建具枠調整具及び建具枠調整構造
【課題】不可避的に建具枠に幅方向廻りの回転力が長期に亘って生じる場合にも、当該回転力に対する建具枠の傾きを確実に抑止する。
【解決手段】開口下地15と建具枠30のいずれか一方に当接する基部2と、該基部2を開口下地15と建具枠30のいずれか一方に取り付けた状態でいずれか他方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、開口下地15と建具枠30のいずれか他方に当接する一対の脚部3,4と、を備え、基部2には、建具枠30と開口下地15のいずれか一方に固定される固定部2aが設けられ、一対の脚部3,4は、開口下地15の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有し、基部2から突出する弾性変形部3b,4bと、該弾性変形部3b,4bの先端に形成された当接部3a,4aとを備え、少なくとも当該当接部3a,4aが他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている。
【解決手段】開口下地15と建具枠30のいずれか一方に当接する基部2と、該基部2を開口下地15と建具枠30のいずれか一方に取り付けた状態でいずれか他方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、開口下地15と建具枠30のいずれか他方に当接する一対の脚部3,4と、を備え、基部2には、建具枠30と開口下地15のいずれか一方に固定される固定部2aが設けられ、一対の脚部3,4は、開口下地15の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有し、基部2から突出する弾性変形部3b,4bと、該弾性変形部3b,4bの先端に形成された当接部3a,4aとを備え、少なくとも当該当接部3a,4aが他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠調整具及び建具枠調整構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、間仕切壁等に建具枠を取り付ける際の取付け作業を容易にし、かつ、取付け後に生じた狂いを、建具枠を取り外すことなく簡単に調整することができるようにした後付建具枠材の取付調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具枠を間仕切壁等に固定する場合、間仕切壁開口部の小口部を形成する間仕切壁開口部下地に建具枠を配置し、当該間仕切壁開口部下地と建具枠の間に複数の隙間調整部材(パッキン)を挟み込み、建具枠が垂直に取り付けられていることを確認し、次いで、各隙間調整部材に対応した建具枠の内側から木ネジを螺合し、建具枠を間仕切壁開口部下地に固定する方法が知られているが、この種の固定方法では、隙間調整部材を適切な厚みに揃えるのに大変な手間を要していた。即ち、隙間調整部材を仮付けした状態で、目測や下げ振り等の手段により建具枠の垂直度を確認し、隙間調整部材を適切な厚みに調整して固定する作業を繰り返し行うので、この調整に大変な作業時間を要することになるのである。また、このような手段により建具枠を固定しても、経年変化等により建具枠に狂いを生じることがあるが、この場合には狂いを矯正するためには、仕上げ部たる建具枠を解体するなどして再び隙間調整部材を調整しなければならず、この場合も最初の取付け時と同様に大変な作業時間を要していた。
【0003】
かかる問題を解決すべく、特許文献1には、建物の壁に設けられた開口部を形成する開口下地枠に対して取り付けられる建具枠の鉛直度や水平度を調整、固定するための板バネ及びこの板バネを用いた建具枠の施工方法に関する技術が開示されている。この板バネは、建具枠の開口下地枠側に取り付けられる本体部分と、本体部分の左右両端から開口下地枠に向かって突出する弾性変形可能な一対の脚部を有し、さらに、本体部分には、建具枠に形成される取付調整ネジ挿入穴と連通する取付調整ネジ穴が形成されており、建具枠の取付調整ネジ挿入穴から板バネの本体部分の取付調整ネジ穴を経て、開口下地枠に取付調整ネジを螺着させることによって、建具枠の開口下地枠への取り付けと、建具枠の鉛直度や水平度の調整、固定を行うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−160942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の開口枠において、例えば、丁番などにより開度が制限されている開き扉を全開したようなときに、建具枠には、当該建具枠の幅方向廻りの回転力が作用しやすく、これによって建具枠が開口下地に対し、当該開口下地の長手方向の軸廻りに姿勢を傾けた状態となってしまう(以下、かかる現象を「ころび」とも称する)ことが考えられる。また、開口に引き戸を設ける場合には、当該引き戸の戸先が建具枠の幅に対し中心となる位置から偏心した位置で当該建具枠にぶつかることとなり、これによっても建具枠に戸先の衝突に伴うモーメントが作用して、上記と同様に建具枠が姿勢を傾けた状態となってしまうことが考えられ、当該傾きを長期に亘って抑止することが望まれている。
【0006】
しかしながら、上述した建具枠の施工方法においては、建具枠の幅方向廻りの「ころび」を生じさせるモーメントに対して十分に抗することができず、傾きやすい。具体的には、特許文献1に開示の板バネは、脚部の独立した弾性変形を可能とすべく、板バネの本体部分の長手方向の両端部から脚部が当該本体部分から開き傾斜状に突出する方向に延びている構成となっているので、各脚部の基端部は建具枠の中央部分に寄ってしまうのみならず、板バネの幅方向で見ると脚部の先端と基端部との間に所定の間隔が形成されることとなり、これによって、上記回転力に対して脚部のバネ性を発揮させやすいものとなり、却ってころびを発生させやすいものとなってしまうという問題がある。また、上記と特許文献1に開示される板バネは、バネ性を発揮する脚部が左右独立して開口下地に当接する構造となっているが、これら脚部は左右それぞれにおいて開口下地といわば点接触した構造となっており、下地の凹凸の影響を受けやすく、場合によっては、ころびを生じさせる回転力に対し左右均等に抗することができないことがある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、建具枠を開口下地に対して取り付けた後に当該建具枠を取り外すことなく建具枠と開口下地との間の間隔を調整可能な建具枠調整具及び建具枠調整構造であって、建具枠に幅方向廻りの不可避的な回転力(モーメント)が瞬時的あるいは長期的に作用する場合にも、当該回転力に対する建具枠の傾きを確実に抑止することができる建具枠調整具及び建具枠調整構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決すべく、本発明の具体的構成は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具であって、前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、前記一対の脚部は、前記開口下地の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、基部から突出する弾性変形部と、該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、少なくとも一対の脚部は、建具枠又は開口下地のいずれか他方に対して、幅方向に配置された当接部を介して当接することとなる。また、当該当接部及び弾性変形部が開口下地の幅よりも幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されるので、少なくとも基部の幅方向の両端縁部に当接部及び弾性変形部が位置し、これによって開口下地(又は建具枠)の幅方向の両端部近傍に各脚部の当接部と弾性変形部が設けられることとなる。このため、建具枠調整具の幅方向の両端側に反発力の中心を設けることができ、これによって、当該建具枠に幅方向の回転力が作用する場合でも、建具枠が傾くのを脚部によって抑止することができる。
【0010】
(2)前記一対の脚部には、前記弾性変形部の1又は複数個所に弾性力を低減させる低減部が設けられていることが好ましい。
【0011】
建具枠調整具を形成する材料によっては、建具枠調整部の幅方向に亘って一様に弾性変形部を設けると弾性力が過大となり、これによって留め付け具の開口下地への締め付けを著しく大きなものとしなければ一対の脚部に充分な弾性力を付与することができないことが考えられるが、本構成により、一対の脚部の弾性変形部の1又は複数個所に低減部が設けられるため、当該低減部によって建具枠調整具の外形を変更することなく弾性力を調整することができるものとなり、一対の脚部に良好に弾性力を発揮させることができるものとなる。
【0012】
(3)また、前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられていることが好ましい。
【0013】
基部に対し固定部を偏心させると、一対の脚部に生じさせる弾性力が、建具枠調整具の幅方向において偏ってしまうことが考えられるが、上述の如く低減部を設けることにより、建具枠調整具の幅方向の両端部にはそれぞれ等しくモーメントが作用することとなり、これによって、各脚部全体での弾性力は幅方向において均される。この結果、弾性力は建具枠調整具の幅方向において等しく作用することとなり、開口下地と建具枠の間の間隔を幅方向において等しく維持することができるものとなっている。
したがって、本構成によれば、固定部の位置を建具枠の幅方向の中央に設ける必要がなく、固定部の位置を自由に設定することができる。
【0014】
