説明

床材及びその製造方法

【課題】部品点数を極力少なくするとともに、容易に床材を製造できるようにする。
【解決手段】床材1は、上層2と、下層3と、上層2と下層3との間に設けられる枠材4とを備える。上層2、下層3、及び枠材4は合成樹脂により構成される。上層2と枠材4とを接合し、かつ枠材4と下層3とを接合することで、上層2、枠材4、及び下層3とにより床材1の内部に電気機器Eを収容する収容部5が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に電気機器を収容可能な床材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、表面をガラス材(床ガラス)で構成するとともに、内部に照明機器を収容して、その照明により歩行者を誘導できるようにしたガラス床(以下、単に「床材」という)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この床材は、所定の手順で組み立てられるガラス床ユニットにより構成される。このガラス床ユニットは、以下のような手順で組み立てられる。
【0004】
まず、二本の長尺支分支持枠2a,2aと、二本の短尺支分支持枠2b,2bを平面から長方形の辺に沿った状態に配置し、L字状の接続部材でその四隅を接続する。
【0005】
このようにして構成される支持枠2の下部に、LED5bを配した取付台5aが載置された面材3dが設けられ、支持枠2の上部には、LED5bの光を透過する床ガラス4が載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−332538号公報(段落0077〜0083)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の床材は、長尺支分支持枠、短尺支分支持枠、接続部材、面材、ガラス床といった複数の部材を、複数の手順で組み立てるため、組立作業が煩雑であり、製造コストも高くなってしまっていた。また、マンション等の集合住宅などでは、コンクリートやモルタルの下地面に床材が敷設される場合が多い。コンクリートやモルタルの下地面は、比較的平滑であるように見えても不陸がある場合が多い。
【0008】
しかし、支持枠に剛性の高いアルミニウムや木材を使用した場合、比較的小さな不陸(2mm〜8mmの範囲)でも下地面と床板との間の不陸を吸収することができず、ガタついてしまうという欠点は避けられない。ガタつきが生じると、床鳴りの発生や、歩行感が悪くなる、床材同士の繋ぎ目に段差を生じる、外観上綺麗に仕上がらないといった不都合を生じることとなる。
【0009】
特に、床材同士の繋ぎ目に段差を生じると、歩行感が不安定となるばかりでなく、つまずきやすくなる為、安全上も好ましくない。このため、良好な床材敷設のために床材には、下地面と床板との間の不陸を吸収する、所謂「不陸追随性」が必要となる。また、あらかじめ敷設した緩衝マット上に床材を敷設して不陸を吸収させることが考えられるが、施工時間や施工コストが嵩むといった不都合を生じる上、床面が必要以上に高くなる、床材同士の連結が困難となるなどの不都合を生じる場合がある。
【0010】
一方、ガタつく欠点を抑えるために、軟質の枠体を使用した場合、不陸のある床面に敷設すると、枠体が軟質のために重量物の重さに耐えることができないといった不都合を生じることとなる。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で電気機器を収容でき、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性があり、同時に重量物の重さに耐えることができる床材及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る床材は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材とを備え、上層、下層、及び枠材を合成樹脂により構成し、上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部が形成されてなることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、上層と枠材とを接合し、この枠材と下層とを接合することによって、内部に電気機器を収容する収容部を形成することにより、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。また、下層を合成樹脂によって構成できるので、その厚さ、硬度を適宜調整することで、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【0014】
なお、本発明における「接合」には、例えば、上層と枠材、枠材と下層を、接着材を介して一体に固着する場合、溶剤による溶着、熱溶着等の溶着によって一体に固着する場合等が含まれる。
【0015】
また、本発明に係る床材は、上層と枠材とを熱溶着によって接合し、枠材と下層とを熱溶着によって接合してなることが望ましい。
【0016】
