建物の基礎構造及び建物の基礎工法
【課題】断熱材にシロアリが侵入することを効果的に防ぐことができ、しかも施工工程が簡単な、建物の基礎構造及び建物の基礎工法を提供する。
【解決手段】建物の基礎構造1は、上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブ2と該基礎スラブ2の屋外側に上面が当該基礎スラブ2と同じ高さに設置される張出部3との間に基礎中断熱材4が配設され、前記基礎スラブ2の外周縁上に外周立上がり部8を設けるとともに、前記基礎中断熱材4の上に前記外周立上がり部8の外周側面に固定される立上がり部用断熱材7を設けた建物の基礎構造1であって、前記基礎スラブ2と前記張出部3とは前記基礎中断熱材4の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ2及び当該張出部3を一体形成した。
【解決手段】建物の基礎構造1は、上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブ2と該基礎スラブ2の屋外側に上面が当該基礎スラブ2と同じ高さに設置される張出部3との間に基礎中断熱材4が配設され、前記基礎スラブ2の外周縁上に外周立上がり部8を設けるとともに、前記基礎中断熱材4の上に前記外周立上がり部8の外周側面に固定される立上がり部用断熱材7を設けた建物の基礎構造1であって、前記基礎スラブ2と前記張出部3とは前記基礎中断熱材4の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ2及び当該張出部3を一体形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防蟻性に優れた建物の基礎構造及び建物の基礎工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より住宅の仕様として高気密・高断熱のものが普及しており、建築物を断熱することが多い。このような建築物の断熱工法としては、外断熱工法と内断熱工法とがあるが、断熱きれを起こしにくく、施工が容易であり、断熱材の室内側に位置する建築物の構造躯体の耐久性を高めることができるなどの点で外断熱工法が有利である。
【0003】
ところで、このような外断熱構造を用いた場合、土中からのシロアリが基礎外面に取り付けた断熱材に侵入し、その断熱材を食い破りながら蟻道を形成して基礎外面を這い上がり、基礎の上方に設けた土台や柱等の躯体構造物にまで侵入してしまう。その場合、シロアリの被害の発見が著しく遅れ、気付いたときには甚大な被害となっているという問題がある。
【0004】
そこで、外断熱構造において断熱材中にシロアリが侵入することを防ぐために、断熱材の外側面を覆って防蟻シートを貼り付けるとともに、この防蟻シートの下端縁を布基礎に密着させた発明(特許文献1参照)や防蟻性能を有する部材を、基礎の外周に設けられた発泡プラスチック断熱材の地上部分の厚み方向の全体にわたって覆うとともに、基礎の上面もしくは外周面に当接して設けた発明(特許文献2参照)が提案されている。また、この特許文献2では、この防蟻性能を有する部材として例えばコンクリートブロックで断熱材の外側を覆う点も提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−350502
【特許文献2】特開2000−17747
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように断熱材の屋外側面に沿って防蟻シートを貼り付ける場合、作業工程が複雑なものとなりやすく、作業者によって防蟻性能に差がでやすい。さらに特別な防蟻シートを用いるので、高いコストがかかる。また、コンクリートブロックで断熱材の屋外側面を覆う場合、まずコンクリートを打設して基礎を形成して養生し、断熱材を貼り付けた後、さらにコンクリートを打設してコンクリートブロックを形成するので、コンクリートの養生に余計な時間がかかり、作業コストが増大する。さらに、基礎とコンクリートブロックとの間に打ち継ぎが発生するので、この打ち継ぎの間からシロアリが侵入する虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、断熱材にシロアリが侵入することを効果的に防ぐことができ、しかも施工工程が簡単な、建物の基礎構造及び建物の基礎工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の建物の基礎構造は、上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設され、
前記基礎スラブの外周縁上に外周立上がり部を設けるとともに、前記基礎中断熱材の上に前記外周立上がり部の外周側面に固定される立上がり部用断熱材を設けた建物の基礎構造であって、前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の建物の基礎構造は、基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設される建物の基礎構造であって、前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の建物の基礎構造は、前記基礎中断熱材が前記張出部の屋外側に設けられた外型枠に固定されるセパレータにより所定間隔浮かせて支持された状態で、前記基礎スラブ及び前記張出部にコンクリートを打設養生することにより固定されたものであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の建物の基礎構造は、前記張出部に鉄筋が埋め込まれていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の建物の基礎構造は、前記基礎中断熱材は、その上端が前記基礎スラブ及び前記張出部の上面よりも高く配置されることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の建物の基礎構造は、前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配部が形成されたことを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の建物の基礎構造は、前記張出部の上端部に、屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の建物の基礎構造は、前記コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれていることを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の建物の基礎工法は、基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成し、その後、前記基礎スラブの上に外周縁から所定の距離を開けて屋内側立上がり部用型枠を設けるとともに、張出部の上に屋外側立上がり部用型枠を設け、前記基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置して屋外側立上がり部用型枠に固定し、その後、コンクリートを打設養生することにより外周立上がり部を形成することを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の建物の基礎工法は、基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成することを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の建物の基礎工法は、前記外型枠は、その上端が前記基礎スラブの上面となる位置よりも所定高さ低くなるように設置し、その後、前記外型枠の屋外側を当該外型枠の上端と同じ高さまで埋め戻した後で、前記基礎スラブと、前記張出部と、当該張出部の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体と、を一体的に打設することを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載の建物の基礎工法は、前記基礎中断熱材の上端を前記外型枠よりもやや高く設置することを特徴としている。
【0020】
請求項13に記載の建物の基礎工法は、前記基礎中断熱材を前記セパレータの他端に取り付けた後であって、前記コンクリートを打設して前記基礎スラブと前記張出部とを形成する前に、一端が前記セパレータに固定されるとともに、他端が前記基礎の下に形成される捨てコンクリートに固定される針金を設置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の建物の基礎構造によると、基礎中断熱材の屋外側にコンクリートを打設養生して形成される張出部が設けられており、シロアリはコンクリートを通過することはできないので、優れた防蟻性を発揮することができる。さらに、基礎スラブと張出部とを形成する空間は基礎中断熱材の下方で連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成しているので、基礎スラブと張出部との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で基礎スラブと張出部とを同時に形成することができるので作業性に優れ、養生時間も短縮できる。
【0022】
請求項2に記載の建物の基礎構造によると、請求項1と同様に、基礎スラブと基礎中断熱材の下方において連通する張出部とを備えているので、基礎スラブと張出部との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で基礎スラブと張出部とを同時に形成することができるので作業性に優れ、養生時間も短縮できる。そして、この構造は、基礎スラブの上に外周立上がり部を設けない基礎構造にも適用することができる。
【0023】
請求項3に記載の建物の基礎構造によると、外型枠に固定されるセパレータを用いることにより、基礎中断熱材を外型枠から所定距離を開けた状態で浮かせて支持することができ、これにより基礎スラブと張出部とを一体形成することができる。
