説明

床パネルの端部納め材

【課題】下地床面に敷設した床パネルの下側への風の吹き込みを効果的に防ぎ、強風時にも床パネルが捲れ上がるようなことはなく下地床面上に確実に固定しておけるようにする。
【解決手段】パネル面12が複数の脚体13で支持されてなる床パネル1の側辺に取付けられる端部納め材2を、天面部21と後面部23と左右側面部24、24とを有する塊状金属材により形成する。後面部23は床パネル1と略同じ高さに設け、天面部21は後面部23の上端に連なる一側から他側が下地床面に略接する位置に達するように傾斜させて設けるとともに、後面部23に床パネル1の側辺に接続する連結片25を設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダやバルコニーなどの下地床面に敷き詰めて装飾床面を構成する床パネルの端部に取付ける端部納め材に係り、床パネルが強風を受けても捲れ上がったり分離飛散したりすることなく床面上に確実に固定しておけるようにした構造のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダやバルコニー、軒下などの建物の外壁から張り出した部分の床面は、水捌けを良くするためコンクリートを剥き出しにすることが多く、このようなモルタル床面は見栄えが悪く、歩行の際に足裏に伝わる感触もすぐれない。そこで、図6に示されるような、表面に装飾加工がなされた合成樹脂製の床パネルをモルタル床面に敷き詰め、床面を建物の外壁と調和のとれた外観のものに加工することが行われている。
同図に示された床パネル1は、パネル面12に適宜な装飾加工が施されていてその下面には所定の間隔で複数本の脚体13が突設されてなる単位パネル11を、目地部を介して縦横三列に並べ、且つ周側辺部のうちの隣接二辺にそれぞれ継手部としての雄型継手片14と雌型継手片15を対応位置に複数設けて一体成形されており、これを床面上に複数枚並設し、隣接並置させた床パネル1、1の継手片14、15同士を凹凸嵌合させて両パネル1、1の側辺部を互いに連結することで一体の装飾床面を構成するようになっている。
かかる床パネル1は、合成樹脂材を用いて軽量に形成されており、同図(B)に示されるように、例えばマンションの高層階のベランダなどに床パネル1を敷設した場合などに強風を受けると、風Wが床パネル1の端部からパネル面12の下側に吹き込んで煽られ、敷設した床パネル1が捲れ上がったり分離飛散したりする虞があることから、敷設した床パネル1を下地床面に固定する手段を施す必要がある。
【0003】
従来、床パネルを下地床面に固定する手段としては、例えば床面上に構成された装飾床面の周辺部の床パネルとその近傍の構造物とをステンレスワイヤーなどの接続部材で接続して固定する手段(特許文献1、2参照)や、床面に支持板を固着しておき、この支持板を跨いで敷設した床パネルを支持板に留め付けて床面に固定する手段(特許文献3参照)が知られている。また、床パネルの端部下側に嵩比重の高い重量物を一体に取付けて床パネルを固定しておく手段(特許文献4参照)、或いは床パネルの下側に吹き込んだ風をパネル上方へ誘導する導風板を床パネルの端部に取り付け、強風を受けたときの負圧を抑制することで床パネルの捲れ上がりを防止する手段(特許文献5参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−172898号公報
【特許文献2】特開平11−223007号公報
【特許文献3】特開2009−84778号公報
【特許文献4】特開2008−190313号公報
【特許文献5】特開2003−56166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記床パネルを固定する手段において、装飾床面を構成する周辺部の床パネルと構造物とを接続部材を介して接続する手段では、構造物に接続した周辺部の床パネルは捲れ上がる虞はないものの、装飾床面の中央部寄りの床パネルは、床パネルの下側に吹き込んだ風に煽られて床パネル同士の連結が外れ、捲れ上がってしまうという問題がある。
床面に固着された支持板に床パネルを固定する手段では、予め床パネルの敷設位置に合わせて支持板を床面に固着しておく必要あるなど施工が面倒であり、各床パネルを支持板に固定するため床パネルの分離飛散の防止に有効である反面、支持板から床パネルを取り外し難く、装飾床面のメンテナンス作業やレイアウトの変更に手間を要するという問題がある。