(4)また、前記一対の脚部には、前記当接部から前記開口下地と前記建具枠のいずれか一方に向けて延在する補助脚部が設けられており、各補助脚部は、前記脚部の当接部から突出する補助弾性変形部と、該補助弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか一方と当接する補助当接部とを備え、少なくとも当該補助当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、各脚部は、開口下地と建具枠のいずれか一方に一対の脚部を当接させた状態で、いずれか他方に各補助脚部を当接させることができる。これによって、建具枠は、建具枠調整具を介して開口下地に取り付けられるものの、当該建具枠調整具は、これら建具枠と開口下地のいずれか一方に基部と、補助脚部が当接すると共に、いずれか他方に一対の脚部が当接することとなり、開口下地に対する建具枠の取り付け姿勢をより安定させたものとすることができる。
【0016】
(5)また、姿勢を安定させる点に鑑みれば、前記脚部と補助脚部とを交互に複数個有する構成を採用することは好ましい。
【0017】
(6)また、前記脚部と補助脚部には、前記弾性変形部と前記補助弾性変形部の弾性力を低減させる低減部が1又は複数個所に設けられていることが好ましい。
【0018】
建具枠調整具を形成する材料によっては、建具枠調整部の幅方向に亘って一様に弾性変形部を設けると弾性力が過大となり、これによって留め付け具の開口下地への締め付けを著しく大きなものとしなければ一対の脚部に充分な弾性力を付与することができないことが考えられるが、本構成により、一対の脚部の弾性変形部の1又は複数個所に低減部が設けられるため、当該低減部によって建具枠調整具の外形を変更することなく弾性力を調整することができるものとなり、一対の脚部に良好に弾性力を発揮させることができるものとなる。
【0019】
(7)また、前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられていることが好ましい。
【0020】
基部に対し固定部を偏心させると、一対の脚部及び補助脚部に生じさせる弾性力が、建具枠調整具の幅方向において偏ってしまうことが考えられるが、上述の如く低減部を設けることにより、建具枠調整具の幅方向の両端部にはそれぞれ等しくモーメントが作用することとなり、これによって、補助脚部を含めた脚部全体での弾性力は幅方向において均される。この結果、弾性力は建具枠調整具の幅方向において等しく作用することとなり、開口下地と建具枠の間の間隔を幅方向において等しく維持することができるものとなっている。
したがって、本構成によれば、固定部の位置を建具枠の幅方向の中央に設ける必要がなく、固定部の位置を自由に設定することができる。
【0021】
(8)また、前記脚部の低減部は、前記基部を介して対称となる位置にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0022】
当該低減部が基部を介して対称な位置に形成されるため、当該低減部の存在によってもこれら一対の脚部に共に等しく弾性力を発揮させることができ、低減部の存在によって一対の脚部の間で弾性力が偏ってしまうことを抑止することができるものとなるのである。
【0023】
(9)また、前記低減部は、少なくとも前記弾性変形部を肉抜きして形成されることが好ましい。
【0024】
これによれば、各脚部に低減部を容易に形成することができるものとなる。また、当該肉抜きの大きさによって各脚部に発揮させる弾性力を変化させることができるものとなるので、当該弾性力の調整を容易に行うことができるものとなっている。
【0025】
(10)また、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠と、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部と、該開口下地と建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具と、を備え、該建具枠調整具は、前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の軸方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、前記基部と前記一対の脚部のいずれか一方又は両方は、前記建具枠の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、前記基部から突出する弾性変形部と、該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることが好ましい。
【0026】
これによれば、少なくとも一対の脚部は、建具枠又は開口下地のいずれか他方に対して、幅方向に配置された当接部を介して当接することとなる。また、当該当接部及び弾性変形部が開口下地の幅よりも幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されるので、少なくとも基部の幅方向の両端縁部に当接部及び弾性変形部が位置し、これによって開口下地(又は建具枠)の幅方向の両端部近傍に各脚部の当接部と弾性変形部が設けられることとなる。このため、建具枠調整具の幅方向の両端側に反発力の中心を設けることができ、これによって、当該建具枠に幅方向の回転力が作用する場合でも、建具枠が傾くのを脚部によって抑止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、不可避的に建具枠に幅方向廻りの回転力が長期に亘って生じる場合にも、当該回転力に対する建具枠の傾きを確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る建具枠調整具が適用可能な建具が取り付けられる建物の開口枠の例を示す斜視図である。
【図2】建物の開口枠の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す、建具枠調整具により開口下地に取り付けられた建具枠の取付状態を示す側面からの図である。
【図4】建具枠の表面からみた建具枠調整具の正面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す、肉抜きが設けられた建具枠調整具の正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す、肉抜きが設けられた建具枠調整具の正面図である。
【図7】建具枠調整具に作用するモーメントについて説明するための概略図である。
【図8】基部を介して肉抜き(低減部)が非対称に設けられた建具枠調整具の一例を示す図である。
【図9】本発明における固定部の他の形態例を示す建具枠調整具の側面からの図である。
【図10】本発明における固定部の他の形態例を示す建具枠調整具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る建具枠調整具及び建具枠調整構造の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1、図2に示す如く、建具枠20,30,40が設けられる建物の内部空間は、床11と、天井12と、該床11から天井12まで延在して居室間又は居室と廊下とを区画する間仕切壁14とを備えている。
【0031】
特に図示はしないが、間仕切壁14は、例えば建物の床スラブの上面に敷設された床下地材と、該床下地材に対向する複数の天井野縁(図1中で符号13で示す)との間に、該複数の天井野縁13と直交する方向に延設されて、当該階の空間を仕切り、その両側に居室又は居室と廊下をそれぞれ構成している。また、当該間仕切壁14には、居室間(または居室と廊下の間)を人が往復するための開口部が設けられている。当該開口部の縁部には、仕上材としての建具枠が設けられている。また、開口部内には、建具枠の内側に収容されて当該開口部を開閉する一対の引戸や扉(いずれも図示省略)などが設けられる。開口部は、間仕切壁14を切り欠いて形成される長方形状を呈しており、当該開口部の両側縁および上縁が間仕切壁14によって規定され、下縁が床11によって規定される。また、開口部が形成されることにより、間仕切壁14の小口面が露出することとなるが、各小口面には長尺状の開口下地が取り付けられ、該開口下地に仕上材としての建具枠が取り付けられる。
【0032】
建具枠は、開口部の各縁部に沿って設けられるものであって、本実施形態の場合には、開口部の下縁に沿って設けられる下側建具枠(敷居)20と、開口部の側縁に沿って設けられる横側建具枠(竪枠)30と、開口部の上縁に沿って設けられる上側建具枠(鴨居)40とからなり、各建具枠20,30,40の端部は隣り合うそれぞれ隣り合う建具枠20,30,40の端部に接続されている。
【0033】
次に、本発明に係る建具枠調整具1及び建具枠調整構造の実施形態を説明する。
【0034】
(第1の実施形態)
本発明に係る建具枠調整具1は、間仕切壁14に設けられる開口下地15と、該開口下地15に取り付けられる横側建具枠30(以下、単に建具枠という)との間に設けられて当該建具枠30の開口下地15に対する離間距離を調整する調整具である。本実施形態の建具枠調整具1は、基部2と、一対の脚部3,4と、一対の補助脚部5、6を備えた構成であって、例えばバネ性(弾性)を有する金属製の平板が側面視波形(あるいはW形)となるようにプレス加工される等して形成されている(図3等参照)。
【0035】
基部2は、開口下地15と建具枠30のいずれか一方に当接する部分である。本実施形態の基部2は建具枠30と当接するものであり、尚かつ建具枠30との当接部分が当該建具枠30の幅方向(以下、当該建具枠30の幅方向に一致する方向のことを、特段の断りが必要なければ単に幅方向ともいう)に延設されて該建具枠30と幅方向に直線状に線接触する(本明細書において線状とは、厳密な意味での線のみならず所定の幅を有する帯状である場合も含む)ように形成されている(図4等参照)。このため、当該建具枠30に幅方向の回転力が作用したとしても、当該回転力に対する建具枠30の傾きを抑止することが可能となっている。この基部2の中心部には、留め付け具16を挿通させる挿通孔(固定部)2bが設けられている。
【0036】
脚部3,4は、開口下地15と建具枠30のいずれかに弾性的に当接するよう基部2の両側に一対設けられているものである。
