説明

廃トナー回収装置

【課題】 廃トナーを回収して貯留する回収装置本体内の廃トナーの偏在を防止して常に確実に最大の貯留容量を確保することができるようにする。
【解決手段】 感光体ドラム121に形成されたトナー像を用紙Pに転写した後の感光体ドラム121に残留した廃トナーTを除去して当該感光体ドラム121を清浄化する各クリーニング装置126・・・,127を備えた画像形成装置10に適用されるものであり、除去された廃トナーTを貯留する回収装置本体30と、この回収装置本体30内に回収された廃トナーTを攪拌する攪拌手段40とを備えて構成され、回収装置本体30の上面には、廃トナーTを装填する装填口372が設けられ、攪拌手段40は、装填口372に対向した位置に設けられて揺動する揺動部材41と、この揺動部材41を揺動させる駆動手段43とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ装置、さらにはコンピュータに接続されたプリンタ等の画像形成装置に適用される廃トナー回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、読み取ったり電送されてきた画像情報に基づく強弱を備えた光信号を回転している像担持体としての感光体ドラムの周面に照射し、これによって形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を被転写体としての例えば用紙に転写するようになされている。かかる画像形成装置においては、用紙への転写処理後の感光体ドラムの周面にトナーが残留しているが、この残留トナーを除去して清浄化し、つぎの転写処理に備えるためにクリーニング装置が設けられているとともに、このクリーニング装置によって除去された廃トナーを回収して貯留するトナー回収装置が設けられている。
【0003】
トナー回収装置としては、特許文献1および2に記載されたものが知られている。まず、特許文献1に記載のものは、トナー回収容器と、このトナー回収容器に設けられたトナーを分散させる分散部材とを備えて構成されている。分散部材は、トナー回収容器内を縦断するように設けられた回転軸と、この回転軸の周面に形成された螺旋状羽根とを備え、所定の駆動モータの駆動で回転軸が駆動回転されることにより、螺旋状攪拌羽根が回転軸と軸心回りに一体回転し、これによってトナー回収容器内に貯留された廃トナーを攪拌するようになっている。この攪拌によってトナーの堆積を崩し、トナー回収容器の貯留容量の向上を図るようになされている。
【0004】
また、特許文献2のものは、トナー回収容器を画像形成装置の外装カバーの開閉操作に連動するように当該画像形成装置に装着され、特に外装カバーが開放されたときにトナー回収容器がスプリングの付勢力に抗して一旦装置本体内から引き出されたのちに外装カバーとの係止状態が解除され、スプリングの付勢力によって装置本体の所定のフレーム等に叩き付けられるようになっている。
【0005】
外装カバーは、画像形成装置の所定のメンテナンスの度に開閉されるため、メンテナンスの都度トナー回収容器がフレームに叩き付けられ、このときの衝撃によってトナー回収容器内で形成されたトナーの山状の堆積物が崩され、これによってトナー回収容器の実質的な貯留容量が増加する。
【特許文献1】特開2004−102285号公報
【特許文献2】特開2004−126156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の廃トナー回収装置にあっては、螺旋状羽根の回転軸回りの回転軌跡に掛からない位置に存在するトナーについては、螺旋状羽根の回転による攪拌効果の恩恵に浴さないため、その分トナー回収容器の容量の拡大にも限界があり、望まれる程の容量アップを実現させることができないという問題点を有している。
【0007】
また、特許文献2に記載の廃トナー回収装置にあっては、トナー回収容器内のトナーの偏在解消は、トナーの補充を含むメンテナンス作業時の外装カバーの開放周期に依存しているため、メンテナンスが長期間に亘って行なわれないため外装カバーが開閉されなかった場合など、トナー回収容器内のトナーの偏在を解消させることができなくなるという問題点が存在する。
【0008】
本発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、廃トナーを回収して貯留する回収装置本体内の廃トナーの偏在を防止して常に確実に最大の貯留容量を確保することができる廃トナー回収装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写した後の像担持体に残留した廃トナーを除去して当該像担持体を清浄化するクリーニング装置を備えた画像形成装置に適用される廃トナー回収装置であって、前記除去された廃トナーを貯留する回収装置本体と、この回収装置本体内に回収された廃トナーを攪拌する攪拌手段とを備えて構成され、前記回収装置本体の上面には、廃トナーを装填する装填口が設けられ、前記攪拌手段は、前記装填口に対向した位置に設けられて揺動する揺動部材と、この揺動部材を揺動させる駆動手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
