説明

廃棄粉体回収装置

【課題】廃棄粉体回収装置において、廃棄粉体を容器に効率的に収容でき、廃棄粉体の滞留や収容量の誤検出などの不具合を極力回避すること。
【解決手段】廃トナー及び/又は廃現像剤を含む廃棄粉体を複数の排出口45a〜45d,46a〜46d,47から落下させて回収容器50へ収容する廃棄粉体回収装置。回収容器50には、ほぼ中央部に収容量を検出する検出手段が配置されるとともに、攪拌/搬送部材60が配置されている。攪拌/搬送部材60はその回転に基づいて廃棄粉体を回収容器50のほぼ中央部に向けて搬送する正方向搬送部分65と、ほぼ中央部に配置されて回転に基づいて廃棄粉体を逆方向に搬送する逆方向搬送部分66とを有している。搬送部分65,66によって搬送される廃棄粉体の合流位置Eは複数の排出口45b,46b,45c,46cの直下を回避して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄粉体回収装置、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどにおける廃トナー、廃現像剤を含む廃棄粉体を回収するための廃棄粉体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置では、感光体や中間転写体などの像担持体から除去された廃トナー、あるいは、現像器から除去された廃現像剤を回収する廃棄粉体回収装置を備えている。この種の回収装置は、廃トナーや廃現像剤を複数の排出口から直方体形状の回収容器に落下/収容するように構成されている。単に、落下/収容するだけでは排出口の直下に廃棄粉体が溜まってしまい、回収容器の全容量を効果的に使用することができない。
【0003】
特許文献1には、廃トナーを複数の排出口から共通搬送路に送り込み、該共通搬送路に廃トナーを両端部から中央部分に向かって搬送する(巻き方向が相互に逆方向となる)一対の螺旋羽根を備えたトナー搬送部材を配置したトナー回収装置が記載されている。しかし、このトナー回収装置では、一対の螺旋羽根で共通搬送路の中央部分に集められた廃トナーが中央部分で盛り上がり、廃トナーの搬送が停滞したり、詰まりが生じやすい問題点を有している。
【0004】
特許文献2,3には、廃トナー容器に送り込まれた廃トナーの山をならして均一化する第1及び第2のスクリューを設け、第1のスクリューは廃トナーを容器の両端部から中央部に向けて搬送し、第2のスクリューは中央部に配置されて廃トナーを中央部から両端部に向けて搬送するようにしたクリーニング装置が記載されている。しかし、このクリーニング装置においても、排出口の直下では廃トナーが盛り上がるため、第2のスクリューが配置されている中央部分の直上に排出口が位置していると、やはり廃トナーの滞留を回避することができず、収容量(容器が廃トナーで満杯か否か)を誤検出するおそれが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−015110号公報
【特許文献2】特開2007−225742号公報
【特許文献3】特開2008−186038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、廃トナーや廃現像剤などの廃棄粉体を容器に効率的に収容でき、廃棄粉体の容器中央部での滞留や収容量の誤検出などの不具合を極力回避できる廃棄粉体回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である廃棄粉体回収装置は、
平面視でほぼ一方向に並置された複数の排出口から送り出された廃トナー及び/又は廃現像剤を含む廃棄粉体を回収容器に落下させて収容する廃棄粉体回収装置において、
前記回収容器の前記複数の排出口が並置された方向のほぼ中央部に配置され、前記廃棄粉体の収容量を検出するための検出手段と、
前記回収容器内に前記複数の排出口が並置された方向に延在し、回転駆動可能に配置された攪拌/搬送部材と、
を備え、
前記攪拌/搬送部材は、一方向への回転に基づいて前記廃棄粉体を前記回収容器の前記ほぼ中央部に向けて搬送する正方向搬送部分と、前記検出手段が配置された前記ほぼ中央部に配置されて一方向への回転に基づいて前記廃棄粉体を逆方向に搬送する逆方向搬送部分とを有し、
前記正方向搬送部分と前記逆方向搬送部分とによって搬送される前記廃棄粉体の合流位置が、前記複数の排出口の直下を回避して配置されていること、
