床化粧材
【課題】表面材を、治具を用いることなくベース部材に対して正確に位置決め状態で配置できるとともに、表面材に2次加工を施す必要がない床化粧材を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴としている。
【解決手段】少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベランダや屋上等のコンクリート土間などの基礎床上に並べて敷設される床化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダや屋上等の意匠性を高めるために、コンクリート土間上に、ベース部材の表面材受面にタイルなどの表面材を受けさせた状態で、ベース部材に表面材を固定した床化粧材を敷き並べることが従来から行われている。
この床化粧材の、ベース部材と表面材との固定方法としては、ベース部材に、その表面材受面から上方に突出する逆円錐台形状の突起を設け、表面材の下面に、この突起が嵌合する略突起形状をした嵌合凹部を設けて、突起を嵌合凹部に圧入嵌合して固定する方法(特許文献1参照)や、図13に示すように、表面材100がベース部材200 の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面210まで貫通するようにベース部材200 に設けられた内部に係止部221を有する接着剤溜まり部220に、ベース部材200の下面側から接着剤Sを充填し固化させることによって、表面材100をベース部材200 に固定する方法(特許文献2参照)が既に提案されている。
【0003】
しかしながら、前者の固定方法では、表面材の嵌合凹部が入口側から嵌合凹部の底に向かって徐々に拡径しており、アンダーカット構造となっているため、まず、嵌合凹部の入口と同じ径の円筒状凹部を形成したのち、削り出し加工する必要があり、表面材の生産性が悪いという問題がある。
一方、後者の固定方法では、まず、裏向け状態の表面材100の上に、ベース部材200を上下反転させて表面材受面210が表面材100に密着するように載せたのち、その状態で接着剤溜まり部220に充填し固化させるようになっているが、1つのベース部材200に複数の表面材100が所定の隙間を隔てて接着固定されるような床化粧材においては、表面材100同士の間隔保持を正確に行うために位置あわせ治具が必要で、表面材100の配置パターンが異なるごとに治具を用意しなければならず、表面材100及びベース部材200以外に、位置あわせ治具の製造コスト及び保管コストがかかるという問題がある。
【0004】
また、後者の固定方法では、例えば、ベース部材200 がオレフィン系の樹脂、表面材100がタイルのような無機材であるというように、ベース部材200 と表面材100が異種の材料の場合においても、接着剤によってベース部材200 に表面材100がしっかりと固定できるように、接着剤溜まり部220内に接着剤溜まり部220の内部に棒状または十字状に係止部221が設けられている。
すなわち、係止部221を巻き込むように、表面材100に対して強固な接着性を有する接着剤Sを接着剤溜まり部220内に充填することによって、接着剤溜まり部220に充填された接着剤Sがベース部材200 から離脱することを防止する一方、表面材100の固定も図るようにしている。
また、上記の固定方法では、係止部221が巻き込まれるように、図13に示すように、接着剤Sを接着剤溜まり部220の係止部221の上端より高い位置まで充填するようにしている。
【0005】
しかし、床化粧材は、一般的に屋外において使用されるため、接着剤は屋外使用に対する耐久性を有する必要があり、接着剤自体も高いものを使用する必要がある。
したがって、上記のように接着剤Sを接着剤溜まり部220の係止部221の上端より高い位置まで充填する固定方法では、接着剤Sの使用量が多く、コスト高になるという問題がある。
【0006】
一方、本発明の発明者は、ベース部材(樹脂マット)の表面側に凹部(または凸部)が形成され、表面材の裏面側に凸部(または凹部)が形成され、ベース部材の凹部(または凸部)と表面材の凸部(または凹部)とが嵌まり合ったときにベース部材と表面材が回動しないように凹部と凸部が係合し合うようにした床化粧材を先に提案している(特許文献3参照)。
すなわち、この床化粧材の構造においては、ベース部材の凹部(または凸部)と表面材の凸部(または凹部)とが嵌まり合って位置決めがなされるため、上記のように位置あわせ治具を用いなくてもよくなり、位置あわせ治具の製造コスト及び保管コストの問題が解消される。
しかしながら、この先に提案された床化粧材においても、表面材とベース部材との固定は、上記後者の固定方法と同じであるため、接着剤の使用量が多いという問題は解消されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2551988号公報
【特許文献2】特許第2783127号公報
【特許文献3】特開2003−147945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、表面材を、治具を用いることなくベース部材に対して正確に位置決め状態で配置でき、かつ、少ない接着剤の使用量でベース部材に固定できるとともに、表面材に2次加工を施す必要がない床化粧材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる床化粧材は、少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明において、位置決め突部及び位置決め凹部は、位置決め突部と位置決め凹部との嵌合によって、表面材の決められた仮想基準軸と、ベース部材の決められた仮想基準軸とがつねに一致するあるいは平行となる形状または配置に形成されていることが好ましい。
すなわち、表面材の表面に方向性のある意匠が施されている場合、表面材をその意匠方向がベース部材に対して同一方向に向かうように確実に固定することができる。すなわち、固定方向の間違いをなくすことができる。
【0011】
