説明

廃ガスに含まれたアンモニアを除去するためのガススクラバー

【課題】 廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を廃水の発生なしに熱分解及び燃焼処理する。
【解決手段】 本発明によるガススクラバーは、アンモニアを含む廃ガスを加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素と水素に分解させる熱分解部と、前記熱分解部を通過した廃ガスに空気を注入して燃焼させる燃焼部とを含む。本発明によれば、廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を、廃水を発生することなく、熱分解及び燃焼処理することができ、アンモニアの燃焼処理時に発生する燃焼部の熱エネルギーを容易に熱分解部に熱交換することができる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガススクラバーに関し、より詳細には、半導体、LED、LCD及び/または太陽電池の製造工程時に発生するアンモニアを含む廃ガスを熱分解及び燃焼方式で完全に処理し、廃水の発生なしに無害ガスを大気に排出させることができるようにするガススクラバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体、LED、LCD及び/または太陽電池などは、水素(H2)グループなどのガスと、モノシラン、ジシランなどのシラン(SiH4)系ガス及びアンモニア(NH3)などを利用して高温で製造されるものである。このような製造工程時に、水素グループ、シラン系ガス及びアンモニアなどが燃焼しながら発生する発火性ガスとこれに含有された有毒ガスなどの廃ガスが大気に濾過なしに排出されることによって、人体及び大気汚染に相当な悪影響を及ぼす問題点が提起されている。これにより、このような発火性ガス及び有毒ガスなどの廃ガスを処理するために、従来、多様な形態の処理方法が提供された。
【0003】
前述した処理方法として代表的なものとして、乾式または湿式スクラバーなどを利用する方法がある。また、必要に応じて、前記スクラバーの前または後に別途のフィルタまたは吸着層などを具備することによって、処理効率を増加させることができる。
【0004】
特に、スクラバーの一例として、ガススクラバーは、通常、プレーウェット(pre-wet)、ヒーター(heater)またはバーナー(Burner)、及びメインウェット(main wet)で構成され、前記プレーウェットにおいて水によくとけるアンモニアを溶解させて除去し、アンモニアが除去された廃ガスをヒーターまたはバーナーに供給し、廃ガスに含まれた水素及びシランなどを熱分解処理する。
【0005】
しかし、前述したガススクラバーの場合、プレーウェットにおいてアンモニアが水に溶解されて処理されるので、2次的な汚染物である廃水を処理するための別途の装置または工程を必要とするという問題点がある。
【0006】
一方、廃ガスを処理するための他の一例として、バーニング方式と吸着方式を混合したガススクラバーを具備した後、引き込み管を通じてバーニング装置のバーニングチャンバの内部に排気ガスを吐出させる段階と、高温の熱(500乃至800℃)を提供するヒーターの間に排気ガスを通過させて発火性ガスを燃焼させる段階と、燃焼されない有毒ガスを吸着装置に吐出させる段階と、有毒ガスを吸着装置の吸着剤に通過させて物理または化学吸着で浄化させる方法があるが、これも、吸着装置に吸着された有毒ガスなどを別途に処理しなければならないという問題点がある。
【0007】
このような一例として、 大韓民国特許公開第2003−0064157号には、活性炭と分子篩を吸着剤として同時に使用して中・低濃度、低流量で発生する硫化水素及びアンモニアを同時に除去する小規模のガススクラバーが開示されており、 大韓民国特許公開第2004−0070753号には、半導体生産装備から排出される廃ガスを浄化させた後、大気に放出する工程で、有害ガスが排出されることを防止した半導体工程用ガス洗浄装置としてガススクラバーが開示されている。
【0008】
しかし、前述の従来技術は、廃ガスに含まれたアンモニアを除去するために、水または吸着剤を利用するものであって、追加的な2次汚染源が発生することを防止することができないという問題点がある。
【0009】
これより、アンモニアなどを含む廃ガスを処理するための方法として、追加的な別途の処理工程を必要としない燃焼方法を考慮することができ、この場合、廃ガスに含まれたアンモニアの燃焼温度が重要な変数になることができる。
【0010】
