座体支持機構
【課題】座体を使用位置及び収納位置へ変位可能で、座体が支持体に対してある程度傾くことも許容する座体支持機構であって、従来品よりも容易に強度を確保可能で、よりコンパクトな構造を備える座体支持機構の提供。
【解決手段】座体支持機構1は、支持体4に対して固定される軸受け部材6と、座受け3に対して固定されており、軸受け部材6に対して相対的に回動可能な軸部材7とを備えている。軸部材7は、軸受け部材6を貫通する貫通孔65に通されており、軸部材7のうち、離間防止部72は、摺接凸面711及び摺接凹面611が接触する位置よりも支持体4側に近い位置に形成されている。このような位置において、離間防止部72は軸受け部材6に引っ掛かることにより、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止している。
【解決手段】座体支持機構1は、支持体4に対して固定される軸受け部材6と、座受け3に対して固定されており、軸受け部材6に対して相対的に回動可能な軸部材7とを備えている。軸部材7は、軸受け部材6を貫通する貫通孔65に通されており、軸部材7のうち、離間防止部72は、摺接凸面711及び摺接凹面611が接触する位置よりも支持体4側に近い位置に形成されている。このような位置において、離間防止部72は軸受け部材6に引っ掛かることにより、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座体を支持体に対して回動可能に取り付けるために、座体と支持体との間に介装される座体支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座体を使用位置及び収納位置へ変位させることができる椅子が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された椅子においては、座体(特許文献1でいう座板。)及び支持体(特許文献1でいう脚体。)のうち、いずれか一方側にボールが固設され、他方側にはボールの最大外径部分を包持するホルダが設けられている。
【0003】
このようなボール及びホルダからなる座体支持機構(特許文献1でいう枢支手段。)が設けられていれば、座体を使用位置及び収納位置へ変位させることができるのはもちろんのこと、座体の両側を支持する支持体が正確に平行に立設されていない場合でも、座体を僅かに傾けることで支持体間に取り付けることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−11106公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の椅子の場合、ボールは、ボールの最大外径部分よりも細くくびれた部分(以下、ネック部分と称する。)の先端に設けられているので、そのネック部分が過剰に細くなると、ネック部分の機械的強度が不足し、座体に過大な荷重がかかった際にネック部分が破損しやすくなる、という問題があった。
【0006】
特に、ボールがホルダから確実に抜け出ないようにするためには、ネック部分が通されるホルダの開口を、ボールの最大外径部分よりも十分に小径とせざるを得ず、しかも、そのように小径とされる開口内においてネック部分の傾きを変更可能とするには、ネック部分の外径を、ホルダの開口径よりもさらに小径とせざるを得ない。そのため、ボールの小径化を図ろうとすると、どうしてもネック部分が過剰に細くなりやすく、ネック部分の強度不足に陥りやすい、という問題があった。
【0007】
このような問題そのものは、ネック部分の外径を十分に太くするなどの対策により、ネック部分の強度を十分に向上させれば解消されるが、上述のような事情から、ネック部分の外径を太くすればホルダの開口径はさらに大径にせざるを得ず、しかも、ホルダの開口径が大径化すればボールの最大外径についてもホルダの開口径より大径にせざるを得ない。
【0008】
したがって、ネック部分の外径を十分に太くしたことが原因で、ボールの大径化及びホルダの大型化を招くことになり、これらボール及びホルダを含む座体支持機構全体が大型化してしまう、という問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、座体を支持体間に支持する際に、座体と支持体との間に介装されて、前記座体を使用位置及び収納位置へ変位可能な構造とするとともに、座体を支持体に取り付ける際には座体が支持体に対してある程度傾くことも許容する座体支持機構であって、従来品よりも容易に強度を確保可能で、よりコンパクトな構造とすることも可能な座体支持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の座体支持機構は、着座可能となる使用位置、及び背もたれ側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動する座体と、当該座体を回動可能な状態で支持する支持体とを備えた座跳ね上げ式の椅子において、前記座体を前記支持体に対して回動可能に取り付けるために、前記座体と前記支持体との間に介装される座体支持機構であり、前記座体又は当該座体に固定された部材のいずれかである座体側部材、及び前記支持体又は当該支持体に固定された部材のいずれかである支持体側部材のうち、いずれか一方の部材に設けられる軸部材と、他方の部材に設けられる軸受け部材とを備えており、前記軸部材及び前記軸受け部材は、前記軸部材側に形成された摺接凸面と前記軸受け部材側に形成された摺接凹面が互いに摺動可能な状態で接触し、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸部材が一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動する構造とされ、しかも、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされた座体支持機構であって、前記軸部材のうち、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分には、前記軸受け部材側に引っ掛かることによって前記軸部材が前記軸受け部材から離間するのを防止する離間防止部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された座体支持機構によれば、摺接凸面及び摺接凹面が接触する位置よりも他方の部材に近い位置にある部分に離間防止部が設けられていて、このような位置にある離間防止部が軸受け部材側に引っ掛かることにより、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止している。
【0012】
そのため、最大内径よりも小径の開口を有するホルダでボールを半球分以上保持する構造とすることによって軸部材が軸受け部材から離間するのを防止していた従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、本発明の座体支持機構であれば、摺接凹面及び摺接凸面の形状そのものを、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止可能な形状にしなくても済む。すなわち、摺接凹面については、上記従来技術のホルダとは異なり、最大内径よりも小径の開口を有する形状とする必要はなく、また、そのような小径の開口に通すためにボールの外径よりも小径とされたネック部分を、軸部材側に設ける必要もない。
【0013】
したがって、上述のようなネック部分が必要となる従来技術とは異なり、ネック部分を設けたことに起因する強度不足を招くことがない。また、従来技術では、上述のようなネック部分の強度不足を回避するためにネック部分を大径化すると、それに伴ってボールの大型化やホルダの大型化を招くが、本発明の座体支持機構であれば、上述の通り、ネック部分を設けなくてもよいので、ネック部分の強度不足対策は不要であり、そのような対策に伴う座体支持機構各部の大型化も招かないので、座体支持機構全体の構造をよりコンパクトな構造にすることができる。
【0014】