また、ベース部材は、特に限定されないが、表面材受面を有する平面視矩形の本体部と、この本体部の矩形の2辺に沿って設けられる雌型嵌合部と、前記本体部の矩形の2辺に沿って前記雌型嵌合部と対称位置に設けられる雄型嵌合部とを備えている構成としてもよい。
このような構成とすることによって、同種の床化粧材をつぎつぎに連結して摺れ動かないようにすることができる。
【0012】
本発明において、表面材の材質は、特に限定されず、無機系焼成体、木材、合成樹脂、金属、天然石や、これらの複合材料が挙げられる。
一方、ベース部材の材質は、特に限定されないが、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の合成樹脂、金属、ゴムなどが挙げられ、成形性を考慮すると合成樹脂が好ましい。
また、上記合成樹脂に必要に応じて、必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、充填剤等を添加してもよい。
【0013】
上記熱安定剤としては特に限定されず、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メ
ルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー
、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブ
チル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三
塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム− 亜鉛系安定剤、バリウム− 亜鉛系安定剤、バリウム− カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記の安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化ア
マニ豆油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エス
テル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記の滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤等が挙げられる。上記の内部滑剤は、成形加
工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記の内部滑
剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステア
リルステアレート、エポキシ化大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビ
スアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記の外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用さ
れる。上記の外部滑剤としては特に限定されず、例えば、モンタン酸系ワックス、パラフィン系ワックス、ポリオレフイン系ワックス、エステル系ワックス等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記加工助剤としては特に限定されず、例えば、重量平均分子10万〜200万のア
ルキルアクリレート/ アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記の酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の光安定剤として
は特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、べンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定
剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明において用いられる接着剤としては、充填時には、液状、ペースト状あるいは粉末状をしていて、固化によって表面材との接着性があり、表面材をベース部材から剥がれないように固定できる材料強度を有していれば、特に限定されないが、例えば、ホットメルト型接着剤、熱硬化性樹脂接着剤、パテ、セメント、シリコーン樹脂系充填材などが挙げられ、屋外で使用するので耐候性の高いものがより好ましい。
【0020】
上記ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなるホットメルト型接着剤が好ましい。
そして、ホットメルト型接着剤の場合、予め、ぺレット状や粉末状の接着材料を加熱溶融してから接着部分に滴下充填してもよいが、ベース部材または表面材にぺレット状や粉末状の接着材料を配設しておき、この接着材料をハロゲンランプで集中加熱するかもしくは高周波ウエルダーで加熱してもよい。
また、熱硬化性樹脂接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系のものが挙げられ、難流動性の粘度に調整されたものを接着部分に滴下充填するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる床化粧材は、以上のように、ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、表面材が、表面材受面に受けられたとき、位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えているので、ベース部材の位置決め突部を表面材の嵌合凹部に嵌合させることによって、表面材を、治具を用いることなく正確に位置決めできる。また、嵌合凹部を形成するのに、表面材に2次加工を施す必要がないため、表面材の生産性もよいようになる。
【0022】
