広帯域光源で励起される誘電体微小空洞蛍光センサ
微小共振器センサ装置は、周波数が自由スペクトル領域(FSR)により分離される赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定する微小空洞共振器を有する。EWGMは微小空洞共振器軸に垂直な平面にある。光源が光を微小空洞共振器内に注入するように光学的に結合されている。光源は帯域がEWGMのFSRとほぼ等しいかまたはそれを超える出力スペクトルを有する出力光を生成する。微小空洞共振器内に結合された励起光を用いて1つまたは複数の蛍光物質を励起する。その後1つまたは複数の蛍光物質の蛍光発光から生じる蛍光信号を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光学装置に関し、特に微小共振器を用いる光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体微小球は感知用途における蛍光センサとして近年益々注目を集めている。これらのセンサ内ではセンサ表面は抗体などの分子層で固定されて、その後抗原などの検体を捕捉する。直接分析構成において抗原は蛍光染料分子と接合される。すなわち抗原がセンサ表面上の抗体と結合すると、蛍光分子は微小球表面に十分に近接して保持され、微小球内で循環するエバネセント光により励起される。サンドイッチタイプ構成では、まず抗原をセンサ表面上の抗体に結合し、その後蛍光染料で標識付けした第2の抗体層を加えて捕捉した抗原に結合する。第2の抗体層に結合された蛍光分子は、微小球のウィスパリングギャラリモード(WGM)内を伝播する光から生じるエバネセント場により励起される。励起染料から得られた蛍光発光を収集して抗原結合イベントのインジケータとして用いる。
【0003】
微小球のWGMは高Q係数と関連し、そのため光の強度はWGM内に結合されると入力光と比べて増強される。増強度はQ係数に比例する。メガヘルツ以下のスペクトル線幅を有する狭帯域波長可変半導体ダイオードレーザが通例、微小球空洞内のWGMを励起する光源として用いられる。レーザ光の帯域は1つのWGM共振の帯域に匹敵する。そのためレーザが特定のWGM共振に調整されると、結合光の大部分は共振帯域内に収まるためWGM共振内への効率的な結合がある。しかしこのようなレーザの高いコストが多くの用途における微小球によるセンサの導入の普及に対して大きな障害であることが分かっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって本発明の1つの特定の実施形態は、周波数が自由スペクトル領域(FSR)により分離される赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定する微小空洞共振器を備える微小共振器センサ装置に関する。EWGMは微小空洞共振器軸に垂直な平面にある。光源が光を微小空洞共振器内に入射するように光学的に結合されている。光源は帯域がEWGMのFSRとほぼ等しいかまたはそれを超える出力スペクトルを有する出力光を生成する。
【0005】
本発明の他の実施形態は、励起光を第1の微小空洞共振器に結合することを含む、蛍光測定を行う方法に関する。第1の微小空洞共振器は赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定し、励起光は少なくとも2つの隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する。第1の微小空洞共振器内に結合された励起光を用いて1つまたは複数の蛍光物質を励起する。その後1つまたは複数の蛍光物質の蛍光発光から生じる蛍光信号を検出する。
【0006】
本発明の上記の概要は本発明の各図示の実施形態またはすべての実施を説明しようとするものではない。図および以下の詳細な説明がこれらの実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで本発明をより完全に理解されよう。
【0008】
本発明は様々な変更例および代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すとともに詳細に説明する。しかし本発明を説明する特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。反対に添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の要旨および範囲内にあるすべての変更例、等価物および代替物を網羅しようとするものである。
【0009】
本発明は微小空洞共振器(microcavity resonator)を用いる光センサに特に適用可能である。このような共振器は微小共振器(microresonator)とも称され得る。
【0010】
狭帯域波長可変レーザダイオードとは対照的に、より広い線幅を有する半導体光源は比較的安価である。そのような光源からの出力光のわずかな部分しか微小球のウィスパリングギャラリモード(WGM)共振に重畳せず微小球により生じる強調を受ける可能性があるため、広帯域光源はこれまで高Q係数微小球を用いた用途には適さないと考えられていた。
【0011】
しかし微小空洞のスペクトルモード密度が高く光が多数のWGMに結合される場合、広帯域光源は微小空洞と共に用いるのに適している。このような条件では広帯域源からの出力の大部分を微小空洞内に結合することが可能であり、そのため広帯域光源と微小空洞との組み合わせは、高感度を有し関連する構成要素のコストが低い蛍光センサをもたらす。
【0012】
微小共振器を用いる微小空洞導波路システム100の例が図1Aに概略的に図示されている。光源102は光を導波路104に沿って検出ユニット106に指向する。微小共振器110は導波路104に光学的に結合されている。光源102からの光108は導波路104内に発射されて検出ユニット106に向かって伝播する。微小共振器110は導波路104から光108の一部分、微小共振器110内を微小共振器110の共振周波数の1つで伝播する出力結合光112をエバネッセント結合する。
【0013】
光源102は任意の好適なタイプの光源であり得る。効率と感度を向上させるため、光源が導波路104内に効率的に結合される光を生じることが有利であり、例えば光源はレーザダイオードなどのレーザであってもよく、または光源は発光ダイオードであってもよい。光源102は所望の波長または波長領域の光108を生じる。例えば微小共振器がセンサ内で用いられる場合、光源102は感知対象種と相互作用する波長の光を生じる。感知対象種は通例、WGM内を伝播する光が感知対象種と相互作用するように、微小共振器110の表面に近接配置される。また光源102はランプと、ランプからの光を導波路104内に結合する好適な光学部品も一緒に備え得る。
【0014】
例えばシステム100が蛍光センサとして用いられる場合、微小共振器110内を伝播する光は、検体または検体の存在を示すマーカに対して微小共振器表面上に付着させた蛍光染料などの蛍光分子により吸収される。より特定的な例において、微小共振器の表面に所望の抗原検体に特有の抗体を付着し得る。蛍光染料を接合させた検体抗原分子をセンサシステム100に導入する。抗原分子は微小共振器110上の抗体分子と結合するため、蛍光染料分子を微小共振器110に十分近接して保持して、微小共振器110内で循環する光が蛍光分子にエバネッセント結合する。吸収された光は蛍光分子を励起して、分子はその後励起波長とは異なる波長で蛍光を放つ。蛍光光の検出は検体抗原の存在を立証する。
【0015】
他の例において検体抗原分子は蛍光染料に接合されないが、微小共振器表面に付着した抗体に結合できる。蛍光分子に接合したより多くの抗体はその後センサ内に導入されて抗原に結合する。また蛍光分子は微小共振器110内を伝播する光とのエバネッセント相互作用により励起されるとともに、その後の蛍光発光の検出を用いて検体抗原の存在および発生量を決定し得る。
【0016】
光源102は光を多数の異なる導波路に指向し得るが、そのうちの導波路104はその一例である。導波路104は任意の好適なタイプの波長であり得るとともに、例えばシリカ基板内に形成された導波路などの基板内または上に形成された平面導波路またはチャネル導波路であり得る。また導波路104は光ファイバであり得る。
【0017】
検出ユニット106は光検出器、例えば光を検出するフォトダイオードまたはフォトトランジスタを含む。また検出ユニット106は光検出器に到達する光の波長を選択する波長感知デバイスを含み得る。波長選択デバイスは例えばフィルタまたは分光計であり得る。波長選択デバイスは波長調整可能であるためユーザは光検出器に入射する光の波長を能動的に変更可能である。
