説明

床パネル

【課題】床版上に複数枚を並設し互いに連結して装飾床面を構成する床パネルにおいて、床パネルの継ぎ目部が目立たず、一枚の人工芝を敷き詰めた如き外観を呈する床面を形成することができるようにする。
【解決手段】方形パネル面の側辺に連結片26、27を有する床パネル1のパネル面2aに人工芝マット3を一体に固着し、パネル面2aの縁部における人工芝マット3の芝糸32の先端部分を縁部外方へ庇状に突出させ、床パネル1、1同士の継ぎ目部が芝糸32で覆い隠れるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モルタル床や庭先、バルコニー、ベランダなど屋内外の下地床版上に敷設して装飾床面を形成する床パネルであって、パネル面に人工芝マットが一体に取り付けられた装飾床パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
バルコニーなどの下地床版上に敷設して装飾床面を形成する合成樹脂製の床パネルとして、床に芝生を敷いたような外観及び質感を醸し出すため、パネル面に人工芝マットを取り付けた床パネルが用いられている。
図5はその一例を示し、この床パネル100は、複数の脚体102で支持される、側辺に連結片103を有する平面視正方形のパネル面101に人工芝マット104を一体に取り付けて形成され、床版上に複数の床パネル100を並設し、隣接する床パネル100、100同士を一方の床パネル100の連結片103に他方の床パネル100の脚体102を係合して連結することで、適宜な面積の人工芝の床面を構成するものである(例えば特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−7924号公報
【特許文献2】実開昭62−16102号公報
【特許文献3】特開平5−277219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記図示した床パネル100にあっては、特別な技量を要さずに、床版上にタイルを敷く要領で人工芝の床面を簡単に形成することが可能である。
しかし、所定の大きさに形成された床面を上方から眺めると、図6に示されるように、人工芝マット104の芝糸104aの植設密度が床パネル100、100の継目部分で薄くなって連結した床パネル100、100の目地105が格子状に浮き出てしまい、また、継ぎ目部分で各床パネル100の連結片103も露出してしまう。タイル状の装飾を施した床面内にスポット的に人工芝を固着した前記床パネル100を一枚だけ組み込んで装飾床面を形成する場合は周囲の床パネルとの継ぎ目は目立たず気にはならないが、前記床パネル100同士を複数並設したときは、床パネル100の継ぎ目部分で人工芝マット104が途切れているように見え、恰も一枚の人工芝を敷き詰めた外観のように床面を形成することができなかった。また、床面に目地105があると、目地105にゴミが入り込んで溜まり易くなるという問題もあった。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、床となる部分である床版上に複数枚を並設し互いに連結して装飾床面を構成する床パネルにおいて、床パネルの継ぎ目部が目立たず、一枚の人工芝を敷き詰めた如き外観を呈する床面を形成できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、方形パネル面の側辺に連結片を有する床パネルであって床版上に隣接配置した床パネル同士を連結片で互いに接続して一体の装飾床面を構成する床パネルにおいて、前記パネル面に人工芝マットが取り付けられているとともに、パネル面の縁部における人工芝マットの芝糸の先端部分を縁部外方へ突出させて構成してあることを特徴とする。
【0007】
前記構成の床パネルは、人工芝マットの芝糸をパネル面の一の側辺から対向位置の他の側辺に向けて傾倒させるとともに、前記他の側辺の縁部において芝糸の先端部分を縁部外方へ突出させて構成することができる。
前記構成において、床版上に隣接配置した床パネル同士を連結片で互いに接続したときに、パネル面の縁部外方へ突出した芝糸で前記連結片の接続部が覆い隠れるように構成してあることが好ましい。
【0008】
本発明の床パネルによれば、床版上に複数枚を並設し、隣接する床パネル同士を連結片で接続することで人工芝を敷き詰めた如き装飾床面を形成することができる。人工芝マットは、パネル面の縁部における芝糸を縁部外方へ倒すなどして、芝糸がパネル面の縁部外方へ突出するように設けてあるので、床パネル同士を接続したときに、床パネルの縁部の芝糸の先端が庇状に縁部外方へ突出して隣接する床パネルの縁部に達し、連結片の接続部が芝糸で覆い隠れて目地が目立たず、恰も一枚の人工芝を敷き詰めた如き外観の装飾床面を形成することができる。また、床パネルの継ぎ目部が芝糸で覆われるので、目地にゴミが入り込み難くなる。
【0009】
人工芝マットの芝糸は、方形パネル面の四側辺の全辺においてその先端が縁部外方へ突出するように設けても、一辺を除く三辺、又は隣接二辺のみ、対向二辺のみ、或いは一辺のみで、それら側辺の縁部から先端が外方へ突出するように設けてもよい。要は床パネル同士の継ぎ目部がパネル面の縁部外方へ突出した芝糸で覆い隠れるように設けてあればよい。縁部における芝糸の突出寸法は、連結片の形態に応じて、接続した連結片の上方を覆い隠すことができる適宜な長さに設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の床パネルの上面図(A)と底面図(B)である。
【図2】図1の床パネルの下側連結片(A)と上側連結片(B)を示すパネルの要部破断拡大図である。
【図3】図1の床パネルの側面図である。
【図4】図1の床パネル同士を接続した状態のパネル継ぎ目部分の拡大断面図である。