本実施形態の脚部3,4は、当該基部2の幅方向の一方の側端部から他方の側端部に亘って設けられている。また、各脚部3,4は、上述の基部2を建具枠30に当接させた状態で、当該建具枠30の幅方向と直交する方向となる建具枠30の長尺方向に延在して設けられており、該基部2から離間する方向に傾斜状に突出する弾性変形部3b,4bと、該弾性変形部3b,4bの先端部に設けられて開口下地15に接触する当接部3a,4aとを備えている。
【0037】
該当接部3a,4aは、建具枠調整具1の幅方向に直線状に延在しており、該開口下地15と線接触する(図4参照)。例えば本実施形態では、これら当接部3a,4aが開口下地15の幅方向に連続するように脚部3,4がそれぞれ形成されている。このため、当該建具枠30に幅方向の回転力(ころびを生じさせるモーメント)が作用したとしても、当該回転力に対する建具枠30の傾きを抑止することが可能となっている。
また、これら一対の脚部3,4を含め本実施形態の建具枠調整具1は、開口下地15の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有するように形成されているので、上述の如き建具枠30の傾きを最大限抑止しつつ、建具枠調整具1の一部が外部から視認されないものとなっている。
【0038】
また、脚部3,4は、弾性変形部3b,4bにおいて弾性(バネ性)を有するように形成されている。こうした場合、各当接部3a,4aを、開口下地15に弾性的に接触する部位として機能させることができ、これら一対の弾性変形部3b,4bの拡縮に応じて基部2及び該基部2に接続される建具枠30を開口下地15に対して近接離間させることが可能となる。
【0039】
建具枠調整具1としては、上述の基部2および一対の脚部3,4を備えたもので足りるが、脚部3,4を適宜延伸した構成としてもよい。本実施形態では、一対の脚部3,4をそれぞれ基部2から離間する方向に延伸させ、建具枠30との補助当接部5a,6aをそれぞれ有する補助脚部5,6を形成している(図3、図4参照)。補助脚部5,6および補助当接部5a,6aの形状や形態は特に限定されないが、本実施形態では補助脚部5,6の幅を基部2や脚部3,4と同等とし、該脚部3,4の当接部3a,4aから斜め傾斜状に延在する補助弾性変形部5b,6bと、該補助弾性変形部5b,6bの先端部に形成されて開口下地15に当接する補助当接部5a,6aとを備えている。
また、該補助当接部5a,6aは、建具枠30の幅方向に連続する直線状を呈し、該建具枠に線接触可能とされている。このような補助脚部5,6は、建具枠調整具1と建具枠30との当接領域を増やし、建具枠30に幅方向の回転力が作用した場合の当該建具枠30の傾きをさらに効果的に抑止することを可能とする。このような建具枠調整具1は、矩形の板状部材をプレスするだけで比較的簡単に成形することができるという利点がある。
【0040】
また、脚部3,4と同様、これら補助脚部5,6に補助弾性変形部5b,6bにおいて弾性(バネ性)を備えさせることが好ましい。こうした場合、補助当接部5a,6aを、建具枠30に弾性的に接触する部位として機能させることができる。このような建具枠調整具1によれば、脚部3,4の当接部3a,4aを開口下地15に当接させた状態で、補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを建具枠30に当接させることができる。建具枠30は建具枠調整具1を介して開口下地15に取り付けられることになるが、本実施形態の建具枠調整具1は、これら建具枠30に、基部2と補助脚部5,6の補助当接部5a,6aとを弾性的に接触させ、さらに、開口下地15には脚部3,4の当接部3a,4aを弾性的に接触させることとなるから、開口下地15に対する建具枠30の取り付け姿勢をより安定させたものとなる。
【0041】
留め付け具16は、建具枠30を開口下地15に近接離間可能に留め付けるもので、例えば、建具枠調整具1の挿通孔(固定部)2bに貫通させたネジ部を開口下地15に螺合させる固定用ビス等を利用することができる(図3参照)。本実施形態では、建具枠30に設けられた透孔30aおよび建具枠調整具1の挿通孔2bにこの留め付け具16のねじ部を挿通し、開口下地15の所定位置にねじ込むことによって建具枠30を開口下地15に留め付ける。留め付け具16として、開口下地15へのセルフタップが可能な木ネジや、開口下地15が金属下地である場合にあってはセルフタッピングネジ(セルフドリリングネジ)を用いることも好ましい。
【0042】
(第2の実施形態)
建具枠調整具1の脚部3,4や補助脚部5,6にこれらの弾性の強さを調整するための低減部を複数設け、尚かつ各低減部の大きさを適宜調整することで、建具枠調整具1全体の肉厚や曲げ形状を変えることなく当該建具枠調整具1の反発力(弾性力、バネ力)の調整を行えるようにすることが好ましい。
以下、具体例を本発明の第2の実施形態として説明する(図5参照)。
【0043】
本実施形態では、上記第1実施形態の建具枠調整具1の各脚部3,4と該脚部3,4に連続する補助脚部5,6に亘って一対の低減部を設ける構成としている。
具体的には、各脚部3,4の弾性変形部3b,4bと当接部3a,4a、該脚部3,4に連続する補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bに亘って低減部としての肉抜き7を基部2の固定部たる挿通孔2bを介して左右一対設け、これによって各脚部3,4及び補助脚部5、6の弾性力を低減させるようにしている(図5参照)。
【0044】
このような建具枠調整具1によれば、脚部3,4と補助脚部5、6において全体的に適度な弾性力を発揮させることが可能となる。建具枠調整具は、それ自体がある程度の強度を有する必要があるため、全体の肉厚を所定の厚さとして全体の強度が確保されることとなるが、そうすると脚部3,4の弾性変形部3b,4bや補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの弾性力が過大となることがある。このように弾性力が過大な場合、これによって留め付け具16の開口下地15への締め付けを著しく大きなものとしなければこれら脚部3,4に充分な弾性力を付与することが難しくなることが生じうるが、本実施形態の如く脚部3から補助脚部5に亘って、ならびに、脚部4から補助脚部6に亘って上述の如き肉抜き7を設けて弾性力を適宜低減させることで、建具枠30の開口下地15に対する所定離間距離などに応じて脚部3,4に良好な弾性力を発揮させることが可能となる。
【0045】
なお、図5では、同等の大きさである複数の肉抜き7を一方の脚部3(4)と補助脚部5(6)において左右均等に設け、且つ、一対の脚部3,4及び補助脚部5,6としてみた場合に基部2を中心として対称的に配置した場合を示したがこれは好適な一例にすぎない。複数の肉抜き7の大きさ(幅・深さ)や形状を適宜異ならせることができるし、配置間隔を不均等にすることもできる(第3の実施形態参照)。
【0046】
(第3の実施形態)
基部2の固定部の位置が偏心する場合には、肉抜き7の位置や大きさを適宜異ならせることで、建具枠調整具1の幅方向の反発力のバランスをとることが可能となる。ここでいう基部2の固定部の偏心とは、該基部2を建具枠に留めつける留め付け具16を挿通させる挿通孔2bの位置が、建具枠調整具1の中心から幅方向にずれている状態をいう。以下、具体例を本発明の第3の実施形態として説明する(図6、図7参照)。
【0047】
本実施形態では、基部2の幅方向中心から偏心した位置に挿通孔2bを設け、さらに、脚部3,4の弾性変形部3b,4b、当接部3a,4a、補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bに亘る肉抜き7を、挿通孔2bに近い側(図6中、符号Rで示す側)の当接部3a,4aの幅を挿通孔2bに遠い側(図6中、符号Lで示す側)の当接部3a,4aの幅よりも大きくすると共に、両当接部3a,4aに等しくモーメントを作用させる位置に設けている(図6参照)。つまり、締め付け具16を締め付けることにより建具枠調整具1に荷重Nが作用した場合に、R側の脚部3,4における挿通孔2bからの距離aの位置に反力(応力)P1が作用し、L側の脚部3,4における挿通孔2bからの距離bの位置に反力(応力)P2が作用し、中央の脚部(挿通孔2bが設けられた位置に配置された脚部)3,4に反力(応力)P3が作用したとすれば、
P1×a=P2×b
となるように、つまり挿通孔2bの位置を中心として建具枠調整具1全体でモーメントが釣り合うように各肉抜き7が設けられている(図6、図7参照)。
【0048】
このように肉抜き7が設けられた建具枠調整具1によれば、肉抜き7によっていわば分断された状態の各脚部3,4の当接部3a,4aにおいて、全体として釣り合うモーメントが作用することとなるから、当該建具枠調整具1によって支持される建具枠30に幅方向の回転力(ころびを生じさせるモーメント)が作用するのを回避し、所定の状態(一般には、開口下地15に対して建具枠30が平行に取り付けられた状態)を維持することができる。したがって、本実施形態の建具枠調整具1によれば、挿通孔2bの位置を建具枠30の幅方向の中央以外に配置したいという要請に応じ、当該挿通孔2b(およびこれに挿通させる留め付け具16)の位置を自由に設定することが可能となる。
【0049】
ちなみに、図7に示したのは、モーメントの釣り合いについて説明するために簡素化して概略を示したモデルにすぎない。実際の設計においては、荷重および反力(応力)の態様をより詳細に解析して肉抜き7やこれによって分断された状態となる各脚部3,4の形状や大きさを適宜設定することができる。
【0050】
ここで、上述した肉抜き7の形状や大きさ等の態様は特に限定されることはないが、例えば本実施形態では、これら肉抜き7を、基部2を介して対称となる位置に設けている(図6参照)。こうした場合には、建具枠調整具1に荷重が作用した場合に各脚部3,4に生じるあるいは発揮させる反力(応力)を、基部2の一方側の脚部3と他方側の脚部4とで均等なものとすることができる。もちろん、これとは逆に、これら肉抜き7を基部2を中心として大きさを異ならせたり、数を異ならせたり、あるいは上側(または下側)のみを補助脚部5(6)の補助当接部5a,6aまで至る切り欠き形状としたりすることによって、上下方向において非対称となるように設けることも可能である(図8参照)。