さらに、接着剤の係止部ともなる位置決め突部をベース部材の表面材受面から上方に突出させ、表面材に位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えることで、係止部ともなる位置決め突部がベース部材側に入り込むため、接着剤溜まり部内に係止部を設けた従来の床化粧材に比べ、従来の床化粧材の係止部の高さ分だけ少ない接着剤の使用量で、強固にベース部材に固定することができる。
しかも、表面材に位置決め凹部を形成しているので、従来のように位置決め凹部を設けていない場合に比べ、位置決め凹部の側壁面分だけ、接着剤が接触する面積が増える。したがて、より強固に表面材をベース部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる床化粧材の第1の実施の形態を表面材側からみた斜視図である。
【図2】図1の床化粧材をベース部材側からみた部分拡大斜視図である。
【図3】図1の床化粧材における表面材の底面図である。
【図4】図1の床化粧材におけるベース部材の底面図である。
【図5】図1の床化粧材におけるベース部を上面側からみた要部拡大斜視図である。
【図6】図1の床化粧材の製造方法を説明する図であって、位置決め突部を嵌合凹部に嵌合させる前の状態を断面でみてあらわしている。
【図7】図6の直交方向の断面図である。
【図8】図1の床化粧材の製造方法を説明する図であって、接着剤の充填状態を断面でみてあらわしている。
【図9】図8の直交方向の断面図である。
【図10】本発明にかかる床化粧材の第2の実施の形態を表面材側からみた斜視図である。
【図11】図10の床化粧材における表面材の底面図である。
【図12】図10の床化粧材におけるベース部材の底面図である。
【図13】従来の床化粧材における表面材とベース部材との固定部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明にかかる床化粧材の第1の実施の形態をあらわしている。
【0025】
図1及び図2に示すように、この床化粧材Aは、4枚の表面材1aと、ベース部材2aとを備えている。
表面材1aは、無機系焼成体、木材、合成樹脂、金属、天然石、あるいは、これらの複合材料からなり、図1及び図3に示すように、平面視略正方形をしており、図3に示すように、下面(底面)側の四隅に、後述するベース部材2aの位置決め突部34が嵌合する嵌合凹部11が凹設されている。
【0026】
嵌合凹部11は、幅2〜4mm、長さ10〜20mm、最大深さ2〜3mmで、長手方向の両端がアール状に徐々に浅くなった長穴状をしている。
ベース部材2aは、PVC,PP、PE、ABS等の熱可塑性樹脂の射出成形品であって、図1、図2、図4及び図5に示すように、本体部3a と、雌型嵌合部4と、雄型嵌合部5と、を備えている。
【0027】
本体部3a は、図2、図4及び図5に示すように、表面材受部31と、脚部32と、接着剤溜まり部33と、図4及び図5に示す位置決め突部34とを備えている。
表面材受部31は、外形が平面視正方形をしていて、その投影面積が上記表面材1aの4枚の投影面積と、表面材1aと表面材1aとの間に生じる目地部の投影面積の合計と略同じになっており、その上面が表面材受面31aとなっている。
また、表面材受部31は、表面材1aと表面材1aとの目地部を臨む位置に、長孔状の水抜き孔31bが多数穿設されている。
【0028】
脚部32は、表面材受部31の下面から突出し、床化粧材Aの載置面との間に排水空間を形成する多数の脚部32とを備えている。
接着剤溜まり部33は、表面材受面31aに受けられる4枚の表面材1aの四隅を臨む位置に設けられていて、表面材受部31の上下に貫通する円筒状をしている。
また、接着剤溜まり部33の上下方向の寸法は、脚部32より短くなっている。
【0029】
各位置決め突部34は、上記嵌合凹部11と略相似形状に形成されていて、その幅、長さ、最大高さが、嵌合凹部11の幅、長さ及び最大深さに対して、1〜10%程度小さく形成されている。
また、各位置決め突部34は、その長軸が表面材受部31の正方形の一辺に平行、かつ、接着剤溜まり部33の円筒の中心を通り、表面材受面31aから上方に突出するように表面材受部31に一体に形成されている。
【0030】
雌型嵌合部4は、表面材受部31の1つのコーナー部を挟む2辺から外側に延出するように本体部3a の端縁に沿って等ピッチで各辺に沿って6つずつ設けられていて、後述する雄型嵌合部5が嵌合する嵌合孔41を備えている。
雄型嵌合部5は、嵌合孔41に嵌り込む大きさをしていて、本体部3a の雌型嵌合部4が設けられていない残りの2辺に沿って、雌型嵌合部4の対称位置で下面から脚部32と略同じ突出長さで突出するように雌型嵌合部4と同数設けられている。
【0031】
そして、この床化粧材Aは、表面材1aとベース部材2aとが以下のようにして接着固定されている。
すなわち、図6及び図7に示すように、4枚の表面材1aを、ベース部材2aの位置決め突部34がそれぞれ対応する嵌合凹部11を臨むように配置し、図6及び図7に矢印で示すように、表面材1aをベース部材2a方向に相対移動させて、すべての位置決め突部34が対応する嵌合凹部11に嵌め込み、表面材1aの下面がベース部材2aの表面材受面31aに受けられるようにセットする。
【0032】
つぎに、表面材1a及びベース部材2aを上下方向からクランプ装置(図示せず)で挟み込んで表面材1aがずれないようにしながら上下を反転させる。
そして、上記クランプ装置を取り除き、図8及び図9に示すように、接着剤溜まり部33に接着剤Sを充填固化させて、表面材1aをベース部材2aに固定する。
【0033】
なお、接着剤Sの充填量は、表面材1aの下面から接着剤Sの下面(接着剤Sの充填時には上面)までの厚さが、図13に示す従来の床化粧材の係止部221の下端面(接着剤S充填時には上端面)から接着剤Sの下面(接着剤Sの充填時には上面)までの厚さと同じ程度とすればよい。
すなわち、接着剤Sの層の厚みをある程度厚くしないと、表面材とベース材の固定力に影響する。
【0034】
