建物の多段解体工法
【課題】ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮できる建物の多段解体工法を提供する。
【解決手段】既存建物Aの外周に仮設柱Bを立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段にクライミング機構D1、D2を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱に上下二段に架設して、解体作業を繰り返す。
【解決手段】既存建物Aの外周に仮設柱Bを立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段にクライミング機構D1、D2を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱に上下二段に架設して、解体作業を繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の建物を下層階から順次解体撤去してジャッキダウンして行く建物の解体方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
高層建物や超高層建物等の既存建物を下層階から順次解体撤去してジャッキダウンして行く建物の解体方法は、特許文献1、2等によって既に知られている。これらの解体方法は、建物最上階から下層階へと順次解体して行く解体方法のような躯体最上部に解体重機を配置する作業や、解体が進むにつれて解体重機を順次下層階へと移動させて行く作業が必要でなく、作業の安全確保が容易で、騒音や粉塵の外部飛散を抑制するための養生カバーを低層部に設置するだけで済む等々多くの利点を有している。
【0003】
しかし、従来のこの種の解体方法においては、既存建物を下層階から1層ずつ解体してジャッキダウンするため、ジャッキダウンの回数が多くて、ジャッキの盛替やジャッキダウンに多くの時間が費やされることになり、工期が長くなる傾向があった。
【0004】
このような問題の解決策としては、例えば、解体作業に、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる性能を有する自走式の大型解体重機を用いて、既存建物を下層階から3〜4層分ずつ1工程で解体する一方、既存建物を3〜4層分ずつジャッキダウンして行くことが考えられる。しかし、大型解体重機とはいえ、現状では、作業可能な高さの範囲は、精々、3〜4層分であり、それ以上に大型の解体重機は開発されていない。従って、上記の解決策では、工期が長くなるという問題点の解決に限界があり、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−24455号公報
【特許文献1】特開2009−138378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機を用いて、既存建物を下層階から前記大型解体重機による作業可能な限界高さの2倍程度まで解体でき、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮できる建物の多段解体工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、請求項1に記載の発明による建物の多段解体工法は、既存建物の外周に仮設柱を立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて複数段にクライミング機構を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下複数段に架設して、解体作業を繰り返すことを特徴としている。
【0008】
尚、前記クライミング機構としては、仮設柱に沿って昇降し得る機能を有するものであれば、如何なる構造のものであってもよく、例えば、タワークレーンにおける一般的なクライミング機構と同様に、仮設柱の所定高さ位置に間隔をあけて固定することが可能な上下の昇降枠体と、上下の昇降枠体間に配設される油圧ジャッキとで構成したものであってもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物の多段解体工法であって、長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の建物の多段解体工法であって、長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の建物の多段解体工法であって、何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、既存建物の両側に立設した仮設柱に長大スパン仮設梁(既存建物を横切る長さの仮設梁)を上下複数段に架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行うので、多段階を同時に解体することができる。
【0013】
例えば、3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機を1階と、下段の長大スパン仮設梁で支持される階に設置して、1階の大型解体重機で下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分を解体し、下段の長大スパン仮設梁で支持される階の大型解体重機で上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分を解体することによって、大型解体重機による作業可能な限界高さの2倍程度まで同時に解体することができる。
【0014】