かかる構成によれば、クリーニング装置によって回収された廃トナーは、装填口を介して回収装置本体内に回収されて貯留される。そして、駆動手段の駆動で揺動部材を揺動させることにより、装填口から回収装置本体内に装填された廃トナーは、この揺動している揺動部材に当たって攪拌されつつ揺動方向へ振り分けられるため、廃トナーが回収装置本体内で山状に堆積して偏在することが防止され、これによって廃トナー回収装置は、実質的な貯留容量が増加する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記揺動部材は、上端が前記装填口に臨んだ状態で前記回収装置本体の下部に設けられた支持軸回りに揺動可能に軸支されていることを特徴とするものである。
【0012】
かかる構成によれば、揺動部材を上端が装填口に臨んだ状態で回収装置本体の下部に設けられた支持軸回りに揺動可能に軸支することにより、最も揺動範囲の広い部分である揺動部材の上端を装填口に臨ませることが可能になり、その分廃トナーの振り分けが良好になる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記揺動部材の頂部には、前記装填口から装填された廃トナーを受けて振り分ける振分け部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
かかる構成によれば、装填口から回収装置本体内に導入された廃トナーは、揺動部材の頂部に設けられた振分け部材によって一旦受けられた後より良好に振り分けられるため、廃トナーの偏在がより有効に防止される。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記回収装置本体内には、前記揺動部材の揺動を許容する長孔の設けられた網体が当該回収装置本体内を上下に仕切った状態で張設されていることを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成によれば、揺動部材は、網体に設けられた長孔により揺動動作が案内されて安定した状態で揺動し得るとともに、装填口から回収装置本体内に装填された廃トナーは、揺動部材によって攪拌されつつ一旦網体上に落下し、この網体上で平準化してから編目を通って回収装置本体の底部に向けて振り撒かれるため、回収装置本体内での廃トナーの偏在が有効に防止される。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記回収装置本体には、前記揺動部材の揺動方向と平行な壁面に透明部材で塞がれた覗き窓が設けられている一方、前記揺動部材には、揺動によって前記透明部材を払拭する払拭部材が取り付けられていることを特徴とするものである。
【0018】
かかる構成によれば、覗き窓を通して回収装置本体内を視認したり光センサを用いて満量を検知したりすることにより当該回収装置本体内における廃トナーの回収状態が確認される。そして、揺動部材には、揺動によって覗き窓を覆った透明部材を払拭する払拭部材が取り付けられおり、揺動部材が揺動する度に覗き窓の透明部材が払拭部材によって払拭されるため、廃トナーの付着で覗き窓を通して回収装置本体内を視認または検知し得なくなるような不都合の発生が防止される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、駆動手段の駆動で揺動部材を揺動させた状態で装填口から回収装置本体内に装填された廃トナーは、この揺動している揺動部材に当たって攪拌されつつ揺動方向へ振り分けられるため、廃トナーが回収装置本体内で山状に堆積して偏在することが防止され、これによって廃トナー回収装置の実質的な貯留容量を増加させることができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、揺動部材を上端が装填口に臨んだ状態で回収装置本体の下部に設けられた支持軸回りに揺動可能に軸支することにより、最も揺動範囲の広い部分である揺動部材の上端を装填口に臨ませることが可能になり、これによる廃トナーの振り分け効果の向上によってより効果的に廃トナーの偏在を防止することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、装填口から回収装置本体内に導入された廃トナーは、揺動部材の頂部に設けられた振分け部材によって一旦受けられたのち振り分けられるため、トナーの偏在をより有効に防止することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、揺動部材は、網体に設けられた長孔により揺動動作が案内されて安定した状態で揺動することができるとともに、装填口から回収装置本体内に装填された廃トナーは、揺動部材によって攪拌されつつ一旦網体上に落下し、この網体上で平準化してから編目を通って回収装置本体の底部に向けて振り撒かれるため、揺動部材の揺動による廃トナーの偏在防止作用に加えて当該網体により回収装置本体内での廃トナーの偏在をさらに有効に防止することができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、覗き窓を通して回収装置本体内における廃トナーの回収状態を視認したり光センサを用いて検知したりすることができる。