特に、前記アンモニアの燃焼温度は、通常、約1,100℃以上であるところ、このような燃焼温度を満たすために、燃焼のための反応器の温度を1,100℃以上に維持するためのエネルギーを持続的に消費しなければならない。
【0011】
一方、前記アンモニアは、700乃至1000℃の温度、好ましくは、750乃至950℃の温度範囲で窒素及び水素に転換されることができるので、前記アンモニアが窒素及び水素に転換される転換率は、温度に比例するようになる。
【0012】
したがって、アンモニアを燃焼させて除去する場合、燃焼熱によって一部のアンモニアが窒素及び水素に転換される熱分解がともに発生することができ、このような熱分解に起因して発生した水素が燃焼時に爆発し、反応器の温度を持続的に上昇させる問題点がある。
【0013】
また、高熱に維持される反応器で行われる熱分解時において、水素に起因して急激に温度が上昇する場合、これを適切に制御しなければ、装置が爆発したり、誤作動するため、未処理の廃ガスが外部に排出されるような問題を発生させることができる。
【0014】
さらに、廃ガスに含まれたアンモニアを燃焼する反応器の温度を、アンモニアが燃焼され得る約1,100℃以上に維持するためにバーナーを使用する場合、燃焼火炎から発生する窒素酸化物(Thermal NOx)などが発生し、追加的な大気汚染が発生することができるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を廃水の発生なしに熱分解及び燃焼処理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前述の問題点を解決するためになされたもので、本発明によるガススクラバーは、アンモニアを含む廃ガスを加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素と水素に分解させる熱分解部と、前記熱分解部を通過した廃ガスに空気を注入して燃焼させる燃焼部とを含む。
【0017】
特に、本発明は、アンモニアを窒素と水素に分解する熱分解部、及び分解された水素に空気を供給して燃焼させる燃焼部を二重管の内側管及び外側管に各々具備することによって、燃焼部で燃焼される燃焼熱を熱分解部で必要とする熱エネルギーとして活用することができるようにする。
【0018】
ここで、前記アンモニアを窒素及び水素に分解させるための熱分解部の加熱温度は、700乃至1,000℃であり、前記燃焼部の燃焼温度は、900乃至1,200℃である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を廃水発生なしに熱分解及び燃焼処理することができるという効果がある。
【0020】
また、本発明は、アンモニアの燃焼処理時に発生する燃焼部の熱エネルギーを容易に熱分解部に熱交換することができるという効果がある。
【0021】
特に、本発明は、アンモニアを熱分解した後に燃焼させることによって、燃焼のためのアンモニアの量を初期に減少させて、燃焼時に発生する窒素酸化物の発生量を減少させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるガススクラバーの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。しかし、下記の説明は、ただ本発明を詳細に説明するためのものであって、下記説明によって本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
図1は、本発明によるガススクラバーの構成を示す図である。
図1に示されたように、本発明によるガススクラバーは、アンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスを加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素と水素に分解させる熱分解部6と、前記熱分解部6を通過した廃ガスに空気を注入して燃焼させる燃焼部8とを備える。
【0025】
ここで、前記ガススクラバーは、燃焼部8の一側に連設され、燃焼部8を通過しながら処理された廃ガスに水を供給して、廃ガスの温度を減少させる湿式スクラバー(図示せず)をさらに備えることができる。
【0026】
