説明

広告用記録可能型光ディスクおよび広告画像形成方法、並びに、光ディスク記録装置

【課題】光ディスクの頒布者が意図した広告画像を描画させることができるようにする。
【解決手段】正規のディスクについて規定された、ユーザーが任意の情報を記録できるプログラム領域を制限し、該制限されたプログラム領域20’の外側の残余の領域を広告用の可視画像を形成する広告領域28として予め確保する。光ディスク記録装置32は、広告用記録可能型光ディスク25がローディングされた場合、公衆回線網38を通じて広告情報配給装置40にアクセスして、広告画像情報を取り込む。次いで、光ディスク記録装置32は、広告領域28に、該取り込まれた広告画像情報に応じて光ビームを照射して、広告画像を出現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、正規のディスクについて規定されたプログラム領域の一部を、広告用の可視画像(広告画像)を形成(描画)するための広告領域として変更した広告用記録可能型光ディスク、および、該広告用記録可能型光ディスクに広告画像を描画するための広告画像形成方法、並びに、該広告画像形成方法を実施するための光ディスク記録装置に関し、光ディスクの頒布者(広告主等)が意図した広告画像を描画させることができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、CD−R等の記録可能型光ディスクの情報記録層にマーク(光学的変性部)を形成する処理を行って、巨視的に見ると、文字あるいは絵等の画像となるように画像形成を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−283470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載の技術は、光ディスクのユーザーの意思によって、描画する画像を選択するもので、光ディスクの頒布者が意図した広告用の画像を描画させることはできなかった。また、この技術は、ユーザーが任意の情報(ユーザー情報)を記録した後の残りの領域に画像を形成するので、ユーザー情報の記録に広い領域を領域を使用した場合には、もはや画像を形成する領域を確保できない場合があった。
【0004】
この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、光ディスクの頒布者が意図した広告画像を描画させることができるようにした広告用記録可能型光ディスクおよび広告画像形成方法、並びに、光ディスク記録装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の広告用記録可能型光ディスクは、ユーザーが任意の情報を記録できるプログラム領域を、正規のディスクについて規定された範囲から小さい方へ制限し、該制限されたプログラム領域外側の残余の領域を広告用の可視画像を形成する広告領域として予め確保しているものである。これによれば、広告領域が予め確保されているので、該広告領域に光ディスクの頒布者が意図した広告画像を描画させることができる。
【0006】
なお、この発明の広告用記録可能型光ディスクには、前記制限されたプログラム領域の最終可能記録位置に続くリードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報を予め記録しておくことができる。これによれば、該リードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報を利用して、ユーザー情報が画像領域に記録されるのを防止するように、光ディスク記録装置を設定することができる。
【0007】
また、この発明の広告用記録可能型光ディスクには、前記制限されたプログラム領域と前記広告領域との境界部分に、該制限されたプログラム領域から該広告領域への連続記録を妨げるトラックの物理的構造を形成することができる。これによれば、この発明に対応していない光ディスク記録装置がリードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報を無視してユーザ情報を記録し続けようとしても、広告領域にユーザ情報が記録されるのを阻止することができる。
【0008】
