説明

平面往復式駐車装置

【課題】 建設コストの低減ができ、入出庫待ち時間を短縮することが可能な平面往復式駐車装置を提供すること。
【解決手段】 入出庫部2と格納部11,12との間でパレット80を昇降させる昇降路10と、前記格納部11,12で前記昇降路10から前記パレット80を搭載する搬送台車15と、この搬送台車15を格納部11,12のパレット格納位置に搬送する搬送路13とを備え、前記昇降路10の4隅部分に個別に配置され、昇降して前記パレット80を昇降させる4個の昇降体31と、この4隅に配置した4個の昇降体31を同期させて前記昇降路10内で昇降させるリフト駆動装置30とを有し、前記各昇降体31は、前記格納部11,12の入出庫に備えた待機時に、格納部11,12の下方における隅切り領域Dに待機するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に形成された搬送路に交差して昇降路が形成された平面往復式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の地下等を利用した地下駐車場等に平面往復式駐車装置が採用されている。この平面往復式駐車装置は、地上の入出庫部でパレットに車両を乗入れ、そのパレットを地下の格納部に向けて形成された昇降路に沿って下方へ搬送し、地下格納部に設けた搬送台車によって水平方向の搬送路に沿って搬送して、所定の格納棚に搬送台車上のパレットを移載して格納するように構成されている。
【0003】
この種の先行技術として、搬送台車の搬送路に交差して昇降路を配した平面往復式駐車装置であって、例えば、昇降路の4隅に4個の昇降杆を配置し、前後左右に位置する各昇降杆の上端部にトレー受け部を設け、左・右に位置する各2個のトレー受け部を昇降部材で連結して一対の構成とし、各対ごとの昇降杆を一体的に昇降させるようにした平面往復式駐車装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。この平面往復式駐車装置では、車両搭載トレーに車両を乗入れ、このトレーを昇降路の4隅に配置した4個の昇降杆で4点支持し、左右が対となった昇降杆を前後で一体的に昇降させることにより、格納室と入出庫部との間で搬送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3447889号公報
【特許文献2】特許第3448037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2では、左右位置の昇降杆を前後位置で一対とする昇降部材が昇降路及び搬送路の幅方向に横断するように連結されているため、下層の搬送台車が車両搭載トレーを搭載した状態で搬送路を通過するためには、その格納部に昇降杆を連結する昇降部材と車両搭載トレーに搭載された車両とが接触しない高さ分の層間寸法が必要となる。
【0006】
そのため、この層間寸法が大きくなることによって昇降路全体が長くなるとともに、昇降路最下部のピットも深くする必要があり、地下格納部全体が深くなって、多くの建設コストが必要となる。
【0007】
また、昇降杆の昇降距離が長くなるので、次の入出庫に備えて昇降部材を待機させるために要する時間も長くなり、利用者にとっては入出庫の待ち時間が長くなる。
【0008】
しかも、近年、大規模な平面往復式駐車装置も開発されており、建設コストの低減化や、入出庫待ち時間の短縮化が望まれている。
【0009】
一方、この種の駐車装置では、一般的に入出庫の簡便性等のために、入出庫とも前進運転で行えるように乗入れ床に矩形開口付きターンテーブルが配設されていることが望ましい。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1においてターンテーブルを採用しようとしても、上記昇降杆を幅方向に連結する昇降部材がターンテーブルに干渉するので乗入れ床下面寸前の高さ位置に上昇させることができない。そのため、昇降部材とターンテーブルとの干渉を回避して両者の間でトレーの受渡しを行って乗入れ床の矩形開口にトレーを配置するためには、トレー搭載の昇降部材をターンテーブルの下方に待機させ、ターンテーブルに設置された特別のパレット引揚げ装置(例えば、特許第2983899号公報記載の「トレー中継装置」)等によってトレーのみを引き揚げて矩形開口に嵌め込まなければならない。
【0011】
