説明

床払拭機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機柄に吸収性材料からなる圧搾可能な払拭体を取り付け、払拭体に付属して絞出し手段を設け、該手段が機柄に固着した桿により操作可能となった床払拭機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】かかる床払拭機がドイツ実用新案明細書第8800887号により知られている。そこではホルダに固定した払拭体が桿の操作時2個のロールにより案内され、該ロールが払拭体の圧搾を、従ってその絞出しを引き起こす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの場合注意すべき点として、この周知の床払拭機は多数の個別部品を有し、使用特性は、一方で比較的重量があり、また他方で払拭体の絞出しが不均一であるため、あまり満足できるものではない。払拭体に加わる機械荷重が大きく、またそのことから磨耗に帰結するので使用期間が著しく短くなる。
【0004】本発明は、冒頭指摘した種類の床払拭機を改良し、単純で部品点数の少ない頑丈な構造で長い使用期間の間良好な使用特性が保証され、特に払拭体の迅速な湿潤及び絞出しが保証される払拭機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的が本発明によれば、機柄に吸収性材料からなる圧搾可能な払拭体を取り付け、払拭体に付属して絞出し手段を設けた床払拭機において、絞出し手段が機柄に固着した桿により操作可能であることと、払拭体が軸を取り囲む湾曲した付着面に固定してあり、絞出し手段が軸を中心に揺動可能な絞出しロールからなることと、軸と絞出しロールとの間の距離が変更可能であることと、付着面が軸を絞出しロールの運動方向に徐々に増加した間隔を置いて取り囲んだことと、を特徴とする床払拭機で達成される。従属請求項は有利な諸構成に関係している。
【0006】本発明による床払拭機では、払拭体が軸を取り囲む湾曲した付着面に固定してあり、絞出し手段が軸を中心に揺動可能な絞出しロールからなる。この場合利点として、湾曲した付着面が払拭体の確実な固定を保証し、払拭体は付着面の大きさに対応した接触面で付着面と結合してある。払拭体が例えばクリップや止め爪によって過度に変形したり損傷することがこれにより確実に防止され、このことで本発明による床払拭機の使用期間が著しく長くなる。絞出し手段は、この場合、絞出しロールにより形成してあり、湾曲した付着面によっても取り囲まれた軸を中心に運動可能であり、それ故払拭体の被払拭床に対向した表面全体を必要に応じて絞り出す。更に絞出しロールは払拭体の表面で専ら転動することにより、材料を労った絞出し過程を引き起こし、このことは使用期間が長い点を考慮するときわめて重要な点である。
【0007】軸と絞出しロールとの間の距離は変更可能とすることができる。この場合利点として、払拭体が所定の厚さのとき絞出しロールが払拭体に加える接面圧力は変更可能であり、又は適用事例のその都度与えられた条件に応じて同一の床払拭機に様々な厚さの払拭体を使用することができる。
【0008】有利な一構成によれば、払拭体は発泡体により形成しておくことができる。適用事例及び被払拭床に依存して、必要に応じて各種の払拭体材料を機柄に固着し、揺動可能な絞出しロールにより絞り出すことができる。使用する発泡体の材料はこの目的に通常使用される材料に一致させることができる。
【0009】付着面は軸を等間隔で、又は絞出しロールの運動方向に徐々に増加した間隔を置いて、取り囲むことができる。適用事例に応じて付着面は適宜に構成することができる。付着面が軸を等間隔で取り囲んでいると、絞出しロールの操作時、払拭体のほぼ均一な絞出しが行われる。この場合払拭体の表面全体は実質的に等量の液体を含有した均一に湿潤した表面を有する。別の適用事例において、例えば様々な強さに湿潤した払拭体部分範囲が要求される場合、付着面が軸を絞出しロールの運動方向に徐々に増加した間隔を置いて取り囲むのが望ましいことが判明した。このように構成した床払拭機において、機柄に固着した桿を操作すると、絞出しロールは運動方向に徐々に増加した接面圧力で払拭体の表面を介し揺動し、徐々に増加した揺動運動で払拭体を一層強く絞出す。この構成が有利となり得るのは、特に被払拭床の汚れが様々で、清浄に必要な水量が異なる場合、又は被清浄床が比較的湿った状態で清浄した後それに続いて直ちに床を殆ど乾燥した払拭体で再払拭するのが望ましい場合である。この場合必要となるのは、強く絞出した表面範囲を再払拭に利用することだけである。
【0010】排除された液体を一層迅速に排出するため、付着面に排液孔を穿設しておくことができる。絞出しロールを操作すると、排除された液体は一方で払拭体の絞出しロールに対向した表面を介し、他方で付着面の排液孔を通して導出される。勿論排液孔は絞出しロールが払拭体に加える十分な押圧力を維持するよう寸法設計しておくよう注意しなければならない。
【0011】付着面は、機柄と結合したホルダに着脱可能に固定した保持部品の境界面を形成することができる。保持部品の交換はこの場合特に簡単に行うことができ、その際機柄と操作用に必要な桿を交換しなくてもよい。保持部品をホルダに着脱可能に固定することは経済的観点から、そして環境負荷低減の観点からきわめて有利である。