【0024】
請求項4に記載の建物の基礎構造によると、張出部に鉄筋が埋め込まれているので、基礎スラブのみならず張出部の耐久性を高めることができ、ひび割れ発生を抑制する効果があるので、経年により外観が劣化することを防止できるとともに、シロアリの侵入をより効果的に阻止できる。
【0025】
請求項5に記載の建物の基礎構造によると、基礎中断熱材の上端が基礎スラブ及び張出部の上面よりも高く配置されるので、外周立上がり部を設ける際に、適切な位置に立上がり部用の型枠を設置することができる。また、コンクリートを打設する際に基礎スラブ及び張出部に打設されたコンクリートが溢れて、基礎中断熱材の上端にコンクリートが付着することを抑制できるので、この基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を隙間なく設置することができ、より断熱性を高めることができる。
【0026】
請求項6に記載の建物の基礎構造によると、前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配が設けられることで、張出部から屋内側に雨水が侵入することを防ぐことができる。
【0027】
請求項7に記載の建物の基礎構造によると、前記張出部の上端部から屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されているので、建物の基礎構造の周囲に他の隣接構造体をそれぞれ打設し養生する場合に比べて、施工時間を短縮することができるとともに、張出部とコンクリート構造体との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。なお、ここでコンクリート構造体として、建物の犬走り部や玄関ポーチを例示することができるが、これに限定されるものではなく、建物の基礎構造に屋外側に形成される種々のコンクリート構造体に適用することができる。
【0028】
請求項8に記載の建物の基礎構造によると、コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれているので、コンクリート構造体の耐久性を高めることができ、ひび割れ発生を抑制する効果があるので、経年により外観が劣化することを防止できるとともに、シロアリの侵入をより効果的に阻止できる。
【0029】
請求項9に記載の建物の基礎工法によると、外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように設置して、このセパレータの他端に、外型枠から屋内方向に所定間隔を開け、且つ下端を所定間隔浮かせるように基礎中断熱材を配置し、基礎中断熱材の屋内側と基礎中断熱材の屋外側とを基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生するので、基礎スラブと張出部とを一回の打設作業で形成することができ、型枠の設置作業やコンクリートの打設作業などの作業時間及び養生時間を短縮することができる。そして、基礎スラブと張出部とを一体形成することになるので、コンクリートの打ち継ぎができることがなく、シロアリが打ち継ぎの間隙を通過する虞も無く、シロアリが板状防蟻材に到達することを確実に防止できる。
【0030】
請求項10に記載の建物の基礎工法によると、外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように設置して、このセパレータの他端に、外型枠から屋内方向に所定間隔を開け、且つ下端を所定間隔浮かせるように基礎中断熱材を配置し、基礎中断熱材の屋内側と基礎中断熱材の屋外側とを基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生するので、外周立上がり部を設けない建物の基礎工法においても、基礎スラブと張出部とを一回の打設作業で形成することができ、型枠の設置作業やコンクリートの打設作業などの作業時間及び養生時間を短縮することができる。そして、基礎スラブと張出部とを一体形成することになるので、コンクリートの打ち継ぎができることがなく、シロアリが打ち継ぎの間隙を通過する虞も無く、シロアリが板状防蟻材に到達することを確実に防止できる。
【0031】
請求項11に記載の建物の基礎工法によると、コンクリート構造体と、基礎スラブ及び張出部と、が一体的に打設されるので、コンクリート構造体と張出部との間、及び基礎スラブと張出部との間にコンクリートの打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過できる間隙が生じることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で例えば犬走りや玄関ポーチ等のコンクリート構造体を基礎スラブ及び張出部と同時に形成することができるので、作業性に優れ、養生時間も短縮できる。
【0032】
請求項12に記載の建物の基礎工法によると、基礎中断熱材の上端が外型枠よりもやや高く設置されるので、コンクリートを打設して基礎スラブ及び張出部を形成した時に、この基礎スラブ及び張出部から基礎中断熱材の上端がやや突出した状態となる。したがって、この基礎中断熱材の上端がガイドとなるので、屋外側立上がり部用型枠を適切な位置に設置しやすく、また、基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置しやすくなり、より容易に施工できる。そして、外周立上がり部を打設したときに発生するコンクリートノロを、基礎中断熱材の上端が堰き止めるので、コンクリートノロが外周立上がり部の下端から屋外側に漏れることを阻止できる。
【0033】
請求項13に記載の建物の基礎工法によると、一端がセパレータに固定されるとともに、他端が捨てコンクリートに固定される針金が設置されるので、特に基礎が深い場合のように基礎中断熱材に基礎スラブ及び張出部のコンクリートを打設する際に大きな浮力がかかる場合にも、基礎中断熱材を浮き上がらせることなくコンクリートを打設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下において、本発明の建物の基礎構造1及び基礎工法の第1の実施形態について、図1から図13を参照しつつ説明する。本実施形態における建物の基礎構造1は、図1に示すように、その上面が地面GLよりも所定程度高くなるように基礎スラブ2が形成され、この基礎スラブ2の屋外側に上面が基礎スラブ2と同じ高さに張出部3が形成されており、これら基礎スラブ2と張出部3との間には基礎中断熱材4が設置されている。なお、この基礎スラブ2及び張出部3の上面の高さは、具体的には例えば地面GLから5cm以上であることが好ましく、より好ましくは10cm以上であることが望ましい。シロアリは、その習性から外気に露出しない地中や建材の隙間などに蟻道を作って移動するものであり、地面から少なくとも5cmほどの高さまで、より好ましくは10cmほど高さまでを隙間なくコンクリートで覆うことで、シロアリが基礎中断熱材4に到達する蟻道を作ることを阻止でき、シロアリが基礎中断熱材4に到達することを防止できる。
【0035】
張出部3は、防蟻性能及び耐久性の観点からその幅が5cm以上であることが好ましく、施工の際に基礎中断熱材4を容易に支持するために、幅15cm以下であることが好ましい。また、張出部3は無筋とすることもできるが、より耐久性を高めるために例えば径が4mm以上のワイヤメッシュや径10mm以上の異形鉄筋を配筋することが好ましい。
【0036】
基礎中断熱材4は、例えば合成樹脂発泡体から構成され、その下端が基礎スラブ2及び張出部3が設置される捨てコンクリート6から10〜15cm間を開けて上方に設けられており、基礎スラブ2及び張出部3はこの基礎中断熱材4と捨てコンクリート6との間において連通し、一体的にコンクリートを打設して形成されている。したがって、基礎中断熱材4はその屋内側面、屋外側面及び下端面がいずれもコンクリートに覆われており、しかもそのコンクリートで形成された基礎スラブ2及び張出部3は打ち継ぎなく一体形成されているので、シロアリが基礎中断熱材4に到達できる経路がない構造となっている。
【0037】
また基礎中断熱材4は、その上端が基礎スラブ2及び張出部3の上面と面一であるか、又は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されている。これにより、基礎スラブ2及び張出部3を打設したときに基礎中断熱材4の上端は外部に露出するように構成されている。したがって基礎中断熱材4の上に立上がり部用断熱材7を間を開けずに設置することができ断熱性を高めることができる。なお、基礎中断熱材4の上面は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されているほうが特に好ましい。この場合は、基礎スラブ2及び張出部3を打設する際にコンクリートが基礎中断熱材4の上面に付着することを抑制でき、より確実に基礎中断熱材4の上に立上がり部用断熱材7を間を開けずに設置することができる。また、このように基礎中断熱材4の上面は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されていることで、外周立上がり部8を打設する際にコンクリートノロを堰き止めることができ、外周立上がり部8の下端の屋外側にコンクリートノロが漏れ出すことを防ぐことができる。なお、基礎スラブ2及び張出部3を打設する前に、コンクリートの付着を防止するために基礎中断熱材4の上面に養生テープを被覆することがより好ましい。
【0038】
外周立上がり部8は、基礎スラブ2の外周縁に沿ってその上面にコンクリートを打設して設置される。そして、この外周立上がり部8の屋外側には例えば合成樹脂発泡体から構成された板状の立上がり部用断熱材7が基礎中断熱材4の上端に隙間なく載置されるように取付けられている。立上がり部用断熱材7の屋外側面及び基礎中断熱材4上端の外部に露出している部分の屋外側面には、例えば雨水等が断熱材4、7の内部に侵入することを防止し、例えば合成樹脂発泡体で形成された断熱材4、7の日射による表層の劣化を防止する仕上材としてモルタル10が塗布されている。なお、このモルタル10がひび割れを起こすことを防止し、より一層断熱材4、7内部に雨水等が侵入することを防ぐために、このモルタル10の中に例えば耐アルカリ性ガラス繊維ネット等の補強材を埋設することがより好ましい。