なお、以上説明した座体支持機構において、軸部材や軸受け部材は、座体側部材又は支持体側部材から取り外しができるものであってもよいし、あるいは、取り外しができないものであってもよい。
【0015】
取り外しができるものとしては、例えば、軸部材及び軸受け部材それぞれが、座体側部材や支持体側部材に対してねじ等の螺号部材でねじ止めされているものなどを挙げることができる。また、取り外しができないものとしては、例えば、軸部材や軸受け部材が座体側部材又は支持体側部材に溶接されたものや、座体側部材又は支持体側部材の成形時に軸部材や軸受け部材が金型で一体成形されたものなどを挙げることができる。
【0016】
請求項2に記載の座体支持機構は、請求項1に記載の座体支持機構において、前記軸部材は、軸部材本体と、前記摺接凸面が形成された摺接部材とを備え、前記摺接部材が前記軸部材本体に対して着脱可能な状態で取り付けられた構造とされていることを特徴とする。
【0017】
この座体支持機構において、摺接部材は、摺接凹面に対して摺動する部材なので、摺動性が高く、且つ耐摩耗性にも優れた材料(例えば、エンジニアリングプラスチックなど)で形成されていると好ましい。
【0018】
このような座体支持機構によれば、摺接部材が、摺動に伴って摩耗した場合には、摺接部材のみを取り外して交換することが可能になる。したがって、軸部材全体を交換せざるを得ない構造を採用している場合と比較して、消耗品の交換にかかるコストを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の座体支持機構において、離間防止部の具体的構造については様々なものを考え得るが、一例としては、例えば請求項3に記載の座体支持機構のように、前記軸部材は、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分が、前記軸受け部材を貫通する貫通孔に通されており、前記離間防止部は、前記貫通孔を挟んで前記摺接凸面とは反対側となる位置において、前記軸受け部材側に引っ掛かる構造とされている、といったものを考え得る。
【0020】
このような座体支持機構であれば、上述のような貫通孔に通される部分に離間防止部が設けられ、その離間防止部が、貫通孔を挟んで摺接凸面とは反対側となる位置において軸受け部材側に引っ掛かるので、これにより、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止することができる。
【0021】
請求項4に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸部材には、前記一軸の軸方向と同方向に向かって突出する嵌合凸部、前記軸部材が取り付けられる前記一方の部材には、前記嵌合凸部が嵌め込まれる嵌合凹部が、それぞれ形成され、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、前記軸部材が前記一方の部材に対して固定されていることを特徴とする。
【0022】
この座体支持機構においては、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、軸部材が一方の部材に対して固定される。そのため、座体に利用者が座ったときに軸部材と一方の部材との固定箇所にかかる荷重を、嵌合凸部でも受けることができ、軸部材と一方の部材とを固定するための部材(例えば、ねじなど)に負荷が集中するのを避けることができる。
【0023】
したがって、軸部材と一方の部材とを固定するための部材については、過剰に強度の高い部材を選定する必要がなくなるので、その分だけ製造コストを抑えることができる。
請求項5に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸受け部材は、前記軸部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた環状部を有し、当該環状部の内周面が前記摺接凹面の一部とされており、前記軸部材には、前記軸受け部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部を有し、当該筒状部に囲まれた位置に前記摺接凸面を有する部分が設けられており、前記摺接凸面は、一部が前記環状部の開口から前記環状部の内側に導入されて前記摺接凹面に接触する状態とされ、且つ、前記環状部の突出方向先端部分は、前記摺接凸面と前記筒状部の内周面との間に遊嵌する状態とされており、当該遊嵌する状態が維持される範囲内で、前記軸部材が、前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動可能、且つ、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされていることを特徴とする。
【0024】
この座体支持機構においては、軸部材が一軸を中心に軸受け部材に対して相対的に回動したり、軸受け部材に対する一軸の傾きが変更されたりしても、環状部の突出方向先端部分が摺接凸面と筒状部の内周面との間に遊嵌する状態が維持される。そのため、軸部材の回動や傾き変更に伴って、軸部材の摺接凸面の一部が、外側から見える位置に露呈されることはない。
【0025】
したがって、このような座体支持機構によれば、利用者の手や衣類が摺接凸面に触れてしまうおそれがなく、摺接凸面に付着しているグリスなどで手や衣類が汚れるのを防ぐことができる。
【0026】
さらに、請求項6に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸部材及び前記軸受け部材には、前記軸部材が前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動した際に、互いに当接することにより、前記軸部材の回動する範囲を規制するストッパ部及びストッパ受け部が設けられており前記座体を前記使用位置又は前記収納位置へと回動させた際に、前記ストッパ部及びストッパ受け部が互いに当接することを特徴とする。
【0027】
このような座体支持機構によれば、上述のようなストッパ部及びストッパ受け部を備えているので、この座体支持機構とは別の回動規制手段を設けなくても、この座体支持機構を設けるだけで、座体の回動する範囲を使用位置から収納位置までの範囲内に規制することができる。
【0028】
なお、この座体支持機構において、ストッパ部は、例えば、軸部材に対して溶接されたもの、接着されたもの、一体成形されたもの、いずれであってもよい。これらはいずれも軸部材から取り外すことができないものであるが、必要があれば、ストッパ部は、軸部材から取り外し可能な構造になっていてもよく、例えば、ストッパ部がねじなどで軸部材に対して固定されていてもよい。
【0029】
さらに、請求項7に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記座体を前記収納位置から前記使用位置に回動させた際に、弾性変形するとともに、その弾性変形に伴って生じる弾性力により、前記座体を前記使用位置から前記収納位置へ回動させる方向へと付勢する弾性部材を備えることを特徴とする。
【0030】
この座体支持機構によれば、上述のような弾性部材を備えているので、利用者が立ち上がって座体に荷重がかからなくなれば、弾性部材の弾性力を利用して使用位置にある座体が収納位置まで戻される。したがって、利用者が手作業で座体を収納位置まで戻すような面倒な作業を行わなくても、座体を収納位置へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】座体支持機構を備えた椅子の外観図である。
【図2】椅子の一部及び座体支持機構の分解斜視図である。
【図3】座体支持機構及びブラケットを示す図であり、(a)は座体支持機構及びブラケットの正面図、(b)は座体支持機構及びブラケットの平面図、(c)は座体支持機構及びブラケットの左側面図、(d)は座体支持機構及びブラケットの右側面図、(e)は座体支持機構及びブラケットの底面図、(f)は座体支持機構及びブラケットの背面図である。
【図4】座体支持機構のA−A線断面図である。
【図5】座体支持機構の分解斜視図である。
【図6】軸受け部材の分解斜視図である。
