説明

平面型照明装置

【課題】 平面型放電管を使用した平面型照明装置であって、外部からの衝撃に対して強く、当該平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる平面型照明装置を提供する。
【解決手段】 平面型放電管1片面側の透明電極4と、透明ガラス12の片面12bが、シリコン製の透明接着剤14によって接合されている。また、透明電極4、5に接続されたリード線4a、5aは、交流電源8と接続された駆動回路に接続され、駆動回路に接続されたリード線5aは、端子10で分岐されて接地されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型放電管を用いた照明装置に関し、詳しくは、所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管を用いた平面型の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の平面型放電管は、上述した構成であって、特許文献1に開示されているような一例がある。即ち、一対の平行配置された透明なガラス基板を所定間隔をおいて周囲を封着部材で封着して内部に放電空間を形成し、一対のガラス基板の外面のそれぞれに薄膜状電極を設け、第1のガラス基板の外面には、酸化スズやITO(酸化インジウムスズ:Indium tinoxide)等からなる透明電極が設けられ発光面とされる。一方、第2のガラス基板の外面には、銀ペースト塗布膜や銀蒸着膜等からなる金属製の不透明電極が設けられている。なお、他の例として、両面を発光面とする場合には、第2のガラス基板の外面にも透明電極が設けられる。
【0003】
また、発光面が大きな従来の平面型放電管51においては、図14に示すように、放電空間内に平行配置した複数の誘電体リブが形成されたものがある。これは、所定の放電距離によって規定される高さの等しい複数の誘電体リブ70を、その内面に離間して一体に設けた第1のガラス基板52bと、この第1のガラス基板52bに対向して平行に配置した第2のガラス基板52aと、これらの両ガラス基板の外面にそれぞれ設けた薄膜状電極55,56とにより構成され、前記ガラス基板の間に形成された密閉空間にキセノン等の放電ガスを封入して前記薄膜状電極に所定の交流電圧を付与することにより、前記密封空間内の放電ガスに放電を発生させて前記両薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管である。上述したように、薄膜状電極55,56の少なくともいずれか一方を透明電極は発光面として構成される。
【0004】
また、このような従来の平面型放電管を照明装置として利用した例(特許文献2)として自動車用照明装置がある。この自動車用照明装置は、例えば、ワゴン車やミニバン車等の自動車の室内に半埋め込み式に設置されて使用されるものであり、主に天井に設置されるものである。この自動車用照明装置の発光素子には、上述の平面型放電管が内装されており、この照明装置の上面カバーは透光性を有するグローブで覆われている。この自動車用照明装置は、平面型放電管を使用しているために、その厚さが従来の蛍光管を用いた自動車用照明装置と比較すると非常に薄く、しかも発光面が平面状であるために、発光がムラ無く外部に照射されるという利点を有している。
【0005】
また、同日出願の特願2004−358462(特許文献3)においては、平面型放電管を表示装置として使用した発明が示されている。これは、発光しない部分を利用して平面型放電管に模様や文字形状を写しだすことによる表示装置であって、この平面型放電管自体を外部から観察できるように構成される。
【0006】
【特許文献1】特許第3481721号公報
【特許文献2】意匠登録第1202470号公報
【特許文献3】特願2004−358462
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の表示装置のように、平面型放電管の発光面を直接、目視できるようにする必要がある。また、従来の丸形蛍光管のように、平面型放電管においても、グローブを必要としない使用方法が要望されていた。しかしながら、当該平面型放電管は、厚さが3〜5mm程度と非常に薄いために、外部から受ける衝撃に対して弱く、割れやすいという欠点があった。更に割れた際に周囲に平面型放電管を構成しているガラスが飛散するという危険性があった。
【0008】
これを解消するために、当該平面型放電管のガラス基板から形成される誘電体平板を厚くすることが考えられたが、ガラス基板の有する抵抗が大きくなるために、平面型放電管の発光には、所定の交流電圧を上昇させなければならないという問題が発生する。それゆえ、実用上の観点から、ガラス基板の厚さを必要以上に厚くできないという問題がある。