かかる構成によれば、熱溶着によって上層、枠材、及び下層を一体に構成することで、上層と枠材との接合部(溶着部分)、枠材と下層との接合部分(溶着部分)を、接着剤によって接合する場合に比べて、より強固に一体化できる。これによって、重量物の重さにも耐えうる高強度の床材を容易に製造できる。
【0017】
また、本発明に係る床材は、前記枠材が、前記収容部を構成すべく環状に構成されていてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、枠材が環状に構成されていることから、この枠材を上層と下層とに溶着するだけで、この枠材は、収容部の一部として電気機器の側部を囲繞することができ、これによって作業工程を低減して容易に枠材を製造することができる。
【0019】
また、本発明に係る床材は、前記枠材が、収容部に収容される電気機器の配線を収容する配線収容部を有する構成を採用できる。
【0020】
かかる構成によれば、枠材に配線収容部を形成することで、配線が邪魔にならずに床材の施工を行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る床材は、前記収容部には、電気機器を保護するための保護部材が設けられている構成を採用できる。
【0022】
かかる構成によれば、保護部材によって電気機器を保護することによって、電気機器の機能を長期かつ確実に維持することができる。
【0023】
また、本発明は、上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材を備えるとともに、内部に電気機器を収容可能な床材の製造方法であって、上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材及び下枠とにより内部に電気機器を収容する収容部を形成することを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、上層と枠材とを溶着し、この枠材と下層とを溶着することによって、内部に電気機器を収容する収容部を形成することにより、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。また、下層を合成樹脂によって構成することで、その厚さ、硬度を適宜調整することで、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、簡易な構成で電気機器を収容でき、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性があり、同時に重量物の重さに耐えることができる床材を容易に製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】床材の縦断面図である。
【図2】枠材の平面図である。
【図3】(a)は、図2に対応する枠材の側部の端面図であり、(b)、(c)は枠材の他の例を示す側部の端面図である。
【図4】複数の床材を施工した場合の状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。図1〜図4は、本発明に係る床材の一実施形態を示す。
【0028】
図1に示すように、床材1は、所定の電気機器Eを内部に収容できるように構成される。ここで、電気機器Eとは、電気を用いて所定の機能を発揮する機器を全て含む。この電気機器Eには、例えば、照明機器、冷暖房機器、音響機器、センサ、床発電基板その他の各種機能を発揮する回路基板、電子機器等が該当する。
【0029】
この床材1は、上層2、下層3、上層2と下層3との間に設けられる枠材4、電気機器Eを収容可能な収容部5、及び電気機器Eを保護するための保護部材6を有する。
【0030】
上層2は、その表面(上面)2aが床面を構成するものであり、合成樹脂によって例えば平面視四角形状に構成される。この上層2としては、タイルカーペット(TCP)、樹脂系タイルが用いられる。上層2にタイルカーペットが利用される場合は、パイル素材としてナイロン、PP、アクリル、PET、ウール等の素材を利用したタフテッド形状、織形状、ニードルパンチ形状のものが使用される。
【0031】
また、バッキング材として、PVC、ポリエステル、合成ゴム、EVA、オレフィンその他の種々の材料を使用できる。また、タイルカーペットからなる上層2は、構造上、寸法を安定させるべく、ガラス繊維、ガラスネット等の材料を含んでいてもよい。この場合の上層2の厚さは、2〜12mmが望ましく、より望ましくは、3〜10mmである。
【0032】
上層2に樹脂系タイルが利用される場合は、その材料として、全ての熱可塑性樹脂が使用可能だが、特に塩化ビニル、ゴム、オレフィン系の熱可塑性樹脂が耐久性、不陸追随性などの観点から好適に使用される。また、その構成として、クリア層、印刷層、中間層、基層の組み合わせを含むプリント層を有するもの、チップ散布や無地のような樹脂練り込みや散布手法等の意匠表現を利用したものが耐久性、意匠性の観点から望ましい。この場合の上層2の厚さは、0.5〜7mmが望ましく、より望ましくは、1〜5mmである。また、上層2に塩化ビニルが使用される場合には、その硬度はショア硬度A40〜100である。また、中間層ないしは下層にガラス繊維やガラスネット等を設けることにより、上部からの圧力に対する強度が増すので床材に収容される回路を保護する効果が増す上、タイルの温度変化に対する寸法安定性を確保することが出来る。
