説明

広帯域高周波スリップリングシステム

【課題】高周波反射や高周波損失に関連する問題を解決した接触リングシステムを提供する。
【解決手段】第1の誘電体材料と第2の誘電体材料とを有し、第1の誘電体材料の第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングが設けられ、第1の誘電体材料の第2の側面には第1及び第2の給電ラインが設けられ、第2の誘電体材料の第1の側面は第1の誘電体材料の第2の側面に取り付けられ、第2の誘電体材料の第2の側面には接地面が設けられており、第1の給電ラインは、複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、第2の給電ラインは、複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、第1の誘電体材料には、複数の同心の離間された導電性リングの内の第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている接触リングシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、ドニー・エス・コールマン(Donnie S.Coleman)によって2003年2月19日に出願された米国仮特許出願第60/448,292号(発明の名称:広帯域高周波スリップリングシステム)の出願日の利益を主張するものである。該米国仮特許出願の開示全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0002】
本発明は、一般に、固定基準フレームから移動基準フレームに信号を送るために利用される接触型スリップリングシステムに関し、より詳細には、高速データ通信に好適な接触型スリップリングシステムに関する。
【0003】
接触型スリップリングは、相互に回転する二フレーム間の信号伝送のために広く用いられてきた。このような従来技術によるスリップリングは、回転リングシステムとの接触に貴合金製導電性プローブを用いてきた。これらプローブはこれまで、ラウンドワイヤ、複合材料、ボタンコンタクト、又はマルチフィラメント導電性繊維ブラシを用いて作製されてきた。対応するスリップリングの同心接触リングは通常、摺動接触に適した断面形状となるよう形成されている。典型的なリング形状としては、V溝、U溝、及び平板リングが挙げられる。同様の方式が、回転運動ではなく並進運動を行う各種のシステムと共に用いられてきた。
【0004】
スリップリングを介して高周波信号を伝送する場合、最大伝送速度を制限する主要因は、インピーダンスの不連続に起因する反射による波形の歪みである。インピーダンスの不連続は、スリップリング全体において、異なる形態の伝送ラインが相互接続され、異なるサージインピーダンスを有する場所で生じ得る。大きなインピーダンスのミスマッチは、伝送ラインがブラシコンタクト構造体においてスリップリングを外部インターフェースに相互接続する場所、及び伝送ラインがブラシコンタクト構造体をそれらの外部インターフェースに接続する場所で頻繁に生じる。上で述べた伝送ラインのインピーダンスのミスマッチによる変化のために高周波信号に大きな歪みが生じ得る。更に、大きな歪みはまた、複数の平行ブラシ接続に起因する位相誤差によっても生じ得る。
【0005】
インピーダンスのミスマッチに起因する複数の反射、回路共振、分布インダクタンスと分布容量、誘電体損失、及び表皮効果等の様々な影響によって、スリップリングでのエネルギー損失は周波数と共に増大する。回転インターフェース間の高周波のアナログ及びデジタル通信も、介在する空間を横切っての光ファイバーインターフェース、容量結合、誘導結合、電磁放射の直接伝送等の他の技術によって達成されているか、提案されている。しかしながら、これらの技術を用いるシステムは、比較的高価になりがちである。
【0006】
上述の諸問題を解決すると共に容易に製造できる経済的なスリップリングシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1及び第2の側面を備えた第1の誘電体材料と第1及び第2の側面を備えた第2の誘電体材料とを有し、前記第1の誘電体材料の第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングが設けられ、前記第1の誘電体材料の第2の側面には第1及び第2の給電ラインが設けられ、前記第2の誘電体材料の第1の側面は前記第1の誘電体材料の第2の側面に取り付けられ、前記第2の誘電体材料の第2の側面には接地面が設けられており、第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1の誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている、接触リングシステムである。
【0008】
又、本発明は、接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えたプリント回路基板(PCB)を有し、前記PCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングが設けられ、第1及び第2の給電ラインが前記PCBの内部に配線され、接地面が前記PCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1及び第2の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第3の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されているスリップリング盤である。
【0009】
