説明

廃液類容器用保管庫

【課題】廃液容器用保管庫において、蓋の開き動に際してガスが漏れることを防止して安全性を向上させる。
【解決手段】保管庫は、廃液類投入口を有する本体部と廃液類投入口を塞ぐ蓋とで構成されている。本体部は固定本体1とカート2とで構成されている。固定本体1における内側面の上部には、前後方向に長く延びるガイド溝41が形成されており、このガイド溝41に蓋8が前後スライド自在に嵌まっている。蓋8は固定本体1の上板3の下に配置されており、蓋8を開けると、当該蓋8と固定本体1の上板8との間に隙間64が空く。廃液類投入口には発生したガスは隙間64を介して排気筒31に吸引される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、実験等で発生した廃液類を容器に溜めておくために使用する保管庫に関するものである。「廃液類」には、液体の廃液と固形の塵芥との両方が含まれる。
【背景技術】
【0002】
化学等の実験では廃液や塵芥などの廃液類が発生するが、これら廃液類は容器に溜めておいて廃棄する必要がある。廃液類を溜めておく手段として特許文献1には、排気手段を有するドラフトチャンバーにおいて、作業台の下方に廃液タンク収納部を設け、作業台に設けた廃液投入口から廃液タンクに廃液を投入できるようにした構成が開示されている。また、特許文献2には、ドラフトチャンバーに粉塵収集部を設けることが開示されている。
【0003】
これら特許文献1、2のようにドラフトチャンバーに廃液や粉塵の収容部を設けると、廃液や粉塵の収容部にガスが発生してもこれを強制的に排気できるため安全性に優れている。しかし、廃液類の収容部はドラフトチャンバーの一部であるため、誰でも使用するということはできず、共用性に欠ける問題がある。これに対しては、室内にキャップ付きのタンクを置いて、このタンクに投入することが考えられるが、これでは廃液の投入のたびにキャップを開閉せねばならず不便であり、しかも、有害ガスは排除できないため安全性の問題もある。
【0004】
他方、図6に示すように、排気機能を備えると共に跳ね上げ回動式の蓋を有する専用の保管庫が存在している。この保管庫は多数人が使用できるため便利であり、しかも、排気手段があるため安全性にも優れており、更に、容器の口は空けたままにしておけるため、作業者は一々キャップを開閉することなく保管庫の蓋を開けるだけで廃液類を容器に投入することができ、このため使い勝手もよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−28426号のCD−ROM
【特許文献2】実開平7−21125号のCD−ROM
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、図6に示した保管庫は安全性と利便性とに優れているが、蓋は本体部にヒンジで連結された跳ね上げ回動式であるため、廃液の揮発性が高かったり保管庫の内部に発生した有害ガスが空気より軽かったりすると、蓋の開き動に伴って廃液類投入口に発生した負圧によって有毒ガスが上方に引かれて、有害ガスが庫外に漏れ出る可能性があった。
【0007】
本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものであり、利便性は損なうことなくより一層安全性を向上させた廃液容器用保管庫を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、廃液類を溜める容器が収容されると共に廃液類投入口が上向きに開口している本体部と、前記廃液類投入口を塞ぐ蓋とを有しており、前記本体部には、当該本体部内から有害ガスを外部に排出するための排気口が設けられている廃液容器用保管庫において、前記蓋は、前記廃液類投入口を横切るように動いて前記廃液類投入口を開閉するように前記本体部に取付けられている、という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記本体部と前記蓋との間には、少なくとも開蓋状態において前記廃液類投入口に向いて開口すると共に前記排気口に連通した隙間が開いており、少なくとも開蓋状態で前記隙間が前記廃液類投入口からガスを吸引排出するための排気通路として機能している。