【0039】
張出部3の上面であって、モルタル10の屋外側に、屋内側から屋外側に向かって下方に傾斜する勾配部11がコンクリート又はモルタル等により形成されていることが好ましい。このように構成することで、例えば図示しない外壁からモルタル10を伝って流下した雨水等がこの勾配部11の上面に形成された傾斜により屋外側に排出されることとなり、屋内側に設置された断熱材4、7に侵入することをより効果的に防止できる。
【0040】
基礎スラブ2及び外周立上がり部8の内部には図2に示すように、適切なかぶり厚を確保できる位置に鉄筋12が配筋されており、コンクリートを補強している。なお、例えば図3に示すように、適切なかぶり厚を確保できるのであれば、張出部3及び基礎中断熱材4の下方の張出部3と基礎スラブ2との連通箇所13にも鉄筋12を配筋することがより好ましい。基礎中断熱材4の屋外側に設置される張出部3及び連通箇所13を補強することでひび割れを防止し、より確実にシロアリの侵入を抑制できる。
【0041】
以上のように構成される建物の基礎構造1を造成する建物の基礎工法は、図示しないが、例えばくい打ちや地盤改良など地盤の補強を行ったうえで、図4に示すように、まず建物の基礎構造を設置する位置を所定深度まで掘り下げ、割栗石14を設置して、捨てコンクリート6を打設する。そして、外型枠5を建物の基礎構造1の外周となる位置に設置するとともに、所定位置に鉄筋12を配筋する。
【0042】
次に、図5に示すように外型枠5の中間位置を例えば丸型セパレータなどのセパレータ15で貫通し、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定し、屋内側からプラスチックコーン18で固定する。これによりセパレータ15は、他端側を屋内側に向けた状態で外型枠5に支持される。そして、基礎中断熱材4の中間部をセパレータ15の他端側で貫通した状態で、基礎中断熱材4の両側から幅広の断熱材用コーン19で挟持して固定する。このとき、基礎中断熱材4の下端は、捨てコンクリートから上方に10〜15cm程度開けた状態に保持し、また外型枠5から屋内側に5〜15cm程度開けた状態に保持する。
【0043】
そして、図6に示すように、コンクリートを打設して基礎スラブ2と張出部3とを一体形成する。すなわち、コンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入すると、基礎中断熱材4はセパレータ15に支持されて、上方に10〜15cm程度浮いているので、この基礎中断熱材4と捨てコンクリート6との間を通って、コンクリートが基礎中断熱材4の屋外側にも流入し、基礎スラブ2と張出部3とを一体形成することができる。このとき、基礎中断熱材4の上端は、基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上方に配置され、外部に露出している。なお、コンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入するとともに、又はコンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入することに替えて、コンクリートを基礎中断熱材4と外型枠5との間にコンクリートを注入してもよい。
【0044】
そして次に、所定期間養生して、基礎スラブ2及び張出部3を固めた後、図7に示すように、フォームタイ15、単管16及び外型枠5を取り外し、図8に示すように、屋外側立上がり部用型枠20と屋内側立上がり部用型枠21とを互いに所定間隔を保って平行に設置する。屋外側立上がり部用型枠20は、張出部3の上に、基礎中断熱材4の上端に当接するように設置される。このように基礎中断熱材4をガイドにして設置するので、屋外側立上がり部用型枠20を極めて容易に適切な位置に設置することができる。そして、この屋外側立上がり部用型枠20に立上がり部用断熱材7を取付けて、これら屋外側立上がり部用型枠20及び立上がり部用断熱材7の中間位置をセパレータ15で貫通する。そして、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定するとともに他端側から外挿した断熱材用コーン19で固定する。そして、この立上がり部用型枠20から所定距離を開けて屋内側に屋内側立上がり部用型枠21をセパレータ15に貫通されつつ設置し、その屋内側からセパレータ15を上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定する。なお、立上がり部用断熱材7を型枠兼用として使用することもでき、このようにすると屋外側立上がり部用型枠20を不要とすることができる。
【0045】
そして、図9に示すように、立上がり部用断熱材7と屋内側立上がり部用型枠21との間にコンクリートを打設して、外周立上がり部8を形成する。このとき、外周立上がり部8の屋外側の下端には、基礎中断熱材4がやや上方に突出して配置されているので、外周立上がり部8のコンクリートノロがこの基礎中断熱材4によって堰き止められて、屋外側に流出することを防ぐことができる。その後、コンクリートを所定期間養生して、図10に示すように、屋外側と屋内側とのそれぞれに設置されたフォームタイ15、単管16を取り外し、屋外側立上がり部用型枠20及び屋内側立上がり部用型枠21も取り外す。
【0046】
そして、図11に示すように、立上がり部用断熱材7及び基礎中断熱材4の上端側の屋外側に露出している面に仕上材としてのモルタル10を塗布し、雨水等が断熱材4、7に侵入することを抑止する。そして、張出部3の上面であって、モルタル10の屋外側にコンクリートで屋外側に向けて下方に傾斜する勾配部11を形成し、その後、図2に示すように、張出部3の屋外側を埋め戻して、建物の基礎構造1を完成する。
【0047】
以上のように、第1の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法を用いると、シロアリが基礎中断熱材4に侵入することを極めて有効に防止することができ、しかもコンクリートの打設作業や型枠の設置作業が簡単であり、養生時間も短縮できる。
【0048】
なお、この実施形態においては、基礎中断熱材4を支持するセパレータ15は上下方向には1本づつ設置されるものであったが、より深い建物の基礎構造1である場合には、例えば図12に示すように、上下方向に2本以上のセパレータ15で基礎中断熱材4を支持することが好ましい。建物の基礎構造1が深い場合は例えば図13に示すように、コンクリートを打設する際に基礎中断熱材4にかかる浮力も大きくなるが、このように、2本のセパレータ15で保持することで、基礎中断熱材4が浮き上がり施工不良となることを防止できる。なお、このセパレータ15の本数は建物の基礎構造1の深さや支持する基礎中断熱材4の位置によって3本以上とすることもできる。なお、外周立上がり部8を打設する際に用いられるセパレータ15についても、外周立上がり部8の高さが高い場合には2本以上設けることができる。
【0049】
また、図12に示すように、セパレータ15に針金22の一端を固定し、この針金22の他端を捨てコンクリート6に固定された釘23に固定すれば、コンクリートの打設により基礎中断熱材4にかかる浮力をセパレータ15を介して針金22で受けることができるので、基礎中断熱材4の浮き上がりを防止することができる利点がある。
【0050】
なお、この第1の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法は、建物の基礎構造1の防蟻性能を発現できる他の様々な技術を組み合わせることができるものであり、必要に応じて物理的に又は化学的にシロアリの侵入を阻害する構成と組み合わせてもよい。
【0051】
また、この第1の実施形態においては、基礎スラブ2の上に外周立上がり部8を設ける構成としたが、設計上外周立上がり部8が必要ない場合は、例えば図14及び図15に示すように、基礎スラブ2の上にそのまま建物の躯体を設置する構成としてもよい。この場合、基礎スラブ2及び張出部3の上面は、地面GLよりも例えば10cmほど高いことが防蟻上好ましいが、例えば建物に地下室などを設置する場合には、基礎スラブ2及び張出部3の上面が地上よりも低く配置され、これら基礎スラブ2及び張出部3と、この基礎スラブ2及び張出部3の上に配置された図示しない地下室の壁と、の間に必要に応じて物理的に又は化学的にシロアリの侵入を阻害する構成を設けるものであってもよい。
【0052】
また、この第1の実施形態においては、例えば図5に示すように、地面GLを所定深度まで掘り下げた後に、やや空間を開けて垂直に外型枠5を設置しているが、これに限定されるものではなく、例えば図16に示すように、地面GLを掘り下げて形成した壁に外型枠5が沿うように上方に向かって外型枠5の下部分5aが広がるように配置されており、外型枠5の地面GLから突出する部分5bが垂直に設置されるものであってもよい。そしてこの場合においても、セパレータ15の一端を外型枠5に固定し、セパレータの他端に基礎中断熱材4を固定する。このとき図16に示しているように、外型枠5と基礎中断熱材4との間の距離をやや長く形成することもでき、このように構成した外型枠5内にコンクリートを注入することで、図17に示すように張出部3を大きく形成することができる。このように張出部3の形状を大きくとることで、張出部3をシロアリからのバリアとしてのみならず、建物の犬走りや玄関ポーチとしても用いることができる。
【0053】
次に本発明の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法の第2の実施形態について、図18から図21を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。この第2の実施形態の建物の基礎構造1は、図18に示すように、張出部3の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体24がこの張出部3と一体的に形成されている。ここでコンクリート構造体24としては、建物の基礎の屋外側に設けられる犬走りや玄関ポーチを例示することができるが、これに限らず、建物の基礎の屋外側に設けられる様々なコンクリート構造体に適用することができる。
