説明

広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法およびロール状平版印刷版材料

【課題】 プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、裁断面にバリの発生と、裏面層の剥がれとを防止し、所定の幅の狭幅帯状平版印刷版材料に裁断する裁断方法と、この狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に真き回したロール状平版印刷版材料の提供。
【解決手段】 走行する長尺のプラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、互いに逆方向に回転する円盤状上刃とドラム状下刃とのセットを有する少なくとも1組の回転刃を用いて、走行方向に沿って、少なくとも2条の狭幅帯状平版印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法において、該裏面層のスクラッチ強度が100〜350gであり、前記裏面層側を該上刃側に当接させて裁断することを特徴とする広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有するロール状平版印刷版材料の裁断方法及びこの裁断方法により作製されたシート状平版印刷版材料に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷データのデジタル化に伴い、画像データを直接印刷版に記録するCTPが普及してきた。CTP(コンピューター・トゥー・プレート)に使用される印刷版材料は、従来のPS版と同様にアルミ基材を使用するメタルタイプとフィルム基材上に印刷版としての機能層を設けたフレキシブルタイプがある。近年、商業印刷においては印刷の多品種少部数化傾向が進み、市場では高品質で低価格な印刷版材料への要望が強くなっている。
【0003】
従来のフレキシブルタイプの印刷版材料は、例えば特開平5−66564号に開示されるようなフィルム基材上に銀塩拡散転写方式の感光層を設けたもの、あるいは特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、表層をレーザー露光でアブレーションさせて印刷版を形成するように構成されたもの、あるいは特開2001−96710に開示されるようなフィルム基材上に親水性層と熱溶融性画像形成層を設け、レーザー露光により親水性層あるいは画像形成層を画像様に発熱させることで画像形成層を親水性層上に溶融固着させるものが挙げられる。
【0004】
銀塩拡散転写方式は、露光後に湿式の現像と乾燥の工程が必要であり、画像形成工程での寸法精度が十分得られないため、高品質の印刷には適していない。
【0005】
アブレーション方式は現像処理を必要としないが、表層のアブレーションにより画像を形成するためドット形状が不安定になりやすい。又、アブレーションした表層の飛散物による材料表面や露光装置内部の汚染が発生することがある。
【0006】
レーザー光を熱に変換し熱溶融画像を親水性層上に形成する方式は鮮鋭なドット形状が得られ、高精細な画像形成に適している。又この方式の中には、画像書き込み後の印刷版をオフセット印刷機で印刷することにより湿し水で非画像部の画像形成層のみを膨潤溶解して印刷初期の印刷紙(損紙)上に転写除去する所謂印刷機上現像ができるものがあり、この場合は露光後の現像プロセスが不要であるため、品質安定性、環境適性にも優れている。
【0007】
CTPの場合、生産効率を高めるために版の出力装置を連続自動運転することが一般的である。フィルム基材を使用した平版印刷版材料は、一般的にロール状に巻回したロール状平版印刷版材料の形態で出力装置内に供給し、出力装置内で所定サイズに自動裁断・搬送し、露光部材に固定し露光(画像書き込み)が行われて使用されている。
【0008】
ロール状平版印刷版材料は、一般的には生産効率を高めるために広幅のプラスチックフィルム支持体上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状机上現像型印刷版材料を作製した後、必要とする狭幅に裁断し狭幅帯状平版印刷版材料とした後、巻き芯に巻き回しロール状として作製している。
【0009】
ロール状平版印刷版材料を出力装置に装着する場合、取り扱い易さ、装着位置精度、品質安定性の観点から、ロール状平版印刷版材料をマガジンに装填したものを出力装置に装着することが一般的である。
【0010】
レーザー露光のような非接触の画像書き込みでは、印刷版材料に付着した異物が出力画像上での欠陥になり易い。又、液体の現像処理を行わない印刷版材料の場合は未露光部に付着した異物も画像欠陥となる。更に、印刷版材料裏面に付着した場合には露光時の印刷版材料の平面性が低下しすることにより露光が不均一になり、画像欠陥や、印刷ムラの原因になることがある。このため、本発明のような機上現像型の印刷版材料においては、異物について従来の印刷版材料よりも厳しい管理が必要である。
【0011】
ロール状平版印刷版材料の場合、広幅帯状平版印刷版材料を裁断して狭幅帯状平版印刷版材料にする裁断工程で塗膜が剥がれ、この剥がれた塗膜を巻き込んで作製されることがある。
【0012】
一般的に、平版印刷版材料に限らず、基材上に画像記録層を有する広幅帯状記録材料を狭幅帯状記録材料にする裁断工程では塗膜剥がれに対する対策がなされており、例えば、互いに逆方向に回転する刃先角度が30〜90°の上刃と下刃のセットからなる回転刃を複数セット有した裁断装置で、画像形成層側を下刃側にして裁断することで、裁断面での画像形成層の剥がれを防止した裁断方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の裁断方法を、プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面にスクラッチ強度が100〜350gの裏面層を有する帯状平版印刷版材料に適用した場合、画像形成層の剥離は防止出来るのであるが、新たに次の問題点が挙げられ適用は出来ない状態となっている。
【0014】
1)裁断面の画像形成層側にバリが発生する場合がある。画像形成側にバリが形成してしまうと、ローラーやブランケット等を介して画像形成層を傷つけて印刷汚れを起こす場合がある。また、バリの高さが大きいと搬送不良を起こす場合がある。
【0015】
2)裏面層が剥がれ、画像形成層側に付着し、故障の原因となる場合がある。
【0016】
この様な状況から、プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面にスクラッチ強度が100〜350gの裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、裁断面にバリの発生と裏面層の剥がれを防止し狭幅帯状平版印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法及びこの裁断方法により裁断した狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に巻き回しロール状としたロール状平版印刷版材料の開発が望まれている。
【特許文献1】特開2003−11086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、裁断面にバリの発生と、裏面層の剥がれとを防止し、所定の幅の狭幅帯状平版印刷版材料に裁断する裁断方法、及びこの裁断方法により作製した狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に真き回したロール状平版印刷版材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0019】
(請求項1)
