説明

床材及びその製造方法

【課題】印刷紙での剥離を抑制すると共に、木質薄単板に高い耐クラック性及び耐キャスター性を得る。
【解決手段】床材10は、基板11上に表面側に顔料層12bが設けられた印刷紙12が積層されて基板側接着剤15によって一体化し、その印刷紙12上に木質薄単板13が積層されて単板側接着剤16によって一体化しており、表面から木質薄単板13を介して印刷紙12の顔料層12bが視認可能である。単板側接着剤16の硬化物は基板側接着剤15の硬化物よりもJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床材として、木質の基板の表面に接着剤を介して木質薄単板が積層一体化されたものが実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面が硬質な木質の基板の表面に接着剤を介して木質薄単板が積層一体化された床材であって、接着剤層の厚みが30〜75μmで且つタイプAデュロメーターで測定した硬度が30°以下であり、また、接着剤層と木質薄単板との間に紙が設けられたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−79427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、外観の優れる天然銘木の木質薄単板が減り、そのため従来は使用しなかった装飾性の劣る樹種の木質薄単板を床材に使用せざるを得なくなっている。また、床材にも従来に無い個性的な柄が求められるようになってきている。
【0006】
そこで、特許文献1に開示された床材を応用し、紙に柄を印刷した印刷紙を用いれば、木質薄単板の木目と木質薄単板を透して表面に現れる柄との組合せにより、優れた意匠性を得ることが考えられる。
【0007】
ところで、この紙への柄の印刷には、染料よりも耐水性及び耐候性に優れると共に基板の隠蔽性に優れる顔料を用いることが好ましい。しかしながら、顔料を用いると、顔料層によって接着剤の含浸が阻害され、その結果、振動や温度変化(例えば床暖房)により応力が加わって印刷紙の顔料層で剥離が生じたりすることがある。
【0008】
また、木質薄単板を透して柄を表面に現すために木質薄単板を薄く形成すると、強度が低くなるため、ひびや割れといったクラックが生じ易く、また、キャスター付きの家具が通過した際に表面に凹みが生じ易くなる。
【0009】
本発明の課題は、床材において、印刷紙での剥離を抑制すると共に、木質薄単板に高い耐クラック性及び耐キャスター性を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、基板と、該基板上に積層されて基板側接着剤によって一体化し表面側に顔料層が設けられた印刷紙と、該印刷紙上に積層されて単板側接着剤によって一体化した木質薄単板と、を備え、表面から該木質薄単板を介して該印刷紙の該顔料層が視認可能な床材であって、
上記単板側接着剤の硬化物は、上記基板側接着剤の硬化物よりもJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が高いことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、基板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が低く、一方、単板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が高く、これらの構成により印刷紙での剥離を抑制することができる。また、単板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が高いことから、その補強効果により木質薄単板に高い耐クラック性及び耐キャスター性を得ることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された床材において、
上記基板側接着剤の硬化物の上記ゴム硬度がA45/15以下であり、且つ上記単板側接着剤の硬化物の上記ゴム硬度がA70/15以上であることを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、本発明の作用効果が具体的に営まれることとなる。
【0014】
請求項3に係る発明は、
基板上に表面側に顔料層が設けられた印刷紙を積層して基板側接着剤によって一体化させる工程と、
上記基板と一体化した印刷紙上に木質薄単板を積層して単板側接着剤によって一体化させる工程と、
を備えた、表面から木質薄単板を介して印刷紙の顔料層が視認可能な床材の製造方法であって、