【図7】(a)は、座体が収納位置にあるときのストッパ部とストッパ受け部の位置関係を示す説明図、(b)は、座体が使用位置にあるときのストッパ部とストッパ受け部の位置関係を示す説明図である。
【図8】環状部の突出方向先端部分が摺接凸面と筒状部の内周面との間に遊嵌する状態を示す説明図である。
【図9】軸部材の一軸の傾きを軸受け部材に対して変更した状態を示す説明図である。
【図10】(a)は、座体が使用位置にある状態を示す説明図、(b)は、座体が収納位置にある状態を示す説明図、(c)は、3組の座体及び背もたれが円弧状に配列された構造の椅子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示す椅子11は、座跳ね上げ式の椅子であり、複数の座体2と、各座体2の両側に配置された支持体4と、複数の座体2と同数の背もたれ8とを備えている。隣り合う位置にある座体2,2の間にある支持体4(図1中の左側に示す支持体4。)は、その両側にある座体2,2双方を支持するために共用されている。
【0033】
また、座体2を支持体4に対して回動可能に取り付けるために、座体2と支持体4との間には座体支持機構1が介装されている。これにより、座体2は、利用者が着座可能となる使用位置、及び背もたれ8側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動可能となっている。なお、図1において、右側の座体2については使用位置へ回動した状態が示されており、左側の座体2(一部省略して示す。)については収納位置へ回動した状態が示されている。
【0034】
座体支持機構1は、図1に示すように、座体2が備える座受け3と支持体4が備えるブラケット42との間に介装されている。隣り合う位置にある座体2,2間にある支持体4の場合、ブラケット42と座体支持機構1との間にはスペーサー4aが介装され、支持体4を対象軸として左右対称に2つの座体支持機構1が取り付けられている。また、椅子11の両縁にある支持体4の場合、座体支持機構1がブラケット42に対して直接取り付けられており、上述のようなスペーサー4aは介装されていない。
【0035】
支持体4は、図1に示すように、床面44に設置される脚座43と、床面44に対して鉛直方に立設された状態で脚座43の上面に備えられた支柱41と、支柱41の正面側にねじ42aで固定されているブラケット42とを備えている。
【0036】
ブラケット42には、図2及び図3に示すように、座体支持機構1を固定するためのねじ穴6bが形成され、また、ブラケット42において座体支持機構1が固定される位置と対応する位置には、座体支持機構1を取り付けるための取付孔42cが形成されている。なお、椅子11の両縁にある支持体4の場合、取付孔42cには座体支持機構1が固定される位置とは反対の位置に取付孔42cの一端にある開口を塞ぐキャップ42dが設けられている。
【0037】
次に、本実施形態の座体支持機構1について説明する。
座体支持機構1は、図2に示すように、支持体4に対してねじ6aで固定される軸受け部材6と、座受け3に対してねじ73bで固定されており、軸受け部材6に対して相対的に回動可能な軸部材7とを備えている。
【0038】
軸受け部材6は、図4及び図5に示すように、環状部61と、ストッパ受け部62とを備えている。
環状部61は、座受け3側に向かって突出する環状の突起であり(図5参照。)、その突出方向の先端部分は円形の開口をなす形状とされている。
【0039】
ストッパ受け部62は、図4〜図6示すように、軸受け部材6の内周側に突出する突出部63と、突出部63が有する突起63aに嵌め込まれたゴム部材64とを備えている。ゴム部材64には、突起63aの断面形状と同断面形状の突起挿込孔64aが形成されており、突起63aを突起挿込孔64aに挿入することによって、ゴム部材64が突出部63に固定されている。
【0040】
なお、突出部63の形状は、ゴム部材64の形状と比較すると、円周方向の幅が狭い形状とされ、これにより、突出部63における円周方向両側の端縁はゴム部材64がはみ出した状態とされている。このような構造とされることにより、ゴム部材64は、後述するストッパ部73とストッパ受け部62が衝突する際の衝撃を和らげる緩衝材として機能している。
【0041】
軸部材7は、図4及び図5に示すように、摺接部材71と、離間防止部72と、ストッパ部73を備えている。また、軸部材7には、渦巻きバネ74が取り付けられている。
摺接部材71の外周面側には、図4及び図5に示すように、摺接凹面611と摺動可能な状態で接触する摺接凸面711が形成されている。より詳しくは、摺接部材71は、軸受け部材6側に向かって突出しており、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部71aを有し、この筒状部71aに囲まれた位置に摺接凸面711を有する部分が形成されている。
【0042】
筒状部71aは、図8に示すように、摺接凸面711が環状部61の内側に導入されて摺接凹面611に接触する状態とされ、且つ、環状部61の突出方向先端部分が摺接凸面711と筒状部71aの内周面との間に遊嵌する状態とされている。
【0043】
離間防止部72は、図4及び図5に示すように、摺接凸面711及び摺接凹面611が接触する位置よりも支持体4側に近い位置に形成されている。より詳しくは、軸部材7は、軸受け部材6を貫通する貫通孔65に通されており、離間防止部72は、貫通孔65を挟んで摺接凸面711とは反対側になる位置に形成されている。このような位置において、離間防止部72は、支持体4側に向かって突出する突起63aの突出方向先端部分に当接することにより、軸受け部材6に引っ掛かり、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止している。なお、軸部材7には、軸受け部材6側との摺動抵抗を低減するため、動摩擦係数が低くて耐摩耗性に優れた材料(本実施形態ではポリアセタール樹脂)で形成されたワッシャー72bが設けられている。
【0044】
ストッパ部73は、図4及び図5に示すように、軸部材7に対して一体成形されている。ストッパ部73は座受け3側に向かって突出しており、その突出方向先端部分には、図9に示すように、座受け3側の嵌合凹部3aに嵌り込む嵌合凸部73aが形成されている。ストッパ部73は、嵌合凸部73aが嵌合凹部3aに嵌め込まれた状態で座受け3に対してねじ73bで固定されている。軸部材7が一軸を中心に軸受け部材6に対して相対的に回動した際には、図7に示すように、ストッパ部73が、ストッパ受け部62に対して当接することによって、回動する範囲は規制される。
【0045】
渦巻きバネ74は、図4及び図5に示すように、軸受け部材6の内周側に嵌めこまれている。渦巻きバネ74の中心側にある一端は、軸部材7に対してねじ10で固定されたバネ押さえ74aによって保持されている。また、渦巻きバネ74の外周側にある他端は、軸受け部材6に取り付けられている。この渦巻きバネ74により、軸部材7は、軸受け部材6に対して相対的に一方向へ回動するように付勢されている。
【0046】
このように構成された座体支持機構1においては、座体2の位置を収納位置(図10(b)参照。)から使用位置(図10(a)参照。)へと変位させると、渦巻きバネ74が弾性変形し、その変形量が増大する。そのため、座体2が使用位置にある状態においては、渦巻きバネ74の弾性変形に伴って生じる弾性力により、座体2は、使用位置から収納位置へと戻る方向へ付勢される状態になる。このため、利用者が降座して座体2に荷重がかからなくなれば、使用位置にある座体は、渦巻きバネ74の弾性変形により、収納位置へ戻されることになる。
【0047】
また、この座体支持機構1においては、図9に示すように、座体2を使用位置と収納位置との間で回動させる際に、その回動中心となる軸線L1の傾きを、軸受け部材6の中心線L0に対して所定の範囲内(本実施形態の場合は±2.3度の範囲内)で変更することができる。そのため、図10(c)に示すように、座体2が使用位置と収納位置との間で回動するのを妨げることなく、座体2をブラケット5に対して傾けて固定することができるので、椅子11が備える複数組の座体2の回動中心を少しずつ傾けつつ、座体2が円弧に沿って配列されるような形態に組み上げることも可能になる。
