説明

広告表示システム

【課題】デジタルフォトフレームに広告画像を表示させる技術を提供する。
【解決手段】広告配信サーバ19は、広告画像格納部13と、デジタルフォトフレーム46に割り当てられた端末メールアドレスを格納しておくユーザ管理DB15と、広告画像格納部13から広告画像を抽出し、この広告画像が添付された広告メールを生成する広告配信部16と、この広告メールをデジタルフォトフレーム46の端末メールアドレス宛てに送信する広告メール送信部17を備える。デジタルフォトフレーム46は、SDカード内に格納されたユーザ画像を順次ディスプレイに表示させる画像再生部と、定期的に通信キャリアの受信メールサーバにアクセスして、自己の端末メールアドレス宛の広告メールを受信するメール受信部を備える。画像再生部は、所定のタイミングで広告メールに添付された広告画像をディスプレイに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は広告表示システムに係り、特に、通信機能を備えたデジタルフォトフレームに広告画像を自動的に配信し、ユーザの閲覧に供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやカメラ付き携帯電話が普及するに伴い、撮影した画像の出力手段として、従来のプリンタによる印刷に代わり、「デジタルフォトフレーム」と称する専用の情報機器を用いて画面表示する方法が広まりつつある(非特許文献1参照)。
【0003】
このデジタルフォトフレームは、専用の印刷用紙やインクが不要であるため、印刷に比べて経済性及び省資源性に優れている。
また従来の写真立て同様、比較的薄い筐体を備えているにもかかわらず、SDカード等の記憶媒体に格納された大量の撮影画像を所定の間隔でスライドショーのように交替表示する機能を備えている。このため、表示内容が一つに固定されてしまう写真立てよりも、興趣に富んでいると評価されている。
【0004】
最近では、Wi-Fi接続機能や3G回線接続機能を備えた製品も登場しており、インターネットのWebサイト上に蓄積した画像ファイルを通信ネットワーク経由で表示させたり、携帯電話のカメラで撮影した画像ファイルを、電子メールに添付してデジタルフォトフレームに送信し、そのまま画面に表示させることまで可能となってきている(非特許文献2及び3参照)。
【非特許文献1】デジタルフォトフレーム インターネットURL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0 検索日:2011年2月2日
【非特許文献2】バッファローの無線LAN搭載フォトフレーム インターネットURL:http://bb.watch.impress.co.jp/cda/shimizu/24503.html 検索日:2011年2月2日
【非特許文献3】3G回線付きデジタルフォトフレーム インターネットURL:http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0906/04/news065.html 検索日:2011年2月2日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このデジタルフォトフレームは、一般にリビングのサイドボード上やテレビの脇など、住居内でも目に付きやすい場所に載置され、さり気ない形で家族の視界に入る場合が多いため、本来、広告媒体として打って付けであるが、プライベートな撮影画像を表示させるという目的で開発された経緯からか、デジタルフォトフレーム上で広告画像を表示させる仕組みが存在しなかった。
【0006】
この発明は、このような従来の課題を解決するために案出されたものであり、デジタルフォトフレームに広告画像を表示させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した広告表示システムは、広告配信サーバと、無線通信機能を備えたデジタルフォトフレームとを含む広告表示システムであって、上記広告配信サーバは、複数の広告画像を格納しておく広告画像記憶手段と、上記デジタルフォトフレームに割り当てられた端末メールアドレスを格納しておく記憶手段と、上記広告画像記憶手段に格納された広告画像を抽出する広告画像抽出手段と、この広告画像が添付された広告メールを生成する手段と、この広告メールを上記デジタルフォトフレームの端末メールアドレス宛てに送信する手段を備え、上記デジタルフォトフレームは、所定の記憶手段内に格納された画像ファイルを順次ディスプレイに表示させる画像再生手段と、定期的に受信メールサーバにアクセスして、自己の端末メールアドレス宛の広告メールを受信する手段とを備え、上記画像再生手段は、所定のタイミングで上記広告メールに添付された広告画像を上記ディスプレイに表示させることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載した広告表示システムは、広告配信サーバと、無線通信機能を備えたデジタルフォトフレームとを含む広告表示システムであって、上記広告配信サーバは、複数の広告画像を格納しておく広告画像記憶手段と、上記デジタルフォトフレームからのリクエストに応じて、上記広告画像記憶手段から広告画像を抽出する広告画像抽出手段と、この広告画像を当該デジタルフォトフレームに配信する広告配信手段を備え、上記デジタルフォトフレームは、所定の記憶手段内に格納された画像ファイルを順次ディスプレイに表示させる画像再生手段と、所定の周期で上記広告配信サーバに対して広告画像の配信をリクエストする手段とを備え、上記画像再生手段は、所定のタイミングで広告画像を上記ディスプレイに表示させることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載した広告表示システムは、請求項1または2のシステムを前提とし、さらに上記広告配信サーバが、各広告画像と配信対象ユーザの属性との対応関係を格納しておく広告管理記憶手段と、デジタルフォトフレームを利用するユーザの属性と、当該デジタルフォトフレームの識別情報との対応関係を格納しておくユーザ管理記憶手段とを備え、上記広告画像抽出手段が、上記広告管理記憶手段とユーザ管理記憶手段を参照し、上記デジタルフォトフレームを所持するユーザの属性にマッチした広告画像を優先的に抽出することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載した広告表示システムは、請求項3のシステムを前提とし、さらに上記広告管理記憶手段には、各広告画像の分類が設定されており、上記ユーザ管理記憶手段には、各ユーザの配信希望広告分類が設定されており、上記広告画像抽出手段は、上記広告管理記憶手段とユーザ管理記憶手段を参照し、当該デジタルフォトフレームを所持するユーザの配信希望広告分類にマッチした広告画像を優先的に抽出することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載した広告表示システムは、請求項1〜4のシステムを前提とし、さらに、上記デジタルフォトフレームには逆戻りボタンが設けられており、上記デジタルフォトフレームの画像再生手段は、この逆戻りボタンが選択された際に、一つ前に表示された画像をディスプレイに再表示させる処理を実行し、さらに、再表示された画像が広告画像の場合に、当該広告画像について再表示されたことを示す実績情報を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、上記広告配信サーバは、上記デジタルフォトフレームから送信された上記実績情報を、当該広告画像及びデジタルフォトフレームに関連付けて、実績記憶手段に格納する手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載した広告表示システムは、請求項1〜5のシステムを前提とし、さらに上記デジタルフォトフレームは、人体検出センサと、この人体検出センサからの出力によって人体の接近を検知する手段と、広告画像の表示中における人間の接近が検知された場合に、当該広告画像について近接閲覧されたことを示す実績情報を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、上記広告配信サーバは、上記デジタルフォトフレームから送信された上記実績情報を、当該広告画像及びデジタルフォトフレームに関連付けて、実績記憶手段に格納する手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載した広告表示システムは、請求項3〜6のシステムを前提とし、さらに上記デジタルフォトフレームは、GPSモジュールと、当該GPSモジュールからの出力に基づいて現在位置を算出する手段と、この現在位置を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、上記広告配信サーバは、このデジタルフォトフレームから送信された現在位置情報を、上記ユーザ管理記憶手段に格納する手段を備え、また上記広告管理記憶手段には、各広告画像と配信対象ユーザの所在地域との対応関係が格納されており、上記広告画像抽出手段は、上記デジタルフォトフレームの現在位置にマッチする所在地域が関連付けられた広告画像を優先的に抽出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び2に記載の広告表示システムの場合、デジタルフォトフレームに広告画像を配信し、ユーザが撮影した画像の合間に広告画像をディスプレイに表示させる仕組みを備えているため、これまでユーザが撮影した画像の表示ツールとしてしか利用されていなかったデジタルフォトフレームを、新たな広告媒体として有効活用することが可能となる。