又、本発明は、接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えた第1のプリント回路基板(PCB)と第1及び第2の側面を備えた第2のプリント回路基板(PCB)とを有し、前記第1のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の給電ラインが前記第1のPCBの内部に配線され、第1の接地面が前記第1のPCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1及び第2の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記第1の接地面の逃げ領域に形成された異なる第3の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第2のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第2の組が設けられ、第3及び第4の給電ラインが前記第2のPCBの内部に配線され、第2の接地面が前記第2のPCBの第2の側面に設けられ、前記第3の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第1の導電性リングに第4の導電性ビアを介して結合され、前記第4の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第2の導電性リングに第5の導電性ビアを介して結合されており、前記第3及び第4の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記第2の接地面の逃げ領域に形成された異なる第6の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第1及び第2のPCBの第1及び第2の接地面は互いに隣接して配置され単一のスリップリング盤を構成しているスリップリング盤である。
【0010】
又、本発明は、接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えたプリント回路基板(PCB)を有し、前記PCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の相ライン並びに第1及び第2の給電ラインが前記PCBの内部に配線され、接地面が前記PCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは第1の導電性ビアにより前記第1の相ラインの中央に結合され、前記第1の相ラインの端部は異なる第2の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに結合され、前記第2の給電ラインは第3の導電性ビアにより前記第2の相ラインの中央に結合され、前記第2の相ラインの端部は異なる第4の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに結合され、前記第1及び第2の給電ラインは、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第5の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されているスリップリング盤である。
【0011】
又、本発明は、接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えた第1のプリント回路基板(PCB)と第1及び第2の側面を備えた第2のプリント回路基板(PCB)とを有し、前記第1のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の相ライン並びに第1及び第2の給電ラインが前記第1のPCBの内部に配線され、接地面が前記第1のPCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは第1の導電性ビアにより前記第1の相ラインの中央に結合され、前記第1の相ラインの端部は異なる第2の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第1の導電性リングに結合され、前記第2の給電ラインは第3の導電性ビアにより前記第2の相ラインの中央に結合され、前記第2の相ラインの端部は異なる第4の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第2の導電性リングに結合され、前記第1及び第2の給電ラインは、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第5の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第2のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第2の組が設けられ、第3及び第4の相ライン並びに第3及び第4の給電ラインが前記第2のPCBの内部に配線され、第2の接地面が前記第2のPCBの第2の側面に設けられ、前記第3の給電ラインは第6の導電性ビアにより前記第3の相ラインの中央に結合され、前記第3の相ラインの端部は異なる第7の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第1の導電性リングに結合され、前記第4の給電ラインは第8の導電性ビアにより前記第4の相ラインの中央に結合され、前記第4の相ラインの端部は異なる第10の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第2の導電性リングに結合され、前記第3及び第4の給電ラインは、前記第2の接地面の逃げ領域に形成された異なる第11の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第1及び第2のPCBの第1及び第2の接地面は互いに隣接して配置され単一のスリップリング盤を構成しているスリップリング盤である。
