説明

広域停電防止方法および広域停電防止システム

【課題】電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止する。
【解決手段】広域停電防止システム10は、商用電源の各利用者のホームゲートウェイ31と、各利用者の利用者登録情報22を格納した広域電力制御サーバ21とを有している。広域電力制御サーバ21は、利用者登録情報22に基き、定期的にホームゲートウェイ31が属するエリアの電力使用状況情報42に応じた制御指示を、ホームゲートウェイ31に送信するか否かを判断する。ホームゲートウェイ31には商用電源で動作する各電気機器34が接続されている。ホームゲートウェイ31は、制御指示を受信したならば、受信した制御指示に基いてホームゲートウェイ31内の各電気機器34を省電力制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域での大規模停電を防止する広域停電防止方法および広域停電防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各電力会社が供給する電力供給量の逼迫に伴い、各電力会社は、電力の使用状況と電力の供給量とをホームページで公開し、ユーザに節電を促している。
【0003】
更に近年では、ユーザが有する電気機器は、ネットワーク機能を搭載するものが多くなっている。これらの電気機器は、ホームネットワークを介して種々の制御が行えるようになっている。これらの電気機器をホームネットワークを介して省電力モードに制御することや、電源オフ制御することなどによって、節電を行うことができる。
【0004】
特許文献1には、ホームゲートウェイが、ホームネットワーク内の電気機器が送信する消費電力量情報やガス使用量情報などを受信し、個々の電気機器のエネルギー消費量を日別・月別などで管理し、管理する情報の比較結果に応じて電気機器へ抑制を指示してエネルギー消費量を削減する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−112291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明は、ホームネットワーク内の電気機器を対象に管理するものであり、ホームゲートウェイが電気機器の制御を行うため、各電気機器から収集したエネルギー使用量情報やエネルギー制限値の情報を用いている。ホームネットワークのエネルギー制限値とは、ホームネットワークのエネルギー使用量情報と、エネルギー事業会社から提供されるエネルギー量とから設定されるものである。このとき、ホームネットワークに提供されるエネルギー(電力)は、エネルギー事業会社のインフラによって提供されるものである。
【0007】
エネルギー事業会社が電力会社であるときには、例えば、大規模災害による発電設備の破損などにより、電力供給量に対して電力使用量が過多となる場合がある。そのような場合に於いて、各ホームネットワーク内の個々の使用量調整だけでは、過多の電力使用量による広域停電を防ぐことができない虞がある。
そこで、本発明は、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、商用電源の各利用者のホームゲートウェイと、前記各利用者の利用者登録情報を格納した広域電力制御手段とを有する広域停電防止システムが行う広域停電防止方法であって、前記広域電力制御手段は、前記利用者登録情報に基き、当該ホームゲートウェイが属するエリアの電力使用状況情報に応じた制御指示を、当該ホームゲートウェイに送信し、前記ホームゲートウェイには前記商用電源で動作する各電気機器が接続されており、当該ホームゲートウェイが前記制御指示を受信したならば、受信した当該制御指示に基いて当該ホームゲートウェイ内の各電気機器の電力制御、または、電力使用状況の報知を行う、ことを特徴とする広域停電防止方法とした。
【0009】
このようにすることで、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記電力制御は、当該電気機器の消費電力を低減する省電力モードへの移行、当該電気機器の電源のオフのうちいずれかである、ことを特徴とする請求項1に記載の広域停電防止方法とした。
【0011】