【0054】
この第2の実施形態の建物の基礎構造1を施工する建物の基礎工法は、例えばくい打ちや地盤改良などを地盤の補強を行ったうえで、図19に示すように、まず、建物の基礎構造を設置する位置を所定深度まで掘り下げ、割栗石14を設置して、捨てコンクリート6を打設する。そして、その上端が地面GLよりもやや低くなるように外型枠5を設置するとともに、所定位置に鉄筋12を配筋する。なお、鉄筋12の配置は、図18に示すように、基礎スラブ2及び外周立上がり部8にのみ配筋されるものであってもよいが、張出部3及びコンクリート構造体24にも配筋されることがより好ましい。
【0055】
そして次に、外型枠5のやや上端寄りに例えば丸型セパレータなどのセパレータ15で貫通し、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定し、屋内側からプラスチックコーン18で固定する。これによりセパレータ15は、他端側を屋内側に向けた状態で外型枠5に支持される。そして、基礎中断熱材4のやや下端よりの部分をセパレータ15の他端側で貫通した状態で、基礎中断熱材4の両側から幅広の断熱材用コーン19で挟持して固定する。このとき、基礎中断熱材4の下端は、捨てコンクリートから上方に10〜15cm程度開けた状態に保持し、また外型枠5から屋内側に5〜15cm程度開けた状態に保持する。また、この基礎中断熱材4の上端は、少なくとも基礎スラブ2の上面と同じ高さ以上となるように配置され、外型枠5の上端よりも高い位置に配置される。
【0056】
そして、図20に示すように、外型枠5の屋外側を当該外型枠5の上端と同じ高さまで埋め戻し、さらにその屋外方向にコンクリート構造体用外型枠25を設置する。次いで、図21に示すように、基礎スラブ2、張出部3、及びコンクリート構造体24をコンクリートを一体的に打設し、養生することにより形成する。すなわち基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入し、基礎中断熱材4と捨てコンクリート6の間の空間を通って、張出部3にもコンクリートを流し込むとともに、外型枠5の上端から屋外側にコンクリートを溢れさせるようにして、コンクリート構造体24を形成する。なお、基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入することとともに、又は基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入することに替えて、コンクリート構造体24を形成する空間にコンクリートを注入してもよい。
【0057】
その後、コンクリート構造体用外型枠25を取り外す。そして、図18に示すように、第1の実施形態と同様の工法により外周立上がり部8を形成し、その表面にモルタル10を塗布するとともに、勾配部11を形成し建物の基礎構造1を完成する。
【0058】
以上のように第2の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法によると、建物の基礎構造1の周囲に他の隣接構造体をそれぞれ打設し養生する場合に比べて、施工時間を短縮することができるとともに、張出部3とコンクリート構造体24との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。
【0059】
なお、本発明の実施の形態は、本実施形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法は、建物基礎の屋外側に断熱材を配置する構造及び工法において、高い防蟻性を有する建物の基礎構造1および建物の基礎工法として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図2】基礎スラブ、張出部及び外周立上がり部を説明する一部省略拡大断面図。
【図3】張出部にも鉄筋を配筋した状態を説明する一部省略拡大断面図。
【図4】第1の実施形態に係る建物の基礎工法の外型枠および鉄筋を配置した状態を説明する図。
【図5】基礎中断熱材をセパレータに支持させた状態を説明する図。
【図6】コンクリートを打設して、基礎スラブ及び張出部を形成した状態を説明する図。
【図7】外型枠を取り外した状態を説明する図。
【図8】屋外側立上がり部用型枠及び屋内側立上がり部用型枠を設置した状態を説明する図。
【図9】コンクリートを打設して外周立上がり部を形成した状態を説明する図。
【図10】屋外側立上がり部用型枠及び屋内側立上がり部用型枠を取り外した状態を説明する図。
【図11】基礎中断熱材の上端部及び立上がり部用断熱材の屋外側にモルタルを塗布し、勾配部を形成した状態を説明する図。
【図12】第1の実施形態の変形例として建物の基礎構造がより深く形成される場合の構成を説明する図。
【図13】図12の変形例において、コンクリートを打設した状態を説明する図。
【図14】第1の実施形態の別の変形例として、外周立上がり部を設けない構成の建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図15】図14の実施形態の基礎スラブ、及び張出部を説明する一部省略拡大断面図。
【図16】第1の実施形態の変形例として、地面を掘り下げて形成した壁に沿うように傾斜させて、基礎中断熱材から所定距離を開けて外型枠を設置した建物の基礎工法を説明する簡略断面図。
【図17】図16の実施形態において、コンクリートを打設して基礎スラブ及び張出部を形成した状態を説明する簡略断面図。
【図18】第2の実施形態に係る建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図19】第2の実施形態に係る建物の基礎工法を説明する外型枠及び基礎中断熱材を設置した状態を示す図。
【図20】図19の状態から外型枠の屋外側を埋土し、コンクリート構造体用外型枠を設置した状態を示す図。
【図21】基礎スラブ、張出部、コンクリート構造体を一体的に打設養生した状態を説明する図。
【符号の説明】
【0062】
1 建物の基礎構造
2 基礎スラブ
3 張出部
4 基礎中断熱材
5 外型枠
6 捨てコンクリート
7 立上がり部用断熱材
8 外周立上がり部
11 勾配部
12 鉄筋
15 セパレータ
20 屋外側立上がり部用型枠
21 屋内側立上がり部用型枠
22 針金
24 コンクリート構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、防蟻性に優れた建物の基礎構造及び建物の基礎工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より住宅の仕様として高気密・高断熱のものが普及しており、建築物を断熱することが多い。このような建築物の断熱工法としては、外断熱工法と内断熱工法とがあるが、断熱きれを起こしにくく、施工が容易であり、断熱材の室内側に位置する建築物の構造躯体の耐久性を高めることができるなどの点で外断熱工法が有利である。
【0003】
ところで、このような外断熱構造を用いた場合、土中からのシロアリが基礎外面に取り付けた断熱材に侵入し、その断熱材を食い破りながら蟻道を形成して基礎外面を這い上がり、基礎の上方に設けた土台や柱等の躯体構造物にまで侵入してしまう。その場合、シロアリの被害の発見が著しく遅れ、気付いたときには甚大な被害となっているという問題がある。
【0004】
そこで、外断熱構造において断熱材中にシロアリが侵入することを防ぐために、断熱材の外側面を覆って防蟻シートを貼り付けるとともに、この防蟻シートの下端縁を布基礎に密着させた発明(特許文献1参照)や防蟻性能を有する部材を、基礎の外周に設けられた発泡プラスチック断熱材の地上部分の厚み方向の全体にわたって覆うとともに、基礎の上面もしくは外周面に当接して設けた発明(特許文献2参照)が提案されている。また、この特許文献2では、この防蟻性能を有する部材として例えばコンクリートブロックで断熱材の外側を覆う点も提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−350502
【特許文献2】特開2000−17747
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように断熱材の屋外側面に沿って防蟻シートを貼り付ける場合、作業工程が複雑なものとなりやすく、作業者によって防蟻性能に差がでやすい。さらに特別な防蟻シートを用いるので、高いコストがかかる。また、コンクリートブロックで断熱材の屋外側面を覆う場合、まずコンクリートを打設して基礎を形成して養生し、断熱材を貼り付けた後、さらにコンクリートを打設してコンクリートブロックを形成するので、コンクリートの養生に余計な時間がかかり、作業コストが増大する。さらに、基礎とコンクリートブロックとの間に打ち継ぎが発生するので、この打ち継ぎの間からシロアリが侵入する虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、断熱材にシロアリが侵入することを効果的に防ぐことができ、しかも施工工程が簡単な、建物の基礎構造及び建物の基礎工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の建物の基礎構造は、上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設され、