しかし、このようなパレット引揚げ装置は、一般的にターンテーブル下方に延設された複雑な機構となるため、ターンテーブル自体の重量及び厚さが増加されるので、これに伴い乗入れ床のターンテーブル設置用ピットも深くせざるを得なくなり、多くの建設コストが必要となる。
【0012】
そこで、本発明は、建設コストの低減ができ、入出庫待ち時間を短縮することが可能な平面往復式駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、車両をパレットに入出庫させる入出庫部と、該入出庫部と格納部との間で前記パレットを昇降させる昇降路と、前記格納部で前記パレットを搭載する搬送台車と、該搬送台車を格納部のパレット格納位置に搬送する搬送路とを備え、前記昇降路を前記搬送路に交差して配した平面往復式駐車装置であって、前記昇降路の4隅部分に個別に配置され、昇降して前記パレットを昇降させる4個の昇降体と、該4隅に配置した4個の昇降体を同期させて前記昇降路内で昇降させる同期駆動装置とを有し、前記各昇降体は、前記格納部の入出庫に備えた待機時に、該格納部の隅切り領域又は隅切り領域外方に待機するように構成されている。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「隅切り領域」は、パレットに搭載する車両の最外部位置を制限する車両収容制限領域の外方で、搬送台車で移動する構成と所定の隙間を有して接触しない領域をいい、「隅切り領域外方」は隅切り領域の外方で車両収容制限領域の外方等をいう。これにより、パレットを昇降させる昇降体は、搬送台車が搬送路を通過する時には昇降路の4隅における隅切り領域又は隅切り領域外方に配置されるので、搬送台車が昇降路の位置を通過するために必要な層間寸法を小さくでき、格納部の建設コストを大幅に低減できる。また、昇降路の移動距離を短くして、入出庫待ち時間の短縮化も図ることができる。
【0014】
また、前記パレットを搭載して前記搬送台車に載置する載置台を備え、該載置台は、前記4個の昇降体で支持する脚体を有し、前記昇降体は、該脚体を所定位置に位置決めする位置決め手段を具備していてもよい。このようにすれば、4個の昇降体で脚体を支持することにより、載置台を水平面内で所定位置に位置決めして、パレットを安定して昇降させることができる。
【0015】
さらに、前記位置決め手段は、前記昇降体に設けられたピンと、前記脚体に設けられた穴部とを有していてもよい。このようにすれば、昇降体のピンが脚体の穴に挿入されることで簡単に位置決めすることができる。
【0016】
また、前記同期駆動装置は、前記左右位置の昇降体を機械的に同期させて昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部で昇降させる前後位置の昇降体を機械的に同期させて駆動する同期駆動部とを有していてもよい。このようにすれば、昇降路の4隅で昇降する4個の昇降体を機械的に同期させて昇降させることができる。
【0017】
さらに、前記昇降駆動部は、前記昇降体を昇降させる昇降チェーンであり、前記同期駆動部は、前記昇降チェーンを同期させて駆動する歯車機構であってもよい。このようにすれば、比較的配置が容易なチェーンと歯車機構との組合わせによって4個の昇降体を同期させて昇降させることができる。
【0018】
また、前記入出庫部は、前記パレットを配置する矩形開口を有するターンテーブルを備え、該ターンテーブルは、前記矩形開口に配置したパレットを下方から支持する支持部を備え、該支持部は前記昇降体の昇降動作と連係して前記パレットの受渡しを行うように構成されていてもよい。このようにすれば、昇降体によって昇降させるパレットが矩形開口に嵌り込んで所定高さに配置されると、ターンテーブルの支持部でパレットの下方を支持して矩形開口にパレットを配置することが迅速にできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パレットを昇降させる昇降路における昇降体の昇降動作と搬送路における搬送動作とを同時に行うこともでき、入出庫作業の迅速化を図ることが可能となる。また、格納部の層間寸法を小さくして、建設コストの低減を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る平面往復式駐車装置を示す全体概略斜視図である。
【図2】図1に示すII−II矢視拡大正面図である。
【図3】図2に示すIII−III矢視平面図である。