走行する長尺のプラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、互いに逆方向に回転する円盤状上刃とドラム状下刃とのセットを有する少なくとも1組の回転刃を用いて、該ドラム状下刃に抱かせて該広幅帯状平版印刷版材料を走行方向に沿って、少なくとも2条の狭幅帯状平版印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法において、
該裏面層のスクラッチ強度が100〜350gであり、
前記裏面層側を該上刃側に当接させて裁断することを特徴とする広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【0020】
(請求項2)
前記上刃の刃先角度が15〜45°、下刃の刃先角度が75〜90°で、該上刃と該下刃とのクリアランスが広幅帯状平版印刷版材料の厚さに対して0〜15%であることを特徴とする請求項1に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【0021】
(請求項3)
前記広幅帯状平版印刷版材料が親水性層及び感熱性画像形成層の少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材を含有した機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【0022】
(請求項4)
前記狭幅帯状平版印刷版材料の裁断面のバリの高さが0〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【0023】
(請求項5)
請求項1〜4の何れか1項に記載の裁断方法により広幅帯状平版印刷版材料を少なくとも2条の狭幅帯状平版印刷版材料に裁断した後、該狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に巻き取りロール状としたことを特徴とするロール状平版印刷版材料。
【0024】
(請求項6)
前記広幅帯状平版印刷版材料がプラスチックフィルム基材上に親水性層及び感熱性画像形成層と、裏面に裏面層とを有し、該親水性層及び感熱性画像形成層の少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材を含有している機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項5に記載のロール状平版印刷版材料。
【0025】
(請求項7)
前記狭幅帯状平版印刷版材料の裁断面のバリの高さが0〜20μmであることを特徴とする請求項5又は6に記載のロール状平版印刷版材料。
【発明の効果】
【0026】
プラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、裁断面にバリの発生と、裏面層の剥がれとを防止し、所定の幅の狭幅帯状平版印刷版材料に裁断する裁断方法、及びこの裁断方法により作製した狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に真き回したロール状平版印刷版材料を提供することが出来、印刷版の品質を高めることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る実施の形態を図1〜図6を参照して説明するが、勿論、本発明はこれに限定されるものではない。平版印刷版材料の一例として機上現像型平版印刷版材料について図1で説明する。
【0028】
図1はロール状機上現像型印刷版材料の概略図である。図1の(a)はロール状機上現像型印刷版材料の概略斜視図である。図1の(b)は図1の(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
【0029】
図中、1はロール状機上現像型印刷版材料を示す。ロール状機上現像型印刷版材料1は所定幅に切断された広幅帯状印刷版材料を規定の長さと内外径をもつ中空円筒状の巻き芯101に画像形成層106側が外面になるように巻設することで作製されている。本図に示されるロール状機上現像型印刷版材料は、ロール状機上現像型印刷版材料用マガジン(不図示)にロール状機上現像型印刷版材料1を先端部102を出して収納し、ロール状機上現像型印刷版材料用マガジンを露光装置に装着し、先端部を挟持し所定長引き出し、露光装置内で裁断し、シート状の機上現像型印刷版材料としたものが露光部に送られ使用されている。
【0030】
103a、103bはロール状機上現像型印刷版材料1の巻外径よりも大きな径を有し、中空円筒状の巻き芯101の両端に取り付けられるフランジ部材を示す。103a1はフランジ部材103aの端辺を示し、103b1はフランジ部材103bの端辺を示す。103a2、13b2は各フランジ部材103a2、13b2の外面を示す。
【0031】
104はプラスチックフィルム基材を示し、105はプラスチックフィルム基材104上に設けられた親水性層を示し、106は親水性層105の上に設けられた画像形成層を示す。親水性層105及び画像形成層106の少なくとも1つの層がレーザーの光を熱に変換する機能を有している。107は裏面層を示す。又、画像形成層106の上に帯電防止層を設けてもかまわない。裏面層107のスクラッチ強度は、100〜350gである。スクラッチ強度が100g未満の場合は、裁断過程において膜剥がれが発生し、巻き芯に巻き取りロール状にする際、画像形成層に転写し印刷汚れが発生するため好ましくない。スクラッチ強度が350gを越える場合は、裏面層の膜厚が厚くなり見当性に問題が生じるため好ましくない。
【0032】
尚、スクラッチ強度は、HEIDON−18型引っ掻き試験機を使用し、針は先端が半径0.1mmの5円錐型のものを用い、この針に試験片を積載した移動第の動きと共に分銅で連続荷重を与える。移動距離は100mmであり、荷重は0〜300gまで加えられ、速度1000mm/minで移動台を動かし測定した。裏面層に傷が発生した荷重を読み取りスクラッチ強度とした。
【0033】
本発明に係わる機上現像型印刷版材料の総厚は150〜300μmであることが好ましい。機上現像型印刷版材料の厚みを上記範囲にすることで、印刷適性、取り扱い性の観点から機上現像型印刷版材料として好ましい特性を得ることができる。
【0034】
総厚が150μm未満の場合は、基材の種類によっては印刷版としての機械強度が不十分となり、耐刷性と寸法精度が劣化する場合がある。300μmを越えた場合は、基材の種類によっては印刷版としての剛性が高くなり、露光時の位置精度が不良となり、良好な印刷品質が得られない場合がある。
【0035】
親水性層の厚さは0.5〜10μmが好ましい。0.5μm未満の場合は、親水性層の種類によっては膜強度が不足し耐刷性が劣化する場合がある。10μmを越えた場合は、インクが付着し易くなり非画像部に印刷汚れを生じる場合がある。
【0036】
画像形成層の厚さは0.2〜5μmが好ましい。画像形成層の厚さが0.2μm未満の場合は、薄くなり過ぎ耐刷性が劣化する場合がある。5μmを越えた場合は、現像性が劣化する場合がある。
【0037】
裏面層の厚さは0.2〜5μmが好ましい。0.2μm未満の場合は、マット材の保持力が劣化する場合がある。5μmを越える場合は、見当性が劣化する場合がある。
【0038】
基材の親水性層を設ける側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を基材と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。基材と親水層の間に中間親水性層を設けることもできる。本発明に係わるロール状機上現像型印刷版材料の詳細は後述する。
【0039】
図2は広幅帯状機上現像型印刷版材料を裁断装置により狭幅帯状機上現像型印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法の一例を示す模式図である。
【0040】
