廃棄物処分場におけるゴミ処理工法及びゴミ処理工法用掘削ヘッド
【課題】廃棄物処分場において無排出の圧密孔を掘削形成し、前記圧密の掘削孔に表層ゴミを充填して処理することで、廃棄処分場全体のゴミの容積を減らす工法の実施に際しての効率化を実現する。
【解決手段】大径のケーシング11の先端に、先端部が逆円錐台形状で、周面に掘削ビット126を付設した螺旋状の掘削突条125を有し、軸部が押し上げ用の螺旋羽根127と複数周設した圧密板128とを備えた掘削ビット126を装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、掘削孔を無排出で形成する掘削工と、掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施する。
【解決手段】大径のケーシング11の先端に、先端部が逆円錐台形状で、周面に掘削ビット126を付設した螺旋状の掘削突条125を有し、軸部が押し上げ用の螺旋羽根127と複数周設した圧密板128とを備えた掘削ビット126を装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、掘削孔を無排出で形成する掘削工と、掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場において掘削孔を形成し、当該掘削孔に表層ゴミを投入して、ゴミの減容を実現するゴミ処理工法、及び前記の工法に使用される掘削ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物等のうち再利用されない廃棄物(ゴミ)は、廃棄物処分場に投棄しているもので、投棄は単に従前のゴミの上になされ、ゴミが順次積層されていくものである。放置しておくと自重による自然の圧縮以外に減容がなされない。このため処分場が満杯になると別の処分場を探さなければならない。
【0003】
そこで従前より特許3060045号公報(特許文献1)、特許3476413号公報(特許文献2)、特開2006−15262号公報(特許文献3)に開示されているとおり、廃棄物処分場において無排出の圧密孔を掘削形成し、前記圧密の掘削孔に表層ゴミを充填して処理することで、廃棄処分場全体のゴミの容積を減らす手段が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許3060045号公報。
【特許文献2】特許3476413号公報。
【特許文献3】特開2006−15262号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の特許文献1に開示されているゴミ減容の具体的手段は、回転方向に螺旋状に上昇するように設ける掘削土砂圧密形オーガを使用して無排出掘削孔を形成した後、前記オーガを逆転させながら孔口からゴミを投入し、オーガを引き抜きながら掘削孔内へのゴミ充填を行なっている。
【0006】
前記処理工法は、掘削孔内にオーガ軸が存在する状態で、掘削孔へのゴミの投入がなされ、孔底への通過断面が狭く、ゴミ投入が効率的になされないし、また掘削孔内におけるゴミの圧密も掘削ビットで行なうために、粉砕状態のゴミでなければ掘削孔への投入ができないという制限を受け、全体的に作業能率の点で課題がある。
【0007】
また掘削ヘッドの構造は、螺旋羽根の先端に略横一線位置で掘削ビットを設けているもので、地盤掘削と異なり集積状態のゴミは必ずしも粉砕する必要が無いので、掘削ビットによるゴミ粉砕掘削は、省エネの点で課題を有する。
【0008】
また特許文献2記載のゴミ減容の具体的手段は、圧密コテを周面に設けたケーシングと、このケーシング内を通し且つ先端から突出する掘削ヘッドを有する掘削ロッドとからなる掘削装置を使用し、ケーシングの圧密コテで無排出掘削を行い、掘削部(掘削ヘッド及び掘削ロッド)のみを一旦引き抜き、孔壁を保護するケーシングを残した状態でケーシング内に表層ゴミを投入し、後にケーシングを引き抜くものである。
【0009】
前記の処理工法は、ケーシングと掘削部の二重構造を採用するもので、装置的に煩雑な構造となり、装置コストの点で問題があり、またケーシングの引き抜き作業においても、ケーシングの内外共にゴミが圧密状態で存在することになり、大きな抵抗を受けるケーシングの引き抜き作業が必要であり、やはり作業能率の点で問題がある。
【0010】