【0033】
下層3は、その下面(外面)3bが床材1の設置面に接触するため、その機能として、収容部5に収容された電気機器Eを保護すること、不陸追従性、接着性等が求められる。このため、下層3は、例えば軟質塩化ビニル等の合成樹脂によってシート状に構成されることが望ましい。下層3は、上層2と同じように平面視四角形状に形成されている。この場合の下層3の厚さは、0.1〜3mmが望ましく、より望ましくは、0.5〜2mmである。下層3の厚さが薄すぎると電気機器Eの保護が不充分となる虞があり、厚すぎると充分な不陸追随性が得られなくなる虞がある。
【0034】
下層3における可塑剤の添加量は、5〜70phr程度が望ましく、より望ましくは10〜60phrである。可塑剤の添加量が少なすぎると樹脂の柔軟性が低下して充分な不陸追随性が得られなくなる場合があり、逆に添加量が多すぎると樹脂が柔らかくなり過ぎて電気機器Eの保護が不充分となる虞がある。また、フィラーの添加量は、引裂等の機械的強度特性を考慮して、20〜500phrが望ましく、より望ましくは、50〜150phrである。フィラーの添加量が少なすぎると、寸法安定性、感温性、可撓性、機械的強度が低下する虞がある。ここで云う感温性の低下とは、床材が低温下で硬くなりすぎて、不陸追随性が悪くなる現象を意味する。特に、機械的強度が低くなり過ぎると、電気機器Eの保護が不充分となる虞がある。逆に添加量が多すぎると樹脂硬度が高くなり充分な不陸追随性が得られなくなる場合がある。
【0035】
また、下層3をニードルパンチ、フェルト等による不織布で構成してもよい。この場合の下層3の厚さは、0.5〜10mmが望ましく、より望ましくは、1〜5mmである。下層3を不織布で構成するか、下面3bに凹凸(エンボス)を形成することにより、施工時の位置ずれの防止効果や、接着剤や粘着剤を用いて敷設する際に接着剤の食い付き性向上効果を得ることができる。特に、接着剤の食い付き性が向上すると、下地面との密着性が向上するので、不陸追随性をさらに高めることができる。
【0036】
下層3の下面(外面)3bに、滑り止めの手段として、粘着剤や、発泡体からなる吸着材、ゴム・オレフィン系エラストマー、両面粘着テープを積層してもよい。これによって、床材1を設置面に置いたときに、これらを接触させることで、床材1を、設置面に対して滑ることなく固定することができる。
【0037】
粘着剤、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる敷設は、接着剤を使用した施工に比べて、一旦下地面に貼着した床材を剥がすことは容易であり、施工時に一旦貼った床材の位置を修正することも非常に容易である点が優れている。この為、吸着材や粘着材による敷設は、置敷きタイルやタイルカーペットなどの施工に広く用いられている。
【0038】
特に、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる施工は、あらかじめ床材を製造する工場で床材裏面に貼っておき、現場で接着剤や粘着剤を塗布・乾燥する工程を省くことができる。現場での塗布・乾燥する工程を省くことができると、作業時間と工数が大幅に削減できるので、施工効率が格段に向上する。
【0039】
しかしながら、粘着剤、吸着材、エラストマー、両面粘着テープによる施工は、貼着した床材を剥がすことは容易な反面、下地に不陸や段差がある場合、床材がその不陸に追随できないと、踏まれた時だけ一時的に凹部に付き、その後離れるといった動きを繰り返し、粘着質の不快な床鳴りの発生原因となってしまう。本発明の構成を用いると、電気機器を収容しているにも係わらず、下地の不陸への追随性を確保することが可能なので、不快な床鳴りの発生を抑えることが可能となる。
【0040】
枠材4は、図2に示すように、平面視四角形状の環状に形成される。この枠材4は、上層2よりも硬質の合成樹脂により構成される。枠材4の硬度は、ショア硬度D50〜100が望ましく、より望ましくはD60〜85である。枠材4の硬度が低すぎると床材が踏まれた際に枠体4が変形し収容した電気機器が破損する虞があり、硬度が高すぎると不陸追随性が低下する場合がある。
【0041】
枠材4に上層2及び下層3を接合することにより、収容部5が形成される。上記接合を行う手段は特に限定されないが、例えば、溶着、接着等を挙げることができ、特に接合力の強く床材全体の強度を強く保つことができる溶着が望ましい。また、溶着による加工は、不陸追随の際に床材全体が変形しても剥離する虞が少ないので、本発明に好適に利用できる。特に、溶着による接合は、長期間に渡って安定的に高い強度で密閉性を保つことができる。このため、粉塵等が多く存在する場所又は高湿度の環境などで使用する場合であっても、周囲の粉塵、水分などが床材内部に侵入せず、収容された電気機器の信頼性を低下させることなく長期間使用することができる。また、設備が安価で、高い生産性を示す点でも、溶着により接合することが好ましい。
【0042】