本発明によるガススクラバーは、半導体、LED、LCD及び/または太陽電池の製造工程時に発生するアンモニア、水素、モノシランなどを含む廃ガスを処理するための装置なら、いずれの装置でも本発明のガススクラバーに該当するが、好ましくは、廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を熱分解した後に燃焼させて処理することができる装置、より好ましくは、廃ガスに含まれたアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を熱分解した後に燃焼させて処理し、その後、湿式方式や空冷式または水冷式冷却手段、特定的には、熱交換機などを通じて温度を減少させて処理したガス、すなわち無害な処理ガスを大気に排出させることができるように構成された装置を意味する。
【0027】
ここで、前記廃ガスは、LED、LCD及び/または太陽電池の製造工程によって発生したアンモニアが単独で含まれて排出されるか、または、アンモニア及び水素の両方ともを含む状態で排出されることができ、前記アンモニアは、熱分解部6の熱分解時に窒素及び水素に転換され、燃焼部8の燃焼時に、水、窒素及び窒素酸化物の一部に転換されて処理される。
【0028】
本発明による熱分解部6は、アンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスを加熱し、例えば、700乃至1,000℃に加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素及び水素に転換するためのものであって、このような目的のための通常的な熱分解部6なら特に限定されない。
【0029】
この際、前記熱分解部6は、無酸素条件で運転され、熱分解時に、アンモニアが還元されながら発生した水素が燃焼されないようにし、前記熱分解部6の高熱、例えば700℃以上の高熱で耐えることができる材質なら、その材質は特に限定されないが、好ましくは、STS310Sまたはインコネル材質を使用することがよろしい。
【0030】
また、前記熱分解部6の温度に比例してアンモニアが窒素及び水素に転換される転換率が増加する。
【0031】
特定的に、前記熱分解部6の外周面には、熱分解部6を加熱することができる加熱手段16が連設されることができる。
【0032】
本発明による燃焼部8は、前記熱分解部6に連設され、熱分解部6を通過した廃ガスに空気を注入して燃焼させるためのものであって、このような目的のための燃焼部8なら特に限定されない。
【0033】
特に、前記燃焼部8は、900乃至1,200℃の温度範囲で廃ガス、好ましくは、廃ガスに含まれたアンモニアを燃焼させる。したがって、前記燃焼部8は、前述の高熱に耐えることができる材質、好ましくは、STS310Sまたはインコネル材質よりなることがよろしい。
【0034】
特定の様態として、前述の構成を有する本発明によるガススクラバーは、 アンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスが流入される流入口2と;前記流入口2に連設されると同時に、一方の管が他方の管の内部に挿入される二重管の形態で構成され、前記二重管の外側管にアンモニアを含む廃ガスが移動し、アンモニアが窒素及び水素に転換される熱分解部6と、当該内側管に前記アンモニアが窒素及び水素に転換された廃ガスが流入され、燃焼しながら移動する燃焼部8とを備える反応器18と; 前記燃焼部8の一側に連設され、外部の空気が燃焼部8の内部に流入されるようにする空気注入部10と;前記空気注入部10と隣り合うように連設され、熱分解部6の外側管から流入されるアンモニアが窒素及び水素に転換された廃ガスと空気が互いに接触することを防止する遮断部12と;前記反応器18の外周面に連設され、反応器18の外側管を加熱する加熱手段16と;前記燃焼部8の一側に設けられ、燃焼された廃ガスが排出される排出口4と;を含めて構成されることができる。
【0035】
本発明による流入口2は、アンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスが流入される。
【0036】
本発明による反応器18は、廃ガスに含まれたアンモニアを処理するための場所を提供するものであって、一方の管が他方の管の内部に挿入された二重管の形態で構成され、前記二重管の外側管にアンモニアを含む廃ガスが移動し、アンモニアが窒素及び水素に転換される熱分解部6と、当該内側管にアンモニア、窒素及び水素を含む廃ガスが流入され、燃焼しながら移動する燃焼部8とで構成されている。
【0037】
ここで、前記熱分解部6は、アンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスを700乃至1,000℃に加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を還元させて窒素及び水素に転換される。
【0038】