【0015】
請求項3または4に記載の広告表示システムの場合、ユーザの属性や希望に合致した広告画像を優先的に配信することが可能となるため、各種広告画像を漫然と配信する場合に比べ、高い広告効果が期待できる。
【0016】
請求項5に記載の広告表示システムの場合、一つ前に表示された広告画像をユーザのリクエストに応じて再表示させることができるため、特定の広告画像に興味を抱いたユーザに対して、十分な閲覧の機会を与えることが可能となる。
しかも、その事実がサーバ側の実績記憶手段に記録されるため、行動ターゲティング広告を実施する際の貴重なデータとして活用することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の広告表示システムの場合、特定の広告画像を表示中のデジタルフォトフレームに人が近づいた事実が、近接閲覧の実績情報としてサーバ側の実績記憶手段に記録されるため、行動ターゲティング広告を実施する際の貴重なデータとして活用することが可能となる。
【0018】
請求項7に記載の広告表示システムによれば、デジタルフォトフレームの現在位置にマッチした広告画像が優先的に配信される仕組みを備えているため、ユーザの居住地域に近い店舗の広告画像を重点的に配信することにより、ユーザを購買行動に効果的に誘導することが可能となる。
しかも、デジタルフォトフレームの現在位置が、内蔵されたGPSモジュールからの出力によって自動的に算出されるため、ユーザが転居した場合でも転居先の地域に密着した広告画像を継続して配信可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明に係る広告表示システム10の全体構成を示すブロック図であり、広告情報登録部11と、広告管理DB12と、広告画像格納部13と、ユーザ情報登録部14と、ユーザ管理DB15と、広告配信部16と、広告メール送信部17と、実績DB18を備えた広告配信サーバ19が設置されている。
上記の広告情報登録部11、ユーザ情報登録部14、広告配信部16及び広告メール送信部17は、広告配信サーバ19のCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することにより、実現される。
また、広告管理DB12、広告画像格納部13、ユーザ管理DB15及び実績DB18は、広告配信サーバ19の外部記憶装置内に設けられている。
【0020】
この広告配信サーバ19には、インターネット等の通信ネットワーク20を介して、スポンサー企業のPC端末21や、スマートフォン、タブレット端末等の端末装置が接続され、随時、広告情報のアップロードがなされる。
具体的には、スポンサー企業の担当スタッフがPC端末21等から広告配信サーバ19のWebサイトにログインすると、広告情報登録部11から広告情報登録画面が送信される。
【0021】
図2は、この広告情報登録画面25の具体例を示すものであり、広告分類設定欄26と、配信期間設定欄27と、配信対象設定欄28と、メール広告文設定欄29と、広告画像設定欄30を備えている。
【0022】
広告分類設定欄26は、登録しようとしている広告のカテゴリを特定する項目であり、▼(逆黒三角)ボタンをクリックすると、「飲食系」、「服飾系」、「書籍系」、「文具系」、「家電系」、「生活雑貨系」等の広告分類が列記されたプルダウンメニューが展開される。
この中から担当スタッフが「服飾系」を選択すると、当該広告に対して「服飾系」の広告分類が設定される。
【0023】
配信期間設定欄27は、文字通り当該広告をユーザに対して配信する期間を限定する項目であり、担当スタッフは始期(〜から)と終期(〜まで)の年月日を設定する。
【0024】
配信対象設定欄28は、当該広告を配信すべきユーザの属性を限定する項目であり、性別設定欄31、年代設定欄32、家族構成設定欄33、地域1設定欄34、地域2設定欄35、地域3設定欄36が設けられている。
これに対し担当スタッフは、必要な項目についてユーザの属性を設定していく。この際、限定不要な項目については、デフォルトで表示されている「−」のままにしておく。
【0025】
地域1設定欄34〜地域3設定欄36は、配信対象ユーザの居住地域(=後述のデジタルフォトフレームの設置地域)を限定するための項目であり、担当スタッフが都道府県の▼ボタンをクリックして北海道〜沖縄県の中から「東京都」を限定した後、市町村区の▼ボタンをクリックすると、東京都に含まれる23区及び市町村がリスト表示される。この中から担当スタッフは、「杉並区」のように目的とする市町村区を選択する。
さらに多くの地域を指定したい場合、担当スタッフは「地域の追加」ボタン37をクリックし、「地域4〜n」の選択欄を追加することができる。
【0026】
上記の配信対象設定項目は一例であり、これら以外にも、例えば職業設定欄、年収区分設定欄、住居区分設定欄等を設けておき、配信対象ユーザをより詳細に限定するようにしてもよい。
