説明

建具

【課題】部品点数を抑えて建込み作業を効率化できるとともに、意匠性を向上させることができる建具を提供すること。
【解決手段】一対の窓部2,3において、無目4に固定される下枠52、上枠81に無目4側の端部の離れた位置にアングル片52C,81Cを設け、それ以外の各枠には外端突片を設ける構成としたことで、無目4を介して隣接する下枠52、上枠81の形状を同一にすることができるため、無目を介して隣接する窓部の全ての枠材にアングル片が形成された建具に用いられる無目と同一形状の無目を本発明の建具にも利用することができ、部品点数を抑えて建込み作業の効率化を図ることができる。また、同じシリーズの窓の場合、窓の種類が異なっていたとしても同一形状の無目を使用することができ、窓枠の連結部分の外観を共通化して意匠性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、連結部材を介して上下や左右に隣り合って設けられる複数の窓部を備えた段窓や連窓等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の窓が連設された段窓や連窓等の建具では、無目や方立により隣接する窓枠間を連結する構成が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1に記載された出窓は、引き違い障子を装着したサッシの両側に方立を介して嵌め殺し障子が取り付けられた連窓であり、特許文献2に記載された窓は、上部窓の下枠と下部窓の上枠とが無目により連結された段窓である。また、特許文献3に記載された窓は、2つの単窓の縦枠が連結材により連結された連窓である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−220954号公報
【特許文献2】特開平5−13236号公報
【特許文献3】特許3315773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、窓枠には、窓の種類に応じて、屋内側の額縁材の内装材に固定するための取付片(アングル)が設けられたものと、アングルが設けられていないものとがある。特許文献1、2の窓では、連結される各枠材の双方にアングルが設けられ、特許文献3の窓では、アングルが設けられておらず、各々の窓において、枠材の形状に応じた方立てや無目が使用されている。
しかしながら、段窓や連窓において、アングルが設けられた窓枠同士を連設させたり、アングルが設けられていない窓枠同士を連設させた段窓や連窓の需要もある。このように、枠材の形状が異なる窓枠を連設する場合、隣接する窓枠のアングルの有無に応じた複数の形状の無目や方立を用意しなければならず、部品点数の増加を招くとともに、建込み作業が煩雑になるという問題があった。また、同じシリーズの段窓や連窓であっても、隣接する窓枠の種類に応じて異なる形状の無目や方立を使用するため、外観がそれぞれ異なってしまい、窓枠の連結部の意匠性が低下してしまうという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、部品点数を抑えて建込み作業を効率化できるとともに、意匠性を向上させることができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、互いに隣り合って設けられる少なくとも一対の窓部と、これらの窓部同士を連結する連結部材とを備えた建具であって、前記一対の窓部を構成する第1窓部および第2窓部は、それぞれ前記連結部材に固定される少なくとも1つの第1枠材と、この第1枠材とは別の第2枠材とを有して構成され、前記第1枠材における前記連結部材側の端部よりも見付け方向内側の離れた位置には、見込み方向屋内側に突出する中間突片が形成され、前記第1窓部および前記第2窓部のうち少なくとも一方における前記第2枠材の見付け方向外側端部には、見込み方向屋内側に突出する外端突片が形成され、前記連結部材の屋内側における長手方向端部には、当該連結部材の端部に形成される隙間を覆う端部カバー部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、窓部としては、それぞれ各種の開閉形式に支持された可動面材(可動障子)を有したものであってもよく、また開閉不能に支持された固定面材(固定障子や固定パネル)を有したものであってもよい。そして、可動面材の開閉形式としては、引き違い形式や外開き形式、内開き形式、縦辷り出し形式、横辷り出し形式、突き出し形式、内倒し形式など、任意のものが適用可能である。また、一対の窓部の両方が開閉可能なものであってもよく、いずれか一方が開閉可能で他方が開閉不能なものであってもよく、両方が開閉不能なものであってもよい。