【0018】
微小共振器110は導波路104と物理的に接しているかまたは非常に近接して配置され得るため、導波路104に沿って伝播する光108の一部は微小共振器110内にエバネッセント結合される。導波路104は通例微小共振器110が導波路104に結合する地点でクラッドをほとんど含まないため、微小共振器110は導波路104のコアに直接結合する。
【0019】
他のタイプの微小共振デバイス150が図1Bに概略的に図示されている。このデバイス150において微小共振器110からの光158は第2の導波路154内に結合されて検出器106に伝播する。
【0020】
他のタイプの微小共振デバイス170が図1Cに概略的に図示されている。このデバイス170では第2の検出器172は微小共振器110に近接して配置されて微小共振器110からの光を検出する。第2の検出器172により検出された光は導波路を介して第2の検出器172に通過するのではなく、自由空間を伝播すると言われる。第2の検出器172により検出された微小共振器110からの光は例えば、光が微小共振器110内を循環することにより、微小共振器110から散乱し得るまたは微小共振器の表面に付着した蛍光種の励起から生じた蛍光であり得る。第2の検出器172は微小共振器110からの光のすべての波長を検出し得る。または例えば第2の検出器172と微小共振器110との間に配置された波長選択素子174の利用により、特定の波長領域にある光を検出し得る。波長選択素子174は例えば、微小共振器110内で共振する励起波長の光を拒絶するとともに蛍光波長の光を透過するフィルタであり得る。また第2の検出器172を図1Bに示したような構成と共に用い得る。
【0021】
光はいわゆる「ウィスパリングギャラリモード」の微小共振器内を伝播し、その例が図2に概略的に図示されている。ウィスパリングギャラリモード(WGM)202では、光は多数の全反射により発生源から微小共振器210の周囲を伝播した後発生源に戻る。図示の実施形態ではWGM202は1周で8個の全反射を含む。光が異なる数の全反射に対応する他のWGM内で微小共振器210内を伝播し得ることは理解できよう。
【0022】
さらにまた光が1周後に構造的に干渉するような波長である場合WGM202は高Q係数を示すに過ぎない。換言すればWGM202の周囲の光路長は整数波長に等しい。図2内に図示された平面WGM202内の光に対するこの共振条件を以下のように数学的に記述することができる。
lλl=L (1)
ここでλ1は真空中でl番目のモードの波長であり、LはWGMの1周の光路長であり、lはモード番号と称される整数である。共振条件(1)を満足する導波路104からの光は微小共振器に効率的に結合される。微小共振器の共振モードは例えば、B.R.ジョンソン著「形態依存共振の理論:形状共振および幅の式(Theory of morphology-dependent resonances:shape resonances and width formulas)」、米国光学会雑誌A(Journal of the Optical Society of America A)10巻、p.343〜352(1993年)、およびJ.C.ナイトら「近接場プローブによる微小球内のウィスパリングギャラリモードのマッピング(Mapping whispering-gallery modes in microspheres with a near-field probe)」、米国学会誌(Optical Letters)20巻、p.1515〜1517(1995年)にさらに記載されている。
【0023】
WGMの電界強度は微小共振器210の内面で最大になる。WGMの電界強度は微小共振器210外で指数関数的に減衰し、特徴的減衰長dはほぼd≒λ/nにより与えられ、ここでλは真空中の光の波長であり、nは微小共振器210外の媒体の屈折率である。電界強度Eが断面線AA’に沿ったWGM202に対して図2に概略的に図示されている。
【0024】
微小共振器210は通例20μm〜数ミリメートルの範囲の直径を有するが、50μm〜500μmの範囲であることが多い。さらにまた導波路は、導波路外の光の場強度の強度を増すことにより微小共振器内に結合する光量を増加させるように先細になっていることが多い。光ファイバ導波路の場合、ファイバを加熱およびテーパリングまたはエッチングして約1〜5μmの全体厚さにし得る。同様に平面またはチャネル導波路では、導波路の厚さを光が微小共振器に結合される領域において低減し得る。導波路の大きさが低減されることに加えて導波路の周囲のクラッドの厚さも低減し得る。微小共振器を導波路またはファイバに結合させる様々な手法は、同一出願人が所有する且つ同時係属中の米国特許出願第10/685,049号明細書により詳細に検討されており、本明細書に参照により援用する。
【0025】
ここで図3A〜4Cを参照して異なるタイプの微小空洞共振器を説明する。図3A〜3Cに示したWGM306、316および326の各々は1つの全反射しか有さないWGMに相当する。
【0026】
図3Aは円筒状微小共振器300を概略的に図示し、円筒状微小共振器300の円形壁304に平行に位置する長軸302を有する。このような微小共振器は例えば光ファイバを用いて形成し得るが、ここで光はファイバ軸に垂直方向にファイバの側面内に接線方向に結合される。WGM306は破線で示され、軸302に垂直な平面内にある。円筒状微小共振器300は軸に非平行な平面内にあるWGMモードを支持しないが、それはこのような光は閉経路をたどって共振空洞から逃げるためである。WGM306は軸302に垂直な平面内にあるため、WGMは赤道WGM(EWGM)と称し得る。
【0027】
従ってEWGM306の共振スペクトルは図4Aに示したようなものであり、周波数υの関数としてプロットされた共振を示す。l番目の共振モードは(l+1)番目の共振モードから、自由スペクトル領域(free spectral range)(FSR)とも称されるΔυと等しい分離だけ離間しており、ここでΔυはEWGM306の周囲の波長の数の1つの増加に対応する。FSRを以下の式に従って周波数の点から算出し得る。
FSR=Δυ=c/L≒c/(πnD) (2)
ここでcは真空中の光速であり、nは微小空洞の屈折率であり、Dは円筒径、およびnπDはEWGMの1周の光路長を近似する。l番目および(l+1)番目のモードは、隣接EWGMモードとも称され得る。
【0028】
なおFSRを波長に関して表わすこともできる。
FSR(波長)=Δυλ2/c=λ2/(πnD) (3)
ここでλは真空中の光の波長である。ここでFSRの両方の記述は交換的に用いられる。
【0029】
他のEWGMは異なる数の全反射を有するため、図示したモードとは異なる光路長を有する。これらの他のEWGMと関連する共振周波数は図4Aに示した共振周波数とは異なる。
【0030】
図3Bは軸312上に位置する球状微小共振器310を概略的に図示する。このような微小共振器は例えば球状壁314を有するガラス球を用いて形成し得る。EWGM316が軸312に垂直な平面にある破線で示されている。EWGM316の共振スペクトルが図4Bに示したグラフに概略的に図示されている。円筒状共振器のEWGM306と同様に、隣接する共振間の周波数間隔はΔυ(FSR)により与えられ、ここでΔυはEWGM316の周囲の全体整数波長の数の1つの増加に相当する。FSRは上記の式(2)により与えられ、ここでDは球状微小共振器310の直径である。
【0031】
しかし平面微小共振器とは異なり、球状微小共振器310は軸312に垂直に位置していないWGMを支持している。WGM316に対して角度θに位置する1つのこのようなWGM318が示されている(破線で)。WGM318は非赤道モードまたは方位モードと称される。しかし微小共振器310が球状であるため、WGM318の光路長はEWGM316の光路長と同等であり、そのためWGM318の共振周波数はEWGM316のものと同等である。非赤道モードの周波数がEWGMと同じであるため、非赤道モードは周波数が縮退していると言われる。
【0032】
異なる数の全反射を有するEWGMに相当する他の共振スペクトルは、図4Bに示した共振周波数とは異なる共振周波数を有する。
【0033】
図3Cは円筒状でも球状でもない微小共振器320を概略的に示す。図示の実施形態において微小共振器320は楕円壁324を有する。微小共振器320は軸322上に位置する。EWGM326が軸322に垂直な平面にある破線で示されている。赤道EWGM326の共振のいくつかが図4Cに示すグラフに共振327として概略的に示されている。EWGM326の隣接する共振327間の周波数間隔はΔυ(FSR)により与えられ、ここでΔυはEWGM326の周囲の全体整数波長の数の1つの増加に相当する。FSRは上記の式(2)および(3)により与えられ、ここでnπDはEWGMの1周の光路長を近似する。