図中、2は広幅帯状機上現像型印刷版材料を示し、3は広幅帯状機上現像型印刷版材料2の元巻きロールを示す。4は上刃部を示し、401は円盤状上刃(以下、上刃ともいう)を示し、402は上刃401を取り付けてある回転軸を示す。上刃401の取り付け枚数は裁断する巾により変更することが可能で、取り付ける上刃401は全て同じ形状をしており、本図では3枚の場合を示している。5は下刃部を示し、501は下刃部5を回転させる回転軸を示す。本図で示される裁断方法は回転する上刃401と下刃502(図3を参照)とによる裁断方法であり、社団法人 日本包装機械工業会発刊 包装機械とメカニズム(新版)1986年 430〜431ページに記載されている如き所謂シヤーカット方式といわれる方式である。
【0041】
6は裁断された狭幅帯状機上現像型印刷版材料601を巻き芯に巻き取り、ロール状としたロール状平版印刷版材料を示す。7は裁断時に発生する広幅帯状機上現像型印刷版材料2の両端の不要部分を巻き取ったロールを示す。
【0042】
本図で示される裁断においては、広幅帯状機上現像型印刷版材料2の裏面層を上刃401側にして裁断が行われる場合を示している。上刃部4と下刃部5は本図では示されていない裁断装置フレームにボールベアリング等の軸受けを介して、回転可能に枢着されており、上刃部と下刃部は別々に本図では示されていないモータにより回転可能となっている。
【0043】
広幅帯状帯状平版印刷版材料2の搬送速度は60〜100m/minが好ましい。搬送速度が60m/min未満の場合は、広幅帯状帯状平版印刷版材料に対する上刃による圧縮変形量が大きくなり、裏面層の剥がれが大きくなる場合がある。搬送速度が100m/minを越える場合は、広幅帯状帯状平版印刷版材料の搬送性、及び上刃、下刃のクリアランスが不安定になり、裁断面が不安定になり裏面層、親水性層、画像形成層が剥がれたり、基材にバリが発生する場合がある。
【0044】
下刃と上刃の周速度は広幅帯状帯状平版印刷版材料2の搬送速度と同期していることが好ましく、例えば、上刃の周速度は広幅帯状帯状平版印刷版材料2の搬送速度に対して100〜115%、下刃の周速度は広幅帯状帯状平版印刷版材料2の搬送速度に対して100%が好ましい。
【0045】
図3は図2で示される上刃と下刃の関係を示す概略斜視図である。但し上刃と下刃の関係を判り易くするため広幅帯状机上現像型印刷版材料を取り除いて示している。
【0046】
図中、502は取り付け部材503にリング状に取り付けられた刃の部分(ドラム状下刃という)を示し、504は裁断巾を決めるスペーサー部材を示し、505は取り付け部材503とスペーサー部材504の間に設けられた上刃401が入り込む逃げ部を示す。矢印は上刃401とドラム状下刃502(以下、下刃ともいう)の回転方向を示す。
【0047】
図4は図3のA−A′に沿った概略断面図である。
【0048】
図中、θ1は上刃401の刃先角度を示し、15〜45°が好ましく、より好ましくは20〜40°である。15°未満の場合は、刃の材質によっては刃先の損傷が発生し、寿命が短くなり、刃の交換、管理に時間がとられ生産効率を下げる原因になる場合がある。45°を超える場合は、裁断時に広幅帯状机上現像型印刷版材料に対する圧縮変形量、剪断応力が大きくなり、画像形成層、裏面層の剥離を発生させる場合がある。
【0049】
θ2は下刃502の刃先角度を示し、75〜90°が好ましい。75°未満の場合は、裁断時の破断点が上刃側に行き、基材近傍になり、バリが発生する場合がある。90度を越える場合は、裁断時に下刃からの亀裂が入り難くなるため、破断点が画像形成層となるため、画像形成層の剥がれが発生する場合がある。上刃401の刃先角度θ1及び下刃502の刃先角度θ2は、分度器内蔵のルーペにより測定した値を示す。
【0050】
403は上刃401のミネ面を示し、404は上刃の反ミネ面を示し、506は下刃502のミネ面を示し、507は反ミネ面を示す。Vは上刃401と下刃502とのクリアランス(上刃の反ミネ面404と下刃502のミネ面506との間隔)を示す。クリアランスVは帯状平版印刷版材料の厚さに対して0〜15%が好ましい。クリアランスVがプラスチックフィルム支持体の厚さに対して15%を越える場合は、裁断時に上刃と下刃とから入る亀裂の位置の差が大きくなり破断点がずれるため、裁断面が不安定になり、親水性層、画像形成層、裏面層の剥離、基材のバリを発生させる場合がある。
【0051】
Xは上刃401と下刃502の重なり量を示し、0.1〜1.0mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5mmである。0.1mm未満の場合は上刃が逃げ部405から外れ下刃に乗り上げる危険が有る。1.0mmを越えた場合は切れ味不良となる場合がある。Yは逃げ部505の深さを示し、5.0〜10mmである。Zは逃げ部505の幅を示し、1.5〜3.0mmである。
【0052】
図5は図3で示される上刃と下刃により、広幅帯状机上現像型印刷版材料を裁断する状態を示す概略断面図である。図5の(a)は裁断開始時の状態を示す概略断面図である。図5の(b)は裁断終了時の状態を示す概略断面図である。
【0053】
図中、8は、上刃401の入り込みにより発生する亀裂を示し、9は下刃により発生する亀裂を示す。他の符号は図1、図4と同義である。
【0054】
本図に示す様に、上刃401の刃先角度が15〜45°と鋭角で、下刃の刃先角度が75〜90°と鈍角となっている上刃と下刃との組み合わせの場合、裁断は以下に示す段階で進行すると推定される。
【0055】
上刃401の刃先が鋭角であるため、広幅帯状机上現像型印刷版材料1への圧縮変形量、剪断応力が少ない状態で刃先が裏面層に入り込み裁断が開始され、上刃401の入り込む方向に亀裂が発生する。一方、圧縮変形量、剪断応力が少いため、圧縮変形量による下刃502からの亀裂の発生が少ないため、上刃側から発生した亀裂と下刃側から発生した亀裂がぶつかる破断点が下刃と接触している画像形成層側に移動した状態で裁断が終了する。即ち、裏面層107から上刃401が入り裁断が開始する。このとき時、上刃401の刃先角度が15〜45°と鋭角で、下刃の刃先角度が75〜90°と鈍角となっているため、上刃401による広幅帯状机上現像型印刷版材料1への圧縮変形量、剪断応力が少ない状態で裁断が始まる。このため、裏面層の圧縮変形量が少ないため、裏面層のスクラッチ強度が100〜350gであってもプラスチックフィルム基材104からの剥離が発生しない状態で裏面層の裁断が終了する。破断点が下刃と接触している画像形成層側になるため基材104のバリの発生を抑えることが可能となる。又、圧縮変形量、剪断応力が少ないため画像形成層の剥離を最小に抑えることが可能となる。
図6は図5のPで示される部分の拡大概略断面図である。
【0056】
図中、104aは裁断時にプラスチックフィルム基材104が伸ばされた状態で発生したバリを示す。Tはバリ104aの画像形成層106面からの高さを示し、高さTは0〜20μmが好ましい。バリの高さが20μmを越える場合は、ローラーやブランケット等を介して画像形成層を傷つけて印刷汚れを起こす場合がある。また、バリの高さが大きいと搬送不良を起こす場合がある。バリの高さは、目盛内蔵のルーペにより測定した値を示す。
【0057】
平版印刷版材料として機上現像型印刷版材料を用いて説明した、本発明の図1〜図6に示す広幅帯状機上現像型印刷版材料の裁断方法及びこの裁断方法により作製されたロール状機上現像型印刷版材料により次の効果が挙げられる。
【0058】
1)裁断面のバリの発生及び裏面層の膜剥がれが防止することが可能になり、ローラーやブランケット等を介して画像形成層を傷つけて印刷汚れを起こすことがなくなり、製品が安定した及び生産可動率の向上が可能となった。
【0059】
2)裏面層の膜剥がれを防止することが可能となったので、剥がれた裏面層の画像形成層側への付着に伴う故障がなくなり、品質が安定した。
【0060】
3)裁断面のバリの発生を防止したことで、ロール状機上現像型印刷版材料の形態で出力装置内に供給するときの搬送性が向上し、寸法精度が安定し、品質が安定した。