溶着方法としては、溶剤によるものと、加熱によるものがあるが、加工が容易な上、接合強度が固い加熱方式が本発明に好適に利用できる。上記溶着としては、高周波ウェルダー装置による溶着、高圧プレス機による溶着、超音波ウェルダー装置による溶着、ヒートシール、等の局所的に可能な加熱溶着が挙げられる。このような局所的に可能な加熱溶着は、床材内部に収容された電気機器に伝わる熱を最小限に留めて損傷することなく、高い強度で接合を行うことができる。局所的に可能な加熱溶着としては、なかでも、高周波ウェルダー装置による溶着が好ましい。
【0043】
高周波ウェルダー装置による加熱溶着加工とは、材料を電極間に配置して高周波電圧を加えて、分子同士の激しい摩擦によって生ずる発熱を利用して材料を加熱、押圧するものである。高周波ウェルダー装置を用いると、多様な装置が市販されているために、溶着の範囲や強度等様々な形態の溶着に対応することが容易であり、また、溶着を行いたい箇所のみを集中的に加熱することができるために、製造時に内部の電気機器が損傷することを抑制することができる。高周波ウェルダー装置としては、KW−4000T(精電舎電子工業株式会社製)、LW5500−APH(クインライト電子精工株式会社製)、VW5000(山本ビニター株式会社製)などが例示される。かかる高周波ウェルダー装置は、シート載置台の上方に、昇降可能な細長いバーを有するものである。シート載置台の上に、被溶着物であるシートを重ね合わせ、その上に、貼り合わせたい部分の形に応じた形の押型又は切型をバーに付けて、シートの下に絶縁体(シート下敷)を載置して、バーを降ろして金型にシートを接触させ、一定出力の特定周波数の高周波電流を印加して誘電溶着を行う。溶着する部分の端を切り落としたい場合は、下方外側が、一般に使われる空気物の刃(型)よりもやや鋭角になっている切り刃(型)の切型を用い、溶着のみで切断を同時に行わない場合は下方が平坦になっている押型を用いる。
【0044】
加工における温度、圧力、押圧時間、周波数などの条件等は,予備試験を行って所望の強度が得られるように適宜決定すればよいが、本発明では、内部の電気装置への損傷を避けつつ所望の溶着強度を得るために、130〜160℃の温度範囲、1〜100kg/cm2の圧力範囲内の乾熱範囲で、3〜12秒熱間溶着加工を行うのが好ましい。また、電極間に高周波電圧を加える際の周波数は、10〜50MHzの範囲の周波数を用いることが好ましい。10MHz未満では、十分に加熱されず、軟化が不十分となり、50MHzを超える場合は、高周波を発振する発振機が複雑かつ大型になって装置コストが非常に高くなるので経済的に不利となる。
【0045】
加えて、表面材にタイルカーペットを用いる場合、高周波ウェルダー加工と超音波ウェルダー加工を用いると溶着箇所のパイル糸の繊維形態を残して溶融し、前記溶融により生じた溶融接着層の表面に凹凸状に柄をつけ、基布に含浸させて縁部処理することも可能である。特に、高周波ウェルダー装置を用いると、高周波誘電加熱により絶縁体自体を内部発熱させることができるので好適である。パイル糸の繊維形態を残すためには、平滑な床材基板と、その上方に配置され、凹凸面で形成された金型との間に、パイル糸を有する表皮層とバッキング層とを積層したカーペットを挟んで熱溶着加工を行う。前記床材基板と、前記凹凸面で形成された金型の両方に高周波ウェルダー装置の電極を接続し、前記電極間に高周波電圧を加えると、高周波誘電加熱により表皮層のパイル糸が軟化させた後に冷却することで、カーペット表面に凹凸面で形成される立体柄を形成できる。
【0046】
枠材4は、上層2及び下層3に容易に溶着できるように、上層2及び下層3と同じ材料か、又は上層2及び下層3と相溶性の良い材料によって構成される。枠材4の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ナイロン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂等が使用される。
【0047】
また、例えば、枠材4と上層2との間、又は枠材4と下層3との間に、接着層としてEVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系等のホットメルト樹脂を別途用いて溶着してもよく、この場合には、接着層によって相溶性の差を緩和することができるので、上層2と枠材4、又は下層3と枠材4を相溶性の低い異なる樹脂材料によって構成してもよい。
【0048】
枠材4の厚さ(図2において符号tで示す)は、上層2に加わる荷重を支持するために十分な強度を確保できるように、そして、床材1内の電気機器Eが十分な機能を発揮できるように、3〜50mmとされるのが望ましく、より望ましくは、5〜30mm、最も望ましくは10〜25mmとされるのがよい。また、枠材4の厚みが厚すぎると不陸追随性も低下する虞があるので好ましくない。
【0049】
図2、図3に示すように、四角形状の枠材4の一辺には、収容部5に収容される電気機器Eに接続される配線10を床材1の内外に通過させるための配線口11が形成されている。この配線口11は、図3(a)に示すように、枠材4の上下方向における一端部(上端部)から所定の深さに形成される凹部11aである。
【0050】
配線口11は、この凹部11aに限らず、例えば図3(b)に示すように、枠材4の厚さ方向に貫通する貫通孔11bであってもよい。また、配線口11は、図3(c)に示すように、枠材4の一辺を分断して形成される隙間11cであってもよい。
【0051】