【0009】
一方、従来の平面型放電管においては、一対のガラス基板のそれぞれの外面に薄膜状電極が設けられているため、グローブが設けられていないような使用方法では、人が誤って接触して感電するおそれがある。特に、上述した模様や文字表示を行うような表示装置においては、その可能性が非常に大きい。従来の平面型放電管51では、薄膜状電極56、56間に付与する電圧は、そのピーク値が例えば1kV程度の高電圧であるため危険であり、何らかの安全対策が必要であった。
【0010】
そこで、本発明は、平面型放電管を使用した平面型照明装置であって、外部からの衝撃に対して強く、当該平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる平面型照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の平面型照明装置は、
所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の前記発光面側に密着するようにして配設した透光性の絶縁板と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の平面型照明装置は、請求項1に記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板の略中央部に凹部が設けられ、該凹部に前記平面型放電管が収められると共に、該凹部の底面に前記平面型放電管の発光面を密着するようにして配設した、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の平面型照明装置は、請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置に加えて、
前記第2誘電体平板の外面に薄膜状電極を設け、前記第1誘電体平板の内面または外面に薄膜状電極を設けた平面型放電管の前記第1誘電体平板に形成された発光面に密着するようにして透光性の絶縁板を配設した平面型照明装置であって、
前記第2誘電体平板の外面に設けられた薄膜状電極が、前記平面型放電管を駆動する駆動回路の接地端に接続されている、
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の平面型照明装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記平面型放電管の発光面側には、透明接着剤が塗布されて前記透光性の絶縁板が密着して接着される、
ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の平面型照明装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記平面型放電管の発光面側と前記透光性の絶縁板とを密着して重ね合わせた後、その外側を透光性の熱収縮薄膜にて覆い固定する、
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の平面型照明装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板は透明ガラスであって、
前記平面型放電管の発光面側と前記透明ガラスとを密着して重ね合わせた後、前記平面型放電管の周縁部と前記透明ガラスとをガラス接着剤にて接着させ固定する、
ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の平面型照明装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板は磨りガラスである、
ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の平面型照明装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板は透明ガラスであって、前記平面型放電管の発光面と密着する側と反対側の面には、ダイアカットが施されている、
ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の平面型照明装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板の両面周縁に設けられた溝部と、
前記溝部に係止される係止部を設けた外周枠と、
を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の平面型照明装置は、請求項1〜9のいずれかに記載の平面型照明装置に加えて、
前記透光性の絶縁板の周縁には、少なくとも2個以上の孔が設けられた、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の平面型照明装置によれば、
