説明

平面状反射板

【課題】閉空間に入射する電磁波を反射して所望位置に収束させ、その収束点における電界強度を改善できる閉空間に設置される平面状反射板を提供する。
【解決手段】平面状部材21の前面に入射波23を反射すると共に反射波24の位相を遅延する複数の位相遅延素子22を略等間隔に配設する。位相遅延素子22としては、入射波23の中心付近に位相遅延効果の最も大きい素子Zcを配設し、その周囲には素子Zcより位相遅延効果の低い素子Zbを配設し、その外縁には位相遅延効果が更に低い素子Zaを配設する。入射波23は反射時に位相遅延素子22の作用によって位相変位量が異なった値となり、反射波24の等位相面25を湾曲させ、平面状部材21から閉空間の所望の位置に電磁波の収束域26を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば放送波受信システムや無線通信システム等において、閉空間へ入射した電磁波を反射し閉空間内の所望位置に収束させる平面状反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル内や一般家庭の室内等において、テレビ放送例えば地上デジタル放送を室内アンテナにより直接受信する場合、所定レベル以上の受信電界強度が必要であるが、十分な受信電界強度が得られない場合、従来では室内に室内再送信装置を設置して受信電界強度を高めることが行われている(例えば、特許文献1参照。)。上記室内再送信装置は、受信アンテナによりテレビ放送波を受信し、所定の信号レベルまで増幅した後、再送信アンテナから再送信することにより、室内において所望の受信電界強度が得られるようにしている。
【0003】
上記のように室内再送信装置を設置することで室内の受信電界強度を高めることができるが、室内再送信装置は非常に高価であり、且つ設置場所が必要である。
【0004】
このため室内再送信装置に比較して簡易な方法により、室内の受信電界強度を高めることが要望されている。この簡易な方法として、例えば室内の壁面等を利用して反射板を設置し、室内に入射したテレビ放送波を反射板により反射して所望の位置に収束させ、その収束点における電界強度を改善することが考えられる。
【0005】
反射板を使用して反射面から所定の距離に反射波を収束させ、電界集中点(焦点)を形成するには、パラボラアンテナのように反射面を放物線状に湾曲させる必要があり、従来使用されている平面状反射板では反射面から所定の距離に反射波を収束させることができない。
【0006】
図6は平面状導体板11の前面に垂直に平面波(電磁波)12を入射した場合における反射波13の状態を示している。平面状導体板11の前面に垂直に平面波12を入射した場合、反射係数が略1と見なしてよい上記平面状導体板11に対し幾何光学におけるホイヘンス・フレネルの原理などを考慮すれば、平面状導体板11上の全ての点で発生する反射波13の合成波は平面状の同位相の波、すなわち平面波となる。従って、特定の点に電界の集中は生じない。
【0007】
一方、図7に示すように反射面を湾曲させ、特にその湾曲を放物面状にした放物面状導体板11Aの前面に垂直に平面波12を入射した場合、放物面状導体板11A上の全ての点で発生する反射波13は同位相(周知のように入射波に対し反射波は180度位相がずれて反射する)であるが、その位置がずれているために反射波13の等位相面14も放物面状導体板11Aに対応して放物面状に湾曲する。この結果、当該放物面の焦点位置の焦点15に電界が集中する。上記周知の幾何光学の原理を利用し、平行に入射する電波を広い面積の反射鏡により反射させ、該反射した電波を前記放物面の焦点に集中させて高いアンテナ利得を得るようにしたものが周知のパラボラアンテナである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−128720号公報
【特許文献2】特開2010−62689号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D.Sievenpiper et al,”High-Impedance Electro-magnetic Surfaces with a Forbidden Frequency Band,”IEEE Trans,Microwave Theory Tech.,vol.47,pp.2059-2074,1999