【0034】
あるモードの光路がゼロから角度θまで傾斜して非赤道光路を形成しているが、非赤道光路に関連する共振は赤道モードのものと同じではない。これは楕円微小共振器の周囲の光路長はθがゼロから増加する際に変動するからである。換言すれば赤道モードの光路長は非赤道モードのものとは異なる。このように異なる非赤道WGMはθの値と共に変動する異なる共振周波数を有する。このため微小共振器320の共振スペクトルは、赤道モードの共振327間の領域に「割り込む」非赤道モードの多数の共振329を含む。なお数個の非赤道共振しか図4Cに含まれておらず、図4C内の非赤道共振329の図示は質的目的のためにのみ提供されている。非赤道共振329の大きさは、赤道共振と非赤道共振とを区別する目的のため赤道共振327の大きさより小さく図4Cに示されている。しかし非赤道共振329が赤道共振327とは異なるQ係数を有することを示す意図はない。このような場合、広帯域光源を用いると微小空洞内の全反射強度が、1つのFSR内に割り込むモード数に比例した分だけ強化される。
【0035】
広範囲な空洞共振周波数を有するあるタイプの微小空洞共振器は、本明細書に参照により援用する、X.ファンおよびR.ウィルソンにより本明細書と同日に出願され且つ代理人整理番号第59632US002号を有する「誘電体微小空洞センサ(DIELECTRIC MICROCAVITY SENSOR)」により詳細に記載されたバルジ状微小空洞である。
【0036】
微小空洞内に結合された光は比較的広いスペクトルを有し得るとともに、例えば微小空洞のEWGMのFSR、Δυとほぼ等しいかまたはそれを超え得る。光の帯域は通例その半値全幅(FWHM)として測定され、図5Aを参照されたい。光がレーザ内で生成される場合、光スペクトルは、振幅エンベロープ504内にあるレーザのファブリー・ペロ共振に相当する多数の個別モード502を含み得る。図5Bの概略的図示を参照されたい。このような場合光の帯域はエンベロープ504のFWHM帯域である。
【0037】
従来の円筒状微小共振器では導波路から微小共振器への光の結合は、導波路と微小共振器との間の位置合わせの影響を受けやすく、光が微小共振器の赤道モード内に注入されない場合には、その光は低Qモードに入って急速に失われ得る。しかしバルジ状空洞が三次元の光の閉じ込めを提供し、円筒状微小空洞のような単なる二次元ではないため、光の結合は導波路に対するバルジ状空洞の位置合わせによる影響をそれほど受けない。さらにまた例えば光ファイバで形成されている場合、円筒状微小空洞が円筒軸に沿って大きな横方向範囲を有し得ても、円筒状微小空洞内に光を結合する導波路は通例比較的狭い。比較的広い導波路はより多数の横モードを支持するため、導波路からの光が円筒状微小空洞の非赤道WGM内に入って失われる可能性が増す。しかしバルジ状微小空洞の三次元閉じ込め特性が高Qを有する非赤道モードの効率的な励起を可能にするため、より広い導波路をバルジ状微小空洞と共に用い得る。より広い導波路の使用が、光源と導波路との間および導波路と微小空洞との間の光の光学的結合効率の向上につながり得る。
【0038】
このように円筒状ではない微小共振器の使用は、円筒状微小空洞より多くの異なる値の共振周波数を有する空洞共振の存在につながる。加えて球状ではない微小空洞は球状微小空洞と同じ周波数縮退は示さない。その結果非球状微小空洞(非縮退周波数を有する非赤道モードを有する)は、共振が生じる可能性がある異なる周波数の数の増加をもたらす。このような微小空洞共振器は、図3Aおよび3Bの円筒状または球状微小共振器と比べて単位周波数当たりより多数の共振の存在を示すことができる。しかし完全に球状である微小空洞を得ることは困難であるとともに、僅かな微小空洞の非球形度さえも縮退の破断をもたらす。このように広帯域光源からの光は多数の空洞共振モード内に効率的に結合し得る。広帯域光源の例には発光ダイオードおよびファブリ・ペロー空洞を有する半導体レーザなどの半導体レーザがある。このような広帯域光源は1MHz未満の出力帯域を有する光を生成する波長可変半導体レーザより相当安価である。そのため一例示的実施形態において、微小共振器のEWGMの1つのFSRとほぼ同じまたはそれ以上である帯域を有する光源により光を供給し得る。他の例示的実施形態では光の帯域はFSRの5倍を超え得るとともに、他の例示的実施形態ではFSRの10倍を超え得る。
【実施例】
【0039】
実験を行って狭周波数波長可変半導体ダイオードレーザによる照明を広帯域源を用いた照明と比較した。実験設定は図1Cに図示したものと同様であり、光源は630nm〜635nmの領域の光を結合導波路としての先細ファイバ内に向けた。ファイバコアは約1.5μm〜2.5μmの直径まで細くした。第1の検出器を導波路に沿って通過した光を検出するように微小空洞後に配置した。第2の検出器を微小空洞からの光の自由空間発光を検出するように配置した。
【0040】
SFM28光ファイバの先端をCO2レーザで溶融することによりガラス微小空洞を約150μmの直径で形成した。ガラス微小空洞は球状に近く、ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)が付着された。ストレプトアビジンの試料に蛍光体としてアレクサ・フルオル(Alexa Fluor)647で標識付けした。800pM(50ng/ml)の濃度を有するストレプトアビジンの試料を微小空洞に導入した。ストレプトアビジンは微小空洞の表面上のビオチンに結合し、それにより蛍光体を微小空洞に結合した。
【0041】
微小空洞をまず少なくとも630nm〜633nmの領域にわたり波長可変である波長可変半導体レーザから結合した光で照明した。図6はレーザを約25pmの範囲にわたって走査した場合の2つの検出器から得られたスペクトルを示す。602と標識付けされた上方の曲線は第1の検出器により検出された信号に相当する。検出信号の低下は微小空洞の共振に対応する。微小空洞の自由スペクトル領域(FSR)を式(3)を用いて算出した。
FSR(波長)=Δυλ2/c=λ2/(πnD) (3)
ここでcは真空中の光速であり、λは真空中の光の波長であり、nは微小空洞の屈折率であり、Dはほぼ球状微小空洞の直径を近似する。実験で用いられた微小空洞の場合、FSRはおよそ580pmであった。
【0042】
604と標識付けされた下方の曲線は微小空洞に近接配置された第2の検出器により検出された自由空間蛍光信号に相当する。曲線604の蛍光ピークは微小空洞の共振周波数の発光体の励起に対応する。
【0043】
次の実験では約250μmの直径を有し、約350pmの付随FSRを有する微小空洞を、635nmの出力と0.5nm(500pm)の出力帯域とを有するレーザダイオードからの光を用いて照明した。この特定例ではレーザから出力される光の帯域は1つのFSRより大きい。ファイバテーパに結合された光パワーはおよそ250μWであった。
【0044】
8pM(500pg/ml)の濃度を有するストレプトアビジンの試料を微小空洞の表面に導入した。自由空間蛍光信号を検出する第2の検出器の応答が時間の関数として図6のグラフに提供されている。励起光は先細ファイバへの入力で最初に遮断されるため、光は微小空洞内に結合されなかった、点A。したがって点Aにおける信号レベル、およそ0.03Vは第2の検出器からの信号の背景ノイズのレベルに相当する。
【0045】
点Bで励起光が遮断されなかった場合、強い蛍光信号が観察された。これは微小空洞内の光共振により励起された結果として発光する蛍光体に相当する。点Bにおける信号はおよそ3Vであり、そのため信号対ノイズ比は約100であった。レーザダイオードからの光を切断するととともに蛍光信号をロックイン増幅器を用いて検出した。
【0046】
励起時間のおよそ180〜200秒後、蛍光信号は約0.08Vのレベルに降下した。この経時信号強度の低下は染料分子の漂白に起因していた。
【0047】
これらの実験結果は8pM(500pg/ml)という低い濃度を有するストレプトアビジン(アレクサ・フルオル647で標識付けした)の検出を示し、ここで光源は微小空洞のFSRを超える帯域を有していた。他のことが同じであれば検出限界はおよそ80fM(5pg/ml)であると予測される。蛍光センサがより効率的な試料放出する液体システムを組み込んでいる場合、さらに低い検出限界が達成され得ることが予想される。
【0048】