前記平面型放電管の前記発光面側に密着するように透光性の絶縁板を配設したので、当該平面型放電管を補強できると共に、発光面側から透明電極に触れることがないので、感電を防止することができる。また、この絶縁板は透光性であるので、発光面から照射される光を遮ることなく外部へ放射できる。
【0022】
また、請求項2に記載の平面型照明装置によれば、請求項1に記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記透光性の絶縁板の略中央部に凹部が設けられ、該凹部に前記平面型放電管が収められると共に、該凹部の底面に前記平面型放電管の発光面を密着するようにして配設したので、当該平面型放電管が前記透光性の絶縁板の外部への出っ張りが無いため、平面型放電管が破損しにくくなる。また、当該平面型照明装置の保管に当たっては、平面型放電管を保護するための空間を省くことが可能となるため、保管スペースを最小限にすることができる。
【0023】
また、請求項3に記載の平面型照明装置によれば、請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記平面型放電管の透光性の絶縁板が配設されない側の誘電体平板の外面に設けられた薄膜状電極が、前記平面型放電管を駆動する駆動回路の接地端に接続されることにより、誤ってこの薄膜状電極に触れた場合においても感電しない。
【0024】
また、請求項4に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記平面型放電管の発光面側には、透明接着剤が塗布されて前記透光性の絶縁板が密着して接着されるので、当該平面型放電管が透光性の絶縁板に固定されるとともに、透明接着剤を介して外部へ光を照射することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記平面型放電管の発光面側と前記透光性の絶縁板とを密着して重ね合わせた後、その外側を透光性の熱収縮薄膜にて覆い固定することにより、当該平面型放電管が透光性の絶縁板に固定されるとともに、透光性の熱収縮薄膜を介して外部へ光を照射することができる。また、接着工程を設けることがないので、生産性が高くなり、低コストの平面型照明装置を提供できる。さらに、熱収縮薄膜によって外部被膜が形成されているため、当該平面型照明装置が割れた場合のガラスの飛散を防止できる。
【0026】
また、請求項6に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記平面型放電管の発光面側と前記透明ガラスとを密着して重ね合わせた後、前記平面型放電管の周縁部と前記透明ガラスとをガラス接着剤にて接着させることにより、当該平面型放電管が透明ガラスに固定することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記透光性の絶縁板を磨りガラスとしたので、照射光の拡散が可能となると共に、当該平面型放電管の内部構造を外部から見えなくすることができる。また、当該平面型放電管と透光性の絶縁板との合わせ面にできる微細な空隙によって発生するモアレ現象を目立たなくすることができる。
【0028】
また、請求項8に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記透光性の絶縁板は透明ガラスであって、前記平面型放電管の発光面と密着する側と反対側の面には、ダイアカットが施されているので、上記同様、照射光の拡散が可能となると共に、当該平面型放電管の内部構造を外部から見えなくすることができる。また、当該平面型放電管と透光性の絶縁板との合わせ面にできる微細な空隙によって発生するモアレ現象を目立たなくすることができる。
【0029】
また、請求項9に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜8のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記透光性の絶縁板の両面周縁に溝部を設け、当該溝部に係止される係止部を設けた外周枠を設けたので、当該透光性の絶縁板は、この外周枠によって保護される。
【0030】
また、請求項10に記載の平面型照明装置によれば、請求項1〜9のいずれかに記載の平面型照明装置の効果に加えて、
前記透光性の絶縁板の周縁に少なくとも2個以上の孔を設けたことにより、この孔を利用して、この平面型照明装置を吊り下げたり固定させたりすることができる。
【0031】