そして、揺動部材には、揺動によって覗き窓を覆った透明部材を払拭する払拭部材が取り付けられおり、揺動部材が揺動する度に覗き窓の透明部材が払拭部材によって払拭されるため、廃トナーの付着で覗き窓を通して回収装置本体内を視認または検知し得なくなるような不都合の発生を常に確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明に係る廃トナー回収装置が適用される画像形成装置の一実施形態を示す正面断面視の説明図である。図1に示すように、この実施形態の画像形成装置10は、複写機として使用されるものであり、胴内排紙型と称される箱形を呈した装置本体11と、この装置本体11の上部に設けられた、原稿画像を読み取る画像読取部16とを備えた基本構成を有している。前記装置本体11には、画像読取部16によって読み取られた原稿の画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、この画像形成部12によって形成され、用紙に転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙を貯留する用紙貯留部14とが内装されている。
【0025】
前記画像読取部16は、装置本体11の上面に開閉可能に設けられた原稿押え161と、装置本体11の上部の筐体内でコンタクトガラス163を介して原稿押え161と対向配置された光学系ユニット162とを備えている。コンタクトガラス163は、載置された原稿の原稿面を読み取るために原稿押え161より若干小さい平面形状に寸法設定されている。前記原稿押え161は、装置本体上面の一側辺に設けられた所定の軸回りに正逆回動して開閉可能になっている。
【0026】
かかる画像読取部16の適所には、原稿読み取りや複写処理等に関する処理条件を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、図略の表示パネルやテンキー、さらにはスタートボタン、モード切換えキー等が設けられている。
【0027】
前記光学系ユニット162は、図略の光源や複数のミラー、レンズユニット、さらにはCCD(charge coupled device)等を有している。そして、光源からの光が原稿面で反射され、この反射光がこれらミラーおよびレンズユニットを介して原稿情報としてCCDに入力されるようになっている。CCDに入力されたアナログ量としての原稿情報は、デジタル信号に変換されて所定の記憶装置に記憶されるようになっている。
【0028】
前記画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙(被転写体)Pにトナー画像を形成させるものであり、本実施形態では、上流側(図1の紙面の右側)から下流側へ向けて順次配設されたマゼンタ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、イエロー用ユニット12Yと、ブラック用ユニット12Kとが備えられている。
【0029】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kには、感光体ドラム(像担持体)121および現像装置122がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム121は、図1において反時計方向へ向けて回転しつつ対応した現像装置122からトナーの供給を受けるようになっている。各現像装置122には、装置本体11の前面側(図1の紙面の表側)に配設されたトナーカートリッジ128からトナーが補給されるようになっている。
【0030】
各感光体ドラム121の直下位置には帯電器123がそれぞれ設けられているとともに、帯電器123のさらに下方位置には露光装置124が設けられている。そして、各感光体ドラム121は、前記帯電器123によって周面が一様に帯電され、画像読取部16で入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が前記各露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射されることにより、各感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成されるようになっている。かかる静電潜像に現像装置122からトナーが供給されることにより、感光体ドラム121の周面にトナー像が形成される。
【0031】
感光体ドラム121の上方位置には、当該各感光体ドラム121に当接するように駆動ローラ125aおよび従動ローラ125b間に張設された転写ベルト125が設けられている。この転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ125cによって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラと従動ローラとの間を周回するようになっている。
