平面照明装置
【課題】発光効率の高い平面照明装置を提供する。
【解決手段】平面照明装置は、第1基板10と、第2基板20と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とを備え、第1電極40と第2電極50との間で起こる放電を利用して光を出射する。第1基板10および第2基板20には、蛍光体層11,23が設けられている。第1電極40および第2電極50は、密閉空間において放電により発生する紫外線が第1基板10および第2基板20に向かって放射状に拡散するように、密閉空間に設けられている。
【解決手段】平面照明装置は、第1基板10と、第2基板20と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とを備え、第1電極40と第2電極50との間で起こる放電を利用して光を出射する。第1基板10および第2基板20には、蛍光体層11,23が設けられている。第1電極40および第2電極50は、密閉空間において放電により発生する紫外線が第1基板10および第2基板20に向かって放射状に拡散するように、密閉空間に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の放電を利用して光を出射する平面照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ放電を利用した照明技術・製品の代表は蛍光灯である。蛍光灯は、熱電子放出等を放電のトリガーとするプラズマ放電により発生した紫外光による蛍光発光を利用している。蛍光灯の発光効率は60〜100lm/w、輝度は約300cd/m2以上、実質的な寿命は6000〜8000時間であり、技術的には完成の域に近く、加えて比較的低価格で市販されており、現在、照明分野における世界の主流となっている。
【0003】
一方、近年では、軽量かつ大面積の照明装置の開発が進められている。しかし、従来の蛍光灯方式では、発光効率の高い陽光柱紫外線による蛍光発光を利用しており、比較的長い管状の構造を要するため、大面積化には適さない。また、陽光柱紫外線の発生には微量の水銀が使用されているため、環境上の問題もある。さらに、電子放出には加熱した電極を用いるため、寿命が短い等の問題もある。
【0004】
そこで、従来の蛍光灯方式とは異なる構造を有する大面積の平面型の照明装置(以下、平面照明装置という)が提案されており、例えば特許文献1に開示されている。図29は、特許文献1に係る平面照明装置の構成を示す斜視図である。同図に示すように、この平面照明装置(平面蛍光ランプ)は、蛍光体層(蛍光体物質)111が形成された前面パネル110と、反射板120、第1の電極部130および第2の電極部140、誘電体層150、蛍光体層160が、前面パネル110に向かってこの順に形成された背面パネル170と、前面パネル110および背面パネル170を支持し、内部の放電空間を封止するサポート180とを有する。また、第1の電極部130および第2の電極部140は、交互に配置されており、放電空間にはXeなどの放電ガスが封入されている。上記の構成において、平面照明装置は、2つの電極間の放電より発生した紫外線が蛍光体層を励起することにより可視光を発生する。これにより、従来の蛍光灯方式ではなし得なかった大面積の照明装置を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−525806号公報(2007年9月6日公表)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の平面照明装置は、発光効率が28lm/W程度であり、市販の蛍光灯の発光効率(60〜100lm/W)には及ばず、実用的なレベルには達していない。今後、平面照明装置が市場に普及するためには、発光効率を蛍光灯レベルにまで高めることが必要である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光効率の高い平面照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る平面照明装置は、上記の課題を解決するために、
第1基板と、該第1基板に対向する第2基板と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極と、該第1電極と対を成す複数の第2電極とを備え、該第1電極と該第2電極との間で起こる放電を利用して光を出射する平面照明装置であって、
前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、密閉空間において、第1電極と第2電極との間で起こる放電により発生した紫外線が、第1基板および第2基板に向かって放射状に拡散する。そのため、紫外線が第1基板および第2基板の少なくとも何れか一方に設けられた蛍光体層の全面に均一に照射されるため、蛍光体層の全面から均一な光が発生し、平面照明装置の全面から可視光として出射される。よって、従来と比較して発光効率を高めることができる。
【0010】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において、前記第1基板および前記第2基板から離間して設けられている構成であってもよい。
【0011】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、ワイヤ状に形成されている構成であってもよい。
【0012】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、断面形状が円形あるいは矩形であってもよい。
【0013】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1基板および前記第2基板と平行に、交互に並んで配されている構成であってもよい。
【0014】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、前記第1基板に対向する面に、周囲が隔壁で囲まれた複数の凹部を有し、各凹部の表面に、蛍光体層が設けられている構成であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、蛍光体層の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、第1基板の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0016】
前記平面照明装置では、
前記凹部は、前記第2基板において格子状に形成されている構成であってもよい。
【0017】
前記平面照明装置では、
前記凹部を構成する前記隔壁は、前記第1基板側に近づくにつれて該隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されている構成であってもよい。
【0018】
前記平面照明装置では、
前記凹部は、該凹部を含む前記第2基板の表面積が前記第1基板の表面積の2倍以上となるように形成されている構成であってもよい。
【0019】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、ガラス材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側とは反対側に反射膜が設けられている構成であってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第2基板の蛍光体層で発生した可視光のうち、裏面方向の可視光が、第2基板の裏面に形成された反射膜により第1基板方向に反射される。これにより、輝度および発光効率をさらに高めることができる。
【0021】
前記平面照明装置では、
前記密閉空間に、放電の起動用の第3電極が設けられている構成であってもよい。
【0022】
これにより、放電開始電圧を下げることができる。
【0023】
前記平面照明装置では、
前記密閉空間に設けられる前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記第1基板または前記第2基板に設けられた支持部材により支持されている構成であってもよい。
【0024】
これにより、第1電極および第2電極の撓みを抑えることができる。
【0025】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、金属材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側に蛍光体層が設けられている構成であってもよい。
【0026】
上記の構成によれば、第2基板を反射膜として利用することができるため、新たに反射膜を設ける必要ながない。よって、平面照明装置のさらなる軽量化および薄型化が可能となる。
【0027】
前記平面照明装置では、
前記第1電極が前記密閉空間に設けられているとともに、前記第2基板が前記第2電極として機能する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の平面照明装置は、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられている構成である。これにより、発光効率の高い平面照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図3に示す実施の形態1に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図2】図3に示す実施の形態1に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図3】実施の形態1に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】実施の形態1に係る平面照明装置の放電の様子を示す模式断面図である。
【図5】変形例1に係る平面照明装置の背面板の概略構成を示す斜視図である。
【図6】変形例1に係る平面照明装置の断面図である。
【図7】変形例2に係る平面照明装置の第1電極および第2電極の概略構成を示す斜視図である。
【図8】変形例2に係る平面照明装置の断面図である。
【図9】図10に示す変形例4に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図10】変形例4に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図11】図13に示す変形例5に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図12】図13に示す変形例5に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図13】変形例5に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図14】図16に示す変形例6に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図15】図16に示す変形例6に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図16】変形例6に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図17】図19に示す変形例7に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図18】図19に示す変形例7に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図19】変形例7に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図20】変形例8に係る平面照明装置の放電の様子を示す模式断面図である。
