説明

床パンの防振支持構造

【課題】 床パンのレベル上昇がきわめて小さい床パンの防振支持構造を提供するを提供する。
【解決手段】 支持脚2が防振部材8によって支持されている。この防振部材8は、環形状のゴムブロック9と、該ゴムブロック9の上面及び下面に加硫接着された金属板10,11とからなる。上側の金属板10は、中央部が凹陥した略円板状のものであり、凹陥部12がゴムブロック9の中心孔9aに入り込んでいる。この凹陥部12に支持脚2の下側が入り込んでいる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はユニットバスルーム等のユニットルームにおける床パンの支持構造に係り、特に床パンの防振支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】第7図の如く、防水パン(床パン)1を支持脚2によって建築物躯体床面3に支持されるに際し、ゴムブロック4を支持脚2と躯体床面3との間に介在させることがある。第8図はその支持構造例(特開平4−161674号公報)を示す縦断面図であり、一対の板体5,6間に防振ゴム7を介在させたものをボルトよりなる支持脚2の下に設置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】第8図に示す従来の床パンの防振支持構造においては、支持脚2が防振ゴム7の上に載る構成となっているため、床パン1が防振ゴム7の厚み分だけ高レベルに配置されることになる。
【0004】本発明は、床パンのレベル上昇がきわめて小さい床パンの防振支持構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の床パンの防振支持構造は、複数本の支持脚で床パンを支持し、この支持脚の下側に防振部材を設置した床パンの防振支持構造において、該防振部材は、中心孔を有した環形状のゴムブロックと、該ゴムブロックの上面に重なった金属板とを備え、前記支持脚が該金属板に支承されており、該支持脚の下端が該ゴムブロックの該中心孔に入り込んでいることを特徴とするものである。
【0006】かかる本発明の床パンの防振支持構造においては、支持脚の下端がゴムブロックの中心孔に入り込んでいるため、床パンのレベル上昇が小さなものとなる。本発明の一態様では、前記金属板に前記中心孔に入り込む凹陥部が設けられており、前記支持脚の下端が該凹陥部内に入り込んでいる。
【0007】かかる床パンの防振支持構造においては、ゴムブロックを躯体表面の上に配置しておいてその上に支持脚付きの床パンの該支持脚を載せるように施工することができる。
【0008】本発明の別態様においては、前記金属板とゴムブロックとが接合されており、該金属板に雌ネジ孔が前記中心孔と同軸的に設けられており、該雌ネジ孔に前記支持脚が螺合している。
【0009】かかる床パンの防振支持構造においては、金属板を介してゴムブロックを予め支持脚に取り付けておくことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】第1図は本発明の実施の形態を示す断面図であり、ボルトよりなる支持脚2が防振部材8によって支持されている。この防振部材8は、環形状のゴムブロック9と、該ゴムブロック9の上面及び下面に加硫接着された金属板10,11とからなる。
【0011】下側の金属板11は環形状であり、その外径はゴムブロック8の外径よりの若干大きなものとなっている。これは、防振部材8を躯体床面3に接着する接着剤がゴムブロック9に接触するのを防ぐためである。上側の金属板10は、中央部が凹陥した略円板状のものであり、凹陥部12がゴムブロック9の中心孔9aに入り込んでいる。この凹陥部12に支持脚2の下端が入り込んでいる。
【0012】この防振部材8を躯体床面3の所定位置に配置しておき、且つ凹陥部12内に接着剤13を所要量注入しておく。この防振部材8上に支持脚2を載せるようにして床パンを設置し、この際、支持脚2を凹陥部12内に納め込む。
【0013】かかる床パンの防振支持構造においては、支持脚2が凹陥部12内に入り込んでいるため、防振部材8を設けていても床パンのレベル上昇はごくわずかなものとなる。
【0014】第2図(a)は別の実施の形態に用いられる防振部材の断面図である。この防振部材8Aの上側の金属板10Aは平坦な円環形であり、その中央上面にナット14が溶接されている。その他の構成は第1図と同様である。
【0015】この防振部材8Aのナット14に対して、第2図(b)のように、支持脚2を下側から螺挿しておく。この防振部材8A付きの床パンを躯体床面上に置くことにより床パンの設置施工が行われる。