【0032】
従って、転写ベルト125が周回することによりその表面に対しマゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の転写が行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にシアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、ついで転写ベルト125の同一位置にイエロー用ユニット12Yの感光体ドラム121によるイエローのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、最後のブラック用ユニット12Kの感光体ドラム121によるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれ、これによって転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像が用紙貯留部14から搬送されてきた用紙Pに転写されることになる。
【0033】
そして、各感光体ドラム121の図1における左方位置には当該感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去して清浄化するクリーニング装置126が設けられている。クリーニング装置126によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電器123へ向かうことになる。
【0034】
クリーニング装置126で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って本発明に係る廃トナー回収装置20に回収され、貯留されるようになっている。
【0035】
画像形成部12の図1における左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。この用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられ、用紙貯留部14からの用紙Pがこの搬送ローラ対112の駆動で駆動ローラ125aに掛け回されている転写ベルト125へ向けて搬送されるようになっている。かかる用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置に転写ベルト125の表面と当接した第2転写ローラ113が設けられ、用紙搬送路111を搬送されつつある用紙Pが転写ベルト125と第2転写ローラ113とに押圧挟持されることによって転写ベルト125上のトナー像が当該用紙Pに転写されるようになっている。
【0036】
そして、転写ベルト125の図1における右端部には、当該転写ベルト125の表面に残留した残留トナーを除去する転写ベルト用クリーニング装置127が設けられ、用紙Pへの転写処理が完了した転写ベルト125は、表面の残留トナーがこの転写ベルト用クリーニング装置127によって取り除かれ清浄化された状態で次の転写処理へ向けて周回されるようになっている。
【0037】
前記定着部13は、画像形成部12で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものであり、内部に加熱源である通電発熱体を備えた定着ローラ131と、図1における左方でこの定着ローラ131と対向配置された加圧ローラ132とを備えて構成されている。そして、転写ローラ113を介して画像形成部12から導出された転写処理済の用紙Pは、これら定着ローラ131および加圧ローラ132間に押圧挟持されつつ定着ローラ131により加熱される熱処理でトナー画像が定着され、用紙P上に安定した状態のカラー画像が形成されるようになっている。
【0038】
定着処理の完了したカラー画像付の用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って装置本体11に設けられた胴内排紙トレイ115へ向けて排出されることになる。
【0039】
前記用紙貯留部14は、装置本体11における露光装置124の下方位置に挿脱自在に装着された用紙トレイ141を有している。用紙トレイ141には用紙束が貯留されるようになっている。そして、用紙トレイ141に貯留された用紙束からピックアップローラ142の駆動で用紙Pが1枚ずつ繰り出され、用紙搬送路111を通って画像形成部12へ導入されるようになっている。
【0040】
図2は、廃トナー回収装置20の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。なお図2において、X−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。この図に示すように、廃トナー回収装置20は、マゼンタ用ユニット12M、シアン用ユニット12C、イエロー用ユニット12Yおよびブラック用ユニット12Kのそれぞれに設けられたクリーニング装置126が各感光体ドラム121から除去した廃トナーおよび転写ベルト用クリーニング装置127が転写ベルト125(図1)から除去した廃トナーを回収して貯留するものであり、除去された廃トナーを貯留する回収装置本体30と、この回収装置本体30内に貯留された廃トナーを攪拌する攪拌手段40とを備えた基本構成を有している。攪拌手段40は、駆動手段43の駆動によって動作するようになっている。
