体で見たときは多少湾曲している場合もあるものの、局所的に見た場合にはかなりの平坦度が得られる。このように両基板12,13の寸法精度が確保されることにより、両基板12,13間の放電距離d1のばらつきも抑制され、安定した放電が得られる。
【0059】
<他の実施形態>
尚、前記実施形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本実施形態では、突部33を面取り部32の全長にわたって設けるようにしたが、図7に示すように、収容凹部34に対応する部位にのみに突部33を形成するようにしてもよい。
【0060】
・図8に示すように、中間支持枠14において収容凹部34及び溝35が形成された部位を別部材とし、ガラス接着剤等により互いに接合するようにしてもよい。この場合、収容凹部34及び溝35を含む別部材は例えば型成型される。中間支持枠14の残りの部位は加熱成形により形成される。
【0061】
・本実施形態では、中間支持枠14の外周面と両基板の外周面とを面一にしたが、図9(a)に示すように、中間支持枠14の外周面が両基板12,13の外周面に対して外側に位置するように当該中間支持枠14及び両基板12,13をそれぞれ設けるようにしてもよい。また、図9(b)に示すように、中間支持枠14の外周面が両基板12,13の外周面に対して内側に位置するように当該中間支持枠14及び両基板12,13をそれぞれ設けるようにしてもよい。このようにすれば、両基板12,13の外面にそれぞれ配設された両透明電極16,16の端縁間の沿面距離が確保される。このため、平面型放電管11の表面に導電性の汚損物質等が付着した際における両透明電極16,16間の沿面放電の発生が抑制される。
【0062】
・中間支持枠14の面取り部32を省略し、図10に示すように、外枠21の4つの側縁部のうちのいずれかの上面又は下面において、例えばその中央部に突部33を設け、当該突部33を利用して収容凹部34を形成するようにしてもよい。この場合、基板12又は基板13は突部33に干渉しないように逃げ部を形成する。逃げ部の構成としては例えば四角形状の切欠41が採用可能である。
【0063】
・本実施形態では中間支持枠14の基板13側の面に突部33を形成するようにしたが、図11に示すように、基板13と反対側の基板12側に突部33を形成し、当該該突部33を利用して給排気口31(収容凹部34)を形成するようにしてもよい。
【0064】
・また、図12(a),(b)に示すように、中間支持枠14の上面及び下面の双方に突出するように突部33を設け、当該突部33を利用して中間支持枠14を貫通する給排気口31を形成するようにしてもよい。このようにすれば、突部33を中間支持枠14の上面又は下面の一方にのみ突出させるようにした場合に比べて、突部33の中間支持枠14の上面又は下面からの突出高さを極力低く抑えることができる。
【0065】
・本実施形態では、中間支持枠14に突部33を設けるようにしたが、図13に示すように、基板12又は基板13に突部33を設け、当該突部33を利用して収容凹部34を形成するようにしてもよい。
【0066】
・本実施形態では、平面型放電管11を、キセノンが放電時に発生する真空紫外線を蛍光体層15に照射して可視光を得る照明用ランプとして使用したが、次のようにしてもよい。即ち、蛍光体層15を省略して、キセノンが放電時に発生する真空紫外線を得る紫外線ランプとして平面型放電管11を使用するようにしてもよい。
・本実施形態では、単一の給排気口31を設けるようにしたが、2つ、3つ又はそれ以上の複数の給排気口31を設けるようにしてもよい。
【0067】
・面取り部32及び突部33は中間支持枠14の4つの隅角部のうちいずれに設けてもよい。
・本実施形態では、平面型放電管11を平面型蛍光ランプとして車両の天井灯に使用するようにしたが、例えば液晶表示装置のバックライト及び住宅用の照明用ランプとして使用するようにしてもよい。
【0068】
・本実施形態では、平面型放電管11を両基板12,13の表面からそれぞれ光が取り出せる両面発光タイプとしたが、一方の基板12又は基板13を不透明にしたり、一方の基板12又は基板13側に遮光部材を設けたりして片面発光タイプとしてもよい。また、一方の基板12又は基板13側に反射部材を設けて他方の基板13又は基板12側に光を反射させるようにしてもよい。
【0069】
・給排気管Pの断面形状を全長にわたって扁平の楕円状としてもよい。このようにしても、給排気管Pの流路面積を確保することができる。また平面型放電管11の薄型化にも好適に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態の平面型放電管の分解斜視図。
【図2】(a)は図1における1−1線断面図、(b)は図1における2−2線断面図。
【図3】本実施形態の平面型放電管の要部を拡大した分解斜視図。
【図4】(a)は本実施形態の中間支持枠の要部平面図、(b)は図4(a)の3−3線断面図。
【図5】本実施形態の平面型放電管の要部正断面図。
【図6】同じく平面型放電管を給排気口側から見た側面図。
【図7】他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図8】他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図9】(a),(b)はそれぞれ他の実施形態の平面型放電管の要部側断面図。
