説明

廃プラスチック材減容装置

【課題】減容のための加熱空気を供給するニクロム線が過熱によって断線することを防止し、廃プラスチック材減容装置の耐久性を向上させる。
【解決手段】処理槽1内の加熱空気の一部は通気管29を介してフード25の内部に吸い出され、活性炭26、ブロワ27および排気口28を介して外部に放出される。これにより、処理槽1の内部の加熱空気の圧力は処理槽1の外の空気の圧力よりも低いから、外気供給管61,62を介して温度の低い外気をダクト22の内部に導入することができ、ニクロム線23aの過熱を防止してその断線を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業場や店舗等において廃棄する発泡スチロール等の廃プラスチック材を加熱空気を用いて加熱し軟化させてその容積を減少させる廃プラスチック材減容装置に関し、より詳しくは、この装置の廃プラスチック材投入口を開閉しても周囲に異臭が拡がることがなく、安全に使用することができ、小型でありながら処理効率が極めて高く、さらには耐久性に優れるように改良する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や市場、スーパーマーケット等の事業場や店舗においては、精密部品や魚介類等の流通に用いた発泡スチロール製の箱やビニール製の梱包材料等を大量に廃棄する必要がある。
ところが、このような廃プラスチック材は嵩が大きくて運搬費用が高くなる反面、売却利益がほとんど期待できないため、リサイクルコストを押し上げる。
そこで、事業場や店舗等においてこのような廃プラスチック材を焼却処理すると、大量の黒煙や異臭、有害な排気ガスが大量に発生して周囲の環境を汚染してしまうばかりでなく、発生する高熱により焼却炉が傷んでしまう。
これにより、廃プラスチック材を加熱空気により加熱し軟化させてその容積を減少させる、廃プラスチック材減容装置が種々提案されている。
【0003】
このとき、廃プラスチック材の減容処理に用いた熱風を回収して再使用することにより熱効率を向上させる技術が、下記特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0004】
また、廃プラスチック材の加熱に用いた加熱空気を循環させつつ脱臭する廃プラスチック材の減容処理方法および装置が下記特許文献3に記載されている。
なお、この「熱可塑性の廃プラスチックの脱臭溶融方法」は「特許第1903171号」として登録されているが、廃プラスチック材の加熱に用いた熱風を熱風発生路に循環させつつ脱臭することは下記特許文献4に記載され、かつ脱臭のためにシーズヒータを用いることは下記特許文献5〜7に記載されていることから、無効要因を含んでいると言わざるを得ない。
【0005】
また、下記特許文献3に記載されている減容装置においては、廃プラスチック材の投入口は溶融炉の縦壁に貫設されており、かつ溶融炉内に配設された前後一対の受箱を出し入れするための開口は溶融炉の前壁および後壁にそれぞれ貫設されている。
【0006】
また、下記特許文献8に記載されている廃プラスチック減容装置においては、処理容器を形成する上壁そのものが投入口を開閉する蓋となっている。
【0007】
また、下記特許文献9に記載されている廃発泡スチロールの分解油化装置においては、減容処理する廃発泡スチロールを蓋の重さによって加熱した金属棒に押し付けることにより廃発泡スチロールを減容する構造となっている。
【0008】
【特許文献1】特開昭56−28687号公報(第1図)
【特許文献2】特開昭64−72811号公報(第1図、発明の効果)
【特許文献3】特開平3−49908号公報(特公平6−24727号公報)
【特許文献4】特公昭64−63110号公報(作用)
【特許文献5】特開昭54−80272号公報
【特許文献6】特開昭55−40041号公報
【特許文献7】特開昭59−22629号公報
【特許文献8】特開平9−155865号公報
【特許文献9】特開平8−231755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献3および上記特許文献8に記載されている廃プラスチック材減容装置においては、投入口の蓋を開放すると溶融炉内の熱風が炉外に排出され、異臭が周囲に漂ってしまう。