特許文献3記載のゴミ減容の具体的手段は、ゴミ集積箇所に所定のオーガを用いて無排出掘削孔(圧密孔)を形成した後、オーガを引き抜いた当該掘削孔に、孔壁を保護するために外周面が平滑なケーシングを立て込み、ケーシング内にゴミを投入充填しながら若しくは充填後にケーシングの引き抜きを行ってなることが記載されているが、掘削孔形成とケーシング立て込み及びえ引抜作業が必要となり、効率的な作業とはいえない。
【0011】
また掘削ヘッドは、逆円錐ヘッドに螺旋羽根を設けた捻じ込み方式が採用されているが、大型ゴミが埋蔵されているような場合には、掘削孔の穿孔作業が困難になってしまう虞もある。
【0012】
そこで本発明は、作業能率に優れた廃棄物処分場におけるゴミ処理工法及び前記処理工法に採用される掘削ヘッドを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る廃棄物処分場におけるゴミ処理工法に使用する掘削ヘッドは、先端部が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条を設けると共に、前記掘削突条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明に係る廃棄物処分場におけるゴミ処理工法は、ゴミ集積状態の廃棄物処分場において、φ1000以上のケーシングの先端部分に、前記掘削ビットをケーシングと一体となるように装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、所望の深さの掘削孔を無排出で形成する掘削工と、前記掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施するもので、掘削孔を所定間隔で穿孔しながら前記掘削工と埋め戻し工を順次繰り返した一次施工の後に、一次施工の掘削箇所の間を掘削工及び埋め戻し工を実施する二次施工を行なってなることを特徴とするものである。
【0015】
而して掘削ヘッドを装着したケーシングを抱持回転させる掘削装置でゴミ集積箇所を掘削すると、掘削ヘッドの掘削突条によって回転力が掘削推進力に変換され、特に粉砕を必要とする以外には、ゴミ集積箇所を押し広げながら掘進し、ゴミは圧密板で連続的に孔壁に押圧され、更に掘進中はケーシングによって圧密孔壁が維持されることになる。このためケーシングを引き抜いても直ぐに孔壁が崩落することが無いので、崩落前に表層ゴミを掘削孔に投入し、且つウエイトで填圧することで、集積ゴミの減容が図られるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記のとおりであるから、ゴミ集積所である廃棄物処分場において、集積ゴミの減容処理が、ゴミの粉砕掘削とせずに、原則的に押し広げ掘削を行なうものであるから、掘削作業が効率的になされる。また従来の減容作業のように孔壁保護のケーシングを残したままのゴミ埋め戻しを行なわないので、内外にゴミが圧密状態で存在するケーシング引き抜き作業という無駄な作業を行なうことなく、且つ大径の掘削孔を穿つと共に、既存の大型土木機械を使用することで効率的な作業を実現したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明工法の実施の形態について説明する。本発明の実施装置は、掘削体1と、掘削装置2と、バックホー3と、クレーン装置4で構成される。
【0018】
掘削体1は、ケーシング11と掘削ヘッド12とで構成され、ケーシング11が、外周表面が平滑なφ1500mm(若しくはφ1000mmの規格管)の中空二重管(内筒部と外筒部の間に格子状のリブが設けられている既知のもの)で、上下端に差し込み連繋可能とした嵌合連結部111を形成して、掘削ヘッド12や継ぎ足されるケーシング11aを連結して所望の長さに形成できるものである。
【0019】
掘削ヘッド12は、先端部121と、軸部122と、基部123と、噴射管124とで構成され、先端部121が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条125を設けると共に、前記掘削突条125の先端及び途中に掘削ビット126を設けてなる。
【0020】