【図21】図23に示す実施の形態2に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図22】図23に示す実施の形態2に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図23】実施の形態2に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図24】図26に示す変形例9に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図25】図26に示す変形例9に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図26】変形例9に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図27】実施の形態2に係る平面照明装置の背面板を示す図である。
【図28】実施の形態2に係る平面照明装置の背面板を示す図である。
【図29】従来の平面照明装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について図面に基づいて以下の通り説明する。
【0031】
図3は本実施の形態における平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図1は図3の平面照明装置のA−B断面図であり、図2は図3の平面照明装置のC−D断面図である。
【0032】
まず、本実施の形態1に係る平面型の照明装置(以下、平面照明装置という)の概略構成について説明する。
【0033】
平面照明装置は、光の出射側に配される前面板10(第1基板)と、前面板10に対向配置される背面板20(第2基板)と、前面板10および背面板20の間に挟持される支持体30とを備え、これらが貼り合わされて構成されている。
【0034】
前面板10は、裏面(背面板側)に蛍光体層11が設けられている。背面板20は、前面板側に微細な隔壁で囲まれた複数の凹部21が形成されており、凹部21の表面には反射膜22と蛍光体層23がこの順に積層されている。支持体30は、周囲が隔壁で囲まれ、前面板側および背面板側は開口されている。これにより、前面板10および背面板20の間には、密閉空間が形成されている。
【0035】
また、平面照明装置は、放電用の電極を複数備えている。放電用の電極は、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とで構成され、第1電極40および第2電極50は、支持体30に設けられている。これにより、第1電極40および第2電極50は、密閉空間において、前面板10および背面板20から離間して配置された構成となっている。
【0036】
本実施の形態に係る平面照明装置は、例えば以下の効果を奏する。
(1)市販の蛍光灯並みの高い発光効率を実現できる。
(2)蛍光体の表面積を増大して、可視光発光量を大幅に増加させることができる。
(3)蛍光体層と隔壁を含む背面板表面との間に反射膜を形成することにより、発生した光を前面板側に導くことができ、可視光として有効に利用することができる。
【0037】
以下、平面照明装置の構成および機能について、より具体的に説明する。
【0038】
平面照明装置では、上記のように、前面板10と背面板20とを支持体30を介して貼り合わせて密閉空間を形成し、その密閉空間の中空に、複数の第1電極40および第2電極50を配置した構成を有している。ここで、密閉空間には放電ガスが封入されている。上記の構成において、対を成す第1電極40および第2電極50に電圧を印加するとプラズマ放電が行われ、これにより発生する紫外線が蛍光体層11,23を励起することにより、可視光が外部に出射する。
【0039】
前面板10は、板厚が2mmのガラス基板であり、裏面には膜厚が約10μmの白色発光の蛍光体層11が形成されている。
【0040】
背面板20は、板厚が3mmのガラス基板であり、表面には深さ約1mmでアスペクト比が1以上の隔壁で囲われた複数の凹部21が形成されており、その表面積は、凹部21がない場合(平板や前面板10)と比較して約2倍以上になっている。また凹部21の表面には、金属の反射膜22が形成され、さらにその表面には、膜厚が約20μmの白色発光の蛍光体層23が形成されている。なお、背面板20は、平板状のガラス基板に蛍光体層が形成されている構成としても良い。また、凹部21を構成する隔壁は、前面板10側に近づくにつれて隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていてもよい。
【0041】
第1電極40および第2電極50は、第1電極40および第2電極50は、前面板10および背面板20と平行に、交互に並んで配されている。なお、第1電極40および第2電極50は、櫛歯状に形成され、互いの歯が噛み合うように配されていてもよい。すなわち、第1電極40および第2電極50が交互に並んで配されている。第1電極40および第2電極50は、表面が薄い銅被膜と、厚さ約0.1mmのガラス材料で順次被覆された、直径約0.4mmのガラス被覆銅クラッドニッケルワイヤ(通称:ジュメット線)で形成されている。
【0042】
支持体30は、Ne−Fe合金(フェロアロイ)で構成され、板厚が0.5mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されている。この支持体30には、図3に示すように、第1電極40および第2電極50が、基板面積に応じて、長さlで電極間(第1電極40および第2電極50の間)距離が2mm以上となるようにn本ずつ配置されている。また、第1電極40および第2電極50は、支持体30の側面を一方向に串刺しにするように設けられている。なお、支持体30は、ガラスで構成され、板厚が2mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されていてもよい。
【0043】
また、支持体30は、平面照明装置の外枠を囲むように前面板10および背面板20の間に1つだけ設けられて、1つの密閉空間を形成していても良いし、複数の支持体30が前面板10および背面板20の間に設けられて、複数の密閉空間を形成していてもよい。
【0044】
なお、本発明の平面照明装置は、図1に示すように、蛍光体層が、前面板10および背面板20の両方に設けられている構成に限定されず、前面板10および背面板20の何れか一方にのみ蛍光体層が設けられている構成であっても良い。
【0045】
本実施の形態に係る平面照明装置によれば、図4に示すように、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散する。そのため、紫外線が前面板10および背面板20の少なくとも何れか一方に設けられた蛍光体層の全面に均一に照射されるため、蛍光体層の全面から均一な光が発生し、平面照明装置の全面から可視光として出射される。よって、従来と比較して発光効率を高めることができる。
【0046】
また、図1に示すように、背面板20に凹部21が設けられ、凹部21の表面に反射膜22が形成されている場合には、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散し、(i)前面板10の裏面全面に形成された白色発光の蛍光体層11を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(ii)背面板20の凹部21の表面全面に形成された白色発光の蛍光体層23を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(iii)蛍光体層23から発生した光が背面板20の凹部21の表面全面に形成された反射膜22により反射された光(図4の黒矢印)と、を合計した光が、可視光として平面照明装置から出射される。
【0047】
このように、背面板20に複数の凹部21を設けた場合は、背面板20に形成される蛍光体層23の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、前面板10の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0048】
上記の構成を有する平面照明装置において実験した結果を以下に示す。
【0049】
ここでは、平面照明装置の密閉空間にXe10%含有のNeガスを約0.65気圧封入し、互いに対をなす第1電極40および第2電極50に高周波電圧を印加し、プラズマ放電により紫外線を発生させ、白色蛍光体層11,23を励起することにより可視光を発生させた。各種の設定・測定条件および得られた実験結果は次の通りである。
・電極間距離:2mm
・放電ガス圧:0.65気圧
・放電ガス種:Ne−10%Xe
・印可電圧:600V〜1200V
・印可周波数:30kHz〜50kHz
・輝度:9500cd/m2
・発光効率:40lm/w
上記条件の下に測定された輝度は、前面板10の蛍光体層11による発光、背面板20の蛍光体層23による発光、および、背面板20の反射膜22による反射光を合計した実効的な値を表している。この結果から、背面板20の表面全面に形成された凹部21の隔壁における蛍光体層23の面積増加による効果と、凹部21の表面全面に反射膜22を形成したことによる効果を明確に確認することができた。
【0050】
ここで、従来の平面照明装置について考察する。例えば、図29に示す特許文献1の平面照明装置の構成では、第1の電極部130および第2の電極部140が、背面パネル170および蛍光体層160の間に設けられているため、放電により前面パネル110方向にのみ紫外線が拡散する。そのため、放電により発生した紫外線を十分に利用することができないため、発光効率が28lm/W程度と低く、十分な発光量を得られない。
【0051】
これに対して、本実施の形態に係る平面照明装置では、放電用の第1電極40および第2電極50が密閉空間において第1基板および第2基板から離間して設けられているため、第1電極および第2電極の放電により発生する紫外線は、前面板10および背面板20方向に放射状に拡散する。よって、前面板方向のみに拡散する従来の構成(図29参照)と比較して、発光効率をさらに高めることができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係る平面照明装置によれば、実用的なレベルの輝度(9500cd/m2)を実現することができ、また、発光効率も市販の蛍光灯レベルに高めることができる。さらに、装置自体の構成が複雑化することもないため、コストが増大することもない。よって、本実施の形態に係る平面照明装置は、大面積の平面型の照明装置として実用に供しうる性能を有する。
【0053】
(変形例1)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図5および図6に示すように、本変形例の背面板20は、隔壁で囲まれた複数の凹部21の表面に白色発光の蛍光体層23が形成され、背面板20の裏面に金属の反射膜22が形成されている。これにより、背面板20の蛍光体層23で発生した可視光のうち、裏面方向の可視光は、背面板20の裏面に形成した反射膜22により前面板10方向に反射される。これにより、実施形態1と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率を得られることを確認した。また、本変形例では、反射膜22を背面板20における平板状の裏面に形成することができるため、製造工程を簡略化することができる。
【0054】
(変形例2)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図7および図8に示すように、本変形例の第1電極40および第2電極50は、上記ガラス被覆した銅クラッドニッケルワイヤに変えて、断面が0.5m×3.0mm、長さLの矩形状に形成されており、互いの電極間距離は4mm以上に設定されている。また、第1電極40および第2電極50の断面の長辺が前面板10および背面板20に対して直角となるように設けられている。第1電極40および第2電極50の表面には、膜厚200μm以下の誘電体層が形成されている。この矩形状の第1電極40および第2電極50は、誘電体バリア放電を容易にするため、放電開始電圧と放電電圧をそれぞれ約200V下げることができることが分かった。また、放電電極の長寿命化を期待できる。
