説明

平面型蛍光ランプ、平面型蛍光ランプの製造方法および液晶表示装置

【課題】 均一に水銀が拡散されたランプを製造可能にするとともに、点灯中の水銀偏りの発生を抑制する。
【解決手段】
本発明の平面型蛍光ランプは、内部に少なくとも水銀を含む放電媒体が封入されるとともに、複数の陽光柱を形成する複数の放電セル1cを有する放電容器1と、放電容器1の雰囲気温度により、隣接する放電セル1cへの水銀拡散または抑制を可能にする水銀拡散制御手段とを具備する。水銀拡散制御手段としては、例えば、前面基板1aと背面基板1bの波状部1b2との接触部分に、少なくとも粒子を含む介在層6を介在させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライトや一般照明などに用いられる平面型蛍光ランプ、平面型蛍光ランプの製造方法および液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面型蛍光ランプとしては、例えば特開2005−32722号公報(以下、特許文献1)がある。この平面型放電ランプは、前面基板と背面基板とを気密に接合することにより形成された放電容器により構成されている。放電容器の内部には蛍光体層が形成されているとともに、希ガスや水銀が封入されている。なお、放電容器の内部に形成された放電空間は、前面基板と背面基板との間に空間分割壁が構成されているため、放電空間が分割され、複数の放電空間(以下、放電セル)が構成された状態となっている。
【0003】
なお、平面型蛍光ランプでは容器に排気管を設け、放電容器内の全ての放電セルについて、ガス排気およびガス導入を行う構成が一般的である。そこで、ガス排気およびガス導入を容易にする目的と、それぞれの放電セルで均一なガス圧力を得る目的で、特許文献1では、図4に示されているように分割壁の一部に貫通孔を設け、隣の放電セル同士を連結させたり、図16に示されているように分割壁を蛇行形状に配置し、全ての放電セルを一つの通路として構成したりしている。
【0004】
なお、同様に、特開2005−347262号公報(以下、特許文献2)や特開2005−197251号公報(以下、特許文献3)に記載の平面型蛍光ランプでも、複数の放電セルにガス排気・導入等を容易にするために、放電セルを連結させる連通路を設けた構成が採用されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−32722号公報(図1、図4、図6、図16)
【特許文献2】特開2005−347262号公報(図1、図2)
【特許文献3】特開2005−197251号公報(図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のような平面型蛍光ランプは、液晶ディスプレイのバックライトの光源などで使用される。これらの用途では、使用時、発光面が地面に対してほぼ垂直の状態で点灯される(以下、便宜上、垂直点灯)。このような特に平面型蛍光ランプを垂直点灯する場合において、長時間の点灯後に発光面の上側と下側とで発光ムラが発生することがわかった。この原因について調査した結果、水銀の移動による分布の変化が原因であることが判明した。
【0007】
点灯初期は、水銀が各放電セルに均一に分布した状態であるため、均一な発光が得られる。しかし、平面型蛍光ランプを長時間点灯すると、ランプの部分部分で温度が変化することがある。例えば、垂直点灯の場合には、ランプの上方向に熱が伝わるため、ランプの上側の方で温度が高くなる。こうなると、水銀は温度が低い下側の放電セルに移動しようとするが、従来のように隣り合う放電セル間が実質繋がっている構成であると、蒸気化した水銀が比較的自由にランプ下側の放電セルに移動してしまい、水銀分布に偏りが発生する。この状態で点灯すると、上側の放電セルでは水銀の励起による蛍光体発光が得られず暗くなり、最終的にはバッファガスとして封入した希ガスが発光することになり、致命的な寿命末期状態となってしまう。
【0008】