【0051】
また、本実施形態では、上述した肉抜き7を、各脚部3,4の基部2から補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの先端部に亘って欠き込むことにより設けられる、比較的成形しやすい形態としたが、もちろんこれ以外の形態とすることもできる。これ以外の形態としては、例えばスリットやパンチ孔を設ける等を挙げることができる。要は、肉抜き7は、各脚部3,4の弾性力を適宜低減させるために設けられる低減部の好適な一例にすぎず、同様の作用を奏しうる他形態の低減部が除外されることはない。
【0052】
次に、上述した各実施形態の建具枠調整具1を利用して建具枠30を施工する場合の手順の一例を簡単に示す。
【0053】
(1) 建具枠調整具1を、開口下地15の所定位置に留め付ける。留め付けは、例えば釘やタッカー等を利用しての仮止めなどで行うことができる。一つの建具枠30に対して、複数(例えば3〜4個)の建具枠調整具1が設けられる。
【0054】
(2) 留め付け具16を用いて建具枠調整具1及び開口下地15に建具枠30を留め付ける(図3参照)。
【0055】
(3) 下げ振り等を用い、建具枠30の姿勢を確認する。
【0056】
(4) 建具枠30の開口下地15に対する離間距離を調整したい位置において、留め付け具16を緩め、または締め込むことによって建具枠30が鉛直となるように姿勢を調整する。
【0057】
(5) 建具枠30の姿勢を調整し終えたら、建具枠30の透孔30aにキャップを被せる等して目隠しする。
【0058】
上述した建具枠調整具1によれば、開口下地15に建具枠30を留め付けた状態で離間距離を調整し、建具枠30の姿勢を鉛直することや建具枠を直線状とすることが可能であるから、操作が煩雑でなく、調整が行いやすい。また、上述した建具枠調整具1はきわめて簡単な構造で済み、高い加工度を要しないから、計量化、コスト削減を図りやすいという利点もある。
【0059】
さらに、この建具枠調整具1によれば、建具枠30の取り付け後に締め付け具16を締め付けることによって当該建具枠30の出入り(姿勢)を調整でき、しかも、調整可能な範囲内おいて常に建具枠調整具1の弾性力を建具枠30に作用させることができる。
【0060】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、基部2および補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを建具枠30に当接させ、脚部3,4の当接部(線接触部位)3a,4aを開口下地15に当接させる建具枠調整具1を示したが(図3等参照)、これは一例にすぎない。特に図示はしないが、これとは逆、つまり、基部2および補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを開口下地15に当接させ、脚部3,4の当接部(線接触部位)3a,4aを建具枠30に当接させる態様とした場合にも上述した各実施形態と同様の作用効果を奏しうる。
【0061】
また、上述した実施形態では、一対の脚部3,4において、当接部3a,4aが開口下地15または建具枠30の幅方向に配置されている場合の一例として、当該当接部3a,4aが幅方向に連続して線状に形成されているものを例示したがこれも好適な一例にすぎない。このように幅方向に配置されていれば当接部3a,4aが連続しているかどうかは問題ではなく、例えば、スポット状の複数の当接部3a,4aが幅方向に並ぶように配置されているものであっても構わない。要は、建具枠30において幅方向廻りの回転力が不可避的に作用する状況下において、当該回転力に起因する建具枠30の傾きを確実に抑止することができるよう幅方向に配置されている限り、脚部3,4の当接部3a,4aの具体例はここまで説明したものに限られることはない。
また、補助脚部5,6を設けることなく、一対の脚部3,4のみとする構成も採用可能である。また、本実施形態では脚部3,4の弾性変形部3b,4bと補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの長さを略同じとしているが、これら一方が他方よりも長い構成を採用することも可能である。
【0062】
また、上述した実施形態では、建具枠調整具1を建具枠30の裏面に留め付けて係止させる場合について説明したが、これとは逆に、建具枠調整具1を開口下地15に係止させる構成としてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、本発明に係る建具枠調整具1を鉛直な建具枠30に適用した場合を例示したが、この他、水平方向に延びる上側建具枠40に適用することもできる。
【0064】
また、上述した実施形態では、開口下地15と建具枠30のいずれか一方に建具枠調整具1を固定するため基部2に設けられる固定部の一例として挿通孔2bを例示したが、これは好適な一例にすぎない。この他、建具枠調整具1が例えば開口下地15から建具枠30を見て矩形枠となるように形成されている場合(図10参照)、当該枠の両側の位置する基部2を、固定部として機能するタッカー17等を用いて建具枠30に留め付けることとしてもよい(図9参照)。この場合も留め付け具を締め込んでいくことにより、開口下地15と建具枠30との間隔が狭まり、これによって脚部3,4と補助脚部5,6に弾性力を付与することが可能となっている。このように、当該固定部の位置は建具枠30の幅方向の中央でなくてもよいため、当該固定部の位置を自由に設定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に介在する建具枠調整具に適用して好適である。
【符号の説明】
【0066】
1…建具枠調整具、2…基部、2b…挿通孔(固定部)、3,4…脚部、3a,4a…当接部、3b,4b…弾性変形部、5,6…補助脚部、5a,6a…補助当接部、5b,6b…補助弾性変形部、7…肉抜き(低減部)、15…開口下地、17…タッカー(固定部)、30…建具枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具枠調整具及び建具枠調整構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、間仕切壁等に建具枠を取り付ける際の取付け作業を容易にし、かつ、取付け後に生じた狂いを、建具枠を取り外すことなく簡単に調整することができるようにした後付建具枠材の取付調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建具枠を間仕切壁等に固定する場合、間仕切壁開口部の小口部を形成する間仕切壁開口部下地に建具枠を配置し、当該間仕切壁開口部下地と建具枠の間に複数の隙間調整部材(パッキン)を挟み込み、建具枠が垂直に取り付けられていることを確認し、次いで、各隙間調整部材に対応した建具枠の内側から木ネジを螺合し、建具枠を間仕切壁開口部下地に固定する方法が知られているが、この種の固定方法では、隙間調整部材を適切な厚みに揃えるのに大変な手間を要していた。即ち、隙間調整部材を仮付けした状態で、目測や下げ振り等の手段により建具枠の垂直度を確認し、隙間調整部材を適切な厚みに調整して固定する作業を繰り返し行うので、この調整に大変な作業時間を要することになるのである。また、このような手段により建具枠を固定しても、経年変化等により建具枠に狂いを生じることがあるが、この場合には狂いを矯正するためには、仕上げ部たる建具枠を解体するなどして再び隙間調整部材を調整しなければならず、この場合も最初の取付け時と同様に大変な作業時間を要していた。
【0003】
かかる問題を解決すべく、特許文献1には、建物の壁に設けられた開口部を形成する開口下地枠に対して取り付けられる建具枠の鉛直度や水平度を調整、固定するための板バネ及びこの板バネを用いた建具枠の施工方法に関する技術が開示されている。この板バネは、建具枠の開口下地枠側に取り付けられる本体部分と、本体部分の左右両端から開口下地枠に向かって突出する弾性変形可能な一対の脚部を有し、さらに、本体部分には、建具枠に形成される取付調整ネジ挿入穴と連通する取付調整ネジ穴が形成されており、建具枠の取付調整ネジ挿入穴から板バネの本体部分の取付調整ネジ穴を経て、開口下地枠に取付調整ネジを螺着させることによって、建具枠の開口下地枠への取り付けと、建具枠の鉛直度や水平度の調整、固定を行うことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−160942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の開口枠において、例えば、丁番などにより開度が制限されている開き扉を全開したようなときに、建具枠には、当該建具枠の幅方向廻りの回転力が作用しやすく、これによって建具枠が開口下地に対し、当該開口下地の長手方向の軸廻りに姿勢を傾けた状態となってしまう(以下、かかる現象を「ころび」とも称する)ことが考えられる。また、開口に引き戸を設ける場合には、当該引き戸の戸先が建具枠の幅に対し中心となる位置から偏心した位置で当該建具枠にぶつかることとなり、これによっても建具枠に戸先の衝突に伴うモーメントが作用して、上記と同様に建具枠が姿勢を傾けた状態となってしまうことが考えられ、当該傾きを長期に亘って抑止することが望まれている。
【0006】