単板側接着剤として、その硬化物が基板側接着剤の硬化物よりもJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が高いものを用いることを特徴とする。
【0015】
このようにすれば本発明の床材を製造することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載された床材の製造方法において、
木質薄単板の表面にブラッシング加工及び/又はショットブラスト加工を施して切削する工程をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、印刷紙の顔料層に現れる柄に応じて木質薄単板の研削量を変えることにより多様な意匠を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、基板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が低く、一方、単板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が高いことから、これらの構成により印刷紙及び顔料層での剥離を抑制することができ、また、単板側接着剤の硬化物が相対的にゴム硬度が高いことから、その補強効果により木質薄単板に高い耐クラック性及び耐キャスター性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態に係る床材の断面図である。
【図2】(a)〜(f)は実施形態に係る床材の製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本実施形態に係る床材10は、基板11、並びにその上に順に積層された印刷紙12、木質薄単板13、及び表面樹脂塗料層14を備えている。そして、印刷紙12は基板側接着剤15によって基板11に一体化しており、また、木質薄単板13は単板側接着剤16によって印刷紙12に一体化している。
【0022】
基板11としては、例えば、合板、MDF、LVL、パーティクルボードなどの木質板;これらの木質板の表面に薄いMDFを積層接着した木質複合板;これらの木質板や木質複合板の表面に、例えば、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、イソシアネート系樹脂などの樹脂層を設けて強化した、或いは、樹脂を板材表層に含浸させて硬化させることで強化した木質基板;無機質繊維板や火山性ガラス質複層板などの無機質板;合成樹脂板等が挙げられる。基板11は、単一材で構成されていてもよく、また、複数の板材の積層体で構成されていてもよい。基板11の厚さは例えば1〜20mmである。
【0023】
印刷紙12は、紙本体12aと、その上、つまり木質薄単板13側表面に設けられた顔料層12bとを有する。この印刷紙12の顔料層12bは、床材10の表面から木質薄単板13及び表面樹脂塗料層14を介して視認可能である。印刷紙12には、顔料層12bが表面全体に設けられていてもよく、また、顔料層12bが表面の一部分だけに設けられていてもよい。印刷紙12は、例えば、厚さが30〜100μmであり、目付が25〜60g/mである。
【0024】
紙本体12aとしては、例えば、チタン紙、クラフト紙、紙間強化紙等のフィルム状乃至シート状の紙状物が挙げられる。紙本体12aは、床材10の表面から基板11を隠蔽する目的で、裏面にアルミ箔等の隠蔽性シートが接着複合されていたり、或いは、白顔料が内添されていてもよい。
【0025】
顔料層12bには印刷インキによって柄が現されている。柄の構成に用いられる印刷インキは、水系、溶剤系、エマルジョン系のいずれでもよく、そして、バインダー、着色顔料、体質顔料、及び各種添加剤を含んでいる。バインダーとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄、黄鉛、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等が挙げられる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、石英粉等が挙げられる。顔料層12bには、柄にパール調やメタリック調等の光輝性や光沢性を付与すること等を目的として、柄を覆うように全面的に又は部分的に表面を被覆する樹脂層が設けられていてもよい。
【0026】
顔料層12bに現される柄としては、例えば、板目、柾目などの木目模様;連続的若しくは断続的な直線状のストライプ模様;連続的若しくは断続的な波型模様;シボ模様、岩肌模様、斑模様、ゆず肌模様などの地模様;その他の不規則な曲線模様や細かな格子模様等が挙げられる。
【0027】
