説明

建物

【課題】洗濯物等の被乾燥物を自然乾燥可能な乾燥室を有する建物を提供する。
【解決手段】乾燥室18は、玄関土間7および玄関ホールと屋根裏に設けられたロフト22との間に設けられている。玄関土間7および玄関ホールと乾燥室18との間に玄関土間7および玄関ホールの天井と乾燥室18の床を兼ねるとともに、透光性と通気性を有するグレーティングパネル31が設けられている。乾燥室18とロフト22との間に乾燥室18の天井とロフト22の床を兼ねるとともに、透光性と通気性を有するグレーティングパネル31が設けられている。これにより、ロフト22側から乾燥室18に採光を行うことができる。また、ロフト22と玄関土間7および玄関ホールとの間で乾燥室18を介して風を通し、乾燥室18での被乾燥物の自然乾燥を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物等の被乾燥物の乾燥を行う乾燥室を備えた建物に関する。
【背景技術】
【0002】
1階の採光性や通気性を向上し、かつ、屋内の開放感を向上するために、2階の床の一部をなくして、1階と2階を連通させた吹き抜けを有する建物が知られている。
しかし、住宅となる建物においては、その床面積が必ずしも十分でない場合が多く、吹き抜けを設けることで、2階床面積が減少してしまうと、建物の使い勝手が悪くなる可能性がある。
【0003】
そこで、吹き抜け部分の2階床高さ部分に、グレーティングパネル(格子状パネル)を設けることにより、吹き抜け部分においてグレーティングパネル上を歩行可能とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合に、グレーティングパネルに設けられた隙間から見通しを確保するとともに、採光と通気を可能とすることができる。また、近づくことが困難であった吹き抜け部分の2階以上の高さに面する外壁の窓に容易に近づくことが可能となる。したがって、この窓を開閉自在として換気に使用することができる。また、当該窓にカーテンを配置した場合にカーテンの開閉が可能となる。また、吹き抜け部分の一部に収納スペースを設けるものとすれば、当該収納スペースへのアクセスがグレーティングパネルを歩行することで可能となる。
【0004】
また、洗濯物を干す場合に、住宅では、一般的にベランダが用いられるが、建物の美観の問題や、防犯上の問題、また、天候によって屋外に干せない場合があることから屋内に乾燥室を設ける場合がある。この場合に、乾燥室には、電気式の乾燥機を設置し、温風で乾燥する。また、浴室に暖房乾燥機を設け、浴室を乾燥室として利用する場合がある。
また、浴室に吹き抜けを設け、吹き抜けの2階部分に物干し竿を配置可能とするとともに、吹き抜けの2階部分に採光と換気のための窓や天窓を設け、かつ、物干し作業を行う足場が形成されている建物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この足場は、例えば、格子状の構造を有するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−265987号公報
【特許文献2】特開平10−94697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、温風等で乾燥する乾燥室では、屋内の採光に優れた部分を居室として使用するので、一般的に採光が不十分で、紫外線による殺菌等の効果を見込むことができない。
また、浴室を吹き抜けとしてその2階部分を乾燥室とする場合に、浴室を使用すると、浴室だけではなく、吹き抜けの2階部分も湿度が高くなってしまい、窓や換気扇等で換気するものとしても、浴室使用後、しばらくは洗濯物の乾燥に適した湿度となりづらいという問題がある。
【0007】
また、浴室を吹き抜けとすると、浴室全体の体積が大きくなってしまい、暖房乾燥機で暖房したり、乾燥したりするのに、大きな出力を必要とすることになる。
また、一般的な吹き抜けの2階床部分にグレーティングの床を設けて、グレーティングの床上を乾燥室とする場合も、湿度の高い空気が軽く上昇しやすいことなどから、洗濯物の乾燥に適した湿度とすることが難しいとともに、洗濯物に水が残っているような場合に、グレーティングの床から下の部屋に水滴が落ちるという問題がある。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、洗濯物等の被乾燥物を自然乾燥可能な乾燥室を有する建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、洗濯物等の被乾燥物の乾燥に用いられる乾燥室18を備えた建物であって、