そして、上記の解体工程後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下二段に架設して、解体作業を繰り返すので、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されているので、長大スパン仮設梁の架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等の施工が容易である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されているので、既存建物の柱を直接長大スパン仮設梁で支持することになり、既存建物の梁を長大スパン仮設梁で支持する場合のように、梁のせん
断・曲げ強度によって躯体支持能力が制限されないので、仮設の補強部材を構築して、梁のせん断・曲げ強度を高める必要がない。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いるので、解体する既存建物の周囲に解体材の搬出路がないような条件下でも、解体が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る建物の多段解体工法を説明する概略側面図である。
【図2】図1に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図3】図2に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図4】図3に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図5】図4に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図6】図5に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図7】本発明に係る建物の多段解体工法を説明する概略横断平面図である。
【図8】要部の横断平面図である。
【図9】要部の斜視図である。
【図10】要部の側面図である。
【図11】要部の側面図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す建物の多段解体工法の説明図である。
【図13】図12に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す建物の多段解体工法の説明図である。
【図15】本発明の他の実施形態を示す概略横断平面図である。
【図16】要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図11は、本発明に係る建物の多段解体工法を示す。図において、Aは高層建物や超高層建物のような多層構造の既存建物である。1は既存建物Aの柱、2は梁、3は壁を示す。既存建物Aの外周には、外周の柱1に沿わせて鉄骨造の仮設柱Bが立設されている。仮設柱Bの高さは既存建物Aの半分以下とされ、図示の例では8〜10層分程度の高さとされている。C1、C2は、既存建物Aの両側に位置する仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して上下二段に架設された鉄骨造の長大スパン仮設梁(既存建物Aを横切る長さのメガフレーム)である。E1、E2は、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる性能を有する自走式の大型解体重機を例示する。Fは騒音や粉塵の外部飛散を抑制するための養生カバーであり、仮設柱Bの外側に設置されている。
【0020】
前記クライミング機構D1、D2は、タワークレーンにおける一般的なクライミング機構と同様に、仮設柱Bの所定高さ位置に間隔をあけて固定することが可能な上下の昇降枠体4a、4bと、上下の昇降枠体4a、4bを仮設柱Bに固定するカンザシ状金物駆動用の油圧シリンダ5a、5bと、上下の昇降枠体4a、4b間に配設される油圧ジャッキ6とで構成されており、長大スパン仮設梁C1、C2は各々のクライミング機構D1、D2における下側の昇降枠体4bに連結され、支持されている(図10、図11参照)。
【0021】
そして、下側の昇降枠体4bと仮設柱Bの固定状態を解除し、油圧ジャッキ6により下側の昇降枠体4bを所定位置まで下降させて仮設柱Bに固定した後、上側の昇降枠体4aと仮設柱Bの固定状態を解除して、油圧ジャッキ6により上側の昇降枠体4aを所定位置まで下降させて仮設柱Bに固定するといった手順の繰返しにより、上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンさせるように構成してある。C3は長大スパン仮設梁間に架設した直角方向の連結用仮設梁である。
【0022】
長大スパン仮設梁C1、C2は、既存建物Aの柱1に圧着固定することにより、建物重量が柱1から長大スパン仮設梁C1、C2に伝達されるように構成されている。また、長大スパン仮設梁C1、C2は、架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等の施工を容易にするため、複数個のフレームユニットに分割可能に構成され、ボルト・ナット等で連結されている。
【0023】
具体的に説明すると、長大スパン仮設梁C1、C2は、図7〜図9に示すように、梁幅方向に分割されたフレームユニット7a、7bと、当該フレームユニット7a、7bの一方7a又は7bを固定端とし他方7b又は7aを緊張端とする複数本のPC鋼棒8を備えている。前記フレームユニット7a、7bは、架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等を容易に行えるように、スパン方向にも複数個のフレームユニットに分割可能に構成されている。
【0024】