以上の発明の平面型照明装置によれば、外部からの衝撃に対して強く、当該平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる厚みの薄い平面型照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の平面型照明装置の実施形態を図1〜13を用いて説明する。なお、各実施形態において、同様の構成要素には同じ符号を付すこととする。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態である平面型照明装置11を示す。図1(a)は正面図、図1(b)は底面図である。図2は図1(a)における断面図である。本実施形態の平面型照明装置11は、主に平面型放電管1、透明ガラス12、補強枠13および平面型放電管1を駆動するための駆動回路8からなる。
【0034】
平面型放電管1は、周枠部を一体にして形成された第1のガラス基板2と平行配置された第2のガラス基板3が低融点ガラスフリットからなる接着剤にて接着されることによって、内部に放電空間7が形成される。第1のガラス基板2に内面には、蛍光体膜6が形成されている。第1のガラス基板2よび第2のガラス基板の外面には、それぞれ酸化スズあるいはITO(Indium tinoxide)の蒸着膜により形成した透明電極5、4が設けられており、放電空間7内には、キセノン等の放電ガスを封入されている。なお、平面型放電管1の放電空間7内には、補強用あるいは文字や模様形状をした誘電体リブが形成されたものもあるが、図2においてはこれを省略して図示している。
【0035】
12は透明ガラスから形成される透光性の絶縁板であり、その周縁上下の両面には、溝部12aが設けられている。また、平面型放電管11片面側の透明電極4と、透明ガラス12の片面12bが、シリコン製の透明接着剤14によって接合されている。また、一対の樹脂製の補強枠13,13の係止部13aが、透明ガラス12の溝部12aに係止するようにして固定されている。なお、透明接着剤14はテフロン(テフロンは登録商標であり、本明細書ではテトラフロロエチレン樹脂等の合成樹脂を指す)製であってもよい。
【0036】
また、透明電極4、5に接続されたリード線4a、5aは、交流電源9と接続された駆動回路8に接続され、駆動回路8に接続されたリード線5aは、端子10で分岐されてこれが接地されている。交流電源9によって駆動回路8に交流電圧が付与されると、駆動回路8によって高周波交流電圧が透明電極4,5に印加されて放電空間7内で放電が起こり、蛍光体膜6によって可視光が平面型放電管1の両面へ照射される。透明電極4側から照射される可視光は、透明接着剤14と透明ガラス12を介して外部へ照射される。
【0037】
(第1の実施形態の効果)
次に第1の実施形態から把握される効果について記載する。
(1) 平面型放電1が透明接着剤によって透明ガラスに接着されているので、平面型放電管1が補強され割れにくくなる。
(2) 透明接着剤は、シリコンあるいはテフロン製であるので、透明ガラスが割れた際の飛散を防止することができる。
(3) 透明接着剤および透明ガラスは透明であるため、平面型放電管1から照射される可視光を透過し外部へ照射させることができる。
(4) 平面型放電管の透明電極側は接地されているので、誤ってこれに触れた際にも感電することがない。
【0038】
(第1の実施形態の別例・応用例等)
図3に第1の実施形態の別例を示す。この実施例では、平面型放電管1の透明電極4側を透明ガラス12の片面に密着させた後、平面型放電管1の第2のガラス基板3の周囲を透明ガラス12とガラス接着剤15によって接着している。このようにした場合にも、平面型放電管11が補強されると共に、透明ガラス12を介して照射光を外部へ照射させることができる。
【0039】
図4および図5は、上記第1の実施形態の平面型照明装置11の取付例である。天井17に取付設置された一対のチャネンル(溝型鋼)状の枠部15,15のレール部15bに、平面型照明装置1の透明ガラス12の両側を下部より差し込んだ状態で、枠部15に開口された孔15aと、これに対応するよう平面型照明装置11の透明ガラス12の両側に開口された孔12bを重ね合わせて、ボルト16によって固定される。天井17裏側には、駆動回路8が設置されている。このようにして、天井設置両面発光型平面放電灯が完成する。
【0040】
(第2の実施形態)
図6は第2の実施形態である平面型照明装置21を示す。図6(a)は正面図、図6(b)は底面図である。図7は図1(a)における断面図である。本実施形態の平面型照明装置21は、主に平面型放電管1、透明ガラス22、および平面型放電管1を駆動するための駆動回路8からなる。
【0041】
平面型放電管1は、第1の実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。透明ガラス22からなる透光性の絶縁板には、平面型放電管1が収まるように凹部が設けられ、この底面に透明接着剤24が塗布されて、平面型放電管1の透明電極4側が接着されて固定されている。第1の実施形態と同様に、透明接着剤24は、シリコン製またはテフロン製である。