また、この発明の広告用記録可能型光ディスクには、前記リードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報で表されるコード値を、偽のコード値として、該制限されたプログラム領域の開始位置を示す情報で表されるコード値以下の値に設定して記録することができる。これによれば、この発明に対応していない光ディスク記録装置は、偽のリードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報により、プログラム領域の容量がゼロであると判断するため、ユーザー情報の記録を行うことができない。これに対し、真のリードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報を、例えば別途識別情報を定義して該光ディスクに併せて記録することにより、この発明に対応する光ディスク記録装置については、該識別情報を用いて、該光ディスクから真のリードアウト領域の最終可能開始位置の情報を取得することができる。
【0009】
この発明の広告画像形成方法は、ローディングされた光ディスクから、この発明の広告用記録可能型光ディスクであるかどうかを識別する識別情報を読み取り、該識別情報から、前記光ディスクがこの発明の広告用記録可能型光ディスクに該当するかどうかを判別し、該広告用記録可能型光ディスクであると判別した場合は、公衆回線網を通じて所定の広告情報配給装置にアクセスして、該広告情報配給装置から、前記光ディスクに広告を可視画像として形成するための広告画像情報を取り込み、前記光ディスクに確保されている前記広告領域に、該取り込まれた広告画像情報に応じて光ビームを照射して、該広告領域の情報記録層に光学的変性部を形成して、前記広告を可視画像として出現させるものである。これによれば、光ディスクの頒布者(広告主等)が意図した最新の広告画像を光ディスクに形成させることができる。
【0010】
この発明の光ディスク記録装置は、上述したこの発明の広告画像形成方法の処理を実行するものである。この場合、ローディングされた光ディスクから読み取られた識別情報が、前記広告情報配給装置に格納されている複数の広告画像情報から特定の広告画像情報を指定する情報を含む場合には、光ディスク記録装置は、該広告画像情報を指定する情報に基づき、前記広告情報配給装置から該当する広告画像情報を取り込むように構成することができる。これによれば、ディスクごとに、会社ごとあるいは製品ごとに異なる広告画像を形成させることができる。
【0011】
また、この発明の光ディスク記録装置は、前記広告情報配給装置から取り込んだ広告画像情報に応じた広告を可視画像として前記光ディスクに出現させるまでは、前記制限されたプログラム領域への情報の記録を禁止するように構成することができる。これにより、確実に広告画像を形成させることができ、確実に広告効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の実施の形態を説明する。始めに、この発明の記録可能型光ディスクの実施の形態を説明する。図2は、(a)正規のCD−Rディスクと、(b)この発明による広告用CD−Rディスクの領域設定の違いを示す。図2(a)の正規のCD−Rディスク10は、情報領域(Information Area)12に、内周側から、PCA領域(Power Calibration Area)14、PMA領域(Program Memory Area)16、リードイン領域18、プログラム領域20、リードアウト領域22が設定される。リードイン領域18のATIP情報には、特別の情報(Special Information)としてプログラム領域20の最終可能記録位置の次のアドレスに相当するリードアウト領域の最終可能開始位置(Last possible start tiome of Lead-out Area)24を表すリードアウト領域最終可能開始位置情報26等が記録されている。プログラム領域20はユーザーが任意の情報(ユーザー情報)を記録できる領域である。リードアウト領域最終可能開始位置情報26は、光ディスク記録装置(CD−Rドライブ)において、リードアウト領域の最終可能開始位置24以降にプログラム情報を記録できないようにするための情報として利用される。リードアウト領域22は、プログラム領域20に記録された情報に続いて、リードアウトを示す情報が記録される領域であるため、プログラム領域20の使用量によってその位置が変動する。
【0013】
