説明

建物用換気口

【目的】 本発明は、風雨時に雨水がしぶきとなってフードを超えて内部に侵入したとき、その雨水のすべてが外部に排出されるとはかぎらず、溶接合した内外部材の間隙から内側方に流出するものがあるから、内側方に流入した雨水が壁材の内部に染み込み、壁材部を腐食する原因となっていたことに鑑み、従来のフード付き換気口の構造的欠陥を除去した換気口を提供することを目的とする。
【構成】 本発明は、通気板4の取付段部10の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部11を形成し、このように成る通気板4の取付段部10の外側部にフード体12の取付枠部13を重ね合わせて固着し、前記案内板部11をフード体12の取付枠部13より外側方に突出して成るものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物用換気口に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば意匠登録第454591号のごとき換気口が公知であり普及しているが、風雨時に雨水がしぶきとなってフードを超えて内部に侵入したとき、その雨水のすべてが外部に排出されるとはかぎらず、溶接合した内外部材の間隙から内側方に流出するものがあるから、内側方に流入した雨水が壁材の内部に染み込み、壁材部を腐食する原因となっていた。
【0003】このような欠点を改良しようと、雨避けフードの周囲の取付枠部の下側部に一体に案内部を変形構成したものが最近公知になっているが、フードと一体に案内部を構成したものでは、通気板の最下位の通気口に流下した雨水の残部分は、フードの取付枠部と通気板の取付段部との重合間隙に浸入したまま外部に排出することができなくなり、外壁材の表面又は内部に浸透するようになるから、排水効果は殆んどなく、建物の外壁面への汚損化は依然として防止できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はそのような欠点を除去することを目的とし、先願にかかる特願平6−109215号の発明をさらに改良した換気口を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、通気板の取付段部の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部を形成し、このように成る通気板の取付段部の外側部にフード体の取付枠部を重ね合わせて固着し、前記案内板部をフード体の取付枠部より外側方に突出して成るものである。
【0006】また、本発明は、通気板の取付段部の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部を形成し、このように成る通気板の取付段部の外側部にフード体の取付枠部を重ね合わせて固着し、前記案内板部をフード体の取付枠部より外側方に突出し、この案内板部の左右両端部に巾広の受け口面を形成し案内板部の基端溝に連通して成るものである。
【0007】
【作用】風雨時には、フードや切起し羽根に当たって跳ね返えされた雨水が風に吹かれてしぶきとなって通気板の各通気口から内部に浸入する。すると、内側の網板に付着した雨水は雫となって流下し、最下位の通気口においてその中央部の垂れ口から外部に流れ出る。また、この下方の排水口からも外部に流れ出るようになる。
【0008】したがって、外部に出た雨水の大部分は、フードの開口部から外部に排出されるが、一部の雨水はフードの取付枠部と通気板の取付段部との接合間隙内に染みて流れるから、このような雨水は、通気板の取付枠部の下側部に形成されている案内板部の上面にガイドされて流出し、ここから外部に排出するようにする。
【0009】また、案内板部の両端部に巾広の受け口面を形成して案内板部の基端溝に連通して成る換気口にあっては、フード体の取付枠部は建物の壁面口に嵌合しここに固着用のコーキングを施しているが、このフード体の取付枠部の周囲に沿って流れ落ちる雨水を前記巾広の受け口面によって最大に拾って排出するようにする。
【0010】
【実施例】1は内外両面に開口部を有しかつ外面開口部の周囲に鍔部2を形成して成る取付筒体で、この筒体の周面部には外側方に開いた発条爪3を複数個設ける。
【0011】4は多数の通気口5を設けるとともに各通気口に切起し羽根6を設けた通気板で、この通気板の内側部には網板7を設置する。この通気板4の内側部には前記取付枠体1の鍔部2を固着する。
【0012】8は最下位の通気口5の中央部に設けた垂れ口で、この垂れ口から内側の網板7に付着した雨水が外部に流出するようになる。この垂れ口8を設けた通気口5の下側方にも排水口9を設ける。
【0013】10は前記通気板4の周囲に形成した内側方に曲折した取付段部で、この取付段部の中央部付近から下側部全面にかけて外側方に弯曲形して突出した案内板部11を形成する。
【0014】12は前記通気板4の外側方に被套する雨避けフード体で、このフード体の周囲に形成した取付枠部13は前記通気板4の取付段部10に重ね合わせて固着する。
【0015】14は前記案内板部11の左右両上端部に設けた巾広の受け口面で、この受け口面の外縁部には比較的長い案内縁部14' を形成する。
【0016】15は前記案内板部11の基部における基端溝で、この基端溝は前記受け口面14に連通する。
【0017】aは前記フード体12の取付枠部13の周囲に固着するコーキング材である。
【0018】
【発明の効果】フードや各羽根を越えて換気口の内部に浸入した雨水のしぶきは、内側の網板を流下して最下位の通気口の垂れ口及びその下方の排水口から外部に排出するが、排出し切れずに残った一部の雨水はフード体側と通気板側との重なり合った取付枠部と取付段部との間隙内を流れ、後者の取付段部と一体に成る案内板部にガイドされて外部に排出するようになるから、雨水が通気板の取付段部から内側の家屋壁材に染みて浸入することはなくなり、したがって壁材における腐食などの発生を完全に防止することができ、建物の耐久性を減退させることがなくなり、外壁面を汚損せず長期間にわたり美観を保持することができるようになる。
【0019】また、前記案内板部の左右両上端部には比較的巾広の受け口面を形成し、案内板部の基端溝に連通しているものであるから、コーキング自体による油汚れと壁面付着の汚れは雨水と一緒になって受け口面に集中して案内板部の基端溝に流れるようになり、したがって建物の外壁面は汚損されることなく、長期間にわたり美観を保持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体の分離状態を示した斜視図
【図2】全体の斜視図
【図3】図2の全体の正面図
【図4】図3A−A線の断面図
【図5】他例の全体の斜視図
【図6】図5の全体の正面図
【符号の説明】
1 取付筒体
2 鍔部
4 通気板
7 網板
8 垂れ口
9 排水口
10 通気板の取付段部
11 案内板部
12 フード体
13 フード体の取付枠部
14 巾広受け口面
14' 案内縁部
15 案内板部の基端溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気板の取付段部の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部を形成し、このように成る通気板の取付段部の外側部にフード体の取付枠部を重ね合わせて固着し、前記案内板部をフード体の取付枠部より外側方に突出して成る建物用換気口。
【請求項2】 内側に網板を設置した通気板の取付枠部の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部を形成し、このように成る通気板の取付段部の外側部にフード体の取付枠部を重ね合わせて固着し、前記通気板の最下位の通気口の中央部に垂れ口を設けるとともにこの通気口の下方に排水口を設けて成る建物用換気口。
【請求項3】 通気板の取付段部の中央部から下側部全面に外側方へ弯形した案内板部を形成し、このように成る通気板の取付段部の外側部にフード体の取付枠部を重ね合わせて固着し、前記案内板部をフード体の取付枠部より外側方に突出し、この案内板部の左右両端部に巾広の受け口面を形成し案内板部の基端溝に連通して成る建物用換気口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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