上記の実験は広帯域光源を波長可変狭帯域源の代わりに蛍光感知測定に効率的に用いることができることを示す。広帯域光源、例えば出力光がWGMの自由スペクトル領域より大きい帯域を有する光源の使用は、微小空洞蛍光センサシステムの部品コストの大幅な削減につながり得る。
【0049】
したがって本発明は上述した特定の実施例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に正しく記載されたように本発明のすべての態様を網羅するものと考えるべきものである。本明細書を検討すれば本発明を適用可能な様々な変更例、等価物、方法および多数の構造は本発明が対象とする技術の当業者には容易に明らかになろう。特許請求の範囲はこのような変更例および装置を網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図1B】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図1C】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図2】微小空洞共振器のウィスパリングギャラリモードを概略的に示した図である。
【図3A】円筒状微小空洞を概略的に示した図である。
【図3B】球状微小空洞を概略的に示した図である。
【図3C】バジル状微小空洞を概略的に示した図である。
【図4A】図3Aで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図4B】図3Bで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図4C】図3Cで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図5A】例示的光源の帯域を示した図である。
【図5B】光を共振モード内に発する光源の帯域を示した図である。
【図6】波長可変半導体レーザからの狭帯域光を用いて測定された微小空洞の共振スペクトルを示した図である。
【図7】広帯域光で励起されたときの微小空洞から得られた蛍光信号の一時的依存を示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に光学装置に関し、特に微小共振器を用いる光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体微小球は感知用途における蛍光センサとして近年益々注目を集めている。これらのセンサ内ではセンサ表面は抗体などの分子層で固定されて、その後抗原などの検体を捕捉する。直接分析構成において抗原は蛍光染料分子と接合される。すなわち抗原がセンサ表面上の抗体と結合すると、蛍光分子は微小球表面に十分に近接して保持され、微小球内で循環するエバネセント光により励起される。サンドイッチタイプ構成では、まず抗原をセンサ表面上の抗体に結合し、その後蛍光染料で標識付けした第2の抗体層を加えて捕捉した抗原に結合する。第2の抗体層に結合された蛍光分子は、微小球のウィスパリングギャラリモード(WGM)内を伝播する光から生じるエバネセント場により励起される。励起染料から得られた蛍光発光を収集して抗原結合イベントのインジケータとして用いる。
【0003】
微小球のWGMは高Q係数と関連し、そのため光の強度はWGM内に結合されると入力光と比べて増強される。増強度はQ係数に比例する。メガヘルツ以下のスペクトル線幅を有する狭帯域波長可変半導体ダイオードレーザが通例、微小球空洞内のWGMを励起する光源として用いられる。レーザ光の帯域は1つのWGM共振の帯域に匹敵する。そのためレーザが特定のWGM共振に調整されると、結合光の大部分は共振帯域内に収まるためWGM共振内への効率的な結合がある。しかしこのようなレーザの高いコストが多くの用途における微小球によるセンサの導入の普及に対して大きな障害であることが分かっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって本発明の1つの特定の実施形態は、周波数が自由スペクトル領域(FSR)により分離される赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定する微小空洞共振器を備える微小共振器センサ装置に関する。EWGMは微小空洞共振器軸に垂直な平面にある。光源が光を微小空洞共振器内に入射するように光学的に結合されている。光源は帯域がEWGMのFSRとほぼ等しいかまたはそれを超える出力スペクトルを有する出力光を生成する。
【0005】
本発明の他の実施形態は、励起光を第1の微小空洞共振器に結合することを含む、蛍光測定を行う方法に関する。第1の微小空洞共振器は赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定し、励起光は少なくとも2つの隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する。第1の微小空洞共振器内に結合された励起光を用いて1つまたは複数の蛍光物質を励起する。その後1つまたは複数の蛍光物質の蛍光発光から生じる蛍光信号を検出する。
【0006】
本発明の上記の概要は本発明の各図示の実施形態またはすべての実施を説明しようとするものではない。図および以下の詳細な説明がこれらの実施形態をより具体的に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで本発明をより完全に理解されよう。
【0008】
本発明は様々な変更例および代替形状が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すとともに詳細に説明する。しかし本発明を説明する特定の実施形態に限定しようとするものではないことは理解されよう。反対に添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の要旨および範囲内にあるすべての変更例、等価物および代替物を網羅しようとするものである。
【0009】
本発明は微小空洞共振器(microcavity resonator)を用いる光センサに特に適用可能である。このような共振器は微小共振器(microresonator)とも称され得る。
【0010】
狭帯域波長可変レーザダイオードとは対照的に、より広い線幅を有する半導体光源は比較的安価である。そのような光源からの出力光のわずかな部分しか微小球のウィスパリングギャラリモード(WGM)共振に重畳せず微小球により生じる強調を受ける可能性があるため、広帯域光源はこれまで高Q係数微小球を用いた用途には適さないと考えられていた。
【0011】
しかし微小空洞のスペクトルモード密度が高く光が多数のWGMに結合される場合、広帯域光源は微小空洞と共に用いるのに適している。このような条件では広帯域源からの出力の大部分を微小空洞内に結合することが可能であり、そのため広帯域光源と微小空洞との組み合わせは、高感度を有し関連する構成要素のコストが低い蛍光センサをもたらす。
【0012】
微小共振器を用いる微小空洞導波路システム100の例が図1Aに概略的に図示されている。光源102は光を導波路104に沿って検出ユニット106に指向する。微小共振器110は導波路104に光学的に結合されている。光源102からの光108は導波路104内に発射されて検出ユニット106に向かって伝播する。微小共振器110は導波路104から光108の一部分、微小共振器110内を微小共振器110の共振周波数の1つで伝播する出力結合光112をエバネッセント結合する。
【0013】
光源102は任意の好適なタイプの光源であり得る。効率と感度を向上させるため、光源が導波路104内に効率的に結合される光を生じることが有利であり、例えば光源はレーザダイオードなどのレーザであってもよく、または光源は発光ダイオードであってもよい。光源102は所望の波長または波長領域の光108を生じる。例えば微小共振器がセンサ内で用いられる場合、光源102は感知対象種と相互作用する波長の光を生じる。感知対象種は通例、WGM内を伝播する光が感知対象種と相互作用するように、微小共振器110の表面に近接配置される。また光源102はランプと、ランプからの光を導波路104内に結合する好適な光学部品も一緒に備え得る。
【0014】
例えばシステム100が蛍光センサとして用いられる場合、微小共振器110内を伝播する光は、検体または検体の存在を示すマーカに対して微小共振器表面上に付着させた蛍光染料などの蛍光分子により吸収される。より特定的な例において、微小共振器の表面に所望の抗原検体に特有の抗体を付着し得る。蛍光染料を接合させた検体抗原分子をセンサシステム100に導入する。抗原分子は微小共振器110上の抗体分子と結合するため、蛍光染料分子を微小共振器110に十分近接して保持して、微小共振器110内で循環する光が蛍光分子にエバネッセント結合する。吸収された光は蛍光分子を励起して、分子はその後励起波長とは異なる波長で蛍光を放つ。蛍光光の検出は検体抗原の存在を立証する。