また、前記燃焼部8は、前記熱分解部6を通過した廃ガスに空気を注入し、900乃至1,200℃の温度範囲で廃ガスに含まれたアンモニアを燃焼させて処理する。
【0039】
この際、前記熱分解部6及び燃焼部8は、各々二重管形状の反応器18の外側管及び内側管に各々設けられ、燃焼部8の燃焼熱が内側管を通じて熱分解部6に熱伝逹されることができる。
【0040】
一方、前記熱分解部6及び燃焼部8を構成する二重管は、高熱、例えば700乃至1,200℃の高熱に耐えることができる材質なら、いずれの材質でも構わないが、好ましくは、STS310Sまたはインコネル材質よりなることが良い。
【0041】
本発明による空気注入部10は、燃焼部8で行われるアンモニア及び水素ガスなどの燃焼のために提供されるものであって、このような目的のための当業界の通常的な空気注入部10なら特に限定されない。
【0042】
本発明による遮断部12は、前記熱分解部6から排出される水素、特定的には、アンモニアが転換された水素及び/または初期廃ガスに含まれた水素が燃焼部8に流入される初期に空気と接触し、燃焼、特定的には、爆発することを防止するためのものであって、このような目的のための遮断部12なら特に限定されないが、好ましくは、燃焼部8の空気注入部10と隣り合うように連設されることが良い。
【0043】
特に、前記遮断部12は、二重管の形態よりなる反応器18の外側管(熱分解部)から流入される廃ガスと空気の接触を遮断するために、前記二重管の長さ方向に沿って燃焼部8の上部の一側から一定の長さだけ垂直に形成されることがよろしい。
【0044】
必要によって、本発明によるガススクラバーの燃焼部8の一側には、窒素を注入するための窒素注入口14をさらに備えることができる。
【0045】
ここで、前記窒素注入口14は、廃ガスに含まれた水素が燃焼、特定的には、爆発しながら発生する反応熱に起因して熱分解部6内部の温度が急激に上昇することを防止するために、前記窒素注入口14に不活性ガスとしての窒素を注入し、水素を含む廃ガスの水素濃度を減少させるためのものである。
【0046】
本発明による加熱手段16は、前記反応器18の外周面に連設され、反応器18の外側管、すなわち熱分解部6を加熱、好ましくはアンモニアを熱分解し得る温度、例えば700乃至1,000℃の温度に加熱するためのものであって、このような目的のための当業界の通常的な加熱手段16なら特に限定されない。
【0047】
特定的に、本発明によるガススクラバーは、前記燃焼部8に設けられる空気注入部10と隣り合うようにバッフル20をさらに備えることができる。
【0048】
この際、前記バッフル(baffle)20は、空気注入口10と隣り合うように設置され、空気注入口10を通じて反応器18の燃焼部8に流入される空気が局地的に噴射されず、燃焼部8に均一に噴射されるようにするものであって、このような目的のための当業界の通常的なバッフル20ならいずれのものを使用しても関系ない。
【0049】
特定的に、本発明によるガススクラバーの排出口14の一側には、排出口14を通じて排出される廃ガスを冷却させるための冷却手段(図示せず)、例えば、湿式スクラバーや空冷式または水冷式熱交換機などの冷却手段が設けられ、排出口14から排出される廃ガスを冷却させて大気に排出することができる。
【0050】
この際、前記湿式スクラバー及び空冷式または水冷式熱交換機は、当業界において通常的に使用される湿式スクラバー及び熱交換機なら特に限定されない。
【0051】
以下では、このような構成を有する本発明によるガススクラバーの作用を説明する。
まず、半導体、LED、LCD及び/または太陽電池の製造工程時に発生するアンモニアまたはアンモニアと水素の混合物を含む廃ガスが流入口2に流入され、二重管の形態よりなる反応器18の外側管、すなわち熱分解部6に流入される。
【0052】
この際、前記熱分解部6は、加熱手段16によって700乃至1,000℃に加熱され、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素及び水素に転換させる。
【0053】
次に、前記窒素及び水素に転換されたガスを含む廃ガスは、二重管の形態よりなる反応器18の内側管、すなわち燃焼部8に流入される。
【0054】
この際、燃焼部8に流入された廃ガスに空気注入部10を通じて空気を注入し、水素を爆発させることによって、900乃至1,200℃の温度でアンモニアを燃焼処理する。
【0055】
次に、燃焼処理された廃ガスは、前記燃焼部8に一側に設けられた排出口4に排出される。
【0056】
ここで、前記排出口4の一側に湿式スクラバーや水冷式または空冷式熱交換機などの冷却手段を設置し、高温の廃ガスを冷却排出することができる。
【0057】
(実施例)