【非特許文献2】K.Chang et al,”High-Impedance Surface with Nonindentical Lattices,”iWAT2008,pp.422-425,2008
【非特許文献3】井幡 他「非周期配列 High-Impedance Surface による反射方向制御の検討」信学技報,IEICE Technical Report A P2010-2(2010-04)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般家庭等において例えば地上デジタル放送を室内アンテナにより直接受信する場合、受信信号は所定値以上のCN比の信号品質が必要である。そのためには受信電波について十分な受信電界強度が得られる必要がある。この目的のために考えられる方法として、室内の所望位置に上記パラボラアンテナの焦点のような電界収束領域が形成されるような放物面状に形成した反射板を設置し、その電界収束領域に室内アンテナを配置することで上記した所定の受信電波の品質を確保することが考えられる。
【0011】
しかし、一般家庭等において、室内の壁面を利用して反射板を設置する場合、壁面は通常平な面となっているので、放物面状に形成した反射板を設置することは困難であると共に無駄な設置空間を生じるので現実的でない。
【0012】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、閉空間に入射する電磁波を反射して所望位置に収束させ、その収束点における電界強度を高めることができる平面状反射板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る平面状反射板は、誘電率が1.5以下の平面状部材と、前記平面状部材の前面に略等間隔で平面状に配設されて入射波を反射すると共に該反射波の位相を遅延する複数の位相遅延素子とを具備し、前記平面状部材の中心付近に位相遅延効果の最も大きい位相遅延素子を配設し、外側に行くに従って順次位相遅延効果の小さい位相遅延素子を配設し、前記平面状部材の前面から所定距離の位置に前記位相遅延素子による反射波を点もしくは線状に収束させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平面状導体板に入射する電磁波を反射して希望する受信点に収束させ、その収束域における電界強度を高め、受信電波の受信品質を改善することができる。従って、例えば室内に直接入射する電磁波を本発明の平面状反射板で反射して希望する受信点に収束させ、室内での無線環境を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る平面状反射板の基本構成を示す側断面図である。
【図2】同実施例1における位相遅延素子として使用されるパッチ素子構造体の斜視図である。
【図3】同実施例1におけるパッチ素子構造体のリアクタンス推移を示す図である。
【図4】同実施例1に係る平面状反射板の具体的な構成例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る平面状反射板の構成例を示す正面図である。
【図6】平面状導体板に平面波(電磁波)を入射した場合の反射波の状態を示す図である。
【図7】放物面状導体板に平面波(電磁波)を入射した場合の反射波の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例1に係る平面状反射板の基本構成を示す側断面図である。図1において、21は平面状部材で、例えば、誘電率が空気に近い1.5以下程度である木材や発泡スチロールなどを用いて平板状に構成したものである。上記平面状部材21の前面には、複数の位相遅延素子22が等間隔(中心間隔)で配設される。上記位相遅延素子22は、入射波23を反射すると共にその反射波24の位相を遅延する。なお、上記先行技術文献の非特許文献1〜3には、入射波に対して反射板上の共振素子(本発明の説明における位相遅延素子に相当)の配置による反射波の位相遅延の効果、位相遅延量の設定に関し詳細に記載されているので、上記反射波24の位相の遅延に関する原理的な理解は、上記文献の記載を参照してもらいたい。
【0018】
上記平面状部材21の前面に垂直に平面波(電磁波)が入射されると、その入射波23がそれぞれ位相遅延素子22で反射されて反射波24となる。このとき反射波24の位相変位量は位相遅延素子22によって決定される。