【0008】
以上の本発明によれば、一対の窓部を構成する第1窓部および第2窓部は、第1枠材に中間突片を設けたことで、第1窓部および第2窓部のうち少なくともいずれか一方の窓部には、第2枠材に外端突片が設けられていたとしても、隣接する第1窓部および第2窓部のそれぞれの第1枠材の形状を同一にすることができるため、中間突片が形成された第1枠材の形状に応じた連結部材を用いて隣接する窓部を連結させることができる。すなわち、連結部材を介して隣接する少なくとも一対の窓部の全ての枠材に中間突片が形成された建具に用いられる連結部材と同一形状の連結部材を本発明の建具にも利用することができるため、異なる形状の複数の連結部材を用意する必要がなく、部品点数を抑えることができ、建込み作業の効率化を図ることができる。また、同じシリーズの窓の場合、窓の種類が異なっていたとしても同一形状の連結部材を使用することができるため、窓枠の連結部分の外観を共通化して意匠性を向上させることができる。さらに、各枠材端部の接合部分において、中間突片と外端突片の形成位置が異なる場合でも、端部カバー部材で覆うことで、中間突片と外端突片との間に生じるずれや隙間を隠すことができる。
【0009】
この際、本発明の建具では、前記連結部材は、屋外側に設けられる第1連結部と、この第1連結部よりも屋内側に設けられる第2連結部とを有して構成され、前記第2連結部と前記第1枠材の前記中間突片とが連結されることが好ましい。
このような構成によれば、中間突片と第2連結部との連結構造を共通化することができ、部品の共通化を図るとともに、建具の内観意匠性を向上させることができる。さらに、中間突片と第2連結部を連結することで、突片同士の連結強度を高めることができる。
【0010】
この際、本発明の建具では、前記端部カバー部材は、前記連結部材の長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、端部カバー部材をスライドさせることで、内装材の厚みに応じて端部カバー部材を位置決めすることができる。現場では、内装材の厚みに合わせて調整カバーをスライドさせるだけでよいため、内装材に切欠を形成するなどの煩雑な作業を省略でき、優れた作業効率で建込み作業を実施することができる。
【0011】
この際、本発明の建具では、前記一対の窓部が上下に隣り合って設けられ、前記連結部材が無目であるか、または、前記一対の窓部が左右に隣り合って設けられ、前記連結部材が方立であることが好ましい。
このような構成の建具において、前述と同様に、部品点数を抑えることができ、建込み作業の効率化を図ることができる。また、窓枠の連結部分の外観を共通化して意匠性を向上させることができる。なお、本発明の建具としては、一対の窓部が上下左右に隣接するものに限らず、窓部同士が斜め方向などの任意の方向に隣接したものであってもよい。
【0012】
この際、本発明の建具では、前記第1枠材および前記第2枠材を含む枠材は、その端部に互いの長手方向と傾斜して切断された接合端縁を有して形成され、これらの接合端縁同士を突き合わせて接合されていることが好ましい。
このような構成によれば、第1枠材の接合端縁と第2枠材の接合端縁とを接合した接合部において、中間突片と外端突片との間にずれや隙間が生じるが、端部カバー部材で覆うことにより、これらのずれや隙間を隠して意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る建具としての段窓を示す正面図である。
【図2】前記段窓を示す縦断面図である。
【図3】前記段窓の一部を示す横断面図である。
【図4】前記段窓の一部を示す横断面図である。
【図5】前記段窓が額縁に取り付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図6】前記段窓に取り付けられる調整カバーを示す斜視図である。