木質薄単板13としては、例えば、針葉樹、広葉樹、いわゆる早生樹などの天然木質材、天然木質材の積層物をスライスした薄切片(人工突板)等が挙げられる。木質薄単板13としては、具体的には、硬さの軟らかいサワグルミの突板、硬さの硬いバーチの突板等が挙げられる。また、木質薄単板13は、乾燥単板や生単板(濡れ単板)であってもよい。木質薄単板13は、床材10の表面から印刷紙12の顔料層12bが視認可能な程度に透明乃至半透明である。ここで、「透明」とは、通常、可視光線透過率80%を超えることをいう。「半透明」とは可視光線透過率0%を超え且つ80%以下のことをいう。また、「不透明」とは可視光線透過率0%のことをいう。
【0028】
木質薄単板13は、表面側にブラッシング加工及び/又はショットブラスト加工の研削加工が施されて凹凸が形成されており、木質薄単板13の厚さは例えば0.15〜1.0mmで好ましくは0.25〜0.6mmであり、このように研削加工が施され、印刷紙12の顔料層12bに現れる柄に応じて木質薄単板13の研削量を変えることにより多様な意匠を得ることができる。例えば、顔料層12bの柄がグラデーションの幅の細い木目であるときには、研削量を大きくして木質薄単板13を薄く形成し、それによって木質薄単板13の透過度合いを大きくすることにより、床材10の表面に顔料層12bの木目の色柄を木質薄単板13を透して鮮明に現すことができる。
【0029】
表面樹脂塗料層14を形成するための樹脂塗料としては、例えば、ウレタンアタリレート樹脂、エポキシアタリレート樹脂、メタアタリレート樹脂などの未硬化樹脂にUV硬化剤などの光硬化剤が配合された光硬化型樹脂塗料が挙げられる。樹脂塗料は単一種で構成されていてもよく、また、複数種で構成されていてもよい。表面樹脂塗料層14は、単一層で構成されていてもよく、また、複数層で構成されていてもよい。表面樹脂塗料層14は透明乃至半透明である。表面樹脂塗料層14は、木質薄単板13の凹凸表面を覆って平坦面に形成するように設けられており、その厚さが例えば0.01〜0.4mmである。
【0030】
基板側接着剤15としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、これらの変性樹脂などの熱可塑性樹脂;尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、イソシアネート系樹脂などの熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合物等を溶媒に溶解させた樹脂接着剤が挙げられる。基板側接着剤15は、塗布量を増やすために、増粘剤や増量剤が添加されて高粘度化されていてもよい。増粘剤としては、例えば、小麦粉、ポバール等が挙げられる。増量剤としては、例えば、炭酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン等が挙げられる。基板側接着剤15の硬化物は、透明乃至半透明であってもよいが、床材10の表面から基板11を隠蔽する観点からは、酸化チタン等の隠蔽剤が配合されることで不透明とされて隠蔽性が付与されていることが好ましい。
【0031】
基板側接着剤15は、基板11と印刷紙12との間に基板側接着剤15の層を形成してもよく、その場合、その厚さは例えば30〜75μmである。基板側接着剤15は、基板11及び/又は印刷紙12の紙本体12aに含浸して硬化していてもよい。基板側接着剤15の硬化物は、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度がA45/15以下であることが好ましく、A30/15以下であることがより好ましい。
【0032】
単板側接着剤16としては、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、これらの変性樹脂などの熱可塑性樹脂;尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、イソシアネート系樹脂などの熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合物等を溶媒に溶解させた樹脂接着剤が挙げられる。基板側接着剤15の硬化物は、印刷紙12の柄が表面に現れるよう透明乃至半透明である。
【0033】
単板側接着剤16は、印刷紙12と木質薄単板13との間に単板側接着剤16の層を形成してもよく、その場合、その厚さは例えば5〜30μmである。単板側接着剤16は、印刷紙12及び/又は木質薄単板13に含浸して硬化していてもよい。単板側接着剤16の硬化物は、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が、基板側接着剤15の硬化物よりも高く、具体的には、A70/15以上であることが好ましく、A90/15以上であることがより好ましい。