【0055】
(変形例3)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例3の平面照明装置では、第1電極40を密閉空間に設けるとともに、変形例1で示した背面板20の裏面に形成した金属の反射膜22(図6参照)を第2電極として利用する。第1電極は、ガラス被覆した銅クラッドニッケルワイヤで構成され、1本または複数本設けられている。上記構成において、第1電極と面状の第2電極との間に電圧800V、周波数30kHz〜50kHzのサイン波を印加してプラズマ放電を発生させたところ、実施の形態1と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率が得られることを確認した。また、放電用電極の一方が面状であることから、プラズマ放電は背面板全面に広がりやすく、得られた可視光の均一性は大幅に向上した。なお、第1電極として、変形例2で示した誘電体被覆した矩形状の電極を用いても同様の効果を得られることはいうまでもない。
【0056】
(変形例4)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例4の平面照明装置では、図9および図10に示すように、前面板10、背面板20、支持体30で構成される密閉空間に、第1電極40および第2電極50に加えて、プラズマ放電の放電トリガー用(起動用)の第3電極60(補助電極)が設けられている。第3電極60は、第1電極40および第2電極50と約1mmの間隔で近接しており、この第3電極60と、第1電極40および第2電極50間に初期的に高電圧を印加し、プラス放電開始のトリガーとした。これにより、第3電極60がない場合と比較して、放電開始電圧が約200V低下することを確認した。なお、第3電極60は、熱電子を放出するタイプでも同様の効果があることは言うまでもない。
【0057】
(変形例5)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例5の平面照明装置では、図11〜図13に示すように、前面板10および背面板20の間の距離を保持するためのスペーサ31が設けられている。スペーサ31の形状は、角柱または円柱としてもよいし、球状のビーズ(例えばガラス玉)を利用しても良い。図11〜図13のスペーサ31は、ガラス材料、断面形状が約2mm×2mm、高さが約4mmの角柱で構成されている。なお、スペーサ31、1つ設けられていても良いし、前面板10および背面板20の面積に応じて複数個設けられていても良い。この構成によれば、前面板10および背面板20の撓みを抑えることができる。
【0058】
(変形例6)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例6の平面照明装置では、図14〜図16に示すように、密閉空間において第1電極40および第2電極50を支持するための支持部材32が、前面板10または背面板20に設けられている。なお、支持部材32は、前面板10または背面板20の一部として構成されていても良いし、別部材として前面板10または背面板20に追加的に設けられていても良い。この構成によれば、第1電極40および第2電極50の撓みを抑えることができる。
【0059】
(変形例7)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例7の平面照明装置では、図17〜図19に示すように、第1電極40および第2電極50が、前面板10および背面板20に垂直方向に並んで配され、かつ、第1電極40および第2電極50の一対が、前面板10および背面板20に水平方向に並んで配されている。図17〜図19では、第1電極40が背面板20側に配され、第2電極50が前面板10側に配されている。
【0060】
(変形例8)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図20は、本変形例8の平面照明装置の断面図である。第1電極40および第2電極50は、図4に示すように、密閉空間の中空、すなわち他に接しないように設けられている構成に限定されず、図20に示すように、蛍光体層11上に設けられていても良い。この構成でも、プラズマ放電により発生した紫外線は、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散するため、図4の構成の場合と同等の効果を得ることができる。
【0061】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について図面に基づいて以下の通り説明する。
【0062】
図23は本実施の形態に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図21は図23の平面照明装置のA−B断面図であり、図22は図23の平面照明装置のC−D断面図である。
【0063】
まず、本実施の形態2に係る平面照明装置の概略構成について説明する。
【0064】
平面照明装置は、上記実施の形態1に係る平面照明装置と同様に、光の出射側に配される前面板10(第1基板)と、前面板10に対向配置される背面板20(第2基板)と、前面板10および背面板20の間に挟持される支持体30とを備え、これらが貼り合わされて構成されている。
【0065】
前面板10は、裏面(背面板側)に蛍光体層11が設けられている。背面板20は、前面板側に微細な隔壁で囲まれた複数の凹部21が形成されており、凹部21の表面には反射膜22と蛍光体層23がこの順に積層されている。支持体30は、周囲が隔壁で囲まれ、前面板側および背面板側は開口されている。これにより、前面板10および背面板20の間には、密閉空間が形成されている。
【0066】
また、平面照明装置は、放電用の電極を複数備えている。放電用の電極は、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とで構成され、第1電極40および第2電極50は、支持体30に設けられている。これにより、第1電極40および第2電極50は、密閉空間において、前面板10および背面板20から離間して配置された構成となっている。
【0067】
本実施の形態に係る平面照明装置は、例えば以下の効果を奏する。
(1)市販の蛍光灯並みの高い発光効率を実現できる。
(2)蛍光体の表面積を増大して、可視光発光量を大幅に増加させることができる。
(3)蛍光体層と隔壁を含む背面板表面との間に反射膜を形成することにより、発生した光を前面板側に導くことができ、可視光として有効に利用することができる。
(4)背面板のコア素材として板厚の薄い金属材料を使うことができるため、平面照明装置の軽量化と大面積化を実現できる。
【0068】
以下、平面照明装置の構成および機能について、より具体的に説明する。
【0069】
平面照明装置では、上記のように、前面板10と背面板20とを支持体30を介して貼り合わせて密閉空間を形成し、その密閉空間の中空に、複数の第1電極40および第2電極50を配置した構成を有している。ここで、密閉空間には放電ガスが封入されている。上記の構成において、対を成す第1電極40および第2電極50に電圧を印加するとプラズマ放電が行われ、これにより発生する紫外線が蛍光体層11,23を励起することにより、可視光が外部に出射する。
【0070】
前面板10は、板厚が2mmのガラス基板であり、裏面には膜厚が約10μmの白色発光の蛍光体層11が形成されている。
【0071】
背面板20は、コア素材として、ガラス基板(前面板10)の熱膨張係数とミスマッチの小さな熱膨張係数を持つ金属材料で形成されている。ここでは、板厚が0.3mmのNe−Fe合金(フェロアロイ)を用いた。背面板20の表面には、深さ約0.2mmでアスペクト比が1以上の隔壁で囲まれた微細な複数の凹部21が形成されており、その表面積は、凹部21がない場合(平板や前面板10)と比較して、約2倍以上になっている。また凹部21の表面には、金属の反射膜22が形成され、さらにその表面には、膜厚が約20μmの白色発光の蛍光体層23が形成されている。また、凹部21を構成する隔壁は、前面板10側に近づくにつれて隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていてもよい。
【0072】
第1電極40および第2電極50は、前面板10および背面板20と平行に、交互に並んで配されている。なお、第1電極40および第2電極50は、櫛歯状に形成され、互いの歯が噛み合うように配されていてもよい。第1電極40および第2電極50は、表面が薄い銅被膜と、厚さ約0.1mmのガラス材料で順次被覆された、直径約0.4mmのガラス被覆銅クラッドニッケルワイヤ(通称:ジュメット線)で形成されている。
【0073】
支持体30は、Ne−Fe合金(フェロアロイ)で構成され、板厚が0.5mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されている。この支持体30には、図3に示すように、第1電極40および第2電極50が、基板面積に応じて、長さlで電極間(第1電極40および第2電極50の間)距離が2mm以上となるようにn本ずつ配置されている。また、第1電極40および第2電極50は、支持体30の側面を一方向に串刺しにするように設けられている。なお、支持体30は、ガラスで構成され、板厚が2mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されていてもよい。
【0074】
また、支持体30は、平面照明装置の外枠を囲むように前面板10および背面板20の間に1つだけ設けられて、1つの密閉空間を形成していても良いし、複数の支持体30が前面板10および背面板20の間に設けられて、複数の密閉空間を形成していてもよい。
【0075】
本実施の形態に係る平面照明装置によれば、図4に示すように、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散し、(i)前面板10の裏面全面に形成された白色発光の蛍光体層11を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(ii)背面板20の凹部21の表面全面に形成された白色発光の蛍光体層23を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(iii)蛍光体層23から発生した光が背面板20の凹部21の表面全面に形成された反射膜22により反射された光(図4の黒矢印)と、を合計した光が、可視光として平面照明装置から出射される。
【0076】
このように、本平面照明装置では、背面板20に複数の凹部21が設けられていることにより、背面板20に形成される蛍光体層23の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、前面板10の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0077】
上記の構成を有する平面照明装置において実験した結果を以下に示す。
【0078】
ここでは、平面照明装置の密閉空間にXe10%含有のNeガスを約0.65気圧封入し、互いに対をなす第1電極40および第2電極50に高周波電圧を印加し、プラズマ放電により紫外線を発生させ、白色蛍光体層11,23を励起することにより可視光を発生させた。各種の設定・測定条件および得られた実験結果は次の通りである。
・電極間距離:2mm
・放電ガス圧:0.65気圧
・放電ガス種:Ne−10%Xe
・印可電圧:600V〜1200V
・印可周波数:30kHz〜50kHz