【図10】他の実施形態の平面型放電管の要部分解斜視図。
【図11】他の実施形態の平面型放電管の要部側面図。
【図12】(a)は他の実施形態の平面型放電管の要部側面図、(b)は他の実施形態の中間支持枠の要部斜視図。
【図13】他の実施形態の平面型放電管の要部側面図。
【図14】(a),(b)はそれぞれ従来の平面型放電管の要部正断面図。
【符号の説明】
【0071】
11…平面型放電管、12,13…基板(誘電体平板)、
13a…逃げ部を構成する面取り部、14…中間支持枠(誘電体支持枠)、
16…透明電極(電極)、22…支持部材(誘電体リブ)、
23…連通口を構成する切欠、24…段差部、31…給排気口、32…面取り部、
33…肉厚部を構成する突部、34…収容凹部(凹部)、35…溝部、34c…勾配面、41…逃げ部を構成する切欠、d4…外径、G…ガラス接着剤(接着剤)、
P…給排気管、S…放電空間、Sa,Sb,Sc,Sd,Se,Sf…放電セル、
Sx,Sy…仮想平面、θ…角度。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の透明な誘電体平板間の周縁部間を封止することにより両誘電体平板間に放電空間を形成し、当該放電空間に連通するように配置された給排気管を使用して当該放電空間内の空気と所定の放電ガスとを置換するようにした平面型放電管において、
前記両誘電体平板間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する透明な誘電体支持枠を介装し、
前記誘電体支持枠の外周縁部には当該誘電体支持枠の他の部位よりも肉厚を大きくした肉厚部を両誘電体平板に干渉しないように設けると共に、当該肉厚部を利用して前記両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管を挿入可能とした給排気口を設け、当該給排気口に前記給排気管を固定するようにした平面型放電管。
【請求項2】
請求項1に記載の平面型放電管において、
前記肉厚部は誘電体支持枠の上面又は下面に形成された突部とすると共に誘電体支持枠の突部が形成された面に重ね合わせられる誘電体平板には当該突部の逃げ部を設けることにより突部と誘電体平板とが干渉しないようにし、
前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から誘電体支持枠の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管を挿入可能とした凹部と、当該凹部と誘電体支持枠の内側との間を連通すると共に前記凹部よりも浅い溝部とを形成し、さらに前記凹部と溝部との間には当該凹部の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面を形成し、
前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面に重ね合わせられた誘電体平板と、前記凹部と、前記溝部とにより囲まれた空間部を前記給排気口として構成するようにした平面型放電管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠は四角枠状に形成すると共に当該誘電体支持枠の4つの隅角部のうち少なくとも1つには当該誘電体支持枠の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部を形成し、当該誘電体支持枠の面取り部に対応する部位に前記肉厚部を形成するようにした平面型放電管。
【請求項4】
請求項3に記載の平面型放電管において、
前記肉厚部は前記面取り部の全長にわたって設けるようにした平面型放電管。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠の内側には、前記放電空間を複数の放電セルに区画すると共に前記両誘電体平板を支持する単数又は複数の誘電体リブを配置し、
前記誘電体リブには隣り合う前記放電セル間を連通する連通口を形成するようにした平面型放電管。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠の上面及び下面の外縁側には該外縁に沿うように連続する段差部を形成し、当該段差部に塗布された接着剤により両誘電体平板と中間支持枠とを接合するようにした平面型放電管。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記両誘電体平板の外面にはそれぞれ透明な電極を敷設して当該両電極間に所定の電圧を印加することにより前記放電空間内に放電を発生させるようにし、
前記誘電体支持枠の外周面が前記両誘電体平板の外周面に対して内側又は外側に位置するように当該誘電体支持枠及び両誘電体平板をそれぞれ設けるようにした平面型放電管。
【請求項8】
請求項2〜請求項7のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記両誘電体平板のいずれか一方の外面を前記放電空間内の放電により発生した光を取り出す発光面とし、
前記突部は前記誘電体支持枠の前記発光面を備えた誘電体平板とは反対側の面に形成するようにした平面型放電管。
【請求項9】
