説明

床暖房装置及びその施工方法

【課題】 床下空間に入らなくてもヘッダーへの配管接続を行うことができるとともに、充分な耐久性を確保することができる床暖房装置を提供すること。
【解決手段】 ヘッダー取付開口20を有する下地床体2と、下地床体の上面側に設置された温水マット体4と、温水マット体4の上側に設置された仕上げ床体6と、ヘッダー取付開口20に取り付けられたヘッダー支持体22と、ヘッダー支持体22に取り付けられたヘッダー24と、を備えた床暖房装置。ヘッダー支持体22は、支持本体部26を下側からヘッダー取付開口20を通して挿入して取付フランジ28を下地床体2の下面に当接させてこの下地床体4に取り付けられ、ヘッダー24の温水流入部42及び温水流出部44はヘッダー支持体26を通して下地床体2の下側に突出し、ヘッダー24の温水供給部50が温水チューブ14の一端部に接続され、温水戻り部56が温水チューブ14の他端部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を利用して床を暖房する床暖房装置及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温水を利用して床を暖房する床暖房装置が広く実用に供されている。この床暖房装置は、下地床体の上面側に設置される温水マット体と、この温水マット体の上面側に設置される仕上げ床体とを備え、温水マット体に内蔵された温水チューブに熱源機からの温水が循環される(例えば、特許文献1参照)。この床暖房装置では、熱源機からの温水を所要の通りに分配するためにヘッダーが用いられ、このヘッダーは、熱源機からの温水が供給される温水流入部と、熱源機に温水を戻す温水流出部と、温水流入部から流入した温水を温水マット体に供給する温水供給部と、温水マット体からの温水を温水流出部に戻す温水戻り部とを有し、熱源機からの温水はヘッダーの温水流入部及び温水供給部を通して温水マット体の温水チューブに供給され、また温水チューブを流れた温水は、ヘッダーの温水戻り部及び温水流出部を通して熱源機に戻され、熱源機からの温水はこのようにして温水マット体を通して循環される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−194348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような床暖房装置においては、床暖房装置の床材として、温水マット部材と仕上げ床部材とが一体的に形成されたマットユニットを用いる場合がある。このような場合、マットユニットの厚さは12mm程度であり、その内部にヘッダーを搭載することができず、ヘッダーを床下の空間に配設し、床下の空間にてヘッダーへの接続を行っている。このような床暖房装置では、下地床体に引出孔を設け、温水マット部材の温水チューブの両端部を引出孔を通して床下空間に導き、この床下空間にてヘッダーに接続するようになるが、作業員が床下空間に入ることができないときには、下地床体の上側から作業ができるように大きな引出孔を設けて接続作業を行うようになり、それ故に、引出孔の部位において下地床体の強度が低下し、充分な耐久性を確保することができない問題がある。
【0005】
本発明の目的は、床下空間に入らなくてもヘッダーへの配管接続を行うことができるとともに、充分な耐久性を確保することができる床暖房装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、下地床体の上側からヘッダーへの配管接続を行うことができる床暖房装置の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の床暖房装置は、ヘッダー取付開口を有する下地床体と、前記下地床体の上面側に設置された温水マット体と、前記温水マット体の上側に設置された仕上げ床体と、前記下地床体の前記ヘッダー取付開口に取り付けられたヘッダー支持体と、前記ヘッダー支持体に取り付けられたヘッダーと、を備え、前記温水マット体は、温水を流すための温水チューブを有し、前記ヘッダー支持体は、前記ヘッダーを収容する収容凹部が設けられた支持本体部と、前記支持本体部に設けられた取付フランジとを有し、前記支持本体部を下側から前記ヘッダー取付開口を通して挿入して前記取付フランジを前記下地床体の下面に当接させて前記下地床体に取り付けられ、また前記ヘッダーは、温水が流入する温水流入部と、温水が流出する温水流出部と、前記温水流入部からの温水を供給するための温水供給部と、温水を前記温水流出部に戻すための温水戻り部とを有し、前記温水流入部及び前記温水流出部は前記ヘッダー支持体を通して前記下地床体の下側に突出し、前記温水供給部が前記温水チューブの一端部に接続され、前記温水戻り部が前記温水チューブの他端部に接続されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の床暖房装置では、前記ヘッダー支持体は、前記取付フランジが設けられた外側部材と、前記収容凹部が設けられた内側部材とから構成され、前記外側部材には、肩部を有する装着開口が設けられ、前記内側部材には、前記装着開口の前記肩部に載置される装着フランジが設けられ、前記外側部材は、下側から前記ヘッダー取付開口を通して挿入して前記取付フランジを前記下地床体の下面に当接させて前記下地床体に取り付けられ、また前記内側部材は、上側から前記装着開口を通して挿入して前記装着フランジを前記肩部に載置させて前記外側部材に取り付けられ、前記温水流入部及び前記温水流出部は前記ヘッダー支持体の前記内側部材を通して前記下地床体の下側に突出していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の床暖房装置では、作業開口を有する下地床体と、前記下地床体の上面側に設置された温水マット体と、前記温水マット体の上側に設置された仕上げ床体と、前記作業開口に装着された開口閉塞部材と、前記温水マットに温水を供給するとともに、供給した温水を戻すためのヘッダーとを備え、前記温水マット体は、温水を流すための温水チューブを有し、前記ヘッダーは、温水が流入する温水流入部と、温水が流出する温水流出部と、前記温水流入部からの温水を供給するための温水供給部と、温水を前記温水流出部に戻すための温水戻り部とを有し、前記温水チューブの一端部が前記開口閉塞部材を通して前記ヘッダーの前記温水供給部に接続され、前記温水チューブの他端部が前記開口閉塞部材を通して前記ヘッダーの前記温水戻り部に接続されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の床暖房装置の施工方法によれば、下地床体の上面側に温水マット体及び仕上げ床体を設置して前記温水マット体に内蔵される温水チューブを通して温水を循環する床暖房装置の施工方法であって、
前記下地床体にヘッダー取付開口を形成し、ヘッダーの温水流入部及び温水流出部を下側に突出させるように前記ヘッダーをヘッダー支持体に取り付け、前記温水流入部を熱源機からの温水供給ラインに接続するとともに、前記温水流出部を前記熱源機への温水戻しラインに接続し、前記ヘッダー支持体を下側から前記下地床体の前記ヘッダー取り付け開口に取り付け、その後、前記下地床体を覆うように前記温水マットを設置し、前記温水マットの温水チューブの一端部を前記ヘッダーの温水供給部に接続するとともに、前記温水チューブの他端部を前記ヘッダーの前記温水戻り部に接続することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の請求項5に記載の床暖房装置の施工方法は、下地床体の上側に温水マット部材及び仕上げ床部材を一体的に形成したマットユニットを設置する床暖房装置の施工方法であって、
前記下地床体に作業開口を形成し、前記温水マット部材の温水チューブの両端部を開口閉塞部材を通して前記下地床体の下側に導き、前記温水チューブの一端部をヘッダーの温水供給部に接続するとともにその他端部を前記ヘッダーの温水戻し部に接続し、更に前記ヘッダーの温水流入部を熱源機からの温水供給ラインに接続するとともに、その温水流出部を熱源機への温水戻りラインに接続し、その後前記開口閉塞部材を前記下地床体の前記作業開口に装着し、しかる後に前記開口閉塞部材を覆うように仕上げ床片を装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の床暖房装置によれば、下地床体にヘッダー取付開口が設けられ、このヘッダー取付開口にヘッダー支持体が取り付けられ、ヘッダー支持体に取り付けられるヘッダーの温水流入部及び温水流出部はヘッダー支持体を通して下地床体の下側に突出する構成であるので、このヘッダー取付開口を通して温水流入部及び温水流出部を熱源機からの温水供給ライン及び温水戻しラインに接続することができ、下地床体の一部を取り外すことなく熱源機への接続を容易に行うことができる。