【0061】
本発明で用いるプラスチック基材は、印刷版作製装置内での安定搬送性と印刷版としての取り扱い易さから基材の厚みとしては100〜300μmが好ましく、特に好ましくは150〜200μmである。また延伸工程を表裏の延伸温度の温度差が5℃以下、好ましくは3℃以下、より好ましくは同一で行う。さらに支持体の含水率を0.5質量%以下とする。支持体含水率Dとは、下記式で表される。
【0062】
D(含水率%)=(w/W)×100
(式中、Wは25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、wは25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある該支持体の水分含有量を表す。)
支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.3質量%であることが特に好ましい。
【0063】
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
【0064】
支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層としては、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層が使用できる。帯電防止層に用いられる金属酸化物粒子の材料としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V25及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。好ましい金属酸化物としては、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2、In23、MgOである。帯電防止層の厚みは、0.01〜1μmであることが好ましい。
【0065】
これらプラスチックフィルムの表面は、親水性層との密着性を確保するためにコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が施されていても良い。又、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に基材表面を粗面化することもできる。更に親水性官能基を有するラテックス、あるいは水溶性樹脂による下引き層を設けることも好ましい態様である。
【0066】
本発明に係わる帯状平版印刷版材料の親水性層は、多孔質構造を有する親水性マトリックス構造体を含有する。親水性層マトリクスを形成する素材としては、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスや、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックス層、金属酸化物等が好ましく用いられる。特に金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0067】
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。本発明で用いることのできるコロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
【0068】
本発明において、親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0069】
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能が不十分となる場合がある。
【0070】
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
【0071】
(M1、(M2)0.5m(AlmSin2)(m+n)・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152+、C816N+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C81822+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
【0072】
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
【0073】
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
【0074】
また、本発明に係わる帯状平版印刷版材料の親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0075】
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0076】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
【0077】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0078】
本発明に係わる帯状平版印刷版材料の親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0079】
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0080】
また、本発明に係わる帯状平版印刷版材料の親水性層中に水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
【0081】
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
【0082】
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層マトリクスに適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷適性を有する構造を得ることができ、好ましい。
【0083】
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
【0084】
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができるが、塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。多孔質な金属酸化物粒子としては、前述の多孔質シリカ粒子や多孔質アルミノシリケート粒子を好ましく用いることができる。
【0085】
また、無機素材で被覆された粒子としては、例えば、ポリメチルメタアクリレートやポリスチレンといった有機粒子を芯材とし、芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては、芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
【0086】
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
【0087】
粒径は1μm以上でかつ、親水性マトリクス構造の平均膜厚に対して本発明で規定する式(1)の関係を満足することが必要であるが、1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2μm〜6μmがさらに好ましい。粒径が10μmを超えると、画像形成の解像度の低下や、ブランケット汚れの劣化が生じる懸念がある。本発明では、粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、本発明に係る表面形態パラメータを満足するように適宜調整されるが、親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。親水性層全体としては、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