この枠材4の外側面4aには、収容部5に収容される電気機器Eの配線10を収容する配線収容部12が形成されている。この配線収容部12は、枠材4の外側面4aから厚さ方向に凹んで形成された凹部である。また、配線収容部12は、図2に示すように、枠材4の各辺の長手方向に沿って直線状の凹条として形成されている。本実施形態では、配線収容部12は、枠材4の環形状に応じて環状に構成されている。また、この配線収容部12は、図3(a)に示すように、配線口11と繋がって形成されているので、図4に示すように配線口11を通過した配線10を床材1の投影面から出ることなく配線することができる。なお、図4の具体的構成については後述する。
【0052】
枠材4は、断面視四角形状に構成されるとともに、その上下方向の一端面(上面)が上層2に接合される接合面(以下「第1接合面」という)4bとなっている。また、枠材4は、その上下方向の他端面(下面)が下層3に接合される接合面(以下「第2接合面」という)4cとなっている。第1接合面4bは、溶着によって上層2の裏面(下面)2bに接合され、第2溶着面4cは、溶着によって下層3の表面(上面)3aに接合される。上層2、枠材4、及び下層3が溶着によって接合加工されることによって、一体の箱状の樹脂構造体となるので、上下方向からの圧力にも潰れにくいが、一体で変形するので一定範囲の不陸追随も可能となる。
【0053】
収容部5は、上層2、枠材4、及び下層3の内側に形成される空間である。より具体的には、収容部5は、上層2の裏面(下面)2bと枠材4の第1接合面4cとを溶着し、枠材4の第2接合面4cと下層3の表面(上面)3aとを溶着することにより、上層2の裏面(下面)2b、枠材4の内側面4d、及び下層3の表面(上面)3aによって囲まれることで形成される床材1の内部空間である。
【0054】
この収容部5において、収容される電気機器Eの側面と、枠材4の内側面4dとの間には隙間(間隔)13が設けられていることが望ましい。この隙間13により、電気機器Eの熱によって膨張した場合や、寸法誤差がある場合であっても、電気機器Eや枠材4に不要な応力が生じることなく、長期かつ確実に電気機器Eを収容することができる。なお、この隙間(間隔)13は、0.5〜5mmが望ましく、より望ましくは、0.5〜3mmである。
【0055】
保護部材6は、電気機器Eと下層3との間に設けられ、電気機器Eに加わる衝撃を吸収する緩衝部材(クッション部材)として機能する。この保護部材6は、例えば、ウレタン、塩化ビニル、PE等の合成樹脂などからなる発泡体、またはニードルパンチ、フェルト等の不織布によって構成される。また、この保護部材6は、例えば電気機器Eが暖房機器のような場合に、断熱材としても機能することが可能である。
【0056】
なお、電気機器Eの種類によっては、下層3によって支持されることなく、上層2に電気機器Eが固定されて支持される場合がある。この場合には、保護部材6を電気機器Eと下層3との間に設けなくともよい。この場合には、上層2に固定される電気機器Eと下層3との間には隙間を設けることが望ましい。
【0057】
図4は、複数の床材1を並設して床面を構成した場合の平面図を示す。図4に示すように、複数(図例では4つ)の床材1が設置面に並設されている。各床材1は、その側面が他の床材1と接触している。収容部5に収容される電気機器Eの側部には、配線10を接続可能なコネクタ14が設けられており、このコネクタ14及び配線10によって各床材1が直列に接続されている。また、各床材1は、配線10を介して電源15に接続されている。
【0058】
以下、床材1の製造方法について説明する。なお、床材1の製造方法については、上層2と枠材4、及び枠材4と下層3を熱溶着によって接合する場合を例示する。本実施形態の床材1の製造には、高周波ウェルダー装置、超音波ウェルダー装置、又はホットプレス装置等の溶着装置が使用される。
【0059】
床材1を製造するには、まず、溶着装置によって、上層2の裏面(下面)2bと枠材4の第1接合面4bとを溶着する。次に、下層3の表面(上面)3aに保護部材6を載せるとともに、この保護部材6の上に電気機器Eを載せる。
【0060】
次に電気機器Eの配線10を枠材4の配線口11に通し、その後、枠材4の第2接合面4cを下層3の表面(上面)3aに接触させ、溶着装置によってこれらを溶着する。これによって、上層2、枠材4、下層3が一体となり、この上層2、枠材4、及び下層3によって囲まれた収容部5が形成される。このとき、溶着装置によって加熱される部位は、枠材4の上下面4b,4cに限定されるので、電気機器Eが悪影響を受けることはない。このような製造方法をとることによって、部品点数を極力少なくするとともに、電気機器を収容した床材を容易に製造することが可能となる。加えて、用いる製造装置も溶着装置のみなので作業も同一工程内で行うことができ、作業性も良い。
【0061】
なお、このとき、上層2の端面、枠材4の外側面4a、及び下層3の端面が面一となることが望ましい。これらの端面が面一となることによって、敷設時に床材1間に隙間が生じ、所謂「目地すき」の発生や、上部からの踏み込みによって端部が変形するのを防ぐ事ができる。
【0062】