【0041】
前記回収装置本体30は、左右方向に長尺の底板31と、この底板31の前縁部から立設された前面板32と、底板31の後縁部から立設された前記前面板32と同一高さ寸法の背面板33と、底板31の左右方向の側縁部からそれぞれ立設された凸状を呈する一対の側板34と、前面板32の上縁部から各側板34の前方上縁部に亘って架設された前方天板35と、背面板33の上縁部から各側板34の後方上縁部に亘って架設された後方天板36と、これら前方天板35と後方天板36との間で側板34の上方に突出している部分に沿って上方に膨出するように設けられた膨出天板37とを備えて構成されている。
【0042】
かかる回収装置本体30内には廃トナー貯留室39が形成されている。この廃トナー貯留室39は、左右方向に等間隔に仕切る4枚の仕切り板38により5室に仕切られ、それぞれに各クリーニング装置126・・・,127からの廃トナーを仕切って貯留するようになっている。
【0043】
すなわち、前記廃トナー貯留室39は、転写ベルト用クリーニング装置127から送り込まれた廃トナーを貯留する第1貯留室391と、マゼンタ用ユニット12Mのクリーニング装置126から送り込まれた廃トナーを貯留する第2貯留室392と、シアン用ユニット12Cのクリーニング装置126から送り込まれた廃トナーを貯留する第3貯留室393と、イエロー用ユニット12Yのクリーニング装置126から送り込まれた廃トナーを貯留する第4貯留室394と、ブラック用ユニット12Kのクリーニング装置126から送り込まれた廃トナーを貯留する第5貯留室395とにそれぞれ区分されている。
【0044】
そして、前記膨出天板37の天面には平らな頂部天板371が形成され、この頂部天板371に各クリーニング装置126・・・,127からの廃トナーを第1〜第5貯留室391〜395に装填するための装填口372がそれぞれ開口されている。
【0045】
このように構成された回収装置本体30の廃トナー貯留室39(第1〜第5貯留室391〜395のそれぞれ)には、その略上半分の位置に当該廃トナー貯留室39を上下で二分するように張設された網体301が設けられている。この網体301には、前後方向に長尺の逃し孔(長孔)302が穿設され、揺動部材本体411は、この逃し孔302に挿通されることにより、当該逃し孔302に案内されつつ前後に揺動し得るようになっている。
【0046】
そして、装填口372を介して廃トナー貯留室39に導入された廃トナーは、攪拌手段40による攪拌操作を受けた後にこの網体301上に振り撒かれ、網体301の編目を通ることによってさらに偏在が防止された状態で廃トナー貯留室39の底部へ向かうようになっている。
【0047】
以下、図3を基に、必要に応じて図1および図2を参照しながら攪拌手段40について説明する。図3は、攪拌手段40の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、複数の廃トナー貯留室39(第1〜第5貯留室391〜395)のいずれか1室に設けられたものを代表で示している。なお、図3におけるXおよびYによる方向表示は図2の場合と同様である。
【0048】
図3に示すように、攪拌手段40は、回収装置本体30を左右方向に貫通して設けられた第1貫通軸(支持軸)401回りに回動自在に軸支される揺動部材41と、この揺動部材41を揺動させる揺動機構42と、この揺動機構42に駆動力を付与する駆動手段43(図2)とを備えて構成されている。前記第1貫通軸401は、第1〜第5貯留室391〜395の下部における装填口372(図2)の直下位置に仕切り板38および左右の側板34を貫通して設けられている。
【0049】
前記揺動部材41は、装填口372を介し廃トナー貯留室39内に落下する廃トナーをその揺動動作によって振り撒くものであり、上下方向に長尺の板状を呈した揺動部材本体411と、この揺動部材本体411の頂部に付設された笠部材(振分け部材)412とを備えている。
【0050】
前記揺動部材本体411は、その下端部が前記第1貫通軸401に回動自在に外嵌されているとともに、頂部が前方天板35および後方天板36より下位で、かつ、前記網体301より上位に位置するように上下寸法が設定されている。かかる揺動部材本体411の上下方向の中央部より下方位置には、上下方向に延びる案内孔413が穿設され、揺動部材41は、揺動機構42からの駆動力をこの案内孔413を介して得るようになっている。
【0051】
前記笠部材412は、装填口372を通って落下する廃トナーを前後方向へ振り分ける(振り撒く)ものであり、側面視で上に凸の円弧状を呈して形成されている。かかる笠部材412が前後に揺動することにより、装填口372から落下した廃トナーは、笠部材412の前後の円弧傾斜面に案内されて前後に振り分けられることになる。