【図7】前記段窓が額縁に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る建具としての段窓1を図面に基づいて説明する。
図1〜図4において、段窓1は、建物の外壁開口部に設けられ、上下に隣り合って設けられる一対の窓部を有している。一対の窓部は、第1窓部としての上側窓部2および第2窓部としての下側窓部3とで構成され、段窓1は、上側窓部2と下側窓部3とを連結して左右に延びる連結部材としての無目4を備えて構成されている。
【0015】
上側窓部2は、それぞれ樹脂製の上枠51、下枠52および左右の縦枠53を四周枠組みした窓枠5と、この窓枠5の内部に左右開閉自在に支持された可動障子6、この可動障子6の屋外側にて開閉不能に支持された固定障子7とを備えた片引き窓である。この上側窓部2において、下枠52の屋外側に固定障子7が支持され、下枠52の屋内側に設けられたアルミ形材製のレール部材54に可動障子6が案内されることで左右に開閉移動できるようになっている。可動障子6および固定障子7は、上框61,71、下框62,72および左右の縦框63,73を四周框組みした内部に、ガラスパネル64,74を嵌め込んで構成されている。
【0016】
上枠51は、図2に示すように、見込み方向に延びる上枠見込み面部51Aと、この上枠見込み面部51Aの屋内側端部から見付け方向内側に延出する上枠屋内面部51Bと、この上枠屋内面部51Bの見付け方向外側端部から見込み方向屋内側に突出する外端突片51Cと、上枠見込み面部51Aの屋内側端部よりも見込み方向屋外側の位置から見付け方向外側に突出する上枠固定片51Dとを有して形成されている。すなわち、上枠51によって、窓枠5における第2枠材が構成されている。下枠52は、見込み方向に延びる下枠見込み面部52Aと、この下枠見込み面部52Aの屋内側端部から見付け方向内側に延出する下枠屋内面部52Bと、この下枠屋内面部52Bの無目4側(連結部41側)の端部から見付け方向内側(可動障子6側)の離れた位置から見込み方向屋内側に突出する中間突片としてのアングル片52Cと、を有して形成されている。すなわち、下枠52は、アングル片52Cによりアングルが形成されたアングル付きの枠であり、下枠52によって、窓枠5における第1枠材が構成されている。左右の縦枠53は、図3に示すように、見込み方向に延びる縦枠見込み面部53Aと、この縦枠見込み面部53Aの屋内側端部から見付け方向内側に延出する縦枠屋内面部53Bと、この縦枠屋内面部53Bの見付け方向外側端部から見込み方向屋内側に突出する外端突片53Cと、縦枠見込み面部53Aの屋内側端部よりも見込み方向屋外側の位置から見付け方向外側に突出する縦枠固定片53Dとを有して形成されている。すなわち、左右の縦枠53によって、窓枠5における第2枠材が構成されている。
【0017】
以上の窓枠5は、各枠51,52,53の長手方向端部が45度の傾斜で切断され、これらの端面が互いに突き合わせられて接合され、上枠見込み面部51Aと縦枠見込み面部53Aが外壁開口部に当接するように配置され、外端突片51C,53Cが外壁開口部に当接してねじ止め固定されている。これらの外端突片51C,53Cの見付け方向内側に、内装材9が当接して設けられている。
【0018】
下側窓部3は、図1に示すように、それぞれ樹脂製の上枠81、下枠82および左右の縦枠83を四周枠組みした窓枠8と、この窓枠8内部に支持される面材としての開閉不能な固定ガラスパネル84とを備えた嵌め殺し窓(FIX窓)である。固定ガラスパネル84は、上側窓部2の可動障子6と同一面内に配置される。
【0019】
上枠81は、図2に示すように、見込み方向に延びる上枠見込み面部81Aと、この上枠見込み面部81Aの屋内側端部から見付け方向外側に延出する上枠屋内面部81Bと、この上枠屋内面部81Bの無目4側(連結部41側)の端部から見付け方向内側(固定ガラスパネル84側)の離れた位置から見込み方向屋内側に突出する中間突片としてのアングル片81Cとを有して形成されている。すなわち、上枠81は、アングル片81Cによりアングルが形成されたアングル付きの枠であり、上枠81によって、窓枠8における第1枠材が構成されている。下枠82は、見込み方向に延びる下枠見込み面部82Aと、この下枠見込み面部82Aの屋内側端部から見付け方向内側に延出する下枠屋内面部82Bと、この下枠屋内面部82Bの見付け方向外側端部から見込み方向屋内側に突出する外端突片82Cと、下枠見込み面部82Aの屋内側端部よりも見込み方向屋外側の位置から見付け方向外側に突出する下枠固定片82Dとを有して形成されている。すなわち、下枠82によって、窓枠8における第2枠材が構成されている。左右の縦枠83は、図4に示すように、見込み方向に延びる縦枠見込み面部83Aと、この縦枠見込み面部83Aの屋内側端部から見付け方向内側に延出する縦枠屋内面部83Bと、この縦枠屋内面部83Bの見付け方向外側端部から見込み方向屋内側に突出する外端突片83Cと、縦枠見込み面部83Aの屋内側端部よりも見込み方向屋外側の位置から見付け方向外側に突出する縦枠固定片83Dとを有して形成されている。すなわち、縦枠83によって、窓枠8における第2枠材が構成されている。
【0020】
以上の窓枠8は、各枠81,82,83の長手方向端部が45度の傾斜で切断され、これらの端面が互いに突き合わせられて接合され、下枠見込み面部82Aと縦枠見込み面部83Aが外壁開口部に当接するように配置され、外端突片82C,83Cが外壁開口部に当接してねじ止め固定されている。これらの外端突片82C,83Cの見付け方向内側に、内装材9が当接して設けられている。
【0021】
無目4は、図2に示すように、上側窓部2と下側窓部3との間に設けられ、上側窓部2の下枠52と下側窓部3の上枠81とを連結する第1連結部としての連結部41と、この連結部41の屋内側端部に設けられる第2連結部としての連結カバー部材42と、この連結カバー部材42の長手方向端部に設けられた端部カバー部材43とを備えて構成されている。
【0022】
連結部41は、アルミ形材製の中空状部材であり、上側窓部2側で見込み方向に延びて下枠見込み面部52Aにねじで取付可能な上方取付片41Aと、この上方取付片41Aに連結するとともに下側窓部3側で見込み方向に延びて上枠見込み面部81Aに取付可能な下方取付片41Bとを有して形成されている。上方取付片41Aおよび下方取付片41Bには、各屋内面部52B,81Bに沿って折曲加工された折曲部41Cがそれぞれ形成され、この折曲部41Cは、各屋内面部52B,81Bにねじで取り付けられるようになっている。折曲部41Cの端部は、各アングル片52C,81Cより見付け方向外側(連結部41側)にそれぞれ位置するように形成される。
【0023】
連結カバー部材42は、連結部41の屋内側端部に設けられてアングル片52C,81Cに取り付けられる樹脂形材製の中空状部材であって、アングル片52C,81Cの間で無目4の屋内側を形成する表面部42Aと、この表面部42Aの屋外側でアングル片52C,81Cに取付可能なアングル取付片42Bをそれぞれ有して構成されている。アングル取付片42Bは、アングル片52C,81Cの見付け方向外側(連結部41側)に当接するとともに、ねじが挿通可能な孔部42Cを有して構成されている。また、図5に示すように、連結カバー部材42の長さ方向両端部には、端部から見付け方向中央側に所定の長さを有して一対の係合溝42Dがそれぞれ形成されている。
【0024】
連結カバー部材42は、アングル片52C,81Cと略同一の長さ寸法を有している。ここで、上側窓部2の下枠52と縦枠53との長手端部は長手方向と45度の傾斜角度を有して接合されているため、アングル片52Cの長さ方向端部と外端突片53Cとの間に隙間が生じた状態となり、アングル片52Cと同一の長さ寸法を有する連結カバー部材42の長さ方向端部と外端突片53Cとの間にも隙間が生じた状態となっている(図1参照)。この隙間を覆う部材として端部カバー部材43が用いられる。
【0025】