前記乾燥室18は、下階(1階)と屋根裏に設けられたロフト22との間に設けられ、
前記下階と前記乾燥室18との間に前記下階の天井と前記乾燥室18の床とを兼ねるとともに、透光性と通気性を有する格子状パネル31が設けられ、
前記乾燥室18と前記ロフト22との間に前記乾燥室18の天井と前記ロフト22の床とを兼ねるとともに、透光性と通気性を有する格子状パネル31が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、乾燥室18の床と天井がそれぞれ格子状パネルからなり、下階と乾燥室18との通気を確保できるとともに、ロフト22と乾燥室18との通気を確保できる。したがって、例えば、下階の窓と、ロフト22の窓を開放することにより、乾燥室18において洗濯物等を自然乾燥するための通気を確保することができる。
また、乾燥室18では、格子状パネル31によってロフト22側から採光が可能となり、乾燥室18の下階では格子状パネル31によって乾燥室18を介してロフト22からの採光が可能となる。
【0011】
乾燥室18では、天井が格子状パネル31となっているので、格子部分に掛止片を掛止することが可能であり、天井のどこでも、掛止片を有する掛止部材で例えば物干し竿を掛けたり、ハンガーを掛けたりすることができる。
また、天井と床との両方に、格子による間隙が存在するので、例えば、棒の上下端部を間隙に挿入して棒を立てることができる。この際に、棒の両端をそれぞれ間隙に容易に差し入れられるように棒の一部や掛止部分が伸縮する構造となっていることが好ましい。
【0012】
この際に、強いばね力で棒を伸ばす方向に付勢して突っ張った状態としなくても、棒の両端部が間隙に掛止されることで、倒れたり、位置ずれしたりしないので、棒を伸ばす方向への付勢力の弱いものや、ねじで伸縮する構造のものや、伸縮可能で伸びた状態から縮んだ状態へ戻るのを防止するストッパを有するものなどを用いることができる。
なお、格子状パネル31は、例えば、床材等に使われるグレーティングパネルであり、通常の住宅における死荷重や活荷重を十分に支持可能なものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の建物において、前記下階の前記乾燥室の下方となる位置には、玄関6の屋内側の玄関土間7が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、乾燥室18の下方に玄関土間7が設けられているので、乾燥すべきものから水が落下し、その水がさらに格子状パネル31の間隙から下方に落下しても、住宅となる建物の中で耐水性のある玄関土間7が濡れるだけなので、水による問題を抑制することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の建物において、屋根2の前記ロフト22上方となる部分には、換気のために開閉自在で、開閉状態にかかわらず屋内側への雨滴の落下を抑止できる窓5,27,43が設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ロフト22の屋根2部分に設けられた窓5,27,43から採光された光がロフト22の床で乾燥室18の天井である格子状パネル31から乾燥室18に至り、さらに、乾燥室18から乾燥室18の床で下階の部屋の天井である格子状パネル31から下階の部屋に至ることになる。特に、窓5,27,43は屋根2に設けられるものであることから、いわゆる天窓やトップライトとなり、効率的に太陽光を乾燥室18に導入することが可能となる。
また、多少雨が降っている状態でも、開放状態として、換気を行うことが可能となる。また、多少の雨でも換気が可能となる。
【0017】