【0042】
また、第1の実施形態と同様に、透明電極4、5に接続されたリード線4a、5aは、交流電源9と接続された駆動回路8に接続され、駆動回路8に接続されたリード線5aは、端子10で分岐されてこれが接地されている。交流電源9によって駆動回路8に交流電圧が印可されると、駆動回路8によって高周波交流電圧が透明電極4,5に印加されて放電空間7内で放電が起こり、蛍光体膜6によって可視光が平面型放電管1の両面へ照射される。透明電極4側から照射される可視光は、透明接着剤24と透明ガラス22を介して外部へ照射される。
【0043】
(第2の実施形態の効果)
次に第2の実施形態から把握される効果について記載する。第1の実施形態の効果と同様に、前記(1)〜(4)の効果に加えて、次の効果が把握される。即ち、
(5) 透光ガラスの略中央部に凹部が設けられ、この凹部に平面型放電管が収められると共に、凹部の底面に平面型放電管の透明電極を透明接着剤にて接着したので、平面型放電管が前記透光性の絶縁板の外部への出っ張りが無いため、平面型放電管が破損しにくくなる。また、当該平面型照明装置の保管に当たっては、平面型放電管を保護するための空間を省くことが可能となるため、保管スペースを最小限にすることができる。
【0044】
(第2の実施形態の応用例等)
図8は、上記第2の実施形態の平面型照明装置21の取付例である。天井17に取付設置された一本のチャネンル(溝型鋼)状の枠部27のレール部27aに、平面型照明装置21の透明ガラス22の上側を下部より差し込んだ状態で、枠部15に開口された孔27bと、これに対応するよう平面型照明装置11の透明ガラス12の上端両側に開口された孔22bを重ね合わせて、ボルト26によって固定される。天井17裏側には、駆動回路8が設置されている。このようにして、天井設置両面発光型平面放電灯が完成する。
【0045】
(第3の実施形態)
図9は第3の実施形態である平面型照明装置31を示す。図9(a)は正面図、図9(b)は底面図である。図10は図9(a)における断面図である。本実施形態の平面型照明装置31は、主に平面型放電管1、透明ガラス32、熱収縮薄膜からなる熱収縮チューブ34および平面型放電管1を駆動するための駆動回路8からなる。
【0046】
平面型放電管1は、第1または第2の実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。透光性の絶縁板は透明ガラス32から形成されている。平面型放電管1の透明電極4側と透明ガラス32の片面が密着して重ねられた後、熱収縮チューブ34を被せて熱を加えることによって固定される。なお、この熱収縮チューブ34はテフロン製、シリコン製、ありいはPET(ポリエチレンテレフタレート)に代表されるポリエチレン樹脂製等であり、透光性を有する。また、本実施形態においては、熱収縮薄膜として、熱収縮チューブ34を使用しているが、これに限定する必要はない。即ち、平面型放電管1の透明電極4側と透明ガラス32の片面が密着して重ねられた後、これらの外部から熱収縮薄膜を巻き付けて接着剤にて仮固定し熱を加えて固定するようにしても良い。
【0047】
また、第1または第2の実施形態と同様に、透明電極4、5に接続されたリード線4a、5aは、交流電源9と接続された駆動回路8に接続され、駆動回路8に接続されたリード線5aは、端子10で分岐されてこれが接地されている。交流電源9によって駆動回路8に交流電圧が印可されると、駆動回路8によって高周波交流電圧が透明電極4,5に印加されて放電空間7内で放電が起こり、蛍光体膜6によって可視光が平面型放電管1の両面へ照射される。透明電極4側から照射される可視光は、透明ガラス22および熱収縮チューブ34を介して外部へ照射される。
【0048】
(第3の実施形態の効果)
次に第1の実施形態から把握される効果について記載する。
(6) 平面型放電管1が透明ガラスに密着した状態で熱収縮チューブによって固定されているので、平面型放電管1が補強され割れにくくなる。
(7) 熱収縮チューブは、シリコンあるいはテフロン製であるので、透明ガラスが割れた際の飛散を防止することができる。
(8) 熱収縮チューブおよび透明ガラスは透明であるため、平面型放電管1から照射される可視光を透過し外部へ照射させることができる。
(9) 平面型放電管の透明ガラスが設置されていない側の透明電極側は接地されているので、前記透明電極側の熱収縮チューブにピンホール等があった場合に、誤ってこの面に触れた際にも感電することがない。
【0049】
(第3の実施形態の応用例)