【図4】図2に示す昇降体の昇降機構を模式的に示す斜視図である。
【図5】図2に示す昇降体の昇降機構を示す平面図である。
【図6】図2に示す搬送台車の案内手段を示す断面図である。
【図7】図2に示すVII−VII矢視拡大断面図である。
【図8】(a) は、図3に示すVIII−VIII矢視拡大断面図であり、(b) は、(a) に示すパレットの位置保持手段部分の平面視の断面図である。
【図9】図2に示す搬送台車の載置台ロック装置を示す断面図である。
【図10】図1に示す入出庫部におけるパレットの受渡し状況の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基いて説明する。以下の実施形態では、車両を格納する2層の格納部が設けられ、各格納部における搬送路の両側方に格納棚が配設された例を説明する。また、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、図1に示す上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0022】
図1に示すように、この平面往復式駐車装置1は、地上に入出庫部2(入出庫室)が設けられ、この入出庫部2には車両搭載用パレット80が配置される矩形開口4を有するターンテーブル3が設けられている。また、入出庫部2には、入出庫口扉6が設けられた入出庫口5が設けられており、この入出庫口5から入出庫する車両Vは、上記ターンテーブル3によって常に前進で入出庫できるようになっている。この入出庫部2の外部には、入出庫口5の側方に運転操作盤7が設けられている。
【0023】
一方、上記ターンテーブル3に設けられた矩形開口4の下方には鉛直方向に昇降路10が設けられている。この昇降路10は、下方に設けられた格納部11,12の搬送路13,14と連通している。この実施形態では、上層格納部11と下層格納部12の2層が設けられており、これらの格納部11,12の搬送路13,14は、上記昇降路10と交差するように水平方向に設けられている。
【0024】
上層格納部11の搬送路13を例に説明すると、この搬送路13には、搬送台車15が水平方向に走行する走行レール16が設けられており、上記昇降路10の領域では分断された分断走行レール17が設けられている。この分断走行レール17と走行レール16との間には、後述する昇降体31が鉛直方向に通過することができる所定の隙間Wが設けられている。
【0025】
また、上記走行レール16,17に沿って走行する搬送台車15には、矩形枠状の載置台18が上方に離脱可能に載置されている。この載置台18は、上部の中央部にパレット80を搭載することができ、このパレット80を搭載した載置台18を搬送台車15に載せて搬送路13を搬送するようになっている。
【0026】
さらに、両格納部11,12には、搬送台車15で搬送路13,14を搬送されたパレット80を格納する格納棚26が搬送路13,14の両側方に設けられている。この格納棚26へのパレット80の移載は、搬送台車15の中央部に設置されたパレット移載機構21によって行われる。この例では、クランクアーム式のパレット移載機構21が採用されているが、このパレット移載機構21は、他の方式でもよく、図示する例に限定されるものではない。
【0027】
一方、上記昇降路10の4隅部分には、パレット搬出入用の昇降体31が配設されている。この昇降体31は、平面視が略L形に形成されており、上記格納棚26と分断走行レール17との間に設けられている。この昇降体31で上記載置台18の4隅を係止して、上記昇降路10を昇降するようになっている。この昇降体31を上昇又は下降させることによって、載置台18に載置されたパレット80が入出庫部2と搬送路13,14の搬送台車15との間で移送される。
【0028】
図2に示すように、上記昇降路10の部分には、上記下層格納部12の下方にピット8が形成されている。このピット8には、上層格納部11及び下層格納部12の搬送台車15に載置する載置台18を昇降路10に沿って昇降させる同期駆動装置たるリフト駆動装置30が設けられている。図では、上層格納部11の搬送台車15を側面視で示し、下層格納部12の搬送台車15を載置台端部での断面で示している。
【0029】