本発明は、上記のような従来の課題に鑑みたもので、本発明の目的は、雰囲気温度によって隣接する空間への水銀の拡散を制御することにより、均一に水銀が拡散されたランプを製造可能にするとともに、点灯中の水銀の偏りが発生しにくい平面型蛍光ランプ、平面型蛍光ランプの製造方法および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の平面型蛍光ランプは、内部に少なくとも水銀を含む放電媒体が封入されるとともに、複数の陽光柱を形成する複数の空間を有する放電容器と、前記放電容器の雰囲気温度により、隣接する前記空間への水銀拡散または抑制を可能にする水銀拡散制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、雰囲気温度により隣接する空間への水銀の拡散を制御することにより、均一に水銀が拡散されたランプを製造することができるとともに、点灯中の水銀の偏りの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の第1の実施の形態の平面型蛍光ランプについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の平面型蛍光ランプを前面側の全体図である。図2は、図1を背面側の全体図である。図3は、図1におけるX−X’の断面図である。
【0012】
平面型蛍光ランプの主要部を構成する放電容器1は、透光性のガラス、例えばソーダガラスからなる前面基板1aと背面基板1bによって構成されている。
【0013】
前面基板1aは板状であって、本実施の形態において発光面となる基板である。その前面基板1aの端部には、ガス排気・ガス導入を行うための穴部1a1が形成されている。穴部1a1には、排気部2がその穴を囲繞するように配置され、発光面側に延出形成されている。なお、排気部2の固定は、接着剤として例えば、BiO系のフリットガラス31で排気部2と前面基板1aとの接触部分を固着することにより行われている。
【0014】
背面基板1bは波状部1b1と枠部1b2とで構成されている。このような特殊形状の基板は、平板であるガラス板を熱加工することにより形成することができる。波状部1b1は、前面基板1a側に位置する山部分と放電容器1の背面側に位置する谷部分とが複数交互になるような波型の形状をしている。なお、山部分の頂上線と谷部分の谷底線はそれぞれが平行になるように形成されている。枠部1b2は、背面基板1bの外縁を形成している部分である。この部分にフリットガラス32を形成し、前面基板1aを張り合わせることにより、放電容器1の内部を気密に保つことができる。
【0015】
放電容器1の内部には、水銀と希ガスからなる放電媒体が封入されている。希ガスとしては、キセノン、クリプトン、アルゴン、ネオン、ヘリウムから選択された少なくとも一種のガス、または2種以上の混合ガスとして封入することができる。なお、希ガスを2種以上混合して封入する場合、希ガス特有の特性を考慮して封入するのが望ましい。例えば、ネオンとアルゴンからなる混合ガスの場合、ネオン:アルゴン=50:50〜99:1とすれば、発光効率及びランプの低電圧始動性の特性を向上させることができ、ネオン:アルゴン=1:99〜50:50とすれば、発光の立ち上がり特性を向上させることができる。なお、ガス圧に関しては、発光効率、低電圧始動性、寿命の特性を考慮して、1〜700torr、好適には20〜100torrであるのが良い。
【0016】
放電容器1の内面、すなわち、前面基板1aと背面基板1bの放電空間側の面には、蛍光体層4a、4bが形成されている。蛍光体層4a、4bは、放電によって水銀から放射される紫外線を可視光に変換するものであればよく、例えば、冷陰極蛍光ランプに使用されているRGBの複数種の蛍光体を使用できる。また、異なる発光色の蛍光体を縞状に又はドット状に塗布して形成することもできる。
【0017】
本実施の形態では、前面基板1a側は光の出光面、背面基板1b側は光の反射面となるので、前面側は光の透過効率を高め、背面側は光の反射効率を高める構成とするのが望ましい。そこで、蛍光体層4aは平均粒径を約2.5μm以上、厚さを5〜15μm、蛍光体層4bは、平均粒径を約2.5μm以下、厚さを30〜200μmとするのがよい。また、背面基板1bと蛍光体層4bの間に微粒子の金属酸化物層を形成した場合、光の反射作用が期待できるためなお望ましい。