また、ヘッダー支持体は、その支持本体部を下側からヘッダー取付開口を通して挿入して取付フランジを下地床体の下面に当接させて下地床体に取り付けられ、ヘッダーはこのヘッダー支持体の収容凹部に収容される構成であるので、ヘッダーの上方の床面に作用する負荷は、このヘッダー支持体を介して下地床体に支持され、大きな負荷が作用しても支持することができ、充分な耐久性を確保することができる。また、ヘッダーと温水マット体の温水チューブとの接続は、例えば、下地床体にヘッダー支持体を取り付け、このヘッダー支持体にヘッダーを取り付けた状態にて上側から行うことができ、その接続も容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の床暖房装置によれば、ヘッダー支持体は、取付フランジが設けられた外側部材と、ヘッダーを収容する収容凹部が設けられた内側部材とから構成され、外側部材には肩部を有する装着開口が設けられ、内側部材には、この肩部に載置される装着フランジが設けられているので、外側部材については、ヘッダー取付開口を通して下地床体の下側に挿入して取付フランジを下地床体の下面に当接させて下地床体に取り付けることができ、内側部材については、上側から装着開口を通して挿入して装着フランジを肩部に載置させて外側部材に取り付けることができ、このヘッダー支持体を下地床体に簡単に且つ容易に取り付けることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の床暖房装置によれば、下地床体に作業開口が設けられ、この作業開口に開口閉塞部材が取り付けられ、温水マット体の両端部が開口閉塞部材を通して下地床体の下側に導かれる構成であるので、この作業開口を通して温水チューブの両端部を熱源機からの温水供給ライン及び温水戻しラインに接続することができ、下地床体の一部を取り外すことなく熱源機への接続を容易に行うことができる。また、下地床体の作業開口に開口閉塞部材が装着されるので、この作業開口の上方の床面に作用する負荷は、この開口閉塞部材を介して下地床体に支持され、充分な耐久性を確保することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の床暖房装置の施工方法によれば、下地床体にヘッダー取付開口を形成し、ヘッダーの温水供給部及び温水戻し部を下側に突出させるようにヘッダーをヘッダー支持体に取り付け、この状態にてヘッダーの温水供給部を熱源機からの温水供給ラインに接続し、また温水戻し部を熱源機への温水戻しラインに接続するので、ヘッダー取付開口を利用して下地床体の一部を取り外すことなく熱源機への接続を行うことができる。また、このヘッダー支持体については、下側から下地床体のヘッダー取付開口に取り付けるので、ヘッダー取付開口の上方に作用する負荷はこのヘッダー支持体で支持することができ、充分な耐久性を確保することができる。
【0015】
更に、本発明の請求項5に記載の床暖房装置の施工方法によれば、温水マット部材及び仕上げ床部材を一体的に形成されたマットユニットから構成した床暖房装置においても、下地床体に作業開口を形成し、温水マット部材の温水チューブの両端部を開口閉塞部材を通してヘッダーの温水供給部及び温水戻し部に接続し、更にヘッダーの温水流入部及び温水流出部を熱源機に接続することによって、下地床体の作業開口を通して所要の接続作業を容易に行うことができる。また、この接続作業の後、開口閉塞部材を下地床体の作業開口に装着し、しかる後に開口閉塞部材を覆うように仕上げ床片を装着するので、仕上げ床片に作用する負荷をこの開口閉塞部材を介して下地床体でもって支持することができ、充分な耐久性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う床暖房装置及びその施工方法について説明する。図1は、第1の実施形態の床暖房装置の一部を断面で示す部分断面図であり、図2は、図1の床暖房装置におけるヘッダー支持体及びこれに装着されたヘッダーを示す平面図であり、図3は、第2の実施形態の床暖房装置の一部を断面で示す部分断面図であり、図4は、第3の実施形態の床暖房装置の一部を断面で示す部分断面図である。
【0017】
図1において、図示の床暖房装置は、下地床体2と、この下地床体2の上側に設置される温水マット体4と、この温水マット体4の上側に設置される仕上げ床体6とを備えている。家屋の大引(図示せず)には間隔をおいて根太(図示せず)が取り付けられ、これら根太の上面に下地床体2が取り付けられる。下地床体2は、板材又は合板材などから形成される複数の下地床部材8から構成され、これら下地床部材8が根太に釘などを用いて固定される。