また、ロフト22の屋根2部分の窓5,27,43を開放することで、二枚の格子状パネル31を介して、ロフト22、乾燥室18、下階の部屋の換気を行い、乾燥室18の湿度を低減するとともに風を導入して、乾燥すべき被乾燥物を電力を用いた乾燥装置を用いることなく、自然乾燥することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記下階からその上の上階に至るとともに途中に踊り場12を有する折り返し階段13を備え、前記踊り場12の床が前記下階の床と前記乾燥室18の床との間の高さ位置とされ、当該踊り場12が前記乾燥室18に隣接するとともに下階の窓32を有する少なくとも一つの部屋14に隣接し、当該踊り場12と前記乾燥室18との間にこれら踊り場12と乾燥室18とを連通させる開口部33が形成され、前記踊り場12と前記下階の前記部屋14との間にこれら踊り場12と前記下階の前記部屋14とを連通する開口部34が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、踊り場12の乾燥室18と連通する開口部33と、下階の窓32を有する部屋14と連通する開口部34を介して、下階の部屋14の窓32から踊り場12を通して乾燥室18に風を送ることが可能となる。さらに、風を乾燥室18の天井となる格子状パネル31を介してロフト22の屋根の窓から出すことが可能となる。また、この逆の経路で風を通すことも可能である。
これにより、乾燥室18の湿度の低減と風の通過量の向上とを図り、より乾燥室18での乾燥能力を高めることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記踊り場12の下が前記下階より天井の低い低天井収納室11とされ、前記踊り場12が居住者の共有領域とされ、前記踊り場12の上が屋根裏に設けられるとともに、前記ロフト22より床の高さ位置が低い低床ロフト23とされ、前記乾燥室18に隣接して洗濯機用パン35が備えられた洗面室20が設けられ、前記洗面室20の上部が前記ロフト22に連通する屋根裏空間に開放されていることを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、下階の部屋、乾燥室18、ロフト22が上下に並ぶ部分に隣接して、低天井収納室11、共有領域となる踊り場12、低床ロフト23が上下に並ぶ部分が互いに床の高さ位置がずれた状態で、請求項4に記載の発明の場合のように風を通すことが可能となる。
また、乾燥室18に隣接して洗濯機用パン35を備える洗面室20が備えられているので、洗濯物の乾燥が容易となる。また、洗面室20がロフト22の窓に連通することになり、洗面室20の湿度の低下を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の建物によれば、屋内に、風通しがよく、かつ、方向にかかわらず採光性に優れて、使い勝手のよく、洗濯物等の被乾燥物を自然乾燥可能な乾燥室を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に沿った縦断面図である。
【図2】第1実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に直交する縦断面図である。
【図3】第1実施形態の建物を示す1階の横断面図である。
【図4】第1実施形態の建物を示す2階の横断面図である。
【図5】第1実施形態の建物を示すロフトの横断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に沿った縦断面図である。
【図7】第2実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に直交する縦断面図である。
【図8】第2実施形態の建物を示す1階の横断面図である。
【図9】第2実施形態の建物を示す2階の横断面図である。
【図10】第2実施形態の建物を示すロフトの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に沿った縦断面図であり、図2は第1実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に直交する縦断面図であり、図3は第1実施形態の建物を示す1階の横断面図であり、図4は第1実施形態の建物を示す2階の横断面図であり、図5は第1実施形態の建物を示すロフトの横断面図である。
【0025】
この例の建物は、図1に示すように棟に段差1を有する切妻屋根2を有するものとなっている。すなわち、切妻屋根2を構成する二つの屋根面3,4が棟部分で接合されるが、棟部分で一方の屋根面3に対して他方の屋根面4が低い状態で接合されることにより、棟部分に上述の段差1が形成されている。そして、この段差1の部分には、天窓5が形成されている。
【0026】
建物の一方の妻面側の向かって左側(棟部分が高い方の屋根面3側)よりに玄関6が設けられ、玄関6は両開き扉となっている。なお、以降の記載において、左右は、建物の前記一方の妻面に向かった方向とする。