・輝度:9500cd/m2
・発光効率:45lm/w
上記条件の下に測定された輝度は、前面板10の蛍光体層11による発光、背面板20の蛍光体層23による発光、および、背面板20の反射膜22による反射光を合計した実効的な値を表している。この結果から、背面板20の表面全面に形成された凹部21の隔壁における蛍光体層23の面積増加による効果と、凹部21の表面全面に反射膜22を形成したことによる効果を明確に確認することができた。
【0079】
ここで、従来の平面照明装置について考察する。例えば、図29に示す特許文献1の平面照明装置の構成では、第1の電極部130および第2の電極部140が、背面パネル170および蛍光体層160の間に設けられているため、放電により前面パネル110方向にのみ紫外線が拡散する。そのため、放電により発生した紫外線を十分に利用することができないため、発光効率が28lm/W程度と低く、十分な発光量を得られない。また、前面パネル110がガラス基板であるため、軽量化および大面積化の両立が難しいという問題もある。さらに製品としての厚みが20mm以上と厚く、平面照明装置としては不向きである。よって、従来の平面照明装置は、その用途が撮影用照明や広告用照明などに限定されているのが現状である。
【0080】
これに対して、本実施の形態に係る平面照明装置では、上記のように発光効率を45lm/W程度まで高めることができる。また、背面板のコア材料が板厚の薄い金属材料で構成されているため、装置全体の軽量化および大面積化が可能となる。さらに放熱効果も期待でき、製品化における熱設計マージンの拡大を図ることもできる。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る平面照明装置によれば、実用的なレベルの輝度(9500cd/m2)を実現することができ、また、発光効率も市販の蛍光灯レベルに高めることができる。また、装置自体の構成が複雑化することもないため、コストを抑えることもできる。さらに、装置全体の軽量化および大面積化を実現することもできる。よって、本実施の形態に係る平面照明装置は、軽量かつ大面積の平面型の照明装置として実用に供しうる性能を有する。
【0082】
(変形例9)
図21に示す平面照明装置の変形例について説明する。図24〜図26は、本変形例の平面照明装置の示す図である。背面板20にはコア材料として金属材料を用いる。ここでは、板厚が約0.02mmの極薄金属膜を用い、上記と同様に隔壁で囲われた複数の凹部21を電鋳法で作成される。図27および図28は、本製造方法により製造された背面板20を示す図である。
【0083】
上記の製造方法により、背面板20は十分な金属光沢を有しているため、新たな反射膜22(図21参照)を設ける必要がない。そのため、背面板20の表面には白色発光の蛍光体層23が直接形成される。これにより、背面板20の蛍光体層23で励起される光のうち、裏面方向の光は、極薄金属膜の表面で反射され前面板10方向の可視光となる。よって、装置の軽量化を図ることができる。
【0084】
本変形例の平面照明装置においても、図21に示す平面照明装置と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率が得られることを確認した。また、本変形例では、反射膜が不要となるため、さらなる軽量化および薄型化が可能となる。なお、極薄金属膜の表面に新たに反射膜を設けても同様の効果が期待できることは言うまでもない。さらに、図24等に示すように背面板20の裏面は、表面の凹部21に対応して凹凸状に形成されているため、放熱効果を高めることもできる。
【0085】
また、本変形例に係る平面照明装置では、背面板20が金属材料で形成されているため、第2電極50として利用することもできる。この場合は、密閉空間には第1電極40のみが設けられ、第1電極40と背面板20との間で放電が行われる。
【0086】
以上に示した各実施の形態に係る平面照明装置は、以下の構成とすることもできる。
(構成1)
本平面照明装置では、放電用ガスと蛍光体層を密閉した密閉空間に、放電用の電極(第1電極および第2電極)が複数分散配置された構成を有する。
(構成2)
本平面照明装置では、裏面に蛍光体層を有する第1基板(前面板)と、反射膜と蛍光体層とを有する第2基板(背面板)と、両基板間に配された支持体とからなる密閉空間に、複数のワイヤ状の電極が対状に配置された構成を有する。
(構成3)
本平面照明装置では、第1基板が表面に蛍光体層を有するガラス基板からなり、第2基板が隔壁で囲われた微細な3次元のセル構造(凹部)を有する金属基板からなり、該金属基板の表面には、反射膜と蛍光体層とが順に設けられ、支持体はガラス材料または金属材料からなっている。
(構成4)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極の断面形状が、直径0.2mm〜1.0mmの円形、または、横方向0.1mm〜1.0mm、縦方向1mm〜10mmの矩形であり、かつ、その表面には誘電体層が設けられている。
(構成5)
本平面照明装置では、第1基板上の蛍光体層の膜厚が0.1μm〜10μmの範囲に設定され、第2基板上の反射膜の膜厚が0.1μm〜1μmの範囲に設定され、その上に形成される蛍光体層の膜厚が0・5μm〜100μmの範囲に設定され、ワイヤ状の電極の表面を被覆した誘電体層の膜厚が0.1μm〜100μmの範囲に設定されている。
(構成6)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極が、Cu等の導電材料、ガラス材料の熱膨張係数を有する金属材料、Fe−Ni系材料、または、Ni−Mo系材料からなっている。
(構成7)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極間隔が2mm以上に設定され、該電極数が平面照明装置の大きさに応じて一対から複数対に設定されている構成とすることもできる。
(構成8)
本平面照明装置では、第2基板が、隔壁で囲われた微細な3次元のセル構造を有するガラス基板で構成されていてもよい。
(構成9)
本平面照明装置では、微細な3次元セル構造を有するガラス基板において、該ガラス基板の表面に蛍光体層が設けられ、該ガラス基板の裏面に反射膜が設けられていてもよい。
(構成10)
本平面照明装置では、隔壁で囲われた3次元のセル構造を有する第2基板の表面積が、セル構造を有しない平坦な基板の表面積と比較して2倍以上である構成とすることもできる。
(構成11)
本平面照明装置では、第2基板における隔壁で囲まれたセル構造の凹部が、平面照明装置の光出射側から見たとき(平面視)に、ストレート(長方形)形状、格子(マトリクス)形状、蜂の巣形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
(構成12)
本平面照明装置では、3次元のセル構造の凹部を構成する隔壁の一部または全部の断面形状が、テーパ形状に形成されていてもよい。
(構成13)
本平面照明装置では、第2基板と支持体とが、ガラス材料からなる第1基板と熱膨張係数が近い金属材料、例えば、Ni−Fe系材料から構成されていてもよい。
(構成14)
本平面照明装置では、密閉空間を減圧すること等による第1基板および第2基板の変形または破壊を防ぐための複数の支持体が設けられ、該支持体は、柱状または球状に形成されていてもよい。
(構成15)
本平面照明装置では、密閉空間を含む平面照明装置の厚みが3mm〜30mmに構成されていてもよい。
(構成16)
本平面照明装置では、裏面に金属反射膜を有する、ガラス材料からなる第2基板において、該金属反射膜を、電力印加用または接地用の電極として用いてもよい。
(構成17)
本平面照明装置では、密閉空間に、プラズマ放電用として、単独または複数種のガスを適正圧力で封入している。
(構成18)
本平面照明装置では、第1基板の表面、または、第1基板の表面と該第2基板の裏面がプラスチックフィルムで覆われている構成とすることもできる。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の平面照明装置は、平面照明でありながら、市販の蛍光灯レベルの高発光効率を実現できるため、従来の蛍光灯に置き換わるだけではなく、新しい用途(例えば、建築分野、インテリア分野等)に利用できる。
【符号の説明】
【0089】
10 前面板(第1基板)
11 蛍光体層
20 背面板(第2基板)
21 凹部
22 反射膜
23 蛍光体層
30 支持体
31 スペーサ
32 支持部材
40 第1電極
50 第2電極
60 第3電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間の放電を利用して光を出射する平面照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ放電を利用した照明技術・製品の代表は蛍光灯である。蛍光灯は、熱電子放出等を放電のトリガーとするプラズマ放電により発生した紫外光による蛍光発光を利用している。蛍光灯の発光効率は60〜100lm/w、輝度は約300cd/m2以上、実質的な寿命は6000〜8000時間であり、技術的には完成の域に近く、加えて比較的低価格で市販されており、現在、照明分野における世界の主流となっている。
【0003】
一方、近年では、軽量かつ大面積の照明装置の開発が進められている。しかし、従来の蛍光灯方式では、発光効率の高い陽光柱紫外線による蛍光発光を利用しており、比較的長い管状の構造を要するため、大面積化には適さない。また、陽光柱紫外線の発生には微量の水銀が使用されているため、環境上の問題もある。さらに、電子放出には加熱した電極を用いるため、寿命が短い等の問題もある。
【0004】
そこで、従来の蛍光灯方式とは異なる構造を有する大面積の平面型の照明装置(以下、平面照明装置という)が提案されており、例えば特許文献1に開示されている。図29は、特許文献1に係る平面照明装置の構成を示す斜視図である。同図に示すように、この平面照明装置(平面蛍光ランプ)は、蛍光体層(蛍光体物質)111が形成された前面パネル110と、反射板120、第1の電極部130および第2の電極部140、誘電体層150、蛍光体層160が、前面パネル110に向かってこの順に形成された背面パネル170と、前面パネル110および背面パネル170を支持し、内部の放電空間を封止するサポート180とを有する。また、第1の電極部130および第2の電極部140は、交互に配置されており、放電空間にはXeなどの放電ガスが封入されている。上記の構成において、平面照明装置は、2つの電極間の放電より発生した紫外線が蛍光体層を励起することにより可視光を発生する。これにより、従来の蛍光灯方式ではなし得なかった大面積の照明装置を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−525806号公報(2007年9月6日公表)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の平面照明装置は、発光効率が28lm/W程度であり、市販の蛍光灯の発光効率(60〜100lm/W)には及ばず、実用的なレベルには達していない。今後、平面照明装置が市場に普及するためには、発光効率を蛍光灯レベルにまで高めることが必要である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光効率の高い平面照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る平面照明装置は、上記の課題を解決するために、
第1基板と、該第1基板に対向する第2基板と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極と、該第1電極と対を成す複数の第2電極とを備え、該第1電極と該第2電極との間で起こる放電を利用して光を出射する平面照明装置であって、