【0018】
温水マット体4は複数の温水マット部材10と複数の疑似マット部材(図示せず)から構成され、これら温水マット部材10及び疑似マット部材が下地床体2の全域を覆うように所要の通りに設置され、接着剤などを用いて下地床体2の上面に固定される。温水マット部材10は、合成樹脂製、木製などのマット本体12を備え、このマット本体12に温水チューブ14(例えば、合成樹脂チューブから構成される)が所要の通りに内蔵され、暖房用の温水がこの温水チューブ14を通して流れる。また疑似マット部材は、合成樹脂製、木製などの疑似マット本体から構成され、この疑似マット本体には温水チューブは内蔵されない。温水マット体4は、上述した温水マット部材10及び疑似マット部材を組み合わせて構成され、暖房を必要とする床面には温水マット部材12が設置され、暖房を必要としない床面には疑似マットが設置される。
【0019】
この温水マット部材10の上面には、必要に応じてアルミニウム製シート16が配設され、接着剤などによって温水マット体4の上面に固定され、このアルミニウム製シート16の上側に仕上げ床体6が設置される。仕上げ床体6は、複数の仕上げ床部材18から構成され、これらが接着剤などによってアルミニウム製シート16の上面に固定される。仕上げ床部材18は、合板などから構成される。
【0020】
図1とともに図2を参照して、この床暖房装置では、下地床体2の所定部位に、例えば矩形状のヘッダー取付開口20が設けられ、このヘッダー取付開口20にヘッダー支持体22が後述する如く取り付けられ、かく取り付けられたヘッダー支持体22にヘッダー24が装着されている。ヘッダー支持体22は矩形状の支持本体部26を有し、この支持本体部26の両端部に取付フランジ28が設けられている。このようなヘッダー支持体22は、例えば合成樹脂から形成することができる。この取付フランジ28は、支持本体部26の両端部に代えて、その両側部に設けるようにしてもよい。このヘッダー支持体22は、図1に示すように、下地床体22の下側からヘッダー取付開口20を通して支持本体部26を挿入してヘッダー支持体22の取付フランジ28が下地床体8の下面に当接され、このような状態にて釘30、固定ねじなどにより固定される。
【0021】
このヘッダー支持体22の支持本体部26の上面には、ヘッダー24の形状に対応して収容凹部32が設けられている。図示のヘッダー24は矩形状のヘッダー本体34を備え、このヘッダー本体34に供給側流路36及び戻り側流路38が設けられている。ヘッダー本体34の下面には、供給側流路36に連通する温水流入部42及び戻り側流路38に連通する温水流出部44が設けられ、温水流入部42及び温水流出部44は、ヘッダー支持体22の支持本体部26に設けられた貫通孔(図示せず)を通してその下側に、即ち下地床体2の下側に突出している。温水流入部42は温水供給ライン46を介して熱源機(図示せず)の供給側に接続され、また温水流出部44は温水戻りライン48を介して熱源機の戻り側に接続される。
【0022】
このヘッダー本体34の一端部(図1及び図2において左端部)には第1温水供給部50及び第1温水戻り部52が設けられ、その他端部(図1及び図2において右端部)には第2温水供給部54及び第2温水戻り部56が設けられている。第1及び第2温水供給部50,54は供給側流路36に連通され、第1及び第2温水戻り部52,56は戻り側流路38に連通されている。ヘッダー24の第1温水供給部50及び第1温水戻り部52は温水マット体4の一つの温水マット部材10に接続され(具体的には、第1温水供給部50は温水マット部材10の温水チューブ14の一端部に接続され、第1温水戻り部52はその温水チューブ14の他端部に接続される)、その第2温水供給部54及び第2温水戻り部56は温水マット体4の他の一つの温水マット部材10に接続される(具体的には、第2温水供給部54は他の温水マット部材10の温水チューブ14の一端部に接続され、第2温水戻り部56はその温水チューブ14の他端部に接続される)。尚、ヘッダー24の上述した構成に関連して、ヘッダー支持体22の収容凹部32は、ヘッダー本体34を収容する矩形状の中央収容部と、第1及び第2温水供給部50,54並びに第1及び第2温水戻り部52,56を収容する細長い延長収容部とを有し、これら延長収容部は中央収容部から両側に直線状に延びている。
【0023】