【0010】
また、上記特許文献3に記載されている廃プラスチック材減容装置においては、溶融炉の前側の縦壁に投入口が貫設されているため、投入口の蓋を開放する作業者は投入口に接近することになる。
さらに、上記特許文献8に記載されている廃プラスチック材減容装置においては、処理容器を形成する上壁そのものが投入口を開閉する蓋となっているため、この蓋を開けると処理槽内の熱風が一気に放出されて作業者の身体に触れるおそれがある。
【0011】
また、上記特許文献3に記載されている廃プラスチック材減容装置は、減容処理した廃プラスチック材を受容する受箱を、溶融炉の手前側から投入して後方から取り出す構造である。
これにより、この廃プラスチック材減容装置を設置する建屋の壁とこの廃プラスチック材減容装置の後壁との間に隙間を設けなければならず、設置スペースが大きくなってしまう。
【0012】
また、上記特許文献3および上記特許文献8に記載されている廃プラスチック材減容装置は、廃プラスチック材をそのまま処理槽内に投入する形式であるため、廃プラスチック材の表面積を増加させて処理効率を高めることができない。
【0013】
また、処理槽内に加熱空気を供給するために複数の通電ニクロム線を用いるものにおいては、一部のニクロム線が過熱して断線することがある。
【0014】
そこで本発明の目的は、上述した従来技術が有する問題点を解消し、廃プラスチック材を減容するための加熱空気を供給する電気ニクロム線の過熱を防止して、その断線を防止することにより、廃プラスチック材減溶装置の耐久性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決する請求項1に記載の手段は、
加熱空気を用いて廃プラスチック材を加熱し軟化させてその容積を減少させる廃プラスチック材減容装置であって、
前記廃プラスチック材をその内部に密閉可能な処理槽と、
前記処理槽内で前記加熱空気を供給して循環させる加熱空気供給手段と、
前記処理槽内の空気の一部を前記処理槽の外部に排出する排気手段と、
前記加熱空気供給手段の熱源に向かって前記処理槽外の空気を供給する外気供給管と、
を備えることを特徴としている。
なお、前記外気供給管は、前記熱源のうち過熱する部分に向かって前記処理槽外の空気を供給するように配設することができる。
また、前記熱源は、電気加熱ニクロム線とすることができる。
【0016】
すなわち、請求項1に記載した廃プラスチック材減容装置は、加熱空気供給手段の熱源のうち、循環する加熱空気の流れ具合の差異によって過熱気味の熱源に処理槽の外の空気を供給してその過熱を防止する構造である。
これにより、熱源の過熱による早期劣化を防止して、廃プラスチック材減容装置の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、減容のための加熱空気を供給する電気ニクロム線の過熱を防止してその断線を防止できるから、廃プラスチック材減溶装置の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図7を参照し、本発明に係る廃プラスチック材減容装置の各参考例およびその一実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、この廃プラスチック材減容装置に対向する作業者を基準として前後左右上下の各方向を定めるとともに、同一の部分には同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0019】
第1参考例
まず最初に図1乃至図3を参照し、第1参考例の廃プラスチック材減容装置について詳細に説明する。
【0020】
図1に示したように、第1参考例の廃プラスチック材減容装置100は、使用済みの発泡スチロール箱等の廃プラスチック材を減容処理するための処理槽1と、この処理槽1内に加熱空気を供給するための機器類を収納した後側機器収納部2と、処理槽1の投入口を開放したときに排出される加熱空気を吸入し脱臭するための機器類を収納した上側機器収納部3と、この上側機器収納部3の前面に配設された制御盤4とを備えている。
【0021】
図2に示したように、処理槽1は、前壁1a、上壁1b、後壁1cおよび底壁1dからなる略直方体状の箱体の上角部を切り欠いて形成した傾斜壁1gを有しており、かつこの傾斜壁1gに廃プラスチック材を投入するための投入口が貫設されている。