前記PC鋼棒8は、図9、図10に示すように、既存建物Aの柱1にドリルで穿設した貫通孔に挿通させてあり、当該PC鋼棒8を油圧ジャッキ(図示せず)で緊張させることにより既存建物Aの柱1をフレームユニット7a、7bで挟持して、長大スパン仮設梁C1、C2を柱1に圧着固定するように構成してある。梁幅方向に分割されたフレームユニット7a、7bの両端側は、図8〜図10に示すように、柱1の両側位置の壁3に穿設したコア抜き孔に挿通され、それらの突出端部を前記クライミング機構D1、D2の昇降枠体4bで支持させてある。
【0025】
本発明に係る建物の多段解体工法を説明すると、上記の通り、既存建物Aの外周に仮設柱Bを立設し、既存建物Aの両側に位置する仮設柱B、B間に長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段にクライミング機構D1、D2を介して架設する。
【0026】
そして、前記仮設柱B及び長大スパン仮設梁C1、C2に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体作業と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体作業とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁C1、C2ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱B、B間に上下二段に架設して、解体作業を繰り返すのである。
【0027】
図示の実施形態においては、図3に示すように、上段の長大スパン仮設梁C1を上部建物ごと下段の長大スパン仮設梁C2の直上位置までジャッキダウンした後、図4に示すように、上下二段の長大スパン仮設梁C1、C2を順次下限位置までジャッキダウンして、建物重量を地盤に支持させている。この状態においては、図11に示すように、下段の長大スパン仮設梁C2で支持された1層分の柱1が地盤に支持され、この柱1が上段の長大スパン仮設梁C1で支持された柱1を支持している。
【0028】
従って、建物重量は柱1を介して地盤で支持されることなり、この状態で、長大スパン仮設梁C1、C2を分解すると共に、クライミング機構D1、D2を所定位置まで上昇させ、図6に示すように、上方へ転用することが可能である。
【0029】
上記の構成によれば、既存建物Aの両側に立設した仮設柱Bに長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段に架設し、前記仮設柱B及び長大スパン仮設梁C1、C2に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行うので、多段階を同時に解体することがで
きる。
【0030】
例えば、3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機E1、E2を1階と、下段の長大スパン仮設梁C2で支持される階に設置して、1階の大型解体重機E1で下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する3〜4層分の建物部分を解体し、下段の長大スパン仮設梁C2で支持される階の大型解体重機E2で上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する3〜4層分の建物部分を解体することによって、大型解体重機E1、E2による作業可能な限界高さの2倍程度まで同時に解体することが可能である。
【0031】
そして、上記の解体工程後、図3、図4に示すように、残存する上部建物を長大スパン仮設梁C1、C2ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、図5に示すように、前記クライミング機構D1、D2を所定位置まで上昇させ、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱Bに上下二段に架設して、解体作業を繰り返すので、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮することができる。
【0032】
尚、上記の実施形態では、クライミング機構D1、D2を仮設柱Bから取り外すことなく所定位置まで上昇させて長大スパン仮設梁C1、C2の架設に転用したが、クライミング機構D1、D2が容易に分解組立できる構造であれば、図12に示すように、上段の、長大スパン仮設梁C1で上部建物を支持した状態で1階部分を解体し、下段のクライミング機構D2を分解して仮設柱Bの中程まで移動し、図13に示すように、クライミング機構D1、D2により上部建物を地上レベルまで下降させた後、上段のクライミング機構D1を分解して仮設柱Bの上端側の所定位置まで移動させ、図6で示した状態にすることも可能である。
【0033】
図14は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、何れかの仮設柱BとしてタワークレーンGのタワーを利用し、当該タワークレーンGを解体材の搬出に用いるようにした点に特徴がある。D3はタワークレーンGのクライミング機構である。図示しないが、各階の床スラブには、予め、解体材の揚重に利用する開口を形成しておくものとする。
【0034】
この構成によれば、何れかの仮設柱BとしてタワークレーンGのタワーを利用し、当該タワークレーンGを解体材の搬出に用いるので、既存建物Aの周囲に必要な解体材の搬出路が制限されるような条件下でも、解体工事が容易である。その他の構成や作用は、先の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0035】