このようにすることで、様々な制御指示によって、広域停電を抑止することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、前記広域電力制御手段は、前記各利用者の当該ホームゲートウェイに当該制御指示を送信したのちに電力照合指示を送信し、前記ホームゲートウェイは、当該電力照合指示を受信したならば、各電気機器で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電気機器の電力予測とを照合し、または、電力計で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測とを照合する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の広域停電防止方法とした。
【0013】
このようにすることで、制御指示の結果としての省電力予測と、実際の電力使用量とを照合するので、省電力の効果を確認することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、前記広域電力制御手段は、前記ホームゲートウェイを透過して、各電気機器で計測した電力使用量の情報を取得して前記制御指示後の当該電気機器の電力予測と照合し、または、電力計で計測した電力使用量の情報を取得して前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測との照合を行う、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の広域停電防止方法とした。
【0015】
このようにすることで、直接に各電気機器の電力予測と照合するので、省電力の効果を確認することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明では、前記広域電力制御手段は更に、当該ホームゲートウェイへの当該制御指示によって所定電力が削減できたならば、当該ホームゲートウェイに係る利用者の電気料金を管理するサーバに、その旨を送信する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の広域停電防止方法とした。
【0017】
このようにすることで、省電力効果を確認した結果を電気料金を管理するサーバに送信し、当該利用者の電気料金に反映させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、各利用者の利用者登録情報を格納し、前記各利用者が有するホームゲートウェイが属するエリアの電力使用状況情報に応じた制御指示を当該ホームゲートウェイに送信する広域電力制御手段と、商用電源で動作する各電気機器が接続されており、前記制御指示を受信したならば、受信した当該制御指示に基いて、各電気機器を電力制御、または、電力使用状況の報知を行う前記ホームゲートウェイと、を備えたことを特徴とする広域停電防止システムとした。
【0019】
このようにすることで、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明では、前記電力制御は、当該電気機器の消費電力を低減する省電力モードへの移行、当該電気機器の電源のオフのうちいずれかである、ことを特徴とする請求項6に記載の広域停電防止システムとした。
【0021】
このようにすることで、様々な制御指示によって、広域停電を抑止することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明では、前記広域電力制御手段は、前記各利用者の当該ホームゲートウェイに当該制御指示を送信したのちに電力照合指示を送信する機能を有し、前記ホームゲートウェイは、当該電力照合指示を受信したならば、各電気機器で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電気機器の電力予測とを照合し、または、電力計で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測とを照合する機能を有する、ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の広域停電防止システムとした。
【0023】
このようにすることで、制御指示の結果としての省電力予測と、実際の電力使用量とを照合するので、省電力の効果を確認することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に於ける広域停電防止システムを示す概略の構成図である。
【図2】本実施形態に於ける利用者登録情報と制御ポリシメニューなどを示す図である。
【図3】本実施形態に於ける機器情報を示す図である。
【図4】本実施形態に於ける電力使用状況情報を示す図である。