前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、密閉空間において、第1電極と第2電極との間で起こる放電により発生した紫外線が、第1基板および第2基板に向かって放射状に拡散する。そのため、紫外線が第1基板および第2基板の少なくとも何れか一方に設けられた蛍光体層の全面に均一に照射されるため、蛍光体層の全面から均一な光が発生し、平面照明装置の全面から可視光として出射される。よって、従来と比較して発光効率を高めることができる。
【0010】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において、前記第1基板および前記第2基板から離間して設けられている構成であってもよい。
【0011】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、ワイヤ状に形成されている構成であってもよい。
【0012】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、断面形状が円形あるいは矩形であってもよい。
【0013】
前記平面照明装置では、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1基板および前記第2基板と平行に、交互に並んで配されている構成であってもよい。
【0014】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、前記第1基板に対向する面に、周囲が隔壁で囲まれた複数の凹部を有し、各凹部の表面に、蛍光体層が設けられている構成であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、蛍光体層の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、第1基板の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0016】
前記平面照明装置では、
前記凹部は、前記第2基板において格子状に形成されている構成であってもよい。
【0017】
前記平面照明装置では、
前記凹部を構成する前記隔壁は、前記第1基板側に近づくにつれて該隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されている構成であってもよい。
【0018】
前記平面照明装置では、
前記凹部は、該凹部を含む前記第2基板の表面積が前記第1基板の表面積の2倍以上となるように形成されている構成であってもよい。
【0019】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、ガラス材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側とは反対側に反射膜が設けられている構成であってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、第2基板の蛍光体層で発生した可視光のうち、裏面方向の可視光が、第2基板の裏面に形成された反射膜により第1基板方向に反射される。これにより、輝度および発光効率をさらに高めることができる。
【0021】
前記平面照明装置では、
前記密閉空間に、放電の起動用の第3電極が設けられている構成であってもよい。
【0022】
これにより、放電開始電圧を下げることができる。
【0023】
前記平面照明装置では、
前記密閉空間に設けられる前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記第1基板または前記第2基板に設けられた支持部材により支持されている構成であってもよい。
【0024】
これにより、第1電極および第2電極の撓みを抑えることができる。
【0025】
前記平面照明装置では、
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、金属材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側に蛍光体層が設けられている構成であってもよい。
【0026】
上記の構成によれば、第2基板を反射膜として利用することができるため、新たに反射膜を設ける必要ながない。よって、平面照明装置のさらなる軽量化および薄型化が可能となる。
【0027】
前記平面照明装置では、
前記第1電極が前記密閉空間に設けられているとともに、前記第2基板が前記第2電極として機能する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の平面照明装置は、前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられている構成である。これにより、発光効率の高い平面照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図3に示す実施の形態1に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図2】図3に示す実施の形態1に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図3】実施の形態1に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】実施の形態1に係る平面照明装置の放電の様子を示す模式断面図である。
【図5】変形例1に係る平面照明装置の背面板の概略構成を示す斜視図である。
【図6】変形例1に係る平面照明装置の断面図である。
【図7】変形例2に係る平面照明装置の第1電極および第2電極の概略構成を示す斜視図である。
【図8】変形例2に係る平面照明装置の断面図である。
【図9】図10に示す変形例4に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図10】変形例4に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図11】図13に示す変形例5に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図12】図13に示す変形例5に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図13】変形例5に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図14】図16に示す変形例6に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図15】図16に示す変形例6に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図16】変形例6に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図17】図19に示す変形例7に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図18】図19に示す変形例7に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図19】変形例7に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図20】変形例8に係る平面照明装置の放電の様子を示す模式断面図である。
【図21】図23に示す実施の形態2に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図22】図23に示す実施の形態2に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図23】実施の形態2に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図24】図26に示す変形例9に係る平面照明装置のA−B断面図である。
【図25】図26に示す変形例9に係る平面照明装置のC−D断面図である。
【図26】変形例9に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図27】実施の形態2に係る平面照明装置の背面板を示す図である。
【図28】実施の形態2に係る平面照明装置の背面板を示す図である。
【図29】従来の平面照明装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について図面に基づいて以下の通り説明する。
【0031】
図3は本実施の形態における平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図1は図3の平面照明装置のA−B断面図であり、図2は図3の平面照明装置のC−D断面図である。
【0032】
まず、本実施の形態1に係る平面型の照明装置(以下、平面照明装置という)の概略構成について説明する。
【0033】
平面照明装置は、光の出射側に配される前面板10(第1基板)と、前面板10に対向配置される背面板20(第2基板)と、前面板10および背面板20の間に挟持される支持体30とを備え、これらが貼り合わされて構成されている。
【0034】
前面板10は、裏面(背面板側)に蛍光体層11が設けられている。背面板20は、前面板側に微細な隔壁で囲まれた複数の凹部21が形成されており、凹部21の表面には反射膜22と蛍光体層23がこの順に積層されている。支持体30は、周囲が隔壁で囲まれ、前面板側および背面板側は開口されている。これにより、前面板10および背面板20の間には、密閉空間が形成されている。
【0035】
また、平面照明装置は、放電用の電極を複数備えている。放電用の電極は、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とで構成され、第1電極40および第2電極50は、支持体30に設けられている。これにより、第1電極40および第2電極50は、密閉空間において、前面板10および背面板20から離間して配置された構成となっている。
【0036】
本実施の形態に係る平面照明装置は、例えば以下の効果を奏する。
(1)市販の蛍光灯並みの高い発光効率を実現できる。
(2)蛍光体の表面積を増大して、可視光発光量を大幅に増加させることができる。
(3)蛍光体層と隔壁を含む背面板表面との間に反射膜を形成することにより、発生した光を前面板側に導くことができ、可視光として有効に利用することができる。
【0037】
以下、平面照明装置の構成および機能について、より具体的に説明する。
【0038】
平面照明装置では、上記のように、前面板10と背面板20とを支持体30を介して貼り合わせて密閉空間を形成し、その密閉空間の中空に、複数の第1電極40および第2電極50を配置した構成を有している。ここで、密閉空間には放電ガスが封入されている。上記の構成において、対を成す第1電極40および第2電極50に電圧を印加するとプラズマ放電が行われ、これにより発生する紫外線が蛍光体層11,23を励起することにより、可視光が外部に出射する。
【0039】
前面板10は、板厚が2mmのガラス基板であり、裏面には膜厚が約10μmの白色発光の蛍光体層11が形成されている。
【0040】
背面板20は、板厚が3mmのガラス基板であり、表面には深さ約1mmでアスペクト比が1以上の隔壁で囲われた複数の凹部21が形成されており、その表面積は、凹部21がない場合(平板や前面板10)と比較して約2倍以上になっている。また凹部21の表面には、金属の反射膜22が形成され、さらにその表面には、膜厚が約20μmの白色発光の蛍光体層23が形成されている。なお、背面板20は、平板状のガラス基板に蛍光体層が形成されている構成としても良い。また、凹部21を構成する隔壁は、前面板10側に近づくにつれて隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていてもよい。
【0041】