図11は、上記第3の実施形態の平面型照明装置31の取付例である。壁18に取付設置された一対の棚受け35,35に平面型放電管1が取り付けられていない透明ガラス32の両サイド部分32c、32cを載せた状態で、棚受け35に開口された雌ネジ部35aと、これに対応するよう平面型照明装置31の透明ガラス32の両側サイド32cに開口された孔32bを重ね合わせて、ボルト36によって4箇所固定される。このように平面型照明装置31を「光る棚」として利用することができ、展示物を棚面上部(平面型照明装置の透明ガラス面側)と、棚面下部(床側)に置くことで、平面型照明装置31の上下両面から照射される光によって展示物を照らすことができる。
【0050】
(第3の実施形態の別例)
図12は第3の実施形態の別例である平面型照明装置41を示す。図12(a)は正面図、図12(b)は底面図である。図13は図12(a)における断面図である。本実施形態の平面型照明装置41は、主に平面型放電管1、透明ガラス42、熱収縮チューブ44および平面型放電管1を駆動するための駆動回路8からなる。
【0051】
平面型放電管1は、第1の実施形態と同様の構成であるので説明を省略する。透明ガラス42からなる透光性の絶縁板には、平面型放電管1が収まるように凹部が設けられ、この底面に平面型放電管1の透明電極3が密着するようにして収められ、その後、熱収縮チューブを被せ熱を加えて固定する。なお、熱収縮チューブは、第3の実施形態と同様にテフロン製、シリコン製、あるいはPET(ポリエチレンテレフタレート)に代表されるポリエチレン樹脂製等であり、透光性を有する。また、本実施形態においては、熱収縮薄膜として、熱収縮チューブ34を使用しているが、第3の実施形態と同様これに限定する必要はなく、熱収縮膜を巻き付けて使用することもできる。
【0052】
また、第1〜3の実施形態と同様に、透明電極4、5に接続されたリード線4a、5aは、交流電源9と接続された駆動回路8に接続され、駆動回路8に接続されたリード線5aは、端子10で分岐されてこれが接地されている。交流電源9によって駆動回路8に交流電圧が印可されると、駆動回路8によって高周波交流電圧が透明電極4,5に印加されて放電空間7内で放電が起こり、蛍光体膜6によって可視光が平面型放電管1の両面へ照射される。透明電極4側から照射される可視光は、透明接着剤24と透明ガラス22を介して外部へ照射される。
【0053】
(第3の実施形態の別例の効果)
次に第3の実施形態の別例から把握される効果について記載する。第3の実施形態の効果と同様に、前記(6)〜(9)の効果に加えて、次の効果が把握される。即ち、
(10) 透明ガラスの略中央部に凹部が設けられ、この凹部に平面型放電管が収められると共に、凹部の底面に平面型放電管の透明電極を密着して収めた後、外部から熱収縮チューブによって固定したので、平面型放電管が前記透光性の絶縁板の外部への出っ張りが無くなり、平面型放電管が破損しにくくなる。
【0054】
(その他の応用例等)
なお、本発明は、上記実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な応用が可能である。例えば、上記実施形態における平面型放電管1は、一対のガラス基板の外面のそれぞれに透明電極を設けているが、すくなくともいずれか一方をガラス基板の内面に設けても良い。また、本発明の平面型照明装置は、両面発光を基本としているが、片面発光とする場合には、いずれか一方の電極を銅、銀等の金属薄膜状電極としてもよい。
【0055】
また、透光性の絶縁板は、透明ガラスに限定する必要はなく、マイカや大理石等の鉱物であっても良いし、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等により形成しても良い。
【0056】
また、透光性の絶縁板を磨りガラスとして形成してもよい。あるいは、表面にシボ加工を施した絶縁板としても良い。あるいは、平面型放電管と密着する側と反対側の面にダイアカットを施した透明ガラス等としても良い。この場合、平面型放電管から発せられる照射光の拡散が可能となると共に、当該平面型放電管の内部構造を外部から見えなくすることができる。また、当該平面型放電管と透光性の絶縁板との合わせ面にできる微細な空隙によって発生するモアレ現象を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の平面型照明装置の第1の実施形態であって、(a)はその正面図、(b)はその底面図である。
【図2】図1(a)のA−A拡大断面図である。
【図3】図1(a)の別例のA−A拡大断面図である。
【図4】本発明の平面型照明装置の第1の実施形態を天井設置両面発光型平面放電灯として天井に設置する手順を示す図である。
【図5】本発明の平面型照明装置の第1の実施形態を天井設置両面発光型平面放電灯として組み付けた図である。
【図6】本発明の平面型照明装置の第2の実施形態であって、(a)はその正面図、(b)はその底面図である。
【図7】図6(a)のD−D拡大断面図である。