端部カバー部材43は、樹脂製の一体成形部材であり、連結カバー部材42の長さ方向両端部にそれぞれ設けられ、図6(A)、(B)に示すように、無目4の屋内側を形成する表面部43Aと、無目4の長さ方向端部を形成する端面部43Bと、表面部43Aから延びる一対の対向面部43Cとを有して構成されている。表面部43Aの屋外側には、連結カバー部材42の一対の係合溝42Dに係合可能な一対の係合片部43Dが上下に形成されている。また、端面部43Bには、表面部43A側の端縁および対向面部43C側の端縁に沿って凸部43Eが形成され、この凸部43Eに三方を囲まれて貼付面部43Fが形成されている。また、貼付面部43Fには、接着テープ43Gが貼り付けられている。このような端部カバー部材43は、一対の係合片部43Dが連結カバー部材42の係合溝42Dに係合され、無目4の長さ方向にスライド可能に取り付けられる構成となっている。すなわち、段窓1が住宅の外壁開口部に取り付けられ、図7に示すように、無目4と外端突片53Cおよび外端突片83Cとの間に内装材9が配置されると、内装材9の厚さに応じて端部カバー部材43をスライド移動させ、端面部43Bを内装材9に当接させるとともに、接着テープ43Gを内装材9に貼り付けることによって端部カバー部材43が固定される。
【0026】
以上のような段窓1を外壁開口部に取り付ける手順を説明する。まず、上側窓部2と下側窓部3の各枠材をそれぞれ四周枠組みし、無目4の下方取付片41Bと折曲部41Cとをねじで下側窓部3の上枠81に取り付けるとともに、上方取付片41Aと折曲部41Cとをねじで上側窓部2の下枠52に取り付ける。次に、連結カバー部材42の表面部42Aの幅方向端部を、アングル片52C,81Cに合わせて配置し、アングル片52C,81Cと連結カバー部材42の孔部42Cとをそれぞれねじ止めすることで、連結部41の屋内側端部を覆う状態に連結カバー部材42を取り付け、連結カバー部材42の長さ方向両端部に端部カバー部材43をそれぞれ係合させて見付け方向中央側に位置させた状態とする。ここまでの状態まで組み立てた段窓1を現場に持ち込み、外端突片51C,53C、82C,83Cおよび各固定片51D,53D,82D,83Dを住宅の外壁開口部に取り付ける。そして、外端突片51C,53C、82C,83Cの見付け方向内側に内装材9および窓台10を固定し、端部カバー部材43を見付け方向外側にスライドさせることで内装材9に当接させ、接着テープ43Gを内装材9に貼り付けることで、段窓1の外壁開口部への建込みが完了する。
【0027】
以上の実施形態によれば、外壁開口部に取り付けられた上側窓部2の上枠51および縦枠53、ならびに下側窓部3の下枠82および縦枠83には、各屋内面部51B,53B,82B,83Bの見付け方向外側端部から見込み方向屋内側に突出する外端突片51C,53C,82C,83Cを形成し、無目4に取り付けられる上側窓部2の下枠52および下側窓部3の上枠81には、各屋内面部52B,81Bの無目4側の端部から見付け方向内側の離れた位置から見込み方向屋内側に突出するアングル片52C,81Cを形成して構成したことで、隣接する窓枠の全ての枠材にアングル片が形成された段窓に使用される無目と同一形状の無目を適用することができるため、部品点数を抑えることができ、建込み作業の効率化を図ることができる。すなわち、隣接する上方窓部および下方窓部の各窓枠が異なる種類であったとしても、上述したように、無目4に取り付けられる各枠材にアングル片が形成されるため、形状の異なる複数の無目を用意する必要がなく、部品点数を抑えて建込み作業を効率化することができる。また、同じシリーズの窓の場合、組み合わせる窓の種類が異なっていたとしても無目4は同一形状となるため、外観を共通化でき、意匠性を向上させることができる。
【0028】
また、連結カバー部材42の長さ方向両端部に端部カバー部材43をそれぞれ設けたことで、下枠52のアングル片52Cと縦枠53の外端突片53Cの形成される位置が異なるために下枠52と縦枠53との接合部分に生じていたずれや隙間を隠すことができる。また、下側窓部3における上枠81についても同様に、上枠81のアングル片81Cと縦枠83の外端突片83Cの形成される位置が異なるために上枠81と縦枠83との接合部分に生じていたずれや隙間を覆うことができる。このように、隙間を屋内側から見えない状態にすることができるため、意匠性に優れている。また、端部カバー部材43が無目4の長手方向にスライド可能に取り付けられることで、外壁開口部の内装材9や窓台10の厚さ寸法に応じてその位置を調整することができるため、現場での調整が容易となり、建込み作業性に優れている。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、上下に一対の窓が連設された段窓1を例示して説明したが、本発明の建具は、複数の窓が方立を介して左右に連設された連窓であってもよい。さらに、上下左右に限らず、一対の窓が斜め方向などの任意の方向に連接された窓であってもよい。