この床化粧材Aは、上記のように、ベース部材2aの位置決め突部34を表面材1aの嵌合凹部11に嵌合させることによって、表面材1aがベース部材2aの表面材受面31aの所定位置に位置決めできるので、表面材1aの位置決めが容易で、位置決めに表面材1aの大きさや枚数に応じて特殊な治具を用意する必要がない。すなわち、クランプ装置は、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合が解除されない程度にかるくクランプできればよく、精度を要さない。
【0035】
したがって、異なるベース部材と異なる大きさや枚数の表面材の組み合わせであっても、同じクランプ装置で対応することができる。
また、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合によってしっかりと位置決めされるとともに、表面材に水平方向の力が加わっても、位置決め突部34によって横ズレか防止されるので、従来の床化粧材に比べ接着剤溜まり部33の数を減らすことができ、生産性が向上する。
しかも、図13に示す従来の床化粧材の係止部221の厚み分の接着剤Sの使用を減らすことができ、生産コストを低減できる。
【0036】
そして、この床化粧材Aは、図示していないが、従来の床化粧材と同様に、雌型嵌合部4に隣接する床化粧材Aの雄型嵌合部5を嵌合させることによって、床化粧材Aをつぎつぎに連結してベランダや屋上等のコンクリート土間などの下地上に化粧床を形成することができる。
また、脚部32によって表面材受部31と下地との間に排水空間が形成されるとともに、表面材1aと表面材1aとの目地部に沿って水抜き孔31bが穿設されているので、化粧床面に降った雨水は、上記目地部から水抜き孔31bを介して上記排水空間に流れこみ、コンクリート土間等の下地に予め設けられた排水口からスムーズに排水することができる。
【0037】
図10は、本発明にかかる床化粧材の第2の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、この床化粧材Bは、1枚の表面材1bと、ベース部材2bとを備えている。
【0038】
表面材1bは、表面側に表面材1bの1側縁に平行な6条の断面三角形の凸条12を等ピッチで備えている。すなわち、表面材1bの表面には、方向性のある意匠が施されている。
表面材1bの下面側には、図11に示すように、上記表面材1aと同様の嵌合凹部11が図11に示すパターンで設けられている。
また、各嵌合凹部11は、その長軸が上記凸条12の長手方向に平行となっている。
【0039】
ベース部材2bは、図12に示すように、本体部3b表面材1bの嵌合凹部11に対応する位置に、接着剤溜まり部33及び位置決め突部34が設けられている以外の部分は、実質的に上記ベース部材2aと同じになっている。
【0040】
この床化粧材Bは、上記のようになっており、表面材1bがベース部材2bに上記床化粧材Aと同様にして固定される。
しかも、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合によって、表面材1aの決められた仮想基準軸である凸条12の長軸に沿う線L1がつねにベース部材2bの決められた仮想基準軸である位置決め突部34の長軸に沿う線L2とが一致するあるいは平行となる。
したがって、表面材1bがベース部材2bに対して凸条12の長軸方向が一定方向を向いた状態で固着され、雌型嵌合部4に同種の床化粧材Bの雄型嵌合部5を嵌合させて、床化粧材Bをつぎつぎに連結した場合において、凸条12の長軸方向が同一方向に確実に揃うようになる。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、上記第1の実施の形態では、ベース部材に4枚の表面材が固定されていたが、第1の実施の形態にベース部材を用いて、第2の実施の形態のように1枚の表面材を固定するようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、表面材が平面視正方形であったが、長方形や、L字形、あるいは、これらの組み合わせでも構わない。
【0042】
上記の実施の形態では位置決め突部が平面視直線状をしていたが、十字状をしても構わない。また、嵌合凹部の形状は、位置決め突部の嵌合により位置決めができれば、位置決め突部の相似形状になっていなくても構わない。
また、上記の実施の形態では、位置決め突部の長軸が全て同じ方向を向いていたが、異なっていても構わない。また、形状の異なる位置決め突部及び嵌合凹部の対を複数対も受けるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0043】
A,B 床化粧材
1a,1b 表面材
11 嵌合凹部
12 凸条
2a,2b ベース部材
3a,3b 本体部
31 表面材受部
31a 表面材受面
34 位置決め突部
4 雌型嵌合部
5 雄型嵌合部
L1 凸条12の長軸に沿う線(仮想基準軸)
L2 位置決め突部34の長軸に沿う線(仮想基準軸)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベランダや屋上等のコンクリート土間などの基礎床上に並べて敷設される床化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダや屋上等の意匠性を高めるために、コンクリート土間上に、ベース部材の表面材受面にタイルなどの表面材を受けさせた状態で、ベース部材に表面材を固定した床化粧材を敷き並べることが従来から行われている。
この床化粧材の、ベース部材と表面材との固定方法としては、ベース部材に、その表面材受面から上方に突出する逆円錐台形状の突起を設け、表面材の下面に、この突起が嵌合する略突起形状をした嵌合凹部を設けて、突起を嵌合凹部に圧入嵌合して固定する方法(特許文献1参照)や、図13に示すように、表面材100がベース部材200 の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面210まで貫通するようにベース部材200 に設けられた内部に係止部221を有する接着剤溜まり部220に、ベース部材200の下面側から接着剤Sを充填し固化させることによって、表面材100をベース部材200 に固定する方法(特許文献2参照)が既に提案されている。