【0027】
メール広告文設定欄29は、広告画像を電子メールに添付してデジタルフォトフレームに送信する場合に、当該電子メールのタイトル及び本文を入力する項目である。
これに対し担当スタッフは、タイトル入力欄38及び本文入力欄39に必要な文字列を打鍵入力する。
【0028】
広告画像設定欄30は、デジタルフォトフレームに配信する広告画像のファイルを指定する項目であり、参照ボタン40をクリックするとファイル選択用のダイアログが開くため、担当スタッフはこの中でPC端末21内の所定フォルダに格納された画像ファイルを指定する。この結果、ファイル表示欄41にパス+ファイル名が表示される。
【0029】
以上の作業を完了した担当スタッフが登録ボタン42をクリックすると、選択情報や入力情報、画像ファイルが広告配信サーバ19に送信される。
これを受けた広告情報登録部11は、送信された広告の管理情報を広告管理DB12に保存する。図3は、広告管理DB12に格納されたレコードの具体例を示すものであり、広告ID、登録日時、スポンサーID、広告分類、配信期間、配信対象:性別、配信対象:年代、配信対象:家族構成、配信対象:地域1〜n、メールタイトル、メール本文、画像ファイルのパス等のデータ項目を備えている。
また、送信された画像ファイルは、広告情報登録部11によって広告画像格納部13内の所定のディレクトリに格納された後、その格納場所が上記の「画像ファイルのパス」に記録される。
【0030】
広告配信サーバ19には、3G回線(携帯電話回線)網及びインターネットからなる通信ネットワーク45を介して、デジタルフォトフレーム46が接続される。
図4(a)は、このデジタルフォトフレーム46の外観を示すものであり、前面には液晶ディスプレイ47を備えている。
また、フレームの上部には、人体等が所定距離(例えば50cm)以内に接近した際に、その事実を検出する人体検出センサ48が設けられている。この人体検出センサ48は、例えば焦電型赤外線センサよりなる。
フレームの右側部には、タッチ式の逆戻りキー49と前進キー50が少なくとも設けられている。
【0031】
図5は、デジタルフォトフレーム46の機能構成を示すブロック図であり、メール受信部55と、広告画像取得部56と、広告情報蓄積部57と、外部記憶媒体としてのSDカード58と、画像再生部59と、実績報告部60と、近接閲覧認識部61とを備えている。
上記のメール受信部55、広告画像取得部56、画像再生部59、実績報告部60及び近接閲覧認識部61は、このデジタルフォトフレーム46のフラッシュメモリに格納されたAndroid(登録商標)等のOS及び専用のアプリケーションプログラムに従い、デジタルフォトフレーム46のCPUが動作することにより、実現される。また、上記の広告情報蓄積部57は、フラッシュメモリ内に設けられている。
SDカード58は、デジタルフォトフレーム46に設けられたカードスロット(図示省略)内に装填されている。
【0032】
このデジタルフォトフレーム46自体は薄いタブレット形状を備えているが、背面に設けられたスタンドを引き出すことにより、サイドボード等の表面62に立てた状態で載置される。
【0033】
デジタルフォトフレーム46は、3G回線接続モジュールを内蔵しているため、上記のように、3G回線網を通じてインターネットに接続し、広告配信部16との間で情報を交換したり、通信キャリアのメールサーバ64に接続し、当該デジタルフォトフレーム46に割り当てられたアドレス宛の電子メールを受信したりすることができる。
また、このデジタルフォトフレーム46はWi-Fi接続モジュールをも搭載しているため、無線LAN網を介してインターネットに接続し、広告配信部16やメールサーバ64と情報の交換を行うこともできる。
【0034】
このデジタルフォトフレーム46は、予めSIMカードが装着された状態で、原則無料で希望ユーザに配布される。
ただし、ユーザが利用を開始するためには、事前に会員登録を行うことが必要とされる。すなわち、ユーザが自己のPC端末66から所定のURLにアクセスすると、ユーザ情報登録部14から会員登録画面が送信され、PC端末66や、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のWebブラウザ上に表示される。
【0035】
図6は、この会員登録画面68の具体例を示すものであり、氏名入力欄69、ふりがな入力欄70、3G回線番号入力欄71、端末メールアドレス入力欄72、パスワード入力欄73、ユーザメールアドレス入力欄74、生年月日入力欄75、性別選択欄76、郵便番号入力欄77、職業選択欄78、年収区分選択欄79、家族構成選択欄80、住居区分選択欄81、希望広告分類1選択欄82、希望広告分類2選択欄83が設けられている。
これに対しユーザは、各項目に対して必要な入力や選択を行う。