【0034】
以上の本実施形態に係る床材10によれば、基板側接着剤15の硬化物が相対的にゴム硬度が低く、一方、単板側接着剤16の硬化物が相対的にゴム硬度が高いことから、これらの構成により印刷紙12での剥離を抑制することができ、また、単板側接着剤16の硬化物が相対的にゴム硬度が高いことから、その補強効果により木質薄単板13に高い耐クラック性及び耐キャスター性を得ることができる。
【0035】
以下に、本実施形態に係る床材10の製造方法について説明する。
【0036】
まず、図2(a)に示すように、ロールコーターやフローコーター等のコーティング装置を用いて基板11の表面に基板側接着剤15を塗布する。
【0037】
次に、図2(b)に示すように、未硬化の基板側接着剤15の表面に印刷紙12を載置し、圧熱プレス等で加圧或いは加熱加圧することにより基板側接着剤15を硬化させる。このとき、基板11上に印刷紙12が積層一体化する。加圧圧力は例えば0.2〜1.0MPaである。加熱温度は例えば100〜130℃である。加工時間は例えば30〜90秒である。
【0038】
次に、図2(c)に示すように、ロールコーターやフローコーター等のコーティング装置を用いて印刷紙12の表面に単板側接着剤16を塗布する。
【0039】
続いて、図2(d)に示すように、未硬化の単板側接着剤16の表面に木質薄単板13を載置し、圧熱プレス等で加圧或いは加熱加圧することにより基板側接着剤15を硬化させる。このとき、印刷紙12上に木質薄単板13が積層一体化する。加圧圧力は例えば0.2〜1.0MPaである。加熱温度は例えば100〜130℃である。加工時間は例えば30〜90秒である。なお、事前に、高周波等により部分的に水分を飛ばして単板側接着剤16を固化させることで木質薄単板13を仮固定してもよい。
【0040】
そして、図2(e)に示すように、木質薄単板13の表面側にブラッシング加工及び/又はショットブラスト加工の切削加工を施し、単板表面に凹凸を形成する。
【0041】
最後に、図2(f)に示すように、木質薄単板13の表面に、凹凸が完全に埋め込まれて表面が平坦面となるように樹脂塗料を塗布した後、それに紫外線照射等することにより硬化させて表面樹脂塗料層14を形成する。以上により本実施形態に係る床材10が製造される。
【0042】
なお、上記実施形態では、木質薄単板13の表面に凹凸を形成した構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、木質薄単板13の表面を平坦面に形成した構成であってもよい。その場合、平坦な木質薄単板13の表面を露出させた構成であってもよく、また、平坦な木質薄単板13の表面を覆うように表面樹脂塗料層14を設けた構成であってもよい。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
Wハードベース付合板からなる基板上に基板側接着剤(光洋産業社製 エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂接着剤 KR470)を塗布し、その上に表面に顔料でグラビア印刷された強化印刷紙(白川製紙社製 商品名:ハードシートα、目付30g/m)を貼り付けるように積層して熱圧プレスで一体化させた。この基板側接着剤の硬化物のJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度はA30/15である。
【0044】
次いで、印刷紙上に単板側接着剤(メラミン系接着剤95重量部にSBR系接着剤5部添加した硬質接着剤)を塗布し、その上に木質薄単板(サワグルミの突板)を積層して熱圧プレスで一体化させた。この単板側接着剤の硬化物のゴム硬度はA90/15である。
【0045】
続いて、木質薄単板の表面側にショットブラスト加工を施して切削することによって単板表面に凹凸を形成し、そして、木質薄単板上に凹凸が完全に埋め込まれて表面が平坦面となるように紫外線硬化型の樹脂塗料(ウレタンアクリレートを主成分とした樹脂)を塗布した後、それに紫外線照射することにより硬化させて表面樹脂塗料層を形成した。得られた床材を実施例1とした。
【0046】
実施例1の床材上において、25kgの加重を載せた直径50mmの鉄製単輪のキャスターを、距離300mmを500回往復させる試験(以下「耐キャスター試験」という。)を行った。キャスターの移動速度は2秒/往復とした。
【0047】
試験後に床材表面の凹み量を測定したところ0.15mmであった。また、試験後に目視観察を行ったが、材料破壊は観察されなかった。
【0048】
(比較例1)
基板側接着剤として単板側接着剤と同じ尿素メラミン樹脂接着剤を用いたことを除いて、実施例1と同一構成の床材を作製し、これを比較例1とした。
【0049】