しかしながら、上述した建具枠の施工方法においては、建具枠の幅方向廻りの「ころび」を生じさせるモーメントに対して十分に抗することができず、傾きやすい。具体的には、特許文献1に開示の板バネは、脚部の独立した弾性変形を可能とすべく、板バネの本体部分の長手方向の両端部から脚部が当該本体部分から開き傾斜状に突出する方向に延びている構成となっているので、各脚部の基端部は建具枠の中央部分に寄ってしまうのみならず、板バネの幅方向で見ると脚部の先端と基端部との間に所定の間隔が形成されることとなり、これによって、上記回転力に対して脚部のバネ性を発揮させやすいものとなり、却ってころびを発生させやすいものとなってしまうという問題がある。また、上記と特許文献1に開示される板バネは、バネ性を発揮する脚部が左右独立して開口下地に当接する構造となっているが、これら脚部は左右それぞれにおいて開口下地といわば点接触した構造となっており、下地の凹凸の影響を受けやすく、場合によっては、ころびを生じさせる回転力に対し左右均等に抗することができないことがある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、建具枠を開口下地に対して取り付けた後に当該建具枠を取り外すことなく建具枠と開口下地との間の間隔を調整可能な建具枠調整具及び建具枠調整構造であって、建具枠に幅方向廻りの不可避的な回転力(モーメント)が瞬時的あるいは長期的に作用する場合にも、当該回転力に対する建具枠の傾きを確実に抑止することができる建具枠調整具及び建具枠調整構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決すべく、本発明の具体的構成は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具であって、前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、前記一対の脚部は、前記開口下地の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、基部から突出する弾性変形部と、該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、少なくとも一対の脚部は、建具枠又は開口下地のいずれか他方に対して、幅方向に配置された当接部を介して当接することとなる。また、当該当接部及び弾性変形部が開口下地の幅よりも幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されるので、少なくとも基部の幅方向の両端縁部に当接部及び弾性変形部が位置し、これによって開口下地(又は建具枠)の幅方向の両端部近傍に各脚部の当接部と弾性変形部が設けられることとなる。このため、建具枠調整具の幅方向の両端側に反発力の中心を設けることができ、これによって、当該建具枠に幅方向の回転力が作用する場合でも、建具枠が傾くのを脚部によって抑止することができる。
【0010】
(2)前記一対の脚部には、前記弾性変形部の1又は複数個所に弾性力を低減させる低減部が設けられていることが好ましい。
【0011】
建具枠調整具を形成する材料によっては、建具枠調整部の幅方向に亘って一様に弾性変形部を設けると弾性力が過大となり、これによって留め付け具の開口下地への締め付けを著しく大きなものとしなければ一対の脚部に充分な弾性力を付与することができないことが考えられるが、本構成により、一対の脚部の弾性変形部の1又は複数個所に低減部が設けられるため、当該低減部によって建具枠調整具の外形を変更することなく弾性力を調整することができるものとなり、一対の脚部に良好に弾性力を発揮させることができるものとなる。
【0012】
(3)また、前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられていることが好ましい。
【0013】
基部に対し固定部を偏心させると、一対の脚部に生じさせる弾性力が、建具枠調整具の幅方向において偏ってしまうことが考えられるが、上述の如く低減部を設けることにより、建具枠調整具の幅方向の両端部にはそれぞれ等しくモーメントが作用することとなり、これによって、各脚部全体での弾性力は幅方向において均される。この結果、弾性力は建具枠調整具の幅方向において等しく作用することとなり、開口下地と建具枠の間の間隔を幅方向において等しく維持することができるものとなっている。
したがって、本構成によれば、固定部の位置を建具枠の幅方向の中央に設ける必要がなく、固定部の位置を自由に設定することができる。
【0014】
(4)また、前記一対の脚部には、前記当接部から前記開口下地と前記建具枠のいずれか一方に向けて延在する補助脚部が設けられており、各補助脚部は、前記脚部の当接部から突出する補助弾性変形部と、該補助弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか一方と当接する補助当接部とを備え、少なくとも当該補助当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、各脚部は、開口下地と建具枠のいずれか一方に一対の脚部を当接させた状態で、いずれか他方に各補助脚部を当接させることができる。これによって、建具枠は、建具枠調整具を介して開口下地に取り付けられるものの、当該建具枠調整具は、これら建具枠と開口下地のいずれか一方に基部と、補助脚部が当接すると共に、いずれか他方に一対の脚部が当接することとなり、開口下地に対する建具枠の取り付け姿勢をより安定させたものとすることができる。
【0016】
(5)また、姿勢を安定させる点に鑑みれば、前記脚部と補助脚部とを交互に複数個有する構成を採用することは好ましい。
【0017】
(6)また、前記脚部と補助脚部には、前記弾性変形部と前記補助弾性変形部の弾性力を低減させる低減部が1又は複数個所に設けられていることが好ましい。
【0018】
建具枠調整具を形成する材料によっては、建具枠調整部の幅方向に亘って一様に弾性変形部を設けると弾性力が過大となり、これによって留め付け具の開口下地への締め付けを著しく大きなものとしなければ一対の脚部に充分な弾性力を付与することができないことが考えられるが、本構成により、一対の脚部の弾性変形部の1又は複数個所に低減部が設けられるため、当該低減部によって建具枠調整具の外形を変更することなく弾性力を調整することができるものとなり、一対の脚部に良好に弾性力を発揮させることができるものとなる。
【0019】
(7)また、前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられていることが好ましい。
【0020】
基部に対し固定部を偏心させると、一対の脚部及び補助脚部に生じさせる弾性力が、建具枠調整具の幅方向において偏ってしまうことが考えられるが、上述の如く低減部を設けることにより、建具枠調整具の幅方向の両端部にはそれぞれ等しくモーメントが作用することとなり、これによって、補助脚部を含めた脚部全体での弾性力は幅方向において均される。この結果、弾性力は建具枠調整具の幅方向において等しく作用することとなり、開口下地と建具枠の間の間隔を幅方向において等しく維持することができるものとなっている。
したがって、本構成によれば、固定部の位置を建具枠の幅方向の中央に設ける必要がなく、固定部の位置を自由に設定することができる。
【0021】
(8)また、前記脚部の低減部は、前記基部を介して対称となる位置にそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0022】
当該低減部が基部を介して対称な位置に形成されるため、当該低減部の存在によってもこれら一対の脚部に共に等しく弾性力を発揮させることができ、低減部の存在によって一対の脚部の間で弾性力が偏ってしまうことを抑止することができるものとなるのである。
【0023】
(9)また、前記低減部は、少なくとも前記弾性変形部を肉抜きして形成されることが好ましい。
【0024】
これによれば、各脚部に低減部を容易に形成することができるものとなる。また、当該肉抜きの大きさによって各脚部に発揮させる弾性力を変化させることができるものとなるので、当該弾性力の調整を容易に行うことができるものとなっている。
【0025】
(10)また、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠と、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部と、該開口下地と建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具と、を備え、該建具枠調整具は、前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の軸方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、前記基部と前記一対の脚部のいずれか一方又は両方は、前記建具枠の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、前記基部から突出する弾性変形部と、該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されていることが好ましい。
【0026】
これによれば、少なくとも一対の脚部は、建具枠又は開口下地のいずれか他方に対して、幅方向に配置された当接部を介して当接することとなる。また、当該当接部及び弾性変形部が開口下地の幅よりも幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されるので、少なくとも基部の幅方向の両端縁部に当接部及び弾性変形部が位置し、これによって開口下地(又は建具枠)の幅方向の両端部近傍に各脚部の当接部と弾性変形部が設けられることとなる。このため、建具枠調整具の幅方向の両端側に反発力の中心を設けることができ、これによって、当該建具枠に幅方向の回転力が作用する場合でも、建具枠が傾くのを脚部によって抑止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、不可避的に建具枠に幅方向廻りの回転力が長期に亘って生じる場合にも、当該回転力に対する建具枠の傾きを確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る建具枠調整具が適用可能な建具が取り付けられる建物の開口枠の例を示す斜視図である。
【図2】建物の開口枠の正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す、建具枠調整具により開口下地に取り付けられた建具枠の取付状態を示す側面からの図である。