その後、配線口11はコーキング等の閉塞手段によって閉塞される。この閉塞手段としては、コーキングの他にパッキン等を使用してもよい。配線口11を閉鎖することによって、電気機器Eが密閉されるので、外部から水や埃などが浸入して悪影響を及ぼすことを防止できる。このとき、閉塞手段によって、配線口11を閉塞したときに、床材1の内部の収容部5が気密状態に維持されることが望ましい。気密状態とすることによって、収容部5に空気が密閉される。密閉された空気は、床材1上面が踏まれた際に内部から圧力に抗する作用を及ぼし、床材1の中央部の変形を軽減することができる。従って、本発明を比較的大きな床材1に適用して床材1中央と枠体4の距離が離れた場合でも、床材1の内部に密閉された空気の作用によって中央部が凹んで電気機器Eに当るのを防ぐことが可能となる。
【0063】
なお、配線口11から床材1の外側に出た配線10は、上層2、枠材4、及び下層3の溶着がなされた後で、配線収容部12に収容される。
【0064】
以上によって内部に電気機器Eを収容した床材1が完成する。
【0065】
また、上記の製造方法の他に、保護部材6と電気機器Eを載せた下層3の表面3aと、枠材4の第2接合面4cとを溶着し、電気機器Eの配線10を枠材4の配線口11に通し、枠材4の第1接合面4bと上層2の裏面(下面)2bとを溶着した後で、配線口11を閉塞することによって床材1を製造することも可能である。
【0066】
また、上記の製造方法の他に、保護部材6及び電気機器Eを下層3の表面3aに枠材4を載せ、電気機器Eの配線10を枠材4の配線口11に通した上で、この枠材4に上層2を載せ、このように下層3、枠材4、上層2を重ねた状態で、上層2と枠材4の第1接合面4bとの接触部と、及び枠材4の第2接合面4cと下層3との接触部とを、溶着装置によって同時に溶着することによって床材1を製造することも可能である。このように同時に溶着を行うと、さらに作業時間を短縮することが可能となる。
【0067】
なお、上記のようにして製造された床材1は、施工場所の設置面に複数並設されることにより、所定の面積の床(床面)を構成することができる。この際、並設される床材1は互いに密着することとなるが、配線収容部12に配線10が収容されていることによって、配線10も床材の投影面積の範囲に入るので配線10が床材1同士の密着を阻害することはない。床材1から出て配線収容部12に収容されている配線10は、他の床材1の配線10や外部の他の機器又は電源15等の各種機器に接続される。
【0068】
以上説明した床材1及びその製造方法によれば、上層2と枠材4とを溶着するとともに、この枠材4を下層3と溶着して接合するだけで、内部に収容部5に電気機器Eを収容した状態で製造されるため、部品点数を可及的に少なくするとともに、組立作業が煩雑となることなく、容易にその製造を行うことができる。しかも、熱溶着によって上層2、下層3、枠材4を接合することで、接合部分の強度を高め、重量物の重さに耐えることができる高強度の床材を容易に製造することができるようになる。
【0069】
特に、アルミニウムなどの金属製や木製の枠体を用いた床材と本発明に係る床材1とを比較すると、金属製や木製の枠体を用いた床材の場合には、内部に電気機器Eを収容する収容部5を形成するために、金属や木材を切削加工する必要が生じる。これに対し、本発明に係る床材1は、構成要素である上層2、枠材4、下層3の全てを合成樹脂によって構成し、しかも溶着によってこれらを一体に成形することができるので、生産サイクルが短く、生産性が優れたものとなる。また、本発明に係る床材1は、全ての材料を同一種類の樹脂で形成することが可能なので、収容した電気機器Eを取り出しさえすればリサイクルも容易である。
【0070】
また、下層3を合成樹脂によって構成することで、厚さ、硬度を適宜設定することにより、敷設面の不陸を吸収する不陸追随性に優れた床材を容易に製造できるようになる。
【0071】
また、枠材4が環状に構成されていることにより、枠材4を上層2及び下層3に接合したときに、枠材4は、収容部5の一部として、内部の電気機器Eの側部をほぼ全周にわたって囲繞する。したがって、枠材4を環状に構成することで、上層2と下層3に枠材4を接合するだけで、電気機器Eを収容する収容部5を容易に形成することができ、この点で特に有用である。
【0072】
アルミニウムなどの金属製や木製の枠体を用いた床材と異なり、本発明に係る床材1は、枠体4と上下面が一体の樹脂で形成されているので、上からの圧力に対して潰れにくいにも係わらず、適度の柔軟性を有しているので不陸追随性も確保できている。また、樹脂一体構造のために軽量で、床材としての耐久性、材料特性を兼ね備えている。
【0073】
また、枠材4が、電気機器Eの配線10を収容する配線収容部12を有しているので、複数の床材1を並設して所定の施工場所に床を構成する際、各床材1の配線10が邪魔にならずに、床材1の設置及び配線作業を行うことができる。
【0074】
また、収容部5には、電気機器Eを保護するための保護部材6が設けられていることから、電気機器Eに加わる衝撃を低減して、電気機器Eの破損等を防止し、長期かつ確実に電気機器Eの機能を発揮させることができる。
【0075】
また、枠材4と上層2と下層3とを接合した後に、配線口11を閉塞手段によって閉塞し、床材1の収容部5を気密状態に維持することによって、例えば、上層2に衝撃が加わったときに、収容部5に充満する空気がその衝撃を吸収する。このエアクッション効果により、床材1の振動や衝撃を低減し、収容部5の電気機器Eの振動の伝達を防止して保護することができる。加えて、内部に密閉した空気による断熱性、防音性も合わせて有することができる。
