説明

底壁折返し容器

【課題】 容器を載置した場合の安定性にすぐれ、かつ底壁の強度が大で、しかも残量を極力少なくすることが可能な底壁折返し容器を提供する。
【解決手段】 底壁4を胴部2下面より下方へ突出させて第1形態Aを成形した後、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返すことで第2形態Bを形成可能な底壁折返し容器において、前記底壁4と胴部2との境界部を折曲して外方へ凸の折返し溝15を周設し、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返す際に、折返し線が前記折返し溝15の開口上縁16に形成されることが可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形後に底壁を胴部内へ折り返す底壁折返し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
胴部の口頸部へ装着した液体吐出ポンプから吸上げパイプを胴部内へ垂下したポンプ容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−230961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は胴部内液体の残量をできるだけ少なくするべく、吸上げパイプを折曲してその下端を胴部の底壁周縁へ位置させるようにしているが、吸上げパイプを折曲するためには専用の設備が必要になってコスト増大をもたらすという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、容器を載置した場合の安定性にすぐれ、かつ底壁の強度が大で、しかも残量を極力少なくすることが可能な底壁折返し容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、底壁4を胴部2下面より下方へ突出させて第1形態Aを成形した後、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返すことで第2形態Bを形成可能な底壁返し容器において、前記底壁4と胴部2との境界部を折曲して外方へ凸の折返し溝15を周設し、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返す際に、折返し線が前記折返し溝15の開口上縁16に形成されることが可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記折返し溝15の断面形状がU字状ないしコ字状であることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、胴部2上端から起立する口頸部3へ液体吐出ポンプ30を装着させ、該液体吐出ポンプから胴部内へ直線状の吸上げパイプ50を垂下し、液体吐出ポンプを作動させることにより吸上げパイプを介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設け、
前記胴部2の底壁4は、前記胴部下端から胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁上面6を斜め下前方へ傾斜させると共に、該周壁上面を凹設して液留め部7に形成し、かつ該液留め部内へ前記吸上げパイプ50下端を垂下した
ことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記第2形態Bにおいて、前記胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部部分を前記円錐台状の周壁5下部へ接触させて載置用の脚筒20に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、底壁と胴部との境界部を折曲して折返し溝を周設し、底壁を胴部内へ折り返す際に、折返し線が折返し溝の開口上縁に形成されることが可能に設けたので、底壁の折り返しを可能にするため底壁と胴部との肉厚を異ならせる必要がなく、したがって底壁と胴部との境界において肉厚にバラツキが生じにくく、均一に折り返すことが可能になり、したがって載置時の安定性にすぐれているばかりか、底壁を折り返すため強度の向上が図れる。
【0011】
また、本発明は、円錐台状の周壁後部外面と胴部内面との間隙に貯留した液体が液留め部内へ流入可能に設けると共に、該液留め部内へ直線状の吸上げパイプ50下端を垂下したので、胴部内液体の残量を少なくすることができると共に、直線状の吸い上げパイプを使用可能であるため、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る底壁折返し容器の正面図である。
【図2】図1の左側面図である。
【図3】図1の右側面図である。
【図4】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図1の要部拡大図である。
【図6】図1の容器に液体吐出ポンプを装着した一部断面正面図である。
【図7】底壁を折り返した状態の容器の一部を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
1は容器で、胴部2上端から肩部を介して口頸部3を起立し、該口頸部3へ後述する液体吐出ポンプを装着させている。
【0015】
胴部2の下端面を閉塞する底壁4は、胴部下面より下方へ突出する第1形態Aと、胴部内へ折り返された第2形態Bとを有する。まず、吐出時に使用される形態を示す第2形態Bについて説明する。
【0016】
第2形態Bにおける底壁4は、胴部2下端から該胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁5上面6を斜め下前方へ傾斜させ、さらに該周壁上面6を凹設して液留め部7に形成する。
【0017】
液留め部7は斜め下後方へ傾斜する底面8と、該底面8の周縁から斜め上外方へ立ち上がって周壁5上端へ交わる周面9とから形成されている。
【0018】