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によると、保管庫の蓋は廃液類投入口を横切るように動くため、従来の跳ね上げ回動式蓋のように蓋の開き動によって投入口に負圧が発生することはないのであり、このため、廃液が揮発性の高いものあったり庫内に発生した有害ガスが空気により軽かったりしても、有毒ガスが庫外に漏れるということはない。従って、安全性をより一層向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、廃液類投入口に有害ガスが発生してもその有害ガスは隙間を介して排気口に吸引されて外部に排除されるため、廃液類の投入作業の安全性をより一層向上させることができる。また例えば作業者が蓋を開けたままで作業場を往復したり、蓋を空けたままで複数の作業者が頻繁に使用したりといったこともより安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態を示す図であり、(A)は閉蓋状態での斜視図、(B)は開蓋状態での斜視図、(C)はカートを引き出した状態での斜視図である。
【図2】第1実施形態を示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【図3】第1実施形態の閉蓋状態での縦断側面図である。
【図4】第1実施形態を示す図で、(A)は開蓋状態での縦断側面図、(B)は閉蓋状態での要部側断面図、(C)は開蓋状態での要部側断面図である。
【図5】他の実施形態を示す図である。
【図6】従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1).第1実施形態の構造
次に、図1〜図4に示す第1実施形態を説明する。本実施形態は廃液用タンクの保管庫に適用している。まず、構造を説明する。保管庫は、床に設置されて動かない固定本体1と、移動自在なキャスタ付きカート2とを有しており、これら固定本体1とカート2とで、請求項に記載した本体部を構成している。固定本体1とカート2とはその大部分がステンレス製になっている。
【0014】
固定本体1は上板3と左右の側板4と底板5と背板6とを有しており、上板3は左右側板4の間の空間部分のうち後半部を覆うように配置されており、上板3のうち略前半部は側板4の上面のみに重なっている。従って、固定本体1は、その前面の全体と上面の略前半部とが開放された箱型の形状になっている。そして、固定本体1にカート2を嵌め込むと(セットすると)、カート2の前板7で固定本体1の前面開口部が塞がれて、上向き開口の廃液類投入口を有する本体部が構成される。
【0015】
底板5の上面には、上開きに開口したC型チャンネル材より成る左右一対のガイドレール51が、前後方向(奥行き方向)に延びる姿勢で固定されている。これらガイドレール51にカート2のキャスタ21を嵌め入れることにより、カート2は左右位置を正確に位置決めされて本体部に格納され、その結果、固定本体1の前面はきっちり塞がれる。なお、図3では底板5は省略している。
【0016】
ガイドレール51の前端部は、平面視で手前に向けて間隔が広がった扇型(テーパ状)の誘い込み部51cになっている。また、ガイドレール51の後端部には、キャスタ21の奥行き移動を規制するリアストッパー51aと、リアストッパー51aに止まったキャスタ21が手前に移動するのを阻止する板状のフロントストッパー51bとが設けられている。キャスタ21はフロントストッパー51bを乗り越える前後動可能であり、ある程度の力で引っ張らないとカート2を引き出しできないため、カート2は引出し動を阻害することなく固定本体1に格納した状態に保持される。
【0017】
左右側板4の上部には、廃液類投入口に向いて開口した(相対向して開口した)ガイド溝41が前後方向(奥行き方向)に延びるように形成されており、このガイド溝41に蓋8の左右側縁が前後スライド自在に嵌まっている。なお、ガイド溝41は溝状のガイドレールと呼ぶことも可能である。
【0018】
上板3には丸穴が開けられており、排気口を構成する排気筒31がこの丸穴に貫通する状態で装着されている。背板6の内側のうち上部には側面視L字形の上ダクト61aが配置されて、上ダクト61aよりも下方の部位には背板6とある程度の間隔を空けた仕切り板61bとが配置されており、上ダクト61aと上板3と背板6とで囲われた部分が上部排気通路61cとなり、仕切り板61bと背板61dとで挟まれた部分が背部排気通路61dになっている。当然ながら、両排気通路61c,61dは連通している。また、閉蓋状態で排気筒31は上部排気通路61cに向いて開口している。
【0019】