軸部122は、先端部121の上方に連続するもので、掘削孔A(ケーシング11の外径と一致)と対応する押し上げ用の螺旋羽根127と、螺旋羽根127の上方に回転方向終端側が掘削孔Aと対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板128との組み合わせを上下2段に備えてなり、基部123は、軸部上方に連続するものでケーシング11との連結構造を備えてなる。
【0021】
噴射管124は、掘削ヘッド12の内部に配設したもので、先端部121の先端中央を開口し、前記開口部に噴射口を設け、上端に配管連結部を設けてなり、配管連結部には、ケーシング11内を通過する配管を設け、掘削に際して必要とする液体(例えば掘削ビットの摩擦熱冷却のために水、ゴミ集積層が柔かく孔壁形成が困難と認められた場合のセメント液・ベントナイト液)を適宜噴射するためのものである。
【0022】
掘削装置2は、エクセル機と称される既存の装置で、前記ケーシング11を抱持して回転掘削する掘進機構21を備えたものである。またバックホー3と、クレーン装置4は、周知の既存機器を使用する。
【0023】
次に前記実施装置を使用して本発明工法(施工作業)の実施について説明する。施工は掘削工と埋め戻し工を実施するもので、掘削工は、ケーシング11の頂部に掘削ヘッド12を連結固定し、クレーン装置4で吊り上げて掘削装置2の掘進機構21に装着し、掘削孔Aの掘穿予定位置a1において掘削を開始する(図2)。
【0024】
掘削は掘削体1を回転させて、掘削ヘッド12の掘削突条125の作用で集積ゴミA内に捻り込みながら集積ゴミBを押し広げて掘進すると共に、掘進によって圧密板128で連続的に孔壁が押圧されて圧密状態となり、更に掘削の進行に伴なって、ケーシング11によって圧密孔壁が維持される。
【0025】
特に先端部121が、その頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条125を設けているので、回転力が強い掘削推進力となり、掘削作業が効率的になされる。また掘進に際して硬いゴミ部分が存在した場合には、掘削ビット126で粉砕され、粉砕片は、螺旋羽根127で上方に運ばれながら圧密板128で連続的に孔壁に押圧されることになる(図3)。
【0026】
掘削がある程度進行すると、ケーシング11に次段のケーシング11aをクレーン装置4で吊り上げて連結し(図4)、更に掘削を行なう。尚掘削は、廃棄物処分場の隔離シートCを突き破らないよう一定の深さまで掘削を行なう。
【0027】
所定の深さまで掘削が進行すると掘削を終了し、ケーシング11aを吊り上げ除去し、掘削体1を引上げ、前記の掘削孔Aの孔壁の崩落に影響しない程度は離れた次の掘削予定位置a2に移動して、次の掘削工を実施する。
【0028】
埋め戻し工は、掘削工終了直後に行なうもので、掘削孔Aは、掘削工の終了直前までケーシング11,11aによって圧密孔壁が維持されるので、ケーシング11,11aを引き抜いても孔壁が直ぐに崩落することが無い。そこでバックホー3で表層ゴミbを集積箇所から掻き寄せ、掬い取って掘削孔A内に投入する(図7)。
【0029】
更にクレーン装置4で吊下げたウエイトDで投入ゴミb1を填圧し(図8)、できるだけ大量の表層ゴミbを掘削孔Aに埋め戻す。この埋め戻し工の実施中に次の掘削工を行い、掘削工及び埋め戻し工を、廃棄処分場の所望の範囲で順次実施する(一次施工:図9)。
【0030】
次に一次施工を終了すると、一次施工の掘削箇所の間に掘削孔Aを掘穿する掘削工、及び埋め戻し工を順次行なう二次施工を実施し、廃棄物処分場の集積ゴミBを大きく減容するものである。勿論掘削工の間隔を大きく取って、三次、四次の施工を行うようにしても良い。
【0031】
特に掘削ヘッド以外は既存の土木機器を使用することで、施工コストの低廉化が図られ、且つ無駄な作業を行なうことなく、大径の掘削孔への表層ゴミの充填を速やかに行うことで、作業能率の向上も図られたものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の掘削ヘッドの実施形態の説明図で、(イ)は正面図(ロ)は軸部の断面図。
【図2】本発明工法の作業工程の説明図(掘削工前)。
【図3】同の作業工程の説明図(掘削開始時)。
【図4】同の作業工程の説明図(掘削継続・ケーシング継ぎ足し)。
【図5】同の作業工程の説明図(掘削終了時)。
【図6】同の作業工程の説明図(掘削体の引き抜き作業)。
【図7】同の作業工程の説明図(次の掘削開示と埋め戻し工の開始)。
【図8】同の作業工程の説明図(埋め戻し工の填圧作業)。