【0076】
また、上層2、下層3及び枠材4を合成樹脂によって床材1を構成することにより、他の材料で構成した場合と比較して、耐摩耗性、耐衝撃、耐水性、意匠性、施工性において優れた床材1を製造でき、住宅ユースのみならず、土足によって土砂が入り込むような、オフィス、店舗、学校、病院その他の非住宅ユースの環境においても適したものとなる。
【0077】
また、下層3の厚さが0.1〜3mmとされていることによって、この下層3にカッター等の刃物で切れ込みを入れて下層3を容易に剥がすことができる。これによって床材1の内部の取り出した電気機器Eを収容部5から取り外して再利用することが可能になる。また、下層3に添加される可塑剤の添加量が、5〜70phrとされることにより、下層3は、刃物によって切れ込みを入れやすい状態になり、この点においても有用である。
【0078】
また、上層2、下層3、枠材4の上下方向の長さを調節して、本実施形態に係る床材の上下方向の厚さを既設の床材の厚さ(例えば5mm、12mm)と同じにすることで、既存の床面(床)の一部又は全部を本実施形態に係る床材1と交換することができ、例えば既設住宅のリフォーム等の際に特に有用である。
【0079】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変更・変形が可能である。
【0080】
例えば、上記の実施形態では、枠材4が四角形状の環状に形成された例を示したが、これに限らず、三角形状その他の多角形状、円形、楕円形、異形形状の環状に構成することができる。
【0081】
また、本発明における「環状」とは、図2に示すように、予め無端状かつ連続状に繋がっている状態のみならず、例えば図3(c)に示すように、枠材4が接合される前にその中途部が配線口11を介して分断されていても、枠材4が上層2及び下層3に接合され、配線口11が閉塞手段によって閉じられた後で環状(連続状)に接合される場合も含まれる。
【0082】
したがって、例えば、四角形状の枠材4の一辺を他の三辺と別体に構成し、先に、三辺を上層2及び/又は下層3に接合した後で、残りの一辺を三辺と上層2と下層3とに接合することで、枠材4を環状に構成することも可能である。当然に、四角形状の枠材4の一辺ずつを別体にし、又は二辺ずつを別体にしてこれらを相互に接合して環状に構成するとともに、上層2及び下層3に接合することで床材1を製造してもよい。また、別体にした枠材4の一部分を上層2に接合し、他の部分を下層3に接合した後で、枠材4の部分同士を相互に接合して環状に構成するようにしてもよい。
【0083】
また、上記の実施形態では、配線口11が、凹部11a、貫通孔11b、枠材4の中途部が分断されることによる隙間11cである場合を例示したが、これに限らず、この配線口11にコネクタを設けておき、床材1が構成された後に、このコネクタを介して配線作業を行うようにしてもよい。
【0084】
上記の実施形態では、枠材4に1つの配線口11が形成された例を示したが、これに限らず、枠材4に枠材4の各辺に複数の配線口11を形成し、または枠材4の一辺に複数の配線口11を形成することも可能である。
【0085】
上記の実施形態では、枠材4の外側面4aに凹部を形成してこれを配線収容部12とした例を示したが、これに限定されない。例えば、枠材4の外形を上層2及び下層3よりも小さく形成することで、枠材4を上層2及び下層3に接合したときに、平面視において、枠材4の外側面4aから上層2及び下層3が突出し、この突出した上層2の部分、下層3の部分、及び枠材4の外側面4aによって凹部が形成される。この凹部を配線収容部12として利用することも可能である。
【0086】
上記実施形態では、配線口11を閉塞手段によって閉塞することで、収容部を気密にした例を示したが、これに限らず、防水性が確保できれば、必ずしも気密にする必要はない。
【0087】
その反対に、収容部5に圧縮空気を封入して上述したエアクッション効果をさらに向上させてもよい。この場合には、収容部5に空気を注入する注入口を枠材4の外側面4aに設ける。注入口は、枠材4の外部から収容部5への所定圧力の空気の流入を許容するとともに、収容部5から外部への空気の流出を不能にする逆止弁を有する。この場合、注入口が枠材4の外側面4aから突出しないように、枠材4の外側面4aに厚さ方向に凹む凹部を形成し、この凹部に注入口を設けるとよい。このようにエアクッション効果を高めることによって、構成する材料をさらに軽量化することも可能となる。
【0088】
上層2は、収容部に収容される電気機器が例えば照明機器である場合には、その光を透過させるべく全体若しくは一部が透明、または半透明の透光性に優れた素材で構成されていることが望ましい。また、収容された光源がLEDなどの輝度の高いものである場合は、不透明の樹脂の場合でも一定以上の透光性が確保できていれば使用可能である。
【0089】
上記の実施形態では、複数の床材1が電源15と直列に接続された例を示したが、これに限らず、用途や施工環境に応じて種々の接続手法を採用できる。
【0090】