図2(b)のこの発明による広告用CD−Rディスク25は、広告主等の頒布者により、街頭などに置かれて、無料で配布されるものである。広告用CD−Rディスク25のリードイン領域18のATIP情報に記録されたリードアウト領域の最終可能開始位置情報26’で示されるリードアウト領域の最終可能開始位置24’が、正規のCD−Rディスク10のリードアウト領域の最終可能開始位置24に比べて小さい値(すなわち、より内周側の位置)として制限されている点が、正規のCD−Rディスク10と異なっている。その結果、ユーザーが任意の情報を記録できるプログラム領域20’は、正規のCD−Rディスク10のプログラム領域20に比べて制限された容量となっている。そして、リードアウト領域22の外周側に、広告画像の形成を行うための残余のプログラム領域が広告領域28として確保されている。すなわち、この広告用CD−Rディスク25は、予め、内周側にユーザー情報を記録するためのプログラム領域20’が確保され、外周側に広告画像を形成するための広告領域28が確保されている。リードイン領域18のATIP情報に、ATIP情報の未定義コードを用いて、広告領域28の開始位置30の情報(広告領域開始位置情報)を記録しておくこともできる。
【0014】
正規の直径12cmのCD−Rディスク10のリードアウト領域の最終可能開始位置24は、650MB容量のディスクであれば74分00秒00フレームであり、700MB容量のディスクであれば80分00秒00フレームである。これに対し、この発明の広告用CD−Rディスク25によれば、リードアウト領域の最終可能開始位置24’を例えば42分00秒00フレームに設定すれば、半径25mmから最大42mmまでのプログラム領域20’およびその外側42.62mmまでのリードアウト領域22と、42.62mmから59mmまでの広告画像形成用の広告領域28に分割され、プログラム領域20’は正規のCD−Rディスクに比べてほぼ半分に制限される。すなわち、所定の径の正規の光ディスクのリードアウト領域最終可能開始位置の中で最小のものより小さな値に設定する。
【0015】
図2(b)のこの発明の広告用CD−Rディスク25にユーザー情報の記録・再生および広告画像形成を行うこの発明の光ディスク記録装置の実施の形態を図3に示す。光ディスク記録装置32は、正規のCD−Rディスク10の記録・再生と、この発明の広告用CD−Rディスク25の記録・再生および広告画像形成が可能なものである。光ディスク記録装置32は、単独の装置として、または、ホストコンピュータ(パーソナルコンピュータ等)34と光ディスクドライブ(CD−Rドライブ)36との組み合わせとして構成される。光ディスク記録装置32は、電話回線等の公衆回線網38を通じてインターネットに接続され、広告主、広告業者等が運営する、広告画像情報のサーバーである広告情報配給装置40に接続されている。
【0016】
光ディスクドライブ36において、CD−Rディスク10(25)は、案内排出機構42により、光ディスクドライブ36に対しローディング(案内)・アンローディング(排出)される。CD−Rディスク10(25)は、ターンテーブル41に載置されて、スピンドルモータ43で回転駆動され、光ピックアップ44でユーザー情報の記録・再生および広告画像形成が行われる。メモリ60には広告画像形成を行うためのアプリケーションソフトウェアが記憶されている。このアプリケーションソフトウェアには、広告情報配給装置40のアドレスを示すURL情報が含まれている。このアプリケーションソフトウェアは、光ディスクドライブ36に広告用CD−Rディスク25がローディングされたことが判断されたときに起動される。
【0017】
ユーザー情報の記録時は、ホストコンピュータ34から光ディスクドライブ36に供給されるユーザー情報は、CPU46を介してバッファメモリ48に一時蓄えられ、データエンコーダ50でエンコードされ、レーザドライバ52に供給される。レーザドライバ52は、該供給されるユーザー情報のコード情報に応じて光ピックアップ44内のレーザ源を駆動し、レーザ光54を変調して、CD−Rディスク10(25)のプログラム領域20(20’)の情報記録層(色素層)に、該ユーザー情報の記録を行う。ユーザー情報の再生時は、光ピックアップ44から再生パワーのレーザ光54が出射され、CD−Rディスク10(25)のプログラム領域20(20’)の情報記録層に照射される。このとき、CD−Rディスク10(25)からの戻り光は、光ピックアップ44で受光され、その受光信号はデータデコーダ56でデコードされ、バッファメモリ48に一時蓄えられ、CPU46を介してホストコンピュータ34に送出される。サーボコントローラ58は、ユーザー情報の記録・再生時に、スピンドルモータ43の回転制御、光ピックアップ44のフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。