尚、上述した各々の実施形態においては、何れも、図7に示したように、既存建物Aの両側に立設した仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して長大スパン仮設梁C1、C2を架設し、長大スパン仮設梁C1、C2間に直角方向の連結用仮設梁C3を架設しているが、図15、図16に示すように、既存建物Aの外周四隅に仮設柱Bを立設し、これらの仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して既存建物Aを取り囲む平面視方形状の外周メガフレームH1、H2を上下二段に架設し、これらの外周メガフレームH1、H2に長大スパン仮設梁C1、C2を架設して、実施してもよい。
【0036】
この構成によれば、長大スパン仮設梁C1、C2を仮設柱Bに外周メガフレームH1、H2を介して架設するので、長大スパン仮設梁C1、C2を直接的に仮設柱Bに架設する場合に比して仮設柱Bの本数が少なくて済む利点がある。その他の構成や作用は、先の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述した各々の実施形態においては、長大スパン仮設梁を上下二段に架設したが、本発
明による建物の多段解体工法は、長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて三段又はそれ以上に架設して実施することも可能である。また、図示の実施形態においては、既存建物AがRC造であるが、本発明による建物の多段解体工法は、SRC造やS造の既存建物を解体する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
A 既存建物
B 仮設柱
C1、C2 長大スパン仮設梁
C3 連結用仮設梁
D1、D2、D3 クライミング機構
E1、E2 大型解体重機
F 養生カバー
G タワークレーン
H1、H2 外周メガフレーム
1 柱
2 梁
3 壁
4a、4b 昇降枠体
5a、5b 油圧シリンダ
6 油圧ジャッキ
7a、7b フレームユニット
8 PC鋼棒
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の建物を下層階から順次解体撤去してジャッキダウンして行く建物の解体方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
高層建物や超高層建物等の既存建物を下層階から順次解体撤去してジャッキダウンして行く建物の解体方法は、特許文献1、2等によって既に知られている。これらの解体方法は、建物最上階から下層階へと順次解体して行く解体方法のような躯体最上部に解体重機を配置する作業や、解体が進むにつれて解体重機を順次下層階へと移動させて行く作業が必要でなく、作業の安全確保が容易で、騒音や粉塵の外部飛散を抑制するための養生カバーを低層部に設置するだけで済む等々多くの利点を有している。
【0003】
しかし、従来のこの種の解体方法においては、既存建物を下層階から1層ずつ解体してジャッキダウンするため、ジャッキダウンの回数が多くて、ジャッキの盛替やジャッキダウンに多くの時間が費やされることになり、工期が長くなる傾向があった。
【0004】
このような問題の解決策としては、例えば、解体作業に、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる性能を有する自走式の大型解体重機を用いて、既存建物を下層階から3〜4層分ずつ1工程で解体する一方、既存建物を3〜4層分ずつジャッキダウンして行くことが考えられる。しかし、大型解体重機とはいえ、現状では、作業可能な高さの範囲は、精々、3〜4層分であり、それ以上に大型の解体重機は開発されていない。従って、上記の解決策では、工期が長くなるという問題点の解決に限界があり、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−24455号公報
【特許文献1】特開2009−138378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機を用いて、既存建物を下層階から前記大型解体重機による作業可能な限界高さの2倍程度まで解体でき、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮できる建物の多段解体工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、請求項1に記載の発明による建物の多段解体工法は、既存建物の外周に仮設柱を立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて複数段にクライミング機構を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下複数段に架設して、解体作業を繰り返すことを特徴としている。
【0008】
尚、前記クライミング機構としては、仮設柱に沿って昇降し得る機能を有するものであれば、如何なる構造のものであってもよく、例えば、タワークレーンにおける一般的なクライミング機構と同様に、仮設柱の所定高さ位置に間隔をあけて固定することが可能な上下の昇降枠体と、上下の昇降枠体間に配設される油圧ジャッキとで構成したものであってもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物の多段解体工法であって、長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の建物の多段解体工法であって、長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の建物の多段解体工法であって、何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、既存建物の両側に立設した仮設柱に長大スパン仮設梁(既存建物を横切る長さの仮設梁)を上下複数段に架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行うので、多段階を同時に解体することができる。