前記基礎スラブの外周縁上に外周立上がり部を設けるとともに、前記基礎中断熱材の上に前記外周立上がり部の外周側面に固定される立上がり部用断熱材を設けた建物の基礎構造であって、前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の建物の基礎構造は、基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設される建物の基礎構造であって、前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の建物の基礎構造は、前記基礎中断熱材が前記張出部の屋外側に設けられた外型枠に固定されるセパレータにより所定間隔浮かせて支持された状態で、前記基礎スラブ及び前記張出部にコンクリートを打設養生することにより固定されたものであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の建物の基礎構造は、前記張出部に鉄筋が埋め込まれていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の建物の基礎構造は、前記基礎中断熱材は、その上端が前記基礎スラブ及び前記張出部の上面よりも高く配置されることを特徴としている。
【0013】
請求項6に記載の建物の基礎構造は、前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配部が形成されたことを特徴としている。
【0014】
請求項7に記載の建物の基礎構造は、前記張出部の上端部に、屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8に記載の建物の基礎構造は、前記コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれていることを特徴としている。
【0016】
請求項9に記載の建物の基礎工法は、基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成し、その後、前記基礎スラブの上に外周縁から所定の距離を開けて屋内側立上がり部用型枠を設けるとともに、張出部の上に屋外側立上がり部用型枠を設け、前記基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置して屋外側立上がり部用型枠に固定し、その後、コンクリートを打設養生することにより外周立上がり部を形成することを特徴としている。
【0017】
請求項10に記載の建物の基礎工法は、基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成することを特徴としている。
【0018】
請求項11に記載の建物の基礎工法は、前記外型枠は、その上端が前記基礎スラブの上面となる位置よりも所定高さ低くなるように設置し、その後、前記外型枠の屋外側を当該外型枠の上端と同じ高さまで埋め戻した後で、前記基礎スラブと、前記張出部と、当該張出部の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体と、を一体的に打設することを特徴としている。
【0019】
請求項12に記載の建物の基礎工法は、前記基礎中断熱材の上端を前記外型枠よりもやや高く設置することを特徴としている。
【0020】
請求項13に記載の建物の基礎工法は、前記基礎中断熱材を前記セパレータの他端に取り付けた後であって、前記コンクリートを打設して前記基礎スラブと前記張出部とを形成する前に、一端が前記セパレータに固定されるとともに、他端が前記基礎の下に形成される捨てコンクリートに固定される針金を設置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の建物の基礎構造によると、基礎中断熱材の屋外側にコンクリートを打設養生して形成される張出部が設けられており、シロアリはコンクリートを通過することはできないので、優れた防蟻性を発揮することができる。さらに、基礎スラブと張出部とを形成する空間は基礎中断熱材の下方で連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成しているので、基礎スラブと張出部との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で基礎スラブと張出部とを同時に形成することができるので作業性に優れ、養生時間も短縮できる。
【0022】
請求項2に記載の建物の基礎構造によると、請求項1と同様に、基礎スラブと基礎中断熱材の下方において連通する張出部とを備えているので、基礎スラブと張出部との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で基礎スラブと張出部とを同時に形成することができるので作業性に優れ、養生時間も短縮できる。そして、この構造は、基礎スラブの上に外周立上がり部を設けない基礎構造にも適用することができる。
【0023】
請求項3に記載の建物の基礎構造によると、外型枠に固定されるセパレータを用いることにより、基礎中断熱材を外型枠から所定距離を開けた状態で浮かせて支持することができ、これにより基礎スラブと張出部とを一体形成することができる。
【0024】
請求項4に記載の建物の基礎構造によると、張出部に鉄筋が埋め込まれているので、基礎スラブのみならず張出部の耐久性を高めることができ、ひび割れ発生を抑制する効果があるので、経年により外観が劣化することを防止できるとともに、シロアリの侵入をより効果的に阻止できる。
【0025】
請求項5に記載の建物の基礎構造によると、基礎中断熱材の上端が基礎スラブ及び張出部の上面よりも高く配置されるので、外周立上がり部を設ける際に、適切な位置に立上がり部用の型枠を設置することができる。また、コンクリートを打設する際に基礎スラブ及び張出部に打設されたコンクリートが溢れて、基礎中断熱材の上端にコンクリートが付着することを抑制できるので、この基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を隙間なく設置することができ、より断熱性を高めることができる。
【0026】
請求項6に記載の建物の基礎構造によると、前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配が設けられることで、張出部から屋内側に雨水が侵入することを防ぐことができる。
【0027】
請求項7に記載の建物の基礎構造によると、前記張出部の上端部から屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されているので、建物の基礎構造の周囲に他の隣接構造体をそれぞれ打設し養生する場合に比べて、施工時間を短縮することができるとともに、張出部とコンクリート構造体との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。なお、ここでコンクリート構造体として、建物の犬走り部や玄関ポーチを例示することができるが、これに限定されるものではなく、建物の基礎構造に屋外側に形成される種々のコンクリート構造体に適用することができる。
【0028】
請求項8に記載の建物の基礎構造によると、コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれているので、コンクリート構造体の耐久性を高めることができ、ひび割れ発生を抑制する効果があるので、経年により外観が劣化することを防止できるとともに、シロアリの侵入をより効果的に阻止できる。
【0029】
請求項9に記載の建物の基礎工法によると、外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように設置して、このセパレータの他端に、外型枠から屋内方向に所定間隔を開け、且つ下端を所定間隔浮かせるように基礎中断熱材を配置し、基礎中断熱材の屋内側と基礎中断熱材の屋外側とを基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生するので、基礎スラブと張出部とを一回の打設作業で形成することができ、型枠の設置作業やコンクリートの打設作業などの作業時間及び養生時間を短縮することができる。そして、基礎スラブと張出部とを一体形成することになるので、コンクリートの打ち継ぎができることがなく、シロアリが打ち継ぎの間隙を通過する虞も無く、シロアリが板状防蟻材に到達することを確実に防止できる。
【0030】
請求項10に記載の建物の基礎工法によると、外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように設置して、このセパレータの他端に、外型枠から屋内方向に所定間隔を開け、且つ下端を所定間隔浮かせるように基礎中断熱材を配置し、基礎中断熱材の屋内側と基礎中断熱材の屋外側とを基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生するので、外周立上がり部を設けない建物の基礎工法においても、基礎スラブと張出部とを一回の打設作業で形成することができ、型枠の設置作業やコンクリートの打設作業などの作業時間及び養生時間を短縮することができる。そして、基礎スラブと張出部とを一体形成することになるので、コンクリートの打ち継ぎができることがなく、シロアリが打ち継ぎの間隙を通過する虞も無く、シロアリが板状防蟻材に到達することを確実に防止できる。
【0031】
請求項11に記載の建物の基礎工法によると、コンクリート構造体と、基礎スラブ及び張出部と、が一体的に打設されるので、コンクリート構造体と張出部との間、及び基礎スラブと張出部との間にコンクリートの打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過できる間隙が生じることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。しかも、1回の打設作業で例えば犬走りや玄関ポーチ等のコンクリート構造体を基礎スラブ及び張出部と同時に形成することができるので、作業性に優れ、養生時間も短縮できる。
【0032】
請求項12に記載の建物の基礎工法によると、基礎中断熱材の上端が外型枠よりもやや高く設置されるので、コンクリートを打設して基礎スラブ及び張出部を形成した時に、この基礎スラブ及び張出部から基礎中断熱材の上端がやや突出した状態となる。したがって、この基礎中断熱材の上端がガイドとなるので、屋外側立上がり部用型枠を適切な位置に設置しやすく、また、基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置しやすくなり、より容易に施工できる。そして、外周立上がり部を打設したときに発生するコンクリートノロを、基礎中断熱材の上端が堰き止めるので、コンクリートノロが外周立上がり部の下端から屋外側に漏れることを阻止できる。