【0012】有利な一構成によれば、保持部品とホルダが互いにスナップ嵌め可能に結合してある。使用済み払拭体の交換がこれにより格別迅速に問題なく可能となる。
【0013】更に別の有利な一構成によれば、ホルダと機柄が継手により揺動可能に結合してある。到達困難な床、例えば壁龕や例えばキャビネット等の動かし難い家具の下の被払拭床も、ホルダと機柄との間の継手の故に問題なく清浄にすることができる。
【0014】本発明による床払拭機の取り扱いを容易とするため、継手は少なくとも2つの相互に異なる揺動位置で係止可能とすることができる。自由に到達可能な床を払拭するには払拭体を例えば床払拭機の柄を横切って延ばし、この位置で係止可能とすることができる。払拭体を機柄を横切って配置したとき払拭体より幅の狭い床を一層簡単に清浄にするため払拭体は実質的に機柄と平行に延ばし、この位置でも係止可能とすることができる。
【0015】絞出しロールは軸を中心に揺動可能且つ桿により操作可能な揺動支持体内で支承しておくことができる。大きな動作信頼性と良好な使用特性がこれにより得られる。
【0016】絞出し過程の間、払拭体中に蓄積した水の導出を向上するため、絞出しロールが排液孔を穿設した表面を有すると有利であることが判明した。経済的観点の諸利点は排液孔が例えば絞出しロールの周方向に延びたリブにより互いに分離してあるとき得られる。このように構成した絞出しロールの製造は、例えば同一内径の、但し外径の異なる円環状板を交互に軸に通すとき格別簡単となる。
【0017】絞出しロールは多部分で実施する他、例えば単一部分で構成しておくこともできる。排液孔は払拭体の効果的絞出しと、絞出された液体の迅速な排出を引き起こす。
【0018】本発明による床払拭機が経済的に簡単に製造可能となるよう、絞出しロールはその両端を揺動支持体内で支承しておくことができる。幅広の払拭体のとき使用される絞出しロールのたわみを防止するため、そして絞出しロールの軸方向末端範囲で支承部の負荷を減らすため絞出しロールは両端間の少なくとも1つ別の箇所を揺動支持体内で支承しておくことができる。
【0019】好ましい一実施態様の枠内で、絞出しロールは半径を付着面の最大半径の0.3〜0.6倍とすることができる。付着面とは逆に絞出しロールは直径が比較的小さいことにより、絞出しロールの操作時、使用した払拭体の表面は長い使用期間の間可撓性に保持される。絞出しロールの良好なチューニング仕事が払拭体表面の部分的硬化と粘着を確実に防止し、これにより良好な弾性と優れた使用特性が長い使用期間の間も維持される。
【0020】
【実施例】本発明による床払拭機の一実施例を以下添付図面に基づき更に説明する。図は本床払拭機の概要図を示す。
【0021】図1と図2に本発明による床払拭機の一実施例が示してある。これは好ましくは合成樹脂からなる機柄1を含み、この柄は軸方向下端が継手8と結合してある。継手8の機柄1から離れた側にホルダ7が配置してあり、これに保持部品11がスナップ嵌め可能である。保持部品11はホルダ7内で反対側に付着面6を備えており、この面に吸収性材料からなる圧搾可能な払拭体2が固着してある。保持部品11をホルダ7にスナップ嵌め可能に固着する利点として、使用済み払拭体はその迅速な交換を問題なく行うことができる。本実施例において払拭体2は横断面が実質的に半円形であり、軸5に対向した側が保持部品11の湾曲した付着面6で固定してある。
【0022】払拭体2を絞り出すため絞出し手段3として絞出しロール3.1が設けてあり、これは揺動支持体10内で独自の軸を中心に回転可能に支承してある。揺動支持体10は実質的にU形に形成され、2つの突起の範囲で軸5を中心に回転可能に支承してある。揺動運動を開始するため揺動支持体10が桿4と結合してあり、桿4と揺動支持体10は機柄1を取り囲むスリーブにより操作可能である。絞出しロール3.1はこの実施例に示したように出発位置のとき払拭体2と係合していない。ここには図示省略した別の一構成によれば絞出しロール3.1を払拭体2に常時作用させる可能性もある。この場合利点として、絞出しロール3.1の操作時、保持部品11の付着面6に加わる剪断力が低減している。払拭体2の機械的負荷も低減しており、これにより使用期間が比較的長くなるよう保証してある。保持部品11の付着面6が軸5を等間隔で囲撓しており、払拭体2が均一な厚さの場合、絞出しロールの揺動時、払拭体の均一な絞出しが保証してある。
【0023】適用事例のその都度与えられた条件に一層適合するため、軸5と絞出しロール3.1の回転軸との間の距離は変更可能とすることができる。このことは偏心器により特に簡単に達成することができる。格別良好な使用特性を達成するため、ホルダ7は継手8により揺動可能に機柄1に固着してある。
【0024】払拭体2から絞り出した液体の導出を向上するため、絞出しロール3.1と付着面6に排液孔が穿設してある。
【0025】床払拭機の重量をできるだけ減らし、またそれに伴い操作性を良好にするため、材料として主にポリプロピレンが製造に使用され、強い機械荷重を受ける部材は付加的に強化用繊維を含有することができる。検討される材料は、例えばポリプロピレン70%、ガラス繊維分30%からなる。更に、合成樹脂を用いた場合、全使用期間の間、優れた機能信頼性が保証してある。このことを腐食が損なうことはない。