【図5】従来の床パネルの断面図である。
【図6】従来の床パネルを連結した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、本形態の床パネル1は、合成樹脂製のパネル基台2の上面に人工芝マット3を一体に取り付けて構成されている。
【0012】
パネル基台2は、縦横三列に並べた正方形の単位パネル21を継手部22で隣接パネル同士を接合して正方形のブロックパネルとして一体に成形してある。
詳しくは、各単位パネル21は、そのパネル面21a内に複数の通孔23を有し、その周囲に側壁24を垂設するとともに、パネル面21aの底部に適宜な高さの円柱状の脚体25を所定の間隔を開けて複数突設させた形状に設けてある。また、パネル基台2の一の角部を挟む隣接二側辺2A、2Bに沿った各単位パネル21の側壁24には、図2(A)に示される、係合スリット26aを有して側壁底部から外方へ突出した下側連結片26が設けてあり、一方、前記二辺と対向する隣接二側辺2C、2Dに沿った各単位パネル21の側壁24には、同図(B)に示される、側壁底部から下方へ突出した係合突部である上側連結片27が設けてある。これらは、図4に示されるように、上側連結片27を下側連結片26の係合スリット26a内に圧入することによって互いに係合する対応形状に形成されており、パネル基台2を並設した際に隣接するパネル基台2同士で対応位置の下側連結片26と上側連結片27を互いに係合させることにより、パネル基台2、2同士を一体に連結できるように設けてある。
【0013】
人工芝マット3は、下地となる基布31上に芝糸32を貼り付けて形成されており、パネル基台2の上面寸法に沿って正方形に裁断されたものをパネル基台2の上面に重ね、レーザー接着や高周波接着などの適宜な接着手段を用いてパネル基台2のパネル面2aに一体に固着してある。
そして、本形態の床パネル1では、図3に示されるように、パネル基台2の側辺2A側からこれと対向する側辺2C側に向けて人工芝マット3の芝糸32全体を傾倒させるとともに、前記側辺2Cの縁部において、パネル面2aから芝糸32の先端が縁部外方へ適宜な幅で庇状に突出するように設けてある。芝糸32を傾倒させる手段は、予め人工芝マット3の表面を押圧して芝糸32に折り癖をつけておいたり、人工芝マット3をパネル基台2に取り付けた後、マット表面を加熱しながら芝糸32が傾倒する方向に芝目を強制的につけたりするなど適宜な手段を用いることができる。
【0014】
このように構成された本形態の床パネル1は、床版上に複数枚を並設し、図4に示されるように、隣接する床パネル1同士で一側の床パネル1の上側連結片27を他側の床パネル1の下側連結片26に係合させて連結することにより、適宜な大きさの人工芝の装飾床面を形成することができる。
この際、床パネル1、1の継ぎ目部分は、同図に示されるように、床パネル1の縁部外方へ張り出した芝糸32の先端部分が、これと隣接する床パネル1のパネル面2aの縁部に達して上下連結片26、27の接続部を覆い、床パネル1、1間の目地が芝糸32で覆われるので目立たず、床面は恰も一枚の人工芝を敷き詰めた如き外観のものとなる。
また、床パネル1の側辺2Aから側辺2Cに向けて芝糸32を傾倒させ、下側連結片26を設けた側辺2A側では芝糸32を縁部外方へ突出させてはいないので、床パネル1、1同士を連結する際に下側連結片26の位置を確認して、上側連結片27を容易に係合させることが可能である。
【0015】
なお、図示した形態は一例であり、本発明の床パネル1の構成はこれに限定されるものではない。
パネル基台2は平面視正方形に形成したが、長方形や他の多角形状に形成してもよく、また、パネル同士を接続する連結片も他の適宜な形態に設けることができる。また、図示した形態では、床パネル1の側辺2Cの縁部からのみ芝糸32がパネル外方へ突出するように設けたが、上側連結片27を設けた側辺2Dの縁部からも芝糸32が突出するように設けてもよく、また、パネル面2aの四側辺の縁部において芝糸32が縁部外方へ突出するように設けてよい。
【符号の説明】
【0016】
1 床パネル、2 パネル基台、2a パネル面、21 単位パネル、21a パネル面、22 継手部、23 通孔、24 側壁、25 脚体、26 下側継手片、26a 係合スリット、27 上側連結片、2A〜2D 側辺、3 人工芝マット、31 基布、32 芝糸




【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形パネル面の側辺に連結片を有する床パネルであって床版上に隣接配置した床パネル同士を連結片で互いに接続して一体の装飾床面を構成する床パネルにおいて、
前記パネル面に人工芝マットが取り付けられているとともに、パネル面の縁部における人工芝マットの芝糸の先端部分を縁部外方へ突出させて構成してあることを特徴とする床パネル。
【請求項2】
人工芝マットの芝糸をパネル面の一の側辺から対向位置の他の側辺に向けて傾倒させるとともに、前記他の側辺の縁部において芝糸の先端部分を縁部外方へ突出させて構成してあることを特徴とする請求項1に記載の床パネル。
【請求項3】
床版上に隣接配置した床パネル同士を連結片で互いに接続したときに、パネル面の縁部外方へ突出した芝糸で前記連結片の接続部が覆い隠れるように構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の床パネル。





【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−242423(P2010−242423A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93926(P2009−93926)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】