【図5】本実施形態に於ける広域電力制御サーバの動作を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に於けるホームゲートウェイの動作を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に於ける広域停電防止システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
【0027】
(本実施形態の構成)
図1は、本実施形態に於ける広域停電防止システムを示す概略の構成図である。
広域停電防止システム10は、事業者20が管轄している広域電力制御サーバ21と、当該事業者20のネットワークに接続されているホームネットワーク30とを備えている。事業者20は更に、エッジルータ25−1,25−2と、ゲートウェイ24とを備えている。広域電力制御サーバ21は、エッジルータ25−1,25−2と、ゲートウェイ24とに接続されている。エッジルータ25−1は、図示しない無線基地局などを介して端末60に接続されている。エッジルータ25−2は、ホームネットワーク30のホームゲートウェイ31に接続されている。
【0028】
ゲートウェイ24は、電力会社「A」40−1の電力情報提供サイト41−1および電気料金サーバ50−1と、電力会社「B」40−2の電力情報提供サイト41−2および電気料金サーバ50−2とに接続されている。なお、以下に於いて、電力会社「A」40−1、電力会社「B」40−2を特に区別しないときには、単に電力会社40と記載する。電力情報提供サイト41−1,41−2を特に区別しないときには、単に電力情報提供サイト41と記載する。電気料金サーバ50−1,50−2を特に区別しないときには、単に電気料金サーバ50と記載する。
【0029】
広域電力制御サーバ21は、図示しない記憶部に、利用者登録情報22と、制御ポリシメニュー23とを格納し、所定のエリアに属する各ホームネットワーク30を制御することにより、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止するものである。利用者登録情報22と制御ポリシメニュー23とは、後述する図2で詳細に説明する。
【0030】
利用者登録情報22は、例えば、広域停電回避に協力する有志の利用者、または、広域停電回避に協力するという料金メニューを契約した利用者を登録している。広域停電回避に協力するという料金メニューとは、例えば、低料金である代わりに、電力使用率が高い場合には電力使用量を抑制しなければならないという料金メニューである。利用者登録情報22に料金メニューを契約した後者の利用者が登録されている場合、広域電力制御サーバ21は、電力会社40が有している電気料金サーバ50と連携することが必要である。
ホームネットワーク30は、ホームゲートウェイ31と、電力計33と、電気機器34−1〜34−3とを備えている。
【0031】
ホームネットワーク30は、当該利用者の家庭内に設けられたネットワークである。ホームゲートウェイ31は、例えばブロードバンドルータであり、事業者20のネットワークとホームネットワーク30とを接続するものである。ホームゲートウェイ31は、記憶部(不図示)に、機器情報32を格納している。機器情報32は、後記する図3で詳細に説明する。
【0032】
電力計33は、当該利用者の家庭で使用される電力を計測し、計測した電力量情報をネットワーク経由で送信するものである。電気機器34−1〜34−3は、例えば、利用者の宅内に設置されたコンピュータ機器、AV(Audio Visual)系機器、白物家電などであり、ホームネットワーク30に接続されて制御可能なネットワーク対応機器である。電気機器34−1〜34−3は、商用電源に接続されて動作している。ここで商用電源とは、電力会社40が各利用者に供給する電力および、その電力を供給するための設備一般のことをいう。
【0033】
電力会社「A」40−1は、電力情報提供サイト41−1と電気料金サーバ50−1とを有している。電力情報提供サイト41−1は、図示しない記憶部に電力使用状況情報42−1を格納している。電気料金サーバ50−1は、図示しない記憶部に課金情報51−1を格納している。電力会社「B」40−2は、電力会社「A」40−1と同様の構成を有している。
【0034】
電力情報提供サイト41−1は、例えばウェブサーバであり、ウェブのホームページ上に電力使用状況情報42−1を公開するものである。以下、電力使用状況情報42−1,42−2を個々に区別しないときには、単に電力使用状況情報42と記載する。電力使用状況情報42は、後記する図4で詳細に説明する。
【0035】
電気料金サーバ50−1は、例えばサーバ計算機であり、電力会社「A」40−1の利用者の課金情報51−1を管理している。以下、課金情報51−1,51−2を個々に区別しないときには、単に課金情報51と記載する。
【0036】