【図4】建具枠の表面からみた建具枠調整具の正面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す、肉抜きが設けられた建具枠調整具の正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す、肉抜きが設けられた建具枠調整具の正面図である。
【図7】建具枠調整具に作用するモーメントについて説明するための概略図である。
【図8】基部を介して肉抜き(低減部)が非対称に設けられた建具枠調整具の一例を示す図である。
【図9】本発明における固定部の他の形態例を示す建具枠調整具の側面からの図である。
【図10】本発明における固定部の他の形態例を示す建具枠調整具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る建具枠調整具及び建具枠調整構造の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1、図2に示す如く、建具枠20,30,40が設けられる建物の内部空間は、床11と、天井12と、該床11から天井12まで延在して居室間又は居室と廊下とを区画する間仕切壁14とを備えている。
【0031】
特に図示はしないが、間仕切壁14は、例えば建物の床スラブの上面に敷設された床下地材と、該床下地材に対向する複数の天井野縁(図1中で符号13で示す)との間に、該複数の天井野縁13と直交する方向に延設されて、当該階の空間を仕切り、その両側に居室又は居室と廊下をそれぞれ構成している。また、当該間仕切壁14には、居室間(または居室と廊下の間)を人が往復するための開口部が設けられている。当該開口部の縁部には、仕上材としての建具枠が設けられている。また、開口部内には、建具枠の内側に収容されて当該開口部を開閉する一対の引戸や扉(いずれも図示省略)などが設けられる。開口部は、間仕切壁14を切り欠いて形成される長方形状を呈しており、当該開口部の両側縁および上縁が間仕切壁14によって規定され、下縁が床11によって規定される。また、開口部が形成されることにより、間仕切壁14の小口面が露出することとなるが、各小口面には長尺状の開口下地が取り付けられ、該開口下地に仕上材としての建具枠が取り付けられる。
【0032】
建具枠は、開口部の各縁部に沿って設けられるものであって、本実施形態の場合には、開口部の下縁に沿って設けられる下側建具枠(敷居)20と、開口部の側縁に沿って設けられる横側建具枠(竪枠)30と、開口部の上縁に沿って設けられる上側建具枠(鴨居)40とからなり、各建具枠20,30,40の端部は隣り合うそれぞれ隣り合う建具枠20,30,40の端部に接続されている。
【0033】
次に、本発明に係る建具枠調整具1及び建具枠調整構造の実施形態を説明する。
【0034】
(第1の実施形態)
本発明に係る建具枠調整具1は、間仕切壁14に設けられる開口下地15と、該開口下地15に取り付けられる横側建具枠30(以下、単に建具枠という)との間に設けられて当該建具枠30の開口下地15に対する離間距離を調整する調整具である。本実施形態の建具枠調整具1は、基部2と、一対の脚部3,4と、一対の補助脚部5、6を備えた構成であって、例えばバネ性(弾性)を有する金属製の平板が側面視波形(あるいはW形)となるようにプレス加工される等して形成されている(図3等参照)。
【0035】
基部2は、開口下地15と建具枠30のいずれか一方に当接する部分である。本実施形態の基部2は建具枠30と当接するものであり、尚かつ建具枠30との当接部分が当該建具枠30の幅方向(以下、当該建具枠30の幅方向に一致する方向のことを、特段の断りが必要なければ単に幅方向ともいう)に延設されて該建具枠30と幅方向に直線状に線接触する(本明細書において線状とは、厳密な意味での線のみならず所定の幅を有する帯状である場合も含む)ように形成されている(図4等参照)。このため、当該建具枠30に幅方向の回転力が作用したとしても、当該回転力に対する建具枠30の傾きを抑止することが可能となっている。この基部2の中心部には、留め付け具16を挿通させる挿通孔(固定部)2bが設けられている。
【0036】
脚部3,4は、開口下地15と建具枠30のいずれかに弾性的に当接するよう基部2の両側に一対設けられているものである。
本実施形態の脚部3,4は、当該基部2の幅方向の一方の側端部から他方の側端部に亘って設けられている。また、各脚部3,4は、上述の基部2を建具枠30に当接させた状態で、当該建具枠30の幅方向と直交する方向となる建具枠30の長尺方向に延在して設けられており、該基部2から離間する方向に傾斜状に突出する弾性変形部3b,4bと、該弾性変形部3b,4bの先端部に設けられて開口下地15に接触する当接部3a,4aとを備えている。
【0037】
該当接部3a,4aは、建具枠調整具1の幅方向に直線状に延在しており、該開口下地15と線接触する(図4参照)。例えば本実施形態では、これら当接部3a,4aが開口下地15の幅方向に連続するように脚部3,4がそれぞれ形成されている。このため、当該建具枠30に幅方向の回転力(ころびを生じさせるモーメント)が作用したとしても、当該回転力に対する建具枠30の傾きを抑止することが可能となっている。
また、これら一対の脚部3,4を含め本実施形態の建具枠調整具1は、開口下地15の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有するように形成されているので、上述の如き建具枠30の傾きを最大限抑止しつつ、建具枠調整具1の一部が外部から視認されないものとなっている。
【0038】
また、脚部3,4は、弾性変形部3b,4bにおいて弾性(バネ性)を有するように形成されている。こうした場合、各当接部3a,4aを、開口下地15に弾性的に接触する部位として機能させることができ、これら一対の弾性変形部3b,4bの拡縮に応じて基部2及び該基部2に接続される建具枠30を開口下地15に対して近接離間させることが可能となる。
【0039】
建具枠調整具1としては、上述の基部2および一対の脚部3,4を備えたもので足りるが、脚部3,4を適宜延伸した構成としてもよい。本実施形態では、一対の脚部3,4をそれぞれ基部2から離間する方向に延伸させ、建具枠30との補助当接部5a,6aをそれぞれ有する補助脚部5,6を形成している(図3、図4参照)。補助脚部5,6および補助当接部5a,6aの形状や形態は特に限定されないが、本実施形態では補助脚部5,6の幅を基部2や脚部3,4と同等とし、該脚部3,4の当接部3a,4aから斜め傾斜状に延在する補助弾性変形部5b,6bと、該補助弾性変形部5b,6bの先端部に形成されて開口下地15に当接する補助当接部5a,6aとを備えている。
また、該補助当接部5a,6aは、建具枠30の幅方向に連続する直線状を呈し、該建具枠に線接触可能とされている。このような補助脚部5,6は、建具枠調整具1と建具枠30との当接領域を増やし、建具枠30に幅方向の回転力が作用した場合の当該建具枠30の傾きをさらに効果的に抑止することを可能とする。このような建具枠調整具1は、矩形の板状部材をプレスするだけで比較的簡単に成形することができるという利点がある。
【0040】
また、脚部3,4と同様、これら補助脚部5,6に補助弾性変形部5b,6bにおいて弾性(バネ性)を備えさせることが好ましい。こうした場合、補助当接部5a,6aを、建具枠30に弾性的に接触する部位として機能させることができる。このような建具枠調整具1によれば、脚部3,4の当接部3a,4aを開口下地15に当接させた状態で、補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを建具枠30に当接させることができる。建具枠30は建具枠調整具1を介して開口下地15に取り付けられることになるが、本実施形態の建具枠調整具1は、これら建具枠30に、基部2と補助脚部5,6の補助当接部5a,6aとを弾性的に接触させ、さらに、開口下地15には脚部3,4の当接部3a,4aを弾性的に接触させることとなるから、開口下地15に対する建具枠30の取り付け姿勢をより安定させたものとなる。
【0041】
留め付け具16は、建具枠30を開口下地15に近接離間可能に留め付けるもので、例えば、建具枠調整具1の挿通孔(固定部)2bに貫通させたネジ部を開口下地15に螺合させる固定用ビス等を利用することができる(図3参照)。本実施形態では、建具枠30に設けられた透孔30aおよび建具枠調整具1の挿通孔2bにこの留め付け具16のねじ部を挿通し、開口下地15の所定位置にねじ込むことによって建具枠30を開口下地15に留め付ける。留め付け具16として、開口下地15へのセルフタップが可能な木ネジや、開口下地15が金属下地である場合にあってはセルフタッピングネジ(セルフドリリングネジ)を用いることも好ましい。
【0042】
(第2の実施形態)
建具枠調整具1の脚部3,4や補助脚部5,6にこれらの弾性の強さを調整するための低減部を複数設け、尚かつ各低減部の大きさを適宜調整することで、建具枠調整具1全体の肉厚や曲げ形状を変えることなく当該建具枠調整具1の反発力(弾性力、バネ力)の調整を行えるようにすることが好ましい。
以下、具体例を本発明の第2の実施形態として説明する(図5参照)。
【0043】
本実施形態では、上記第1実施形態の建具枠調整具1の各脚部3,4と該脚部3,4に連続する補助脚部5,6に亘って一対の低減部を設ける構成としている。
具体的には、各脚部3,4の弾性変形部3b,4bと当接部3a,4a、該脚部3,4に連続する補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bに亘って低減部としての肉抜き7を基部2の固定部たる挿通孔2bを介して左右一対設け、これによって各脚部3,4及び補助脚部5、6の弾性力を低減させるようにしている(図5参照)。
【0044】
このような建具枠調整具1によれば、脚部3,4と補助脚部5、6において全体的に適度な弾性力を発揮させることが可能となる。建具枠調整具は、それ自体がある程度の強度を有する必要があるため、全体の肉厚を所定の厚さとして全体の強度が確保されることとなるが、そうすると脚部3,4の弾性変形部3b,4bや補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの弾性力が過大となることがある。このように弾性力が過大な場合、これによって留め付け具16の開口下地15への締め付けを著しく大きなものとしなければこれら脚部3,4に充分な弾性力を付与することが難しくなることが生じうるが、本実施形態の如く脚部3から補助脚部5に亘って、ならびに、脚部4から補助脚部6に亘って上述の如き肉抜き7を設けて弾性力を適宜低減させることで、建具枠30の開口下地15に対する所定離間距離などに応じて脚部3,4に良好な弾性力を発揮させることが可能となる。