上ダクト61aの後退と仕切り板61bの上端とは突き合わさっている。上ダクト61aと仕切り板61bとは背板6と平行な状態で左右方向に延びており、左右両端部は側板4に当接している(上ダクト61aと仕切り板61bとを側板4に当接させずに、上ダクト61a及び仕切り板61bと側板4との間にサイド排気通路を開けることも可能である)。
【0020】
仕切り板61bの下端は底板5までは達しておらず、このため、仕切り板61bと底板5との間に下部吸気口62が左右方向に長く延びる状態で形成されている。廃液から発生した有害ガスが空気よりも重い場合は、この有害ガスは下部吸気口62を介して排気通路61d,61cに吸引され、そして排気筒31からダクトやパイプを介して外部に排除される。
【0021】
蓋8は平面視長方形の板状であり、気密性及び強度を保つために四周は下側に折り曲げられている。また、前後中途部の下面には、左右横長で断面ハット型の補強部材がスポット溶接されている。蓋8の前部上面には、正面視で下向き開口コ字型の蓋ハンドル81を設けている。
【0022】
蓋8の後端面にはシール部材82が固定されている。このシール部材82は上端に上水平部82aを有する断面逆L字形であり、上水平部82aは、蓋8の上方に突出して後ろ向きに突出している。そして、上板3の前端部にはカマチ部3aが折り曲げによって形成されており、閉蓋状態では、シール部材82の上水平部82aが上板3のカマチ部3aの下面に密着又は近接している。このため、閉蓋状態で上板3と蓋8との間は隙間なく塞がれている。
【0023】
閉蓋状態では、蓋8の後端は上ダクト61aの上端61a′よりも僅かに手前に位置しており、蓋8の後端と上ダクト61aの上端61a′との間には幅狭の上部空間63が空いてる。従って、空気よりも軽いガスを上部空間63から排除することが可能である(上部空間63は必ずしも設ける必要はない。)。上ダクト61aの上端61a′は後ろ向きに折り曲げられている。
【0024】
上ダクト61aにおける上端部の前面には、ブラケット67を介して左右複数個(例えば2個)のストッパー68が取り付けられている。蓋8は、その前端の折り曲げ部8aがストッパー68に当たることで開き位置(押し込み位置)が規制され、後端の折り曲げ部8bが当たることで前進位置が規制される。また、背板6の上端(或いは上板3の後端)には後ろ向きの膨らみ部65が形成されており、開蓋状態で蓋8の後端と膨らみ部65との間に僅かの面積の後部吸気通路66が形成されるようになっている。
【0025】
蓋8を押し込み切った開蓋状態では、上板3と蓋8との間には、廃液類投入口に向いて開口した隙間64が形成される。すなわち、蓋8の後端に設けたシール部材82aが上向き突出していて閉蓋状態ではその上水平部82aが上板3のカマチ部3aに密着又は近接しているが、開蓋状態ではシール部材82の上水平部82aが後退するため、上板3と蓋8との間には廃液類投入口に向いて前向きに開口すると共に排気筒31の内部に連通した隙間64が形成されるのである。
【0026】
次にカート2を説明する。カート2はフレーム部と正面視四角形の前板7とで構成されており、フレーム部の前面に前板7を溶接している。前板7には把手71を設けている。また、前板7には、廃液容器28の貯留量を外側から視認できるように、透明又は半透明な板で塞がれたのぞき窓72を設けている。前板7の四周はコ字状に曲げ加工されている。
【0027】
フレーム部は、平面視額縁状に構成した底フレーム22と、底フレーム22から立ち上がった4本の支柱24と、支柱24の上端に固定した天フレーム23とで構成されている。底フレーム22にはキャスタ21を取り付けている。底フレーム22は上向きに開口したC型チャンネル材で構成されており、その内部にバランスウエイト25を嵌め込入れることができる。バランスウエイト25の存在により、廃液容器28に廃液が充満しても、カート2の全体の重心を低くして安定した状態で移動させることができる。
【0028】
図3から理解できるように、底フレーム22の外周板22aは内周板22bよりも高くなっており、このため、底フレーム22の内部にトレー26をずれ不能に保持できる。このため、大きさや形状か異なる廃液容器28を任意の位置におくことができる。
【0029】
天フレーム23はL形のアングル材から成っており、天フレーム23のうち左右両側を構成するサイドメンバーでロートサポート27を支持している。ロートサポート27は漏斗29を支持するためのものであり、左右方向に長い空間が空いている。従って、漏斗28は、ロートサポート27によって左右位置調節自在に支持されている。また、ロートサポート27は天フレーム23におけるサイドメンバーの水平片に載っているため、前後位置も任意に調節できる。
