説明

廃棄工業用電解質を含む工業用電解質からの銅粉末および銅ナノ粉末を得るための方法

カソード上での金属銅の電気化学的堆積を通した廃棄工業用電解質を含む工業用電解質から銅粉末および銅ナノ粉末を得るための方法は、電流の方向変化なしで、または電流の方向変化ありで定電位パルス電解を使用すること、電流電位範囲のプラトーが−0.2V〜1Vである電流電圧曲線のプラトーに近いか、またはプラトー上のカソード電位値を使用すること、そして金、白金またはステンレススチールワイヤーもしくは箔でできた可動または固定超マイクロ電極または超マイクロ電極の配列をカソードとして使用し、一方金属銅をアノードとして使用し、そしてこの方法が18〜60℃の温度で行われ、そして電解が0.005〜60秒続くことにある。この方法はおよび廃棄工業用電解質から99%+〜99.999%の純度でおよび追加の処理なしで銅産業および電気めっきプラントの廃水から、粒子構造および寸法再現性によって特徴付けられるナノ粉末および粉末を得るために使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、電気めっきプロセス、化学工業、鉱業および溶練業の廃棄物である電解質を含む工業用電解質から銅粉末を得るための方法である。銅電気精錬および電気めっきプロセスからの廃水は、非常に広範な範囲で使用できる。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末は、非常に価値の高い生成物であり、そしてそれらの生産および用途は重要であり、そして開発中の分野である。
【0003】
銅粉末および銅ナノ粉末は、ポリマー、滑剤、染料、抗菌剤およびマイクロプロセッサーの接続への添加剤として使用される。銅またはその合金のナノ粉末は、マイクロエレクトロニクスおよび放射性廃棄物の精製における吸着剤として、ならびに燃料電池中での触媒において使用できる。
【0004】
ナノ粉末は、(少なくとも1つの線寸法において)マイクロメートル未満の金属粒子、金属酸化物または有機錯体であることができる。充分に規定された構造および制御された粒子サイズのナノ粉末の生産は、材料工学の異なる分野において、使用される材料によって実現されることへの要求があるので重要である。
【0005】
銅ナノ粉末を得るために現在の所使用されている方法の一つは、電気化学的還元方法(電着)である。ナノ構造の箔および堆積物の電解製造は、他の特許中に存在する。
【0006】
例えば、中国特許出願公開第1710737/2005号明細書中で、約150nmのサイズの銅ナノ結晶でできた銅箔が、直流電解プロセスで:金属カソード、温度25〜65℃、電解質の流速0.5〜5.0m/秒、カソード電流密度0.5〜5.0A/cmの条件で得られた。電解質は、1〜15mg/lのチオ尿素、1〜15mg/lの動物性にかわ、0.1〜5.0mg/lのクロライドイオンなどの添加物からなっていた。
【0007】
電解方法は、米国特許出願公開第2006/0021878号明細書中に示されている。高硬度および良好な電気伝導度を有する銅を得るために示された方法は、パルス電解からなる。この方法は、0.5〜0.1のpH;電解質−半伝導体純度を有する硫酸銅;金属カソード、アノード−99.99%純度を有する銅、15℃〜30℃の温度;10ミリ秒〜50ミリ秒のカソードパルス時間;1〜3秒の電流スイッチオフ時間;40〜100mA/cmのカソード電流密度の条件で行われた。この溶液は、マグネチックスターラーを使用して混合され、そして0.02ml/1〜0.2ml/1の動物性にかわ、および0.2ml/1〜1ml/1のNaClの添加物からなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
銅ナノ粉末を得るための上記の従来技術の電気化学的方法は、基材(溶液、適当な純度の試薬、還元剤および他の試薬)の費用のかかる調製を必要とするようである。これらの方法は非常に複雑でかつ高価であるので、ナノ粉末市場の価格は非常に高い。
【0009】
低濃度の堆積された元素の工業用電解質からの金属元素の回収の技術的実現可能性および経済的実行可能性を確かにする基礎的条件の一つは、電着したイオンを有する電極に充分な物質移動速度を提供することである。このように、ナノ粉末生産プロセスの速度および効率は増加している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、適当な純度および濃度の電解質を使用すること、および追加の電解質および他の物質を使用することへの必要性の問題を解決する。超マイクロ電極を使用して電流方向の変化ありおよび電流の方向変化なしの定電位パルス電解を電解質溶液が受ける場合、廃水を含む工業用電解質溶液から銅粉末および銅ナノ粉末を得ることができることが予想外に見いだされた。
【0011】
本発明によるカソード上の金属銅の電着を通じて、工業用電解質および廃水から銅粉末および銅ナノ粉末を得るための方法は、電流電位(current potential)範囲のプラトーが−0.2V〜−1Vである図1に示された電流電圧曲線のプラトー(plateau)近傍またはプラトー上のカソード電位値を使用して、電流の方向変化なしでまたは電流の方向変化ありで、定電位パルス電解を、0.01gdm−3より高銅イオン濃度の電解質溶液が受けること、金、白金またはステンレススチールワイヤーもしくは箔でできた可動または固定の超マイクロ電極または超マイクロ電極の配列がカソードとして使用され、一方、金属銅がアノードとして使用されること、そしてこの方法が18〜60℃の温度において行われ、そして電解が0.005秒〜60秒続くことにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、超マイクロ電極における銅イオンの還元のダイアグラムを示し、Eは、銅電極に対しボルトで測定された電位であり、iは、アンペア/cmで測定されたカソードの電流密度である。
【図2】図2は、銅の粉末およびナノ粉末を得るための方法において使用される複数のタイプのパルスを示し、Eはカソードパルス電位であり、Eはアノードパルス電位であり、tはカソードのパルス時間であり、tはアノードのパルス時間である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による方法の利点は、電解質溶液が図2のa)〜d)に示すように定電位電解を受けることにあり、
図2a)は、銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルスを示し、
図2b)は、銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルス、そして次に銅電極に対しtより少なくとも10%少ない時間ta1で0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Ea1でのパルスを示し、
図2c)は、銅電極に対しta0≦tk0の時間で0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Eでのパルス、そして次に銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルスを示し、