図2(a)〜(c)は、本実施形態に於ける利用者登録情報と制御ポリシメニューなどを示す図である。
【0037】
図2(a)は、利用者登録情報22の詳細を示す図である。
利用者登録情報22は、利用者欄22aと、エリア情報欄22bと、ホームゲートウェイのIPアドレス欄22cと、制御ポリシ欄22dとを有している。更に、利用者登録情報22は、1または複数のレコードから構成されている。
利用者欄22aには、当該レコードに係る利用者を示す情報が格納されている。
エリア情報欄22bには、当該レコードに係る利用者のエリア情報が格納されている。
ホームゲートウェイのIPアドレス欄22cには、当該レコードに係る利用者のホームゲートウェイ31のグローバルIPアドレス情報が格納されている。
制御ポリシ欄22dには、当該レコードに係る利用者の制御ポリシ情報が格納されている。
【0038】
図2(b)は、制御ポリシメニュー23を示す図である。
制御ポリシメニュー23は、利用者欄23aと、メニュー種別欄23bと、ユーザ指定機器欄23cとを有している。更に、制御ポリシメニュー23は、1または複数のレコードから構成されている。
利用者欄23aには、当該レコードに係る利用者を示す情報が格納されている。
メニュー種別欄23bには、当該レコードに係る利用者が選択したメニュー情報がコード化されて格納されている。メニュー種別と動作との対応は、後記する図2(c)で説明する。
ユーザ指定機器欄23cには、当該レコードに係る利用者が指示した機器の情報が格納されている。
各利用者は、例えば端末60を操作して、制御ポリシを示すメニュー情報のいずれかを選択すること、または、各利用者がカスタマイズした制御ポリシ情報を登録することによって、制御ポリシメニュー23を更新する。
【0039】
図2(c)は、メニュー種別と動作との対応を示す図である。
メニューAは、「電力使用率が90%を越えたらアラーム通知」動作に対応している。
メニューBは、「電力使用率が85%を越えたらアラーム通知、電力使用率が90%を越えたら娯楽機器を機器制御(省電力モードへの変更や強制停止)指示、電力使用率が95%を越えたら更に生活必需機器も機器制御指示」動作に対応している。
【0040】
メニューCは、「電力使用率が85%を越えたらアラーム通知、電力使用率が90%を越えたら削減される消費電力が大きい機器を機器制御(省電力モードへの変更や強制停止)指示、電力使用率が95%を越えたら更に前記以外の機器も機器制御指示」動作に対応している。
【0041】
メニューDは、「電力使用率が85%を越えたらアラーム通知、電力使用率が90%を越えたらユーザが指定した機器を機器制御(省電力モードへの変更や強制停止)指示、電力使用率が95%を越えたら更に前記以外の機器も機器制御指示」動作に対応している。
これら利用者登録情報22と制御ポリシメニュー23とは、広域電力制御サーバ21の記憶部(不図示)に格納されている。
【0042】
本実施形態の利用者Xは、メニューAを選択しており、電力使用率が90%を越えたらアラームを通知するようにしている。
本実施形態の利用者Yは、メニューDを選択しており、電力使用率が85%を越えたらアラームを通知し、電力使用率が90%を越えたら照明機器と空調機器とを省電力モードへの変更や強制停止を指示し、電力使用率が95%を越えたら更に前記以外の機器も省電力モードへの変更や強制停止を指示するようにしている。
本実施形態の利用者Zは、メニューCを選択しており、電力使用率が85%を越えたらアラームを通知し、電力使用率が90%を越えたら削減される消費電力が大きい機器を省電力モードへの変更や強制停止を指示し、電力使用率が95%を越えたら更に前記以外の機器も省電力モードへの変更や強制停止を指示するようにしている。
【0043】
図3は、本実施形態に於ける機器情報を示す図である。
機器情報32は、機器名称欄32aと、機器欄32bと、IPアドレス欄32cと、使用状況欄32dと、制御指示欄32eと、削減される消費電力欄32fとを有している。
機器名称欄32aには、当該機器の名称が格納されている。
機器欄32bには、当該機器の種別が格納されている。図3では、娯楽機器と生活必需機器のうちいずれかの種別が格納されている。
IPアドレス欄32cには、当該機器に払い出されているIPアドレスが格納されている。
使用状況欄32dには、当該機器の使用状況情報が格納されている。
制御指示欄32eには、当該機器に制御することが可能な制御指示が格納されている。
削減される消費電力欄32fには、当該機器に対して制御指示欄32eで示される指示を行った際に削減される消費電力の情報が格納されている。
この機器情報32は、ホームゲートウェイ31の記憶部(不図示)に格納されている。
【0044】