【0019】
上記位相遅延素子22としては、例えば入射波23の中心付近には他の位置での反射より反射波位相を遅らせる素子Zcを配設し、その周囲には素子Zcより位相遅延効果の低い素子Zbを配設し、その外縁には位相遅延効果が更に低い素子Zaを配設する。すなわち、平面状部材21の中心部に位相遅延素子22として位相遅延効果が一番大きい素子Zcを配置し、その外側に行くに従って順次位相遅延効果が小さくなるように素子Zb、Zaを順次一定の間隔で略同心円状となるように配置する。
【0020】
具体的には、入射波23の周波数に対し、Zcとして高い容量性リアクタンスを有する素子を選び、順次Zb、Zaとして容量性リアクタンスの小さくなる素子を選択する。
【0021】
上記のように平面状部材21の前面に複数の位相遅延素子22を配設することにより、平面状部材21に入射した入射波23は反射時に位相遅延効果が異なった値となり、平面状部材21の前面が物理的には平面状であっても、すなわち、位相遅延素子22が平面状に配設されていても反射波24の等位相面25を湾曲させることができる。この場合、上記したように平面状部材21の中心部に位相遅延素子22として位相遅延効果が一番大きい素子Zcを配置し、その外側に行くに従って順次位相遅延効果が小さくなるように素子Zb、Zaを順次一定の間隔で同心円状に配置することにより、平面状部材21の反射面から有限な距離に反射波の電磁波の収束する領域である収束域26を発生させることができる。上記平面状部材21と収束域26との間の距離は、位相遅延素子22の値によって設定することが可能である。
【0022】
上記のように構成された平面状反射板を家屋の壁面を利用して設置し、上記平面状反射板から例えば2〜3mの位置に収束域26が生じるように位相遅延素子22の位相遅延効果の値を設定して収束域26の位置に室内アンテナを設置することにより、例えば地上デジタル放送の直接受信が困難であった室内においても、室内に入射したTV放送波を収束させて信号レベルを高め、所用のCN比の信号品質を確保して直接受信を可能とすることができる。上記室内アンテナは、収束域26の位置に正確に配置しなくても、収束域26の近傍であれば、平面状反射板からの収束された反射波24を受信することができる。例えば平面状部材21と収束域26を結ぶ方向であれば収束域26を中心として約λ/8の範囲、平面状部材21と平行する方向であれば収束域26を中心として約λ/4の範囲に室内アンテナを設置して平面状反射板からの収束された反射波24を受信することができる。なお、上記平面状反射板はTV放送波の到来方向に対向している壁面を利用して設置し、室内アンテナは室内に設置されているテレビ受像機に接続する。
【0023】
上記平面状部材21に配設されて入射波23を反射すると共に反射波位相を遅延する位相遅延素子22としては、例えば図2に示すパッチ素子構造体30が使用される。パッチ素子構造体30は、平面状導体板(アース板)31と例えば方形状導体板を用いたパッチ素子32を所定の間隔を保って対向配置した構成となっている。上記パッチ素子32は、例えば一辺の長さLが約λ/2〜λ/8に設定され、平面状導体板31との間隔dは2cm程度に設定される。また、平面状導体板31の一辺の長さは、パッチ素子32よりも十分に大きい値に設定される。なお、上記λは収束させようとする電磁波の波長を示している。
【0024】
上記パッチ素子構造体30は、並列共振特性を有しており、図3は上記パッチ素子構造体のリアクタンス推移を示したもので、横軸に周波数(f)をとり、縦軸にリアクタンスXをとって示した。図3から上記パッチ素子構造体は励振周波数によって誘導性リアクタンス素子として働く場合と容量性リアクタンスとして働く場合があることが分かる。
【0025】
上記パッチ素子構造体30は、図3に示すように共振点fo以下の周波数領域においては誘導性リアクタンス素子として働き、共振点fo以上の周波数領域においては容量性リアクタンス素子として働くので、パッチ素子32の一辺の長さLを約λ/2〜λ/8の範囲で設定することにより、誘導性リアクタンス素子あるいは容量性リアクタンス素子として動作させることができる。
【0026】