このリフト駆動装置30は、上記昇降路10の4隅に配設された4個の昇降体31を鉛直方向に設けられた柱52に沿って昇降させる昇降機構36を備えている。図3に示すように、これら4個のL形の昇降体31は、搬送台車15の走行方向Mに対して直角に形成された一辺の昇降本体部32が、走行レール16と分断走行レール17との隙間Wを通過することが可能なように形成され、昇降本体部32から直角に屈曲した他辺のフォーク部33が、上記走行方向Mと平行且つ昇降路10の内方に延びるように形成されている。また、このフォーク部33の先端には載置部材34が設けられ、この載置部材34の上面には上向きのピン35が突設されている。上記走行レール16及び分断走行レール17は、支柱51によって支持されている。
【0030】
図4,5に示すように、この実施形態の上記昇降機構36は、ギアボックス付モータ37を介して駆動される駆動軸38によって駆動歯車39が回動させられるようになっており、この駆動歯車39とともに回動させられるスプロケット40に掛けられたチェーン41は、反転スプロケット42を介して昇降体31の下面に一端が固定され、他端が昇降体31のチェーン挿通穴43を介して吊下げスプロケット44から昇降体31の上面に固定されている。このチェーン41が昇降駆動部であり、チェーン41をモータ37で回動させることにより昇降体31が昇降させられる。
【0031】
また、昇降体31の上面には、一端がこの昇降体31に固定され、複数のプーリ45を介して他端が駐車装置固定側に固定されたワイヤロープ46が設けられている。このワイヤロープ46には、上端に動滑車プーリ47が設けられたカウンタウエイト48が吊下げられている。このカウンタウエイト48により、昇降機構36で昇降体31を昇降させる力を軽減している。
【0032】
上記昇降機構36の説明は左右一方の構成であるが、上記駆動歯車39と噛合する従動歯車49による歯車機構によって他方も同様の構成で駆動されるようになっている。これが同期駆動部であり、昇降路10の4隅に設けられた昇降体31の内、前後方向一方の左右に設けられた昇降体31が同期して昇降するようになっている。同一の構成には、同一符号を付している。
【0033】
さらに、図5に示すように、上記従動歯車49には、連結軸50が設けられており、この連結軸50によって昇降路10の前後方向他方に設けられた駆動歯車39及び従動歯車49が駆動されるようになっている。これら駆動歯車39と従動歯車49とによって駆動する構成は上記構成と同一であり、これによって昇降路10の前後方向に設けられた昇降体31が同期して昇降するようにしているので、昇降路10の4隅に設けられた4個の昇降体31は、全てが同期して昇降駆動されるようになっている。同一の構成には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0034】
そして、図2に示すように、上記昇降体31は、上記リフト駆動装置30によって、各格納部11,12の入出庫に備えさせる待機時には、入出庫させる層の1つ下の層における隅切り領域D(図示する車両Vの外方に二点鎖線で示す領域)に待機させるように構成されている。図では、下層格納部12の入出庫に備えて昇降路最下部のピット8内に昇降体31を待機させた状態を実線で示している。このピット8内の領域も、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「隅切り領域」に含まれる。
【0035】
また、図示する二点鎖線では、上層の入出庫に備えて下層格納部12の隅切り領域Dに昇降体31を待機させた状態と、入出庫部2のパレット80を入出庫させる載置台18を支持した昇降体31をターンテーブル3の下方における上層の隅切り領域D上方に待機させた状態とを示している。
【0036】
このように、各隅切り領域Dに待機させた昇降体31によれば、常に昇降体31は車両収容制限領域外に待機させられることになり、搬送路13,14を移動させる車両Vとは常に所定の隙間を有する状態で各格納部11,12において車両Vを搬送することができる。
【0037】
また、図3に示すように、上記搬送台車15は、上記走行レール16と分断走行レール17との間の隙間Wを円滑に通過できるように、前後・左右部に、前後方向に所定距離で離間した各2個1組の車輪22が取り付けられ、前後一方の車輪22が駆動モータ29で駆動されるようになっている。この搬送台車15には、図6に示すように、上記走行レール16及び分断走行レール17に設けられたガイドレール23に沿って、台車の一方側の前後に各1箇所設けられ転動するローラ24が、上記隙間Wより大きな間隔で1箇所2対として取付けられたブラケット25を介して設けられている。このローラ24によって搬送台車15と走行レール16,17との左右方向距離が一定に保たれており、車輪22が走行レール16,17上を安定して走行するようにしている。