【0012】
又、本発明は、複数のスリップリング盤であって、各々が少なくとも一方の側面に複数の同心の離間された導電性リングを備えたスリップリング盤と、
軸とを有し、この軸は、軸を他の構造体に取り付けるための基部と、この基部から延在する一体の細長部と備え、細長部の外表面は、取付けパッドの螺旋配置を提供する複数の同心溝を備え、前記スリップリング盤の内の1枚の内径のための径方向位置決め表面を提供するように溝の内径が決められており、前記スリップリング盤の内の1枚が前記取付けパッドの各々に固定されているスリップリング組立体である。
【0013】
本発明のこれら及びその他の特徴、利点、並びに目的は、当業者であれば、以下の詳細な説明、請求の範囲、及び添付の図面を参照することにより更に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】高周波(HF)用プリント回路基板(PCB)スリップリング盤の正面図であって、スリップリング盤は、スリップリング盤のリング構造体への外部接続を提供するフレキシブル回路伝送ラインを含んでいる。
【図2】複数の二又状平坦ブラシコンタクト及び関連するPCBの部分斜視図である。
【図3】6分岐平坦ブラシコンタクトの例を示す部分図である。
【図4】PCBスリップリング盤の導電性リングと接触している複数の二又状平坦ブラシコンタクトの先端を示す斜視図である。
【図5】図2の二又状平坦ブラシコンタクトの中央貫通穴給電点の部分断面図である。
【図6】複数の二又状平坦ブラシコンタクトの中央貫通穴給電点を介してのPCBスリップリング盤の導電性リングとの位置合わせを示すスリップリングシステムの部分上面図である。
【図7A】差動ブラシコンタクトシステムの電気線図である。
【図7B】図7Aの差動ブラシコンタクトシステムを実施するPCBの断面図である。
【図8】平行給電差動ブラシコンタクトシステムの電気線図である。
【図9】テーバ付き平行差動伝送ラインの図である。
【図10】漸変された差動伝送ライン対の電気線図である。
【図11】マイクロストリップコンタクトの一部を示す斜視図である。
【図12】PCBスリップリング盤の一対の同心リングと接触している図11のマイクロストリップコンタクトの斜視図である。
【図13A】差動伝送ラインを実施するPCBスリップリング盤の電気線図である。
【図13B】図13AのPCBスリップリング盤の構築に使用される3層PCBの部分断面図である。
【図14】差動伝送ラインを実施するPCBスリップリング盤の電気線図である。
【図15】図14のPCBスリップリング盤の構築に使用される4層PCBの部分断面図である。
【図16】複数のPCBスリップリング盤を支承するための回転軸の斜視図である。
【図17】少なくとも一枚のスリップリング盤が取り付けられた図16の回転軸の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書においては、広帯域接触スリップリングシステムは、DC〜数GHzの周波数範囲における高速データ伝送のために設計されるものである。本発明の幾つかの実施形態では、高周波用の材料及び技術を用いた導電性プリント回路基板(PCB)スリップリング盤と、PCBスリップリング盤の導電性リングを外部インターフェースに相互接続する関連する伝送ラインとを用いる。本発明の幾つかの実施形態では更に、高周波及びサージインピーダンスの影響による信号の劣化を極力小さくするために、PCBの構成及び高周波技術も利用する接触プローブシステムを含む。この接触プローブシステムは、接触プローブシステムのプローブを外部インターフェースに相互接続する伝送ラインを含み、この場合も各種技術を利用して高周波及びサージインピーダンスの影響による信号の劣化を低減させる。本発明の各実施形態は、スリップリングの高周波性能を制限する各種因子の制御が困難であるという問題を解決するものである。具体的には、本発明の実施形態では、伝送ライン構造体のインピーダンスを制御し、高周波反射や高周波損失に関連する他の問題を解決する。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、スリップリングの摺動電気コンタクトシステムに伴う高周波反射及び高周波損失に関連する主要な問題が解決される。本発明の種々の実施形態では、複数の平坦な導電性リングから成る同心リングシステム及び平坦な分岐状貴金属電気コンタクトを用いる。いずれの構造体もPCB用の材料を用いて製作されるが、これらは、マイクロストリップ伝送ライン及びストリップライン伝送ライン、並びにその各種変形物を実施できるものである。
【0017】
平坦形状ブラシコンタクトシステム
一般に、高周波スリップリングに関しては、ラウンドワイヤコンタクト等のコンタクト形状を使用するよりも、平坦形状ブラシコンタクトを使用する方が有利である。例えば、表面積が大きい程高周波損失が低減する傾向があるため表皮効果が低減する、平坦な断面ではインダクタンス及び高周波損失が低減する傾向があるためインダクタンスが低下する、サージインピーダンスの低下、それによるスリップリングの差動インピーダンスとの適合性の向上、コンプライアンスの増加(低ばね率)、即ちスリップリング盤の軸方向ずれに対する許容幅の増加、表面実装PCB技術との寛容性、横方向の剛性の向上(これにより平坦なリングシステム上でブラシは正確に移動できる)等が挙げられる。
【0018】