比較例1の床材に耐キャスター試験を行った。
【0050】
試験後に目視観察を行ったところ、材料破壊とともに、強化印刷紙における紙本体と顔料層との間での剥離が観察された。
【0051】
(実施例2)
MDF複合材からなる基板上に基板側接着剤(光洋産業社製 エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂接着剤 KR470に隠蔽剤として酸化チタン5部を添加したもの)を塗布し、その上に表面に顔料でグラビア印刷された強化印刷紙(白川製紙社製 商品名:ハードシートα、目付30g/m)を貼り付けるように積層して熱圧プレスで一体化させた。この基板側接着剤の硬化物のJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度はA30/15である。
【0052】
次いで、印刷紙上に単板側接着剤(メラミン系接着剤95重量部にSBR系接着剤5部添加した硬質接着剤)を塗布し、その上に木質薄単板(バーチの突板)を積層して熱圧プレスで一体化させた。この単板側接着剤の硬化物のゴム硬度はA90/15である。
【0053】
続いて、木質薄単板の表面側にショットブラスト加工を施して切削することによって単板表面に凹凸を形成し、そして、木質薄単板上に凹凸が完全に埋め込まれて表面が平坦面となるように紫外線硬化型の樹脂塗料(ウレタンアクリレートを主成分とした樹脂)を塗布した後、それに紫外線照射することにより硬化させて表面樹脂塗料層を形成した。得られた床材を実施例2とした。
【0054】
実施例2の床材に耐キャスター試験を行った。
【0055】
試験後に床材表面の凹み量を測定したところ0.15mmであった。また、試験後に目視観察を行ったが、材料破壊は観察されなかった。
【0056】
(比較例2)
基板側接着剤として尿素メラミン樹脂接着剤に隠蔽剤として酸化チタン5部を添加したものを用いたことを除いて、実施例2と同一構成の床材を作製し、これを比較例2とした。この基板側接着剤の硬化物のゴム硬度はA90/15である。
【0057】
比較例2の床材に耐キャスター試験を行った。
【0058】
試験後に目視観察を行ったところ、材料破壊は観察されなかったが、強化印刷紙における紙本体と顔料層との間での剥離が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は床材及びその製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0060】
10 床材
11 基板
12 印刷紙
12a 紙本体
12b 顔料層
13 木質薄単板
14 表面樹脂塗料層
15 基板側接着剤
16 単板側接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に積層されて基板側接着剤によって一体化し表面側に顔料層が設けられた印刷紙と、該印刷紙上に積層されて単板側接着剤によって一体化した木質薄単板と、を備え、表面から該木質薄単板を介して該印刷紙の該顔料層が視認可能な床材であって、
上記単板側接着剤の硬化物は、上記基板側接着剤の硬化物よりもJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が高いことを特徴とする床材。
【請求項2】
請求項1に記載された床材において、
上記基板側接着剤の硬化物の上記ゴム硬度がA45/15以下であり、且つ上記単板側接着剤の硬化物の上記ゴム硬度がA70/15以上であることを特徴とする床材。
【請求項3】
基板上に表面側に顔料層が設けられた印刷紙を積層して基板側接着剤によって一体化させる工程と、
上記基板と一体化した印刷紙上に木質薄単板を積層して単板側接着剤によって一体化させる工程と、
を備えた、表面から木質薄単板を介して印刷紙の顔料層が視認可能な床材の製造方法であって、
単板側接着剤として、その硬化物が基板側接着剤の硬化物よりもJIS K6253に基づいてタイプAデュロメータで測定されるゴム硬度が高いものを用いることを特徴とする床材の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された床材の製造方法において、
木質薄単板の表面にブラッシング加工及び/又はショットブラスト加工を施して切削する工程をさらに備えることを特徴とする床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−31632(P2012−31632A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171796(P2010−171796)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】