図2d)は、銅電極に対しta0≦tの時間で0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Ea0でのパルス、そして次に銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルスであり、そしてtより少なくとも10%短い時間ta1でアノード電位Ea1での次のパルスである。
【0014】
カソードの銅還元プロセスは、この方法が超マイクロ電極または超マイクロ電極の配列を使用することによって達成される電極へのイオン拡散により制御され、そして電流電圧曲線のプラトー近傍またはプラトー上のカソード電位で定電位電解を行う(図1)。この電解プロセスは、電極に適用された一定電位での時間の関数としての電流測定を行うクロノアンペロメトリーを使用して研究できる。
【0015】
この方法において使用されるワイヤーの超マイクロ電極の直径は、1〜100μmであることができる。超マイクロ電極配列の面積を、1×10−6cm〜10000cmで測定できる。プレート形状の超マイクロ電極配列の面積を、1cm〜10000cmで測定できる。
【0016】
可動電極が使用される場合、電解質中にそれらが留まる時間は、1つの電解サイクルの期間に等しい。固定電極が使用される場合、電解質中にそれらが留まる時間は、1つの電解サイクルに等しい。それぞれのサイクルの後で、電極が溶液から除去され、そして新しい電極が電解質溶液中に浸される。
【0017】
電解生成物、すなわち、粉末またはナノ粉末は、不活性ガスもしくは液体のいずれかのジェット流を使用して電極表面から除去されることができ、または粉末またはナノ粉末は、例えば、テフロン(商標)でできた鋭角の収集デバイスを使用して、電極表面から機械的に除去されることができる。
【0018】
該電気化学的方法を使用して、粒子構造および寸法再現性によって特徴付けられる銅粉末および銅ナノ粉末は、廃棄工業用電解質を含む工業用電解質溶液および銅産業および電気めっき工場からの廃水から得られる。99%+〜99.999%純度の銅ナノ粉末を、廃棄工業用電解質および廃水から追加の処理なしで、この方法を使用して得ることができる。これは、著しく低下したコスト、工業用スケールでナノ粉末を得ることを可能にする。この方法を使用して、異なる形、構造および寸法の粉末またはナノ粉末が、電極のサイズ、電極が作られている金属、電解が行われる条件、および特に電解の種類(図2項目a〜d)、温度および電解質中での銅濃度によって得られる。
【0019】
この方法を使用して銅ナノ粉末および粉末を得ることが、例中に示されている。
【実施例】
【0020】
例I
カソードとして機能する直径が10μmの白金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを46gdm−3のCu、170〜200gdm−3のHSO、Ni、As、Fe(>1000mgdm−3)、Cd、Co、Bi、Ca、Mg、Pb、Sb(1mgdm−3〜1000mgdm−3)およびAg、Li、Mn、Pd、Rh(<1mgdm−3)、ならびに動物性にかわおよびチオ尿素(<1mgdm−3)からなる銅電気精錬で使用される工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−BNCコネクターの助けにより、Eco ChemieによるGPESソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するAutolab GSTST30 ポテンショスタットに接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.1秒
【0021】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約250nm長および約50〜70nm幅のチューブの形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、得られた生成物の純度を示す銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0022】
例II
カソードとして機能する直径が10μmの白金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.125秒
【0023】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約600nm長さおよび約60〜120nm幅のチューブの形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0024】
例III
カソードとして機能する直径が100μmの白金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.1秒
【0025】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約200nm〜600nmの粒子直径の大きな結晶の形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0026】
例IV
カソードとして機能する直径が10μmの金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.125秒
【0027】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約150nmの粒子直径大きな結晶の形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0028】
例V
カソードとして機能する直径が40μmの金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.5秒
【0029】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約250〜300nm直径の球形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0030】
例VI
カソードとして機能する直径が40μmの金ワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
a0=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.5V、t=0.1秒
【0031】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が約250〜300nm直径の球形であることが記載された。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0032】
例VII
カソードとして機能する直径が25μmのステンレススチールワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4V、t=0.05秒およびt=0.075秒
【0033】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が球状形であることが記載された。粒子直径は、t=0.05秒では約300nmであり、そしてt=0.075秒では約400nmであった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0034】
例VIII