【0033】
請求項13に記載の建物の基礎工法によると、一端がセパレータに固定されるとともに、他端が捨てコンクリートに固定される針金が設置されるので、特に基礎が深い場合のように基礎中断熱材に基礎スラブ及び張出部のコンクリートを打設する際に大きな浮力がかかる場合にも、基礎中断熱材を浮き上がらせることなくコンクリートを打設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下において、本発明の建物の基礎構造1及び基礎工法の第1の実施形態について、図1から図13を参照しつつ説明する。本実施形態における建物の基礎構造1は、図1に示すように、その上面が地面GLよりも所定程度高くなるように基礎スラブ2が形成され、この基礎スラブ2の屋外側に上面が基礎スラブ2と同じ高さに張出部3が形成されており、これら基礎スラブ2と張出部3との間には基礎中断熱材4が設置されている。なお、この基礎スラブ2及び張出部3の上面の高さは、具体的には例えば地面GLから5cm以上であることが好ましく、より好ましくは10cm以上であることが望ましい。シロアリは、その習性から外気に露出しない地中や建材の隙間などに蟻道を作って移動するものであり、地面から少なくとも5cmほどの高さまで、より好ましくは10cmほど高さまでを隙間なくコンクリートで覆うことで、シロアリが基礎中断熱材4に到達する蟻道を作ることを阻止でき、シロアリが基礎中断熱材4に到達することを防止できる。
【0035】
張出部3は、防蟻性能及び耐久性の観点からその幅が5cm以上であることが好ましく、施工の際に基礎中断熱材4を容易に支持するために、幅15cm以下であることが好ましい。また、張出部3は無筋とすることもできるが、より耐久性を高めるために例えば径が4mm以上のワイヤメッシュや径10mm以上の異形鉄筋を配筋することが好ましい。
【0036】
基礎中断熱材4は、例えば合成樹脂発泡体から構成され、その下端が基礎スラブ2及び張出部3が設置される捨てコンクリート6から10〜15cm間を開けて上方に設けられており、基礎スラブ2及び張出部3はこの基礎中断熱材4と捨てコンクリート6との間において連通し、一体的にコンクリートを打設して形成されている。したがって、基礎中断熱材4はその屋内側面、屋外側面及び下端面がいずれもコンクリートに覆われており、しかもそのコンクリートで形成された基礎スラブ2及び張出部3は打ち継ぎなく一体形成されているので、シロアリが基礎中断熱材4に到達できる経路がない構造となっている。
【0037】
また基礎中断熱材4は、その上端が基礎スラブ2及び張出部3の上面と面一であるか、又は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されている。これにより、基礎スラブ2及び張出部3を打設したときに基礎中断熱材4の上端は外部に露出するように構成されている。したがって基礎中断熱材4の上に立上がり部用断熱材7を間を開けずに設置することができ断熱性を高めることができる。なお、基礎中断熱材4の上面は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されているほうが特に好ましい。この場合は、基礎スラブ2及び張出部3を打設する際にコンクリートが基礎中断熱材4の上面に付着することを抑制でき、より確実に基礎中断熱材4の上に立上がり部用断熱材7を間を開けずに設置することができる。また、このように基礎中断熱材4の上面は基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上に形成されていることで、外周立上がり部8を打設する際にコンクリートノロを堰き止めることができ、外周立上がり部8の下端の屋外側にコンクリートノロが漏れ出すことを防ぐことができる。なお、基礎スラブ2及び張出部3を打設する前に、コンクリートの付着を防止するために基礎中断熱材4の上面に養生テープを被覆することがより好ましい。
【0038】
外周立上がり部8は、基礎スラブ2の外周縁に沿ってその上面にコンクリートを打設して設置される。そして、この外周立上がり部8の屋外側には例えば合成樹脂発泡体から構成された板状の立上がり部用断熱材7が基礎中断熱材4の上端に隙間なく載置されるように取付けられている。立上がり部用断熱材7の屋外側面及び基礎中断熱材4上端の外部に露出している部分の屋外側面には、例えば雨水等が断熱材4、7の内部に侵入することを防止し、例えば合成樹脂発泡体で形成された断熱材4、7の日射による表層の劣化を防止する仕上材としてモルタル10が塗布されている。なお、このモルタル10がひび割れを起こすことを防止し、より一層断熱材4、7内部に雨水等が侵入することを防ぐために、このモルタル10の中に例えば耐アルカリ性ガラス繊維ネット等の補強材を埋設することがより好ましい。
【0039】
張出部3の上面であって、モルタル10の屋外側に、屋内側から屋外側に向かって下方に傾斜する勾配部11がコンクリート又はモルタル等により形成されていることが好ましい。このように構成することで、例えば図示しない外壁からモルタル10を伝って流下した雨水等がこの勾配部11の上面に形成された傾斜により屋外側に排出されることとなり、屋内側に設置された断熱材4、7に侵入することをより効果的に防止できる。
【0040】
基礎スラブ2及び外周立上がり部8の内部には図2に示すように、適切なかぶり厚を確保できる位置に鉄筋12が配筋されており、コンクリートを補強している。なお、例えば図3に示すように、適切なかぶり厚を確保できるのであれば、張出部3及び基礎中断熱材4の下方の張出部3と基礎スラブ2との連通箇所13にも鉄筋12を配筋することがより好ましい。基礎中断熱材4の屋外側に設置される張出部3及び連通箇所13を補強することでひび割れを防止し、より確実にシロアリの侵入を抑制できる。
【0041】
以上のように構成される建物の基礎構造1を造成する建物の基礎工法は、図示しないが、例えばくい打ちや地盤改良など地盤の補強を行ったうえで、図4に示すように、まず建物の基礎構造を設置する位置を所定深度まで掘り下げ、割栗石14を設置して、捨てコンクリート6を打設する。そして、外型枠5を建物の基礎構造1の外周となる位置に設置するとともに、所定位置に鉄筋12を配筋する。
【0042】
次に、図5に示すように外型枠5の中間位置を例えば丸型セパレータなどのセパレータ15で貫通し、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定し、屋内側からプラスチックコーン18で固定する。これによりセパレータ15は、他端側を屋内側に向けた状態で外型枠5に支持される。そして、基礎中断熱材4の中間部をセパレータ15の他端側で貫通した状態で、基礎中断熱材4の両側から幅広の断熱材用コーン19で挟持して固定する。このとき、基礎中断熱材4の下端は、捨てコンクリートから上方に10〜15cm程度開けた状態に保持し、また外型枠5から屋内側に5〜15cm程度開けた状態に保持する。
【0043】
そして、図6に示すように、コンクリートを打設して基礎スラブ2と張出部3とを一体形成する。すなわち、コンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入すると、基礎中断熱材4はセパレータ15に支持されて、上方に10〜15cm程度浮いているので、この基礎中断熱材4と捨てコンクリート6との間を通って、コンクリートが基礎中断熱材4の屋外側にも流入し、基礎スラブ2と張出部3とを一体形成することができる。このとき、基礎中断熱材4の上端は、基礎スラブ2及び張出部3の上面よりもやや上方に配置され、外部に露出している。なお、コンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入するとともに、又はコンクリートを基礎中断熱材4の屋内側に注入することに替えて、コンクリートを基礎中断熱材4と外型枠5との間にコンクリートを注入してもよい。
【0044】
そして次に、所定期間養生して、基礎スラブ2及び張出部3を固めた後、図7に示すように、フォームタイ15、単管16及び外型枠5を取り外し、図8に示すように、屋外側立上がり部用型枠20と屋内側立上がり部用型枠21とを互いに所定間隔を保って平行に設置する。屋外側立上がり部用型枠20は、張出部3の上に、基礎中断熱材4の上端に当接するように設置される。このように基礎中断熱材4をガイドにして設置するので、屋外側立上がり部用型枠20を極めて容易に適切な位置に設置することができる。そして、この屋外側立上がり部用型枠20に立上がり部用断熱材7を取付けて、これら屋外側立上がり部用型枠20及び立上がり部用断熱材7の中間位置をセパレータ15で貫通する。そして、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定するとともに他端側から外挿した断熱材用コーン19で固定する。そして、この立上がり部用型枠20から所定距離を開けて屋内側に屋内側立上がり部用型枠21をセパレータ15に貫通されつつ設置し、その屋内側からセパレータ15を上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定する。なお、立上がり部用断熱材7を型枠兼用として使用することもでき、このようにすると屋外側立上がり部用型枠20を不要とすることができる。
【0045】
そして、図9に示すように、立上がり部用断熱材7と屋内側立上がり部用型枠21との間にコンクリートを打設して、外周立上がり部8を形成する。このとき、外周立上がり部8の屋外側の下端には、基礎中断熱材4がやや上方に突出して配置されているので、外周立上がり部8のコンクリートノロがこの基礎中断熱材4によって堰き止められて、屋外側に流出することを防ぐことができる。その後、コンクリートを所定期間養生して、図10に示すように、屋外側と屋内側とのそれぞれに設置されたフォームタイ15、単管16を取り外し、屋外側立上がり部用型枠20及び屋内側立上がり部用型枠21も取り外す。
【0046】
そして、図11に示すように、立上がり部用断熱材7及び基礎中断熱材4の上端側の屋外側に露出している面に仕上材としてのモルタル10を塗布し、雨水等が断熱材4、7に侵入することを抑止する。そして、張出部3の上面であって、モルタル10の屋外側にコンクリートで屋外側に向けて下方に傾斜する勾配部11を形成し、その後、図2に示すように、張出部3の屋外側を埋め戻して、建物の基礎構造1を完成する。