【0048】
さらに、この座体支持機構1においては、図9に示すように、座受け3において、ストッパ部73の突出方向先端部分には嵌合凸部73aが形成されており、座受け3には嵌合凸部73aが嵌め込まれる嵌合凹部3aが形成されているので、嵌合凸部73aが嵌合凹部3aに嵌め込まれた状態で、軸部材7は座受け3に対して固定されている。そのため、着座したときに軸部材7と座受け3との固定箇所にかかる荷重は、突出方向先端部分の嵌合凸部73aでも受けることができるので、ねじ73bだけに負荷が集中するのを避けることができる。
【0049】
以上説明したとおり、座体支持機構1によれば、離間防止部72が摺接部材71より支持体4側に設けられているので、摺接凹面611の形状については、従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、摺接凸面711を摺接凹面611で包み込んで保持することができるような形状にしなくても、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止することができる。
【0050】
したがって、従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、軸部材7にネック部分を設ける必要もないので、ネック部分の強度不足対策が不要になる。また、そのようなネック部分の強度不足対策に起因して、ネック部分の大径化を招いたり、ボールやホルダの大型化を招いたりすることもないので、本実施形態の座体支持機構1であれば、従来技術(上記特許文献1参照。)と同等な強度を確保する場合でも、座体支持機構1の構造をよりコンパクトな構造にすることができる。
【0051】
さらに、摺接部材71は取り外して交換可能であるため、摺接部材71相当の部分が軸部材7から取り外せないものに比べ、交換にかかるコストを抑制することができる。
加えて、図9に示すように、軸部材7が一軸を中心に軸受け部材6に対して相対的に回動したり、軸受け部材6に対する一軸の傾きが変更されたりしても、摺接凸面711が、外側から見える位置に露呈されることはないので、摺接凸面711に付着しているグリスで利用者の手や衣類が汚れるのを防止することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では軸部材7が座受け3にねじ73bで取り付けられているので取り外すことができるが、軸部材7と座受け3が溶接されることによって、又は金型で一体成形されることによって、取り外すことができないものであってもよい。軸受け部材6がブラケット5においても、上記と同様に取り外すことができないものであってもよい。
【0053】
ストッパ部73においても、上記実施形態では軸部材7に対して一体成形されており軸部材7から取り外すことができないが、取り外すことができるように、ねじなどで軸部材7に対して固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…座体支持機構、2…座体、3…座受け、3a…嵌合凹部、4…支持体、4a…スペーサー、5…ブラケット、6…軸受け部材、6a…ねじ、6b…ねじ穴、7…軸部材、8…背もたれ、10…ねじ、11…椅子、41…支柱、42…ブラケット、42a…ねじ、42b…ねじ穴、42c…取付孔、42d…キャップ、43…脚座、44…床面、61…環状部、62…ストッパ受け部、63…突出部、63a…突起、64…ゴム部材、64a…突起挿込孔、65…貫通孔、71…摺接部材、71a…筒状部、72…離間防止部、72b…ワッシャー、73…ストッパ部、73a…嵌合凸部、73b…ねじ、74…渦巻きバネ、74a…バネ押さえ、611…摺接凹面、711…摺接凸面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、座体を支持体に対して回動可能に取り付けるために、座体と支持体との間に介装される座体支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座体を使用位置及び収納位置へ変位させることができる椅子が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載された椅子においては、座体(特許文献1でいう座板。)及び支持体(特許文献1でいう脚体。)のうち、いずれか一方側にボールが固設され、他方側にはボールの最大外径部分を包持するホルダが設けられている。
【0003】
このようなボール及びホルダからなる座体支持機構(特許文献1でいう枢支手段。)が設けられていれば、座体を使用位置及び収納位置へ変位させることができるのはもちろんのこと、座体の両側を支持する支持体が正確に平行に立設されていない場合でも、座体を僅かに傾けることで支持体間に取り付けることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−11106公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の椅子の場合、ボールは、ボールの最大外径部分よりも細くくびれた部分(以下、ネック部分と称する。)の先端に設けられているので、そのネック部分が過剰に細くなると、ネック部分の機械的強度が不足し、座体に過大な荷重がかかった際にネック部分が破損しやすくなる、という問題があった。
【0006】
特に、ボールがホルダから確実に抜け出ないようにするためには、ネック部分が通されるホルダの開口を、ボールの最大外径部分よりも十分に小径とせざるを得ず、しかも、そのように小径とされる開口内においてネック部分の傾きを変更可能とするには、ネック部分の外径を、ホルダの開口径よりもさらに小径とせざるを得ない。そのため、ボールの小径化を図ろうとすると、どうしてもネック部分が過剰に細くなりやすく、ネック部分の強度不足に陥りやすい、という問題があった。
【0007】
このような問題そのものは、ネック部分の外径を十分に太くするなどの対策により、ネック部分の強度を十分に向上させれば解消されるが、上述のような事情から、ネック部分の外径を太くすればホルダの開口径はさらに大径にせざるを得ず、しかも、ホルダの開口径が大径化すればボールの最大外径についてもホルダの開口径より大径にせざるを得ない。
【0008】
したがって、ネック部分の外径を十分に太くしたことが原因で、ボールの大径化及びホルダの大型化を招くことになり、これらボール及びホルダを含む座体支持機構全体が大型化してしまう、という問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、座体を支持体間に支持する際に、座体と支持体との間に介装されて、前記座体を使用位置及び収納位置へ変位可能な構造とするとともに、座体を支持体に取り付ける際には座体が支持体に対してある程度傾くことも許容する座体支持機構であって、従来品よりも容易に強度を確保可能で、よりコンパクトな構造とすることも可能な座体支持機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の座体支持機構は、着座可能となる使用位置、及び背もたれ側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動する座体と、当該座体を回動可能な状態で支持する支持体とを備えた座跳ね上げ式の椅子において、前記座体を前記支持体に対して回動可能に取り付けるために、前記座体と前記支持体との間に介装される座体支持機構であり、前記座体又は当該座体に固定された部材のいずれかである座体側部材、及び前記支持体又は当該支持体に固定された部材のいずれかである支持体側部材のうち、いずれか一方の部材に設けられる軸部材と、他方の部材に設けられる軸受け部材とを備えており、前記軸部材及び前記軸受け部材は、前記軸部材側に形成された摺接凸面と前記軸受け部材側に形成された摺接凹面が互いに摺動可能な状態で接触し、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸部材が一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動する構造とされ、しかも、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされた座体支持機構であって、前記軸部材のうち、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分には、前記軸受け部材側に引っ掛かることによって前記軸部材が前記軸受け部材から離間するのを防止する離間防止部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された座体支持機構によれば、摺接凸面及び摺接凹面が接触する位置よりも他方の部材に近い位置にある部分に離間防止部が設けられていて、このような位置にある離間防止部が軸受け部材側に引っ掛かることにより、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止している。