横方向の剛性が高いということは一般に、平坦なリングシステムに対して良好に動作させることができるスリップリングコンタクトシステムを作製するのに好ましい。このような平坦なリングシステムは、リングシステム作製において容易にPCB技術を利用できる。一般に、PCB技術を用いれば、インピーダンス特性を上手く制御でき、従来技術で達成できるインピーダンス値よりも非常に高いインピーダンス値とすることができる。このより高いインピーダンスによって、共通の伝送ライン同士の特性インピーダンスに整合させることができ、高周波データ伝送に関連する諸問題の内の一つが解決できる。
【0019】
更に、分岐コンタクト、即ち二又状コンタクトや三又状コンタクト、その他の複数の平行な分岐コンタクト部を有するコンタクトは、スリップリングの動作に関連する著しい利点をもたらす。平行接点は動的抵抗を許容できる程度に低くするという設計上の観点からスリップリングに従来より設けられており、スリップリングの特徴の一つである。従来のスリップリングでは、ダイナミックノイズは、複数平行コンタクトを実施するのに必要な配線からの大きな誘導成分を有することがある。平坦ブラシコンタクトは、平行に動作する複数の低インダクタンス接点を提供し、ダイナミックノイズ性能を大幅に向上させる。
【0020】
図2及び図5に示すように、複数の平坦ブラシコンタクト200の特定の実施形態は、このようなブラシ202及び204の対が互いに対向してPCB206上に取り付けられ、これらは中央貫通穴即ちビア208を介して給電される。複数のブラシを用いると電流容量が増加し動的抵抗が減少するという利点があるが、この実施形態ではその他にも高周波性能上有利な点がある。中央貫通穴208により、ブラシ202とブラシ204への伝送ラインの長さが等しく、同相の信号がこれらのブラシに送られることを保証し、スリップリング同士のインピーダンスマッチングと低損失の面から好ましいサージインピーダンスを保証する。対向するコンタクトブラシの先端同士が近接していることは、スリップリングからの整相誤差(phasing error)を低減するのに役立つ。図1及び図6を参照すると、中央ビア208があるため、コンタクトブラシ202及び204のリング、例えばリング106Aに対する位置合せを視覚により確認できる。これは、スリップリングの組立を簡素化する非常に好ましい特徴である。
【0021】
図7A〜7Bに示すように、高データ速度及び高周波では、中央給電ブラシ構造体702及び704を差動伝送ラインに使用するのが最適である。図示の伝送ラインの構成は、通常、多層PCB700を用いて実施される。平坦ブラシコンタクト702及び704は、接地面710の上方のマイクロストリップ構造体705に表面実装される。ブラシ702及び704と外部入力端子の間の接続は、埋設マイクロストリップ712の形態をとる。ブラシマイクロストリップ705及びこれに給電を行う埋設マイクロストリップ伝送ライン712のサイズ及び間隔は、外部伝送ラインとそれに関連するスリップリングのインピーダンスに整合させる必要性によって決まる。外部伝送ラインとその関連する中央給電ビア708を接続するビアホールはPCB700を完全に貫通しており、接地面710には、電気的に絶縁するための逃げ領域714が設けられている。2個のスリップリングに給電するため、2個のPCBを背面同士を合わせて結合し、両基板にビアを同様の形状で貫通させることもできる。
【0022】
図8に示すように、複数のブラシ構造体を上に記載のようにPCB技術を用いて実施し、適正なインピーダンスの伝送ラインセクションを作り出すことができる。例えば、50オームのケーブルを用いると仮定すると、「クロスフィード」伝送ライン802及び804は、差動インピーダンスを外部給電ラインに適した50オームとして設計する。ブラシ構造体への平行接続は、長さの等しい伝送ライン806及び810を用いて行う。本明細書では、ブラシ構造体に同相信号を提供するこの伝送ラインは、整相アンテナ列に用いるのと同様の表現を用いて「0度整相ライン(zero-degree phasing line)」という。これら「0度整相ライン」のインピーダンスは「クロスフィードライン」の2倍の100オームである。図8に示すように、コンタクト構造体800に用いるスリップリングの差動インピーダンスは、整相ライン(phasing line)806及び810の2倍、即ち200オームである。一般に、N個のコンタクト構造体へ平行給電する場合、各整相ラインの差動インピーダンスは入力インピーダンスのN倍である。
【0023】
インピーダンスが好ましくない或いは達成できない値である場合には、インピーダンスが漸変された(連続的ではあるが殆ど分からないように変化された)伝送ライン900を、異なるインピーダンス間の整合部として使用できる。図9には、インピーダンスが漸変された整合部の一つであるテーパ付き平行差動伝送ライン900が図示されている。トレース902及び904にテーパを付けることは、インピーダンスを連続的に変化させて、突然のインピーダンス不連続によって生じる反射の大きさを極力小さくする一方法である。
【0024】
図10は、異なるインピーダンス値の影響を緩和するための解決策としてのインピーダンスが漸変された伝送ラインの使用を示す。この例においては、コンタクトシステムに関連するスリップリングの差動インピーダンスが低すぎて、図8に関して述べたように、整相ラインへの整合を簡単に行うことができない。クロスフィードライン1002及び1004のテーパによって、伝送ラインのインピーダンスは徐々に、スリップリング盤のリングのインピーダンスと外部伝送ラインのインピーダンスの中間値まで徐々に減少する。0度整相ライン1006及び1010のテーパによって、インピーダンスは、スリップリングのインピーダンスから徐々に増加し、上述の中間値と整合する。インピーダンスが漸変された整合部の使用によって、大きなインピーダン不整合から生じる反射の大きさを低減できるという正味の効果が得られる。インピーダンスの不連続を極力小さくすることは、高速データ波形の信号の完全性を保存するという観点から好ましい。
【0025】