【0088】
基材と親水層の間に中間親水性層を設けることができる。中間親水性層に用いる素材としては、親水性層と同様の素材を用いることができる。ただし、中間親水性層は多孔質であることの利点が少なく、また、より無孔質である方が塗膜強度の観点から好ましい。親水性マトリクス構造を形成する多孔質化材の含有量は、親水性層よりも少ないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。
【0089】
中間親水性層で用いる粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、本発明に係る表面形態パラメータを満足するように適宜調整されるが、中間親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
【0090】
中間親水性層全体としても親水性層と同様に、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
【0091】
本発明に係わるロール状機上現像型印刷版材料の親水性層、中間親水性層及びその他に設けられる層には、光熱変換素材を含有することができる。光熱変換素材としては、赤外吸収色素、無機・有機顔料、金属、金属酸化物を用いることが好好ましく、具体的には下記のような素材を挙げることができる。
【0092】
赤外吸収色素としては、シアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0094】
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
【0095】
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0096】
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したもの、逆に金属酸化物粒子の表面を親水性化合物で被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0097】
これらの光熱変換素材のうち、金属酸化物である黒色酸化鉄(Fe34)、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。複合酸化物の具体例を挙げれば、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
【0098】
複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
【0099】
これらの金属酸化物光熱変換材は、平均一次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均一次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの金属酸化物光熱変換材は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均一次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0100】
これらの金属酸化物の添加量としては、親水性層や下層に対して0.1〜60質量%であり、3〜60質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましい。光熱変換材の添加量は親水性層と中間親水性層で異なっていてもよい。
【0101】
本発明に係る帯状平版印刷版材料を使用した画像形成方法は公知に知られているどの方法を用いても良く、光重合タイプや光熱変換タイプ等が挙げられ、画像形成層には各タイプに用いられる組成物が含まれる。しかし画像形成方法としては、地球環境への負荷の低減のために、特別な薬剤による湿式現像処理が不要な、印刷版材料を機上現像するタイプが好ましい。機上現像タイプとして、アブレーションタイプと機上現像タイプに分かれるが、装置コスト等の観点より機上現像タイプの方が好ましい。その代表的な方法として、熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を用いた光熱変換画像形成法がある。
【0102】
熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上100℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。使用可能な素材としては、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げて作業性を向上させるためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
【0103】
これらの中でも、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、機上現像型印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
【0104】
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
【0105】
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。構成層中での熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
【0106】
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
【0107】
高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、熱溶融性微粒子、熱融着性微粒子は、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
【0108】
又、熱可塑性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。又、熱可塑性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。構成層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
【0109】
本発明に係る熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を含有する画像形成機能層には、さらに水溶性素材を含有することができる。水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の画像形成機能層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
【0110】
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできるが、本発明の画像形成機能層としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能可能であり、水への溶解度が高いにもかかわらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共に非常に良好である。
【0111】
又、オリゴ糖水和物を熱溶融させて水和水を除去した後に凝固させると(凝固後短時間のうちは)無水物の結晶となるが、トレハロースは水和物よりも無水物の融点が100℃以上も高いことが特徴的である。これは赤外線露光で熱溶融し、再凝固した直後は露光済部は高融点で溶融しにくい状態となることを意味し、バンディング等の露光時の画像欠陥を起こしにくくする効果がある。本発明の目的を達成するには、オリゴ糖の中でも特にトレハロースが好ましい。構成層中のオリゴ糖の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