この実施形態では、ヘッダー24を覆うように、ヘッダー支持体22の支持本体部26の上面に、例えば合成樹脂から形成されるカバー部材58が配設されている。このカバー部材58は、温水マット体4の上面とヘッダー支持体22の上面との間に段差が生じないように設けられ、このようにカバー部材58を設けることによって、温水マット体4の上面とカバー部材58の上面とが同一面を規定する。このように構成することによって、ヘッダー24の上方の仕上げ床体6に作用する負荷は、カバー部材58及びヘッダー支持体22を介して下地床体2に支持され、ヘッダー24の配設部位においても充分な強度を確保することができる。尚、温水マット体4の上面とヘッダー支持体22の上面とが同一面を規定するように構成したときには、このカバー部材58を省略することができ、このときには、ヘッダー24の上方の仕上げ床体6に作用する負荷は、ヘッダー支持体22を介して下地床体2に支持される。
【0024】
この床暖房装置は、例えば、次のようにして施工することができる。まず、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を形成する。既設の家屋などについては、床材を取り外して下地床体2のヘッダー取付開口20を形成し、新築の家屋については、下地床体2を設けた後にヘッダー取付開口20を形成する。次いで、ヘッダー24をヘッダー支持体22の収容凹部32に所要の通りに収容し、ヘッダー24の温水流入部42及び温水流出部44をヘッダー支持体24の下側に突出させる。そして、このような状態にて、ヘッダー取付開口20を通して、温水流入部42に熱源機(図示せず)からの温水供給ライン46を接続するとともに、温水流出部44に熱源機への温水戻りライン48を接続する。
【0025】
その後、ヘッダー24を収容したヘッダー支持体22をヘッダー取付開口20を通して下地床体2の下側に入れ、支持体本体26を下側からヘッダー取付開口20に挿入して取付フランジ28を下地床体2の下面に当接させ、釘30などによりこのヘッダー支持体22を下地床体2に取り付ける。尚、ヘッダー24を収容したヘッダー支持体22を下地床体2の下側に入れ、このような状態でヘッダー24の温水流入部42及び温水流出部44を温水供給ライン46及び温水戻りライン46に接続し、その後このヘッダー支持体22を下地床体2に取り付けるようにしてもよい。
【0026】
次に、下地床体2の上面に温水マット体4を所要の通りに設置する。この設置は、上述したように、暖房を必要とする領域には温水マット部材12を設置し、暖房を必要としない領域には疑似マット部材を設置する。そして、温水マット部材12の温水チューブ14の一端部をヘッダー24の第1温水供給部50(第2温水供給部54)に接続するとともに、その他端部をヘッダー24の第1温水戻し部52(第2温水戻し部56)に接続する。
【0027】
しかる後に、ヘッダー24及びヘッダー支持体22を覆うようにカバー部材58を配設し、温水マット体4及びカバー部材58を覆うようにアルミニウム製シート16が配設され、このアルミニウム製シート16の上側に仕上げ床体6が所要の通りに設置され、このようにして上述した床暖房装置を施工することができる。この施工方法では、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を設け、このヘッダー取付開口20を利用してヘッダー20との接続作業などを行うので、下地床体2の一部を取り外すなどの作業を必要とせず、その施工を簡単に且つ容易に行うことができ、施工作業時間を短縮させることができる。
【0028】
このように施工した床暖房装置では、熱源機(図示せず)からの温水が、温水供給ライン46を通してヘッダー24の温水流入部42に流入し、かく流入した温水が、供給側流路36並びに第1及び第2温水供給部50,54から温水マット部材10の温水チューブ14に供給され、これら温水チューブ14を流れた温水は、ヘッダー24の第1及び第2温水戻り部52,56並びに戻り側流路38を通して温水流出部44から温水戻りライン48を通して熱源機に戻り、熱源機からの温水がこのようにして温水マット部材10の温水チューブ14を通して循環され、かく循環される温水の熱が温水マット部材10、アルミニウム製シート16及び仕上げ床体6を通して伝達されて床面が加温される。
【0029】
次に、図3を参照して、第2の実施形態の床暖房装置について説明する。尚、以下の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0030】