【0036】
3G回線番号入力欄71には、当該デジタルフォトフレーム46に設定された3G回線番号(携帯電話番号)を入力する。また端末メールアドレス入力欄72には、当該デジタルフォトフレーム46に割り当てられた電子メールアドレスを入力する。さらに、パスワード入力欄73にも、当該デジタルフォトフレーム46に予め設定されたパスワードを入力する。
これら3G回線番号、端末メールアドレス及びパスワードは、デジタルフォトフレーム46に同梱されたマニュアル等に記載されている。あるいは、デジタルフォトフレーム46の設定メニューを操作することにより、フラッシュメモリ内に格納されたこれらの情報を、ディスプレイ47に表示させることもできる。
【0037】
ユーザメールアドレス入力欄74には、ユーザ個人のメールアドレスを入力する。
また郵便番号入力欄77には、ユーザの自宅住所の郵便番号等、デジタルフォトフレーム46を設置する場所の郵便番号を入力する。
【0038】
希望広告分類1選択欄82及び希望広告分類2選択欄83は、ユーザがデジタルフォトフレーム46に配信を求める広告の分類を指定する項目であり、飲食系、服飾系、書籍系のように興味のあるカテゴリを指定する。
特に希望する分類が存しない場合には、指定を省略することができる。また、2つの分類指定では足りない場合には、「分類の追加」ボタン84をクリックすることにより、「希望広告分類3〜n」の選択欄を追加することができる。
【0039】
以上の作業を完了したユーザが登録ボタン85をクリックすると、選択情報や入力情報が広告配信サーバ19のユーザ情報登録部14に送信される。
これを受けたユーザ情報登録部14は、送信された情報をユーザ管理DB15に登録する。
【0040】
図7は、ユーザ管理DB15に登録されたレコードの具体例を示すものであり、ユーザID、端末ID、登録年月日、氏名、ふりがな、3G回線番号、端末メールアドレス、パスワード、ユーザメールアドレス、生年月日、性別、郵便番号、職業、年収区分、家族構成、住居区分、希望広告分類1〜n等のデータ項目を備えている。
「ユーザID」及び「端末ID」には、ユーザ情報登録部14によって自動的に採番された識別コードが記録される。
【0041】
以下、図8に従い、会員登録完了後におけるシステム10の主な処理手順について説明する。
まず、広告配信サーバ19から通信キャリアの回線処理サーバ90に対して、3G回線番号、端末メールアドレス、パスワード、ユーザメールアドレス、氏名及びふりがな等の情報が送信され、当該3G回線番号に対する開通のリクエストが発せられる(S01)。
これを受けた回線処理サーバ90は、送信された3G回線番号について開通のフラグを設定した後、広告配信サーバ19に対して開通通知を送信する(S02)。
同時に回線処理サーバ90は、端末メールアドレス及びユーザメールアドレス宛に、利用許可メールを送信する(S03及びS04)。
【0042】
上記ユーザメールアドレス宛の利用許可メールを、ユーザのメールサーバ91から受信することにより(S05)、3G回線の開通を認識したユーザは、デジタルフォトフレーム46の電源をONする。
この結果、デジタルフォトフレーム46のメール受信部55が、通信キャリアのメールサーバ64から上記の利用許可メールを受信し(S06)、広告情報蓄積部57に格納する。
この広告情報蓄積部57に利用許可メールが格納されると、画像再生部59が起動し、SDカード58や内蔵のフラッシュメモリ内に格納された複数の画像ファイル(以下「ユーザ画像」)を、一定の間隔で順番にディスプレイ47に表示させる(S07)。
【0043】
一方、広告配信サーバ19の広告配信部16は、通信キャリアの回線処理サーバ90から3G回線の開通通知を受け取った後、広告管理DB12とユーザ管理DB15を参照し、所定のマッチングルールに従って特定の画像ファイル(以下「広告画像」)を広告画像格納部13から抽出する。
【0044】
例えば、ユーザが「男性」であり、当該ユーザの郵便番号から割り出された居住地域が「東京都中央区」に含まれている場合、広告配信部16は、広告管理DB12から配信対象の性別として「男性」が設定され、かつ配信対象地域として「東京都中央区」が設定されている広告の中、現在が配信期間に含まれるものを、配信候補として抽出する。
【0045】
この配信候補が複数あり、当該ユーザが希望広告分類を登録してある場合には、この希望広告分類に合致する広告画像が優先的に抽出される。
逆に、ユーザの希望広告分類や属性に適合する配信候補が存在しない場合、広告配信部16は異なる広告分類や属性に係る広告画像を抽出することができる。
【0046】
つぎに広告配信部16は、抽出した広告に係るのメールタイトル及びメール本文を広告管理DB12から抽出すると共に、ユーザ管理DB15から当該ユーザに係る端末メールアドレスを抽出し、広告メールを生成する。