【0018】
なお、後述する外部電極5a、5bが形成されている部分の面に蛍光体層4a、4bが形成されている場合、放電によりスパッタリングされてガスの消耗速度を速める傾向があるため、当該部分には蛍光体層を形成しないことが望ましい。また、ガスの排気工程時に、排気部2付近に形成された蛍光体が原因で、排気部2が封着不良になる場合があるため、排気部2付近にも蛍光体を形成しないことが望ましい。また、蛍光体層4a、4bは、本実施の形態のように前面基板1aと背面基板1bの両面に形成する場合に限らず、片方を省略したりすることができる。
【0019】
前面基板1aの外表面の両端部には、波状部1b1を横断する方向に、高圧電圧と低圧電圧が印加される帯状の外部電極5a、5bが形成されている。この外部電極5a、5bは、スズ、インジウム、ビスマス、鉛、亜鉛、アンチモン、銀を少なくとも一種類以上含む半田を、超音波振動を加えながらディスペンサーや浸漬により形成したものである。なお、外部電極5a、5bの形成に関して限定はなく、導電性の接着剤によってアルミニウムなどの導電性テープを貼り付けたり、銀などの金属粉と溶剤とバインダーを混合させてなる導電性ペーストをスクリーン印刷によって形成したりして、電極を形成しても良い。また、外部電極5a、5bは、発光面側に形成しないで、裏面側、側面側、または表裏面に形成するなどしても良い。さらに、本実施の形態のように誘電体バリア放電可能な電極構成に限らず、後述する各放電セル1cに一対の内部電極を設ける構成であっても良い。
【0020】
図4は、前面基板と背面基板の接触部分の拡大図である。
【0021】
背面基板1bに前面基板1aを配置した場合、波状部1b1の山部分の頂上線付近が前面基板1aと接触するため、放電容器1の内部空間を複数に分割する分割壁としての役割をする。つまり、放電容器1内には、前面基板1aと波状部1b1の隣り合う山部分の頂上線と谷部分とにより囲まれた空間に、複数のほぼ独立した放電セル1cが形成される。ここで、「放電セルがほぼ独立している」とは、特許文献1乃至3に記載のように隣り合う放電セル1cにつながる貫通孔等のようなものは形成されておらず、実質的にそれぞれが放電空間として形成されているような状態であり、放電中は各放電セル1cにおいて陽光柱が形成されることを意味する。これらの放電セル1cは、幅Wは0.5〜30mm、高さHは0.5〜6mmの範囲で設定されている。なお、各放電セル1cは、本実施の形態のように空間の大きさが全て同じである場合に限らず、場所によって大きさが異なっていても良い。
【0022】
また、本実施の形態では、前面基板1aと波状部1b1との接触部分間に、前面基板1aと背面基板1bの内面に形成された蛍光体層4a、4bからなる介在層4cが介在される。この介在層4cは、水銀拡散制御手段として作用する。ここで、「水銀拡散制御手段」とは、放電容器1の雰囲気温度により、隣接する空間セル1cへの水銀拡散または抑制を可能にする制御手段であり、ランプ点灯時は隣接する放電セル1cへの水銀拡散を抑制する(完全に拡散を防止できるわけではない)が、放電容器1の製造工程時にはそれぞれの放電セル1cへ水銀拡散を可能にする。
【0023】
水銀拡散制御手段の持つ技術的な意味は次のとおりである。
【0024】
水銀を放電媒体として含む平面型蛍光ランプは、通常、ランプの発光効率を高く維持できる温度範囲で点灯される。しかし、ランプは点灯中、ランプの部分部分で温度が変わる場合がある。例えば、垂直点灯では、ランプの上側で温度が高く、下側で温度が低くなる。この場合、水銀は温度が低い方に拡散する特性があるため、水銀が下側に拡散しようとする。水銀が拡散し、水銀に偏りが生じてしまうと発光にムラが生じ、ランプとして好適ではない。したがって、点灯中の温度では水銀が拡散しないことが望まれる。
【0025】