【0013】
例えば、3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機を1階と、下段の長大スパン仮設梁で支持される階に設置して、1階の大型解体重機で下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分を解体し、下段の長大スパン仮設梁で支持される階の大型解体重機で上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分を解体することによって、大型解体重機による作業可能な限界高さの2倍程度まで同時に解体することができる。
【0014】
そして、上記の解体工程後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下二段に架設して、解体作業を繰り返すので、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されているので、長大スパン仮設梁の架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等の施工が容易である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されているので、既存建物の柱を直接長大スパン仮設梁で支持することになり、既存建物の梁を長大スパン仮設梁で支持する場合のように、梁のせん
断・曲げ強度によって躯体支持能力が制限されないので、仮設の補強部材を構築して、梁のせん断・曲げ強度を高める必要がない。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いるので、解体する既存建物の周囲に解体材の搬出路がないような条件下でも、解体が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る建物の多段解体工法を説明する概略側面図である。
【図2】図1に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図3】図2に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図4】図3に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図5】図4に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図6】図5に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図7】本発明に係る建物の多段解体工法を説明する概略横断平面図である。
【図8】要部の横断平面図である。
【図9】要部の斜視図である。
【図10】要部の側面図である。
【図11】要部の側面図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す建物の多段解体工法の説明図である。
【図13】図12に続く建物の多段解体工法の説明図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す建物の多段解体工法の説明図である。
【図15】本発明の他の実施形態を示す概略横断平面図である。
【図16】要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図11は、本発明に係る建物の多段解体工法を示す。図において、Aは高層建物や超高層建物のような多層構造の既存建物である。1は既存建物Aの柱、2は梁、3は壁を示す。既存建物Aの外周には、外周の柱1に沿わせて鉄骨造の仮設柱Bが立設されている。仮設柱Bの高さは既存建物Aの半分以下とされ、図示の例では8〜10層分程度の高さとされている。C1、C2は、既存建物Aの両側に位置する仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して上下二段に架設された鉄骨造の長大スパン仮設梁(既存建物Aを横切る長さのメガフレーム)である。E1、E2は、一般的な階高の建物における3〜4層分に相当する高さまで解体できる性能を有する自走式の大型解体重機を例示する。Fは騒音や粉塵の外部飛散を抑制するための養生カバーであり、仮設柱Bの外側に設置されている。
【0020】
前記クライミング機構D1、D2は、タワークレーンにおける一般的なクライミング機構と同様に、仮設柱Bの所定高さ位置に間隔をあけて固定することが可能な上下の昇降枠体4a、4bと、上下の昇降枠体4a、4bを仮設柱Bに固定するカンザシ状金物駆動用の油圧シリンダ5a、5bと、上下の昇降枠体4a、4b間に配設される油圧ジャッキ6とで構成されており、長大スパン仮設梁C1、C2は各々のクライミング機構D1、D2における下側の昇降枠体4bに連結され、支持されている(図10、図11参照)。
【0021】
そして、下側の昇降枠体4bと仮設柱Bの固定状態を解除し、油圧ジャッキ6により下側の昇降枠体4bを所定位置まで下降させて仮設柱Bに固定した後、上側の昇降枠体4aと仮設柱Bの固定状態を解除して、油圧ジャッキ6により上側の昇降枠体4aを所定位置まで下降させて仮設柱Bに固定するといった手順の繰返しにより、上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンさせるように構成してある。C3は長大スパン仮設梁間に架設した直角方向の連結用仮設梁である。