この広告メールの宛先には上記の端末メールアドレスが設定されていると共に、広告画像が添付されている。
この広告メールは、広告メール送信部17によって、端末メールアドレス宛に送信される(S08)。
【0047】
この後、広告配信部16により、実績DB18に配信実績情報が登録される。
図9は、この実績DB18に格納されたレコードの具体例を示すものであり、広告ID、ユーザID、広告画像送信日時、広告画像表示日時、近接閲覧の有無、逆戻り表示の有無等のデータ項目を備えている。広告メールを送信した日時が、上記の「広告画像送信日時」に記録される。
【0048】
デジタルフォトフレーム46のメール受信部55は、定期的に通信キャリアのメールサーバ64にアクセスして受信メールボックスに届いている広告メールを取り込み(S09)、広告情報蓄積部57に格納する。
【0049】
画像再生部59は、所定の広告再生ルールに従い、広告情報蓄積部57内の広告メールに添付された広告画像を取り出し、図4(b)に示すように、デジタルフォトフレーム46のディスプレイ47に表示させる(S10)。この際、画像再生部59は、デジタルフォトフレーム46の設定に基づき、広告メールのタイトル及び本文に記述された文章を、ディスプレイ47上に表示させることもできる(図示省略)。
【0050】
つぎに実績報告部60により、広告画像が画像再生部59によって表示された日時情報が、表示実績情報として広告配信サーバ19に送信される(S11)。
これに対し広告配信部16は、実績DB18内の「広告画像表示日時」に上記日時を記録する。
【0051】
デジタルフォトフレーム46の画像再生部59は、広告画像の表示時間を計測しており、最初に表示されてから所定時間(例えば1分間)経過した時点で、SDカード58に蓄積されたユーザ画像をディスプレイ47に表示させる(S07)。
このように、ユーザ画像の再生途中に広告画像を所定のタイミングで挿入させることにより、ユーザに対して極自然な形で広告画像を閲覧させることが可能となる。
【0052】
デジタルフォトフレーム46のディスプレイ47に広告画像が表示されている際に、ユーザあるいは他の人間が所定の距離(例えば50cm)内に接近すると、人体検出センサ48からの出力に基づいて近接閲覧認識部61がこれを検知し、実績報告部60から近接閲覧の実績情報が広告配信サーバ19に送信される。
【0053】
これに対し広告配信部16は、実績DB18内の「近接閲覧の有無」に「有り」を記録する。広告画像の表示中に人間がデジタルフォトフレーム46に近づいたということは、表示中の広告に興味を持ったものと推定され、貴重な実績情報として利用することができる。
【0054】
また、広告画像の表示時間が終了してユーザ画像の表示に移行した後に、ユーザが逆戻りキー49をタッチすると、画像再生部59によって一つ前の広告画像がディスプレイ47に再表示される。この際、実績報告部60から逆戻り表示の実績情報が広告配信サーバ19に送信される。
【0055】
これに対し広告配信部16は、実績DB18内の「逆戻り表示の有無」に「有り」を記録する。通り過ぎてしまった広告画像の再表示をわざわざ求めると言うことは、ユーザが当該広告画像に特別の関心を寄せたことを物語っているため、貴重な実績情報として利用することができる。
【0056】
広告配信サーバ19からは、定期的に広告メールが送信される一方、デジタルフォトフレーム46の画像再生部59によって広告画像が表示された後は、原則として当該広告メールは広告情報蓄積部57から削除される。
この結果、デジタルフォトフレーム46には常に最新の広告画像が表示されることとなる。同じ広告画像を同一のデジタルフォトフレーム46上で繰り返し表示させる必要がある場合、同一内容の広告メールを繰り返し送信することで対応する。
【0057】
これに対し、一旦受信した広告メールについては、表示終了後も広告情報蓄積部57に格納しておき、当該広告に設定された配信期間が経過するまで、画像再生部59によって所定のタイミングで繰り返し表示させるように運用することもできる。
【0058】
上記においては、広告画像が広告メールの添付ファイルとしてデジタルフォトフレーム46に配信される例を挙げたが、広告画像の配信方法はこれに限定されるものではない。
例えば、デジタルフォトフレーム46の広告画像取得部56が広告配信サーバ19に対して所定のタイミングで広告画像配信リクエストを送信し、これを受けた広告配信部16が現時点で当該ユーザの属性や希望分類にマッチした広告画像を広告画像格納部13から優先的に抽出し、デジタルフォトフレーム46に送信するように運用してもよい。
この場合も広告配信部16は、実績DB18に新たな配信実績情報を登録すると共に、広告画像を送信した日時が、「広告画像送信日時」に記録される。
【0059】