一方、本発明のような平面型蛍光ランプは、ランプ内部の排気・ガス導入を容易にするために排気管を用いる場合が多い。ここで、本発明における排気・ガス導入工程の一例を説明する。まず、内面に蛍光体層4a、4bが形成された前面基板1aと背面基板1bとを周辺部に塗布したフリットガラス32により接続する。その状態では、各放電セル1cは大気雰囲気である。そして、図5(a)に示すように放電セル1cに形成されている排気管21によって放電容器1の内部を排気して真空にし、希ガスおよび水銀の放電媒体を封入した後、排気管21を封止する(これにより、排気部2が形成される)。なお、水銀は、例えば、液体水銀を流し込んだり、水銀合金を塗布した金属板を高周波加熱したり、水銀アマルガムを上昇温溶融することにより、放電セル1cに導入可能である。このように放電容器1に封入された放電媒体のうち、希ガスは常温で気体であるため、放電セル1cに封入後、前面基板1aと背面基板1bとの接触部分に設けられた蛍光体の微小な隙間を通って各放電セル1cに広げることができる。しかし、水銀は常温で液体であるため排気管21が設けられた放電セル1cに偏って存在し、他の放電セル1cに拡散することができない。そこで、ランプを加熱して水銀を蒸気化し、気体となった水銀をそれぞれの放電セル1cに拡散する水銀拡散工程等を行い、(b)に示すように各放電セル1cに水銀を均一に拡散することが望まれる。このような点灯時と製造時の事情により、放電容器1の温度雰囲気によって水銀の拡散を制御できる構成が必要となる。
【0026】
本実施の形態の平面型蛍光ランプにおける点灯時と製造時の好適温度は、以下のとおりである。まず、管壁温度と発光効率の関係は、ランプの大きさ、内部のガス圧等により多少異なるが、平面型蛍光ランプでは図6に示すような関係がある。図からわかるようにランプの効率は約60℃で効率が最も高くなり、50℃〜70℃では約90%の効率を示し、45℃〜75℃では約80%の効率を示す。したがって、ランプの温度がそれらの範囲になるように点灯される。対して、水銀拡散工程は、図7に示すように200℃以上では、水銀の蒸気圧が高まり、水銀の拡散効率が高くなる。そのため、200℃以上、さらに好適には300℃以上の温度で水銀拡散工程が行われる。ここで、水銀拡散工程の温度は高いほど望ましいが、高すぎるとランプに負担がかかってしまうため、350℃以下であるのが望ましい。
【0027】
本実施の形態の水銀拡散制御手段は、前述したように介在層4cであるが、以上のようにランプの点灯温度である45℃〜75℃の温度では水銀は拡散しにくく、水銀拡散工程が行われる200℃以上では水銀が拡散しやすいような構成が求められる。このような水銀拡散制御作用を得るためには、介在層4cは粒子を含むことが必要となる。つまり、粒子を含む介在層4cによって適度な空間が形成されることが望まれる。例えば、充填率(単位体積あたりに占める粒子の体積)が介在層4cにおいて20〜90%、さらに好適には40〜80%であるのが良い。
【0028】
下記に、平面型蛍光ランプの寸法、材料等の一仕様を示す。
【0029】
放電容器1:ソーダガラス製、730mm×405mm×10mm、個々の波状部1b1の長さ:724mm、幅W:6mm、高さH:2.6mm、厚み1mm、
放電媒体 水銀:100mg、ネオン:アルゴン=9:1、50torr、
蛍光体層4a 粒径:4.0μm、層の厚さ:10μm、
蛍光体層4b 粒径:2.0μm、層の厚さ:100μm、
介在層6 粒子の充填率:50%
上記のような実施の形態の平面型蛍光ランプは、水銀拡散工程により、各放電セル1cにほぼ均一に水銀が拡散されているため、点灯初期においてムラのない発光が得られ、また長時間の点灯後も水銀の偏りは確認されず、ムラのない発光を得ることができた。
【0030】
したがって、本実施の形態では、前面基板1aと分割壁である波状部1b1との間に粒子を含む介在層4cが介在していることにより、この介在層4cが水銀拡散制御手段として作用し、点灯時は隣の放電セル1cに水銀が拡散することを抑制し、点灯温度よりも比較的高い温度で行われる拡散工程時は均一に水銀を拡散することができる。すなわち、均一に水銀が拡散されたランプを製造することができるとともに、点灯による水銀の偏りの発生を抑制することができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態の平面型蛍光ランプの断面図である。この第2の実施の形態の各部について、第1の実施の形態の平面型蛍光ランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0032】