本実施形態のテレビは、娯楽機器に分類されており、現在の使用状況は待機中であり、ホームゲートウェイ31が省エネ動作を制御指示することが可能であり、その制御指示によって削減される消費電力は50[W/h]である。
本実施形態のHDD(Hard Disk Drive)レコーダは、娯楽機器に分類されており、現在の使用状況は待機中であり、ホームゲートウェイ31が待機を制御指示することが可能であり、その制御指示によって削減される消費電力は20[W/h]である。
本実施形態の照明は、生活必需機器に分類されており、現在の使用状況は動作中であり、ホームゲートウェイ31が省エネ動作を制御指示することが可能であり、その制御指示によって削減される消費電力は200[W/h]である。
本実施形態の空調は、生活必需機器に分類されており、現在の使用状況は動作中であり、ホームゲートウェイ31が電源オフを制御指示することが可能であり、その制御指示によって削減される消費電力は1000[W/h]である。
【0045】
図4は、本実施形態に於ける電力使用状況情報を示す図である。
電力使用状況情報42は、エリア欄42aと、電力使用率欄42bと、ピーク時供給力42cと、予想最大電力欄42dとを有している。更に、電力使用状況情報42は、1または複数のレコードから構成されている。
エリア欄42aには、当該レコードに係るエリア情報が格納されている。
電力使用率欄42bには、エリア欄42aで示される当該エリアに係る直近の電力使用率の情報が格納されている。ここで電力使用率とは、供給可能な最大電力量に対する使用電力量の率である。
ピーク時供給力42cには、当該エリアの当日のピーク時に供給可能な最大電力量の情報が格納されている。
予想最大電力欄42dには、当該エリアの当日のピーク時の使用電力量の予測情報が格納されている。
【0046】
電力会社40は、大規模災害などで発電設備などが被災して最大電力供給量が低下した際などに、当該電力会社40が管轄するエリアの利用者が状況を把握できるよう、電力情報提供サイト41に当該電力使用状況情報42を公開している。
【0047】
(本実施形態の動作)
図5は、本実施形態に於ける広域電力制御サーバの動作を示すフローチャートである。
処理を開始すると、ステップS10に於いて、広域電力制御サーバ21は、電力情報提供サイト41から電力使用状況情報42を取得する。
【0048】
ステップS11に於いて、広域電力制御サーバ21は、利用者登録情報22に基く対象利用者が有るか否かを判断する。広域電力制御サーバ21は、当該条件が成立したならば(Yes)、ステップS12の処理を行い、当該条件が成立しなかったならば(No),ステップS10の処理に戻る。
【0049】
ステップS12〜S22に於いて、広域電力制御サーバ21は、全ての対象利用者について処理を繰り返す。以下、処理中の対象利用者のことを「当該利用者」という。
ステップS13に於いて、広域電力制御サーバ21は、当該利用者の利用者登録情報22の情報に基き、電力使用状況情報42に応じた制御を選択する。
【0050】
ステップS14に於いて、広域電力制御サーバ21は、選択した制御は、当該利用者のホームゲートウェイ31を制御するものであるか否かを判断する。すなわち、ホームゲートウェイ31に接続されている電気機器34のいずれかを制御するものであるか否かを判断する。例えば、広域電力制御サーバ21は、当該ホームゲートウェイ31の制御ポリシメニュー23にメニューA〜メニューDのいずれが選択されていても、電力使用率が85%未満ならば、当該ホームゲートウェイ31を制御しないと判断する。
広域電力制御サーバ21は、当該条件が成立したならば(Yes)、ステップS15の処理を行い、当該条件が成立しなかったならば(No)、ステップS22の処理を行う。
ステップS15に於いて、広域電力制御サーバ21は、登録した制御内容を実施するよう、当該利用者のホームゲートウェイ31に制御指示する。すなわち、広域電力制御サーバ21は、利用者登録情報22の制御ポリシ欄22d、および、制御ポリシメニュー23に格納された情報に基いて、ホームゲートウェイ31に制御指示する。
ステップS16に於いて、広域電力制御サーバ21は、当該利用者のホームゲートウェイ31から制御結果を受信する。当該制御結果とは、制御指示への応答である。
【0051】
ステップS17に於いて、広域電力制御サーバ21は、当該利用者の利用者登録情報22の制御ポリシ欄22dを参照して、サービス精算の対象となっているか否かを判断する。本実施形態では、制御ポリシ欄22dが、「電気料金が低いが、電力使用率が高いときは電力使用量抑制」となっているとき、サービス精算の対象であるものとする。ここでサービス精算とは、電力使用率が高いときに電力使用量を抑制したならば、電気料金を所定値だけ下げる精算処理のことをいう。広域電力制御サーバ21は、当該条件が成立したならば(Yes)、ステップS18の処理を行い、当該条件が成立しなかったならば(No)、ステップS22の処理を行う。