この第2の実施形態では、温水マット体4Aの温水マット部材10A(及び疑似マット部材)と仕上げ床体6Aの仕上げ床部材18Aとが一体的に形成され、温水マット部材10A(及び疑似マット部材)及び仕上げ床部材18Aがマットユニット62を構成しており、このようなマットユニット62を用いる場合、下地床体2の上面側にマットユニット62が設置される。
【0031】
この第2の実施形態においては、ヘッダー24及びヘッダー支持体22を覆うように仕上げ床片64が取り付けられ、例えば接着剤などを用いてヘッダー支持体22の上面に固定される。この仕上げ床片64は、仕上げ床部材18Aと同様の材料から形成される。尚、この仕上げ床片64とヘッダー24及びヘッダー支持体22との間に、ヘッダー24からの熱伝導を抑えるために、例えば合成樹脂から形成されるカバー部材を介在させるようにしてもよい。この第2の実施形態におけるその他の構成は、上述の第1の実施形態と実質上同一である。
【0032】
この第2の実施形態の床暖房装置の施工は、例えば次の通りに行うことができる。第1の実施形態と同様に、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を形成し、ヘッダー24をヘッダー支持体22の収容凹部32に所要の通りに収容し、ヘッダー取付開口20を通して、ヘッダー24の温水流入部42に熱源機(図示せず)からの温水供給ライン46を接続するとともに、温水流出部44に熱源機への温水戻りライン48を接続する。そして、ヘッダー24を収容したヘッダー支持体22をヘッダー取付開口20を通して下地床体2の下側に入れ、支持体本体26を下側からヘッダー取付開口20に挿入して取付フランジ28を下地床体2の下面に当接させ、このヘッダー支持体22を下地床体2に取り付ける。
【0033】
次に、下地床体2の上面にマットユニット62を所要の通りに設置する。この設置は、暖房を必要とする領域には温水チューブ14を内蔵するマットユニットを設置し、暖房を必要としない領域には温水チューブを内蔵しないマットユニットを設置する。そして、マットユニット62の温水チューブ14の一端部をヘッダー24の第1温水供給部50(第2温水供給部54)に接続するとともに、その他端部をヘッダー24の第1温水戻し部52(第2温水戻し部56)に接続する。
【0034】
しかる後に、ヘッダー24及びヘッダー支持体22を覆うように仕上げ床片64を装着し、このようにして床暖房装置を所要の通りに設置することができる。この施工方法でも、第1の実施形態と同様に、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を設け、このヘッダー取付開口20を利用してヘッダー20との接続作業などを行うので、上述したと同様の作用効果が達成される。
【0035】
第2の実施形態では、マットユニット62を用いているが、このようなマットユニット62の厚さが例えば12mm程度と薄い場合、図3に示すようにヘッダー24を内蔵させることが難しく、ヘッダー24を下地床体2の下側空間に吊り下がった状態に保持するようになる。この場合、ヘッダー取付開口に代えて、下地床体2の所定部位に作業開口が設けられ、ヘッダー支持体に代えて、上述したヘッダー支持体と略同様の形状の開口閉塞部材(ヘッダーを取り付ける必要がないために収容凹部が存在しないが、マットユニット62から温水チューブ14を挿通させるための貫通孔が設けられているもの)が用いられる。このような床暖房装置においては、第2の実施形態と略同様に施工することができ、例えば、下地床体2の所定部位に作業開口を形成し、ヘッダー24を作業開口を通して下地床体2の下側に入れ、ヘッダー24の温水流入部42及び温水流出部44に温水供給ライン46及び温水戻りライン48を接続する。その後、下地床体2の上面側にマットユニット62を設置し、更に開口閉塞部材を作業開口を通して下地床体2の下側空間に入れ、マットユニット62から延びる温水チューブ14の一端部を開口閉塞部材を通してヘッダー24の第1温水供給部50(第2温水供給部54)に接続するとともに、この温水チューブ14の他端部を開口閉塞部材を通してヘッダー24の第1温水戻り部52(第2温水戻り部54)に接続する。そして、この接続の後に、開口閉塞部材を下側から作業開口に挿入して開口閉塞部材の取付フランジを下地床体2の下面に当接させ、開口閉塞部材を下地床体2に取り付け、しかる後に、この開口閉塞部材の上面側に仕上げ床片を取り付け、このようにして施工することができる。
【0036】