【0052】
前記揺動機構42は、仕切り板38から揺動部材本体411へ向けて突設された円柱体421と、この円柱体421の先端(左端)に同心で突設された先端軸422と、この先端軸422回りに回転自在に軸支された揺動ギヤ423とを備えて構成されている。前記円柱体421は、揺動部材本体411が第1貫通軸401上に直立した状態で、円柱体421の軸心が案内孔413の上下方向の中央位置と対向するように仕切り板38に固定されている。
【0053】
前記揺動ギヤ423は、直径が案内孔413の長さ寸法より若干長めに寸法設定されている。かかる揺動ギヤ423の揺動部材本体411との対向面には、左方に向けて突設された円柱状の突片424が突設され、この突片424が摺接状態で案内孔413に嵌挿されている。従って、揺動ギヤ423が先端軸422回りに回転すると、揺動部材本体411は、突片424および案内孔413を介して第1貫通軸401回りに前後に揺動することになる。
【0054】
前記駆動手段43は、図2に示すように、回収装置本体30の左側下部後方において駆動軸431が左右方向に延びるように回収装置本体30に横置きで据え付けられた駆動モータ430と、この駆動モータ430の駆動軸431に同心で一体回転可能に装着された駆動ギヤ432と、この駆動ギヤ432に噛合する当該駆動ギヤ432より大径の第1従動ギヤ433と、この第1従動ギヤ433と同心で一体回転可能に回収装置本体30内に設けられて前記揺動ギヤ423と噛合する第2従動ギヤ434とを備えて構成されている。前記第1および第2従動ギヤ433,434は、前記円柱体421の若干後方位置で当該円柱体421と平行に一対の側板34および各仕切り板38を貫通した状態で設けられた第2貫通軸402に同心で、かつ、一体回転可能に設けられている。
【0055】
かかる駆動手段43によれば、駆動モータ430の駆動は、駆動軸431を介して駆動ギヤ432に伝達され、この駆動ギヤ432の回転は当該駆動ギヤ432と噛合している第1従動ギヤ433に減速状態で伝達され、この第1従動ギヤ433の回転は第2貫通軸402を介して第2従動ギヤ434に伝達され、これによって第2従動ギヤ434に噛合している揺動ギヤ423が先端軸422回りに回転することになる。そして、揺動部材41は、この揺動ギヤ423の先端軸422回りの回転によって突片424および案内孔413を介して第1貫通軸401回りに前後に揺動することになる。
【0056】
図4は、攪拌手段40の作用を説明するための回収装置本体30の側面断面視の説明図であり、(イ)は、揺動ギヤ423の突片424が最上位に位置することにより揺動部材41が直立した状態、(ロ)は、揺動ギヤ423の突片424が前方に位置することにより揺動部材41が前方へ傾倒した状態、(ハ)は、揺動ギヤ423の突片424が最下位に位置することにより揺動部材41が直立した状態、(ニ)は、揺動ギヤ423の突片424が後方に位置することにより揺動部材41が後方へ傾倒した状態をそれぞれ示している。なお、図4におけるYによる方向表示(−Yが前方、+Yが後方)は図2の場合と同様である。
【0057】
まず、図4の(イ)に示すように、揺動ギヤ423の突片424が最上位に位置することにより揺動部材41が直立した状態では、装填口372を介して廃トナー貯留室39内に導入された廃トナーTは、笠部材412によって前後に振り分けられ、網体301を介して廃トナー貯留室39の底部へ落下する。
【0058】
ついで、駆動モータ430(図3)の駆動により第2従動ギヤ434を介して揺動ギヤ423が第1貫通軸401回りに90°回転すると、揺動部材41は、図4の(ロ)に示すように、前方に向けて所定角度で傾倒した状態になり、このとき廃トナーTは、笠部材412を介して廃トナー貯留室39の前方に多く振り撒かれる。
【0059】
引き続き、駆動モータ430の駆動継続により第2従動ギヤ434を介して揺動ギヤ423が第1貫通軸401回りにさらに90°(合計で180°)回転すると、揺動部材41は、図4の(ハ)に示すように、直立した状態に復元し、このとき廃トナーTは、笠部材412を介して廃トナー貯留室39の前後に振り分けられる。
【0060】
さらに、駆動モータ430のさらなる駆動継続により第2従動ギヤ434を介して揺動ギヤ423が第1貫通軸401回りにさらに90°(合計で270°)回転すると、揺動部材41は、図4の(ニ)に示すように、後方に向けて所定角度で傾倒した状態になり、このとき廃トナーTは、笠部材412を介して廃トナー貯留室39の後方に多く振り撒かれる。
【0061】
このように、廃トナーTが廃トナー貯留室39内に導入されつつ揺動部材41が第1貫通軸401回りに前後に揺動することにより、廃トナー貯留室39に導入された廃トナーTは、笠部材412によって前後に振り撒かれるため、廃トナー貯留室39内に落下した廃トナーTが中央部で盛り上がった山形になって偏在するようになるような不都合が確実に防止され、これによって廃トナーTを回収装置本体30内に効率的に詰め込むことができ、回収装置本体30の貯留容量の向上が実現する。
【0062】