ステップS18に於いて、広域電力制御サーバ21は、当該利用者のホームゲートウェイ31に制御結果予測と各機器、メータ(電力計33)とを照合するよう指示する。ここで制御結果予測とは、機器情報32の削減される消費電力欄32f(図3)の情報のことをいう。各機器、メータ(電力計33)を照合するとは、当該削減される消費電力欄32f(図3)の値と各電気機器34が計測した消費電力の値を照合すること、および/または、当該削減される消費電力欄32f(図3)の積算値とメータ(電力計33)が計測した消費電力の値を照合することをいう。
ステップS19に於いて、広域電力制御サーバ21は、当該利用者のホームゲートウェイ31から照合結果を受信する。
【0052】
ステップS20に於いて、広域電力制御サーバ21は、照合結果が正しいか否かを判断する。すなわち、広域電力制御サーバ21は、正しく省電力が行われている否かを判断する。広域電力制御サーバ21は、当該条件が成立したならば(Yes)、ステップS21の処理を行い、当該条件が成立しなかったならば(No)、ステップS15の処理に戻る。
【0053】
ステップS21に於いて、広域電力制御サーバ21は、電気料金サーバ50へ照合結果を通知する。この通知により、電気料金サーバ50は、当該利用者が省電力を実施したことを知ることができるので、サービス精算を契約している当該利用者に係る電気料金を、安くすることなどができる。
【0054】
ステップS22に於いて、広域電力制御サーバ21は、全ての対象利用者について繰り返したか否かを判断する。広域電力制御サーバ21は、当該条件が成立したならば、ステップS10の処理に戻り、再び図5の処理を繰り返す。
【0055】
図6は、本実施形態に於けるホームゲートウェイの動作を示すフローチャートである。
処理を開始すると、ステップS30に於いて、ホームゲートウェイ31は、広域電力制御サーバ21から指示を取得する。
ステップS31に於いて、ホームゲートウェイ31は、指示内容に応じた処理を行う。ホームゲートウェイ31は、指示内容が「制御指示」ならば、ステップS32の処理を行い、指示内容が「制御結果照合」ならば、ステップS39の処理を行う。
【0056】
《指示内容=制御指示》
ステップS32に於いて、ホームゲートウェイ31は、アラームを報知する指示内容が含まれているか否かを判断する。ホームゲートウェイ31は、当該判断条件が成立したならば(Yes)、ステップS33の処理を行い、当該判断条件が成立しなかったならば(No)、ステップS34の処理を行う。
ステップS33に於いて、ホームゲートウェイ31は、アラームを報知する。
【0057】
ステップS34に於いて、ホームゲートウェイ31は、機器の制御方法に応じた処理を行う。ホームゲートウェイ31は、機器の制御方法が「娯楽機器優先」ならばステップS35の処理を行い、機器の制御方法が「消費電力優先」ならばステップS36の処理を行い、機器の制御方法が「ユーザ指定」ならばステップS37の処理を行う。
ステップS35に於いて、ホームゲートウェイ31は、娯楽機器を優先的に省電力モード(電源オフを含む)に制御する。すなわち、ホームゲートウェイ31は、電力使用率が90%を超えたら娯楽機器を優先して省電力モードに制御し、電力使用率が95%を超えたら更に生活必需機器を省電力モードに制御する。ホームゲートウェイ31は、ステップS35の処理が終了したならば、ステップS38の処理を行う。
ステップS36に於いて、ホームゲートウェイ31は、削減される消費電力が大きい機器を優先的に省電力モード(電源オフを含む)に制御する。すなわち、ホームゲートウェイ31は、電力使用率が90%を超えたら削減される消費電力が大きい電気機器34を優先して省電力モードに制御し、電力使用率が95%を超えたら更に前記以外の電気機器34を省電力モードに制御する。ホームゲートウェイ31は、ステップS36の処理が終了したならば、ステップS38の処理を行う。
ステップS37に於いて、ホームゲートウェイ31は、ユーザの指定に基く優先度で各機器を省電力モード(電源オフを含む)に制御する。すなわち、ホームゲートウェイ31は、電力使用率が90%を超えたらユーザが指定した電気機器34を優先して省電力モードに制御し、電力使用率が95%を超えたら更に前記以外の電気機器34を省電力モードに制御する。
ステップS38に於いて、ホームゲートウェイ31は、機器制御の結果を広域電力制御サーバ21に通知し、ステップS30の処理に戻る。ここで機器制御の結果とは、各電気機器34へ送信した制御コマンドに対する応答である。