【0018】
広告画像形成時は、広告情報配給装置40から広告画像の画像情報(広告画像情報)が送出され、公衆回線網38を通じて光ディスク記録装置32に供給(ダウンロード)される。光ディスク記録装置32は、該広告画像情報をホストコンピュータ34を介して光ディスクドライブ36に送る。光ディスクドライブ36に送られた広告画像情報は、CPU46を介してバッファメモリ48に一時蓄えられ、イメージエンコーダ62でデコードされ、レーザドライバ52に供給される。レーザドライバ52は、該供給される広告画像情報に応じて光ピックアップ44内のレーザ源を駆動し、レーザ光54を変調して、CD−Rディスク25の広告領域28の情報記録層に、該広告画像情報の記録{巨視的に見ると文字あるいは絵等の画像となるように、マーク(光学的変性部)を形成して、可視画像を描画形成すること}を行う。サーボコントローラ58は、このとき、スピンドルモータ43の回転制御、光ピックアップ44のフォーカス制御およびトラッキング制御を行う。広告画像形成時のスピンドルモータ43の回転制御は、例えば、スピンドルモータ43のFG(Frequency Generator)出力に基づき、回転数一定制御として行われる。
【0019】
光ディスク記録装置32によるディスクローディング時の制御を図1を参照して説明する。光ディスクドライブ36にCD−Rディスク10(25)がローディングされると(S1)、CD−Rディスク10(25)のリードイン領域18の情報が読み込まれる。そして、読み込まれた情報から、該ローディングされたディスクが正規のCD−Rディスク10かこの発明による広告用CD−Rディスク25かを識別する識別情報として、ATIP情報に含まれる、リードアウト領域の最終可能開始位置24(24’)を表すリードアウト領域最終可能開始位置情報26(26’)を検査する(S2)。読み取られた識別情報(リードアウト領域最終可能開始位置情報)を判断し(S3)、該識別情報が「74分00秒00フレーム」または「80分00秒00フレーム」である場合は、正規のCD−Rディスク10と判断し(S4)、ユーザーモード(S13)に移行して、ユーザーが任意のプログラム情報を記録し、または再生できる状態に設定される。
【0020】
読み取られた識別情報(リードアウト領域最終可能開始位置情報)が、広告用CD−Rディスクについて規定された情報(例えば「42分00秒00フレーム」)である場合には、広告用CD−Rディスク25と判断し(S4)、ユーザーモード(S13)による任意のプログラム情報の記録が禁止される。そして、広告画像形成用のアプリケーションソフトウェアが起動される(S5)。同ソフトウェアは、起動されると、まず、CD−Rディスク25にすでに広告画像が形成されているかどうかを検査する(S6)。この検査は、例えば、広告領域28をスキャンしてみて、RF信号の有無を検出することにより行うことができる。RF信号がある場合は、広告画像形成済みであると判断して(S7)、ユーザーモード(S13)に移行し、ユーザーが任意のプログラム情報を記録できる状態に設定する。あるいは、広告画像を形成した際に、広告画像形成済みであることを示すマーキングを所定位置(例えば、リードイン領域18とPMA領域16の間、PCA領域14よりも内周側の位置、広告領域28よりも内周側または外周側の位置等)に記録するように定められている場合には、該マーキングの有無を検出し、該マーキングがある場合は、広告画像形成済みであると判断して(S7)、ユーザーモード(S13)に移行し、ユーザーが任意のプログラム情報を記録できる状態に設定することもできる。
【0021】
広告領域28にRF信号がない場合あるいは広告画像が形成済みであることを示すマーキングが所定位置に存在しない場合には、広告画像が未だ形成されていないものと判断して、アプリケーションソフトウェアに含まれている広告情報配給装置40のアドレスを示すURL情報に基づき、広告情報配給装置40に接続する(S8)。そして、前記読み取られた識別情報(例えば「42分00秒00フレーム」)を広告情報配給装置40に送信する(S9)。広告情報配給装置40は、この識別情報に対応する広告画像情報を、光ディスク記録装置32に送信する。光ディスク記録装置32はこの広告画像情報を受け取り(S10)、CD−Rディスク25の広告領域28に、該当する広告画像を形成する(S11)。なお、広告領域28の開始位置は、リードイン領域18のATIP情報に、ATIP情報の未定義コードを用いて広告領域開始位置情報が記録されている場合には、この広告領域開始位置情報で指定される。