【0012】
そのため、最大内径よりも小径の開口を有するホルダでボールを半球分以上保持する構造とすることによって軸部材が軸受け部材から離間するのを防止していた従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、本発明の座体支持機構であれば、摺接凹面及び摺接凸面の形状そのものを、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止可能な形状にしなくても済む。すなわち、摺接凹面については、上記従来技術のホルダとは異なり、最大内径よりも小径の開口を有する形状とする必要はなく、また、そのような小径の開口に通すためにボールの外径よりも小径とされたネック部分を、軸部材側に設ける必要もない。
【0013】
したがって、上述のようなネック部分が必要となる従来技術とは異なり、ネック部分を設けたことに起因する強度不足を招くことがない。また、従来技術では、上述のようなネック部分の強度不足を回避するためにネック部分を大径化すると、それに伴ってボールの大型化やホルダの大型化を招くが、本発明の座体支持機構であれば、上述の通り、ネック部分を設けなくてもよいので、ネック部分の強度不足対策は不要であり、そのような対策に伴う座体支持機構各部の大型化も招かないので、座体支持機構全体の構造をよりコンパクトな構造にすることができる。
【0014】
なお、以上説明した座体支持機構において、軸部材や軸受け部材は、座体側部材又は支持体側部材から取り外しができるものであってもよいし、あるいは、取り外しができないものであってもよい。
【0015】
取り外しができるものとしては、例えば、軸部材及び軸受け部材それぞれが、座体側部材や支持体側部材に対してねじ等の螺号部材でねじ止めされているものなどを挙げることができる。また、取り外しができないものとしては、例えば、軸部材や軸受け部材が座体側部材又は支持体側部材に溶接されたものや、座体側部材又は支持体側部材の成形時に軸部材や軸受け部材が金型で一体成形されたものなどを挙げることができる。
【0016】
請求項2に記載の座体支持機構は、請求項1に記載の座体支持機構において、前記軸部材は、軸部材本体と、前記摺接凸面が形成された摺接部材とを備え、前記摺接部材が前記軸部材本体に対して着脱可能な状態で取り付けられた構造とされていることを特徴とする。
【0017】
この座体支持機構において、摺接部材は、摺接凹面に対して摺動する部材なので、摺動性が高く、且つ耐摩耗性にも優れた材料(例えば、エンジニアリングプラスチックなど)で形成されていると好ましい。
【0018】
このような座体支持機構によれば、摺接部材が、摺動に伴って摩耗した場合には、摺接部材のみを取り外して交換することが可能になる。したがって、軸部材全体を交換せざるを得ない構造を採用している場合と比較して、消耗品の交換にかかるコストを抑制することができる。
【0019】
また、本発明の座体支持機構において、離間防止部の具体的構造については様々なものを考え得るが、一例としては、例えば請求項3に記載の座体支持機構のように、前記軸部材は、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分が、前記軸受け部材を貫通する貫通孔に通されており、前記離間防止部は、前記貫通孔を挟んで前記摺接凸面とは反対側となる位置において、前記軸受け部材側に引っ掛かる構造とされている、といったものを考え得る。
【0020】
このような座体支持機構であれば、上述のような貫通孔に通される部分に離間防止部が設けられ、その離間防止部が、貫通孔を挟んで摺接凸面とは反対側となる位置において軸受け部材側に引っ掛かるので、これにより、軸部材が軸受け部材から離間するのを防止することができる。
【0021】
請求項4に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸部材には、前記一軸の軸方向と同方向に向かって突出する嵌合凸部、前記軸部材が取り付けられる前記一方の部材には、前記嵌合凸部が嵌め込まれる嵌合凹部が、それぞれ形成され、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、前記軸部材が前記一方の部材に対して固定されていることを特徴とする。
【0022】
この座体支持機構においては、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、軸部材が一方の部材に対して固定される。そのため、座体に利用者が座ったときに軸部材と一方の部材との固定箇所にかかる荷重を、嵌合凸部でも受けることができ、軸部材と一方の部材とを固定するための部材(例えば、ねじなど)に負荷が集中するのを避けることができる。
【0023】
したがって、軸部材と一方の部材とを固定するための部材については、過剰に強度の高い部材を選定する必要がなくなるので、その分だけ製造コストを抑えることができる。
請求項5に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸受け部材は、前記軸部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた環状部を有し、当該環状部の内周面が前記摺接凹面の一部とされており、前記軸部材には、前記軸受け部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部を有し、当該筒状部に囲まれた位置に前記摺接凸面を有する部分が設けられており、前記摺接凸面は、一部が前記環状部の開口から前記環状部の内側に導入されて前記摺接凹面に接触する状態とされ、且つ、前記環状部の突出方向先端部分は、前記摺接凸面と前記筒状部の内周面との間に遊嵌する状態とされており、当該遊嵌する状態が維持される範囲内で、前記軸部材が、前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動可能、且つ、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされていることを特徴とする。
【0024】
この座体支持機構においては、軸部材が一軸を中心に軸受け部材に対して相対的に回動したり、軸受け部材に対する一軸の傾きが変更されたりしても、環状部の突出方向先端部分が摺接凸面と筒状部の内周面との間に遊嵌する状態が維持される。そのため、軸部材の回動や傾き変更に伴って、軸部材の摺接凸面の一部が、外側から見える位置に露呈されることはない。
【0025】
したがって、このような座体支持機構によれば、利用者の手や衣類が摺接凸面に触れてしまうおそれがなく、摺接凸面に付着しているグリスなどで手や衣類が汚れるのを防ぐことができる。
【0026】
さらに、請求項6に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記軸部材及び前記軸受け部材には、前記軸部材が前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動した際に、互いに当接することにより、前記軸部材の回動する範囲を規制するストッパ部及びストッパ受け部が設けられており前記座体を前記使用位置又は前記収納位置へと回動させた際に、前記ストッパ部及びストッパ受け部が互いに当接することを特徴とする。