【0047】
以上のように、第1の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法を用いると、シロアリが基礎中断熱材4に侵入することを極めて有効に防止することができ、しかもコンクリートの打設作業や型枠の設置作業が簡単であり、養生時間も短縮できる。
【0048】
なお、この実施形態においては、基礎中断熱材4を支持するセパレータ15は上下方向には1本づつ設置されるものであったが、より深い建物の基礎構造1である場合には、例えば図12に示すように、上下方向に2本以上のセパレータ15で基礎中断熱材4を支持することが好ましい。建物の基礎構造1が深い場合は例えば図13に示すように、コンクリートを打設する際に基礎中断熱材4にかかる浮力も大きくなるが、このように、2本のセパレータ15で保持することで、基礎中断熱材4が浮き上がり施工不良となることを防止できる。なお、このセパレータ15の本数は建物の基礎構造1の深さや支持する基礎中断熱材4の位置によって3本以上とすることもできる。なお、外周立上がり部8を打設する際に用いられるセパレータ15についても、外周立上がり部8の高さが高い場合には2本以上設けることができる。
【0049】
また、図12に示すように、セパレータ15に針金22の一端を固定し、この針金22の他端を捨てコンクリート6に固定された釘23に固定すれば、コンクリートの打設により基礎中断熱材4にかかる浮力をセパレータ15を介して針金22で受けることができるので、基礎中断熱材4の浮き上がりを防止することができる利点がある。
【0050】
なお、この第1の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法は、建物の基礎構造1の防蟻性能を発現できる他の様々な技術を組み合わせることができるものであり、必要に応じて物理的に又は化学的にシロアリの侵入を阻害する構成と組み合わせてもよい。
【0051】
また、この第1の実施形態においては、基礎スラブ2の上に外周立上がり部8を設ける構成としたが、設計上外周立上がり部8が必要ない場合は、例えば図14及び図15に示すように、基礎スラブ2の上にそのまま建物の躯体を設置する構成としてもよい。この場合、基礎スラブ2及び張出部3の上面は、地面GLよりも例えば10cmほど高いことが防蟻上好ましいが、例えば建物に地下室などを設置する場合には、基礎スラブ2及び張出部3の上面が地上よりも低く配置され、これら基礎スラブ2及び張出部3と、この基礎スラブ2及び張出部3の上に配置された図示しない地下室の壁と、の間に必要に応じて物理的に又は化学的にシロアリの侵入を阻害する構成を設けるものであってもよい。
【0052】
また、この第1の実施形態においては、例えば図5に示すように、地面GLを所定深度まで掘り下げた後に、やや空間を開けて垂直に外型枠5を設置しているが、これに限定されるものではなく、例えば図16に示すように、地面GLを掘り下げて形成した壁に外型枠5が沿うように上方に向かって外型枠5の下部分5aが広がるように配置されており、外型枠5の地面GLから突出する部分5bが垂直に設置されるものであってもよい。そしてこの場合においても、セパレータ15の一端を外型枠5に固定し、セパレータの他端に基礎中断熱材4を固定する。このとき図16に示しているように、外型枠5と基礎中断熱材4との間の距離をやや長く形成することもでき、このように構成した外型枠5内にコンクリートを注入することで、図17に示すように張出部3を大きく形成することができる。このように張出部3の形状を大きくとることで、張出部3をシロアリからのバリアとしてのみならず、建物の犬走りや玄関ポーチとしても用いることができる。
【0053】
次に本発明の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法の第2の実施形態について、図18から図21を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。この第2の実施形態の建物の基礎構造1は、図18に示すように、張出部3の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体24がこの張出部3と一体的に形成されている。ここでコンクリート構造体24としては、建物の基礎の屋外側に設けられる犬走りや玄関ポーチを例示することができるが、これに限らず、建物の基礎の屋外側に設けられる様々なコンクリート構造体に適用することができる。
【0054】
この第2の実施形態の建物の基礎構造1を施工する建物の基礎工法は、例えばくい打ちや地盤改良などを地盤の補強を行ったうえで、図19に示すように、まず、建物の基礎構造を設置する位置を所定深度まで掘り下げ、割栗石14を設置して、捨てコンクリート6を打設する。そして、その上端が地面GLよりもやや低くなるように外型枠5を設置するとともに、所定位置に鉄筋12を配筋する。なお、鉄筋12の配置は、図18に示すように、基礎スラブ2及び外周立上がり部8にのみ配筋されるものであってもよいが、張出部3及びコンクリート構造体24にも配筋されることがより好ましい。
【0055】
そして次に、外型枠5のやや上端寄りに例えば丸型セパレータなどのセパレータ15で貫通し、このセパレータ15の一端側を屋外側から上下の単管16で挟持しつつフォームタイ17で固定し、屋内側からプラスチックコーン18で固定する。これによりセパレータ15は、他端側を屋内側に向けた状態で外型枠5に支持される。そして、基礎中断熱材4のやや下端よりの部分をセパレータ15の他端側で貫通した状態で、基礎中断熱材4の両側から幅広の断熱材用コーン19で挟持して固定する。このとき、基礎中断熱材4の下端は、捨てコンクリートから上方に10〜15cm程度開けた状態に保持し、また外型枠5から屋内側に5〜15cm程度開けた状態に保持する。また、この基礎中断熱材4の上端は、少なくとも基礎スラブ2の上面と同じ高さ以上となるように配置され、外型枠5の上端よりも高い位置に配置される。
【0056】
そして、図20に示すように、外型枠5の屋外側を当該外型枠5の上端と同じ高さまで埋め戻し、さらにその屋外方向にコンクリート構造体用外型枠25を設置する。次いで、図21に示すように、基礎スラブ2、張出部3、及びコンクリート構造体24をコンクリートを一体的に打設し、養生することにより形成する。すなわち基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入し、基礎中断熱材4と捨てコンクリート6の間の空間を通って、張出部3にもコンクリートを流し込むとともに、外型枠5の上端から屋外側にコンクリートを溢れさせるようにして、コンクリート構造体24を形成する。なお、基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入することとともに、又は基礎中断熱材4の屋内側から基礎スラブ2を形成する空間にコンクリートを注入することに替えて、コンクリート構造体24を形成する空間にコンクリートを注入してもよい。
【0057】
その後、コンクリート構造体用外型枠25を取り外す。そして、図18に示すように、第1の実施形態と同様の工法により外周立上がり部8を形成し、その表面にモルタル10を塗布するとともに、勾配部11を形成し建物の基礎構造1を完成する。
【0058】
以上のように第2の実施形態の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法によると、建物の基礎構造1の周囲に他の隣接構造体をそれぞれ打設し養生する場合に比べて、施工時間を短縮することができるとともに、張出部3とコンクリート構造体24との間に打ち継ぎが発生せず、シロアリが通過可能な間隙ができることが無いので、より確実にシロアリが断熱材に到達することを抑制できる。
【0059】
なお、本発明の実施の形態は、本実施形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の建物の基礎構造1及び建物の基礎工法は、建物基礎の屋外側に断熱材を配置する構造及び工法において、高い防蟻性を有する建物の基礎構造1および建物の基礎工法として、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図2】基礎スラブ、張出部及び外周立上がり部を説明する一部省略拡大断面図。
【図3】張出部にも鉄筋を配筋した状態を説明する一部省略拡大断面図。
【図4】第1の実施形態に係る建物の基礎工法の外型枠および鉄筋を配置した状態を説明する図。
【図5】基礎中断熱材をセパレータに支持させた状態を説明する図。
【図6】コンクリートを打設して、基礎スラブ及び張出部を形成した状態を説明する図。
【図7】外型枠を取り外した状態を説明する図。
【図8】屋外側立上がり部用型枠及び屋内側立上がり部用型枠を設置した状態を説明する図。
【図9】コンクリートを打設して外周立上がり部を形成した状態を説明する図。
【図10】屋外側立上がり部用型枠及び屋内側立上がり部用型枠を取り外した状態を説明する図。
【図11】基礎中断熱材の上端部及び立上がり部用断熱材の屋外側にモルタルを塗布し、勾配部を形成した状態を説明する図。
【図12】第1の実施形態の変形例として建物の基礎構造がより深く形成される場合の構成を説明する図。
【図13】図12の変形例において、コンクリートを打設した状態を説明する図。
【図14】第1の実施形態の別の変形例として、外周立上がり部を設けない構成の建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図15】図14の実施形態の基礎スラブ、及び張出部を説明する一部省略拡大断面図。
【図16】第1の実施形態の変形例として、地面を掘り下げて形成した壁に沿うように傾斜させて、基礎中断熱材から所定距離を開けて外型枠を設置した建物の基礎工法を説明する簡略断面図。
【図17】図16の実施形態において、コンクリートを打設して基礎スラブ及び張出部を形成した状態を説明する簡略断面図。
【図18】第2の実施形態に係る建物の基礎構造を説明する簡略断面図。