【0015】
他の例において検体抗原分子は蛍光染料に接合されないが、微小共振器表面に付着した抗体に結合できる。蛍光分子に接合したより多くの抗体はその後センサ内に導入されて抗原に結合する。また蛍光分子は微小共振器110内を伝播する光とのエバネッセント相互作用により励起されるとともに、その後の蛍光発光の検出を用いて検体抗原の存在および発生量を決定し得る。
【0016】
光源102は光を多数の異なる導波路に指向し得るが、そのうちの導波路104はその一例である。導波路104は任意の好適なタイプの波長であり得るとともに、例えばシリカ基板内に形成された導波路などの基板内または上に形成された平面導波路またはチャネル導波路であり得る。また導波路104は光ファイバであり得る。
【0017】
検出ユニット106は光検出器、例えば光を検出するフォトダイオードまたはフォトトランジスタを含む。また検出ユニット106は光検出器に到達する光の波長を選択する波長感知デバイスを含み得る。波長選択デバイスは例えばフィルタまたは分光計であり得る。波長選択デバイスは波長調整可能であるためユーザは光検出器に入射する光の波長を能動的に変更可能である。
【0018】
微小共振器110は導波路104と物理的に接しているかまたは非常に近接して配置され得るため、導波路104に沿って伝播する光108の一部は微小共振器110内にエバネッセント結合される。導波路104は通例微小共振器110が導波路104に結合する地点でクラッドをほとんど含まないため、微小共振器110は導波路104のコアに直接結合する。
【0019】
他のタイプの微小共振デバイス150が図1Bに概略的に図示されている。このデバイス150において微小共振器110からの光158は第2の導波路154内に結合されて検出器106に伝播する。
【0020】
他のタイプの微小共振デバイス170が図1Cに概略的に図示されている。このデバイス170では第2の検出器172は微小共振器110に近接して配置されて微小共振器110からの光を検出する。第2の検出器172により検出された光は導波路を介して第2の検出器172に通過するのではなく、自由空間を伝播すると言われる。第2の検出器172により検出された微小共振器110からの光は例えば、光が微小共振器110内を循環することにより、微小共振器110から散乱し得るまたは微小共振器の表面に付着した蛍光種の励起から生じた蛍光であり得る。第2の検出器172は微小共振器110からの光のすべての波長を検出し得る。または例えば第2の検出器172と微小共振器110との間に配置された波長選択素子174の利用により、特定の波長領域にある光を検出し得る。波長選択素子174は例えば、微小共振器110内で共振する励起波長の光を拒絶するとともに蛍光波長の光を透過するフィルタであり得る。また第2の検出器172を図1Bに示したような構成と共に用い得る。
【0021】
光はいわゆる「ウィスパリングギャラリモード」の微小共振器内を伝播し、その例が図2に概略的に図示されている。ウィスパリングギャラリモード(WGM)202では、光は多数の全反射により発生源から微小共振器210の周囲を伝播した後発生源に戻る。図示の実施形態ではWGM202は1周で8個の全反射を含む。光が異なる数の全反射に対応する他のWGM内で微小共振器210内を伝播し得ることは理解できよう。
【0022】
さらにまた光が1周後に構造的に干渉するような波長である場合WGM202は高Q係数を示すに過ぎない。換言すればWGM202の周囲の光路長は整数波長に等しい。図2内に図示された平面WGM202内の光に対するこの共振条件を以下のように数学的に記述することができる。
lλl=L (1)
ここでλ1は真空中でl番目のモードの波長であり、LはWGMの1周の光路長であり、lはモード番号と称される整数である。共振条件(1)を満足する導波路104からの光は微小共振器に効率的に結合される。微小共振器の共振モードは例えば、B.R.ジョンソン著「形態依存共振の理論:形状共振および幅の式(Theory of morphology-dependent resonances:shape resonances and width formulas)」、米国光学会雑誌A(Journal of the Optical Society of America A)10巻、p.343〜352(1993年)、およびJ.C.ナイトら「近接場プローブによる微小球内のウィスパリングギャラリモードのマッピング(Mapping whispering-gallery modes in microspheres with a near-field probe)」、米国学会誌(Optical Letters)20巻、p.1515〜1517(1995年)にさらに記載されている。
【0023】
WGMの電界強度は微小共振器210の内面で最大になる。WGMの電界強度は微小共振器210外で指数関数的に減衰し、特徴的減衰長dはほぼd≒λ/nにより与えられ、ここでλは真空中の光の波長であり、nは微小共振器210外の媒体の屈折率である。電界強度Eが断面線AA’に沿ったWGM202に対して図2に概略的に図示されている。
【0024】
微小共振器210は通例20μm〜数ミリメートルの範囲の直径を有するが、50μm〜500μmの範囲であることが多い。さらにまた導波路は、導波路外の光の場強度の強度を増すことにより微小共振器内に結合する光量を増加させるように先細になっていることが多い。光ファイバ導波路の場合、ファイバを加熱およびテーパリングまたはエッチングして約1〜5μmの全体厚さにし得る。同様に平面またはチャネル導波路では、導波路の厚さを光が微小共振器に結合される領域において低減し得る。導波路の大きさが低減されることに加えて導波路の周囲のクラッドの厚さも低減し得る。微小共振器を導波路またはファイバに結合させる様々な手法は、同一出願人が所有する且つ同時係属中の米国特許出願第10/685,049号明細書により詳細に検討されており、本明細書に参照により援用する。
【0025】
ここで図3A〜4Cを参照して異なるタイプの微小空洞共振器を説明する。図3A〜3Cに示したWGM306、316および326の各々は1つの全反射しか有さないWGMに相当する。
【0026】
図3Aは円筒状微小共振器300を概略的に図示し、円筒状微小共振器300の円形壁304に平行に位置する長軸302を有する。このような微小共振器は例えば光ファイバを用いて形成し得るが、ここで光はファイバ軸に垂直方向にファイバの側面内に接線方向に結合される。WGM306は破線で示され、軸302に垂直な平面内にある。円筒状微小共振器300は軸に非平行な平面内にあるWGMモードを支持しないが、それはこのような光は閉経路をたどって共振空洞から逃げるためである。WGM306は軸302に垂直な平面内にあるため、WGMは赤道WGM(EWGM)と称し得る。
【0027】
従ってEWGM306の共振スペクトルは図4Aに示したようなものであり、周波数υの関数としてプロットされた共振を示す。l番目の共振モードは(l+1)番目の共振モードから、自由スペクトル領域(free spectral range)(FSR)とも称されるΔυと等しい分離だけ離間しており、ここでΔυはEWGM306の周囲の波長の数の1つの増加に対応する。FSRを以下の式に従って周波数の点から算出し得る。
FSR=Δυ=c/L≒c/(πnD) (2)
ここでcは真空中の光速であり、nは微小空洞の屈折率であり、Dは円筒径、およびnπDはEWGMの1周の光路長を近似する。l番目および(l+1)番目のモードは、隣接EWGMモードとも称され得る。
【0028】
なおFSRを波長に関して表わすこともできる。
FSR(波長)=Δυλ2/c=λ2/(πnD) (3)
ここでλは真空中の光の波長である。ここでFSRの両方の記述は交換的に用いられる。
【0029】
他のEWGMは異なる数の全反射を有するため、図示したモードとは異なる光路長を有する。これらの他のEWGMと関連する共振周波数は図4Aに示した共振周波数とは異なる。
【0030】
図3Bは軸312上に位置する球状微小共振器310を概略的に図示する。このような微小共振器は例えば球状壁314を有するガラス球を用いて形成し得る。EWGM316が軸312に垂直な平面にある破線で示されている。EWGM316の共振スペクトルが図4Bに示したグラフに概略的に図示されている。円筒状共振器のEWGM306と同様に、隣接する共振間の周波数間隔はΔυ(FSR)により与えられ、ここでΔυはEWGM316の周囲の全体整数波長の数の1つの増加に相当する。FSRは上記の式(2)により与えられ、ここでDは球状微小共振器310の直径である。