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、ただ本発明を詳細に説明するためのものであって、これらの実施例によって本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
(実施例1乃至実施例5)
図1に示されたように、125Aの直径を有するSUS310S材質の管内に100Aの直径を有するインコネル(Inconel)材質の管を位置させて、二重管の形態で反応器を製造した後、前記反応器の外周面に加熱手段としてヒーター[セラミックモールドヒーター]を設置し、前記反応器の外側に位置する管、すなわち外側管の内部温度を700乃至1,000℃に調節することができるようにした。
【0059】
次に、二重管の外側管の内部に、処理ガスとしてアンモニアガスを注入し、その内部の温度を750乃至1,000℃に変化させながら、アンモニアを窒素と水素に熱分解した。
【0060】
次に、前記熱分解されたガスを二重管の内側に位置する管、すなわち内側管に流入させた。
【0061】
この際、前記内側管に流入される熱分解ガスに空気をともに噴射し、熱分解ガスに含まれた水素ガスを爆発させてアンモニアを燃焼させた。
【0062】
次に、燃焼されたガスは、後段に連設される湿式スクラバー[KOCAT、韓国]を利用して冷却排出した。
【0063】
次に、流入されるアンモニアガス及び排出される燃焼ガスのアンモニア濃度をFT−IR(MIDAC)で測定し、前記内側管及び外側管の内部温度をサーモカップルを利用して測定した。
【0064】
その処理条件及び結果を表1に示した。
【0065】
【表1】

【0066】
表1から明らかなように、実施例1乃至実施例5の熱分解部の温度が増加するほどアンモニアの除去率がともに増加し、NOの発生量が減少することが分かった。
【0067】
この際、実施例1の除去率は、99.4%であり、これを除いたすべての実施例において、除去率は99.9%であった。
【0068】
(実施例6乃至実施例10)
表2に記載されたように、流入ガスとしてアンモニア及び水素をともに供給することを除いて、実施例1乃至実施例5と同一の方法で行った。
【0069】
その処理条件及び結果を表2に示した。
【0070】
【表2】

【0071】
表2から明らかなように、実施例6乃至実施例10の熱分解部の温度が増加するほどアンモニアの除去率がともに増加し、NOの発生量が減少することが分かった。
【0072】
この際、すべての実施例において、除去率は99.9%であった。
【0073】
(比較例1乃至比較例5)
二重管形状の反応器の代わりに、125Aの直径を有するインコネル材質の管を反応器として単独で使用し、反応器の入口に処理ガスとともに空気を注入することを除いて、実施例1乃至実施例5と同一の方法で行った。
【0074】
その処理条件及び結果を表3に示した。
【0075】
【表3】

【0076】
表3から明らかなように、比較例1乃至比較例5の熱分解部の温度が増加するほどアンモニアの除去率がともに増加したが、アンモニア除去率は65乃至78%であった。
【0077】
(比較例6乃至比較例10)
表4に記載されたように、流入ガスとしてアンモニア及び水素をともに供給することを除いて、比較例1乃至比較例5と同一の方法で行った。
【0078】
その処理条件及び結果を表4に示した。
【0079】
【表4】

【0080】
表4から明らかなように、比較例6乃至比較例10の熱分解部の温度が増加するほどアンモニアの除去率がともに増加したが、アンモニア除去率は99%以上であった。
【0081】
比較例1乃至比較例10から明らかなように、廃ガスにアンモニアのみ含まれる場合、アンモニアの除去率が低かったが、アンモニアと水素の混合物を処理する場合には、アンモニア除去率が99%以上であった。
【0082】
以上説明したように、本発明が属する技術分野における当業者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施されることができることを理解することができるだろう。したがって、以上で記述した実施例は、いずれも例示的なものであって、限定的なものではないことを理解すべきである。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求範囲の意味及び範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることに解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0083】
2 流入口
4 排出口
6 熱分解部
8 燃焼部