を特徴とする。
【0008】
前記廃棄粉体回収装置において、排出口から回収容器に落下/収容された廃棄粉体は、正方向搬送部分によって攪拌され、中央部に移動され、かつ、中央部では逆方向搬送部分によって逆方向に戻されるので、収容された廃棄粉体が排出口の直下で部分的に盛り上がること、及び、収容量の検出手段が配置されている中央部分での盛り上がりが防止される。特に、正方向搬送部分と逆方向搬送部分とによって搬送される廃棄粉体の合流位置が、複数の排出口の直下を回避して配置されているため、廃棄粉体で盛り上がりやすい合流位置に廃棄粉体が集中することが防止される。これにて、廃棄粉体の効率的な収容が可能になるとともに、中央部での滞留や詰まりが回避される。同時に、回収容器が廃棄粉体で満杯にならないうちに検出手段が満杯を誤検出することはない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、廃棄粉体を容器に効率的に収容でき、廃棄粉体の容器中央部での滞留や収容量の誤検出などの不具合を極力回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】現像器を示す断面図である。
【図3】回収容器を示す斜視図である。
【図4】回収容器の内部構成を示す立面図である。
【図5】(A)は図4のX−X断面図、(B)は図4のY−Y断面図である。
【図6】変形例である攪拌/搬送部材を備えた回収容器の内部構成を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る廃棄粉体回収装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す画像形成装置は、タンデム式のカラー画像形成装置であって、並置された作像ユニット1y,1m,1c,1k(yはイエロー、mはマゼンタ、cはシアン、kはブラックの画像を形成することを意味する)に含まれる感光体ドラム2のそれぞれ形成されたトナー画像を、矢印A方向に回転する中間転写ベルト10に1次転写して合成し、合成されたトナー画像を2次転写部15にて図示しない用紙上に2次転写するようにしたものである。
【0013】
作像ユニット1y,1m,1c,1kは感光体ドラム2を中心として構成されている。該感光体ドラム2の周囲には、帯電ローラ4、現像器5、残留トナーのクリーニングブレード6などが配置されている。また、各感光体ドラム2上に静電潜像を形成するためのレーザ走査光学ユニット9が配置されている。感光体ドラム2の直上には、ローラ11,12に無端状に支持された中間転写ベルト10が配置されており、該中間転写ベルトは10矢印A方向に回転駆動される。一方、装置本体の下段に設置された自動給紙カセット20から用紙が1枚ずつ上方に給紙され、タイミングローラ21を介して2次転写ローラ22が配置された2次転写部15に搬送される。
【0014】
感光体ドラム2は、帯電ローラ4から所定の電荷を付与され、レーザ走査ユニット9から画像データに基づいて変調されたレーザを照射されることによりその外周面に各色ごとの静電潜像が形成される。静電潜像は現像器5によって可視像(トナー像)とされ、1次転写ローラ13から付与される電界によって中間転写ベルト10上に1次転写され、各色のトナー画像が合成される。この合成トナー画像は、2次転写部15にて2次転写ローラ22から付与される電界によって前記用紙上に2次転写される。その後、用紙は定着器23にてトナーの加熱定着を施され、排出ローラ24からトレイ25上に排出される。なお、この種の電子写真方式による画像形成プロセスは周知である。
【0015】
現像器5は、図2に示すように、感光体ドラム2に現像剤(キャリアとトナーとからなる2成分現像剤)を供給する現像ローラ31、現像剤を攪拌しつつ一方向に循環搬送するスクリュー32,33を有している。消費量に見合ったトナー(少量のキャリアを含む)が、スクリュー32の一端部に供給され、オーバーフローした現像剤はスクリュー32の他端部(画像形成装置の正面側)から廃棄される。オーバーフローした廃現像剤の排出口は、正面視で図1において符号45a,45b,45c,45dで示す位置である。また、ブレード6にて感光体ドラム2から除去された廃トナーはスクリュー7にて画像形成装置の正面側に搬送されて廃棄される。廃トナーの排出口は、正面視で図1において符号46a,46b,46c,46dで示す位置である。さらに、中間転写ベルト10上の残留トナーはクリーニングブレード16にて除去され、この廃トナーはスクリュー17にて画像形成装置の正面側に搬送されて廃棄される。この廃トナーの排出口は正面視で図1において符号47で示す位置である。