【0022】
長大スパン仮設梁C1、C2は、既存建物Aの柱1に圧着固定することにより、建物重量が柱1から長大スパン仮設梁C1、C2に伝達されるように構成されている。また、長大スパン仮設梁C1、C2は、架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等の施工を容易にするため、複数個のフレームユニットに分割可能に構成され、ボルト・ナット等で連結されている。
【0023】
具体的に説明すると、長大スパン仮設梁C1、C2は、図7〜図9に示すように、梁幅方向に分割されたフレームユニット7a、7bと、当該フレームユニット7a、7bの一方7a又は7bを固定端とし他方7b又は7aを緊張端とする複数本のPC鋼棒8を備えている。前記フレームユニット7a、7bは、架設階への揚重や、ジャッキダウン後における上階への転用等を容易に行えるように、スパン方向にも複数個のフレームユニットに分割可能に構成されている。
【0024】
前記PC鋼棒8は、図9、図10に示すように、既存建物Aの柱1にドリルで穿設した貫通孔に挿通させてあり、当該PC鋼棒8を油圧ジャッキ(図示せず)で緊張させることにより既存建物Aの柱1をフレームユニット7a、7bで挟持して、長大スパン仮設梁C1、C2を柱1に圧着固定するように構成してある。梁幅方向に分割されたフレームユニット7a、7bの両端側は、図8〜図10に示すように、柱1の両側位置の壁3に穿設したコア抜き孔に挿通され、それらの突出端部を前記クライミング機構D1、D2の昇降枠体4bで支持させてある。
【0025】
本発明に係る建物の多段解体工法を説明すると、上記の通り、既存建物Aの外周に仮設柱Bを立設し、既存建物Aの両側に位置する仮設柱B、B間に長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段にクライミング機構D1、D2を介して架設する。
【0026】
そして、前記仮設柱B及び長大スパン仮設梁C1、C2に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体作業と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体作業とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁C1、C2ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱B、B間に上下二段に架設して、解体作業を繰り返すのである。
【0027】
図示の実施形態においては、図3に示すように、上段の長大スパン仮設梁C1を上部建物ごと下段の長大スパン仮設梁C2の直上位置までジャッキダウンした後、図4に示すように、上下二段の長大スパン仮設梁C1、C2を順次下限位置までジャッキダウンして、建物重量を地盤に支持させている。この状態においては、図11に示すように、下段の長大スパン仮設梁C2で支持された1層分の柱1が地盤に支持され、この柱1が上段の長大スパン仮設梁C1で支持された柱1を支持している。
【0028】
従って、建物重量は柱1を介して地盤で支持されることなり、この状態で、長大スパン仮設梁C1、C2を分解すると共に、クライミング機構D1、D2を所定位置まで上昇させ、図6に示すように、上方へ転用することが可能である。
【0029】
上記の構成によれば、既存建物Aの両側に立設した仮設柱Bに長大スパン仮設梁C1、C2を上下二段に架設し、前記仮設柱B及び長大スパン仮設梁C1、C2に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行うので、多段階を同時に解体することがで
きる。
【0030】
例えば、3〜4層分に相当する高さまで解体できる既存の大型解体重機E1、E2を1階と、下段の長大スパン仮設梁C2で支持される階に設置して、1階の大型解体重機E1で下段の長大スパン仮設梁C2と地上レベルの間に位置する3〜4層分の建物部分を解体し、下段の長大スパン仮設梁C2で支持される階の大型解体重機E2で上段の長大スパン仮設梁C1と下段の長大スパン仮設梁C2の間に位置する3〜4層分の建物部分を解体することによって、大型解体重機E1、E2による作業可能な限界高さの2倍程度まで同時に解体することが可能である。
【0031】
そして、上記の解体工程後、図3、図4に示すように、残存する上部建物を長大スパン仮設梁C1、C2ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、図5に示すように、前記クライミング機構D1、D2を所定位置まで上昇させ、前記長大スパン仮設梁C1、C2を再び仮設柱Bに上下二段に架設して、解体作業を繰り返すので、ジャッキダウンの回数を半減して、工期を短縮することができる。
【0032】
尚、上記の実施形態では、クライミング機構D1、D2を仮設柱Bから取り外すことなく所定位置まで上昇させて長大スパン仮設梁C1、C2の架設に転用したが、クライミング機構D1、D2が容易に分解組立できる構造であれば、図12に示すように、上段の、長大スパン仮設梁C1で上部建物を支持した状態で1階部分を解体し、下段のクライミング機構D2を分解して仮設柱Bの中程まで移動し、図13に示すように、クライミング機構D1、D2により上部建物を地上レベルまで下降させた後、上段のクライミング機構D1を分解して仮設柱Bの上端側の所定位置まで移動させ、図6で示した状態にすることも可能である。
【0033】
図14は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、何れかの仮設柱BとしてタワークレーンGのタワーを利用し、当該タワークレーンGを解体材の搬出に用いるようにした点に特徴がある。D3はタワークレーンGのクライミング機構である。図示しないが、各階の床スラブには、予め、解体材の揚重に利用する開口を形成しておくものとする。