また、広告領域開始位置情報が記録されていない場合には、リードアウト領域最終可能開始位置情報26’で与えられるリードアウト領域の最終可能開始位置24’にリードアウト領域22の規定容量(少なくとも径方向幅1.0mmで、1.5分の最小可能記録時間)分を加えた位置を演算で求めて、該求められた位置を広告領域開始位置として指定することができる。また、光ディスク記録装置32が広告情報配給装置40に接続された後、光ディスク記録装置32から識別情報を送信するのに代えて、広告情報配給装置40から識別情報が付いた複数の広告情報をランダムに配給し、光ディスク記録装置32において、前記読み取った識別情報に該当する広告画像情報を取り込み(S10)、該当する広告画像を形成する(S11)ようにしてもよい。この場合は、ステップS9を飛ばすことができる。
【0022】
広告画像を形成後、広告画像を形成済みであることを示すマーキングを所定位置に記録することが定められている場合には、該所定位置にマーキングする。その後、CD−Rディスク25をアンローディングする(S12)。その結果、例えば図4に広告画像形成例1または2で示すように、広告領域28に広告画像が形成されたCD−Rディスク25が得られる。広告画像が形成されたCD−Rディスク25を光ディスク記録装置32に再ローディングすれば、図1のユーザーモード(S13)に移行し、プログラム領域20’に任意のユーザ情報を記録することができる。なお、広告画像を形成(S11)した後、CD−Rディスク25をアンローディングせずに、そのまま引き続きユーザーモード(S13)へ移行し、プログラム領域20’にユーザー情報を記録できるようにすることもできる。ユーザー情報を記録したCD−Rディスク25は、このディスク記録装置25あるいはこの発明に対応していない通常のCD−Rドライブで該ユーザ情報を再生することができる。
【0023】
なお、広告情報配給装置40に複数の広告画像情報を用意し、ディスクに応じて異なる広告画像を形成させるようにすることもできる。これには、例えば、広告用CD−Rディスクか否かを識別する識別情報として、ディスクに応じて異なるフレーム値を記録することにより実現することができる。すなわち、広告主A社、B社、C社、・・・ごとに、前記識別情報(リードアウト領域最終可能開始位置情報)として、例えば、
A社:「42分00秒00フレーム」
B社:「42分00秒01フレーム」
C社:「42分00秒02フレーム」
・・ ・・・・・・・・・・・・・・
を割り当てて記録しておき、広告情報配給装置40にはこれら識別情報に応じた広告画像情報を用意しておく。このようにすることにより、光ディスク記録装置32から、CD−Rディスク25から読み取った識別情報が送信されたときに(S9)、広告情報配給装置40は該識別情報に応じて、該当する広告主の広告画像情報を選択して送信し、光ディスク記録装置32は該広告画像情報を受け取って(S10)、CD−Rディスク25に該当する広告画像を形成することができる(S11)。同一広告主の製品ごとに、異なる識別情報(リードアウト領域最終可能開始位置情報)を割り当てることもできる。
【0024】
なお、ディスクに応じて異なるフレーム値を記録する場合には、広告用CD−Rディスクか否かの識別は、フレーム値を除外した値(例えば「42分00秒」)で行えばよい。また、リードアウト領域最終可能開始位置情報を異ならせるのに代えて、ATIP情報の未定義コードを用いて、ディスクに応じて異なる広告画像を指定するための情報を記録することもできる。
【0025】
図1の制御によれば、広告用CD−Rディスク25については、広告領域28に広告画像を形成した後でないと、プログラム領域20’へのユーザー情報の記録は行えないので、確実に広告効果が期待できる。
【0026】
なお、この発明による広告画像形成を行えない光ディスク記録装置に、上述した広告用CD−Rディスク25をローディングした場合には、リードアウト領域最終可能開始位置情報として記録されている位置(例えば、42分00秒00フレーム)の1アドレス前(41分59秒74フレーム)まではユーザー情報を記録できることになる。このような使用を禁止するための措置の一例を説明する。図2(b)のこの発明による広告用CD−Rディスク25において、リードイン領域18のATIP情報に記録するリードアウト領域最終可能開始位置情報26’として、「00分00秒00フレーム」や負のアドレス値等の偽の情報を記録する。そして、真のリードアウト領域の最終可能開始位置24’の情報を、ATIP情報の未定義コードを用いて、リードイン領域18に記録する。このようにすれば、この発明に対応しない光ディスク記録装置にこの広告用CD−Rディスク25をローディングすると、該光ディスク記録装置はプログラム領域20’の容量がゼロと判断するので、ユーザ情報の記録が禁止される。これに対し、この発明の光ディスク記録装置には、上記未定義コードを定義しておくことにより、リードイン領域18のATIP情報から真のリードアウト領域の最終可能開始位置24’の情報を取得して、ユーザー情報の記録を行うことができる。