請求項3〜請求項8のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記給排気口に挿入固定された給排気管の外端部が前記面取り部と当該面取り部の両隣に位置する誘電体支持枠の外側面を含む仮想平面とに囲まれた領域から突出しないように、当該給排気管を設けるようにした平面型放電管。
【請求項1】
互いに対向する一対の透明な誘電体平板間の周縁部間を封止することにより両誘電体平板間に放電空間を形成し、当該放電空間に連通するように配置された給排気管を使用して当該放電空間内の空気と所定の放電ガスとを置換するようにした平面型放電管において、
前記両誘電体平板間にはそれらの内面における外周縁にそれぞれ対応すると共にそれらの間隔を一定に保持する透明な誘電体支持枠を介装し、
前記誘電体支持枠の外周縁部には当該誘電体支持枠の他の部位よりも肉厚を大きくした肉厚部を両誘電体平板に干渉しないように設けると共に、当該肉厚部を利用して前記両誘電体平板間の距離以上の外径を有する給排気管を挿入可能とした給排気口を設け、当該給排気口に前記給排気管を固定するようにした平面型放電管。
【請求項2】
請求項1に記載の平面型放電管において、
前記肉厚部は誘電体支持枠の上面又は下面に形成された突部とすると共に誘電体支持枠の突部が形成された面に重ね合わせられる誘電体平板には当該突部の逃げ部を設けることにより突部と誘電体平板とが干渉しないようにし、
前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面には、当該反対側の面から誘電体支持枠の外周面にわたって開口すると共に前記給排気管を挿入可能とした凹部と、当該凹部と誘電体支持枠の内側との間を連通すると共に前記凹部よりも浅い溝部とを形成し、さらに前記凹部と溝部との間には当該凹部の内底面との角度が鈍角をなすように勾配面を形成し、
前記誘電体支持枠の突部が形成された面と反対側の面に重ね合わせられた誘電体平板と、前記凹部と、前記溝部とにより囲まれた空間部を前記給排気口として構成するようにした平面型放電管。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠は四角枠状に形成すると共に当該誘電体支持枠の4つの隅角部のうち少なくとも1つには当該誘電体支持枠の対角線に対して直交する方向に延びる面取り部を形成し、当該誘電体支持枠の面取り部に対応する部位に前記肉厚部を形成するようにした平面型放電管。
【請求項4】
請求項3に記載の平面型放電管において、
前記肉厚部は前記面取り部の全長にわたって設けるようにした平面型放電管。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠の内側には、前記放電空間を複数の放電セルに区画すると共に前記両誘電体平板を支持する単数又は複数の誘電体リブを配置し、
前記誘電体リブには隣り合う前記放電セル間を連通する連通口を形成するようにした平面型放電管。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記誘電体支持枠の上面及び下面の外縁側には該外縁に沿うように連続する段差部を形成し、当該段差部に塗布された接着剤により両誘電体平板と中間支持枠とを接合するようにした平面型放電管。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記両誘電体平板の外面にはそれぞれ透明な電極を敷設して当該両電極間に所定の電圧を印加することにより前記放電空間内に放電を発生させるようにし、
前記誘電体支持枠の外周面が前記両誘電体平板の外周面に対して内側又は外側に位置するように当該誘電体支持枠及び両誘電体平板をそれぞれ設けるようにした平面型放電管。
【請求項8】
請求項2〜請求項7のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記両誘電体平板のいずれか一方の外面を前記放電空間内の放電により発生した光を取り出す発光面とし、
前記突部は前記誘電体支持枠の前記発光面を備えた誘電体平板とは反対側の面に形成するようにした平面型放電管。
【請求項9】
請求項3〜請求項8のうちいずれか一項に記載の平面型放電管において、
前記給排気口に挿入固定された給排気管の外端部が前記面取り部と当該面取り部の両隣に位置する誘電体支持枠の外側面を含む仮想平面とに囲まれた領域から突出しないように、当該給排気管を設けるようにした平面型放電管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−80787(P2007−80787A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270468(P2005−270468)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【出願人】(000114927)ヤマト電子株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【出願人】(000114927)ヤマト電子株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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