【0034】
この構成によれば、何れかの仮設柱BとしてタワークレーンGのタワーを利用し、当該タワークレーンGを解体材の搬出に用いるので、既存建物Aの周囲に必要な解体材の搬出路が制限されるような条件下でも、解体工事が容易である。その他の構成や作用は、先の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0035】
尚、上述した各々の実施形態においては、何れも、図7に示したように、既存建物Aの両側に立設した仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して長大スパン仮設梁C1、C2を架設し、長大スパン仮設梁C1、C2間に直角方向の連結用仮設梁C3を架設しているが、図15、図16に示すように、既存建物Aの外周四隅に仮設柱Bを立設し、これらの仮設柱Bにクライミング機構D1、D2を介して既存建物Aを取り囲む平面視方形状の外周メガフレームH1、H2を上下二段に架設し、これらの外周メガフレームH1、H2に長大スパン仮設梁C1、C2を架設して、実施してもよい。
【0036】
この構成によれば、長大スパン仮設梁C1、C2を仮設柱Bに外周メガフレームH1、H2を介して架設するので、長大スパン仮設梁C1、C2を直接的に仮設柱Bに架設する場合に比して仮設柱Bの本数が少なくて済む利点がある。その他の構成や作用は、先の実施形態と同じであるため、同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述した各々の実施形態においては、長大スパン仮設梁を上下二段に架設したが、本発
明による建物の多段解体工法は、長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて三段又はそれ以上に架設して実施することも可能である。また、図示の実施形態においては、既存建物AがRC造であるが、本発明による建物の多段解体工法は、SRC造やS造の既存建物を解体する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
A 既存建物
B 仮設柱
C1、C2 長大スパン仮設梁
C3 連結用仮設梁
D1、D2、D3 クライミング機構
E1、E2 大型解体重機
F 養生カバー
G タワークレーン
H1、H2 外周メガフレーム
1 柱
2 梁
3 壁
4a、4b 昇降枠体
5a、5b 油圧シリンダ
6 油圧ジャッキ
7a、7b フレームユニット
8 PC鋼棒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存建物の外周に仮設柱を立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて複数段にクライミング機構を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下複数段に架設して、解体作業を繰り返すことを特徴とする建物の多段解体工法。
【請求項2】
長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の多段解体工法。
【請求項3】
長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建物の多段解体工法。
【請求項4】
何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の建物の多段解体工法。
【請求項1】
既存建物の外周に仮設柱を立設し、既存建物の両側に位置する仮設柱に長大スパン仮設梁を上下に間隔を隔てて複数段にクライミング機構を介して架設し、前記仮設柱及び長大スパン仮設梁に建物重量を負担させた状態で、上段の長大スパン仮設梁と下段の長大スパン仮設梁の間に位置する複数階層の建物部分の解体と、下段の長大スパン仮設梁と地上レベルの間に位置する複数階層の建物部分の解体とを並行して行い、しかる後、残存する上部建物を長大スパン仮設梁ごとジャッキダウンして、建物重量を地盤で支持した後、前記長大スパン仮設梁を再び仮設柱に上下複数段に架設して、解体作業を繰り返すことを特徴とする建物の多段解体工法。
【請求項2】
長大スパン仮設梁がスパン方向及び梁幅方向に複数個のフレームユニットに分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の多段解体工法。
【請求項3】
長大スパン仮設梁が、梁幅方向に分割されたフレームユニットの一方を固定端とし他方を緊張端とする複数本のPC鋼棒を備え、前記フレームユニットを柱の両側に配置した状態で当該PC鋼棒を緊張させることにより既存建物の柱に圧着固定されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の建物の多段解体工法。
【請求項4】
何れかの仮設柱としてタワークレーンのタワーを利用し、当該タワークレーンを解体材の搬出に用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の建物の多段解体工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−241584(P2011−241584A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113925(P2010−113925)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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