図1に示した平面状反射板において、入射波23の周波数を固定した場合、上記パッチ素子構造体30の特性を利用すれば、パッチ素子構造体の共振周波数から外れた小さいサイズのパッチ素子32を利用して容量性リアクタンス素子の実現が可能であり、パッチ素子32のサイズ(面積)を可変設定することにより容量性リアクタンスの値を制御できる。この場合、パッチ素子32の厚みは一様でも、素子サイズ(面積)の値を制御するだけで容量性リアクタンスの値が変化するので、図4に示すように平面状部材21上にサイズ(面積)の異なる複数のパッチ素子32を平面状に一定の間隔(中心間隔)で配設した平面状反射板を使用して電界を点状または線状に収束させることが可能になる。
【0027】
図4は本発明の実施例1に係る平面状反射板の具体的な構成例を示したもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。なお、図4は1枚の平面状部材21上に複数のパッチ素子32をマトリクス状に配設した場合の例を示している。
【0028】
上記平面状部材21は、厚さTが約2cmの発泡スチロールを方形状(横長)に形成したもので、例えば横幅Wは約180〜190cm、高さHは約135〜140cmに設定される。上記平面状部材21の前面には複数のパッチ素子32が導体箔片等を用いて例えば6行8列に配設され、平面状部材21の裏面には平面状導体板31Aが全面に設けられる。この平面状導体板31Aは、例えば導体箔片等を用いて形成され、図2に示した各パッチ素子構造体30の平面状導体板31として作用する。すなわち、平面状部材21に複数のパッチ素子構造体30を6行8列に配設した構成となっている。
【0029】
上記パッチ素子32は、縦及び横の長さLaが同一寸法の方形状に形成され、一定の間隔Gで配設される。また、各パッチ素子32には、中央部に例えば4角形の開口穴33が設けられる。この場合、各行に配設された8個のパッチ素子32は、中央に位置する素子面積が一番小さくなるように開口穴33を大きい値(穴寸法h3)に設定し、両側方向に行くに従って素子面積が大きくなるように開口穴33を順次小さい値(穴寸法h2)、(穴寸法h1)に設定する。そして、各行の両側に位置するパッチ素子32は、開口穴33を設けず、素子面積が一番大きくなるように設定している。上記開口穴33の寸法h1、h2、h3は、縦及び横方向の長さを示している。
【0030】
すなわち、各行のパッチ素子32は、例えば中央部の素子の位相遅延効果が一番大きくなるように容量性リアクタンスの値を大きく設定し、両側方向に行くに従って位相遅延効果が小さくなるように容量性リアクタンスの値を順次小さく設定する。例えば各パッチ素子32の縦及び横の長さLa、間隔G、開口穴33の寸法h1、h2、h3を次のように設定する。
【0031】
La:約0.3λ〜0.5λ
G :約0.05λ〜0.1λ
h1:約0.05λ
h2:約0.12λ
h3:約0.15λ
各パッチ素子32及び開口穴33を上記の寸法に設定することにより、パッチ素子32を容量性リアクタンスとして動作させることができる。
【0032】
上記のように構成した平面状反射板を使用することにより、平面状部材21から約2mの前方に反射波を線状(縦方向)に収束させ、その収束域における電界強度を数dB改善することができる。
【0033】
例えば平面状部材21として縦横の寸法が2.7m×2.7m、厚さTが2cmの発泡スチロールを使用し、この平面状部材21の前面に配設されるパッチ素子32の縦横の長さLa、間隔G、及び開口穴33の寸法h1、h2、h3を上記の値に設定した場合、パッチ素子32によって反射される反射波を約2mの前方に線状(縦方向)に収束させ、その収束域における電界強度を3〜5dB程度改善することができる。
【実施例2】
【0034】
次に本発明の実施例2に係る平面状反射板について説明する。
【0035】
図5は本発明の実施例2に係る平面状反射板の構成例を示す正面図である。この実施例2に係る平面状反射板は、1枚の平面状部材21上に複数のパッチ素子32を8行8列に配設した場合の例を示している。
【0036】
平面状部材21の前面には複数のパッチ素子32が8行8列に配設され、平面状部材21の裏面には平面状導体板31Aが全面に設けられる。上記パッチ素子32は、縦及び横の長さLaが同一寸法の方形状に形成され、一定の間隔Gで配設される。
【0037】
