説明

床材用基材

【課題】加工が容易であり、且つ耐たわみ性や耐凹み性に優れた床材用基材を提供することである。
【解決手段】単板が複数積層された床材用基材1において、表面層2と中央層4と裏面層6は高比重材7で構成され、前記各層2,4,6の間には低比重材8で構成された加工層3,5が設けられている。両側面に雄実10又は雌実11が形成されており、雄実10又は雌実11はそれぞれ角部15,16又は角部17,18を有し、角部15,16又は角部17,18は低比重材8で構成された加工層3,5に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材用基材に関し、さらに詳細には、単板が複数積層された床材用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用建材として、複数の単板を積層した合板等が床材として利用されている。一般的な合板は、合板の側面(裁断面)に実加工を施した際に、加工部にバリや欠け等の欠点が生じ易い。特許文献1には、単板積層材(床材用基材)の中心部を構成するコア部に、低比重材を用いたものが開示されている。ファルカタやバルサ等の低比重材は、加工が容易な材料であり、コア部に用いることで実加工を施した際のバリや欠け等の発生を防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、低比重材は耐たわみ性や耐凹み性が低い材料である。そのため、特許文献1に開示された単板積層材では、コア部(低比重材)に設けた実部が強度不足となってしまうことが懸念される。低強度の実部に応力が加わると、損傷することや破損してしまう恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、加工が容易であり、且つ耐たわみ性や耐凹み性に優れた床材用基材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、単板が複数積層された床材用基材において、表面層と中央層と裏面層は高比重材で構成され、前記各層の間には低比重材で構成された層が設けられていることを特徴とする床材用基材である。
【0007】
本発明で採用する「高比重材」は、耐たわみ性と耐凹み性に優れた住宅用建材である。この「高比重材」で表面層と中央層と裏面層を構成することで、床材用基材を高強度にすることが可能である。また、前記各層の間に低比重材で構成された層を設けることで、切削加工等が容易となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、両側面に雄実又は雌実が形成されており、前記雄実又は雌実はそれぞれ角部を有し、前記角部は前記低比重材で構成された層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床材用基材である。
【0009】
雄実と雌実は、床材の側面に設けられる凸部と凹部であり、床材同士を結合するための部位である。雄実と雌実を形成する実加工においては、両者が有する角部の加工時にバリや欠け等が生じ易い。本発明においては、この「角部」を低比重材で構成された層に設けている。低比重材で構成された層は、加工が容易である。つまり、雄実と雌実を、「高比重材」と「低比重材」で混在して形成することが可能である。すなわち、雄実と雌実を容易に形成でき、且つ高強度とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の床材用基材によれば、加工が容易であり、且つ耐たわみ性や耐凹み性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る床材用基材を示す断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の床材用基材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0013】
図1に示す床材用基材1は、単板が複数積層された材料であり、表面側から表面層2と、加工層3と、中央層4と、加工層5と、裏面層6の順番で積層されている。換言すれば、加工層3,5は、それぞれ表面層2と中央層4、中央層4と裏面層6とに挟まれている。表面層2と中央層4と裏面層6は高比重材7で構成されており、加工層3,5は低比重材8で構成されている。
【0014】
高比重材7として用いられる材料は、ユーカリ等であり、耐たわみ性や耐凹み性に優れたものである。しかし反面、高比重材7は硬くて脆いため、加工時にバリ等が生じ易い。
【0015】
低比重材8として用いられる材料は、ファルカタやラワン等であり、加工時の切削抵抗が低いものである。低比重材8は、高比重材7に比べて軽量である。しかし反面、低比重材8は柔らかいため、凹みや傷等が生じ易い。
【0016】
床材用基材1は側面に、雄実10と雌実11とを有している。
【0017】
雄実10は凸形状であり、雄実10の中心部に中央層4を有し、中央層4の近傍に2つの角部15,16を有している。中央層4は断面視で長方形の単板である。角部15,16は、中央層4の上下に位置した加工層3,5にそれぞれ設けられており、加工層3,5をそれぞれL字状に切断したものである。すなわち、雄実10は、雄実10の中心部が高比重材7で構成されており、その上下が低比重材8で構成されている。
【0018】
一方、雌実11は凹形状であり、雌実11の中心部に中央層4を有し、中央層4の近傍に2つの角部17,18を有している。中央層4は断面視で長方形の単板である。角部17,18も、中央層4の上下に位置した加工層3,5にそれぞれ設けられており、加工層3,5をそれぞれL字状に切断したものである。すなわち、雌実11も、雌実11の中心部が高比重材7で構成されており、その上下が低比重材8で構成されている。
【0019】
以上の通り、雄実10と雌実11における角部15,17と角部16,18は、低比重材8で構成された加工層3と加工層5に設けられている。その結果、角部15,17と角部16,18は切削し易く、雄実10と雌実11を容易に形成可能である。
【0020】
一方、雄実10と雌実11における中心部には、いずれも高比重材7で構成された中央層4が位置している。その結果、雄実10と雌実11とを耐たわみ性や耐凹み性に優れたものとしている。
【0021】
上記の通り、低比重材8は、加工時の切削抵抗が低いものであるから安定した加工ができ、加工精度の向上が可能である。また、低比重材8は、高比重材7に比べて軽量であることから、床材用基材1の持ち運びが容易となる。
【0022】
なお、本実施形態の床材用基材1の表面に、化粧フィルム等の表面材を貼付するだけで床材として使用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 床材用基材
2 表面層
3,5 加工層
4 中央層
6 裏面層
7 高比重材
8 低比重材
10 雄実
11 雌実
15〜18 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単板が複数積層された床材用基材において、表面層と中央層と裏面層は高比重材で構成され、前記各層の間には低比重材で構成された層が設けられていることを特徴とする床材用基材。
【請求項2】
両側面に雄実又は雌実が形成されており、前記雄実又は雌実はそれぞれ角部を有し、前記角部は前記低比重材で構成された層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の床材用基材。

【図1】
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【公開番号】特開2012−107468(P2012−107468A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258655(P2010−258655)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】