【0112】
画像形成層用塗布液に非水溶媒が含有してもよい。非水溶媒としては、アルコール系、ケトン系、アミド系、エステル系、炭化水素カルボネート系、ラクトン系が挙げられる。また、アセチレン系界面活性剤を含有してもよい。
【0113】
本発明に係るロール状印刷材料の裏面には、所望の平滑度と静摩擦係数を得るためにバックコート層が形成されていてもよい。バックコート層には、バインダー成分とマット材の他、表面滑性や導電性を付与する化合物を添加することが好ましい。
バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルセルロース、芳香族ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、弗素樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアセテート、ポリカーボネート、有機硼素化合物、芳香族エステル類、弗化ポリウレタン、ポリエーテルスルホン、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいはこれらのモノマーを主成分とする共重合体などの汎用ポリマーを使用することができる。
【0114】
バインダーとして架橋可能なバインダーを用いることは、マット材の粉落ち防止やバックコートの耐傷性の向上に効果がある。又、保存時のブロッキングにも効果が大きい。この架橋手段は、用いる架橋剤の特性に応じて、熱、活性光線、圧力の何れか一つ又は組合せなどを特に限定することなく採用することができる。場合によっては、基材への接着性を付与するため、基材のバックコート層を設ける側に任意の易接着層を設けてもよい。
【0115】
バックコート層に好ましく添加されるマット材としては、有機又は無機の微粒子が使用できる。有機微粒子としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂等の樹脂よりなる有機微粒子等が挙げられ、中でも、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂が好ましい。ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、その他のラジカル重合系ポリマーの微粒子、ポリエステル、ポリカーボネートなど縮合ポリマーの微粒子なども挙げられる。無機微粒子としては、酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸亜鉛等の無機微粒子が挙げられ、中でも、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化珪素が好ましい。
【0116】
無機微粒子の平均粒径としては0.5〜10μmが好ましく、0.8〜5μmがより好ましい。平均粒径が0.5μm未満であると、バックコート層に十分な粗面化を施すことができずに均一な密着を得るために長時間の減圧が必要になる。10μmを超えると、バックコート層の粗面化が粗すぎてスムースター値が大きくなり、固定部材との安定した密着性が確保できなくなる。
【0117】
プラスチックフィルム基材には、裏面層を0.5〜3g/m2程度の付量で設けることが好ましい。0.5g/m2未満では塗布性が不安定で、マット材の粉落ち等の問題が生じ易い。又、3g/m2を大きく超えて塗布されると好適なマット材の粒径が非常に大きくなり、保存時にバックコート層による受像面へのエンボス化が生じ、記録画像の抜けやムラが生じ易くなる。尚、マット剤を添加しない場合のバックコート層の付き量は0.01〜1.0g/m2が好ましい。
【0118】
前記微粒子の含有量としては、バックコート層の全固形分質量に対し、0.5〜80質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%未満であると、バックコート層表面に十分な粗面化を施すことができないことがあり、80質量%を超えるとバックコート層の粗面化が粗すぎてスムースター値が大きくなり、画質が低下することがある。
【0119】
バックコート層には、表面滑性を調整する目的で、各種界面活性剤、シリコンオイル、フッ素系樹脂、ワックス類等を添加することも好ましい。
【0120】
機上現像型印刷版材料が搬送路内で摩擦帯電による搬送異常や、帯電に起因する異物の付着を防止するために帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等が使用できる。中でも、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物の微粒子、有機半導体等の導電性微粒子が好ましく用いられる。特にカーボンブラック、グラファイト、特に金属酸化物の微粒子を用いることは、温度等の環境の影響によらず安定した帯電防止能が得られるため好ましい。
【0121】
上記金属酸化物微粒子の材料としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V25及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いても、混合して用いてもよい。これらのうち好ましい金属酸化物としては、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2、In23、MgOである。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAl或いはIn、SnO2に対してSb、Nb或いはハロゲン元素、In23に対してSnなどの異種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の量をドープしたものを挙げることができる。
【0122】
金属酸化物微粒子は、バックコート層中に10〜90質量%の範囲で含まれていることが好ましい。金属酸化物微粒子の粒子径は、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲が好ましい。ここでいう平均粒子径とは、金属酸化物微粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0123】
機上現像型印刷版材料は、相対湿度80%以下における表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となる、層又は基材を有することがより好ましい。使用出来る帯電防止剤としては、相対湿度80%以下における層の表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となるように各種界面活性剤、導電剤の中から適宜使用することが出来る。とりわけ、層中にカーボンブラック、カーボングラファイト、及び金属酸化物の微粒子の少なくとも1種を含有することにより、表面比抵抗が108〜1012Ω/m2となるよう設計することが好ましい。
【0124】
画像形成時にレーザー露光を行う場合、フォーカスがずれないようにするためには、プラスチックフィルム基材を固定するのに公知の方法と組み合わせて減圧密着を行うことが好ましい。ブロッキングの防止や良好な減圧密着性の付与の目的で、裏面が粗面化された基材或いはバックコート層にマット剤を添加した場合の表面粗さ(Rz)は0.04〜5.00μmの範囲が好ましい。
【0125】
本発明に係わる帯状平版印刷版材料の裏面のスムースター値は0.06MP以下であることが好ましく、より好ましくは0.0003MP〜0.06MPの範囲である。0.0003MP以下の場合は固定部材への均一密着性が悪くなったり安定密着に必要な時間が増大したりする。0.06MPより大きい場合には固定部材上への固定が不十分になり安定した画像露光ができない。