【0016】なお、第2図(c)のように、両切りボルト状の支持脚2Aの場合には、該支持脚2Aをナット14に対し、上方から螺挿できる。
【0017】なお、第2図の防振部材8Aではナット14が金属板10Aの上側にのみ配置されているが、第3図の防振部材8Bのようにナット14の一部が金属板10Aの下側に入り込むように設けても良い。また、第4図の防振部材8Cのようにナット14を金属板10Aの下側にのみ配置しても良い。なお、第4図の防振部材8Cは上面がフラットであるため、梱包体積が小さい。
【0018】第3,4図のナット14は、下側が閉じた袋ナットであっても良い。
【0019】第5図はナット14Aとして上側の大径部14aと下側の小径部14bとを有するものを用いた防振部材8Dの断面図である。このナット14Aを用いると、大径の支持脚を大径部14aに螺合させ、小径の支持脚を小径部14bに螺合させることができるため、1種類の防振部材8Dによって直径の重なる支持脚に対応できる。
【0020】第6図の防振部材8Eは、ナットの代わりに上側の金属板10Bに中心孔9aと同軸的に雌ネジ孔15を刻設したものであり、この雌ネジ孔15に支持脚を螺合させる。
【0021】第2図ないし第6図の防振部材を用いた場合でも、支持脚の下端がゴムブロック9の中心孔9aに入り込むようになるので、床パンのレベル上昇が小さなもので済むようになる。
【0022】
【発明の効果】以上の通り、本発明の床パンの防振支持構造は、支持脚の下端がゴムブロックの中心孔に入り込むように構成されているものであり、防振部材を支持脚と躯体床面との間に介在させた構造における床パンのレベル上昇を小さなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る床パンの防振支持構造を示すものであり、(a)図は縦断面図、(b)図は防振部材の断面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る床パンの防振支持構造に用いられる防振部材8Aの断面図である。
【図3】実施の形態に係る床パンの防振支持構造に用いられる防振部材8Bの断面図である。
【図4】実施の形態に係る床パンの防振支持構造に用いられる防振部材8Cの断面図である。
【図5】実施の形態に係る床パンの防振支持構造に用いられる防振部材8Dの断面図である。
【図6】(a)図は実施の形態に係る床パンの防振支持構造に用いられる防振部材8Eの断面図、(b)図は斜視図である。
【図7】床パンの防振支持構造を示す側面図である。
【図8】従来の床パンの防振支持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 床パン(防水パン)
2 支持脚
3 躯体床面
4,9 ゴムブロック
8,8A,8B,8C,8D,8E 防振部材
9a 中心孔
10,10A,10B,11 金属板
12 凹陥部
14,14A ナット
15 雌ネジ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数本の支持脚で床パンを支持し、この支持脚の下側に防振部材を設置した床パンの防振支持構造において、該防振部材は、中心孔を有した環形状のゴムブロックと、該ゴムブロックの上面に重なった金属板とを備え、前記支持脚が該金属板に支承されており、該支持脚の下端が該ゴムブロックの該中心孔に入り込んでいることを特徴とする床パンの防振支持構造。
【請求項2】 請求項1において、前記金属板に前記中心孔に入り込む凹陥部が設けられており、前記支持脚の下端が該凹陥部内に入り込んでいることを特徴とする床パンの防振支持構造。
【請求項3】 請求項1において、前記金属板とゴムブロックとが接合されており、該金属板に雌ネジ孔が前記中心孔と同軸的に設けられており、該雌ネジ孔に前記支持脚が螺合していることを特徴とする床パンの防振支持構造。
【請求項4】 請求項1において、前記金属板に前記中心孔と同軸的に開口が設けられており、且つ該開口と同軸的なナットが該金属板に固着されており、前記支持脚が該ナットに螺合していることを特徴とする床パンの防振支持構造。
【請求項5】 請求項4において、前記ナットの内孔は上側が大径孔となっており、下側が小径孔となっており、前記支持脚が該大径孔と小径孔とのいずれかに螺合していることを特徴とする床パンの防振支持構造。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平9−242151
【公開日】平成9年(1997)9月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−54712
【出願日】平成8年(1996)3月12日
【出願人】(000000479)株式会社イナックス (1,429)