【図9】同の作業工程の説明図(一次施工終了時)。
【図10】同の作業工程の説明図(二次施工の作業状態)。
【図11】同の作業工程の説明図(二次施工の終了時)。
【符号の説明】
【0033】
1 掘削体
11 ケーシング
11a 次段ケーシング
111 嵌合連結部
12 掘削ヘッド
121 先端部
122 軸部
123 基部
124 噴射管
125 掘削突条
126 掘削ビット
127 螺旋羽根
128 圧密板
2 掘削装置
21 掘進機構
3 バックホー
4 クレーン装置
A 掘削孔
B 集積ゴミ
C 隔離シート
D ウエイト
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場において掘削孔を形成し、当該掘削孔に表層ゴミを投入して、ゴミの減容を実現するゴミ処理工法、及び前記の工法に使用される掘削ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物等のうち再利用されない廃棄物(ゴミ)は、廃棄物処分場に投棄しているもので、投棄は単に従前のゴミの上になされ、ゴミが順次積層されていくものである。放置しておくと自重による自然の圧縮以外に減容がなされない。このため処分場が満杯になると別の処分場を探さなければならない。
【0003】
そこで従前より特許3060045号公報(特許文献1)、特許3476413号公報(特許文献2)、特開2006−15262号公報(特許文献3)に開示されているとおり、廃棄物処分場において無排出の圧密孔を掘削形成し、前記圧密の掘削孔に表層ゴミを充填して処理することで、廃棄処分場全体のゴミの容積を減らす手段が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許3060045号公報。
【特許文献2】特許3476413号公報。
【特許文献3】特開2006−15262号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の特許文献1に開示されているゴミ減容の具体的手段は、回転方向に螺旋状に上昇するように設ける掘削土砂圧密形オーガを使用して無排出掘削孔を形成した後、前記オーガを逆転させながら孔口からゴミを投入し、オーガを引き抜きながら掘削孔内へのゴミ充填を行なっている。
【0006】
前記処理工法は、掘削孔内にオーガ軸が存在する状態で、掘削孔へのゴミの投入がなされ、孔底への通過断面が狭く、ゴミ投入が効率的になされないし、また掘削孔内におけるゴミの圧密も掘削ビットで行なうために、粉砕状態のゴミでなければ掘削孔への投入ができないという制限を受け、全体的に作業能率の点で課題がある。
【0007】
また掘削ヘッドの構造は、螺旋羽根の先端に略横一線位置で掘削ビットを設けているもので、地盤掘削と異なり集積状態のゴミは必ずしも粉砕する必要が無いので、掘削ビットによるゴミ粉砕掘削は、省エネの点で課題を有する。
【0008】
また特許文献2記載のゴミ減容の具体的手段は、圧密コテを周面に設けたケーシングと、このケーシング内を通し且つ先端から突出する掘削ヘッドを有する掘削ロッドとからなる掘削装置を使用し、ケーシングの圧密コテで無排出掘削を行い、掘削部(掘削ヘッド及び掘削ロッド)のみを一旦引き抜き、孔壁を保護するケーシングを残した状態でケーシング内に表層ゴミを投入し、後にケーシングを引き抜くものである。
【0009】
前記の処理工法は、ケーシングと掘削部の二重構造を採用するもので、装置的に煩雑な構造となり、装置コストの点で問題があり、またケーシングの引き抜き作業においても、ケーシングの内外共にゴミが圧密状態で存在することになり、大きな抵抗を受けるケーシングの引き抜き作業が必要であり、やはり作業能率の点で問題がある。
【0010】
特許文献3記載のゴミ減容の具体的手段は、ゴミ集積箇所に所定のオーガを用いて無排出掘削孔(圧密孔)を形成した後、オーガを引き抜いた当該掘削孔に、孔壁を保護するために外周面が平滑なケーシングを立て込み、ケーシング内にゴミを投入充填しながら若しくは充填後にケーシングの引き抜きを行ってなることが記載されているが、掘削孔形成とケーシング立て込み及びえ引抜作業が必要となり、効率的な作業とはいえない。
【0011】
また掘削ヘッドは、逆円錐ヘッドに螺旋羽根を設けた捻じ込み方式が採用されているが、大型ゴミが埋蔵されているような場合には、掘削孔の穿孔作業が困難になってしまう虞もある。