【0003】
しかしながら、前者の固定方法では、表面材の嵌合凹部が入口側から嵌合凹部の底に向かって徐々に拡径しており、アンダーカット構造となっているため、まず、嵌合凹部の入口と同じ径の円筒状凹部を形成したのち、削り出し加工する必要があり、表面材の生産性が悪いという問題がある。
一方、後者の固定方法では、まず、裏向け状態の表面材100の上に、ベース部材200を上下反転させて表面材受面210が表面材100に密着するように載せたのち、その状態で接着剤溜まり部220に充填し固化させるようになっているが、1つのベース部材200に複数の表面材100が所定の隙間を隔てて接着固定されるような床化粧材においては、表面材100同士の間隔保持を正確に行うために位置あわせ治具が必要で、表面材100の配置パターンが異なるごとに治具を用意しなければならず、表面材100及びベース部材200以外に、位置あわせ治具の製造コスト及び保管コストがかかるという問題がある。
【0004】
また、後者の固定方法では、例えば、ベース部材200 がオレフィン系の樹脂、表面材100がタイルのような無機材であるというように、ベース部材200 と表面材100が異種の材料の場合においても、接着剤によってベース部材200 に表面材100がしっかりと固定できるように、接着剤溜まり部220内に接着剤溜まり部220の内部に棒状または十字状に係止部221が設けられている。
すなわち、係止部221を巻き込むように、表面材100に対して強固な接着性を有する接着剤Sを接着剤溜まり部220内に充填することによって、接着剤溜まり部220に充填された接着剤Sがベース部材200 から離脱することを防止する一方、表面材100の固定も図るようにしている。
また、上記の固定方法では、係止部221が巻き込まれるように、図13に示すように、接着剤Sを接着剤溜まり部220の係止部221の上端より高い位置まで充填するようにしている。
【0005】
しかし、床化粧材は、一般的に屋外において使用されるため、接着剤は屋外使用に対する耐久性を有する必要があり、接着剤自体も高いものを使用する必要がある。
したがって、上記のように接着剤Sを接着剤溜まり部220の係止部221の上端より高い位置まで充填する固定方法では、接着剤Sの使用量が多く、コスト高になるという問題がある。
【0006】
一方、本発明の発明者は、ベース部材(樹脂マット)の表面側に凹部(または凸部)が形成され、表面材の裏面側に凸部(または凹部)が形成され、ベース部材の凹部(または凸部)と表面材の凸部(または凹部)とが嵌まり合ったときにベース部材と表面材が回動しないように凹部と凸部が係合し合うようにした床化粧材を先に提案している(特許文献3参照)。
すなわち、この床化粧材の構造においては、ベース部材の凹部(または凸部)と表面材の凸部(または凹部)とが嵌まり合って位置決めがなされるため、上記のように位置あわせ治具を用いなくてもよくなり、位置あわせ治具の製造コスト及び保管コストの問題が解消される。
しかしながら、この先に提案された床化粧材においても、表面材とベース部材との固定は、上記後者の固定方法と同じであるため、接着剤の使用量が多いという問題は解消されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2551988号公報
【特許文献2】特許第2783127号公報
【特許文献3】特開2003−147945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、表面材を、治具を用いることなくベース部材に対して正確に位置決め状態で配置でき、かつ、少ない接着剤の使用量でベース部材に固定できるとともに、表面材に2次加工を施す必要がない床化粧材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる床化粧材は、少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明において、位置決め突部及び位置決め凹部は、位置決め突部と位置決め凹部との嵌合によって、表面材の決められた仮想基準軸と、ベース部材の決められた仮想基準軸とがつねに一致するあるいは平行となる形状または配置に形成されていることが好ましい。
すなわち、表面材の表面に方向性のある意匠が施されている場合、表面材をその意匠方向がベース部材に対して同一方向に向かうように確実に固定することができる。すなわち、固定方向の間違いをなくすことができる。
【0011】
また、ベース部材は、特に限定されないが、表面材受面を有する平面視矩形の本体部と、この本体部の矩形の2辺に沿って設けられる雌型嵌合部と、前記本体部の矩形の2辺に沿って前記雌型嵌合部と対称位置に設けられる雄型嵌合部とを備えている構成としてもよい。
このような構成とすることによって、同種の床化粧材をつぎつぎに連結して摺れ動かないようにすることができる。
【0012】
本発明において、表面材の材質は、特に限定されず、無機系焼成体、木材、合成樹脂、金属、天然石や、これらの複合材料が挙げられる。
一方、ベース部材の材質は、特に限定されないが、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等の合成樹脂、金属、ゴムなどが挙げられ、成形性を考慮すると合成樹脂が好ましい。
また、上記合成樹脂に必要に応じて、必要に応じて熱安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、充填剤等を添加してもよい。
【0013】
上記熱安定剤としては特に限定されず、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メ
ルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー
、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジブ
チル錫ラウレートポリマー等の有機錫安定剤、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三
塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤、カルシウム− 亜鉛系安定剤、バリウム− 亜鉛系安定剤、バリウム− カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記の安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化ア
マニ豆油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エス
テル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記の滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤等が挙げられる。上記の内部滑剤は、成形加
工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記の内部滑
剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステア
リルステアレート、エポキシ化大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビ
スアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記の外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用さ
れる。上記の外部滑剤としては特に限定されず、例えば、モンタン酸系ワックス、パラフィン系ワックス、ポリオレフイン系ワックス、エステル系ワックス等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上記加工助剤としては特に限定されず、例えば、重量平均分子10万〜200万のア
ルキルアクリレート/ アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体例としては、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
上記の酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記の光安定剤として
は特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、べンゾフェノン系、べンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定
剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明において用いられる接着剤としては、充填時には、液状、ペースト状あるいは粉末状をしていて、固化によって表面材との接着性があり、表面材をベース部材から剥がれないように固定できる材料強度を有していれば、特に限定されないが、例えば、ホットメルト型接着剤、熱硬化性樹脂接着剤、パテ、セメント、シリコーン樹脂系充填材などが挙げられ、屋外で使用するので耐候性の高いものがより好ましい。
【0020】
上記ホットメルト型接着剤としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなるホットメルト型接着剤が好ましい。
そして、ホットメルト型接着剤の場合、予め、ぺレット状や粉末状の接着材料を加熱溶融してから接着部分に滴下充填してもよいが、ベース部材または表面材にぺレット状や粉末状の接着材料を配設しておき、この接着材料をハロゲンランプで集中加熱するかもしくは高周波ウエルダーで加熱してもよい。
また、熱硬化性樹脂接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂系のものが挙げられ、難流動性の粘度に調整されたものを接着部分に滴下充填するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる床化粧材は、以上のように、ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、表面材が、表面材受面に受けられたとき、位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えているので、ベース部材の位置決め突部を表面材の嵌合凹部に嵌合させることによって、表面材を、治具を用いることなく正確に位置決めできる。また、嵌合凹部を形成するのに、表面材に2次加工を施す必要がないため、表面材の生産性もよいようになる。
【0022】
さらに、接着剤の係止部ともなる位置決め突部をベース部材の表面材受面から上方に突出させ、表面材に位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えることで、係止部ともなる位置決め突部がベース部材側に入り込むため、接着剤溜まり部内に係止部を設けた従来の床化粧材に比べ、従来の床化粧材の係止部の高さ分だけ少ない接着剤の使用量で、強固にベース部材に固定することができる。
しかも、表面材に位置決め凹部を形成しているので、従来のように位置決め凹部を設けていない場合に比べ、位置決め凹部の側壁面分だけ、接着剤が接触する面積が増える。したがて、より強固に表面材をベース部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる床化粧材の第1の実施の形態を表面材側からみた斜視図である。
【図2】図1の床化粧材をベース部材側からみた部分拡大斜視図である。
【図3】図1の床化粧材における表面材の底面図である。
【図4】図1の床化粧材におけるベース部材の底面図である。
【図5】図1の床化粧材におけるベース部を上面側からみた要部拡大斜視図である。
【図6】図1の床化粧材の製造方法を説明する図であって、位置決め突部を嵌合凹部に嵌合させる前の状態を断面でみてあらわしている。
【図7】図6の直交方向の断面図である。
【図8】図1の床化粧材の製造方法を説明する図であって、接着剤の充填状態を断面でみてあらわしている。