【0031】
しかし平面微小共振器とは異なり、球状微小共振器310は軸312に垂直に位置していないWGMを支持している。WGM316に対して角度θに位置する1つのこのようなWGM318が示されている(破線で)。WGM318は非赤道モードまたは方位モードと称される。しかし微小共振器310が球状であるため、WGM318の光路長はEWGM316の光路長と同等であり、そのためWGM318の共振周波数はEWGM316のものと同等である。非赤道モードの周波数がEWGMと同じであるため、非赤道モードは周波数が縮退していると言われる。
【0032】
異なる数の全反射を有するEWGMに相当する他の共振スペクトルは、図4Bに示した共振周波数とは異なる共振周波数を有する。
【0033】
図3Cは円筒状でも球状でもない微小共振器320を概略的に示す。図示の実施形態において微小共振器320は楕円壁324を有する。微小共振器320は軸322上に位置する。EWGM326が軸322に垂直な平面にある破線で示されている。赤道EWGM326の共振のいくつかが図4Cに示すグラフに共振327として概略的に示されている。EWGM326の隣接する共振327間の周波数間隔はΔυ(FSR)により与えられ、ここでΔυはEWGM326の周囲の全体整数波長の数の1つの増加に相当する。FSRは上記の式(2)および(3)により与えられ、ここでnπDはEWGMの1周の光路長を近似する。
【0034】
あるモードの光路がゼロから角度θまで傾斜して非赤道光路を形成しているが、非赤道光路に関連する共振は赤道モードのものと同じではない。これは楕円微小共振器の周囲の光路長はθがゼロから増加する際に変動するからである。換言すれば赤道モードの光路長は非赤道モードのものとは異なる。このように異なる非赤道WGMはθの値と共に変動する異なる共振周波数を有する。このため微小共振器320の共振スペクトルは、赤道モードの共振327間の領域に「割り込む」非赤道モードの多数の共振329を含む。なお数個の非赤道共振しか図4Cに含まれておらず、図4C内の非赤道共振329の図示は質的目的のためにのみ提供されている。非赤道共振329の大きさは、赤道共振と非赤道共振とを区別する目的のため赤道共振327の大きさより小さく図4Cに示されている。しかし非赤道共振329が赤道共振327とは異なるQ係数を有することを示す意図はない。このような場合、広帯域光源を用いると微小空洞内の全反射強度が、1つのFSR内に割り込むモード数に比例した分だけ強化される。
【0035】
広範囲な空洞共振周波数を有するあるタイプの微小空洞共振器は、本明細書に参照により援用する、X.ファンおよびR.ウィルソンにより本明細書と同日に出願され且つ代理人整理番号第59632US002号を有する「誘電体微小空洞センサ(DIELECTRIC MICROCAVITY SENSOR)」により詳細に記載されたバルジ状微小空洞である。
【0036】
微小空洞内に結合された光は比較的広いスペクトルを有し得るとともに、例えば微小空洞のEWGMのFSR、Δυとほぼ等しいかまたはそれを超え得る。光の帯域は通例その半値全幅(FWHM)として測定され、図5Aを参照されたい。光がレーザ内で生成される場合、光スペクトルは、振幅エンベロープ504内にあるレーザのファブリー・ペロ共振に相当する多数の個別モード502を含み得る。図5Bの概略的図示を参照されたい。このような場合光の帯域はエンベロープ504のFWHM帯域である。
【0037】
従来の円筒状微小共振器では導波路から微小共振器への光の結合は、導波路と微小共振器との間の位置合わせの影響を受けやすく、光が微小共振器の赤道モード内に注入されない場合には、その光は低Qモードに入って急速に失われ得る。しかしバルジ状空洞が三次元の光の閉じ込めを提供し、円筒状微小空洞のような単なる二次元ではないため、光の結合は導波路に対するバルジ状空洞の位置合わせによる影響をそれほど受けない。さらにまた例えば光ファイバで形成されている場合、円筒状微小空洞が円筒軸に沿って大きな横方向範囲を有し得ても、円筒状微小空洞内に光を結合する導波路は通例比較的狭い。比較的広い導波路はより多数の横モードを支持するため、導波路からの光が円筒状微小空洞の非赤道WGM内に入って失われる可能性が増す。しかしバルジ状微小空洞の三次元閉じ込め特性が高Qを有する非赤道モードの効率的な励起を可能にするため、より広い導波路をバルジ状微小空洞と共に用い得る。より広い導波路の使用が、光源と導波路との間および導波路と微小空洞との間の光の光学的結合効率の向上につながり得る。
【0038】
このように円筒状ではない微小共振器の使用は、円筒状微小空洞より多くの異なる値の共振周波数を有する空洞共振の存在につながる。加えて球状ではない微小空洞は球状微小空洞と同じ周波数縮退は示さない。その結果非球状微小空洞(非縮退周波数を有する非赤道モードを有する)は、共振が生じる可能性がある異なる周波数の数の増加をもたらす。このような微小空洞共振器は、図3Aおよび3Bの円筒状または球状微小共振器と比べて単位周波数当たりより多数の共振の存在を示すことができる。しかし完全に球状である微小空洞を得ることは困難であるとともに、僅かな微小空洞の非球形度さえも縮退の破断をもたらす。このように広帯域光源からの光は多数の空洞共振モード内に効率的に結合し得る。広帯域光源の例には発光ダイオードおよびファブリ・ペロー空洞を有する半導体レーザなどの半導体レーザがある。このような広帯域光源は1MHz未満の出力帯域を有する光を生成する波長可変半導体レーザより相当安価である。そのため一例示的実施形態において、微小共振器のEWGMの1つのFSRとほぼ同じまたはそれ以上である帯域を有する光源により光を供給し得る。他の例示的実施形態では光の帯域はFSRの5倍を超え得るとともに、他の例示的実施形態ではFSRの10倍を超え得る。
【実施例】
【0039】
実験を行って狭周波数波長可変半導体ダイオードレーザによる照明を広帯域源を用いた照明と比較した。実験設定は図1Cに図示したものと同様であり、光源は630nm〜635nmの領域の光を結合導波路としての先細ファイバ内に向けた。ファイバコアは約1.5μm〜2.5μmの直径まで細くした。第1の検出器を導波路に沿って通過した光を検出するように微小空洞後に配置した。第2の検出器を微小空洞からの光の自由空間発光を検出するように配置した。
【0040】
SFM28光ファイバの先端をCO2レーザで溶融することによりガラス微小空洞を約150μmの直径で形成した。ガラス微小空洞は球状に近く、ビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)が付着された。ストレプトアビジンの試料に蛍光体としてアレクサ・フルオル(Alexa Fluor)647で標識付けした。800pM(50ng/ml)の濃度を有するストレプトアビジンの試料を微小空洞に導入した。ストレプトアビジンは微小空洞の表面上のビオチンに結合し、それにより蛍光体を微小空洞に結合した。
【0041】
微小空洞をまず少なくとも630nm〜633nmの領域にわたり波長可変である波長可変半導体レーザから結合した光で照明した。図6はレーザを約25pmの範囲にわたって走査した場合の2つの検出器から得られたスペクトルを示す。602と標識付けされた上方の曲線は第1の検出器により検出された信号に相当する。検出信号の低下は微小空洞の共振に対応する。微小空洞の自由スペクトル領域(FSR)を式(3)を用いて算出した。
FSR(波長)=Δυλ2/c=λ2/(πnD) (3)
ここでcは真空中の光速であり、λは真空中の光の波長であり、nは微小空洞の屈折率であり、Dはほぼ球状微小空洞の直径を近似する。実験で用いられた微小空洞の場合、FSRはおよそ580pmであった。
【0042】
604と標識付けされた下方の曲線は微小空洞に近接配置された第2の検出器により検出された自由空間蛍光信号に相当する。曲線604の蛍光ピークは微小空洞の共振周波数の発光体の励起に対応する。
【0043】
次の実験では約250μmの直径を有し、約350pmの付随FSRを有する微小空洞を、635nmの出力と0.5nm(500pm)の出力帯域とを有するレーザダイオードからの光を用いて照明した。この特定例ではレーザから出力される光の帯域は1つのFSRより大きい。ファイバテーパに結合された光パワーはおよそ250μWであった。
【0044】