また、床パネルの端部に重量物を一体に取付けて固定する手段では、重量物を取付けた床パネルの端部と下地床面との間が段差となり、床パネル上を歩行しているときに段差に足を取られて躓き易くなり、また、前記床パネル端部から床パネルの下側への風の進入は防ぐことができず、前記と同様に、床パネルの下側に吹き込んだ風に煽られて装飾床面を構成する床パネルの一部が捲れ上がってしまうという問題がある。
さらに、何れの固定手段であっても、合成樹脂製の床パネルで装飾床面を構成した場合には、風速50m/Sを超える強風が床パネルに吹き付けたときには、床パネル同士の連結が外れて床パネルが捲れ上がってしまい、床パネルの分離飛散を防止することができなかった。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、下地床面に敷設した床パネルの下側への風の吹き込みを効果的に防ぎ、強風時にも床パネルが捲れ上がるようなことはなく、床パネルを下地床面上に確実に固定しておくことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、パネル面が複数の脚体で支持されてなる床パネルの側辺に取付けられる端部納め材において、
天面部と後面部と左右側面部とを有する塊状金属材からなり、前記後面部は床パネルと略同じ高さに設けられ、天面部は後面部の上端に連なる一側から他側が下地床面に略接する位置に達するように傾斜させて設けられているとともに、床パネルの側辺に接続する連結片が前記後面部に設けられた構成を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の端部納め材は、下地床面に敷設した床パネルの側辺端部に連結片を接続して取付けられる。端部納め材は、合成樹脂製の床パネルよりも重い塊状金属材からなるで、強風を受けても変位することなく設置位置に固定され、これに接続した床パネルの変位を防止して敷設位置に保持することができる。
端部納め材は、その後面部が床パネルと略同じ高さに設けてあるので、当該後面部で床パネルの端部の隙間が遮蔽されて床パネルの下側空間への風の進入が阻止され、また、天面部が後面部から下り傾斜させて設けてあるので、端部納め材に吹き付ける風は天面部に沿って床パネルの上方空間へと導かれ、床パネルの下側空間へ進入する風はごく僅かな量となって強風を受けた際の影響を最小限に抑え、これにより床パネルが強風を受けて捲れ上がったり分離飛散したりすることを効果的に防止することができる。また、天面部の先端は下地床面に略接する高さに設けてあるので、下地床面との段差が極めて小さく、床パネルを歩行中に足をとられて躓くことはない。
【0009】
前記構成の端部納め材は、鉄やアルミニウム、より好ましくは比重が4以上の重金属などの質量が大きな金属材を用い、鋳物やダイカスト法などによって形成することができる。その表面には防蝕加工を施すことが好ましく、例えば全体を鉄で形成し、その表面を錆防止のための塗装をし、或いはアルミダイカストにより形成し、その表面をアルマイト加工した後、塗装したりすることができる。また、インサート射出成型により、金属コア体の表面を合成樹脂材で被覆して形成してもよい。
また、端部納め材の天面部には、装飾用或いは防滑用としての複数の凹部又は凸部を形成することができる。床パネルのパネル面に施した装飾と対応した凹凸模様を形成してもよい。天面部と底面部の間を貫通するように凹部を設けてよい。
端部納め材は、一枚の床パネルの側辺に接続する長さに形成されるが、床パネルを複数枚列設した場合にそれら複数枚の床パネルの側辺全体に接続する長さに形成してもよい。後面部に設ける連結片は、床パネルの側辺に接続可能な適宜な形状に設けることができ、例えば先端に床パネルの脚体が係合する係合部を有する連結片を後面部から突出させて形成することができる。
また、強風を受けても変位しないだけの質量が確保されていれば、端部納め材を中空状に設けてもよい。塊状に形成する場合、端部納め材の底面部には排水用の凹部を設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の端部納め材の一実施形態の外観斜視図である。
【図2】図1の端部納め材の平面図である。
【図3】図1の端部納め材の拡大縦断面図である。
【図4】図1の端部納め材を床パネルに取付けた状態の断面図である。