【0038】
さらに、図3に示すように、この搬送台車15の中央部に設置された上記パレット移載機構21は、左右の格納棚26のいずれにパレットを移載するかによって駆動部全体が左右に変位し、パレット80の側端下面に設けられた溝形材84にアーム先端部を係合させて移載するようになっている。
【0039】
一方、上記昇降体31の柱52に沿った昇降は、図7に示すように、昇降体31から柱52の左右両側面に向けてブラケット53が突設され、このブラケット53に設けられた複数のローラ54,55が柱52の左右両側面に突設されたガイドレール56に沿って昇降するようになっている。柱52に突設されたガイドレール56は、断面コ形に形成され、上記ブラケット53に設けられたローラ54,55をこのガイドレール56の3面で案内するようにしている。このように昇降体31に設けられた複数のローラ54,55で柱52の前後・左右方向からガイドすることにより、昇降体31を柱52に沿って安定して案内できるようにして、昇降体31が走行レール16と分断走行レール17の間の隙間Wを安定して昇降するようにしている。
【0040】
また、図3に示すように、上記各格納棚26及び載置台18の前・後部には幅方向に複数のフリーローラ57が配列されている。図8(a) に示すように、このフリーローラ57は、中央にV字形溝が形成されており、パレット80の前・後部下面に設けられたV字形のレール材81(例えば、アングル材等)を案内するようにしている。これにより、格納棚26とこの載置台18との間におけるパレット80の移載時には、パレット80はレール材81がフリーローラ57によって前後方向の移動規制を受けながら左右幅方向に安定して移載させられる。
【0041】
さらに、図3及び図8(a) に示すように、上記搬送台車15上に載置される載置台18は、搬送台車15のフレーム材19よりも左右方向に突出した4隅の下面に脚体58が固設されている。この脚体58は、下面に位置決め穴59が設けられており、図3に一部断面して示すように、上記昇降体31のフォーク部33に設けられた載置部材34のピン35と係合する位置に設けられている。図では1箇所のピン35のみを示しているが、載置台18の上記フリーローラ57が設けられた端部下方の4隅に設けられている。このピン35による位置決め穴59の位置決めが、昇降体31による載置台18の位置決め手段である。
【0042】
また、図8(a),(b) に示すように、上記載置台18には、この載置台18に搭載したパレット80の位置保持手段60が備えられている。この実施形態の位置保持手段60は、パレット80の裏面の2箇所に設けられた案内保持部材61に形成された案内溝62に、載置台18に設けられた2個のロックピン63を係合させるようになっている。このロックピン63は、パレット80の中心方向から外向きに互いに反対方向に揺動するように構成されており、パレット80を載置台18に載置した後、ロックピン63を案内溝62に係合させることで、載置台18に対してパレット80を定位置で保持するようになっている。
【0043】
さらに、図3に示すように、上記搬送台車15には、フレーム材19の上面にピン20が設けられ、図9に示すように、載置台18に設けられた係合材27の穴28が嵌り込むようになっている。これにより、載置台18が搬送台車15の所定位置に位置決めされて載置されるようになっている。また、図2に示すように、上記搬送台車15には、載置した載置台18を固定するロック装置65が設けられている。このロック装置65は、搬送台車15に設けられた駆動リンク66を図示しない駆動機で回動させることにより、図9に示すように、駆動リンク66に連結されているロックピン67が搬送台車15のフレーム材19から側方に突出し、載置台18の脚体58に設けられたロック穴68に挿入されるようになっている。このロックピン67のロック穴68への挿入により、搬送台車15に載置台18が固定されて浮上がりが防止される。
【0044】
一方、図2に示すように、上記入出庫部2に設けられたターンテーブル3には、このターンテーブル3の矩形開口4に配置されるパレット80の位置決め載置機構70が設けられている。この位置決め載置機構70は、ターンテーブル3の下面に設けられており、上記載置台18に搭載されたパレット80をターンテーブル3の矩形開口4で位置決めして支持するようになっており、後述する図10に示すように、4本のロッド71の先端に設けられた載置パッド72のピン73にパレット80の下面に設けられた位置決め部材83を載置することで矩形開口4の所定位置に位置決めできるようになっている。