また、傾斜壁1gの上方に上側機器収納部3が配設されているため、この廃プラスチック材減容装置100の全体が縦長の直方体状の空間スペース内にコンパクトに収まっている。
【0022】
また、図2に示したように、処理槽1の傾斜壁1gに貫設されている投入口は蓋体5によって開閉することができる。
このとき、蓋体5は、傾斜壁1gの前端部において左右方向(図2おいて紙面に対し垂直な方向)に水平に延びる支持軸5aによってその基端側5bが揺動自在に軸支されるとともに、蓋体5が手前側に揺動して投入口を開放したときの揺動位置がストッパ5cによって規制されている。
これにより、作業者Wは、投入口を開放しつつ手前側に傾いて停止した蓋体5によって邪魔されて投入口に接近することができない。
したがって、投入口を開放したときに処理槽1内から排出される加熱空気が作業者Wの身体に触れるおそれがなく、かつ投入口の上方に配設されている上側機器収納部3や制御盤4に頭をぶつけることがないから、安全に作業することができる。
【0023】
また、図2に示したように、投入口の下方には投入された廃プラスチック材Pを受け入れるホッパ11が配設されるとともに、さらにその下方には減容処理された廃プラスチック材Pを受け入れるための前側受箱12が配設され、さらにその後方には後側受箱13が並設されている。
【0024】
図3に示したように、処理槽1の前壁1aには受箱12,13を処理槽1内に投入するための投入口が貫設され、かつ処理槽1の右側の側壁1fには受箱12,13を処理槽1内から取り出すための取出口がそれぞれ貫設されている。
そして、処理槽1の前壁1aには投入口を開閉するための蓋体6が上下方向に延びる支軸により揺動自在に軸支されており、かつ処理槽1の右側の側壁1fには取出口を開閉するための蓋体7が上下方向に延びる支軸により揺動自在に軸支されている。
すなわち、この廃プラスチック材減容装置100は、減容処理した廃プラスチック材を受容する空の受箱12を処理槽1の前側から投入するとともに、それ以前に受箱12の位置にあって減容処理した廃プラスチック材で一杯になった受箱13を処理槽1の後部に押し込んで養生させ、次の空の受箱12を前側から投入するときに養生済みの廃プラスチック材で一杯の受箱13を右側に取り出す構造である。
これにより、この廃プラスチック材減容装置100を設置する際には、建屋の隅角部の一方の縦壁W1にこの廃プラスチック材減容装置100の左側の側壁1eを密着させるとともに、他方の縦壁W2にこの廃プラスチック材減容装置100の後面1hを密着させることができるから、設置に必要なスペースを減少させることができる。
【0025】
図2に示したように、後側機器収納部2の底壁1i上には、処理槽1内で加熱空気を循環させるためのブロワ21が配設されている。
このブロワ21は、処理槽1に連通しているステンレスパイプ製のダクト22を介して処理槽1内の空気を吸引し、後側の受箱13上に吹き付ける。
また、図7に示したように、ダクト22内には複数の電気加熱ニクロム線からなるヒータ23が配設されており、ダクト22内を流れる空気を加熱する。
【0026】
これにより、図2中に矢印Aで示したようにブロワ21から後側の受箱13上に吹き付けられた加熱空気は、矢印Bで示したようにホッパ11の下端と前側の受箱12との間を隙間を通ってホッパ11内に入り、ホッパ11内の廃プラスチック材を加熱し軟化させて減容させた後、矢印Cで示したように処理槽1の上部からダクト22内に入り込み、ヒータ23を通って再加熱されつつ処理槽1内を循環する。
【0027】
図2に示したように、上側機器収納部3の前側半分は蓋体5を開いたときに処理槽1から排出される加熱空気を受容するフード25となっている。
また、このフード25の後側には脱臭用の活性炭26が収納され、さらにその後側には常時作動のブロワ27がさらに配設されている。
これにより、蓋体5を開いて投入口を開放したときに処理槽1から放出されて上昇する加熱空気は、矢印Dで示したようにフード25内に上昇した後、矢印Eで示したように活性炭26内に吸入されて脱臭された後、ブロワ27および排気口28を介して矢印Fで示したようにこの廃プラスチック材減容装置100の上方に放出される。
【0028】