【0058】
《指示内容=制御結果照合》
ステップS39に於いて、ホームゲートウェイ31は、各機器、メータ(電力計33)から電力量を取得する。
ステップS40に於いて、ホームゲートウェイ31は、当該電力量と機器制御結果の電力予測と照合する。ここで機器制御結果の電力予測とは、機器情報32の削減される消費電力欄32f(図3)の値に基くものである。
ステップS41に於いて、ホームゲートウェイ31は、照合結果を広域電力制御サーバ21に通知し、ステップS30の処理に戻る。
【0059】
図7は、本実施形態に於ける広域停電防止システムの動作を示すシーケンス図である。
処理を開始すると、シーケンスQ10に於いて、広域電力制御サーバ21は、電力情報提供サイト41に、電力使用状況情報42を要求する。
シーケンスQ11に於いて、電力情報提供サイト41は、広域電力制御サーバ21に、電力使用状況情報42を送信する。
【0060】
《省電力制御》
シーケンスQ20に於いて、広域電力制御サーバ21は、ホームゲートウェイ31に制御指示を送信する。
シーケンスQ21に於いて、ホームゲートウェイ31は、電気機器34に省電力制御コマンドを送信する。
【0061】
シーケンスQ22に於いて、電気機器34は、ホームゲートウェイ31に省電力制御コマンドによる制御結果を送信する。以下、ホームゲートウェイ31は、各電気機器34にシーケンスQ21〜Q22の処理を繰り返す。
シーケンスQ23に於いて、ホームゲートウェイ31は、広域電力制御サーバ21に制御結果を通知する。
《制御結果照合》
シーケンスQ30に於いて、広域電力制御サーバ21は、ホームゲートウェイ31に制御結果照合コマンドを送信する。
シーケンスQ31に於いて、ホームゲートウェイ31は、電気機器34に電力量の要求コマンドを送信する。
【0062】
シーケンスQ32に於いて、電気機器34は、ホームゲートウェイ31に電力量を応答する。以下、ホームゲートウェイ31は、各電気機器34にシーケンスQ31〜Q32の処理を繰り返す。
【0063】
シーケンスQ33に於いて、ホームゲートウェイ31は、広域電力制御サーバ21に照合結果を通知する。図7に於いて、広域電力制御サーバ21は、ホームゲートウェイ31から正しく省電力できたことを、照合結果から確認している。
【0064】
《サービス精算》
シーケンスQ30に於いて、広域電力制御サーバ21は、電気料金サーバ50にサービス精算コマンドを送信する。これにより、電気料金サーバ50は、当該利用者の電気料金を下げる精算処理を実行する。
【0065】
(本実施形態の効果)
以上説明した本実施形態では、次の(A)〜(C)のような効果がある。
【0066】
(A) 広域電力制御サーバ21が電力会社40の公開情報を定期的に収集し、自律的に各利用者のホームネットワーク30に対してアラームの通知、または、機器の制御を行う。これにより、広域電力制御サーバ21は、ホームネットワーク30内の各電気機器34に、最新の電力使用状況に応じた電力制御(省電力)をすることができる。広域電力制御サーバ21は、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することができる。
【0067】
(B) 広域電力制御サーバ21は、電気料金と連携したサービスメニューなどを保持し、電気料金サーバ50と連携して、当該利用者の電気料金を制御している。これにより、当該利用者の電力料金に直接に関係する制御行うことができる。
【0068】
(C) 広域電力制御サーバ21は、単に省電力制御を行うだけではなく、省電力制御の結果を照合している。これにより、広域電力制御サーバ21は、確実に電力使用量を削減して、電力供給量に対して電力消費量が過多になることに起因する広域停電を抑止することができる。
(変形例)
【0069】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a),(b)のようなものがある。
【0070】
(a) 広域電力制御サーバ21は、省電力制御などを行ったことを料金精算に反映させるため、当該利用者の家庭に設置された可変ブレーカの最大電流量を下げるように制御してもよい。
【0071】
(b) 本実施形態の広域電力制御サーバ21は、ホームゲートウェイ31を介して各電気機器34を制御している。しかし、これに限られず、広域電力制御サーバ21は、ホームゲートウェイ31のファイアウォールを透過設定として、各電気機器34にコマンドを送信して制御してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 広域停電防止システム
20 事業者
21 広域電力制御サーバ(広域電力制御手段)
22 利用者登録情報