【0126】
帯状平版印刷版材料の裏面と固定部材面との静摩擦係数は0.2〜0.6であることが好ましい。0.2以下の場合でも0.6以上であっても固定部材上での固定位置精度が低下し好ましくない。
【0127】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0128】
実施例1
《ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の作製》
プラスチックフィルム基材としてポリエチレンテレフタレート(PET)を作製した。テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定した未延伸フィルムを2軸で熱延伸し、厚さ175μm、長さ1500m、幅1200mmのPET基材を作製した。含水率は0.2質量%とした。尚、含水率は、下記式から計算で求めた値である。
【0129】
含水率%=(W1/W2)×100
式中、W2は25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、W1は25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある支持体の水分含有量を表す。
【0130】
《PET基材の下引き処理》
上記で得られたPET基材の両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃で、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥させ(下引き面B)、PET基材を作製した。また、下引き面B側の表面の表面粗さを測定したところRa値で0.8μmであった。下引き塗布液a、下引き塗布液b、下引き塗布液c、下引き塗布液dの各添加剤の割合は質量%を示す。
【0131】
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.20%
マット材(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.72%
【0132】
【化1】

【0133】
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
《下引き塗布液d》
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1の導電性組成物
6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット材(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−11:スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12:スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13:スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
【0134】
【化2】

【0135】
《親水性層、画像形成層の形成》
上記下引き済みPET基材の下引き面A上に、親水性層1用塗布液(調製方法は下記に示す)、親水性層2用塗布液(調製方法は下記に示す)、および画像形成層用塗布液(調製方法は下記に示す)を用いて下引き済み基材の各々のA面上にワイヤーバーを用いて塗布した。塗布の順番は、先ず、PET基材上に親水性層1、親水性層2の順番でワイヤーバーを用いてそれぞれ乾燥付量が2.5g/m2、0.6g/m2になるように塗布し、120℃で3分間乾燥したのちに60℃で24時間の加熱処理を施した。その後、画像形成層用塗布液を、それぞれ、ワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.6g/m2になるように塗布して50℃で3分間乾燥したのちに、50℃で72時間のシーズニング処理を施し、親水性層、画像形成層をPET基材上に形成した。
《親水性層1塗布液の調製》
コロイダルシリカ(アルカリ系)、スノーテックス−XS(日産化学社製、固形分20質量%):48質量部
コロイダルシリカ(アルカリ系)、スノーテックス−ZL(日産化学社製、固形分40質量%):4質量部
日産化学STM−6500S(平均粒径6.5μm、コアがメラミン樹脂でシェルがシリカからなる凹凸表面の真球状粒子):15質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンJC−40(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径4μm):11.1質量部
Cu−Fe−Mn系金属酸化物黒色顔料:TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製、粒径0.1μm程度)の固形分40質量%(うち0.2質量%は分散剤)水分散物:20質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)の4質量%の水溶液:0.56質量部
層状鉱物粒子モンモリロナイト、ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの:1.11質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製)の10質量%の水溶液:0.28質量部
《親水性層2塗布液の調製》
コロイダルシリカ(アルカリ系)、スノーテックス−S(日産化学社製、固形分30質量%):30質量部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系)、スノーテックス−PSM(日産化学社製、固形分20質量%):45質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンJC−20(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径2μm):10質量部
Cu−Fe−Mn系金属酸化物黒色顔料:TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製、粒径0.1μm程度)の固形分40質量%(うち0.2質量%は分散剤)水分散物:9質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)の4質量%の水溶液:1質量部
層状鉱物粒子モンモリロナイト、ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの:2質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製)の10質量%の水溶液:0.5質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径0.6μm):12.5質量部
《画像形成層用塗布液の調製》
カルナバワックスエマルジョンA118(岐阜セラック社製)平均粒径0.3μm、固形分40%:45質量部
マイクロクリスタリンワックスA−206(岐阜セラック社製):25質量部
2糖類トレハロース粉体(林原商事社製、トレハオース)10%水溶液:15質量部
ポリアクリル酸ナトリウム30質量%水溶液DL−522(日本触媒社製):10質量部
炭酸カルシウム粉体(丸尾カルシウム社製):5質量部
イソプロピルアルコール:1質量部
アセチレン系界面活性剤(日信化学工業(株)サーフィノール465):1質量部
《広幅帯状機上現像型平版印刷版材料の作製》
上記、親水性層、画像形成層を形成したPET基材の裏面(下引き済みPET基材のB面)上に、裏面層用塗布液(調製方法は下記に示す)を表1に示す様にスクラッチ強度を変えてワイヤーバーを用いて乾燥付量が2.5g/m2になるように塗布して広幅帯状機上現像型平版印刷版材料を各1500m作製し1−1〜1−8とした。