【0027】
このような座体支持機構によれば、上述のようなストッパ部及びストッパ受け部を備えているので、この座体支持機構とは別の回動規制手段を設けなくても、この座体支持機構を設けるだけで、座体の回動する範囲を使用位置から収納位置までの範囲内に規制することができる。
【0028】
なお、この座体支持機構において、ストッパ部は、例えば、軸部材に対して溶接されたもの、接着されたもの、一体成形されたもの、いずれであってもよい。これらはいずれも軸部材から取り外すことができないものであるが、必要があれば、ストッパ部は、軸部材から取り外し可能な構造になっていてもよく、例えば、ストッパ部がねじなどで軸部材に対して固定されていてもよい。
【0029】
さらに、請求項7に記載の座体支持機構は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の座体支持機構において、前記座体を前記収納位置から前記使用位置に回動させた際に、弾性変形するとともに、その弾性変形に伴って生じる弾性力により、前記座体を前記使用位置から前記収納位置へ回動させる方向へと付勢する弾性部材を備えることを特徴とする。
【0030】
この座体支持機構によれば、上述のような弾性部材を備えているので、利用者が立ち上がって座体に荷重がかからなくなれば、弾性部材の弾性力を利用して使用位置にある座体が収納位置まで戻される。したがって、利用者が手作業で座体を収納位置まで戻すような面倒な作業を行わなくても、座体を収納位置へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】座体支持機構を備えた椅子の外観図である。
【図2】椅子の一部及び座体支持機構の分解斜視図である。
【図3】座体支持機構及びブラケットを示す図であり、(a)は座体支持機構及びブラケットの正面図、(b)は座体支持機構及びブラケットの平面図、(c)は座体支持機構及びブラケットの左側面図、(d)は座体支持機構及びブラケットの右側面図、(e)は座体支持機構及びブラケットの底面図、(f)は座体支持機構及びブラケットの背面図である。
【図4】座体支持機構のA−A線断面図である。
【図5】座体支持機構の分解斜視図である。
【図6】軸受け部材の分解斜視図である。
【図7】(a)は、座体が収納位置にあるときのストッパ部とストッパ受け部の位置関係を示す説明図、(b)は、座体が使用位置にあるときのストッパ部とストッパ受け部の位置関係を示す説明図である。
【図8】環状部の突出方向先端部分が摺接凸面と筒状部の内周面との間に遊嵌する状態を示す説明図である。
【図9】軸部材の一軸の傾きを軸受け部材に対して変更した状態を示す説明図である。
【図10】(a)は、座体が使用位置にある状態を示す説明図、(b)は、座体が収納位置にある状態を示す説明図、(c)は、3組の座体及び背もたれが円弧状に配列された構造の椅子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示す椅子11は、座跳ね上げ式の椅子であり、複数の座体2と、各座体2の両側に配置された支持体4と、複数の座体2と同数の背もたれ8とを備えている。隣り合う位置にある座体2,2の間にある支持体4(図1中の左側に示す支持体4。)は、その両側にある座体2,2双方を支持するために共用されている。
【0033】
また、座体2を支持体4に対して回動可能に取り付けるために、座体2と支持体4との間には座体支持機構1が介装されている。これにより、座体2は、利用者が着座可能となる使用位置、及び背もたれ8側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動可能となっている。なお、図1において、右側の座体2については使用位置へ回動した状態が示されており、左側の座体2(一部省略して示す。)については収納位置へ回動した状態が示されている。
【0034】
座体支持機構1は、図1に示すように、座体2が備える座受け3と支持体4が備えるブラケット42との間に介装されている。隣り合う位置にある座体2,2間にある支持体4の場合、ブラケット42と座体支持機構1との間にはスペーサー4aが介装され、支持体4を対象軸として左右対称に2つの座体支持機構1が取り付けられている。また、椅子11の両縁にある支持体4の場合、座体支持機構1がブラケット42に対して直接取り付けられており、上述のようなスペーサー4aは介装されていない。
【0035】
支持体4は、図1に示すように、床面44に設置される脚座43と、床面44に対して鉛直方に立設された状態で脚座43の上面に備えられた支柱41と、支柱41の正面側にねじ42aで固定されているブラケット42とを備えている。
【0036】
ブラケット42には、図2及び図3に示すように、座体支持機構1を固定するためのねじ穴6bが形成され、また、ブラケット42において座体支持機構1が固定される位置と対応する位置には、座体支持機構1を取り付けるための取付孔42cが形成されている。なお、椅子11の両縁にある支持体4の場合、取付孔42cには座体支持機構1が固定される位置とは反対の位置に取付孔42cの一端にある開口を塞ぐキャップ42dが設けられている。
【0037】
次に、本実施形態の座体支持機構1について説明する。
座体支持機構1は、図2に示すように、支持体4に対してねじ6aで固定される軸受け部材6と、座受け3に対してねじ73bで固定されており、軸受け部材6に対して相対的に回動可能な軸部材7とを備えている。
【0038】
軸受け部材6は、図4及び図5に示すように、環状部61と、ストッパ受け部62とを備えている。
環状部61は、座受け3側に向かって突出する環状の突起であり(図5参照。)、その突出方向の先端部分は円形の開口をなす形状とされている。
【0039】
ストッパ受け部62は、図4〜図6示すように、軸受け部材6の内周側に突出する突出部63と、突出部63が有する突起63aに嵌め込まれたゴム部材64とを備えている。ゴム部材64には、突起63aの断面形状と同断面形状の突起挿込孔64aが形成されており、突起63aを突起挿込孔64aに挿入することによって、ゴム部材64が突出部63に固定されている。
【0040】
なお、突出部63の形状は、ゴム部材64の形状と比較すると、円周方向の幅が狭い形状とされ、これにより、突出部63における円周方向両側の端縁はゴム部材64がはみ出した状態とされている。このような構造とされることにより、ゴム部材64は、後述するストッパ部73とストッパ受け部62が衝突する際の衝撃を和らげる緩衝材として機能している。
【0041】
軸部材7は、図4及び図5に示すように、摺接部材71と、離間防止部72と、ストッパ部73を備えている。また、軸部材7には、渦巻きバネ74が取り付けられている。
摺接部材71の外周面側には、図4及び図5に示すように、摺接凹面611と摺動可能な状態で接触する摺接凸面711が形成されている。より詳しくは、摺接部材71は、軸受け部材6側に向かって突出しており、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部71aを有し、この筒状部71aに囲まれた位置に摺接凸面711を有する部分が形成されている。
【0042】
筒状部71aは、図8に示すように、摺接凸面711が環状部61の内側に導入されて摺接凹面611に接触する状態とされ、且つ、環状部61の突出方向先端部分が摺接凸面711と筒状部71aの内周面との間に遊嵌する状態とされている。
【0043】
離間防止部72は、図4及び図5に示すように、摺接凸面711及び摺接凹面611が接触する位置よりも支持体4側に近い位置に形成されている。より詳しくは、軸部材7は、軸受け部材6を貫通する貫通孔65に通されており、離間防止部72は、貫通孔65を挟んで摺接凸面711とは反対側になる位置に形成されている。このような位置において、離間防止部72は、支持体4側に向かって突出する突起63aの突出方向先端部分に当接することにより、軸受け部材6に引っ掛かり、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止している。なお、軸部材7には、軸受け部材6側との摺動抵抗を低減するため、動摩擦係数が低くて耐摩耗性に優れた材料(本実施形態ではポリアセタール樹脂)で形成されたワッシャー72bが設けられている。