8pM(500pg/ml)の濃度を有するストレプトアビジンの試料を微小空洞の表面に導入した。自由空間蛍光信号を検出する第2の検出器の応答が時間の関数として図6のグラフに提供されている。励起光は先細ファイバへの入力で最初に遮断されるため、光は微小空洞内に結合されなかった、点A。したがって点Aにおける信号レベル、およそ0.03Vは第2の検出器からの信号の背景ノイズのレベルに相当する。
【0045】
点Bで励起光が遮断されなかった場合、強い蛍光信号が観察された。これは微小空洞内の光共振により励起された結果として発光する蛍光体に相当する。点Bにおける信号はおよそ3Vであり、そのため信号対ノイズ比は約100であった。レーザダイオードからの光を切断するととともに蛍光信号をロックイン増幅器を用いて検出した。
【0046】
励起時間のおよそ180〜200秒後、蛍光信号は約0.08Vのレベルに降下した。この経時信号強度の低下は染料分子の漂白に起因していた。
【0047】
これらの実験結果は8pM(500pg/ml)という低い濃度を有するストレプトアビジン(アレクサ・フルオル647で標識付けした)の検出を示し、ここで光源は微小空洞のFSRを超える帯域を有していた。他のことが同じであれば検出限界はおよそ80fM(5pg/ml)であると予測される。蛍光センサがより効率的な試料放出する液体システムを組み込んでいる場合、さらに低い検出限界が達成され得ることが予想される。
【0048】
上記の実験は広帯域光源を波長可変狭帯域源の代わりに蛍光感知測定に効率的に用いることができることを示す。広帯域光源、例えば出力光がWGMの自由スペクトル領域より大きい帯域を有する光源の使用は、微小空洞蛍光センサシステムの部品コストの大幅な削減につながり得る。
【0049】
したがって本発明は上述した特定の実施例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に正しく記載されたように本発明のすべての態様を網羅するものと考えるべきものである。本明細書を検討すれば本発明を適用可能な様々な変更例、等価物、方法および多数の構造は本発明が対象とする技術の当業者には容易に明らかになろう。特許請求の範囲はこのような変更例および装置を網羅しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1A】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図1B】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図1C】本発明の原理による微小空洞センサの異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図2】微小空洞共振器のウィスパリングギャラリモードを概略的に示した図である。
【図3A】円筒状微小空洞を概略的に示した図である。
【図3B】球状微小空洞を概略的に示した図である。
【図3C】バジル状微小空洞を概略的に示した図である。
【図4A】図3Aで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図4B】図3Bで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図4C】図3Cで図示された微小空洞の共振スペクトルの部分を概略的に示した図である。
【図5A】例示的光源の帯域を示した図である。
【図5B】光を共振モード内に発する光源の帯域を示した図である。
【図6】波長可変半導体レーザからの狭帯域光を用いて測定された微小空洞の共振スペクトルを示した図である。
【図7】広帯域光で励起されたときの微小空洞から得られた蛍光信号の一時的依存を示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数が自由スペクトル領域(FSR)により分離される赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定する微小空洞共振器であって、前記EWGMが微小空洞共振器軸に垂直な平面にあり、
光を前記微小空洞共振器内に入射するように光学的に結合された光源であって、前記光源が帯域がEWGMのFSRとほぼ等しいかまたはそれを超える出力スペクトルを有する出力光を生成する、
を有することを特徴とする微小共振器センサ装置。
【請求項2】
前記微小空洞がバルジ状微小空洞共振器を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バルジ状微小空洞共振器が軸に沿って細長く、前記光源からの前記出力光を前記微小空洞共振器に結合する導波路をさらに有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光源からの光を前記微小空洞共振器に結合するように配置された第1の光導波路をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の光導波路が先細光ファイバを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の光導波路が基板上に平面導波路を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の微小空洞共振器に関連する光を検出するように配置された少なくとも第1の光検出器をさらに有する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の光検出器が、前記微小空洞共振器から前記第1の光導波路に沿って伝播する光を受け取るように光学的に結合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の光検出器が前記微小空洞共振器に近接して配置されて、前記微小空洞共振器から自由空間内を伝播する光を検出する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記微小空洞共振器に光学的に結合された第2の光導波路をさらに有し、前記第1の光検出器が前記微小空洞共振器から前記第2の光導波路に沿って伝播する光を受け取るように光学的に結合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の光検出器に伝播する光を波長選択するように配置された波長選択素子をさらに有する、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記光源が半導体レーザを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記光源が発光ダイオードを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記帯域が少なくとも前記FSRの5倍と等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記帯域が少なくとも前記FSRの10倍と等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
励起光を第1の微小空洞共振器内に結合し、前記第1の微小空洞共振器が赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定し且つ前記励起光が少なくとも2つの隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有するものであり、
前記第1の微小空洞共振器内に結合された前記励起光を用いて1つまたは複数の蛍光物質を励起し、
前記1つまたは複数の蛍光物質の蛍光発光から生じる蛍光信号を検出する、
ことを有する蛍光測定方法。
【請求項17】
前記励起光の結合が、光源を用いて前記励起光を生成することと、前記励起光を前記光源から光導波路を介して前記微小空洞共振器へ通過させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記励起光の生成が、レーザ内で前記励起光を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記励起光の生成が、発光ダイオード内で前記励起光を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光導波路が先細ファイバを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記光導波路が基板上に平面導波路を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記蛍光信号の検出が、前記微小空洞共振器から自由空間内を伝播する光を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記蛍光信号の検出前に、前記蛍光信号を光学的に濾波することをさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記光源が半導体レーザを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