スクラッチ強度の変化は裏面層用塗布液を調製する時、裏面層用塗布液中のDK−05と、スノーテックス−XSの添加比率と、裏面層の膜厚とを変えることで行った。スクラッチ強度はHEIDON−18型引っ掻き試験機を使用して測定した値を示す。広幅帯状機上現像型平版印刷版材料の厚さは188μmであつた。厚さは(株)東京精密製ScanMaxで測定した値を示す。尚、表中、AはDK−05を、Bはスノーテックス−XSを示す。
《裏面層用塗布液の調製》
岐阜セラツク社製 DK−05:80質量部
日産化学社製 スノーテックス−XS:40質量部
ポリメチルメタクリレート(平均粒径5.5μm):1質量部
水:600質量部
【0136】
【表1】

【0137】
(ロール状機上現像型印刷版材料の作製)
作製した各広幅帯状機上現像型印刷版材料1−1〜1−8を図2〜図4に示す互いに逆方向に回転する上刃と下刃とのセットを有する3組の回転刃により幅560mmに裁断し、巻き芯に巻き取りロール状機上現像型印刷版材料を作製し試料101〜108とした。裁断に使用した上刃の刃先角度は30°、下刃の刃先角度は90°、上刃と下刃とのクリアランスは広幅帯状機上現像型印刷版材料の厚さに対して0%とした。広幅帯状機上現像型印刷版材料の搬送は80m/minとした。
【0138】
(評価)
作製したロール状機上現像型印刷版材料101〜108に付き、搬送性、バリの高さ、印刷汚れ、裏面層の剥がれ、見当性を以下に示す方法により評価し、その結果を表2に示す。
【0139】
印刷汚れ
印刷装置として、小森コーポレーション製のLITHRONE26を用いて、搬送性試験の時に作製した印刷版の切り込みを印刷装置のピンに差し込んだ後に、コート紙(北越製紙製、90kg 720×520)と、湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所製)の2質量部%水溶液、インキとして東洋インキ社製のトーヨーキングハイエコー黄、藍、紅、墨の4色のインキを使用し、印刷スピード9,000枚/時、住友ダンロップ製のブランケットを用いて10,000枚の印刷版を印刷したときの印刷汚れ発生回数を目視で観察し評価した。
【0140】
裏面層の剥がれ
(株)キーエンス製VHX−100を使用し裁断面を観察し、以下の評価ランクに従って評価した。
【0141】
評価ランク
○:裏面層の剥がれがない
△:裏面層の剥がれが1〜10枚発生
×:裏面層の剥がれが11枚以上発生
見当性
4色のトンボ画像を揃えるまでの刷りだしからの損紙の枚数を測定した。
【0142】
【表2】

【0143】
本発明の有効性が確認された。
【0144】
実施例2
実施例1の試料105を作製する時、上刃と下刃との刃先角度及びクリアランスを表3に示す様に変えた他は全て同じ条件でロール状機上現像型印刷版材料を作製し試料201〜213とした。又、裁断時の画像形成層側側の方向を上刃側にした他は全て同じ条件でロール状機上現像型印刷版材料を作製し比較試料214〜221とした。尚、刃先角度は分度器内蔵のルーペにより測定した値を示す。クリアランスはロール状機上現像型印刷版材料の厚さに対する%を示す。
【0145】
(評価)
作製したロール状機上現像型印刷版材料201〜221に付き、搬送性、バリの高さ、印刷汚れ、裏面層の剥がれを以下に示す方法により評価し、その結果を表3に示す。尚、印刷汚れの評価は実施例1と同じ方法で行った。裏面層の剥がれの評価は実施例1と同じ方法で行い、同じ評価ランクに従って評価した。
【0146】
搬送性の評価
各ロール状機上現像型印刷版材料を専用カートリッジに装填し、コニカミノルタメディカルアンドグラフィック(株)製Simplate ProシステムセッターSS−830を使用し、版サイズ560×670の印刷版材料を10,000枚連続露光し、搬出したときの搬送不良回数を測定し評価した。
【0147】
バリの高さ
各試料100枚の裁断面を250倍の目盛内蔵のルーペにより測定し、平均値として示す。
【0148】
【表3】

【0149】
本発明の有効性が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】ロール状機上現像型印刷版材料の概略図である。
【図2】広幅帯状机上現像型印刷版材料を裁断装置により狭幅帯状平版印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法の一例を示す模式図である。
【図3】図2で示される上刃と下刃の関係を示す概略斜視図である。
【図4】図3のA−A′に沿った概略断面図である。
【図5】図3で示される上刃と下刃により、広幅帯状机上現像型印刷版材料を裁断する状態を示す概略断面図である。
【図6】図5のPで示される部分の拡大概略断面図である。
【符号の説明】
【0151】
1、6 ロール状機上現像型印刷版材料
104 プラスチックフィルム基材
105 親水性層
106 画像形成層
107 裏面層
2 広幅帯状机上現像型印刷版材料
4 上刃部
401 円盤状上刃(上刃)
5 下刃部
502 ドラム状下刃(下刃)
θ1、θ2 刃先角度
W クリアランス
T バリの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する長尺のプラスチックフィルム基材上に親水性層と画像形成層とをこの順に有し、裏面に裏面層を有する広幅帯状平版印刷版材料を、互いに逆方向に回転する円盤状上刃とドラム状下刃とのセットを有する少なくとも1組の回転刃を用いて、該ドラム状下刃に抱かせて該広幅帯状平版印刷版材料を走行方向に沿って、少なくとも2条の狭幅帯状平版印刷版材料に連続的に裁断する裁断方法において、
該裏面層のスクラッチ強度が100〜350gであり、
前記裏面層側を該上刃側に当接させて裁断することを特徴とする広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【請求項2】
前記上刃の刃先角度が15〜45°、下刃の刃先角度が75〜90°で、該上刃と該下刃とのクリアランスが広幅帯状平版印刷版材料の厚さに対して0〜15%であることを特徴とする請求項1に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【請求項3】
前記広幅帯状平版印刷版材料が親水性層及び感熱性画像形成層の少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材を含有した機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【請求項4】
前記狭幅帯状平版印刷版材料の裁断面のバリの高さが0〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の広幅帯状平版印刷版材料の裁断方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の裁断方法により広幅帯状平版印刷版材料を少なくとも2条の狭幅帯状平版印刷版材料に裁断した後、該狭幅帯状平版印刷版材料を巻き芯に巻き取りロール状としたことを特徴とするロール状平版印刷版材料。
【請求項6】
前記広幅帯状平版印刷版材料がプラスチックフィルム基材上に親水性層及び感熱性画像形成層と、裏面に裏面層とを有し、該親水性層及び感熱性画像形成層の少なくとも一方の層に近赤外線を熱に変換する光熱変換材を含有している機上現像型印刷版材料であることを特徴とする請求項5に記載のロール状平版印刷版材料。
【請求項7】
前記狭幅帯状平版印刷版材料の裁断面のバリの高さが0〜20μmであることを特徴とする請求項5又は6に記載のロール状平版印刷版材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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