第2の実施の形態では、前面基板1aと背面基板1bの波状部1b1とのガラス同士が、介在層等を介在しないで直接接触する構造になっている。この形態では、接触するガラスの接触面に適度な隙間を形成することにより、水銀拡散制御手段としての機能が発生する。なお、この形態においては、前面基板1aと接触する分割壁とは、線接触する構成であるのが望ましい。また、接触面を加工したり、粗さを形成したりする等、ガラスとガラスの接触面積を好適に調節するのが良い。例えば、接触率(隙間を形成しない場合の接触面積に占める実際の接触面積)が20〜95%、好適には、40〜50%にすれば、水銀拡散制御手段としての作用効果が高くなる。
【0033】
したがって、本実施の形態では、ガラス同士を適度な隙間ができるように接触させたことにより、第1の実施の形態の平面型蛍光ランプと同様、水銀拡散制御手段としての作用を得ることができ、均一に水銀が拡散されたランプを製造することができるとともに、点灯による水銀の偏りの発生を抑制することができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の平面型蛍光ランプを用いた液晶表示装置について説明するための全体図である。
【0035】
液晶表示装置は、バックライトBLからの光を液晶パネルLCPに入射する構造である。
【0036】
バックライトBLは、開口面を有するフロントフレームFFと開口有底のバックフレームBFにより、筐体を構成している。その筐体の内部に光源として平面型蛍光ランプFFLが配置され、平面型蛍光ランプFFLの発光面側には光学面材OSが配設されている。なお、光学面材OSとしては、拡散板、拡散シート、プリズムシートなど所望の特性に合わせて様々な板、材料を使用することができる。
【0037】
バックライトBLは、液晶表示装置の筐体を構成する開口面を有し、その開口面に液晶パネルLCPが配設されたフロントケースFCと有底開口で、かつ支え台を有するバックケースBCの内部に配置される。なお、バックフレームBFとバックケースBCの間には、点灯回路INVが配置されている。この点灯回路INVは、平面型蛍光ランプFFLの電極5a、5bと電気的に接続されている。この接続は、例えば、電極5aを高圧側、電極5bを低圧側としており、それらの電極に10〜200kHzの周波数の正弦波電圧を連続又は断続的に印加することで、ランプを点灯する。
【0038】
以上で構成された液晶表示装置は、縦置きの状態で使用される。つまり、平面蛍光ランプFFLは、発光面が垂直の状態で点灯される。
【0039】
第3の実施の形態では、使用する平面型蛍光ランプFFLは点灯中の水銀拡散が抑制される構成であるため、平面型蛍光ランプFFLが垂直点灯の状態で使用され、点灯中、ランプの上側で温度が高く、ランプの下側で温度が低くなり、その温度変化によって水銀拡散が発生しやすい条件であっても、水銀が偏ることを抑制できる。
【0040】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0041】
分割壁の形状は、本実施の形態のように一方の基板を成形して分割壁とする場合、分割壁の形状を方形形状、半楕円形状、台形形状等、任意の形状を採用することができる。また、分割壁を形成するのは発光面となる方の基板に限らず、図10(a)のように、発光面となる側の前面基板1aに波状部を形成したり、また、(b)のように、前面基板1aと背面基板1bの両方の基板を熱加工して、同じ形状の波状部を形成し、それらの山部分同士を張り合わせたりしてもよい。さらに、(c)のように、両方が平板状の前面基板1aと背面基板1bの間に、別途、分割壁1dを設ける構造としても良い。
【0042】
また、前面基板1aと蛍光体層4a、背面基板1bと蛍光体層4bの間に、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化イットリウムなどからなる金属酸化物の層を形成しても良い。これにより、水銀がガラス表面に移動するのを防止できるため、水銀の拡散を抑制できる。また、同時に放電により発生する紫外線を吸収したりすることができる。なお、金属酸化物層の充填率は、50〜95%であるのが、上記のような作用効果を得る上で望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態の平面蛍光ランプを前面側の全体図。