10 空気注入部
12 遮断部
14 窒素注入部
16 加熱手段
18 反応器
20 バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを含む廃ガスを加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素と水素に分解させる熱分解部と、
前記熱分解部を通過した廃ガスに空気を注入して燃焼させる燃焼部と、を含むガススクラバー。
【請求項2】
前記廃ガスが水素をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガススクラバー。
【請求項3】
前記熱分解部において廃ガスの加熱温度は、700乃至1,000℃であることを特徴とする請求項1に記載のガススクラバー。
【請求項4】
前記燃焼部の温度は、900乃至1,200℃であることを特徴とする請求項1に記載のガススクラバー。
【請求項5】
前記熱分解部と燃焼部が互いに接触するように連設され、前記燃焼部の燃焼熱が前記熱分解部に伝達されることを特徴とする請求項1に記載のガススクラバー。
【請求項6】
前記ガススクラバーが、
アンモニアを含む廃ガスが流入される流入口と、
前記流入口に連設されると共に、一方の管が他方の管の内部に挿入される二重管の形態で構成され、前記二重管の外側管にアンモニアを含む廃ガスが移動し、アンモニアが窒素と水素に転換される熱分解部と、当該内側管に前記アンモニアが窒素及び水素に転換された廃ガスが流入され、燃焼しながら移動する燃焼部とを備える反応器と、
前記燃焼部の一側に連設され、外部の空気が燃焼部の内部に流入されるようにする空気注入部と、
前記空気注入部と隣り合うように連設され、熱分解部の外側管から流入されるアンモニアが窒素及び水素に転換された廃ガスと空気が互いに接触することを防止する遮断部と、
前記反応器の外周面に連設され、反応器の外側管を加熱する加熱手段と、
前記燃焼部の一側に設けられ、燃焼された廃ガスが排出される排出口と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のガススクラバー。
【請求項7】
前記反応器の燃焼部の一側に窒素注入口をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のガススクラバー。
【請求項8】
前記空気注入部と隣り合うようにバッフルが設けられることを特徴とする請求項6に記載のガススクラバー。
【請求項9】
前記排出口の一側に排出口を通じて排出される廃ガスを冷却させることができる冷却手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のガススクラバー。
【請求項10】
アンモニアを含む廃ガスを加熱し、廃ガスに含まれたアンモニアの一部または全部を窒素と水素に分解させる分解段階と、
前記熱分解部を通過した廃ガスに空気を注入して水素を燃焼させることによって、廃ガスを燃焼させる燃焼段階と、を含む廃ガス処理方法。
【請求項11】
前記廃ガスが水素をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の廃ガス処理方法。
【請求項12】
前記分解段階の加熱温度が700乃至1,000℃であることを特徴とする請求項10に記載の廃ガス処理方法。
【請求項13】
前記燃焼段階の燃焼温度が900乃至1,200℃であることを特徴とする請求項10に記載の廃ガス処理方法。
【請求項14】
前記燃焼部の燃焼熱を分解段階の分解熱として提供することを特徴とする請求項10に記載の廃ガス処理方法。
【請求項15】
前記燃焼段階の後段に燃焼された廃ガスを冷却させる冷却段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の廃ガス処理方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−531571(P2012−531571A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517364(P2012−517364)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/KR2010/001489
【国際公開番号】WO2010/150966
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(506061439)コキャット インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】