【図8】本発明の平面型照明装置の第2の実施形態を天井設置両面発光型平面放電灯として組み付けた図である。
【図9】本発明の平面型照明装置の第3の実施形態であって、(a)はその正面図、(b)はその底面図である。
【図10】図9(a)のC−C拡大断面図である。
【図11】本発明の平面型照明装置の第3の実施形態を「光る棚」として組み付けた図である。
【図12】本発明の平面型照明装置の第3の実施形態の別例であって、(a)はその正面図、(b)はその底面図である。
【図13】図12(a)のB−B拡大断面図である。
【図14】従来の平面型放電管の構造を示す図であって、(a)は外観斜視図、(b)は平面図、(c)はX−X断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・平面型放電管、2・・・第1のガラス基板、3・・・第2のガラス基板、4、5・・・透明電極、6・・・蛍光体膜、7・・・放電空間、8・・・駆動回路、9・・・交流電源、10・・・設置接続点、11・・・平面型照明装置、12・・・透明ガラス、13・・・補強枠、14・・・透明接着剤、15・・・枠部、15a・・・孔、16・・・ボルト、17・・・天井、18・・・壁、19・・・床、21・・・平面型照明装置、22・・・透明ガラス、22b・・・孔、24・・・透明接着剤、26・・・ボルト、26b・・・ナット、27・・・枠部、31・・・平面型照明装置、32・・・透明ガラス、32b・・・孔、34・・・熱収縮チューブ、35・・・棚受け、36・・・ボルト、41・・・平面型照明装置、42・・・透明ガラス、42b・・・孔、44・・・熱収縮チューブ、101,102・・・展示物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の前記発光面側に密着するようにして配設した透光性の絶縁板と、
を備えることを特徴とする平面型照明装置。
【請求項2】
前記透光性の絶縁板の略中央部に凹部が設けられ、該凹部に前記平面型放電管が収められると共に、該凹部の底面に前記平面型放電管の発光面を密着するようにして配設した、ことを特徴とする請求項1に記載の平面型照明装置。
【請求項3】
前記第2誘電体平板の外面に薄膜状電極を設け、前記第1誘電体平板の内面または外面に薄膜状電極を設けた平面型放電管の前記第1誘電体平板に形成された発光面に密着するようにして透光性の絶縁板を配設した平面型照明装置であって、
前記第2誘電体平板の外面に設けられた薄膜状電極が、前記平面型放電管を駆動する駆動回路の接地端に接続されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置。
【請求項4】
前記平面型放電管の発光面側には、透明接着剤が塗布されて前記透光性の絶縁板が密着して接着される、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項5】
前記平面型放電管の発光面側と前記透光性の絶縁板とを密着して重ね合わせた後、その外側を透光性の熱収縮薄膜にて覆い固定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項6】
前記透光性の絶縁板は透明ガラスであって、
前記平面型放電管の発光面側と前記透明ガラスとを密着して重ね合わせた後、前記平面型放電管の周縁部と前記透明ガラスとをガラス接着剤にて接着させ固定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項7】
前記透光性の絶縁板は磨りガラスである、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項8】
前記透光性の絶縁板は透明ガラスであって、前記平面型放電管の発光面と密着する側と反対側の面には、ダイアカットが施されている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項9】
前記透光性の絶縁板の両面周縁に設けられた溝部と、
前記溝部に係止される係止部を設けた外周枠と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の平面型照明装置。
【請求項10】
前記透光性の絶縁板の周縁には、少なくとも2個以上の孔が設けられた、
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の平面型照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−164907(P2006−164907A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358503(P2004−358503)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】