また、処理槽1内の加熱空気の一部は、上壁1bを貫通してフード25内に延びる通気管29を介して吸い出され、活性炭26、ブロワ27および排気口28を介して排出されている。
これにより、密閉されている処理槽1の空気が加熱されて膨張したときの処理槽1内の圧力上昇を防止することができる。
また、処理槽1から吸い出した加熱空気を活性炭26で脱臭処理してから排出することができる。
さらに、後述するように、ヒータ23の過熱を防止するための外気を吸引してヒータ23に供給することを可能としている。
【0029】
すなわち、本第1参考例の廃プラスチック材減容装置100は、直方体状の空間内にコンパクトに収まった外形を有して設置スペースを減少させることができるとともに、投入口を開放したときに周囲に異臭が拡がることを防止することができ、さらには安全な処理作業を可能とすることができる
【0030】
また、制御盤4は上側機器収納部3の前面に配設されている。
これにより、制御盤4は温度の高い処理槽1から離れるので制御盤4の過熱を防止することができるとともに、処理槽1から排出される加熱空気に含まれているタール分からも隔絶することができるので、その耐久性を向上させることができる。
また、上側機器収納部3の前面に配設されているので、操作が容易である。
【0031】
第2参考例
次に図4を参照し、第2参考例の廃プラスチック材減溶装置について説明する。
【0032】
図4に示した廃プラスチック材減溶装置110は、処理槽1内に投入された廃プラスチック材を処理槽1の底部に押し込むための押動機構30を、処理槽1の投入口を開閉する蓋体5の裏面に取り付けたものである。
押動機構30は、処理槽1の投入口よりもわずかに小さい面積の鋼製の網板である押動板(押動部材)31と、この押動板31を蓋体5の裏面に接離自在に支持する支持機構とを有している。
【0033】
支持機構は、押動板31の基端31a側の側面に突設されて左右方向に水平に延びる支軸32を揺動自在に軸支する、蓋体5の基端5a側の裏面に突設しているブラケット33と、押動板31の基端31aから先端31b側に離間した位置において押動板31の側面に突設されて左右方向に水平に延びる支軸34によりその基端が揺動自在に軸支された接続リンク35とを有している。
接続リンク35の先端に固定されて左右方向に水平に延びる支軸36は、蓋体5の裏面に固定されたブラケット37に貫設されて蓋体5の裏面と平行に延びる長孔37a内にスライド自在に嵌挿されている。
【0034】
これにより、蓋体5を開いたときには、押動板31は蓋体5の裏面に当接し、P1の位置にある廃プラスチック材を処理槽1の投入口に向かって案内する滑り台の役割を果たす。
蓋体5を閉じ始めると、押動板31は蓋体5から離間しつつ処理槽1内に揺動降下し、処理槽1内に落下してホッパ11に受け止められているP2の位置の廃プラスチック材を、自らの重量により徐々にホッパ11内に押し込む。
押動板31がさらに揺動降下してホッパ11の入口部分に達すると、接続リンク35によって水平に延びる状態に懸架されつつ、廃プラスチック材をP3の位置に押し込む。
このとき、押動板31は網板から形成されているので、加熱空気の循環を妨げることはない。
これにより、ホッパ11内の廃プラスチック材は循環する加熱空気によって加熱されて軟化し、徐々に減溶して受箱12内に受容されたP4の状態となる。
この状態から蓋体5を再び開くと、押動板31は接続リンク35によって蓋体5と一体に引き上げられる。
そして、接続リンク35の先端の支軸36がブラケット37の長孔37a内をスライドすることにより、押動板31は蓋体5の裏面に当接した状態となる。
【0035】
すなわち、本第2参考例の廃プラスチック材減溶装置110は、押動板31によって廃プラスチック材を積極的に処理槽1内に押し込む構造であるから、減溶処理の効率を高めることができる。
【0036】
第3参考例
次に図5を参照し、第3参考例の廃プラスチック材減溶装置について説明する。
【0037】
図5に示した第3参考例の廃プラスチック材減溶装置120は、ホッパ11内に投入された廃プラスチック材を投入方向に切断して廃プラスチック材の表面積を増加させるための切断機構40を備えている。
【0038】