【0045】
なお、図5では、同等の大きさである複数の肉抜き7を一方の脚部3(4)と補助脚部5(6)において左右均等に設け、且つ、一対の脚部3,4及び補助脚部5,6としてみた場合に基部2を中心として対称的に配置した場合を示したがこれは好適な一例にすぎない。複数の肉抜き7の大きさ(幅・深さ)や形状を適宜異ならせることができるし、配置間隔を不均等にすることもできる(第3の実施形態参照)。
【0046】
(第3の実施形態)
基部2の固定部の位置が偏心する場合には、肉抜き7の位置や大きさを適宜異ならせることで、建具枠調整具1の幅方向の反発力のバランスをとることが可能となる。ここでいう基部2の固定部の偏心とは、該基部2を建具枠に留めつける留め付け具16を挿通させる挿通孔2bの位置が、建具枠調整具1の中心から幅方向にずれている状態をいう。以下、具体例を本発明の第3の実施形態として説明する(図6、図7参照)。
【0047】
本実施形態では、基部2の幅方向中心から偏心した位置に挿通孔2bを設け、さらに、脚部3,4の弾性変形部3b,4b、当接部3a,4a、補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bに亘る肉抜き7を、挿通孔2bに近い側(図6中、符号Rで示す側)の当接部3a,4aの幅を挿通孔2bに遠い側(図6中、符号Lで示す側)の当接部3a,4aの幅よりも大きくすると共に、両当接部3a,4aに等しくモーメントを作用させる位置に設けている(図6参照)。つまり、締め付け具16を締め付けることにより建具枠調整具1に荷重Nが作用した場合に、R側の脚部3,4における挿通孔2bからの距離aの位置に反力(応力)P1が作用し、L側の脚部3,4における挿通孔2bからの距離bの位置に反力(応力)P2が作用し、中央の脚部(挿通孔2bが設けられた位置に配置された脚部)3,4に反力(応力)P3が作用したとすれば、
P1×a=P2×b
となるように、つまり挿通孔2bの位置を中心として建具枠調整具1全体でモーメントが釣り合うように各肉抜き7が設けられている(図6、図7参照)。
【0048】
このように肉抜き7が設けられた建具枠調整具1によれば、肉抜き7によっていわば分断された状態の各脚部3,4の当接部3a,4aにおいて、全体として釣り合うモーメントが作用することとなるから、当該建具枠調整具1によって支持される建具枠30に幅方向の回転力(ころびを生じさせるモーメント)が作用するのを回避し、所定の状態(一般には、開口下地15に対して建具枠30が平行に取り付けられた状態)を維持することができる。したがって、本実施形態の建具枠調整具1によれば、挿通孔2bの位置を建具枠30の幅方向の中央以外に配置したいという要請に応じ、当該挿通孔2b(およびこれに挿通させる留め付け具16)の位置を自由に設定することが可能となる。
【0049】
ちなみに、図7に示したのは、モーメントの釣り合いについて説明するために簡素化して概略を示したモデルにすぎない。実際の設計においては、荷重および反力(応力)の態様をより詳細に解析して肉抜き7やこれによって分断された状態となる各脚部3,4の形状や大きさを適宜設定することができる。
【0050】
ここで、上述した肉抜き7の形状や大きさ等の態様は特に限定されることはないが、例えば本実施形態では、これら肉抜き7を、基部2を介して対称となる位置に設けている(図6参照)。こうした場合には、建具枠調整具1に荷重が作用した場合に各脚部3,4に生じるあるいは発揮させる反力(応力)を、基部2の一方側の脚部3と他方側の脚部4とで均等なものとすることができる。もちろん、これとは逆に、これら肉抜き7を基部2を中心として大きさを異ならせたり、数を異ならせたり、あるいは上側(または下側)のみを補助脚部5(6)の補助当接部5a,6aまで至る切り欠き形状としたりすることによって、上下方向において非対称となるように設けることも可能である(図8参照)。
【0051】
また、本実施形態では、上述した肉抜き7を、各脚部3,4の基部2から補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの先端部に亘って欠き込むことにより設けられる、比較的成形しやすい形態としたが、もちろんこれ以外の形態とすることもできる。これ以外の形態としては、例えばスリットやパンチ孔を設ける等を挙げることができる。要は、肉抜き7は、各脚部3,4の弾性力を適宜低減させるために設けられる低減部の好適な一例にすぎず、同様の作用を奏しうる他形態の低減部が除外されることはない。
【0052】
次に、上述した各実施形態の建具枠調整具1を利用して建具枠30を施工する場合の手順の一例を簡単に示す。
【0053】
(1) 建具枠調整具1を、開口下地15の所定位置に留め付ける。留め付けは、例えば釘やタッカー等を利用しての仮止めなどで行うことができる。一つの建具枠30に対して、複数(例えば3〜4個)の建具枠調整具1が設けられる。
【0054】
(2) 留め付け具16を用いて建具枠調整具1及び開口下地15に建具枠30を留め付ける(図3参照)。
【0055】
(3) 下げ振り等を用い、建具枠30の姿勢を確認する。
【0056】
(4) 建具枠30の開口下地15に対する離間距離を調整したい位置において、留め付け具16を緩め、または締め込むことによって建具枠30が鉛直となるように姿勢を調整する。
【0057】
(5) 建具枠30の姿勢を調整し終えたら、建具枠30の透孔30aにキャップを被せる等して目隠しする。
【0058】
上述した建具枠調整具1によれば、開口下地15に建具枠30を留め付けた状態で離間距離を調整し、建具枠30の姿勢を鉛直することや建具枠を直線状とすることが可能であるから、操作が煩雑でなく、調整が行いやすい。また、上述した建具枠調整具1はきわめて簡単な構造で済み、高い加工度を要しないから、計量化、コスト削減を図りやすいという利点もある。
【0059】
さらに、この建具枠調整具1によれば、建具枠30の取り付け後に締め付け具16を締め付けることによって当該建具枠30の出入り(姿勢)を調整でき、しかも、調整可能な範囲内おいて常に建具枠調整具1の弾性力を建具枠30に作用させることができる。
【0060】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、基部2および補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを建具枠30に当接させ、脚部3,4の当接部(線接触部位)3a,4aを開口下地15に当接させる建具枠調整具1を示したが(図3等参照)、これは一例にすぎない。特に図示はしないが、これとは逆、つまり、基部2および補助脚部5,6の補助当接部5a,6aを開口下地15に当接させ、脚部3,4の当接部(線接触部位)3a,4aを建具枠30に当接させる態様とした場合にも上述した各実施形態と同様の作用効果を奏しうる。
【0061】
また、上述した実施形態では、一対の脚部3,4において、当接部3a,4aが開口下地15または建具枠30の幅方向に配置されている場合の一例として、当該当接部3a,4aが幅方向に連続して線状に形成されているものを例示したがこれも好適な一例にすぎない。このように幅方向に配置されていれば当接部3a,4aが連続しているかどうかは問題ではなく、例えば、スポット状の複数の当接部3a,4aが幅方向に並ぶように配置されているものであっても構わない。要は、建具枠30において幅方向廻りの回転力が不可避的に作用する状況下において、当該回転力に起因する建具枠30の傾きを確実に抑止することができるよう幅方向に配置されている限り、脚部3,4の当接部3a,4aの具体例はここまで説明したものに限られることはない。
また、補助脚部5,6を設けることなく、一対の脚部3,4のみとする構成も採用可能である。また、本実施形態では脚部3,4の弾性変形部3b,4bと補助脚部5,6の補助弾性変形部5b,6bの長さを略同じとしているが、これら一方が他方よりも長い構成を採用することも可能である。
【0062】
また、上述した実施形態では、建具枠調整具1を建具枠30の裏面に留め付けて係止させる場合について説明したが、これとは逆に、建具枠調整具1を開口下地15に係止させる構成としてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、本発明に係る建具枠調整具1を鉛直な建具枠30に適用した場合を例示したが、この他、水平方向に延びる上側建具枠40に適用することもできる。
【0064】
また、上述した実施形態では、開口下地15と建具枠30のいずれか一方に建具枠調整具1を固定するため基部2に設けられる固定部の一例として挿通孔2bを例示したが、これは好適な一例にすぎない。この他、建具枠調整具1が例えば開口下地15から建具枠30を見て矩形枠となるように形成されている場合(図10参照)、当該枠の両側の位置する基部2を、固定部として機能するタッカー17等を用いて建具枠30に留め付けることとしてもよい(図9参照)。この場合も留め付け具を締め込んでいくことにより、開口下地15と建具枠30との間隔が狭まり、これによって脚部3,4と補助脚部5,6に弾性力を付与することが可能となっている。このように、当該固定部の位置は建具枠30の幅方向の中央でなくてもよいため、当該固定部の位置を自由に設定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に介在する建具枠調整具に適用して好適である。
【符号の説明】
【0066】
1…建具枠調整具、2…基部、2b…挿通孔(固定部)、3,4…脚部、3a,4a…当接部、3b,4b…弾性変形部、5,6…補助脚部、5a,6a…補助当接部、5b,6b…補助弾性変形部、7…肉抜き(低減部)、15…開口下地、17…タッカー(固定部)、30…建具枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具であって、