【0012】
そこで本発明は、作業能率に優れた廃棄物処分場におけるゴミ処理工法及び前記処理工法に採用される掘削ヘッドを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る廃棄物処分場におけるゴミ処理工法に使用する掘削ヘッドは、先端部が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条を設けると共に、前記掘削突条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
また本発明に係る廃棄物処分場におけるゴミ処理工法は、ゴミ集積状態の廃棄物処分場において、φ1000以上のケーシングの先端部分に、前記掘削ビットをケーシングと一体となるように装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、所望の深さの掘削孔を無排出で形成する掘削工と、前記掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施するもので、掘削孔を所定間隔で穿孔しながら前記掘削工と埋め戻し工を順次繰り返した一次施工の後に、一次施工の掘削箇所の間を掘削工及び埋め戻し工を実施する二次施工を行なってなることを特徴とするものである。
【0015】
而して掘削ヘッドを装着したケーシングを抱持回転させる掘削装置でゴミ集積箇所を掘削すると、掘削ヘッドの掘削突条によって回転力が掘削推進力に変換され、特に粉砕を必要とする以外には、ゴミ集積箇所を押し広げながら掘進し、ゴミは圧密板で連続的に孔壁に押圧され、更に掘進中はケーシングによって圧密孔壁が維持されることになる。このためケーシングを引き抜いても直ぐに孔壁が崩落することが無いので、崩落前に表層ゴミを掘削孔に投入し、且つウエイトで填圧することで、集積ゴミの減容が図られるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記のとおりであるから、ゴミ集積所である廃棄物処分場において、集積ゴミの減容処理が、ゴミの粉砕掘削とせずに、原則的に押し広げ掘削を行なうものであるから、掘削作業が効率的になされる。また従来の減容作業のように孔壁保護のケーシングを残したままのゴミ埋め戻しを行なわないので、内外にゴミが圧密状態で存在するケーシング引き抜き作業という無駄な作業を行なうことなく、且つ大径の掘削孔を穿つと共に、既存の大型土木機械を使用することで効率的な作業を実現したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明工法の実施の形態について説明する。本発明の実施装置は、掘削体1と、掘削装置2と、バックホー3と、クレーン装置4で構成される。
【0018】
掘削体1は、ケーシング11と掘削ヘッド12とで構成され、ケーシング11が、外周表面が平滑なφ1500mm(若しくはφ1000mmの規格管)の中空二重管(内筒部と外筒部の間に格子状のリブが設けられている既知のもの)で、上下端に差し込み連繋可能とした嵌合連結部111を形成して、掘削ヘッド12や継ぎ足されるケーシング11aを連結して所望の長さに形成できるものである。
【0019】
掘削ヘッド12は、先端部121と、軸部122と、基部123と、噴射管124とで構成され、先端部121が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条125を設けると共に、前記掘削突条125の先端及び途中に掘削ビット126を設けてなる。
【0020】
軸部122は、先端部121の上方に連続するもので、掘削孔A(ケーシング11の外径と一致)と対応する押し上げ用の螺旋羽根127と、螺旋羽根127の上方に回転方向終端側が掘削孔Aと対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板128との組み合わせを上下2段に備えてなり、基部123は、軸部上方に連続するものでケーシング11との連結構造を備えてなる。
【0021】
噴射管124は、掘削ヘッド12の内部に配設したもので、先端部121の先端中央を開口し、前記開口部に噴射口を設け、上端に配管連結部を設けてなり、配管連結部には、ケーシング11内を通過する配管を設け、掘削に際して必要とする液体(例えば掘削ビットの摩擦熱冷却のために水、ゴミ集積層が柔かく孔壁形成が困難と認められた場合のセメント液・ベントナイト液)を適宜噴射するためのものである。