また、窓部は矩形状のものに限らず、四角形以外の多角形状等でもよく、この場合にも、窓部同士が上下左右や斜め方向に連設されたものであってもよい。
また、前記実施形態では、上側窓部2に片引き窓、下側窓部3にFIX窓を用いた段窓1を例示して説明したが、上側窓部2および下側窓部3に用いる窓は、引き違い形式や外開き形式、内開き形式、縦辷り出し形式、横辷り出し形式、突き出し形式、内倒し形式など、任意のものが適用可能である。また、一対の窓部の両方が開閉可能なものであってもよく、いずれか一方が開閉可能で他方が開閉不能なものであってもよく、両方が開閉不能なものであってもよい。
【0030】
また、前記実施形態では、2枚の窓部を1本の連結部材で連結する段窓1を例示したが、3枚以上の各窓部の間をそれぞれ連結する2本以上の連結部材を有する段窓や連窓であってもよい。
また、前記実施形態では、接着テープ43Gを用いて端部カバー部材43を内装材9に固定する構成としたが、これに限られず、例えば、端部カバー部材43に、端面部43Bと同一面を有してねじ孔が形成された取付片部を形成し、見付け方向内側からこのねじ孔および内装材9にねじを挿通させることで固定する構成としてもよい。
【0031】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
1…段窓(建具)、2…上側窓部(第1窓部)、3…下側窓部(第2窓部)、4…無目(連結部材)、5…窓枠、6…可動障子、7…固定障子、8…窓枠、9…内装材、41…連結部(第1連結部)、42…連結カバー部材(第2連結部)、43…端部カバー部材、51…上枠、51C…外端突片、52…下枠、52C…アングル片(中間突片)、53…縦枠、53C…外端突片、81…上枠、81C…アングル片(中間突片)、82…下枠、82C…外端突片、83…縦枠、83C…外端突片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣り合って設けられる少なくとも一対の窓部と、これらの窓部同士を連結する連結部材とを備えた建具であって、
前記一対の窓部を構成する第1窓部および第2窓部は、それぞれ前記連結部材に固定される少なくとも1つの第1枠材と、この第1枠材とは別の第2枠材とを有して構成され、
前記第1枠材における前記連結部材側の端部よりも見付け方向内側の離れた位置には、見込み方向屋内側に突出する中間突片が形成され、
前記第1窓部および前記第2窓部のうち少なくとも一方における前記第2枠材の見付け方向外側端部には、見込み方向屋内側に突出する外端突片が形成され、
前記連結部材の屋内側における長手方向端部には、当該連結部材の端部に形成される隙間を覆う端部カバー部材が設けられている建具。
【請求項2】
前記連結部材は、屋外側に設けられる第1連結部と、この第1連結部よりも屋内側に設けられる第2連結部とを有して構成され、前記第2連結部と前記第1枠材の前記中間突片とが連結される請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記端部カバー部材は、前記連結部材の長手方向に沿ってスライド可能に取り付けられている請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記一対の窓部が上下に隣り合って設けられ、前記連結部材が無目であるか、または、前記一対の窓部が左右に隣り合って設けられ、前記連結部材が方立である請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記第1枠材および前記第2枠材を含む枠材は、その端部に互いの長手方向と傾斜して切断された接合端縁を有して形成され、これらの接合端縁同士を突き合わせて接合されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−72584(P2012−72584A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217209(P2010−217209)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】