1GHz超で機能するスリップリングのためのコンタクトシステムを構築するための別の技術を図11に示す。この技術では、コンタクト1102及び1104に移る前に、スリップリングから数mm以内のところまで伝送ライン特性を維持するために、マイクロストリップコンタクト1100を用いている。マイクロストリップコンタクト1100は片持ちばねとして機能して、適正なブラシ圧力を提供すると共に、インピーダンスが制御された伝送ラインを提供する。このように、マイクロストリップコンタクト1100は、伝送ライン、ばね、及びブラシコンタクトとして同時に機能し、1GHz超において性能上の利点を有する。図12は、図11のコンタクト1100をスリップリング盤1120に接続した状態示すが、この実施形態は、広帯域スリップリングの単一の高速差動データチャネルを提供する。
【0026】
平坦状PCB広帯域スリップリング盤
平坦な分岐状ブラシコンタクトシステムを備えた広帯域スリップリング盤を実施するシステムは、典型的には多層PCB技術を用いて実施されるが、他の技術を用いることも可能である。高周波性能は、誘電率の低い基板及び、マイクロストリップ、ストリップライン、共平面ウェーブガイド及び類似の技術を用いてインピーダンスを制御した伝送ラインを使用することによって高められる。更に、電磁放射及び電磁感受性の制御、並びにコモンモード干渉の観点から、平衡形差動伝送ラインの使用は重要なツールである。マイクロストリップ、ストリップライン、及びその他のマイクロ波構成技術も、高周波デジタル信号伝送に必要な広い帯域幅に不可欠なファクターである、伝送ライン構造体の正確なインピーダンス制御を高める。特定の実施形態は、必要とされるインピーダンスと帯域幅に主に依存する。
【0027】
図13Aと図13Bは、マイクロストリップ構造を利用したスリップリング盤1300の電気線図と部分断面図であり、PCB誘電体材料1304の一方の側面に導電性リング1302A、1302Bがエッチングによって形成され、反対側の側面には、接地面1310が形成されている。PCB材料1304は、スリップリング盤1300の所望のインピーダンスに対して適切な所望の誘電率のものが選ばれる。導電性リング1302A、1302Bと外部伝送ラインとの間の接続は、埋め込みマイクロストリップ1306A、1306Bによってそれぞれ行なわれる。マイクロストリップ1306A、1306Bは、典型的には、配線やその他の伝送ラインへの取付けのためにビア又は表面パッドに配線される。給電ライン1306A、1306Bとリング1302A、1302Bとの間の接続は、これらの2層の間を通るビアによって提供される。図示の構造は典型的には3層構造であるが、両面スリップリング盤として作られる場合には5層〜6層である。接地面1310は、接地面が追加のインピーダンス可変部ととして機能するのか、基板の歪みを制御するものであるかによって、隙間のない一様な構造とすることもでき、メッシュ構造とすることもできる。
【0028】
負バリヤ1320、即ち、リングの間に加工された溝は、誘電絶縁のための表面クリープ距離の増加等の従来のバリヤの機能の幾つかを達成し、より大きな導電性のゴミに対する物理的な保護を提供する。高周波スリップリング盤に使用される負バリヤ1320は、固体の誘電体を空気と置き換えることによりリングシステムの有効誘電率を低減するという特徴も有する。この特徴の電気的な利点は、誘電体が同じであれば、従来よりも、高いインピーダンスのスリップリング盤を作ることができることである。
【0029】
リング1302A、1302Bは、シングルエンド方式で接地面1310を基準として給電するか、隣接するリング間に差動的に給電することがきる。上記したように、給電ライン1306A、1306Bは、所望のインピーダンスについて適切に寸法が決められた一定幅のトレースとするか、異なるインピーダンスの整合に役立つインピーダンスが漸変された伝送ラインとすることができる。
【0030】
上で述べたPCBスリップリング構造は、スリップリング盤の物理的サイズと選択した材料にもよるが、数百メガヘルツの周波数までの周波数において良好な高周波性能を提供する。そのようなスリップリング盤の上限周波数を制限する最も大きな要因は、伝送ラインの長さが所望の信号の波長に対して大きくなる場合に生じる共振効果である。典型的には、リングの周囲の長さが信号の電気的波長の約10分の1までであれば、妥当な性能が期待でき、挿入損失と定在波比も妥当な値となる。
【0031】
スリップリングのサイズを一定にしてより高い周波数又は帯域幅に適応するためには、通常、スリップリングの共振周波数を高くしなければならない。これを達成する1つの方法は、給電ラインを複数の整相ラインに分割し、スリップリングを複数の点で駆動することである。これによる効果は、スリップリングの分布インダクタンスを平行に置けることであり、これにより、インダクタンスの変化の平方根に比例して共振周波数が高くなる。図14は、差動伝送ラインを使用した給電システム1400を示し、図15は、この給電方法を組み入れたPCBスリップリング盤の断面を示す。図示の例では、2本の整相ラインと関連する給電点が示されているが、3本以上の整相ラインを用いてインピーダンスの整合に対する適切な余裕を持たせることができる。
【0032】
リング1402、1404への伝送ラインは、図14と図15に示す点1401、1403にそれぞれ接続される。クロスフィード伝送ライン1406、1408は、給電ラインのインピーダンス(この例では、50オーム)に整合するように設計されている。整相ライン1410A、1410B及び1412A、1412Bの平行の組み合わせも、50オームインピーダンス、又は個々に100オームに整合するように設計されている。各整相ラインの接続部は、リング1402、1404の平行部分(本例では、200オームの差動インピーダンス用に設計されている)を見ることとなる。インピーダンスを整合させるための適切な調整を行なうことにより他の組み合わせも可能である。即ち、スリップリングの給電点の数をNとし、入力インピーダンスをZとすると、整相ラインのインピーダンスは、N×Zとなり、リングのインピーダンスは2×N×Zとなる。誘電率が低い材料を使用してより高いインピーダンス値を容易に得ることができる。図15に示す整相ラインは、負バリヤ内の空気に近接しているために、誘電率を低くでき、差動インピーダンスを高くできる利点がある。