【図19】第2の実施形態に係る建物の基礎工法を説明する外型枠及び基礎中断熱材を設置した状態を示す図。
【図20】図19の状態から外型枠の屋外側を埋土し、コンクリート構造体用外型枠を設置した状態を示す図。
【図21】基礎スラブ、張出部、コンクリート構造体を一体的に打設養生した状態を説明する図。
【符号の説明】
【0062】
1 建物の基礎構造
2 基礎スラブ
3 張出部
4 基礎中断熱材
5 外型枠
6 捨てコンクリート
7 立上がり部用断熱材
8 外周立上がり部
11 勾配部
12 鉄筋
15 セパレータ
20 屋外側立上がり部用型枠
21 屋内側立上がり部用型枠
22 針金
24 コンクリート構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設され、
前記基礎スラブの外周縁上に外周立上がり部を設けるとともに、前記基礎中断熱材の上に前記外周立上がり部の外周側面に固定される立上がり部用断熱材を設けた建物の基礎構造であって、
前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項2】
基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設される建物の基礎構造であって、
前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項3】
前記基礎中断熱材が前記張出部の屋外側に設けられた外型枠に固定されるセパレータにより所定間隔浮かせて支持された状態で、前記基礎スラブ及び前記張出部にコンクリートを打設養生することにより固定されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の基礎構造。
【請求項4】
前記張出部に鉄筋が埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項5】
前記基礎中断熱材は、その上端が前記基礎スラブ及び前記張出部の上面よりも高く配置されること特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項6】
前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配部が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項7】
前記張出部の上端部に、屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項8】
前記コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれていることを特徴とする請求項7に記載の建物の基礎構造。
【請求項9】
基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、
その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成し、
その後、前記基礎スラブの上に外周縁から所定の距離を開けて屋内側立上がり部用型枠を設けるとともに、張出部の上に屋外側立上がり部用型枠を設け、前記基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置して屋外側立上がり部用型枠に固定し、その後、コンクリートを打設養生することにより外周立上がり部を形成することを特徴とする建物の基礎工法。
【請求項10】
基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、
その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成することを特徴とする建物の基礎工法。
【請求項11】
前記外型枠は、その上端が前記基礎スラブの上面となる位置よりも所定高さ低くなるように設置し、その後、前記外型枠の屋外側を当該外型枠の上端と同じ高さまで埋め戻した後で、
前記基礎スラブと、前記張出部と、当該張出部の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体と、を一体的に打設することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の建物の基礎工法。
【請求項12】
前記基礎中断熱材の上端を前記外型枠よりもやや高く設置されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の建物の基礎工法。
【請求項13】
前記基礎中断熱材を前記セパレータの他端に取り付けた後であって、前記コンクリートを打設して前記基礎スラブと前記張出部とを形成する前に、一端が前記セパレータに固定されるとともに、他端が前記基礎の下に形成される捨てコンクリートに固定される針金を設置することを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載の建物の基礎工法。
【請求項1】
上面が地面よりも所定程度高く形成される基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設され、
前記基礎スラブの外周縁上に外周立上がり部を設けるとともに、前記基礎中断熱材の上に前記外周立上がり部の外周側面に固定される立上がり部用断熱材を設けた建物の基礎構造であって、
前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項2】
基礎スラブと該基礎スラブの屋外側に上面が当該基礎スラブと同じ高さに設置される張出部との間に基礎中断熱材が配設される建物の基礎構造であって、
前記基礎スラブと前記張出部とを形成する空間は前記基礎中断熱材の下方において連通しており、コンクリートを一体的に打設養生することで、当該基礎スラブ及び当該張出部を一体形成したことを特徴とする建物の基礎構造。
【請求項3】
前記基礎中断熱材が前記張出部の屋外側に設けられた外型枠に固定されるセパレータにより所定間隔浮かせて支持された状態で、前記基礎スラブ及び前記張出部にコンクリートを打設養生することにより固定されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の基礎構造。
【請求項4】
前記張出部に鉄筋が埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項5】
前記基礎中断熱材は、その上端が前記基礎スラブ及び前記張出部の上面よりも高く配置されること特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項6】
前記張出部の上面に屋外側に向かって下降する勾配部が形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項7】
前記張出部の上端部に、屋外側に向かって突出するコンクリート構造体が一体形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の建物の基礎構造。
【請求項8】
前記コンクリート構造体に鉄筋が埋め込まれていることを特徴とする請求項7に記載の建物の基礎構造。
【請求項9】
基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、
その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成し、
その後、前記基礎スラブの上に外周縁から所定の距離を開けて屋内側立上がり部用型枠を設けるとともに、張出部の上に屋外側立上がり部用型枠を設け、前記基礎中断熱材の上に立上がり部用断熱材を設置して屋外側立上がり部用型枠に固定し、その後、コンクリートを打設養生することにより外周立上がり部を形成することを特徴とする建物の基礎工法。
【請求項10】
基礎を形成する所定の外周位置に外型枠を設置し、次いで、当該外型枠に一端が支持されるセパレータをその他端が屋内側を向くように前記外型枠に沿って複数設置し、その後、前記外型枠から屋内方向に所定間隔を開けるとともに下端を所定間隔浮かせて配置した基礎中断熱材を、前記セパレータの他端に取り付け、
その後、前記基礎中断熱材の屋内側と当該基礎中断熱材の屋外側とを前記基礎中断熱材の下方において連通させた状態でコンクリートを打設養生することで、前記基礎中断熱材の屋内側に形成される基礎スラブと、前記基礎中断熱材と前記外型枠との間に形成される張出部と、を一体形成することを特徴とする建物の基礎工法。
【請求項11】
前記外型枠は、その上端が前記基礎スラブの上面となる位置よりも所定高さ低くなるように設置し、その後、前記外型枠の屋外側を当該外型枠の上端と同じ高さまで埋め戻した後で、
前記基礎スラブと、前記張出部と、当該張出部の上端部に屋外側に向かって突出するコンクリート構造体と、を一体的に打設することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の建物の基礎工法。
【請求項12】
前記基礎中断熱材の上端を前記外型枠よりもやや高く設置されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれかに記載の建物の基礎工法。
【請求項13】
前記基礎中断熱材を前記セパレータの他端に取り付けた後であって、前記コンクリートを打設して前記基礎スラブと前記張出部とを形成する前に、一端が前記セパレータに固定されるとともに、他端が前記基礎の下に形成される捨てコンクリートに固定される針金を設置することを特徴とする請求項9から請求項12のいずれかに記載の建物の基礎工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−150860(P2010−150860A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332241(P2008−332241)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】
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