【図5】他の実施形態の端部納め材の要部断面図である。
【図6】(A)は床パネルを敷設して装飾床面を構成する形態を説明するための図、(B)は床パネルの端部から風が吹き込む状態を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の端部納め材の外観を示しており、この端部納め材2は、天面部21と底面部22と後面部23と左右側面部24、24とを有して断面直角三角形状に成形された鉄製の鋳物であり、後面部23に設けた連結片25を前記図6に示された床パネル1の側辺端部に接続して床パネル1の側端部に一体に取付けることができるように構成してある。
【0012】
より詳しくは、端部納め材2は床パネル1の側辺と略同じ長さのブロック体として形成されており、その後面部23が床パネル1を略同じ高さに設けられ、床パネル1に接続した状態で後面部23が床パネル1の端部の隙間を遮蔽するように設けてある。
左右側面部24、24は直角三角形状を呈し、その斜辺に配した天面部21は一側が後面部23の上端に連なり、他側が下地床面に略接する位置に達するように傾斜させて設けてある。また、天面部21の上面には複数の防滑用の凹部21aを形成してある。
連結片25は、その先端に床パネル1の脚体13が係合する係合部25aを備えており、床パネル1の脚体13の設置位置及び配置間隔に対応させて、後面部23から複数本突出させてある。
なお、図示されないが、端部納め材2はその表面を防蝕塗料で塗装してある。端部納め材2は、その表面の防蝕のため、図5に示されるように、金属コア体の表面をインサート成型によって合成樹脂材3で被覆して形成してもよい。
【0013】
このように構成された端部納め材2は、図6に示された如く下地床面に敷設した床パネル1の側辺端部にこれを配置し、床パネル1の脚体13に連結片25の係合部25aを係合させて床パネル1に接続し取付けることができる。
図4に示されるように、床パネル1に端部納め材2を取付けた状態で、端部納め材2が塊状金属材からなるので、強風を受けても変位せずに取付け位置に固定され、接続した床パネル1を敷設位置に保持することができる。また、床パネル1と略同じ高さに設けた後面部23によって床パネル1の端部の隙間が遮蔽されるので、床パネル1の下側空間へ風が吹き込むことはなく、さらに天面部21が後面部23から下り傾斜させて設けてあるので、端部納め材2に吹き付ける風は天面部21に沿って床パネル1の上方空間へと導かれ、床パネル1の下側空間へ進入する風はごく僅かな量に抑えられ、これにより床パネル1が強風を受けて捲れ上がったり分離飛散したりすることを効果的に防止することが可能である。
【0014】
なお、図示した床パネル1や端部納め材2の形態は一例であり、これらは床パネル1の敷設位置や広さなど、設置条件に応じて適宜な形態に設けることが可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 床パネル、11 単位パネル、12 パネル面、13 脚体、2 端部納め材、21 天面部、22 底面部、23 後面部、24 左右側面部、25 連結片、3 合成樹脂材、W 風


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面が複数の脚体で支持されてなる床パネルの側辺に取付けられる端部納め材において、
天面部と後面部と左右側面部とを有する塊状金属材からなり、前記後面部は床パネルと略同じ高さに設けられ、天面部は後面部の上端に連なる一側から他側が下地床面に略接する位置に達するように傾斜させて設けられているとともに、床パネルの側辺に接続する連結片が前記後面部に設けられた構成を有することを特徴とする床パネルの端部納め材。
【請求項2】
表面に防蝕加工を施して形成された請求項1に記載の床パネルの端部納め材。
【請求項3】
天面部に複数の凹部又は凸部を形成してなる請求項1又は2に記載の床パネルの端部納め材。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−99214(P2011−99214A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252990(P2009−252990)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】