【0045】
以上のように構成された平面往復式駐車装置1によれば、以下のようにしてパレット80の搬出を行うことができる。この説明では、上層格納部11における搬出作業を例に説明する。
【0046】
まず、上記4個の昇降体31は、入出庫させるパレット80の上層格納部11よりも下方における下層格納部12の隅切り領域Dに待機させられる。
【0047】
そして、搬送台車15が格納棚26から載置台18に移載されたパレット80を搭載し、位置保持手段60をロックした後、走行して昇降路10との交差部に停止する。この状態では、上記昇降体31のフォーク部33の載置部材34及びピン35が、載置台18の脚体58の直下に臨む状態となる。
【0048】
次に、搬送台車15に載置台18をロックしているロック装置65のロックピン67が解除され、4個の昇降体31が同期して上昇させられる。この上昇行程の初期段階で、上記フォーク部33の載置部材34に設けられたピン35が上記載置台18の脚体58下面に設けられた位置決め穴59に係合することで位置決めされた状態で掬い上げられ、さらに上昇して載置台18及び搭載したパレット80が、一体的に昇降路10の最上部に位置する入出庫部2に搬出させられる。
【0049】
この上昇の最終段階で、図10に示すように、載置台18及びパレット80はターンテーブル3の矩形開口4に嵌り込み、パレット80の車路面82がターンテーブル3の上面よりも若干上方に持上げられた所定高さに配置された状態となる。
【0050】
次に、その状態でターンテーブル3に設置された位置決め載置機構70のロッド71が矩形開口4の4隅部分から伸長作動させられ、このロッド71の先端に設けられた載置パッド72が上記矩形開口4内に進出しパレット80の直下に配置される。
【0051】
その後、昇降体31が所定距離下降させられ、最上層の隅切り領域D上方に待機させられる(図2に示す二点鎖線の状態)。この下降の行程でパレット80のみが上記載置パッド72に預けられ、パレット80の車路面82がターンテーブル3の上面と面一の状態に保持された状態となる。この状態が、車両Vの入出庫状態である。
【0052】
そして、入庫の場合には、入出庫口扉6が開き、車両Vがパレット80上に乗り込む。また、出庫の場合には、必要に応じてターンテーブル3が旋回させられてパレット80上の車両Vの前部が入出庫口5に向けられ、入出庫口扉6が開いて車両Vを前進運転で退場させる。
【0053】
その後、入・出庫作業が終了すると、上記動作と逆の順次動作により、空のパレット80又は入庫車両搭載のパレット80が元の上層格納部11の格納棚26に搬送されて格納される。
【0054】
以上のように、上記平面往復式駐車装置1によれば、昇降路10の4隅に配置した4個の昇降体31を独立した構成とするとともに同期して昇降するようにし、これらの昇降体31を、パレット80に搭載する車両Vの最外部位置を制限する車両収容制限領域の外方である隅切り領域Dに待機させることで、格納部11,12の層間寸法を必要最小限に抑えることができ、特に地下駐車空間の建設コストを大幅に低減することが可能となる。
【0055】
また、昇降路10の上下方向距離が短縮されるので、昇降体31の昇降動作時間が短くなり、入出庫の待ち時間を短縮することが可能となる。
【0056】
さらに、昇降体31の待機位置を隅切り領域Dとすることで、層間寸法を必要最小限に抑えたまま、一部の層の入出庫作業中に、下層の搬送台車15が次の入出庫に備えて昇降路10の領域を自由に通行できるので、連続入・出庫作業を円滑且つ短時間で行うことが可能となる。
【0057】
なお、上記実施形態の平面往復式駐車装置1では、搬送路13,14の両側に格納棚26を配列しているが、片側のみに配列したり、各格納棚が複数のパレットを格納するようにしてもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0058】
また、上記実施形態では2層の格納部11,12を例に説明したが、格納部は1層又は3層以上でも適用でき、層数は限定されるものではない。格納部が1層の場合、上記隅切り領域Dは、搬送路を走行する搬送台車15が接触しないピット8内の領域をもいう。