【0016】
前記廃トナー及び廃現像剤(両者を合わせて廃棄粉体と称する)の排出口45a〜45d,46a〜46d,47は、図示しない搬送パイプの一端部に相当し、平面視でほぼ一列に並置されている。廃棄粉体の回収容器50は、図3に示すように、それぞれの排出口45a〜45d,46a〜46d,47が突入する開口51a,51b,51c,51d,52a,52b,52c,52d,53(開口53以外は、切溝を形成した樹脂材からなるシール部材が貼着されている)を有し、該開口51a〜51d,52a〜52d,53から廃棄粉体が送り込まれる。回収容器50の内部には、図4及び図5に示すように、廃棄粉体の収容部55の上段に排出口45a〜45d,46a〜46d,47の並置方向に延在する攪拌/搬送部材60が配置されており、該攪拌/搬送部材60は軸部材61の一端部に設けたギヤ62によって矢印B方向に回転駆動される。この回収容器50は画像形成装置本体の正面側から従来周知の機構によって着脱可能である。
【0017】
回収容器50の中央部には収容部55でオーバーフローした廃棄粉体が流れ込む検出部56が設置され、該検出部56に流れ込んだ廃棄粉体を光学センサ57(図5(B)参照)が検知することにより、回収容器50が廃棄粉体によって満杯となったことが検出される。
【0018】
攪拌/搬送部材60は、矢印B方向への回転に基づいて廃棄粉体を回収容器50のほぼ中央部に向けて(矢印C方向)搬送する正方向搬送スクリュー羽根65と、ほぼ中央部に配置されて矢印B方向への回転に基づいて廃棄粉体を逆方向(矢印C’方向)へ搬送する逆方向搬送スクリュー羽根66とを有している。そして、スクリュー羽根65,66によって搬送される廃棄粉体の合流位置Eは、複数の前記排出口45a〜45d,46a〜46d,47の直下を回避して配置されている。
【0019】
ここで、廃棄粉体が収容部に収容される状態を説明する。それぞれの排出口45a〜45d,46a〜46d,47から回収容器50に送り込まれた廃棄粉体は、収容部55において各排出口45a〜45d,46a〜46d,47の直下に畜溜され点線Fで示すように部分的に盛り上がっていく。中央部は排出口45cの直下に位置するため、この部分での盛り上がりが大きく、オーバーフローした廃棄粉体は、収容部55が満杯にならないうちに検出部56に流れ込み、光学センサ57によって検知されることになる。
【0020】
このような満杯検出は誤検出であり、収容部55への効率的な収容を図るために、廃棄粉体の盛り上がりを前記攪拌/搬送部材60の回転によってほぼ均一化する。即ち、廃棄粉体は、スクリュー羽根65によって収容部55の両端部から中央部に向けて攪拌/搬送され、かつ、スクリュー羽根66によって中央部においては両端部方向に戻される。従って、満杯に近くなった廃棄粉体は、スクリュー羽根65,66によって点線Gで示す状態に均されることになる。廃棄粉体は中央部においてスクリュー羽根66によって戻されるため、廃棄粉体の表面は中央部で凹状となり、検出部56への流れ込みが抑制され、光学センサ57による満杯検出が遅れることになる。つまり、満杯検出が遅れる分、廃棄粉体を効率よく収容できることになる。また、中央部での滞留や詰まりが回避される。
【0021】
さらに、本回収装置において、スクリュー羽根65,66によって攪拌/搬送される廃棄粉体の合流位置Eは、複数の排出口45a〜45d,46a〜46d,47の直下を回避して配置されている。具体的には、排出口45b,46b及び45c,46cの間に配置されている。合流位置Eは廃棄粉体で盛り上がることになり、合流位置Eが排出口45b,46b,45c,46cのいずれかの直下に配置されていると、廃棄粉体がより大きく盛り上がることになる。合流位置Eを排出口45b,46b,45c,46cの直下から離すことにより、廃棄粉体の部分的な集中を回避することができる。特に、本実施例では、排出口46b,45cが中央部の直上に位置しているが、排出口46b,45cから送り込まれる廃棄粉体はスクリュー羽根66によって効果的に両側方向に攪拌/移動されることになり、検出部56への流れ込みが極力阻止される。