第1電極40および第2電極50は、第1電極40および第2電極50は、前面板10および背面板20と平行に、交互に並んで配されている。なお、第1電極40および第2電極50は、櫛歯状に形成され、互いの歯が噛み合うように配されていてもよい。すなわち、第1電極40および第2電極50が交互に並んで配されている。第1電極40および第2電極50は、表面が薄い銅被膜と、厚さ約0.1mmのガラス材料で順次被覆された、直径約0.4mmのガラス被覆銅クラッドニッケルワイヤ(通称:ジュメット線)で形成されている。
【0042】
支持体30は、Ne−Fe合金(フェロアロイ)で構成され、板厚が0.5mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されている。この支持体30には、図3に示すように、第1電極40および第2電極50が、基板面積に応じて、長さlで電極間(第1電極40および第2電極50の間)距離が2mm以上となるようにn本ずつ配置されている。また、第1電極40および第2電極50は、支持体30の側面を一方向に串刺しにするように設けられている。なお、支持体30は、ガラスで構成され、板厚が2mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されていてもよい。
【0043】
また、支持体30は、平面照明装置の外枠を囲むように前面板10および背面板20の間に1つだけ設けられて、1つの密閉空間を形成していても良いし、複数の支持体30が前面板10および背面板20の間に設けられて、複数の密閉空間を形成していてもよい。
【0044】
なお、本発明の平面照明装置は、図1に示すように、蛍光体層が、前面板10および背面板20の両方に設けられている構成に限定されず、前面板10および背面板20の何れか一方にのみ蛍光体層が設けられている構成であっても良い。
【0045】
本実施の形態に係る平面照明装置によれば、図4に示すように、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散する。そのため、紫外線が前面板10および背面板20の少なくとも何れか一方に設けられた蛍光体層の全面に均一に照射されるため、蛍光体層の全面から均一な光が発生し、平面照明装置の全面から可視光として出射される。よって、従来と比較して発光効率を高めることができる。
【0046】
また、図1に示すように、背面板20に凹部21が設けられ、凹部21の表面に反射膜22が形成されている場合には、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散し、(i)前面板10の裏面全面に形成された白色発光の蛍光体層11を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(ii)背面板20の凹部21の表面全面に形成された白色発光の蛍光体層23を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(iii)蛍光体層23から発生した光が背面板20の凹部21の表面全面に形成された反射膜22により反射された光(図4の黒矢印)と、を合計した光が、可視光として平面照明装置から出射される。
【0047】
このように、背面板20に複数の凹部21を設けた場合は、背面板20に形成される蛍光体層23の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、前面板10の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0048】
上記の構成を有する平面照明装置において実験した結果を以下に示す。
【0049】
ここでは、平面照明装置の密閉空間にXe10%含有のNeガスを約0.65気圧封入し、互いに対をなす第1電極40および第2電極50に高周波電圧を印加し、プラズマ放電により紫外線を発生させ、白色蛍光体層11,23を励起することにより可視光を発生させた。各種の設定・測定条件および得られた実験結果は次の通りである。
・電極間距離:2mm
・放電ガス圧:0.65気圧
・放電ガス種:Ne−10%Xe
・印可電圧:600V〜1200V
・印可周波数:30kHz〜50kHz
・輝度:9500cd/m2
・発光効率:40lm/w
上記条件の下に測定された輝度は、前面板10の蛍光体層11による発光、背面板20の蛍光体層23による発光、および、背面板20の反射膜22による反射光を合計した実効的な値を表している。この結果から、背面板20の表面全面に形成された凹部21の隔壁における蛍光体層23の面積増加による効果と、凹部21の表面全面に反射膜22を形成したことによる効果を明確に確認することができた。
【0050】
ここで、従来の平面照明装置について考察する。例えば、図29に示す特許文献1の平面照明装置の構成では、第1の電極部130および第2の電極部140が、背面パネル170および蛍光体層160の間に設けられているため、放電により前面パネル110方向にのみ紫外線が拡散する。そのため、放電により発生した紫外線を十分に利用することができないため、発光効率が28lm/W程度と低く、十分な発光量を得られない。
【0051】
これに対して、本実施の形態に係る平面照明装置では、放電用の第1電極40および第2電極50が密閉空間において第1基板および第2基板から離間して設けられているため、第1電極および第2電極の放電により発生する紫外線は、前面板10および背面板20方向に放射状に拡散する。よって、前面板方向のみに拡散する従来の構成(図29参照)と比較して、発光効率をさらに高めることができる。
【0052】
以上のように、本実施の形態に係る平面照明装置によれば、実用的なレベルの輝度(9500cd/m2)を実現することができ、また、発光効率も市販の蛍光灯レベルに高めることができる。さらに、装置自体の構成が複雑化することもないため、コストが増大することもない。よって、本実施の形態に係る平面照明装置は、大面積の平面型の照明装置として実用に供しうる性能を有する。
【0053】
(変形例1)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図5および図6に示すように、本変形例の背面板20は、隔壁で囲まれた複数の凹部21の表面に白色発光の蛍光体層23が形成され、背面板20の裏面に金属の反射膜22が形成されている。これにより、背面板20の蛍光体層23で発生した可視光のうち、裏面方向の可視光は、背面板20の裏面に形成した反射膜22により前面板10方向に反射される。これにより、実施形態1と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率を得られることを確認した。また、本変形例では、反射膜22を背面板20における平板状の裏面に形成することができるため、製造工程を簡略化することができる。
【0054】
(変形例2)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図7および図8に示すように、本変形例の第1電極40および第2電極50は、上記ガラス被覆した銅クラッドニッケルワイヤに変えて、断面が0.5m×3.0mm、長さLの矩形状に形成されており、互いの電極間距離は4mm以上に設定されている。また、第1電極40および第2電極50の断面の長辺が前面板10および背面板20に対して直角となるように設けられている。第1電極40および第2電極50の表面には、膜厚200μm以下の誘電体層が形成されている。この矩形状の第1電極40および第2電極50は、誘電体バリア放電を容易にするため、放電開始電圧と放電電圧をそれぞれ約200V下げることができることが分かった。また、放電電極の長寿命化を期待できる。
【0055】
(変形例3)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例3の平面照明装置では、第1電極40を密閉空間に設けるとともに、変形例1で示した背面板20の裏面に形成した金属の反射膜22(図6参照)を第2電極として利用する。第1電極は、ガラス被覆した銅クラッドニッケルワイヤで構成され、1本または複数本設けられている。上記構成において、第1電極と面状の第2電極との間に電圧800V、周波数30kHz〜50kHzのサイン波を印加してプラズマ放電を発生させたところ、実施の形態1と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率が得られることを確認した。また、放電用電極の一方が面状であることから、プラズマ放電は背面板全面に広がりやすく、得られた可視光の均一性は大幅に向上した。なお、第1電極として、変形例2で示した誘電体被覆した矩形状の電極を用いても同様の効果を得られることはいうまでもない。
【0056】
(変形例4)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例4の平面照明装置では、図9および図10に示すように、前面板10、背面板20、支持体30で構成される密閉空間に、第1電極40および第2電極50に加えて、プラズマ放電の放電トリガー用(起動用)の第3電極60(補助電極)が設けられている。第3電極60は、第1電極40および第2電極50と約1mmの間隔で近接しており、この第3電極60と、第1電極40および第2電極50間に初期的に高電圧を印加し、プラス放電開始のトリガーとした。これにより、第3電極60がない場合と比較して、放電開始電圧が約200V低下することを確認した。なお、第3電極60は、熱電子を放出するタイプでも同様の効果があることは言うまでもない。
【0057】
(変形例5)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例5の平面照明装置では、図11〜図13に示すように、前面板10および背面板20の間の距離を保持するためのスペーサ31が設けられている。スペーサ31の形状は、角柱または円柱としてもよいし、球状のビーズ(例えばガラス玉)を利用しても良い。図11〜図13のスペーサ31は、ガラス材料、断面形状が約2mm×2mm、高さが約4mmの角柱で構成されている。なお、スペーサ31、1つ設けられていても良いし、前面板10および背面板20の面積に応じて複数個設けられていても良い。この構成によれば、前面板10および背面板20の撓みを抑えることができる。
【0058】
(変形例6)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例6の平面照明装置では、図14〜図16に示すように、密閉空間において第1電極40および第2電極50を支持するための支持部材32が、前面板10または背面板20に設けられている。なお、支持部材32は、前面板10または背面板20の一部として構成されていても良いし、別部材として前面板10または背面板20に追加的に設けられていても良い。この構成によれば、第1電極40および第2電極50の撓みを抑えることができる。
【0059】
(変形例7)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。変形例7の平面照明装置では、図17〜図19に示すように、第1電極40および第2電極50が、前面板10および背面板20に垂直方向に並んで配され、かつ、第1電極40および第2電極50の一対が、前面板10および背面板20に水平方向に並んで配されている。図17〜図19では、第1電極40が背面板20側に配され、第2電極50が前面板10側に配されている。
【0060】
(変形例8)
図1に示す平面照明装置の変形例について説明する。図20は、本変形例8の平面照明装置の断面図である。第1電極40および第2電極50は、図4に示すように、密閉空間の中空、すなわち他に接しないように設けられている構成に限定されず、図20に示すように、蛍光体層11上に設けられていても良い。この構成でも、プラズマ放電により発生した紫外線は、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散するため、図4の構成の場合と同等の効果を得ることができる。