【0022】
掘削装置2は、エクセル機と称される既存の装置で、前記ケーシング11を抱持して回転掘削する掘進機構21を備えたものである。またバックホー3と、クレーン装置4は、周知の既存機器を使用する。
【0023】
次に前記実施装置を使用して本発明工法(施工作業)の実施について説明する。施工は掘削工と埋め戻し工を実施するもので、掘削工は、ケーシング11の頂部に掘削ヘッド12を連結固定し、クレーン装置4で吊り上げて掘削装置2の掘進機構21に装着し、掘削孔Aの掘穿予定位置a1において掘削を開始する(図2)。
【0024】
掘削は掘削体1を回転させて、掘削ヘッド12の掘削突条125の作用で集積ゴミA内に捻り込みながら集積ゴミBを押し広げて掘進すると共に、掘進によって圧密板128で連続的に孔壁が押圧されて圧密状態となり、更に掘削の進行に伴なって、ケーシング11によって圧密孔壁が維持される。
【0025】
特に先端部121が、その頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突条125を設けているので、回転力が強い掘削推進力となり、掘削作業が効率的になされる。また掘進に際して硬いゴミ部分が存在した場合には、掘削ビット126で粉砕され、粉砕片は、螺旋羽根127で上方に運ばれながら圧密板128で連続的に孔壁に押圧されることになる(図3)。
【0026】
掘削がある程度進行すると、ケーシング11に次段のケーシング11aをクレーン装置4で吊り上げて連結し(図4)、更に掘削を行なう。尚掘削は、廃棄物処分場の隔離シートCを突き破らないよう一定の深さまで掘削を行なう。
【0027】
所定の深さまで掘削が進行すると掘削を終了し、ケーシング11aを吊り上げ除去し、掘削体1を引上げ、前記の掘削孔Aの孔壁の崩落に影響しない程度は離れた次の掘削予定位置a2に移動して、次の掘削工を実施する。
【0028】
埋め戻し工は、掘削工終了直後に行なうもので、掘削孔Aは、掘削工の終了直前までケーシング11,11aによって圧密孔壁が維持されるので、ケーシング11,11aを引き抜いても孔壁が直ぐに崩落することが無い。そこでバックホー3で表層ゴミbを集積箇所から掻き寄せ、掬い取って掘削孔A内に投入する(図7)。
【0029】
更にクレーン装置4で吊下げたウエイトDで投入ゴミb1を填圧し(図8)、できるだけ大量の表層ゴミbを掘削孔Aに埋め戻す。この埋め戻し工の実施中に次の掘削工を行い、掘削工及び埋め戻し工を、廃棄処分場の所望の範囲で順次実施する(一次施工:図9)。
【0030】
次に一次施工を終了すると、一次施工の掘削箇所の間に掘削孔Aを掘穿する掘削工、及び埋め戻し工を順次行なう二次施工を実施し、廃棄物処分場の集積ゴミBを大きく減容するものである。勿論掘削工の間隔を大きく取って、三次、四次の施工を行うようにしても良い。
【0031】
特に掘削ヘッド以外は既存の土木機器を使用することで、施工コストの低廉化が図られ、且つ無駄な作業を行なうことなく、大径の掘削孔への表層ゴミの充填を速やかに行うことで、作業能率の向上も図られたものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の掘削ヘッドの実施形態の説明図で、(イ)は正面図(ロ)は軸部の断面図。
【図2】本発明工法の作業工程の説明図(掘削工前)。
【図3】同の作業工程の説明図(掘削開始時)。
【図4】同の作業工程の説明図(掘削継続・ケーシング継ぎ足し)。
【図5】同の作業工程の説明図(掘削終了時)。
【図6】同の作業工程の説明図(掘削体の引き抜き作業)。
【図7】同の作業工程の説明図(次の掘削開示と埋め戻し工の開始)。
【図8】同の作業工程の説明図(埋め戻し工の填圧作業)。
【図9】同の作業工程の説明図(一次施工終了時)。
【図10】同の作業工程の説明図(二次施工の作業状態)。
【図11】同の作業工程の説明図(二次施工の終了時)。
【符号の説明】
【0033】
1 掘削体
11 ケーシング
11a 次段ケーシング
111 嵌合連結部
12 掘削ヘッド
121 先端部
122 軸部
123 基部
124 噴射管
125 掘削突条
126 掘削ビット
127 螺旋羽根
128 圧密板
2 掘削装置
21 掘進機構
3 バックホー
4 クレーン装置
A 掘削孔
B 集積ゴミ
C 隔離シート