検体を前記微小共振器空洞に付着させることをさらに有し、前記蛍光物質が前記検体と関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記検体を前記微小共振器空洞に付着させる前に、前記蛍光物質を前記検体に付着させることをさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記検体を前記微小共振器空洞に付着させた後に、前記蛍光物質を前記検体に付着させることをさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記励起光が、少なくとも5個の隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記励起光が、少なくとも10個の隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項1】
周波数が自由スペクトル領域(FSR)により分離される赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定する微小空洞共振器であって、前記EWGMが微小空洞共振器軸に垂直な平面にあり、
光を前記微小空洞共振器内に入射するように光学的に結合された光源であって、前記光源が帯域がEWGMのFSRとほぼ等しいかまたはそれを超える出力スペクトルを有する出力光を生成する、
を有することを特徴とする微小共振器センサ装置。
【請求項2】
前記微小空洞がバルジ状微小空洞共振器を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バルジ状微小空洞共振器が軸に沿って細長く、前記光源からの前記出力光を前記微小空洞共振器に結合する導波路をさらに有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光源からの光を前記微小空洞共振器に結合するように配置された第1の光導波路をさらに有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の光導波路が先細光ファイバを有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の光導波路が基板上に平面導波路を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の微小空洞共振器に関連する光を検出するように配置された少なくとも第1の光検出器をさらに有する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の光検出器が、前記微小空洞共振器から前記第1の光導波路に沿って伝播する光を受け取るように光学的に結合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の光検出器が前記微小空洞共振器に近接して配置されて、前記微小空洞共振器から自由空間内を伝播する光を検出する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記微小空洞共振器に光学的に結合された第2の光導波路をさらに有し、前記第1の光検出器が前記微小空洞共振器から前記第2の光導波路に沿って伝播する光を受け取るように光学的に結合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の光検出器に伝播する光を波長選択するように配置された波長選択素子をさらに有する、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記光源が半導体レーザを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記光源が発光ダイオードを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記帯域が少なくとも前記FSRの5倍と等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記帯域が少なくとも前記FSRの10倍と等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
励起光を第1の微小空洞共振器内に結合し、前記第1の微小空洞共振器が赤道ウィスパリングギャラリモード(EWGM)を規定し且つ前記励起光が少なくとも2つの隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有するものであり、
前記第1の微小空洞共振器内に結合された前記励起光を用いて1つまたは複数の蛍光物質を励起し、
前記1つまたは複数の蛍光物質の蛍光発光から生じる蛍光信号を検出する、
ことを有する蛍光測定方法。
【請求項17】
前記励起光の結合が、光源を用いて前記励起光を生成することと、前記励起光を前記光源から光導波路を介して前記微小空洞共振器へ通過させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記励起光の生成が、レーザ内で前記励起光を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記励起光の生成が、発光ダイオード内で前記励起光を生成することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光導波路が先細ファイバを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記光導波路が基板上に平面導波路を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記蛍光信号の検出が、前記微小空洞共振器から自由空間内を伝播する光を検出することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記蛍光信号の検出前に、前記蛍光信号を光学的に濾波することをさらに有する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記光源が半導体レーザを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
検体を前記微小共振器空洞に付着させることをさらに有し、前記蛍光物質が前記検体と関連している、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記検体を前記微小共振器空洞に付着させる前に、前記蛍光物質を前記検体に付着させることをさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記検体を前記微小共振器空洞に付着させた後に、前記蛍光物質を前記検体に付着させることをさらに有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記励起光が、少なくとも5個の隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記励起光が、少なくとも10個の隣接EWGM内に結合可能であるように十分に広い帯域を有する、請求項16に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2008−500534(P2008−500534A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515078(P2007−515078)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012744
【国際公開番号】WO2005/119217
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012744
【国際公開番号】WO2005/119217
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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