【0061】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2について図面に基づいて以下の通り説明する。
【0062】
図23は本実施の形態に係る平面照明装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図21は図23の平面照明装置のA−B断面図であり、図22は図23の平面照明装置のC−D断面図である。
【0063】
まず、本実施の形態2に係る平面照明装置の概略構成について説明する。
【0064】
平面照明装置は、上記実施の形態1に係る平面照明装置と同様に、光の出射側に配される前面板10(第1基板)と、前面板10に対向配置される背面板20(第2基板)と、前面板10および背面板20の間に挟持される支持体30とを備え、これらが貼り合わされて構成されている。
【0065】
前面板10は、裏面(背面板側)に蛍光体層11が設けられている。背面板20は、前面板側に微細な隔壁で囲まれた複数の凹部21が形成されており、凹部21の表面には反射膜22と蛍光体層23がこの順に積層されている。支持体30は、周囲が隔壁で囲まれ、前面板側および背面板側は開口されている。これにより、前面板10および背面板20の間には、密閉空間が形成されている。
【0066】
また、平面照明装置は、放電用の電極を複数備えている。放電用の電極は、複数の第1電極40と、第1電極40と対を成す複数の第2電極50とで構成され、第1電極40および第2電極50は、支持体30に設けられている。これにより、第1電極40および第2電極50は、密閉空間において、前面板10および背面板20から離間して配置された構成となっている。
【0067】
本実施の形態に係る平面照明装置は、例えば以下の効果を奏する。
(1)市販の蛍光灯並みの高い発光効率を実現できる。
(2)蛍光体の表面積を増大して、可視光発光量を大幅に増加させることができる。
(3)蛍光体層と隔壁を含む背面板表面との間に反射膜を形成することにより、発生した光を前面板側に導くことができ、可視光として有効に利用することができる。
(4)背面板のコア素材として板厚の薄い金属材料を使うことができるため、平面照明装置の軽量化と大面積化を実現できる。
【0068】
以下、平面照明装置の構成および機能について、より具体的に説明する。
【0069】
平面照明装置では、上記のように、前面板10と背面板20とを支持体30を介して貼り合わせて密閉空間を形成し、その密閉空間の中空に、複数の第1電極40および第2電極50を配置した構成を有している。ここで、密閉空間には放電ガスが封入されている。上記の構成において、対を成す第1電極40および第2電極50に電圧を印加するとプラズマ放電が行われ、これにより発生する紫外線が蛍光体層11,23を励起することにより、可視光が外部に出射する。
【0070】
前面板10は、板厚が2mmのガラス基板であり、裏面には膜厚が約10μmの白色発光の蛍光体層11が形成されている。
【0071】
背面板20は、コア素材として、ガラス基板(前面板10)の熱膨張係数とミスマッチの小さな熱膨張係数を持つ金属材料で形成されている。ここでは、板厚が0.3mmのNe−Fe合金(フェロアロイ)を用いた。背面板20の表面には、深さ約0.2mmでアスペクト比が1以上の隔壁で囲まれた微細な複数の凹部21が形成されており、その表面積は、凹部21がない場合(平板や前面板10)と比較して、約2倍以上になっている。また凹部21の表面には、金属の反射膜22が形成され、さらにその表面には、膜厚が約20μmの白色発光の蛍光体層23が形成されている。また、凹部21を構成する隔壁は、前面板10側に近づくにつれて隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていてもよい。
【0072】
第1電極40および第2電極50は、前面板10および背面板20と平行に、交互に並んで配されている。なお、第1電極40および第2電極50は、櫛歯状に形成され、互いの歯が噛み合うように配されていてもよい。第1電極40および第2電極50は、表面が薄い銅被膜と、厚さ約0.1mmのガラス材料で順次被覆された、直径約0.4mmのガラス被覆銅クラッドニッケルワイヤ(通称:ジュメット線)で形成されている。
【0073】
支持体30は、Ne−Fe合金(フェロアロイ)で構成され、板厚が0.5mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されている。この支持体30には、図3に示すように、第1電極40および第2電極50が、基板面積に応じて、長さlで電極間(第1電極40および第2電極50の間)距離が2mm以上となるようにn本ずつ配置されている。また、第1電極40および第2電極50は、支持体30の側面を一方向に串刺しにするように設けられている。なお、支持体30は、ガラスで構成され、板厚が2mm、高さが4mmの四辺枠状に形成されていてもよい。
【0074】
また、支持体30は、平面照明装置の外枠を囲むように前面板10および背面板20の間に1つだけ設けられて、1つの密閉空間を形成していても良いし、複数の支持体30が前面板10および背面板20の間に設けられて、複数の密閉空間を形成していてもよい。
【0075】
本実施の形態に係る平面照明装置によれば、図4に示すように、プラズマ放電により発生した紫外線が、前面板10および背面板20に向かって放射状に拡散し、(i)前面板10の裏面全面に形成された白色発光の蛍光体層11を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(ii)背面板20の凹部21の表面全面に形成された白色発光の蛍光体層23を励起することにより発生する光(図4の白矢印)と、(iii)蛍光体層23から発生した光が背面板20の凹部21の表面全面に形成された反射膜22により反射された光(図4の黒矢印)と、を合計した光が、可視光として平面照明装置から出射される。
【0076】
このように、本平面照明装置では、背面板20に複数の凹部21が設けられていることにより、背面板20に形成される蛍光体層23の表面積を増大させることができるため、平板状の背面板を有する従来の平面照明装置よりも、可視光の光量を飛躍的に増大させることができる。また、前面板10の全面から均一に可視光を取り出すことができるため、発光効率をさらに高めることでき、また輝度の向上および均一化を図ることもでき、平面照明装置の大面積を実現することができる。
【0077】
上記の構成を有する平面照明装置において実験した結果を以下に示す。
【0078】
ここでは、平面照明装置の密閉空間にXe10%含有のNeガスを約0.65気圧封入し、互いに対をなす第1電極40および第2電極50に高周波電圧を印加し、プラズマ放電により紫外線を発生させ、白色蛍光体層11,23を励起することにより可視光を発生させた。各種の設定・測定条件および得られた実験結果は次の通りである。
・電極間距離:2mm
・放電ガス圧:0.65気圧
・放電ガス種:Ne−10%Xe
・印可電圧:600V〜1200V
・印可周波数:30kHz〜50kHz
・輝度:9500cd/m2
・発光効率:45lm/w
上記条件の下に測定された輝度は、前面板10の蛍光体層11による発光、背面板20の蛍光体層23による発光、および、背面板20の反射膜22による反射光を合計した実効的な値を表している。この結果から、背面板20の表面全面に形成された凹部21の隔壁における蛍光体層23の面積増加による効果と、凹部21の表面全面に反射膜22を形成したことによる効果を明確に確認することができた。
【0079】
ここで、従来の平面照明装置について考察する。例えば、図29に示す特許文献1の平面照明装置の構成では、第1の電極部130および第2の電極部140が、背面パネル170および蛍光体層160の間に設けられているため、放電により前面パネル110方向にのみ紫外線が拡散する。そのため、放電により発生した紫外線を十分に利用することができないため、発光効率が28lm/W程度と低く、十分な発光量を得られない。また、前面パネル110がガラス基板であるため、軽量化および大面積化の両立が難しいという問題もある。さらに製品としての厚みが20mm以上と厚く、平面照明装置としては不向きである。よって、従来の平面照明装置は、その用途が撮影用照明や広告用照明などに限定されているのが現状である。
【0080】
これに対して、本実施の形態に係る平面照明装置では、上記のように発光効率を45lm/W程度まで高めることができる。また、背面板のコア材料が板厚の薄い金属材料で構成されているため、装置全体の軽量化および大面積化が可能となる。さらに放熱効果も期待でき、製品化における熱設計マージンの拡大を図ることもできる。
【0081】
以上のように、本実施の形態に係る平面照明装置によれば、実用的なレベルの輝度(9500cd/m2)を実現することができ、また、発光効率も市販の蛍光灯レベルに高めることができる。また、装置自体の構成が複雑化することもないため、コストを抑えることもできる。さらに、装置全体の軽量化および大面積化を実現することもできる。よって、本実施の形態に係る平面照明装置は、軽量かつ大面積の平面型の照明装置として実用に供しうる性能を有する。
【0082】
(変形例9)
図21に示す平面照明装置の変形例について説明する。図24〜図26は、本変形例の平面照明装置の示す図である。背面板20にはコア材料として金属材料を用いる。ここでは、板厚が約0.02mmの極薄金属膜を用い、上記と同様に隔壁で囲われた複数の凹部21を電鋳法で作成される。図27および図28は、本製造方法により製造された背面板20を示す図である。
【0083】
上記の製造方法により、背面板20は十分な金属光沢を有しているため、新たな反射膜22(図21参照)を設ける必要がない。そのため、背面板20の表面には白色発光の蛍光体層23が直接形成される。これにより、背面板20の蛍光体層23で励起される光のうち、裏面方向の光は、極薄金属膜の表面で反射され前面板10方向の可視光となる。よって、装置の軽量化を図ることができる。
【0084】
本変形例の平面照明装置においても、図21に示す平面照明装置と同程度の実効的に高い輝度および高い発光効率が得られることを確認した。また、本変形例では、反射膜が不要となるため、さらなる軽量化および薄型化が可能となる。なお、極薄金属膜の表面に新たに反射膜を設けても同様の効果が期待できることは言うまでもない。さらに、図24等に示すように背面板20の裏面は、表面の凹部21に対応して凹凸状に形成されているため、放熱効果を高めることもできる。
【0085】
また、本変形例に係る平面照明装置では、背面板20が金属材料で形成されているため、第2電極50として利用することもできる。この場合は、密閉空間には第1電極40のみが設けられ、第1電極40と背面板20との間で放電が行われる。
【0086】
以上に示した各実施の形態に係る平面照明装置は、以下の構成とすることもできる。
(構成1)
本平面照明装置では、放電用ガスと蛍光体層を密閉した密閉空間に、放電用の電極(第1電極および第2電極)が複数分散配置された構成を有する。
(構成2)
本平面照明装置では、裏面に蛍光体層を有する第1基板(前面板)と、反射膜と蛍光体層とを有する第2基板(背面板)と、両基板間に配された支持体とからなる密閉空間に、複数のワイヤ状の電極が対状に配置された構成を有する。
(構成3)
本平面照明装置では、第1基板が表面に蛍光体層を有するガラス基板からなり、第2基板が隔壁で囲われた微細な3次元のセル構造(凹部)を有する金属基板からなり、該金属基板の表面には、反射膜と蛍光体層とが順に設けられ、支持体はガラス材料または金属材料からなっている。
(構成4)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極の断面形状が、直径0.2mm〜1.0mmの円形、または、横方向0.1mm〜1.0mm、縦方向1mm〜10mmの矩形であり、かつ、その表面には誘電体層が設けられている。
(構成5)