【0022】
ところで、正方向搬送スクリュー羽根65の外径及び/又はピッチは、逆方向搬送スクリュー羽根66の外径及び/又はピッチと同等か小さいことが好ましい。つまり、スクリュー羽根66による逆方向の搬送力はスクリュー羽根65による正方向の搬送力と同等か又は大きいほうが好ましい。
【0023】
図6に攪拌/搬送部材60の変形例を示す。この攪拌/搬送部材60は、逆方向搬送スクリュー羽根66に隣接する正方向搬送スクリュー羽根65の部分に平板状のパドル67を設け、かつ、逆方向搬送スクリュー羽根66の中央部側に平板状の遮蔽部材68を設けたものである。
【0024】
前記パドル67を設けることによって正方向搬送スクリュー羽根65による攪拌/搬送力が低下するので、より多くの廃棄粉体を収容部55の隅々にまで収容することができ、収容効率が向上する。また、前記遮蔽部材68によって検出部56への廃棄粉体の流れ込みが抑制されるので、収容効率が向上する。
【0025】
なお、本発明に係る廃棄粉体回収装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0026】
特に、電子写真方式による画像形成部分の構成などは任意であり、回収容器の細部の構成や攪拌/搬送部材の細部の形状も任意である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明は、廃棄粉体回収装置に有用であり、特に、廃棄粉体の効率的な収容が可能であり、廃棄粉体の容器中央部での滞留や収容量の誤検出などの不具合を極力回避できる点で優れている。
【符号の説明】
【0028】
45a〜45d,46a〜46d,47…排出口
50…回収容器
55…収容部
56…検出部
57…光学センサ
60…攪拌/搬送部材
65…正方向搬送スクリュー羽根
66…逆方向搬送スクリュー羽根
67…パドル
68…遮蔽部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視でほぼ一方向に並置された複数の排出口から送り出された廃トナー及び/又は廃現像剤を含む廃棄粉体を回収容器に落下させて収容する廃棄粉体回収装置において、
前記回収容器の前記複数の排出口が並置された方向のほぼ中央部に配置され、前記廃棄粉体の収容量を検出するための検出手段と、
前記回収容器内に前記複数の排出口が並置された方向に延在し、回転駆動可能に配置された攪拌/搬送部材と、
を備え、
前記攪拌/搬送部材は、一方向への回転に基づいて前記廃棄粉体を前記回収容器の前記ほぼ中央部に向けて搬送する正方向搬送部分と、前記検出手段が配置された前記ほぼ中央部に配置されて一方向への回転に基づいて前記廃棄粉体を逆方向に搬送する逆方向搬送部分とを有し、
前記正方向搬送部分と前記逆方向搬送部分とによって搬送される前記廃棄粉体の合流位置が、前記複数の排出口の直下を回避して配置されていること、
を特徴とする廃棄粉体回収装置。
【請求項2】
前記正方向搬送部分及び前記逆方向搬送部分は軸部材に設けたスクリュー羽根であること、を特徴とする請求項1に記載の廃棄粉体回収装置。
【請求項3】
前記正方向搬送部分に設けたスクリュー羽根の外径及び/又はピッチは、前記逆方向搬送部分に設けたスクリュー羽根の外径及び/又はピッチと同等又は小さいこと、を特徴とする請求項2に記載の廃棄粉体回収装置。
【請求項4】
前記攪拌/搬送部材には、前記逆方向搬送部分に隣接する前記正方向搬送部分にパドルが設けられていること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の廃棄粉体回収装置。
【請求項5】
前記攪拌/搬送部材には、前記逆方向搬送部分の前記ほぼ中央部側に前記廃棄粉体の移動を抑制する遮蔽部材が設けられていること、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の廃棄粉体回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−68806(P2013−68806A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207484(P2011−207484)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】