以上詳述したように、本発明に係る廃トナー回収装置20は、感光体ドラム121に形成されたトナー像を用紙Pに転写した後の感光体ドラム121に残留した廃トナーTを除去して当該感光体ドラム121を清浄化する各クリーニング装置126・・・,127を備えた画像形成装置10に適用されるものであり、除去された廃トナーTを貯留する回収装置本体30と、この回収装置本体30内に回収された廃トナーTを攪拌する攪拌手段40とを備えて構成され、回収装置本体30の上面には、廃トナーTを装填する装填口372が設けられ、攪拌手段40は、装填口372に対向した位置に設けられて揺動する揺動部材41と、この揺動部材41を揺動させる駆動手段43とを備えて構成されている。
【0063】
かかる構成によれば、各クリーニング装置126・・・,127によって回収された廃トナーTは、装填口372を介して回収装置本体30内に回収されて貯留される。そして、駆動手段43の駆動で揺動部材41を揺動させることにより、装填口372から回収装置本体30内に装填された廃トナーTは、この揺動している揺動部材41に当たって攪拌されつつ揺動方向へ振り分けられるため、廃トナーTが回収装置本体30内で山状に堆積して偏在することが防止され、これによって廃トナーT回収装置の実質的な貯留容量を増加させることができる。
【0064】
また、揺動部材41は、上端が装填口372に臨んだ状態で回収装置本体30の下部に設けられた第1貫通軸401回りに揺動可能に軸支されているため、最も揺動範囲の広い部分である揺動部材41の上端を装填口372に臨ませることが可能になり、その分廃トナーTの前後方向への振り分けを効率的に行なうことが可能になり、廃トナー貯留室39内での廃トナーTの偏在を確実に防止することができる。
【0065】
そして、揺動部材41の頂部には、装填口372から装填された廃トナーTを受けて振り分ける笠状を呈した笠部材412が設けられているため、装填口372から回収装置本体30の廃トナー貯留室39に導入された廃トナーTは、揺動部材41の頂部に設けられた笠部材412によって一旦受けられたのち笠部材412の笠状の傾斜に案内され、これによって当該廃トナーTを揺動方向により効果的に振り分けることができる。
【0066】
これに加えて、本実施形態においては、回収装置本体30内に揺動部材41の揺動を許容する逃し孔302の設けられた網体301が当該回収装置本体30内を上下に仕切った状態で張設され、この網体301に揺動部材41の揺動を案内する逃し孔302が設けられているため、揺動部材41は、この逃し孔302に案内されることによって揺動動作が安定するとともに、装填口372から回収装置本体30内に装填された廃トナーTは、揺動部材41によって攪拌されつつ一旦網体301上に落下し、この網体301上で平準化してから編目を通って回収装置本体30の底部に向けて振り撒かれるため、回収装置本体30内での廃トナーTの偏在がより有効に防止される。
【0067】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0068】
(1)図5は、攪拌手段40の他の実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。この実施形態においては、回収装置本体30の側板(揺動部材41の揺動方向と平行な壁面34)に透明部材である例えばガラス板341で塞がれた覗き窓342が設けられている一方、揺動部材41には、揺動によってガラス板341を払拭する例えばフェルト材等からなる払拭部材414が取り付けられている。
【0069】
かかる構成を採用すれば、覗き窓342を通して回収装置本体30内を視認したり光センサを用いて廃トナーの満量を検知したりすることにより当該回収装置本体30内における廃トナーTの回収状態を確かめるができ便利である。そして、揺動部材41には、揺動によって覗き窓342を覆ったガラス板341を払拭する払拭部材414が取り付けられおり、揺動部材41が揺動する度に覗き窓342のガラス板341が払拭部材414によって払拭されるため、廃トナーTの付着で覗き窓342を通して回収装置本体30内を視認または検知し得なくなるような不都合の発生を確実に防止することができる。
【0070】
(2)上記の実施形態においては、駆動手段43は、駆動モータ430と、駆動ギヤ432と、この駆動ギヤ432に噛合する第1従動ギヤ433と、この第1従動ギヤ433と一体回転する第2従動ギヤ434とで構成されているが、本発明は、駆動手段43をこれら駆動モータ430、駆動ギヤ432、第1従動ギヤ433および第2従動ギヤ434によって構成することに限定されるものではなく、状況に応じてギヤの数を増やしたり、或いはギヤを用いることなく駆動モータ430の駆動軸431を第2貫通軸402に直接連結したり、さらにはウォームギヤ構造を採用するなど、各種の態様を適用することができる。
【0071】
(3)上記の実施形態においては、廃トナー回収装置20が複数の感光体ドラム121を並設してなる、いわゆるタンデム式のカラー印刷用の画像形成装置10に適用されているが、本発明は、廃トナー回収装置20がカラー印刷用の画像形成装置10に適用されることに限定されるものではなく、単色印刷用の画像形成装置に適用してもよい。