この切断機構40は、ホッパ11の裏面側に突設されて前後方向に互いに対向する一対のブラケット41,41と、これらのブラケット41,41にその両端が接続されて前後方向に水平に延びる電気加熱ワイヤ(切断用線状部材)42との組を、左右方向に5組並べて配設したものである。
ブラケット41がホッパ11の裏面側に設けられており、かつ電気加熱ワイヤ42がホッパ11の壁面を貫通して延びているので、ホッパ11内を徐々に降下する廃プラスチック材Pの降下を妨げることはない。
【0039】
また、電気加熱ワイヤ42は図示されない電気配線を介して供給される電力により、廃プラスチック材P、例えば発泡スチロールの溶融温度より高い温度に加熱されるので、ホッパ11内を徐々に降下しつつあるP3位置の廃プラスチック材を徐々に上下方向に切断することができる。
これにより、廃プラスチック材の表面積が増加するから、ホッパ11内を流れる加熱空気との接触面積が大幅に増加し、廃プラスチック材は効率良く加熱されることになる。
【0040】
すなわち、本第3参考例の廃プラスチック材減溶装置120は、投入口から処理槽1内に投入された廃プラスチック材を電気加熱ワイヤ42によって上下方向に(投入方向)に切断し、廃プラスチック材の表面積を増加させる。
これにより、処理槽1内の廃プラスチック材を加熱空気によって効率良く加熱することができるから、減容処理の効率を大幅に高めることができる。
【0041】
第4参考例
次に図6を参照し、第4参考例の廃プラスチック材減溶装置について説明する。
【0042】
図6に示した第4参考例の廃プラスチック材減溶装置130は、上述した第3参考例の廃プラスチック材減溶装置120の構造を変更し、電気加熱ワイヤを左右方向に往復変位させることによって廃プラスチック材を水平方向に切断するようにしたものである。
【0043】
図6に示したように、ホッパ11内で前後方向に水平に延びる一本の電気加熱ワイヤ51は、ホッパ11の前後において左右方向に延びる前後一対のねじロッド52F,52Rにそれぞれ螺合している前後一対のねじナット53F,53R間に張設されるとともに、ホッパ11の壁面に貫設されて左右方向に水平に延びる長孔11a内に挿通されている。
前側のねじロッド52Fは、駆動モータ54によって正逆両方向に回転駆動される。
同様に、後側のねじロッド52Rは、駆動モータ54から後方に延びる伝達軸55およびギヤボックス56を介して正逆両方向に回転駆動される。
また、前後一対のねじロッド52F,52Rの反対側の端部は軸受57によって回転自在に支持されている。
【0044】
これにより、駆動モータ54を正方向に回転させると電気加熱ワイヤ51は矢印Gで示したように左側(図6(B)において上側)に変位し、駆動モータ54を逆転させると電気加熱ワイヤ51は矢印Hで示したように右側(図6(B)において下側)に変位する。
したがって、制御盤4(図1参照)によって駆動モータ54の回転方向を制御することにより、電気加熱ワイヤ51をホッパ11内で左右方向に往復変位させて、ホッパ11内でP3の位置にある廃プラスチック材を水平方向に切断し、参照符号P4で示したように多数の薄板状ブロックに分割することができる。
【0045】
すなわち、本第4参考例の廃プラスチック材減容装置130は、投入口から処理槽1内に上下方向に投入された廃プラスチック材を電気加熱ワイヤ51によって水平方向に切断し、廃プラスチック材の表面積を大幅に増加させる。
これにより、処理槽1内の廃プラスチック材を加熱空気によって極めて効率良く加熱することができるから、減容処理の効率をより一層高めることができる。
【0046】
本発明の一実施形態
次に図7を参照し、本発明の廃プラスチック材減溶装置の一実施形態について説明する。
【0047】
図7に示した本実施形態の廃プラスチック材減溶装置140は、加熱空気の供給に用いるヒータ23の耐久性を向上させるものであるが、その全体構造は前述した第1参考例の廃プラスチック材減溶装置100と同一である。
そして、加熱空気が循環するステンレス鋼製のダクト22の途中には、処理槽1内の加熱空気よりも温度がかなり低い外気を導入するための外気供給管61,62が取り付けられている。
【0048】
前述したように、処理槽1内の加熱空気の一部は通気管29を介してフード25の内部に吸い出され、活性炭26、ブロワ27および排気口28を介して外部に放出され、処理槽1内の空気の膨張による圧力上昇を防止している。