また上記においては、ユーザが会員登録時に申告した郵便番号に基づいてデジタルフォトフレーム46の設置位置が推定される例を示したが、デジタルフォトフレーム46にGPSモジュールと、このGPSモジュールからの出力に基づいてデジタルフォトフレーム46の現在位置(緯度経度)を算出する手段と、この現在位置情報を定期的に広告配信サーバ19に送信する手段を設けておくこともできる。
この場合、ユーザが転居した場合であっても、住所変更手続きを待つまでもなく、自動的にユーザの居住地域が修正され、この結果、広告配信部16はユーザの転居先地域に適合した広告画像を抽出することが可能となる。
【0060】
このデジタルフォトフレーム46は、一定の間隔で広告画像を表示させることを条件に、ユーザに対して無料で配布されるものであるため、上記のように事前に会員登録を行い、デジタルフォトフレーム46の3G回線を開通させることが利用条件として課されている。
ただし、一旦3G回線が開通した後は、家庭内の無線LANスポットを経由してデジタルフォトフレーム46をメールサーバ64に接続させ、広告メールを受信することも可能である。
【0061】
また、通信が途絶えて広告画像の配信が不可能となった場合には、ユーザ画像の表示も停止される。例えば、広告情報蓄積部57に新しい広告メールの登録が一定期間なされない場合、画像再生部59はディスプレイ47に「新しい広告画像の配信が中断されているため、画像の表示を停止します。通信環境を確認してください。」といった内容の警告メッセージを表示させ、ユーザ画像の表示処理を中断する。
この後、通信が回復し、広告情報蓄積部57に新しい広告画像の格納が確認された場合、画像再生部59はユーザ画像及び広告画像の表示を再開する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明に係る広告表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】広告情報登録画面の具体例を示す図である。
【図3】広告管理DBに格納されたレコードの具体例を示す図である。
【図4】デジタルフォトフレームの前面を示す図である。
【図5】デジタルフォトフレームの機能構成を示すブロック図である。
【図6】会員登録画面の具体例を示す図である。
【図7】ユーザ管理DBに格納されたレコードの具体例を示す図である。
【図8】このシステムの処理手順を示す模式図である。
【図9】実績DBに格納されたレコードの具体例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 広告表示システム
11 広告情報登録部
12 広告管理DB
13 広告画像格納部
14 ユーザ情報登録部
15 ユーザ管理DB
16 広告配信部
17 広告メール送信部
18 実績DB
19 広告配信サーバ
20 通信ネットワーク
21 スポンサー企業のPC端末
25 広告情報登録画面
26 広告分類設定欄
27 配信期間設定欄
28 配信対象設定欄
29 メール広告文設定欄
30 広告画像設定欄
31 性別設定欄
32 年代設定欄
33 家族構成設定欄
34 地域1設定欄
35 地域2設定欄
36 地域3設定欄
37 「地域の追加」ボタン
38 タイトル入力欄
39 本文入力欄
40 参照ボタン
41 ファイル表示欄
42 登録ボタン
45 通信ネットワーク
46 デジタルフォトフレーム
47 ディスプレイ
48 人体検出センサ
49 逆戻りキー
50 前進キー
55 メール受信部
56 広告画像取得部
57 広告情報蓄積部
58 SDカード
59 画像再生部
59 画像再生部
60 実績報告部
64 通信キャリアのメールサーバ
66 ユーザのPC端末
68 会員登録画面
69 氏名入力欄
70 ふりがな入力欄
71 回線番号入力欄
72 端末メールアドレス入力欄
73 パスワード入力欄
74 ユーザメールアドレス入力欄
75 生年月日入力欄
76 性別選択欄
77 郵便番号入力欄
78 職業選択欄
79 年収区分選択欄
80 家族構成選択欄
81 住居区分選択欄
82 希望広告分類1選択欄
83 希望広告分類2選択欄
84 「分類の追加」ボタン
85 登録ボタン
90 回線処理サーバ
91 ユーザのメールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告配信サーバと、無線通信機能を備えたデジタルフォトフレームとを含む広告表示システムであって、
上記広告配信サーバは、複数の広告画像を格納しておく広告画像記憶手段と、
上記デジタルフォトフレームに割り当てられた端末メールアドレスを格納しておく記憶手段と、
上記広告画像記憶手段に格納された広告画像を抽出する広告画像抽出手段と、
この広告画像が添付された広告メールを生成する手段と、
この広告メールを上記デジタルフォトフレームの端末メールアドレス宛てに送信する手段を備え、
上記デジタルフォトフレームは、所定の記憶手段内に格納された画像ファイルを順次ディスプレイに表示させる画像再生手段と、