23 制御ポリシメニュー
24 ゲートウェイ
30 ホームネットワーク
31 ホームゲートウェイ
32 機器情報
33 電力計
34 電気機器
40 電力会社
41 電力情報提供サイト(電力情報提供手段)
42 電力使用状況情報
50 電気料金サーバ(電気料金管理手段)
51 課金情報
60 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源の各利用者のホームゲートウェイと、前記各利用者の利用者登録情報を格納した広域電力制御手段とを有する広域停電防止システムが行う広域停電防止方法であって、
前記広域電力制御手段は、前記利用者登録情報に基き、当該ホームゲートウェイが属するエリアの電力使用状況情報に応じた制御指示を、当該ホームゲートウェイに送信し、
前記ホームゲートウェイには前記商用電源で動作する各電気機器が接続されており、当該ホームゲートウェイが前記制御指示を受信したならば、受信した当該制御指示に基いて当該ホームゲートウェイ内の各電気機器の電力制御、または、電力使用状況の報知を行う、
ことを特徴とする広域停電防止方法。
【請求項2】
前記電力制御は、当該電気機器の消費電力を低減する省電力モードへの移行、当該電気機器の電源のオフのうちいずれかである、
ことを特徴とする請求項1に記載の広域停電防止方法。
【請求項3】
前記広域電力制御手段は、前記各利用者の当該ホームゲートウェイに当該制御指示を送信したのちに電力照合指示を送信し、
前記ホームゲートウェイは、当該電力照合指示を受信したならば、各電気機器で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電気機器の電力予測とを照合し、または、電力計で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測とを照合する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の広域停電防止方法。
【請求項4】
前記広域電力制御手段は、前記ホームゲートウェイを透過して、各電気機器で計測した電力使用量の情報を取得して前記制御指示後の当該電気機器の電力予測と照合し、または、電力計で計測した電力使用量の情報を取得して前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測との照合を行う、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の広域停電防止方法。
【請求項5】
前記広域電力制御手段は更に、当該ホームゲートウェイへの当該制御指示によって所定電力が削減できたならば、当該ホームゲートウェイに係る利用者の電気料金を管理するサーバに、その旨を送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の広域停電防止方法。
【請求項6】
各利用者の利用者登録情報を格納し、前記各利用者が有するホームゲートウェイが属するエリアの電力使用状況情報に応じた制御指示を当該ホームゲートウェイに送信する広域電力制御手段と、
商用電源で動作する各電気機器が接続されており、前記制御指示を受信したならば、受信した当該制御指示に基いて、各電気機器を電力制御、または、電力使用状況の報知を行う前記ホームゲートウェイと、
を備えたことを特徴とする広域停電防止システム。
【請求項7】
前記電力制御は、当該電気機器の消費電力を低減する省電力モードへの移行、当該電気機器の電源のオフのうちいずれかである、
ことを特徴とする請求項6に記載の広域停電防止システム。
【請求項8】
前記広域電力制御手段は、前記各利用者の当該ホームゲートウェイに当該制御指示を送信したのちに電力照合指示を送信する機能を有し、
前記ホームゲートウェイは、当該電力照合指示を受信したならば、各電気機器で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電気機器の電力予測とを照合し、または、電力計で計測した電力使用量と前記制御指示後の当該電力計に於ける電力予測とを照合する機能を有する、
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の広域停電防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−102610(P2013−102610A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244711(P2011−244711)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】