前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、
該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、
前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、
前記一対の脚部は、前記開口下地の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、
基部から突出する弾性変形部と、
該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、
少なくとも当該当接部が前記開口下地と建具枠のいずれか他方の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする建具枠調整具。
【請求項2】
前記一対の脚部には、前記弾性変形部の1又は複数個所に弾性力を低減させる低減部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具枠調整具。
【請求項3】
前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、
前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の建具枠調整具。
【請求項4】
前記一対の脚部には、前記当接部から前記開口下地と前記建具枠のいずれか一方に向けて延在する補助脚部が設けられており、
各補助脚部は、
前記脚部の当接部から突出する補助弾性変形部と、
該補助弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか一方と当接する補助当接部とを備え、
少なくとも当該補助当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具枠調整具。
【請求項5】
前記脚部と補助脚部とを交互に複数個有することを特徴とする請求項4に記載の建具枠調整具。
【請求項6】
前記脚部と補助脚部には、前記弾性変形部と前記補助弾性変形部の弾性力を低減させる低減部が1又は複数個所に設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の建具枠調整具。
【請求項7】
前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、
前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の建具枠調整具。
【請求項8】
前記脚部の低減部は、前記基部を介して対称となる位置にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の建具枠調整具。
【請求項9】
前記低減部は、少なくとも前記弾性変形部を肉抜きして形成される
ことを特徴とする請求項2又は請求項6又は8に記載の建具枠調整具。
【請求項10】
壁に形成される開口下地と、
該開口下地に取り付けられる建具枠と、
前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部と、
該開口下地と建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具と、
を備え、
該建具枠調整具は、
前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、
該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の軸方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、
前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、
前記基部と前記一対の脚部のいずれか一方又は両方は、前記建具枠の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、
前記基部から突出する弾性変形部と、
該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、
少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする建具枠調整構造。
【請求項1】
壁に形成される開口下地と、該開口下地に取り付けられる建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具であって、
前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、
該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の幅方向と直交する方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、
前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、
前記一対の脚部は、前記開口下地の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、
基部から突出する弾性変形部と、
該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、
少なくとも当該当接部が前記開口下地と建具枠のいずれか他方の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする建具枠調整具。
【請求項2】
前記一対の脚部には、前記弾性変形部の1又は複数個所に弾性力を低減させる低減部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具枠調整具。
【請求項3】
前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、
前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の建具枠調整具。
【請求項4】
前記一対の脚部には、前記当接部から前記開口下地と前記建具枠のいずれか一方に向けて延在する補助脚部が設けられており、
各補助脚部は、
前記脚部の当接部から突出する補助弾性変形部と、
該補助弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか一方と当接する補助当接部とを備え、
少なくとも当該補助当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具枠調整具。
【請求項5】
前記脚部と補助脚部とを交互に複数個有することを特徴とする請求項4に記載の建具枠調整具。
【請求項6】
前記脚部と補助脚部には、前記弾性変形部と前記補助弾性変形部の弾性力を低減させる低減部が1又は複数個所に設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の建具枠調整具。
【請求項7】
前記固定部は、前記基部の幅方向中心から偏心した位置に設けられ、
前記低減部は、前記幅方向でみて前記基部の一方の側端部と固定部との間の間隔を小とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積を前記基部の他方の側端部と固定部との間隔を大とする側の弾性変形部と補助弾性変形部の面積よりも大きくして、前記基部の一方の側端部に沿って設けられる当接部と前記固定部との間に生じるモーメントと、基部の他方の側縁部に沿って設けられる当接部の前記固定部との間に生じるモーメントとを等しくさせる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の建具枠調整具。
【請求項8】
前記脚部の低減部は、前記基部を介して対称となる位置にそれぞれ形成されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項6に記載の建具枠調整具。
【請求項9】
前記低減部は、少なくとも前記弾性変形部を肉抜きして形成される
ことを特徴とする請求項2又は請求項6又は8に記載の建具枠調整具。
【請求項10】
壁に形成される開口下地と、
該開口下地に取り付けられる建具枠と、
前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部と、
該開口下地と建具枠との間に設けられて当該建具枠の開口下地に対する離間距離を調整する建具枠調整具と、
を備え、
該建具枠調整具は、
前記開口下地と建具枠のいずれか一方に当接する基部と、
該基部を前記開口下地と建具枠のいずれか一方に取り付けた状態で当該開口下地と建具枠のいずれか一方の軸方向に突出し、且つ、弾性を有しつつ、前記開口下地と建具枠のいずれか他方に当接する一対の脚部と、を備え、
前記基部には、前記建具枠と前記開口下地のいずれか一方に固定される固定部が設けられ、
前記基部と前記一対の脚部のいずれか一方又は両方は、前記建具枠の幅と同程度若しくはこれより小さい幅を有して形成されており、
前記基部から突出する弾性変形部と、
該弾性変形部の先端に形成されて前記開口下地と建具枠のいずれか他方と当接する当接部とを備え、
少なくとも当該当接部が前記他方の部材の幅方向に連続又は不連続な線状に配置されている
ことを特徴とする建具枠調整構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−154084(P2012−154084A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13402(P2011−13402)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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