【0044】
ストッパ部73は、図4及び図5に示すように、軸部材7に対して一体成形されている。ストッパ部73は座受け3側に向かって突出しており、その突出方向先端部分には、図9に示すように、座受け3側の嵌合凹部3aに嵌り込む嵌合凸部73aが形成されている。ストッパ部73は、嵌合凸部73aが嵌合凹部3aに嵌め込まれた状態で座受け3に対してねじ73bで固定されている。軸部材7が一軸を中心に軸受け部材6に対して相対的に回動した際には、図7に示すように、ストッパ部73が、ストッパ受け部62に対して当接することによって、回動する範囲は規制される。
【0045】
渦巻きバネ74は、図4及び図5に示すように、軸受け部材6の内周側に嵌めこまれている。渦巻きバネ74の中心側にある一端は、軸部材7に対してねじ10で固定されたバネ押さえ74aによって保持されている。また、渦巻きバネ74の外周側にある他端は、軸受け部材6に取り付けられている。この渦巻きバネ74により、軸部材7は、軸受け部材6に対して相対的に一方向へ回動するように付勢されている。
【0046】
このように構成された座体支持機構1においては、座体2の位置を収納位置(図10(b)参照。)から使用位置(図10(a)参照。)へと変位させると、渦巻きバネ74が弾性変形し、その変形量が増大する。そのため、座体2が使用位置にある状態においては、渦巻きバネ74の弾性変形に伴って生じる弾性力により、座体2は、使用位置から収納位置へと戻る方向へ付勢される状態になる。このため、利用者が降座して座体2に荷重がかからなくなれば、使用位置にある座体は、渦巻きバネ74の弾性変形により、収納位置へ戻されることになる。
【0047】
また、この座体支持機構1においては、図9に示すように、座体2を使用位置と収納位置との間で回動させる際に、その回動中心となる軸線L1の傾きを、軸受け部材6の中心線L0に対して所定の範囲内(本実施形態の場合は±2.3度の範囲内)で変更することができる。そのため、図10(c)に示すように、座体2が使用位置と収納位置との間で回動するのを妨げることなく、座体2をブラケット5に対して傾けて固定することができるので、椅子11が備える複数組の座体2の回動中心を少しずつ傾けつつ、座体2が円弧に沿って配列されるような形態に組み上げることも可能になる。
【0048】
さらに、この座体支持機構1においては、図9に示すように、座受け3において、ストッパ部73の突出方向先端部分には嵌合凸部73aが形成されており、座受け3には嵌合凸部73aが嵌め込まれる嵌合凹部3aが形成されているので、嵌合凸部73aが嵌合凹部3aに嵌め込まれた状態で、軸部材7は座受け3に対して固定されている。そのため、着座したときに軸部材7と座受け3との固定箇所にかかる荷重は、突出方向先端部分の嵌合凸部73aでも受けることができるので、ねじ73bだけに負荷が集中するのを避けることができる。
【0049】
以上説明したとおり、座体支持機構1によれば、離間防止部72が摺接部材71より支持体4側に設けられているので、摺接凹面611の形状については、従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、摺接凸面711を摺接凹面611で包み込んで保持することができるような形状にしなくても、軸部材7が軸受け部材6から離間するのを防止することができる。
【0050】
したがって、従来技術(上記特許文献1参照。)とは異なり、軸部材7にネック部分を設ける必要もないので、ネック部分の強度不足対策が不要になる。また、そのようなネック部分の強度不足対策に起因して、ネック部分の大径化を招いたり、ボールやホルダの大型化を招いたりすることもないので、本実施形態の座体支持機構1であれば、従来技術(上記特許文献1参照。)と同等な強度を確保する場合でも、座体支持機構1の構造をよりコンパクトな構造にすることができる。
【0051】
さらに、摺接部材71は取り外して交換可能であるため、摺接部材71相当の部分が軸部材7から取り外せないものに比べ、交換にかかるコストを抑制することができる。
加えて、図9に示すように、軸部材7が一軸を中心に軸受け部材6に対して相対的に回動したり、軸受け部材6に対する一軸の傾きが変更されたりしても、摺接凸面711が、外側から見える位置に露呈されることはないので、摺接凸面711に付着しているグリスで利用者の手や衣類が汚れるのを防止することができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では軸部材7が座受け3にねじ73bで取り付けられているので取り外すことができるが、軸部材7と座受け3が溶接されることによって、又は金型で一体成形されることによって、取り外すことができないものであってもよい。軸受け部材6がブラケット5においても、上記と同様に取り外すことができないものであってもよい。
【0053】
ストッパ部73においても、上記実施形態では軸部材7に対して一体成形されており軸部材7から取り外すことができないが、取り外すことができるように、ねじなどで軸部材7に対して固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…座体支持機構、2…座体、3…座受け、3a…嵌合凹部、4…支持体、4a…スペーサー、5…ブラケット、6…軸受け部材、6a…ねじ、6b…ねじ穴、7…軸部材、8…背もたれ、10…ねじ、11…椅子、41…支柱、42…ブラケット、42a…ねじ、42b…ねじ穴、42c…取付孔、42d…キャップ、43…脚座、44…床面、61…環状部、62…ストッパ受け部、63…突出部、63a…突起、64…ゴム部材、64a…突起挿込孔、65…貫通孔、71…摺接部材、71a…筒状部、72…離間防止部、72b…ワッシャー、73…ストッパ部、73a…嵌合凸部、73b…ねじ、74…渦巻きバネ、74a…バネ押さえ、611…摺接凹面、711…摺接凸面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座可能となる使用位置、及び背もたれ側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動する座体と、当該座体を回動可能な状態で支持する支持体とを備えた座跳ね上げ式の椅子において、前記座体を前記支持体に対して回動可能に取り付けるために、前記座体と前記支持体との間に介装される座体支持機構であり、前記座体又は当該座体に固定された部材のいずれかである座体側部材、及び前記支持体又は当該支持体に固定された部材のいずれかである支持体側部材のうち、いずれか一方の部材に設けられる軸部材と、他方の部材に設けられる軸受け部材とを備えており、前記軸部材及び前記軸受け部材は、前記軸部材側に形成された摺接凸面と前記軸受け部材側に形成された摺接凹面が互いに摺動可能な状態で接触し、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸部材が一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動する構造とされ、しかも、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされた座体支持機構であって、
前記軸部材のうち、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分には、前記軸受け部材側に引っ掛かることによって前記軸部材が前記軸受け部材から離間するのを防止する離間防止部が設けられている
ことを特徴とする座体支持機構。
【請求項2】
前記軸部材は、軸部材本体と、前記摺接凸面が形成された摺接部材とを備え、前記摺接部材が前記軸部材本体に対して着脱可能な状態で取り付けられた構造とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の座体支持機構。
【請求項3】
前記軸部材は、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分が、前記軸受け部材を貫通する貫通孔に通されており、