【0027】
さらに、リードイン領域18のATIP情報に記録されたリードアウト領域最終可能開始位置情報26’を無視して記録を行える光ディスク記録装置に対する措置について説明する。図2(b)のこの発明による広告用CD−Rディスク25において、プログラム領域20’と広告領域28との境界部分に、図5に示すように、プログラム領域20’から広告領域28への連続記録を妨げるトラックの物理的構造を形成する。これらは、いずれも広告領域28への記録を物理的に阻止するように構成したものである。すなわち、図5(a)の例は永久滞留構成であって、プログラム領域20’と広告領域28との境界部分64において、プログラム領域20’のトラック末端部66bが、その内周側のトラック66aに向けて形成されて終端している。記録位置がプログラム領域20’の末端部66bに達して、さらに連続記録しようとすると、前の周回66aに戻ってしまうので、広告領域28へは進入できない。しばらく動作するが、アドレスの増加がないため、エラーとなり停止する。
【0028】
図5(b)の例は、プログラム領域20’と広告領域28との境界部分64にクロックマーク(ウォブリング)を無くしたトラック66dを形成したものである。トラッキングは可能だが、参照クロックを得るための信号を検出できないので、回転制御または記録信号生成処理が不能となり、エラーとなって停止する。
【0029】
図5(c)の例は、プログラム領域20’と広告領域28との境界部分64にトラックが無い部分(トラックレストラック66e)を形成したものである。この場合もエラーとなって停止する。
【0030】
図5(d)の例は、プログラム領域20’と広告領域28との境界部分64に形成されていたトラック66fを、この光ディスクの配布前に、強いレーザ光を照射して潰すようにしたものである。潰された箇所は、反射率が低く、トラックレストラックと同等の効果が得られ、この場合もエラーとなって停止する。
【0031】
なお、図5のようなトラックの物理的構造を形成した場合であっても、この発明の光ディスク記録装置には、広告領域28の所定の広告領域開始位置をトラックジャンプで探索する機能を持たせておけば、トラック障害部分66b,66d,66eを飛び越して広告領域開始位置に到達して、広告画像形成を行うことができる。
【0032】
前記実施の形態では、この発明をCD−R方式に適用した場合について説明したが、他の記録可能型CD方式(CD−RW等)、記録可能型DVD方式(DVD−R、DVD+R、DVD+RW、DVD−RW、DVD−RAM等)、その他の記録可能型光ディスク方式に適用できる。
【0033】
また、前記実施の形態では、リードアウト領域最終可能開始位置情報として42分00秒00フレームを例示しているが、これは正規の12cmディスクのそれより小さく、正規の8cmディスクのそれより大きい値を採用した例である。より小さい値を採用するときは、8cmディスクのそれである約20分あるいはカード型ディスクの約5分などの付近を避けて選択する。すなわち、それぞれの径を有する光ディスクのそれぞれのリードアウト領域最終可能開始位置情報の間の位置を表す値に設定する。または反射光検出などを利用して大きさもしくは形状の検査を併用するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図3の光ディスク記録装置によるディスクローディング時の制御を示すフローチャートである。
【図2】この発明の光ディスクの実施の形態を示す図で、(a)は正規のCD−Rディスクの領域設定を示し、(b)はこの発明によるCD−Rディスクの領域設定を示す。
【図3】図2(b)のこの発明のCD−Rディスクに適用されるこの発明の光ディスク記録装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】この発明による広告画像形成例を示す図である。