次に、図4を参照して、第3の実施形態の床暖房装置について説明する。この第3の実施形態では、ヘッダー支持体に修正が加えられ、ヘッダー支持体が外側部材と内側部材とから構成されている。
【0037】
図4において、図示のヘッダー支持体22Bの外側部材72の両端部には、第1の実施形態と同様に、取付フランジ28Bが設けられ、これら取付フランジ28Bは下地床体2の下面に当接するように取り付けられる。この外側部材72の略中央部には装着開口74が設けられ、この装着開口74の上部に肩部76が設けられている。また、内側部材78には外側部材72の肩部76に載置される装着フランジ80が設けられ、またその上面には、第1の実施形態におけるヘッダー支持体22の収容凹部32と同様の形状の収容凹部82が設けられ、更にヘッダー24の温水流入部42及び温水流出部44が挿通される貫通孔(図示せず)が設けられている。この第3の実施形態におけるその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0038】
この第3の実施形態の床暖房装置は、例えば、次のようにして施工することができる。まず、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を形成し、ヘッダー支持体22Aの外側部材72をヘッダー取付開口20を通して下地床体2の下側空間に挿入し、下側からヘッダー取付開口20に挿入して取付フランジ28Bを下地床体2の下面に当接させ、釘30などによりこの外側部材72を下地床体2に取り付ける。
【0039】
その後、内側部材78の収容凹部82にヘッダー24を収容して温水流入部42及び温水流出部44を内側部材78の下側に突出させ、外側部材72の装着開口74を通して、熱源機(図示せず)からの温水供給ライン46を温水流入部42に接続するとともに、熱源機への温水戻りライン48を温水流出部44に接続する。
【0040】
その後、ヘッダー24を収容した内側部材78を装着開口74内に挿入し、装着フランジ80を外側部材72の肩部76に載置して内側部材78を接着剤などで外側部材72に固定する。
【0041】
その後、第1の実施形態と同様に、下地床体2の上面に温水マット体4を所要の通りに設置し、温水マット部材12の温水チューブ14の一端部をヘッダー24の第1温水供給部50(第2温水供給部54)に接続するとともに、その他端部をヘッダー24の第1温水戻し部52(第2温水戻し部56)に接続し、その後、ヘッダー24及びヘッダー支持体22Bの内側部材78を覆うようにカバー部材58を配設し、温水マット体4及びカバー部材58を覆うようにアルミニウム製シート16を配設し、更にアルミニウム製シート16の上側に仕上げ床体6を所要の通りに設置し、このようにして上述して床暖房装置を施工することができる。この施工方法では、下地床体2の所定部位にヘッダー取付開口20を設け、このヘッダー取付開口20に外側部材72を下側から取り付け、更に外側部材72の装着開口74に上側から内側部材78を装着するので、ヘッダー支持体22Bの装着を容易に行うことができ、床暖房装置の施工を一層容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明に従う床暖房装置の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態の床暖房装置の一部を断面で示す部分断面図。
【図2】図1の床暖房装置におけるヘッダー支持体及びこれに装着されたヘッダーを示す平面図。
【図3】第2の実施形態の床暖房装置の一部を断面出示す部分断面図。
【図4】第3の実施形態の床暖房装置の一部を断面で示す部分断面図。
【符号の説明】
【0044】
2 下地床体
4,4A 温水マット体
6,6A 仕上げ床体
10,10A 温水マット部材
14 温水チューブ
20 ヘッダー取付開口
22 ヘッダー支持体
24 ヘッダー
28,28B 取付フランジ
32 収容凹部
42 温水流入部
44 温水流出部
50,54 温水供給部
52,56 温水戻り部
62 マットユニット
64 仕上げ床片
72 外側部材