カソードとして機能する直径が25μmのステンレススチールワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.45V、t=0.05秒およびt=0.075秒
【0035】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が球状形であることが記載された。粒子直径は、t=0.05秒では約200nmであり、そしてt=0.075秒では約550nmであった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0036】
例IX
カソードとして機能する直径が25μmのステンレススチールワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に配置された46gdm−3のCu含有量を有する例I中のような工業用電解質中に浸した。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
Ea=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.5V、t=0.05秒およびt=0.075秒
【0037】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が球状形であることが記載された。粒子直径は、t=0.05秒では約600〜700nmであり、そしてt=0.075では約700〜800nmであった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0038】
例X
カソードとして機能する直径が25μmのステンレススチールワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを例Iで与えられた組成物の銅電気精錬で使用した工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。プロセスパラメーターは次のようであった:
=0.6V、ta0=0.1秒、E=−0.4VおよびE=−0.45V、t=0.1秒
【0039】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が明確な構造の球形であることが記載された。粒子直径は、200〜1200nmの範囲であった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0040】
例XI
約1cmの面積のステンレススチール板のカソードおよび面積3cmおよび厚さ0.1cmの形態のアノードを、例Iで与えられた組成物の工業用電解質中に浸した。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
=−0.4V、t=1秒、t=15秒、t=30秒、t=60秒。
【0041】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が明確な構造の球形であることが記載された。得られた凝集体のサイズは、それぞれ:次の時間60、30、15、1秒で、それぞれ約5〜10μm、2.5〜3μm、1〜2μm、0.2〜0.5μmであった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。
【0042】
例XII
カソードとして機能する直径が25μmのステンレススチールワイヤーワーキング超マイクロ電極、および面積が0.3cmかつ厚みが0.1cmの銅板の形態の参照電極(アノード)を、25℃までに自動温度調節した電気化学セル中に置いた。このセルを0.189gdm−3のCu、170〜200gdm−3のHSO、Ni、As、Fe(>1000mgdm−3)、Cd、Co、Bi、Ca、Mg、Pb、Sb(1mgdm−3〜1000mgdm−3)およびAg、Li、Mn、Pd、Rh(<1mgdm−3)、ならびに動物性にかわおよびチオ尿素から成る銅電気精錬で使用された使用済みの工業用電解質で満たした。この電極を、測定機器−特別なソフトウェアを有するパーソナルコンピューター(PC)とオンラインで作動するポテンショスタットと接続した。
プロセスパラメーターは次のようであった:
=−0.40V、t=0.5秒
【0043】
電極への銅の電気化学的堆積の後で、堆積した粉末の構造および寸法を、走査電子顕微鏡を使用して研究し、そして得られた堆積物が明確な構造の球形であることが記載された。粒子直径は、350nm〜2.5μmの範囲であった。エネルギー分散体スペクトル(EDS)の分析に基づいて、銅の特徴的なラインのみが存在することが記載された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード上の銅の電気化学的堆積を通じて、廃棄工業用電解質を含む工業用電解質から銅粉末および銅ナノ粉末を得るための方法であって、0.01gm−3超の銅イオン濃度の該電解質溶液が、電流の方向変化なしか、または電流の方向変化ありで、定電位パルス電解を受け、電流電位範囲のプラトーが−0.2V〜−1Vである図1に示された電流電圧曲線のプラトー近傍また該プラトー上のカソード電位値を使用して、金、白金またはステンレススチールワイヤーもしくは箔でできた可動または固定超マイクロ電極または超マイクロ電極の配列がカソードとして使用され、一方金属銅がアノードとして使用され、そして該方法が18〜60℃の温度で行われ、そして該電解が0.005〜60秒続くことを特徴とする、方法。
【請求項2】
該電解質溶液が、図2のa)〜d)に示された定電位電解を受けることであって、
図2a)が、銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルスを示し、
図2b)が、銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルス、そして次に銅電極に対し時間tより少なくとも10%短い時間ta1で0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Ea1でのパルスを示し、
図2c)が、銅電極に対し時間ta0≦tで0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Ea0でのパルス、そして次に銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルスを示し、
図2d)が、銅電極に対し時間ta0≦tで0.0V〜+1.0Vの範囲のアノード電位Ea0でのパルス、そして次に銅電極に対し0.005秒〜60秒の時間tで−0.2V〜−1.0Vの範囲のカソード電位Eでのパルス、そして次にtより少なくとも10%短い時間ta1でアノード電位Ea1でのパルスを示す、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−520941(P2012−520941A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500733(P2012−500733)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/PL2010/000022
【国際公開番号】WO2010/107328
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511228403)
【Fターム(参考)】