また、各パッチ素子32には、中央部に例えば4角形の開口穴33が設けられる。この場合、平面状部材21の中央に配置される1個ないし複数個例えば4個のパッチ素子32は、素子面積が一番小さくなるように開口穴33を大きい値(穴寸法h3)に設定し、外側方向に行くに従って素子面積が大きくなるように開口穴33を順次小さい値(穴寸法h2)、(穴寸法h1)に設定する。すなわち、中央に位置する4個のパッチ素子32の外側には穴寸法h2の開口穴33を有する12個のパッチ素子32を配設し、更にその外側には穴寸法h1の開口穴33を有する20個のパッチ素子32を配設する。そして、最外側に位置するパッチ素子32は、開口穴33を設けず、素子面積が一番大きくなるように設定する。
【0038】
上記のように平面状部材21の中央部に位相遅延効果が最も大きいパッチ素子32を配設し、外側方向に行くに従って順次位相遅延効果が小さくなるように開口穴寸法の小さいパッチ素子32を略同心円状に配設する。上記各パッチ素子32の縦及び横の長さLa、間隔G、開口穴33の寸法h1、h2、h3の数値は、上記実施例1の場合と同様にして設定される。
【0039】
上記実施例2に示した素子配設の平面状反射板を使用することにより、平面状部材21から約2mの前方に反射波を点状に収束させることができる。
【0040】
上記実施例1、2によれば、平面状反射板を使用して反射面から有限な距離例えば約2〜3mの位置に反射波を点状もしくは線状に収束させることができる。従って、上記平面状反射板を家屋の壁面部分に設置し、点状もしくは線状の収束域位置に室内アンテナを配置することにより、この室内アンテナの受信電界強度を数dB改善することができる。このため受信電界強度が十分得られず、地上デジタル放送の直接受信が困難であった室内においても、室内アンテナの受信信号レベルを高め、所用のCN比の信号品質を確保して直接受信を可能とすることができる。
【0041】
なお、上記実施例1、2では、パッチ素子32の中央部に開口穴33を設け、この開口穴33の大きさにより素子面積を変えて各パッチ素子32のリアクタンス即ち位相遅延効果を可変設定するようにしたが、開口穴33を設けずに各パッチ素子32の縦及び横の長さにより素子面積を変えて所定の位相遅延効果が得られるようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施例1、2では、パッチ素子32を方形状に形成した場合について示したが、その他、例えば多角形や円形等、任意の形状に形成することが可能である。この場合、各パッチ素子32は、中心間隔が一定となるように配設する。
【0043】
また、上記実施例1、2では、パッチ素子32に4角形の開口穴33を設けた場合について示したが、開口穴33の形状は4角形に限らず任意の形状に形成することが可能である。
【0044】
また、上記実施例1、2では、位相遅延素子としてパッチ素子32を用いた場合について示したが、その他の素子を用いてもよい。例えば平面状部材21の前面に複数の反射素子(反射電極)をパッチ素子32と同様に配置し、各反射素子にインダクタンス素子やキャパシタンス素子を接続して所定の位相遅延効果が得られるようにしてもよい。
【0045】
また、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0046】
21…平面状部材、22…位相遅延素子、23…入射波、24…反射波、25…等位相面、26…収束域、30…パッチ素子構造体、31、31A…平面状導体板、32…パッチ素子、33…パッチ素子の開口穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電率が1.5以下の平面状部材と、前記平面状部材の前面に略等間隔で平面状に配設されて入射波を反射すると共に該反射波の位相を遅延する複数の位相遅延素子とを具備し、前記平面状部材の中心付近に位相遅延効果の最も大きい位相遅延素子を配設し、外側に行くに従って順次位相遅延効果の小さい位相遅延素子を配設し、前記平面状部材の前面から所定距離の位置に前記位相遅延素子による反射波を点状もしくは線状に収束させることを特徴とする平面状反射板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−60530(P2012−60530A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203527(P2010−203527)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【Fターム(参考)】