D ウエイト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突出条を設けると共に、前記掘削突出条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えてなることを特徴とするゴミ処理工法用掘削ヘッド。
【請求項2】
先端部中央を開口し、前記開口部に噴射口を設けた上端に配管連結部を設けた噴射管を備えてなる請求項1記載のゴミ処理工法用掘削ヘッド。
【請求項3】
ゴミ堆積状態の廃棄物処分場において、φ1000以上のケーシングの先端部分に、先端部が逆円錐台形状で、周面に螺旋状の掘削突出条を設けると共に、前記掘削突出条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、前記先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えた掘削ビットをケーシングと一体となるように装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、所望の深さの掘削孔を無排出で形成する掘削工と、前記掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施するもので、掘削孔を所定間隔で穿孔しながら前記掘削工と埋め戻し工を順次繰り返した一次施工の後に、一次施工の掘削箇所の間を掘削工及び埋め戻し工を実施する二次施工を行なってなることを特徴とする廃棄物処分場におけるゴミ処理工法。
【請求項1】
先端部が、頂角が約45度の逆円錐台形状で、先端から逆円錐台終端までに約90度捻る掘削突出条を設けると共に、前記掘削突出条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えてなることを特徴とするゴミ処理工法用掘削ヘッド。
【請求項2】
先端部中央を開口し、前記開口部に噴射口を設けた上端に配管連結部を設けた噴射管を備えてなる請求項1記載のゴミ処理工法用掘削ヘッド。
【請求項3】
ゴミ堆積状態の廃棄物処分場において、φ1000以上のケーシングの先端部分に、先端部が逆円錐台形状で、周面に螺旋状の掘削突出条を設けると共に、前記掘削突出条の先端及び途中に掘削ビットを設けてなり、前記先端部の上方に連続する軸部が、掘削孔と対応する押し上げ用の螺旋羽根と、螺旋羽根の上方に回転方向終端側が掘削孔と対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方へ一部が重なる高さに複数周設した圧密板とを備え、軸部上方に連続する基部が、掘削孔と一致するケーシングとの連結構造を備えた掘削ビットをケーシングと一体となるように装着し、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、所望の深さの掘削孔を無排出で形成する掘削工と、前記掘削工の後直ちに掘削孔に表層ゴミをバックホーによって掻き寄せ投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入ゴミを填圧して掘削孔に表層ゴミを満たす埋め戻し工とを実施するもので、掘削孔を所定間隔で穿孔しながら前記掘削工と埋め戻し工を順次繰り返した一次施工の後に、一次施工の掘削箇所の間を掘削工及び埋め戻し工を実施する二次施工を行なってなることを特徴とする廃棄物処分場におけるゴミ処理工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−302273(P2008−302273A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150081(P2007−150081)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000155034)株式会社本間組 (15)
【出願人】(502126921)株式会社エムエルティーソイル (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000155034)株式会社本間組 (15)
【出願人】(502126921)株式会社エムエルティーソイル (7)
【Fターム(参考)】
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