前記離間防止部は、前記貫通孔を挟んで前記摺接凸面とは反対側となる位置において、前記軸受け部材側に引っ掛かる構造とされている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の座体支持機構。
【請求項4】
前記軸部材には、前記一軸の軸方向と同方向に向かって突出する嵌合凸部、前記軸部材が取り付けられる前記一方の部材には、前記嵌合凸部が嵌め込まれる嵌合凹部が、それぞれ形成され、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、前記軸部材が前記一方の部材に対して固定されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項5】
前記軸受け部材は、前記軸部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた環状部を有し、当該環状部の内周面が前記摺接凹面の一部とされており、
前記軸部材には、前記軸受け部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部を有し、当該筒状部に囲まれた位置に前記摺接凸面を有する部分が設けられており、
前記摺接凸面は、一部が前記環状部の開口から前記環状部の内側に導入されて前記摺接凹面に接触する状態とされ、且つ、前記環状部の突出方向先端部分は、前記摺接凸面と前記筒状部の内周面との間に遊嵌する状態とされており、当該遊嵌する状態が維持される範囲内で、前記軸部材が、前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動可能、且つ、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項6】
前記軸部材及び前記軸受け部材には、前記軸部材が前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動した際に、互いに当接することにより、前記軸部材の回動する範囲を規制するストッパ部及びストッパ受け部が設けられており
前記座体を前記使用位置又は前記収納位置へと回動させた際に、前記ストッパ部及びストッパ受け部が互いに当接する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項7】
前記座体を前記収納位置から前記使用位置に回動させた際に、弾性変形するとともに、その弾性変形に伴って生じる弾性力により、前記座体を前記使用位置から前記収納位置へ回動させる方向へと付勢する弾性部材
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項1】
着座可能となる使用位置、及び背もたれ側に跳ね上げられた状態となる収納位置へ回動する座体と、当該座体を回動可能な状態で支持する支持体とを備えた座跳ね上げ式の椅子において、前記座体を前記支持体に対して回動可能に取り付けるために、前記座体と前記支持体との間に介装される座体支持機構であり、前記座体又は当該座体に固定された部材のいずれかである座体側部材、及び前記支持体又は当該支持体に固定された部材のいずれかである支持体側部材のうち、いずれか一方の部材に設けられる軸部材と、他方の部材に設けられる軸受け部材とを備えており、前記軸部材及び前記軸受け部材は、前記軸部材側に形成された摺接凸面と前記軸受け部材側に形成された摺接凹面が互いに摺動可能な状態で接触し、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸部材が一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動する構造とされ、しかも、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が摺動する状態を維持したまま、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされた座体支持機構であって、
前記軸部材のうち、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分には、前記軸受け部材側に引っ掛かることによって前記軸部材が前記軸受け部材から離間するのを防止する離間防止部が設けられている
ことを特徴とする座体支持機構。
【請求項2】
前記軸部材は、軸部材本体と、前記摺接凸面が形成された摺接部材とを備え、前記摺接部材が前記軸部材本体に対して着脱可能な状態で取り付けられた構造とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の座体支持機構。
【請求項3】
前記軸部材は、前記摺接凸面及び前記摺接凹面が接触する位置よりも前記他方の部材に近い位置にある部分が、前記軸受け部材を貫通する貫通孔に通されており、
前記離間防止部は、前記貫通孔を挟んで前記摺接凸面とは反対側となる位置において、前記軸受け部材側に引っ掛かる構造とされている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の座体支持機構。
【請求項4】
前記軸部材には、前記一軸の軸方向と同方向に向かって突出する嵌合凸部、前記軸部材が取り付けられる前記一方の部材には、前記嵌合凸部が嵌め込まれる嵌合凹部が、それぞれ形成され、前記嵌合凸部が前記嵌合凹部に嵌め込まれた状態で、前記軸部材が前記一方の部材に対して固定されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項5】
前記軸受け部材は、前記軸部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた環状部を有し、当該環状部の内周面が前記摺接凹面の一部とされており、
前記軸部材には、前記軸受け部材側に向かって突出して、その突出方向先端部分が開口とされた筒状部を有し、当該筒状部に囲まれた位置に前記摺接凸面を有する部分が設けられており、
前記摺接凸面は、一部が前記環状部の開口から前記環状部の内側に導入されて前記摺接凹面に接触する状態とされ、且つ、前記環状部の突出方向先端部分は、前記摺接凸面と前記筒状部の内周面との間に遊嵌する状態とされており、当該遊嵌する状態が維持される範囲内で、前記軸部材が、前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動可能、且つ、前記軸受け部材に対する前記一軸の傾きを変更可能な構造とされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項6】
前記軸部材及び前記軸受け部材には、前記軸部材が前記一軸を中心に前記軸受け部材に対して相対的に回動した際に、互いに当接することにより、前記軸部材の回動する範囲を規制するストッパ部及びストッパ受け部が設けられており
前記座体を前記使用位置又は前記収納位置へと回動させた際に、前記ストッパ部及びストッパ受け部が互いに当接する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【請求項7】
前記座体を前記収納位置から前記使用位置に回動させた際に、弾性変形するとともに、その弾性変形に伴って生じる弾性力により、前記座体を前記使用位置から前記収納位置へ回動させる方向へと付勢する弾性部材
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の座体支持機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−249948(P2012−249948A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126466(P2011−126466)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000116596)愛知株式会社 (37)
【Fターム(参考)】
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