【0030】
このように、ロートサポート27は天フレーム23で前後移動自在に支持されていると共に、漏斗29はロートサポート27で左右移動自在に支持されているため、漏斗29は前後位置と左右位置を任意に変更できる。従って、廃液容器28の大きさや位置に関係なく、漏斗29を廃液容器28にセットできる。図2に示すように、廃液容器28が小型である場合はスペーサ22′を使用することが可能である。この場合、左右2個の廃液容器28は支柱24で左右外側に倒れ不能に保持されているため、スペーサ22′に載せたままであっても運搬に際して倒れことはない(運搬時にはスペーサ22′は取り外すと、より安全である。)。
【0031】
カート2をセットした状態で、天フレーム23は上ダクト61aの手前に位置している一方、底フレーム22は仕切り板61bに近接している。容器28はその全体が上ダクト61aよりも低い位置に配置されており、上ダクト61aよりも手前の空間が漏斗29を配置するための空間になっている。
【0032】
廃液容器28は、例えば薬品用として市販されている透明又は半透明なポリタンクを使用できる。廃液容器28には上向き口28aと傾斜口28bとを前後に分けて設けており、どちらの口もねじ式のキャップで塞ぐことができる。保管庫にセットした状態状態では、上向き口28aに漏斗29の足部29aを差し込んでいる。すなわち、上向き口28aは空いたままになっている。他方、傾斜口28bはキャップで塞がれたままになっている。カート2を動かす場合は、上向き口28aもキャップで塞ぐ。
【0033】
(2). 第1実施形態の作用
廃液容器28を載せたカート2を固定本体1にセットするに際しては、底板5のガイドレール51前端の吸い込み部51cが平面視扇型に広がっているので、嵌め込みに際してカート2の左右位置が多少ずれていても、カート2を所定位置に確実に案内する。かつ、カート2はリアストッパー51aとフロントストッパー51bとで前後位置が規制されており、これによって本体部のシール状態が保持される。
【0034】
既述のように、閉蓋状態では、庫内に発生したガスは下部吸引口62又は上部空間63からも吸気通路61c,61dに吸引可能であり、排気筒31に接続したダクトやパイプ類を介して外部に排除される。空気よりも重いガスは吸引排除に大きな力を要するが、本実施形態では上部空間63の開口面積は僅かであり、吸引力は下部吸引口62に強く作用するため、空気よりも重い有害ガスを確実に排除できる。
【0035】
また、蓋8の後端に設けたシール部材82と上板3との間は閉塞しているので、閉蓋状態で上板3と蓋8との間から外部の空気が吸い込まれることはなく、このため吸引力にロスが発生することはない。
【0036】
蓋8を開けると、廃液類投入口から漏斗29を介して廃液を廃液容器28に流し込むことができる。そして、蓋8は廃液類投入口を横切るように動くため、蓋8の開き動作に伴って廃液類投入口に負圧が発生することはなく、このため、開蓋時に有害ガスが漏洩することはなくて高い安全性を確保できる。
【0037】
また、上板3と蓋8との間には、吸気通路として機能する隙間64が間口全体の左右長さで広がっているため、廃液類投入口にガスが発生してもこのガスを的確に吸引・排除することができる。従って、揮発性の高い廃液であっても、投入作業を安全に行うことができる。また、蓋8を空けたままにしておくことも可能であるため、廃液の投入を頻繁に行う場合も便利である。
【0038】
更に、閉蓋状態で上部排気通路61cを蓋8で完全に仕切るのではなく、蓋8の後端と背板6の膨らみ部55との間に後部排気通路66を形成しているため、本体部の内部からのガスの吸引排除も継続して行うことができ、このため開蓋状態で有害ガスが庫内に籠もることを防止して、より一層安全性を向上させることができる。
【0039】
また、後部排気通路66の面積は小さいため、排気筒31を介して作用する吸引力は蓋8と上板3との間の隙間64に強く作用する。そのため、隙間64から吸引される空気の流速は速いものとなって、廃液類投入口に発生したガスに対して強い吸引力を働かせることができる。このため、ガスの吸引排除をより確実ならしめることができる。
【0040】