【0033】
インピーダンスが漸変された整相ライン部分の構築にフレキシブル回路104(図1参照)を使用することにより、PCBスリップリング盤102のリング106A、106Bへの多点接続が容易となる。この方法では、整相ラインがリングの外側にあり、クロスフィード伝送ラインにおいて容易に平行に接続できるため、PCBスリップリングの構築を簡単にできる。インピーダンスが漸変された整合部により、円滑なインピーダンスプロフィルを有するスリップリングを構築することがてき、これにより、通過帯の平坦度及びインピーダンス不連続性に起因する信号の歪みを改善できる。インピーダンスが漸変された整相ラインの使用は、一般的に、広帯域PCBスリップリング100を構築する際の望ましい特徴である。
【0034】
スリップリング取付け方法
図16と図17は、複数のスリップリング盤組立体100を支承する回転軸1600を示す。この軸1600は、スリップリングの作成を容易にするように設計されており有利であるが、これらの装置を製造する際に生じる3つの典型的な問題を以下に述べる。軸は、公差の累積を伴うことなく盤の軸方向の位置決めを制御すること、盤のスリップリングの径方向位置決めを制御すること、及び配線やリード線の処理が行なえるように設計されている。スリップリング盤を回転軸に取り付ける際の大きな問題は、多くのスリップリング取付け方法(例えば、スペーサを用いる方法)における固有の問題である公差の累積を避けなければならないことである。配線やリード線の処理も、盤を増やす毎に配線の密度が高まるため、殆どのスリップリングの製造に伴う長年にわたる問題である。図16において最も良く示されているように、回転軸1600は、上で述べた問題を解決する多数の段を備えている。
【0035】
軸1600は、コンピュータ化した数値制御装置(CNC)によって製造された部品であり、スリップリングシステムの盤102のための取付けランド/パッド1602〜1612の螺旋配置を生み出すように加工された一連の同心溝を有する。軸1600上の溝の軸方向の位置決めは、加工動作の繰り返し可能性の関数であり、各スリップリングの一方の側面は、累進的な公差の累積を伴わない加工精度以内で軸方向に位置決めされる。各盤102の他方の側面は、別のファクターであるリングの厚み公差のみを伴って位置決めされる。溝の内径は、各盤の内径のための径方向位置決め表面を提供するように決められている。螺旋に配置されたランド/パッド1602〜1612は、各の盤102のための取付け形状部を提供する。螺旋配置により、各盤102を設置する際により広い配線通路空間を提供できる。配線通路1640の形状により、ケーブルの処理及び電気的絶縁の目的のための配線1650のグループ化が可能となる。図17に示すように、軸1600は、複数盤スリップリングシステムを構築する際に型1670の空洞1660内に位置決めすることが有利である。
【0036】
まとめると、本明細書に記載した特徴を有するスリップリングシステムは、以下の点によって特徴づけることができる高周波広帯域スリップリングを提供する(実施形態によっては必ずしも以下の特徴を同時に有している必要はない):平坦なPCBスリップリングと伝送ライン技術と組み合わせて平坦な分岐状コンタクトを使用することによって広い帯域幅を実現;性能上の利点を提供すると共にリングとブラシとの間の視覚による位置整合の確認を可能にする、給電ラインに結合された中央ビアを有するブラシコンタクト構造体の使用;スリップリングの多点給電のための差動伝送ラインのPCBによる構築;スリップリングの多点給電のための複数の可撓性テープによる整相ラインの使用;一般にはPCBスリップリング、詳細には上記の用途におけるインピーダンス整合部に影響を及ぼす、インピーダンスを漸変した伝送ライン整合部の使用;電気的絶縁上の利点及び誘電率の低下による高周波での利点のためのPCBスリップリング盤の設計における負バリヤの使用;マイクロストリップコンタクト、即ち、埋め込み接点を有するマイクロストリップ伝送ラインの可撓性部分を使用することによる従来のアプローチを上回る高周波での性能上の利点の提供;及び機械的位置決めと配線処理における技術的な改善のためのスリップリングの構築における回転軸の使用。
【0037】
上の記載は好適な実施形態だけについてのものであると考えられる。当業者及び本発明を製造又は使用するものは、本発明の変形例を思いつくであろう。従って、図に示し上で述べた実施形態は単に例示の目的のためだけであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって定義されるが、均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるものである。
【符号の説明】
【0038】
100 PCBスリップリング
102 PCBスリップリング盤
104 フレキシブル回路
106A、106B リング
200 平坦ブラシコンタクト
202、204 ブラシ
206 PCB
208 貫通穴(ビア)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の側面を備えた第1の誘電体材料と第1及び第2の側面を備えた第2の誘電体材料とを有し、
前記第1の誘電体材料の第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングが設けられ、前記第1の誘電体材料の第2の側面には第1及び第2の給電ラインが設けられ、