本平面照明装置では、第1基板上の蛍光体層の膜厚が0.1μm〜10μmの範囲に設定され、第2基板上の反射膜の膜厚が0.1μm〜1μmの範囲に設定され、その上に形成される蛍光体層の膜厚が0・5μm〜100μmの範囲に設定され、ワイヤ状の電極の表面を被覆した誘電体層の膜厚が0.1μm〜100μmの範囲に設定されている。
(構成6)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極が、Cu等の導電材料、ガラス材料の熱膨張係数を有する金属材料、Fe−Ni系材料、または、Ni−Mo系材料からなっている。
(構成7)
本平面照明装置では、対をなすワイヤ状の電極間隔が2mm以上に設定され、該電極数が平面照明装置の大きさに応じて一対から複数対に設定されている構成とすることもできる。
(構成8)
本平面照明装置では、第2基板が、隔壁で囲われた微細な3次元のセル構造を有するガラス基板で構成されていてもよい。
(構成9)
本平面照明装置では、微細な3次元セル構造を有するガラス基板において、該ガラス基板の表面に蛍光体層が設けられ、該ガラス基板の裏面に反射膜が設けられていてもよい。
(構成10)
本平面照明装置では、隔壁で囲われた3次元のセル構造を有する第2基板の表面積が、セル構造を有しない平坦な基板の表面積と比較して2倍以上である構成とすることもできる。
(構成11)
本平面照明装置では、第2基板における隔壁で囲まれたセル構造の凹部が、平面照明装置の光出射側から見たとき(平面視)に、ストレート(長方形)形状、格子(マトリクス)形状、蜂の巣形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
(構成12)
本平面照明装置では、3次元のセル構造の凹部を構成する隔壁の一部または全部の断面形状が、テーパ形状に形成されていてもよい。
(構成13)
本平面照明装置では、第2基板と支持体とが、ガラス材料からなる第1基板と熱膨張係数が近い金属材料、例えば、Ni−Fe系材料から構成されていてもよい。
(構成14)
本平面照明装置では、密閉空間を減圧すること等による第1基板および第2基板の変形または破壊を防ぐための複数の支持体が設けられ、該支持体は、柱状または球状に形成されていてもよい。
(構成15)
本平面照明装置では、密閉空間を含む平面照明装置の厚みが3mm〜30mmに構成されていてもよい。
(構成16)
本平面照明装置では、裏面に金属反射膜を有する、ガラス材料からなる第2基板において、該金属反射膜を、電力印加用または接地用の電極として用いてもよい。
(構成17)
本平面照明装置では、密閉空間に、プラズマ放電用として、単独または複数種のガスを適正圧力で封入している。
(構成18)
本平面照明装置では、第1基板の表面、または、第1基板の表面と該第2基板の裏面がプラスチックフィルムで覆われている構成とすることもできる。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の平面照明装置は、平面照明でありながら、市販の蛍光灯レベルの高発光効率を実現できるため、従来の蛍光灯に置き換わるだけではなく、新しい用途(例えば、建築分野、インテリア分野等)に利用できる。
【符号の説明】
【0089】
10 前面板(第1基板)
11 蛍光体層
20 背面板(第2基板)
21 凹部
22 反射膜
23 蛍光体層
30 支持体
31 スペーサ
32 支持部材
40 第1電極
50 第2電極
60 第3電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、該第1基板に対向する第2基板と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極と、該第1電極と対を成す複数の第2電極とを備え、該第1電極と該第2電極との間で起こる放電を利用して光を出射する平面照明装置であって、
前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられていることを特徴とする平面照明装置。
【請求項2】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において、前記第1基板および前記第2基板から離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極は、ワイヤ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極は、断面形状が円形あるいは矩形であることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1基板および前記第2基板と平行に、交互に並んで配されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項6】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、前記第1基板に対向する面に、周囲が隔壁で囲まれた複数の凹部を有し、各凹部の表面に、蛍光体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記第2基板において格子状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項8】
前記凹部を構成する前記隔壁は、前記第1基板側に近づくにつれて該隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項9】
前記凹部は、該凹部を含む前記第2基板の表面積が前記第1基板の表面積の2倍以上となるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項10】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、ガラス材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側とは反対側に反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項11】
前記密閉空間に、放電の起動用の第3電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項12】
前記密閉空間に設けられる前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記第1基板または前記第2基板に設けられた支持部材により支持されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項13】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、金属材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側に蛍光体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項14】
前記第1電極が前記密閉空間に設けられているとともに、前記第2基板が前記第2電極として機能することを特徴とする請求項13に記載の平面照明装置。
【請求項1】
第1基板と、該第1基板に対向する第2基板と、両基板間に放電用ガスが密封された密閉空間と、複数の第1電極と、該第1電極と対を成す複数の第2電極とを備え、該第1電極と該第2電極との間で起こる放電を利用して光を出射する平面照明装置であって、
前記第1基板および前記第2基板の少なくとも何れか一方に、蛍光体層が設けられており、
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において放電により発生する紫外線が前記第1基板および前記第2基板に向かって放射状に拡散するように、前記密閉空間に設けられていることを特徴とする平面照明装置。
【請求項2】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記密閉空間において、前記第1基板および前記第2基板から離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項3】
前記第1電極および前記第2電極は、ワイヤ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項4】
前記第1電極および前記第2電極は、断面形状が円形あるいは矩形であることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項5】
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1基板および前記第2基板と平行に、交互に並んで配されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項6】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、前記第1基板に対向する面に、周囲が隔壁で囲まれた複数の凹部を有し、各凹部の表面に、蛍光体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記第2基板において格子状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項8】
前記凹部を構成する前記隔壁は、前記第1基板側に近づくにつれて該隔壁の断面が細くなるように、テーパ状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項9】
前記凹部は、該凹部を含む前記第2基板の表面積が前記第1基板の表面積の2倍以上となるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の平面照明装置。
【請求項10】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、ガラス材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側とは反対側に反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項11】
前記密閉空間に、放電の起動用の第3電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項12】
前記密閉空間に設けられる前記第1電極および前記第2電極の少なくとも何れか一方は、前記第1基板または前記第2基板に設けられた支持部材により支持されていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項13】
前記第1基板は、当該平面照明装置の光の出射側に配されており、
前記第2基板は、金属材料で形成されているとともに、前記第1基板に対向する側に蛍光体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面照明装置。
【請求項14】
前記第1電極が前記密閉空間に設けられているとともに、前記第2基板が前記第2電極として機能することを特徴とする請求項13に記載の平面照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図29】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図29】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−169216(P2012−169216A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31048(P2011−31048)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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