本実施形態によれば、複雑な機構を付加せずに、蓋8の開きによって形成された隙間64を有害ガスの吸引通路として機能させることができるため、コストアップをもたらすことなく、高い安全性を確保できる。なお、開蓋状態では上部空間63には殆ど吸気作用は作用しないため、有害ガスは専ら隙間64から吸引・排除される。
【0041】
なお、廃液容器28の廃液の量はのぞき窓72から視認できるが、廃液容器28とトレイ26の間にロードセル式等の電子秤を設置して、電子秤の表示をのぞき窓72から読み取るように構成することも可能である。図4(C)に一点鎖線で示すように、蓋8の前端を手前にいくに従って低くなった傾斜面8′とすることも可能であり、このようにすると、有害ガスの案内機能をアップできる期待される。傾斜面8′は側面視で丸みを帯びた形状にしてもよい。
【0042】
(3).他の実施形態
第1実施形態の構造では、上板3と蓋8との間に排気用の隙間を設けたが、これに代えて又はこれに加えて、図5(A)に示すように、側板4を中空の袋状としてその内側板4aに吸気口4bを設けたり、図5(B)に示すように、側板4を中空の袋状として、ガイド溝41の内側面又は下面のうちいずれか一方又は両方に吸気口4bを形成したりすることも可能である。
【0043】
中空状側板4の内部は排気筒31と連通している。吸気口4bは、平面視で廃液類投入口の左右両側の部位に位置している。吸気口4bの数や位置、形状は、ガスの量や比重に応じて任意に選択できる。
【0044】
(4).その他
本願発明は上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、本願発明は廃塵芥用容器の保管庫にも適用できる。この場合、廃塵芥用容器は例えばペール缶のような広口の蓋付き容器を使用するのが好ましい。1台の保管庫に廃液容器と廃塵芥容器との両方を設置することも可能である。
【0045】
開蓋状態で廃液類投入口から有害ガスを吸引するための開蓋状態廃棄手段としては、実施形態のように蓋の上側に隙間を設けることには限らず、蓋の下側(すなわち本体部の仕切りと蓋との間)に隙間を設けたり、蓋を前向きに開口した中空状に形成して、蓋の内部を排気口に連通させてもよいのである。
【0046】
本体部は移動自在なカートを備えている必要はないのであり、全体を固定式とすることも可能である(この場合は、容器を出し入れするため、回動式や引き戸式の扉を設けるのが好ましい。)。また、蓋は、シャッター式やジャバラ式の蓋、水平回動式などの様々の構造を採用できる。蓋は、互いに独立して動く複数枚で構成することも可能である。蓋の支持手段はガイド溝に限らず、各種のレール機構を採用できる。パンタグラフ式の片持ち式支持構造とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
実験室で使用する廃液容器用保管庫に適用して具体化することができる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体部を構成する固定本体
2 本体部を構成するカート
3 上板
4 側板
5 底板
6 背板
7 前板
8 蓋
28 廃液容器
31 排気口の一例としての排気筒
41 ガイド溝
61c 上部排気通路
61d 背部排気通路
62 下部吸気口
63 上部吸気口
82 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液類を溜める容器が収容されると共に廃液類投入口が上向きに開口している本体部と、前記廃液類投入口を塞ぐ蓋とを有しており、前記本体部には、当該本体部内から有害ガスを外部に排出するための排気口が設けられている廃液容器用保管庫であって、
前記蓋は、前記廃液類投入口を横切るように動いて前記廃液類投入口を開閉するように前記本体部に取付けられている、
廃液類容器用保管庫。
【請求項2】
前記本体部と前記蓋との間には、少なくとも開蓋状態において前記廃液類投入口に向いて開口すると共に前記排気口に連通した隙間が開いており、少なくとも開蓋状態で前記隙間が前記廃液類投入口からガスを吸引排出するための排気通路として機能している、
請求項1に記載の廃液類容器類用保管庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−6717(P2012−6717A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144560(P2010−144560)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】