【0026】図3には図1と図2に見ることのできない保持部品11が示してあり、これはポリスチレンからなり、外周面の一部に払拭体2用付着面6を含む。保持部材11とホルダ7との間のスナップ継手はホルダ7の図2R>2に認めることのできる凹部と保持部品11の前記凹部内にスナップ嵌め可能な鼻端とにより形成される。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、払拭体が軸を取り囲む湾曲した付着面に固定してあるから、払拭体の確実な固定が保証され、また払拭体も付着面の大きさに対応した接触面で付着面と結合してあるから、例えばクリップや止め爪によって払拭体が固定してある場合と違って払拭体が過度に変形したり損傷することが確実に防止され、このことで本発明による床払拭機の使用期間を著しく長くすることができる。
【0028】また、絞出し手段は、絞出しロールにより形成してあり、湾曲した付着面によって取り囲まれた軸を中心に揺動可能であるから、払拭体の被払拭床に対向した表面全体を必要に応じて絞り出すことができ、このことで迅速な絞出しが保証されると共に、床払拭機の使用期間を更に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による床払拭機の一実施例の斜視図である。
【図2】 同床払拭機の別の角度から見た斜視図である。
【図3】 保持部と付着面に固定した払拭体の正面図である。
【符号の説明】
1 機柄
2 払拭体
3 絞出し手段
4 桿

【特許請求の範囲】
【請求項1】 機柄に吸収性材料からなる圧搾可能な払拭体を取り付け、払拭体に付属して絞出し手段を設けた床払拭機において、絞出し手段(3)が機柄に固着した桿により操作可能であることと、払拭体(2)が軸を取り囲む湾曲した付着面(6)に固定してあり、絞出し手段(3)が軸を中心に揺動可能な絞出しロール(3.1)からなることと、軸(5)と絞出しロール(3.1)との間の距離が変更可能であることと、付着面(6)が軸(5)を絞出しロール(3.1)の運動方向に徐々に増加した間隔を置いて取り囲んだことと、を特徴とする床払拭機。
【請求項2】 払拭体(2)を発泡体により形成したことを特徴とする、請求項1に記載の床払拭機。
【請求項3】 付着面(6)が軸(5)を等間隔で取り囲んだことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の床払拭機。
【請求項4】 付着面(6)に排液孔を穿設したことを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の床払拭機。
【請求項5】 付着面(6)が保持部品(11)の境界面を形成し、機柄(1)と結合したホルダ(7)に保持部品が着脱可能に固定してあることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の床払拭機。
【請求項6】 保持部品(11)とホルダ(7)が互いにスナップ嵌め可能に結合してあることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の床払拭機。
【請求項7】 ホルダ(7)と機柄(1)が継手(8)により揺動可能に結合してあることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の床払拭機。
【請求項8】 継手(8)が少なくとも2つの相互に異なる揺動位置で係止可能であることを特徴とする、請求項7に記載の床払拭機。
【請求項9】 絞出しロール(3.1)が軸(5)を中心に揺動可能且つ桿(4)により操作可能な揺動支持体(10)内で支承してあることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の床払拭機。
【請求項10】 絞出しロール(3.1)が排液孔(9)を穿設した表面を有することを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の床払拭機。
【請求項11】 排液孔(9)が絞出しロール(3.1)の周方向に延びたリブにより互いに分離してあることを特徴とする、請求項10に記載の床払拭機。
【請求項12】 絞出しロール(3.1)の両端が揺動支持体(10)内で支承してあることを特徴とする、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の床払拭機。
【請求項13】 絞出しロール(3.1)は両端間の少なくとも1つ別の箇所が揺動支持体(10)内で支承してあることを特徴とする、請求項12に記載の床払拭機。
【請求項14】 絞出しロール(3.1)の半径が付着面(6)の最大半径の0.3〜0.6倍であることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の床払拭機。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2573460号
【登録日】平成8年(1996)10月24日
【発行日】平成9年(1997)1月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−38467
【出願日】平成5年(1993)2月26日
【公開番号】特開平5−344944
【公開日】平成5年(1993)12月27日
【前置審査】 前置審査
【出願人】(590002345)
【参考文献】
【文献】実開 昭61−41654(JP,U)
【文献】実開 平1−115456(JP,U)
【文献】実公 昭7−12958(JP,Y1)