【0072】
(4)上記の実施形態においては、振分け部材として笠部材412が適用されているが、本発明は、振分け部材が笠部材412であることに限定されるものではなく、棒状のものや波板など状況に応じて各種の形状のものを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る廃トナー回収装置が適用される画像形成装置の一実施形態を示す正面断面視の説明図である。
【図2】廃トナー回収装置の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】攪拌手段の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、複数の廃トナー貯留室(第1〜第5貯留室)のいずれか1室に設けられたものを代表で示している。
【図4】攪拌手段の作用を説明するための回収装置本体の側面断面視の説明図であり、(イ)は、揺動ギヤの突片が最上位に位置することにより揺動部材が直立した状態、(ロ)は、揺動ギヤの突片が前方に位置することにより揺動部材が前方へ傾倒した状態、(ハ)は、揺動ギヤの突片が最下位に位置することにより揺動部材が直立した状態、(ニ)は、揺動ギヤの突片が後方に位置することにより揺動部材が後方へ傾倒した状態をそれぞれ示している。
【図5】攪拌手段の他の実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
10 画像形成装置 11 装置本体
111 用紙搬送路 112 搬送ローラ対
113 第2転写ローラ 114 排紙搬送路
12 画像形成部 12M マゼンタ用ユニット
12C シアン用ユニット 12Y イエロー用ユニット
12K ブラック用ユニット 121 感光体ドラム(像担持体)
122 現像装置 123 帯電器
124 露光装置 125 転写ベルト
125a 駆動ローラ 125b 従動ローラ
125c 転写ローラ 126 クリーニング装置
127 転写ベルト用クリーニング装置
128 トナーカートリッジ 13 定着部
131 定着ローラ 132 加圧ローラ
14 用紙貯留部 141 用紙トレイ
142 ピックアップローラ 16 画像読取部
161 原稿押え 162 光学系ユニット
163 コンタクトガラス 20 廃トナー回収装置
30 回収装置本体 31 底板
32 前面板 33 背面板
34 側板 35 前方天板
36 後方天板 37 膨出天板
371 頂部天板 372 装填口
38 仕切り板 39 廃トナー貯留室
391〜395 第1〜第5貯留室
40 攪拌手段 401 第1貫通軸
402 第2貫通軸 41 揺動部材
411 揺動部材本体 412 笠部材
413 案内孔 414 払拭部材
42 揺動機構 421 円柱体
422 先端軸 423 揺動ギヤ
424 突片4 43 駆動手段
431 駆動手段 432 駆動ギヤ
433 第1従動ギヤ 434 第2従動ギヤ
P 用紙(被転写体) T 廃トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成されたトナー像を被転写体に転写した後の像担持体に残留した廃トナーを除去して当該像担持体を清浄化するクリーニング装置を備えた画像形成装置に適用される廃トナー回収装置であって、
前記除去された廃トナーを貯留する回収装置本体と、
この回収装置本体内に回収された廃トナーを攪拌する攪拌手段とを備えて構成され、
前記回収装置本体の上面には、廃トナーを装填する装填口が設けられ、
前記攪拌手段は、前記装填口に対向した位置に設けられて揺動する揺動部材と、この揺動部材を揺動させる駆動手段とを備えていることを特徴とする廃トナー回収装置。
【請求項2】
前記揺動部材は、上端が前記装填口に臨んだ状態で前記回収装置本体の下部に設けられた支持軸回りに揺動可能に軸支されていることを特徴とする請求項1記載の廃トナー回収装置。
【請求項3】
前記揺動部材の頂部には、前記装填口から装填された廃トナーを受けて振り分ける振分け部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の廃トナー回収装置。
【請求項4】
前記回収装置本体内には、前記揺動部材の揺動を許容する長孔の設けられた網体が当該回収装置本体内を上下に仕切った状態で張設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の廃トナー回収装置。
【請求項5】
前記回収装置本体には、前記揺動部材の揺動方向と平行な壁面に透明部材で塞がれた覗き窓が設けられている一方、前記揺動部材には、揺動によって前記透明部材を払拭する払拭部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の廃トナー回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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