【図2】図1を背面側の全体図。
【図3】図1におけるX−X’の断面図。
【図4】前面基板と背面基板の接触部分の拡大図。
【図5】放電容器への水銀導入・拡散についての説明図。
【図6】ランプ温度と水銀の発光効率の関係の説明図。
【図7】ランプ温度と水銀の拡散効率の関係の説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態の平面型蛍光ランプの断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態の平面蛍光ランプを用いた液晶表示装置の全体図。
【図10】分割壁の他の形態の説明図。
【符号の説明】
【0044】
1 放電容器
1a前面基板
1a1 穴部
1b 背面基板
1b1 波状部
1b2 枠部
1c 放電セル
1d 分割壁
2 排気部
21 排気管
31、32 フリットガラス
4a、4b 蛍光体層
4c 介在層
5a、5b 外部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に少なくとも水銀を含む放電媒体が封入されるとともに、複数の陽光柱を形成する複数の空間を有する放電容器と、前記放電容器の雰囲気温度により、隣接する前記空間への水銀拡散または抑制を可能にする水銀拡散制御手段とを具備することを特徴とする平面型蛍光ランプ。
【請求項2】
内部に少なくとも水銀を含む放電媒体が封入されているとともに、内部空間を分割し、ほぼ独立した複数の放電セルを形成する分割壁を有する放電容器と、前記放電容器に配設された電極とを具備する平面型蛍光ランプにおいて、
前記分割壁と前記放電容器の内壁面との接触部分には、前記放電容器の雰囲気温度により、隣接する前記空間への水銀拡散または抑制を可能にする水銀拡散制御可能な少なくとも粒子を含む介在層が介在していることを特徴とする平面型蛍光ランプ。
【請求項3】
前記介在層は、少なくとも蛍光体または金属酸化物を含むことを特徴とする請求項2に記載の平面型蛍光ランプ。
【請求項4】
内部に少なくとも水銀を含む放電媒体が封入されているとともに、内部空間を分割し、ほぼ独立した複数の放電セルを形成する分割壁を有する放電容器と、前記放電容器に配設された電極とを具備する平面型蛍光ランプにおいて、
前記分割壁と前記放電容器の内壁面との接触部分には、前記放電容器の雰囲気温度により、隣接する前記空間への水銀拡散または抑制を可能にする水銀拡散制御可能な隙間が形成されていることを特徴とする平面型蛍光ランプ。
【請求項5】
前記放電セルの数をnとしたとき、前記放電容器には(n−1)以下の排気部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一に記載の平面型蛍光ランプ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一に記載の平面型蛍光ランプと、前記平面型蛍光ランプの発光面側に配設された液晶パネルとを具備する平面型蛍光ランプにおいて、
前記平面型蛍光ランプは、発光面が地面に対して略垂直の状態で配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れか一に記載の平面型蛍光ランプの製造方法において、水銀導入後に200℃〜350℃の雰囲気で前記放電容器を加熱する水銀拡散工程を具備することを特徴とする平面型蛍光ランプの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−305358(P2007−305358A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131004(P2006−131004)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】