前記第2の誘電体材料の第1の側面は前記第1の誘電体材料の第2の側面に取り付けられ、前記第2の誘電体材料の第2の側面には接地面が設けられており、第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1の誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている、接触リングシステム。
【請求項2】
前記第1及び第2の給電ラインはインピーダンスが漸変されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記給電ラインがマイクロストリップラインである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えたプリント回路基板(PCB)を有し、前記PCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングが設けられ、第1及び第2の給電ラインが前記PCBの内部に配線され、接地面が前記PCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1及び第2の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第3の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されているスリップリング盤。
【請求項5】
前記PCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている、請求項4に記載の盤。
【請求項6】
前記給電ラインがマイクロストリップラインである、請求項4に記載の盤。
【請求項7】
接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えた第1のプリント回路基板(PCB)と第1及び第2の側面を備えた第2のプリント回路基板(PCB)とを有し、
前記第1のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の給電ラインが前記第1のPCBの内部に配線され、第1の接地面が前記第1のPCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第1の導電性リングに第1の導電性ビアを介して結合され、前記第2の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第2の導電性リングに第2の導電性ビアを介して結合されており、前記第1及び第2の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記第1の接地面の逃げ領域に形成された異なる第3の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、
前記第2のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第2の組が設けられ、第3及び第4の給電ラインが前記第2のPCBの内部に配線され、第2の接地面が前記第2のPCBの第2の側面に設けられ、前記第3の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第1の導電性リングに第4の導電性ビアを介して結合され、前記第4の給電ラインは、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第2の導電性リングに第5の導電性ビアを介して結合されており、前記第3及び第4の給電ラインは、インピーダンスが漸変されていると共に、前記第2の接地面の逃げ領域に形成された異なる第6の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第1及び第2のPCBの第1及び第2の接地面は互いに隣接して配置され単一のスリップリング盤を構成しているスリップリング盤。
【請求項8】
前記第1のPCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されており、前記第2のPCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている請求項7に記載の盤。
【請求項9】
前記給電ラインがマイクロストリップラインである、請求項7に記載の盤。
【請求項10】
接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えたプリント回路基板(PCB)を有し、前記PCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の相ライン並びに第1及び第2の給電ラインが前記PCBの内部に配線され、接地面が前記PCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは第1の導電性ビアにより前記第1の相ラインの中央に結合され、前記第1の相ラインの端部は異なる第2の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第1の導電性リングに結合され、前記第2の給電ラインは第3の導電性ビアにより前記第2の相ラインの中央に結合され、前記第2の相ラインの端部は異なる第4の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの内の第2の導電性リングに結合され、前記第1及び第2の給電ラインは、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第5の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されているスリップリング盤。
【請求項11】