【図9】図8の直交方向の断面図である。
【図10】本発明にかかる床化粧材の第2の実施の形態を表面材側からみた斜視図である。
【図11】図10の床化粧材における表面材の底面図である。
【図12】図10の床化粧材におけるベース部材の底面図である。
【図13】従来の床化粧材における表面材とベース部材との固定部を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明にかかる床化粧材の第1の実施の形態をあらわしている。
【0025】
図1及び図2に示すように、この床化粧材Aは、4枚の表面材1aと、ベース部材2aとを備えている。
表面材1aは、無機系焼成体、木材、合成樹脂、金属、天然石、あるいは、これらの複合材料からなり、図1及び図3に示すように、平面視略正方形をしており、図3に示すように、下面(底面)側の四隅に、後述するベース部材2aの位置決め突部34が嵌合する嵌合凹部11が凹設されている。
【0026】
嵌合凹部11は、幅2〜4mm、長さ10〜20mm、最大深さ2〜3mmで、長手方向の両端がアール状に徐々に浅くなった長穴状をしている。
ベース部材2aは、PVC,PP、PE、ABS等の熱可塑性樹脂の射出成形品であって、図1、図2、図4及び図5に示すように、本体部3a と、雌型嵌合部4と、雄型嵌合部5と、を備えている。
【0027】
本体部3a は、図2、図4及び図5に示すように、表面材受部31と、脚部32と、接着剤溜まり部33と、図4及び図5に示す位置決め突部34とを備えている。
表面材受部31は、外形が平面視正方形をしていて、その投影面積が上記表面材1aの4枚の投影面積と、表面材1aと表面材1aとの間に生じる目地部の投影面積の合計と略同じになっており、その上面が表面材受面31aとなっている。
また、表面材受部31は、表面材1aと表面材1aとの目地部を臨む位置に、長孔状の水抜き孔31bが多数穿設されている。
【0028】
脚部32は、表面材受部31の下面から突出し、床化粧材Aの載置面との間に排水空間を形成する多数の脚部32とを備えている。
接着剤溜まり部33は、表面材受面31aに受けられる4枚の表面材1aの四隅を臨む位置に設けられていて、表面材受部31の上下に貫通する円筒状をしている。
また、接着剤溜まり部33の上下方向の寸法は、脚部32より短くなっている。
【0029】
各位置決め突部34は、上記嵌合凹部11と略相似形状に形成されていて、その幅、長さ、最大高さが、嵌合凹部11の幅、長さ及び最大深さに対して、1〜10%程度小さく形成されている。
また、各位置決め突部34は、その長軸が表面材受部31の正方形の一辺に平行、かつ、接着剤溜まり部33の円筒の中心を通り、表面材受面31aから上方に突出するように表面材受部31に一体に形成されている。
【0030】
雌型嵌合部4は、表面材受部31の1つのコーナー部を挟む2辺から外側に延出するように本体部3a の端縁に沿って等ピッチで各辺に沿って6つずつ設けられていて、後述する雄型嵌合部5が嵌合する嵌合孔41を備えている。
雄型嵌合部5は、嵌合孔41に嵌り込む大きさをしていて、本体部3a の雌型嵌合部4が設けられていない残りの2辺に沿って、雌型嵌合部4の対称位置で下面から脚部32と略同じ突出長さで突出するように雌型嵌合部4と同数設けられている。
【0031】
そして、この床化粧材Aは、表面材1aとベース部材2aとが以下のようにして接着固定されている。
すなわち、図6及び図7に示すように、4枚の表面材1aを、ベース部材2aの位置決め突部34がそれぞれ対応する嵌合凹部11を臨むように配置し、図6及び図7に矢印で示すように、表面材1aをベース部材2a方向に相対移動させて、すべての位置決め突部34が対応する嵌合凹部11に嵌め込み、表面材1aの下面がベース部材2aの表面材受面31aに受けられるようにセットする。
【0032】
つぎに、表面材1a及びベース部材2aを上下方向からクランプ装置(図示せず)で挟み込んで表面材1aがずれないようにしながら上下を反転させる。
そして、上記クランプ装置を取り除き、図8及び図9に示すように、接着剤溜まり部33に接着剤Sを充填固化させて、表面材1aをベース部材2aに固定する。
【0033】
なお、接着剤Sの充填量は、表面材1aの下面から接着剤Sの下面(接着剤Sの充填時には上面)までの厚さが、図13に示す従来の床化粧材の係止部221の下端面(接着剤S充填時には上端面)から接着剤Sの下面(接着剤Sの充填時には上面)までの厚さと同じ程度とすればよい。
すなわち、接着剤Sの層の厚みをある程度厚くしないと、表面材とベース材の固定力に影響する。
【0034】
この床化粧材Aは、上記のように、ベース部材2aの位置決め突部34を表面材1aの嵌合凹部11に嵌合させることによって、表面材1aがベース部材2aの表面材受面31aの所定位置に位置決めできるので、表面材1aの位置決めが容易で、位置決めに表面材1aの大きさや枚数に応じて特殊な治具を用意する必要がない。すなわち、クランプ装置は、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合が解除されない程度にかるくクランプできればよく、精度を要さない。
【0035】
したがって、異なるベース部材と異なる大きさや枚数の表面材の組み合わせであっても、同じクランプ装置で対応することができる。
また、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合によってしっかりと位置決めされるとともに、表面材に水平方向の力が加わっても、位置決め突部34によって横ズレか防止されるので、従来の床化粧材に比べ接着剤溜まり部33の数を減らすことができ、生産性が向上する。
しかも、図13に示す従来の床化粧材の係止部221の厚み分の接着剤Sの使用を減らすことができ、生産コストを低減できる。
【0036】
そして、この床化粧材Aは、図示していないが、従来の床化粧材と同様に、雌型嵌合部4に隣接する床化粧材Aの雄型嵌合部5を嵌合させることによって、床化粧材Aをつぎつぎに連結してベランダや屋上等のコンクリート土間などの下地上に化粧床を形成することができる。