78 内側部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダー取付開口を有する下地床体と、前記下地床体の上面側に設置された温水マット体と、前記温水マット体の上側に設置された仕上げ床体と、前記下地床体の前記ヘッダー取付開口に取り付けられたヘッダー支持体と、前記ヘッダー支持体に取り付けられたヘッダーと、を備え、前記温水マット体は、温水を流すための温水チューブを有し、前記ヘッダー支持体は、前記ヘッダーを収容する収容凹部が設けられた支持本体部と、前記支持本体部に設けられた取付フランジとを有し、前記支持本体部を下側から前記ヘッダー取付開口を通して挿入して前記取付フランジを前記下地床体の下面に当接させて前記下地床体に取り付けられ、また前記ヘッダーは、温水が流入する温水流入部と、温水が流出する温水流出部と、前記温水流入部からの温水を供給するための温水供給部と、温水を前記温水流出部に戻すための温水戻り部とを有し、前記温水流入部及び前記温水流出部は前記ヘッダー支持体を通して前記下地床体の下側に突出し、前記温水供給部が前記温水チューブの一端部に接続され、前記温水戻り部が前記温水チューブの他端部に接続されることを特徴とする床暖房装置。
【請求項2】
前記ヘッダー支持体は、前記取付フランジが設けられた外側部材と、前記収容凹部が設けられた内側部材とから構成され、前記外側部材には、肩部を有する装着開口が設けられ、前記内側部材には、前記装着開口の前記肩部に載置される装着フランジが設けられ、前記外側部材は、下側から前記ヘッダー取付開口を通して挿入して前記取付フランジを前記下地床体の下面に当接させて前記下地床体に取り付けられ、また前記内側部材は、上側から前記装着開口を通して挿入して前記装着フランジを前記肩部に載置させて前記外側部材に取り付けられ、前記温水流入部及び前記温水流出部は前記ヘッダー支持体の前記内側部材を通して前記下地床体の下側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の床暖房装置。
【請求項3】
作業開口を有する下地床体と、前記下地床体の上面側に設置された温水マット体と、前記温水マット体の上側に設置された仕上げ床体と、前記作業開口に装着された開口閉塞部材と、前記温水マットに温水を供給するとともに、供給した温水を戻すためのヘッダーとを備え、前記温水マット体は、温水を流すための温水チューブを有し、前記ヘッダーは、温水が流入する温水流入部と、温水が流出する温水流出部と、前記温水流入部からの温水を供給するための温水供給部と、温水を前記温水流出部に戻すための温水戻り部とを有し、前記温水チューブの一端部が前記開口閉塞部材を通して前記ヘッダーの前記温水供給部に接続され、前記温水チューブの他端部が前記開口閉塞部材を通して前記ヘッダーの前記温水戻り部に接続されることを特徴とする床暖房装置。
【請求項4】
下地床体の上面側に温水マット体及び仕上げ床体を設置して前記温水マット体に内蔵される温水チューブを通して温水を循環する床暖房装置の施工方法であって、
前記下地床体にヘッダー取付開口を形成し、ヘッダーの温水流入部及び温水流出部を下側に突出させるように前記ヘッダーをヘッダー支持体に取り付け、前記温水流入部を熱源機からの温水供給ラインに接続するとともに、前記温水流出部を前記熱源機への温水戻しラインに接続し、前記ヘッダー支持体を下側から前記下地床体の前記ヘッダー取り付け開口に取り付け、その後、前記下地床体を覆うように前記温水マットを設置し、前記温水マットの温水チューブの一端部を前記ヘッダーの温水供給部に接続するとともに、前記温水チューブの他端部を前記ヘッダーの前記温水戻り部に接続することを特徴とする床暖房装置の施工方法。
【請求項5】
下地床体の上側に温水マット部材及び仕上げ床部材を一体的に形成したマットユニットを設置する床暖房装置の施工方法であって、
前記下地床体に作業開口を形成し、前記温水マット部材の温水チューブの両端部を開口閉塞部材を通して前記下地床体の下側に導き、前記温水チューブの一端部をヘッダーの温水供給部に接続するとともにその他端部を前記ヘッダーの温水戻し部に接続し、更に前記ヘッダーの温水流入部を熱源機からの温水供給ラインに接続するとともに、その温水流出部を熱源機への温水戻りラインに接続し、その後前記開口閉塞部材を前記下地床体の前記作業開口に装着し、しかる後に前記開口閉塞部材を覆うように仕上げ床片を装着することを特徴とする床暖房装置の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−287818(P2009−287818A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139562(P2008−139562)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】