定期的に受信メールサーバにアクセスして、自己の端末メールアドレス宛の広告メールを受信する手段とを備え、
上記画像再生手段は、所定のタイミングで上記広告メールに添付された広告画像を上記ディスプレイに表示させることを特徴とする広告表示システム。
【請求項2】
広告配信サーバと、無線通信機能を備えたデジタルフォトフレームとを含む広告表示システムであって、
上記広告配信サーバは、複数の広告画像を格納しておく広告画像記憶手段と、
上記デジタルフォトフレームからのリクエストに応じて、上記広告画像記憶手段から広告画像を抽出する広告画像抽出手段と、
この広告画像を当該デジタルフォトフレームに配信する広告配信手段を備え、
上記デジタルフォトフレームは、所定の記憶手段内に格納された画像ファイルを順次ディスプレイに表示させる画像再生手段と、
所定の周期で上記広告配信サーバに対して広告画像の配信をリクエストする手段とを備え、
上記画像再生手段は、所定のタイミングで上記広告配信サーバから配信された広告画像を上記ディスプレイに表示させることを特徴とする広告表示システム。
【請求項3】
上記広告配信サーバは、各広告画像と配信対象ユーザの属性との対応関係を格納しておく広告管理記憶手段と、
デジタルフォトフレームを利用するユーザの属性と、当該デジタルフォトフレームの識別情報との対応関係を格納しておくユーザ管理記憶手段とを備え、
上記広告画像抽出手段は、上記広告管理記憶手段とユーザ管理記憶手段を参照し、上記デジタルフォトフレームを所持するユーザの属性にマッチした広告画像を優先的に抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の広告表示システム。
【請求項4】
上記広告管理記憶手段には、各広告画像の分類が設定されており、
上記ユーザ管理記憶手段には、各ユーザの配信希望広告分類が設定されており、
上記広告画像抽出手段は、上記広告管理記憶手段とユーザ管理記憶手段を参照し、当該デジタルフォトフレームを所持するユーザの配信希望広告分類にマッチした広告画像を優先的に抽出することを特徴とする請求項3に記載の広告表示システム。
【請求項5】
上記デジタルフォトフレームには、逆戻りボタンが設けられており、
上記デジタルフォトフレームの画像再生手段は、この逆戻りボタンが選択された際に、一つ前に表示された画像をディスプレイに再表示させる処理を実行し、
さらに、再表示された画像が広告画像の場合に、当該広告画像について再表示されたことを示す実績情報を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、
上記広告配信サーバは、上記デジタルフォトフレームから送信された上記実績情報を、当該広告画像及びデジタルフォトフレームに関連付けて、実績記憶手段に格納する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の広告表示システム。
【請求項6】
上記デジタルフォトフレームは、人体検出センサと、
この人体検出センサからの出力によって人体の接近を検知する手段と、
広告画像の表示中における人間の接近が検知された場合に、当該広告画像について近接閲覧されたことを示す実績情報を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、
上記広告配信サーバは、上記デジタルフォトフレームから送信された上記実績情報を、当該広告画像及びデジタルフォトフレームに関連付けて、実績記憶手段に格納する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の広告表示システム。
【請求項7】
上記デジタルフォトフレームは、GPSモジュールと、
当該GPSモジュールからの出力に基づいて現在位置を算出する手段と、
この現在位置を上記広告配信サーバに送信する手段を備えており、
上記広告配信サーバは、このデジタルフォトフレームから送信された現在位置情報を、上記ユーザ管理記憶手段に格納する手段を備え、
また上記広告管理記憶手段には、各広告画像と配信対象ユーザの所在地域との対応関係が格納されており、
上記広告画像抽出手段は、上記デジタルフォトフレームの現在位置にマッチする所在地域が関連付けられた広告画像を優先的に抽出することを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の広告表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−198591(P2012−198591A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60564(P2011−60564)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】