これにより、処理槽1の内部の加熱空気の圧力は処理槽1の外の空気の圧力よりも低くなっている。
したがって、図7中に矢印Iで示したように外気供給管61,62を介して温度の低い外気をダクト22の内部に導入することができる。
【0049】
一方、ダクト22内を流れる加熱空気は、ヒータ23を構成する複数の電気加熱ニクロム線を支持するブラケットの影響を受け、ヒータ23のある部分では高い速度で流れるが、ある部分では低い速度で流れる。
これにより、加熱空気の流速が低い部分にある電気加熱ニクロム線が過熱気味となり、断線し易い。
【0050】
このとき、本実施形態の廃プラスチック材減溶装置140においては、外気供給管61,62を介して導入される温度の低い外気が過熱気味の電気ニクロム線23aに向かって流れるように外気供給管61,62を配設している。
これにより、電気ニクロム線23aの過熱を防止してその断線を防止することができるから、この廃プラスチック材減溶装置140の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1参考例の廃プラスチック材減容装置の全体斜視図。
【図2】図1に示した装置の構造を示す側面図。
【図3】図1に示した装置における受箱の配置を模式的に示す平面図。
【図4】第2参考例の廃プラスチック材減容装置の構造を模式的に示す側面図。
【図5】第3参考例の廃プラスチック材減容装置の構造を模式的に示す側面図(A)および平面図(B)。
【図6】第4参考例の廃プラスチック材減容装置の構造を模式的に示す側面図(A)および平面図(B)。
【図7】本発明の廃プラスチック材減容装置の一実施形態の構造を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0052】
1 処理槽
2 後側機器収納部
3 上側機器収納部
4 制御盤
5 蓋体
11 ホッパ
12,13 受箱
21 ブロワ
22 ダクト
23 ヒータ
23a 電気加熱ニクロム線
25 フード
26 活性炭(脱臭手段)
27 ブロワ(排気手段)
28 排気口
29 通気管
30 押動機構
31 押動板(押動部材)
35 接続リンク(リンク機構)
40 切断機構
42 電気加熱ワイヤ
51 電気加熱ワイヤ
52F,52R ねじロッド
53F,53R ねじナット
54 駆動モータ
55 伝達軸
56 ギヤボックス
57 軸受
61,62 外気供給管
100 第1参考例の廃プラスチック材減溶装置
110 第2参考例の廃プラスチック材減溶装置
120 第3参考例の廃プラスチック材減溶装置
130 第4参考例の廃プラスチック材減溶装置
140 一実施形態の廃プラスチック材減溶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱空気を用いて廃プラスチック材を加熱し軟化させてその容積を減少させる装置であって、
前記廃プラスチック材をその内部に密閉可能な処理槽と、
前記処理槽内に前記加熱空気を供給して循環させる加熱空気供給手段と、
前記処理槽内の空気の一部を前記処理槽の外部に排出する排気手段と、
前記加熱空気供給手段の熱源に向かって前記処理槽外の空気を供給する外気供給管と、
を備えることを特徴とする廃プラスチック材減容装置。
【請求項2】
前記外気供給管は、前記熱源のうち過熱する部分に向かって前記処理槽外の空気を供給するように配設されることを特徴とする請求項1に記載した廃プラスチック材減容装置。
【請求項3】
前記熱源が電気加熱ニクロム線であることを特徴とする請求項1または2に記載した廃プラスチック材減容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−196691(P2007−196691A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81352(P2007−81352)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【分割の表示】特願2003−96729(P2003−96729)の分割
【原出願日】平成15年3月31日(2003.3.31)
【出願人】(594058322)株式会社ムラオカ鉄工所 (2)
【Fターム(参考)】