【0059】
さらに、上記実施形態では、入出庫部2に矩形開口付きターンテーブル3を設置したが、乗入れ床9に矩形開口を形成し、その矩形開口にパレット80を嵌め込むような構成であってもよい。この場合、入出庫口5の外部にターンテーブルを配置すれば、駐車場から場外へは前進運転での退場が可能となる。
【0060】
また、上記実施形態では、入出庫部2を1つとし入・出庫兼用としているが、入庫専用及び出庫専用の昇降路及び入出庫部2を搬送路上の2つの別位置に配置してもよい。
【0061】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る平面往復式駐車装置は、地下空間を利用した大規模駐車装置として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 平面往復式駐車装置
2 入出庫部
3 ターンテーブル
4 矩形開口
8 ピット
10 昇降路
11 上層格納部
12 下層格納部
13,14 搬送路
15 搬送台車
16 走行レール
17 分断走行レール
18 載置台
20 ピン
21 パレット移載機構
26 格納棚
27 係合材
28 穴
30 リフト駆動装置(同期駆動装置)
31 昇降体
32 昇降本体部
33 フォーク部
34 載置部材
35 ピン(位置決め手段)
36 昇降機構
39 駆動歯車(同期駆動部)
49 従動歯車(同期駆動部)
50 連結軸
52 柱
54,55 ローラ
56 ガイドレール
57 フリーローラ
58 脚体
59 位置決め穴(位置決め手段)
60 位置保持手段
65 ロック装置
68 ロック穴
70 位置決め載置機構
80 車両搭載用パレット
81 レール材
D 隅切り領域
M 搬送方向
V 車両
W 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両をパレットに入出庫させる入出庫部と、該入出庫部と格納部との間で前記パレットを昇降させる昇降路と、前記格納部で前記パレットを搭載する搬送台車と、該搬送台車を格納部のパレット格納位置に搬送する搬送路とを備え、前記昇降路を前記搬送路に交差して配した平面往復式駐車装置であって、
前記昇降路の4隅部分に個別に配置され、昇降して前記パレットを昇降させる4個の昇降体と、
該4隅に配置した4個の昇降体を同期させて前記昇降路内で昇降させる同期駆動装置とを有し、
前記各昇降体は、前記格納部の入出庫に備えた待機時に、該格納部の隅切り領域又は隅切り領域外方に待機するように構成されていることを特徴とする平面往復式駐車装置。
【請求項2】
前記パレットを搭載して前記搬送台車に載置する載置台を備え、
該載置台は、前記4個の昇降体で支持する脚体を有し、
前記昇降体は、該脚体を所定位置に位置決めする位置決め手段を具備している請求項1に記載の平面往復式駐車装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記昇降体に設けられたピンと、前記脚体に設けられた穴部とを有している請求項2に記載の平面往復式駐車装置。
【請求項4】
前記同期駆動装置は、前記左右位置の昇降体を機械的に同期させて昇降させる昇降駆動部と、該昇降駆動部で昇降させる前後位置の昇降体を機械的に同期させて駆動する同期駆動部とを有している
請求項1〜3のいずれか1項に記載の平面往復式駐車装置。
【請求項5】
前記昇降駆動部は、前記昇降体を昇降させる昇降チェーンであり、
前記同期駆動部は、前記昇降チェーンを同期させて駆動する歯車機構である請求項4に記載の平面往復式駐車装置。
【請求項6】
前記入出庫部は、前記パレットを配置する矩形開口を有するターンテーブルを備え、
該ターンテーブルは、前記矩形開口に配置したパレットを下方から支持する支持部を備え、該支持部は前記昇降体の昇降動作と連係して前記パレットの受渡しを行うように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の平面往復式駐車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−1938(P2012−1938A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136511(P2010−136511)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)