前記PCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている、請求項10に記載の盤。
【請求項12】
前記給電ラインがマイクロストリップラインである、請求項10に記載の盤。
【請求項13】
前記給電ラインはインピーダンスが漸変されている、請求項10に記載の盤。
【請求項14】
前記相ラインはインピーダンスが漸変されている、請求項10に記載の盤。
【請求項15】
接触リングシステムのためのスリップリング盤であって、第1及び第2の側面を備えた第1のプリント回路基板(PCB)と第1及び第2の側面を備えた第2のプリント回路基板(PCB)とを有し、
前記第1のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第1の組が設けられ、第1及び第2の相ライン並びに第1及び第2の給電ラインが前記第1のPCBの内部に配線され、接地面が前記第1のPCBの第2の側面に設けられ、前記第1の給電ラインは第1の導電性ビアにより前記第1の相ラインの中央に結合され、前記第1の相ラインの端部は異なる第2の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第1の導電性リングに結合され、前記第2の給電ラインは第3の導電性ビアにより前記第2の相ラインの中央に結合され、前記第2の相ラインの端部は異なる第4の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の第2の導電性リングに結合され、前記第1及び第2の給電ラインは、前記接地面の逃げ領域に形成された異なる第5の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、
前記第2のPCBの第1の側面には複数の同心の離間された導電性リングの第2の組が設けられ、第3及び第4の相ライン並びに第3及び第4の給電ラインが前記第2のPCBの内部に配線され、第2の接地面が前記第2のPCBの第2の側面に設けられ、前記第3の給電ラインは第6の導電性ビアにより前記第3の相ラインの中央に結合され、前記第3の相ラインの端部は異なる第7の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第1の導電性リングに結合され、前記第4の給電ラインは第8の導電性ビアにより前記第4の相ラインの中央に結合され、前記第4の相ラインの端部は異なる第10の導電性ビアを介して前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の第2の導電性リングに結合され、前記第3及び第4の給電ラインは、前記第2の接地面の逃げ領域に形成された異なる第11の導電性ビアによって外部インターフェースに接続されており、前記第1及び第2のPCBの第1及び第2の接地面は互いに隣接して配置され単一のスリップリング盤を構成しているスリップリング盤。
【請求項16】
前記第1のPCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの第1の組の内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されており、前記第2のPCBの誘電体材料には、前記複数の同心の離間された導電性リングの第2の組の内の前記第1及び第2の導電性リングの間に位置するように溝が形成されている請求項15に記載の盤。
【請求項17】
前記給電ラインがマイクロストリップラインである、請求項15に記載の盤。
【請求項18】
前記給電ラインはインピーダンスが漸変されている、請求項15に記載の盤。
【請求項19】
前記相ラインはインピーダンスが漸変されている、請求項15に記載の盤。
【請求項20】
複数のスリップリング盤であって、各々が少なくとも一方の側面に複数の同心の離間された導電性リングを備えたスリップリング盤と、
軸とを有し、
この軸は、軸を他の構造体に取り付けるための基部と、
この基部から延在する一体の細長部と備え、細長部の外表面は、取付けパッドの螺旋配置を提供する複数の同心溝を備え、前記スリップリング盤の内の1枚の内径のための径方向位置決め表面を提供するように溝の内径が決められており、前記スリップリング盤の内の1枚が前記取付けパッドの各々に固定されているスリップリング組立体。
【請求項21】
複数の接触プローブを更に有し、この接触プローブの各々が、
少なくとも1個の平坦ブラシコンタクトと、
この少なくとも1個の平坦ブラシコンタクトを外部インターフェースに接続するための給電ラインを含むプリント回路基板(PCB)とを有し、
前記少なくとも1個の平坦ブラシコンタクトは、前記PCBの第1の側面に設けられ、前記PCBは、前記少なくとも1個の平坦ブラシコンタクトを前記給電ラインに接続するメッキ貫通穴を備え、各接触プローブの前記少なくとも1個の平坦ブラシコンタクトは、前記盤の1枚の上にある前記複数の同心の離間された導電性リングの少なくとも1個と電気的に接触するように位置決めされている、請求項20に記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−50104(P2010−50104A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246598(P2009−246598)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【分割の表示】特願2006−503629(P2006−503629)の分割
【原出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【出願人】(507027656)ムーグ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】