【図5】図2(b)のこの発明のCD−Rディスクにおいて、プログラム領域から広告領域への連続記録を妨げる物理的構造を形成したトラック構造を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
20’…制限されたプログラム領域、24’…リードアウト領域の最終可能開始位置、25…広告用記録可能型光ディスク、26’…リードアウト領域最終可能開始位置情報、28…広告領域(残余のプログラム領域)、32…光ディスク記録装置、34…ホストコンピュータ(制御手段)、38…公衆回線網、40…広告情報配給装置、46…CPU(制御手段)、64…プログラム領域と広告領域との境界部分、66b,66d,66e…プログラム領域から広告領域への連続記録を妨げるトラックの物理的構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが任意の情報を記録できるプログラム領域を、正規のディスクについて規定された範囲から小さい方へ制限し、該制限されたプログラム領域外側の残余の領域を広告用の可視画像を形成する広告領域として予め確保している広告用記録可能型光ディスク。
【請求項2】
前記制限されたプログラム領域の最終可能記録位置に続くリードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報が予め記録されている請求項1記載の広告用記録可能型光ディスク。
【請求項3】
前記制限されたプログラム領域と前記広告領域との境界部分に、該制限されたプログラム領域から該広告領域への連続記録を妨げるトラックの物理的構造を有してなる請求項2記載の広告用記録可能型光ディスク。
【請求項4】
前記リードアウト領域の最終可能開始位置を示す情報で表されるコード値が、該制限されたプログラム領域の開始位置を示す情報で表されるコード値以下の値である請求項2または3記載の広告用記録可能型光ディスク。
【請求項5】
ローディングされた光ディスクから、該光ディスクが請求項1から4のいずれかに記載の広告用記録可能型光ディスクであるかどうかを識別する識別情報を読み取り、
該識別情報から、前記光ディスクが請求項1から4のいずれかに記載の広告用記録可能型光ディスクに該当するかどうかを判別し、
該広告用記録可能型光ディスクであると判別した場合は、公衆回線網を通じて所定の広告情報配給装置にアクセスして、該広告情報配給装置から、前記光ディスクに広告を可視画像として形成するための広告画像情報を取り込み、
前記光ディスクに確保されている前記広告領域に、該取り込まれた広告画像情報に応じて光ビームを照射して、該広告領域の情報記録層に光学的変性部を形成して、前記広告を可視画像として出現させる広告画像形成方法。
【請求項6】
ローディングされた光ディスクから、該光ディスクが請求項1から4のいずれかに記載の広告用記録可能型光ディスクであるかどうかを識別する識別情報を読み取り、
該識別情報から、前記光ディスクが請求項1から4のいずれかに記載の広告用記録可能型光ディスクに該当するかどうかを判別し、
該広告用記録可能型光ディスクであると判別した場合は、公衆回線網を通じて所定の広告情報配給装置にアクセスして、該広告情報配給装置から、前記光ディスクに広告を可視画像として形成するための広告画像情報を取り込み、
前記光ディスクに確保されている前記広告領域に、該取り込まれた広告画像情報に応じて光ビームを照射して、該広告領域の情報記録層に光学的変性部を形成して、前記広告を可視画像として出現させる処理を制御する制御手段を具備してなる光ディスク記録装置。
【請求項7】
前記識別情報が、前記広告情報配給装置に格納されている複数の広告画像情報から特定の広告画像情報を指定する情報を含み、該広告画像情報を指定する情報に基づき、前記広告情報配給装置から該当する広告画像情報を取り込む請求項6記載の光ディスク記録装置。
【請求項8】
前記広告情報配給装置から取り込んだ広告画像情報に応じた広告を可視画像として前記光ディスクに出現させるまでは、前記制限されたプログラム領域への情報の記録を禁止する請求項6または7記載の光ディスク記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−155723(P2006−155723A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343256(P2004−343256)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】