また、脚部32によって表面材受部31と下地との間に排水空間が形成されるとともに、表面材1aと表面材1aとの目地部に沿って水抜き孔31bが穿設されているので、化粧床面に降った雨水は、上記目地部から水抜き孔31bを介して上記排水空間に流れこみ、コンクリート土間等の下地に予め設けられた排水口からスムーズに排水することができる。
【0037】
図10は、本発明にかかる床化粧材の第2の実施の形態をあらわしている。
図10に示すように、この床化粧材Bは、1枚の表面材1bと、ベース部材2bとを備えている。
【0038】
表面材1bは、表面側に表面材1bの1側縁に平行な6条の断面三角形の凸条12を等ピッチで備えている。すなわち、表面材1bの表面には、方向性のある意匠が施されている。
表面材1bの下面側には、図11に示すように、上記表面材1aと同様の嵌合凹部11が図11に示すパターンで設けられている。
また、各嵌合凹部11は、その長軸が上記凸条12の長手方向に平行となっている。
【0039】
ベース部材2bは、図12に示すように、本体部3b表面材1bの嵌合凹部11に対応する位置に、接着剤溜まり部33及び位置決め突部34が設けられている以外の部分は、実質的に上記ベース部材2aと同じになっている。
【0040】
この床化粧材Bは、上記のようになっており、表面材1bがベース部材2bに上記床化粧材Aと同様にして固定される。
しかも、位置決め突部34と嵌合凹部11との嵌合によって、表面材1aの決められた仮想基準軸である凸条12の長軸に沿う線L1がつねにベース部材2bの決められた仮想基準軸である位置決め突部34の長軸に沿う線L2とが一致するあるいは平行となる。
したがって、表面材1bがベース部材2bに対して凸条12の長軸方向が一定方向を向いた状態で固着され、雌型嵌合部4に同種の床化粧材Bの雄型嵌合部5を嵌合させて、床化粧材Bをつぎつぎに連結した場合において、凸条12の長軸方向が同一方向に確実に揃うようになる。
【0041】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、上記第1の実施の形態では、ベース部材に4枚の表面材が固定されていたが、第1の実施の形態にベース部材を用いて、第2の実施の形態のように1枚の表面材を固定するようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、表面材が平面視正方形であったが、長方形や、L字形、あるいは、これらの組み合わせでも構わない。
【0042】
上記の実施の形態では位置決め突部が平面視直線状をしていたが、十字状をしても構わない。また、嵌合凹部の形状は、位置決め突部の嵌合により位置決めができれば、位置決め突部の相似形状になっていなくても構わない。
また、上記の実施の形態では、位置決め突部の長軸が全て同じ方向を向いていたが、異なっていても構わない。また、形状の異なる位置決め突部及び嵌合凹部の対を複数対も受けるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0043】
A,B 床化粧材
1a,1b 表面材
11 嵌合凹部
12 凸条
2a,2b ベース部材
3a,3b 本体部
31 表面材受部
31a 表面材受面
34 位置決め突部
4 雌型嵌合部
5 雄型嵌合部
L1 凸条12の長軸に沿う線(仮想基準軸)
L2 位置決め突部34の長軸に沿う線(仮想基準軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、
前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、
前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴とする床化粧材。
【請求項2】
位置決め突部と位置決め凹部との嵌合によって、表面材の決められた仮想基準軸と、ベース部材の決められた仮想基準軸とがつねに一致するあるいは平行となる形状または配置に位置決め突部と位置決め凹部とが形成されている請求項1に記載の床化粧材。
【請求項3】
ベース部材が、表面材受面を有する平面視矩形の本体部と、この本体部の矩形の2辺に沿って設けられる雌型嵌合部と、前記本体部の矩形の2辺に沿って前記雌型嵌合部と対称位置に設けられる雄型嵌合部とを備えている請求項1または請求項2に記載の床化粧材。
【請求項1】
少なくとも1つの表面材がベース部材の表面材受面にその下面を受けられるとともに、表面材受面を貫通するようにベース部材に設けられた接着剤溜まり部にベース部材の下面側から接着剤を充填し固化させることによって、前記表面材をベース部材に固定した床化粧材において、
前記ベース部材が、1つの表面材に対して複数の前記接着剤溜まり部を有するとともに、この複数の接着剤溜まり部のうちの2つ以上の接着剤溜まり部を臨む位置に、前記表面材受面から上方に突出する位置決め突部を有し、
前記表面材が、表面材受面に受けられたとき、前記位置決め突部が嵌り込む位置決め凹部を下面に備えていることを特徴とする床化粧材。
【請求項2】
位置決め突部と位置決め凹部との嵌合によって、表面材の決められた仮想基準軸と、ベース部材の決められた仮想基準軸とがつねに一致するあるいは平行となる形状または配置に位置決め突部と位置決め凹部とが形成されている請求項1に記載の床化粧材。
【請求項3】
ベース部材が、表面材受面を有する平面視矩形の本体部と、この本体部の矩形の2辺に沿って設けられる雌型嵌合部と、前記本体部の矩形の2辺に沿って前記雌型嵌合部と対称位置に設けられる雄型嵌合部とを備えている請求項1または請求項2に記載の床化粧材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−281101(P2010−281101A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134750(P2009−134750)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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