上記の実施形態では、上層、枠材、下層を熱溶着によって一体に接合した例を示したが、これに限らず、例えば、接着剤によって、上層と枠材、及び枠材と下層と接着することでこれらを接合するようにしてもよい。
【実施例】
【0091】
以下、本発明の実施例を示す。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0092】
(実施例1)
枠材4として、可塑剤部数5phr、厚さ10mm、高さ(上下方向の長さ、第1接合面4bから第2接合面4cまでの長さ)8mmの硬質塩化ビニル製で一辺の長さが500mmの平面視四角形状のものを用いた。この枠材4の一辺に、配線口11として凹部11aを形成した。
【0093】
この枠材4の第1接合面4bを上向きにし、ガラス不織布層を有するナイロン製パイルで、厚さ6.5mmのタイルカーペットを上層2として第1接合面4bに載せ、出力15kWスケールの高周波ウェルダー装置を用いて、電流値0.4〜1.0A、溶着時間6秒、冷却20秒、プレス最大荷重49×104Pa(5kgf/cm2)の条件にて、枠材4の第2接合面4cと上層2の裏面(下面)2bとの接触部分を溶着した。
【0094】
枠材4と上層2の溶着後、枠材4の第2接合面4cを上向きにし、厚さ3mmのヒーターシートを電気機器Eとして上層2の裏面2b中央部に接着剤によって固定した後、厚さ1.2mm、可塑剤部数20phr、フィラー量100phrの軟質塩化ビニルシートを下層3として第2接合面4cに載せ、枠材4と上層2の溶着の場合と同じ条件にて、高周波ウェルダー装置によって枠材4の第2接合面4cと下層3との接触部分を溶着した。
【0095】
枠材4と下層3とを溶着した後、枠材4の外側面4aからはみ出た上層2の部分及び下層3の部分を切除し、枠材4の外側面4aと上層2の端面、下層3の端面とを面一に構成した。
【0096】
その後、配線口11をコーキング処理によって閉塞し、以上によって実施例1に係る床材1を製造した。このようにして製造した実施例1の床材1をモルタル下地面に敷設したところ、不陸に対する追随性は良好であった。また、床材1上を歩行しても収容されたヒーターシートが破損することはなかった。
【0097】
(実施例2)
上層2として、内部にガラス織布層を積層した樹脂系置き敷きフロアを用いた。この上層2は、クリア層0.3mm、プリント層0.1mm、中間層(ガラス織物を含む)1.2mm、基層1.4mmの各層より構成されており、厚さは合計3mmである。
【0098】
枠材4及び下層3を実施例1と同じものとし、第1実施例と同じ加工条件、及び同じ工程にて第2実施例に係る床材1を製造した。このようにして製造した実施例2の床材1をモルタル下地面に敷設したところ、不陸に対する追随性は良好であった。また、床材1上を歩行しても収容されたヒーターシートが破損することはなかった。
【符号の説明】
【0099】
1…床材、2…上層、2a…上層の表面(上面)、2b…上層の裏面(下面)、3…下層、3a…下層の表面(上面)、3b…下層の下面(外面)、4…枠材、4a…枠材の外側面、4b…第1接合面、4c…第2接合面、4d…枠材の内側面、5…収容部、6…保護部材、10…配線、11…配線口、12…配線収容部、13…隙間、14…コネクタ、15…電源、E…電気機器、t…枠材の厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材とを備え、
上層、下層、及び枠材を合成樹脂により構成し、
上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材、及び下層とにより内部に電気機器を収容する収容部が形成されてなることを特徴とする床材。
【請求項2】
上層と枠材とを熱溶着によって接合し、枠材と下層とを熱溶着によって接合してなる請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記枠材は、前記収容部を構成すべく環状に構成されてなる請求項1又は2に記載の床材。
【請求項4】
前記枠材は、収容部に収容される電気機器の配線を収容する配線収容部を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の床材。
【請求項5】
前記収容部には、電気機器を保護するための保護部材が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の床材。
【請求項6】
上層と、下層と、上層と下層との間に設けられる枠材を備えるとともに、内部に電気機器を収容可能な床材の製造方法であって、
上層と枠材とを接合し、かつ枠材と下層とを接合することで、上層、枠材及び下枠とにより内部に電気機器を収容する収容部を形成することを特徴とする床材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−32696(P2011−32696A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178789(P2009−178789)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000222495)東リ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】