このように周壁5上端が斜め下前方へ傾斜しているため、容器体内液体が減少しても周壁外面と胴部内面との間隙S内に貯留した液体は、液留め部7内へ流入可能である。
【0019】
次に成形時における形態を示す第1形態Aについて説明する。第1形態Aにおける底壁4は、胴部2下端から円錐台状の周壁10を垂下して、該周壁10下面11を斜め上前方へ傾斜させると共に、該周壁下面11を下方へ突設して、斜め上前方へ傾斜する液留め部底面8形成用面12と、該底面形成用面12の周縁から斜め上外方へ立ち上がって周壁10下端へ交わる液留め部周面9形成用面13とから形成されている。
【0020】
さらに、胴部2と底壁4との境界部を折曲して内方へ向け開口する折返し溝15を周方向へ形成している。折返し溝15は、底壁4を折返しのために胴部2内へ押圧した場合に、底壁4が折返し溝15の開口上縁16を折返し線として、胴部2内へ折り返されることを可能にするために設けられている。
【0021】
折返し溝15の断面形状は、開口上縁16が底壁4の折返し線となることが可能であれば特に限定はないが、典型的にはU字状ないしコ字状が好ましい。
【0022】
20は脚筒で、胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部2部分を周壁5の下端部へ接触させることにより形成されている。脚筒20は容器を載置面へ載置させる際の載置部となる。
【0023】
30は液体吐出ポンプで、シリンダを備えている。シリンダは胴部2内へ垂下するシリンダ本体31の上部外面に付設された外向きフランジ32を口頸部3上端へ載置させ、さらにシリンダ本体31下部に吸込弁を付設すると共に、シリンダ本体31下端から吸上げパイプ嵌合用の嵌合筒33を垂下している。
【0024】
34はシリンダ31内へ上下動自在に嵌挿された作動部材で、シリンダ31内へ上下動自在に嵌合された筒状ピストン35からステム36を起立させている。
【0025】
40はノズルヘッドで、ステム36上端へヘッド本体41を嵌合させると共に、該ヘッド本体41からノズル42を前方へ突設している。45はキャップで、口頸部3外面へ螺合させた筒体上端に内向きフランジを設けて、該内向きフランジと口頸部3上端とでシリンダ本体31の外向きフランジ32を挟持している。
【0026】
50は吸上げパイプで、シリンダ本体31下端から垂下する嵌合筒33内へ上部を嵌合させて下端を底壁4の液留め部7内へ垂下させている。この吸上げパイプ50の下端は、残量をできるだけ少なくするという観点から液留め部7の最深部に位置させることが好ましい。吸上げパイプ50としては従来品のようなくの字状に屈曲したものではなく、直線状に伸長するものが好ましい。また、吸上げパイプ50の下端後部は斜め上後方へ傾斜させるのが好ましい。
【0027】
次に作用について説明する。
成形時においては、底壁4は第1形態Aとなるように成形する。成形後、第1形態Aにおける底壁4を胴部2内へ押圧すると、折返し溝15の開口上縁16を折返し線として底壁4が胴部2内へ折り返される。
【0028】
第2形態Bの状態でノズルヘッド40を押下げると、吸上げパイプ50および作動部材34を介してノズル42から胴部内液体が所望の態様で吐出する。胴部内液体が減少すると、液体は液留め部7に貯留し、かつ液留め部7の底面には吸上げパイプ50の下端が近接しているため、残量を極力少なくすることができる。なお、周壁外面と胴部内面との間隙S内の残量は、周壁5上端が斜め下前方へ傾斜しているため液留め部7内へ流入可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、成形後に底壁を胴部内へ折り返す底壁折返し容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 容器
2 胴部
3 口頸部
4 底壁
A 第1形態
B 第2形態
5 円錐台状の周壁
6 周壁上面
7 液留め部
S 間隙
11 周壁下面
12 液留め部底面8形成用面
13 液留め部周面9形成用面
15 折返し溝
16 開口上縁
30 液体吐出ポンプ
31 シリンダ本体
35 筒状ピストン
36 ステム
40 ノズルヘッド
50 吸上げパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁4を胴部2下面より下方へ突出させて第1形態Aを成形した後、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返すことで第2形態Bを形成可能な底壁折返し容器において、
前記底壁4と胴部2との境界部を折曲して外方へ凸の折返し溝15を周設し、前記底壁4を前記胴部2内へ折り返す際に、折返し線が前記折返し溝15の開口上縁16に形成されることが可能に設けた
ことを特徴とする底壁折返し容器。
【請求項2】
前記折返し溝15の断面形状がU字状ないしコ字状であることを特徴とする請求項1記載の底壁折返し容器。
【請求項3】
胴部2上端から起立する口頸部3へ液体吐出ポンプ30を装着させ、該液体吐出ポンプから胴部内へ直線状の吸上げパイプ50を垂下し、液体吐出ポンプを作動させることにより吸上げパイプを介して吸上げられた胴部内液体を吐出可能に設け、
前記胴部2の底壁4は、前記胴部下端から胴部内へ円錐台状の周壁5を起立させて、該周壁上面6を斜め下前方へ傾斜させると共に、該周壁上面を凹設して液留め部7に形成し、かつ該液留め部内へ前記吸上げパイプ50下端を垂下した
ことを特徴とする請求項1又は2記載の底壁折返し容器。
【請求項4】
前記第2形態Bにおいて、前記胴部2の下端部にくびれ部21を設けて、該くびれ部より下方の胴部部分を前記円錐台状の周壁5下部へ接触させて載置用の脚筒20に形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の底壁折返し容器。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46435(P2011−46435A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198655(P2009−198655)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】