建物の1階の玄関6の屋内側が玄関土間7とされ、その奥(他方の妻面側)が玄関ホール8とされている。
玄関土間7の左側は、人が出入可能な物入れ9とされている。この物入れ9の奥がトイレ1aとされている。また、玄関土間7の右側は、作業場10となっており、日曜大工やガーデニング等の各種趣味で行われる作業のうち屋内で可能な作業を行うことができる。
【0027】
なお、作業場10は、後述の低天井収納室11と同じように後述の踊り場12の下側に設けられており、1階の他の部屋より天井が低くなっているが、作業場10は玄関土間と同じ床面となっており、1階の他の部屋より床面が低くなっているので、天井の低さを床の低さで補うことができる。これによりある程度の頭上高さを確保できるようになっている。
【0028】
作業場10の右隣には、上述の低天井収納室11が設けられている。そして、これら作業場10および低天井収納室11は、後述の折り返し階段13の踊り場12の下側となっている。そして、これら作業場10および低天井収納室11の奥側(他方の妻面側)が踊り場12につながる折り返し階段13となる。また、折り返し階段13および低天井収納室11の右側、すなわち低い方の屋根面4側が特に使用用途を限定されていないマルチスペースである居室14となる。なお、居室14をリビングとしてもよい。居室14には、外壁に後述の窓32が設けられている。
【0029】
上述の各スペースの他方の妻面側がダイニングキッチン15となり、左端部側がキッチン16で、それより右側がダイニング17となる。なお、ダイニング17の右側をリビングとして、ダイニングキッチン15をリビングダイニングキッチンとして使用するものとしてもよい。キッチン16は、対面カウンタとなっている。
【0030】
建物の2階においては、上述の玄関土間7および玄関ホール8の上側が乾燥室18とされ、乾燥室18の左側が浴室19とその他方の妻面側が洗面室20となっている。また、洗面室20には洗濯機を設置するための洗濯機用パン35が備えられている。また、洗面室20は、廊下21側に出入り口を有し、洗面室20内には浴室19への出入り口と、乾燥室18への出入り口が設けられている。また、洗面室20の天井の一部が屋根の下側に至るように高くなっているとともに、屋根裏のロフト22と連通した状態となっている。
なお、浴室19は、屋根裏と連通しておらず、ロフト22等の屋根裏の部屋に湿気が排出されないようになっている。
【0031】
乾燥室18の右側の折り返し階段13は、2階部分でさらに折り返して後述の低床ロフト23に至るようになっている。
また、乾燥室18の右隣となる空間で折り返し階段13より一方の妻面側は、乾燥室18より低い位置に床がある踊り場12と、乾燥室18より高い位置に床がある低床ロフト23が配置されている。
【0032】
ここで、踊り場12は、通常の踊り場12よりも広く、浴室19と同程度か浴室19より少し広い程度の広さを有しており、家族の共有領域として使用可能となっている。ここでは、家族がだれても使用できるファミリーライブラリとなっており、書斎、読書室等として使用可能となっている。
【0033】
2階の上述の各スペースは、高い屋根面4の下側となる。
折り返し階段13より右側には、洋間としての寝室24が配置されている。なお、寝室24の天井は、屋根に至る高さとされており、寝室24の上部が屋根裏に至るものとなっている。これにより、寝室24の天井は、斜めとなるが通常の天井より屋根裏を含む分だけ高いものとなっている。
【0034】
乾燥室18、折り返し階段13の他の妻面側には廊下21が妻面に沿って長くなるように配置されている。この廊下21は、洗面室20と、折り返し階段13と寝室24とをつなぐようになっている。よって、廊下21は、折り返し階段13の踊り場12と2階(廊下21)とをつなぐ部分と、2階(廊下21)と低床ロフト23をつなぐ部分とに接続されている。
【0035】
また、寝室24の他方の妻面側で廊下21の延長線上にあたる位置にクローゼット25が設けられている。
そして、洗面室20、廊下21およびクローゼット25の他方の妻面側には、左右に長い洋間26が設けられている。洋間26は、例えば、子供部屋として用いられるものであり、子供の人数や成長に対応して間仕切りして使用可能となっている。
【0036】
建物の屋根裏部分は、低い屋根面4の下側で、一方の妻面側が、上述の寝室24の上部となる。
また、棟で高い方の屋根面3の下側で一方の妻面側には、棟側から折り返し階段13に繋がる低床ロフト23と、乾燥室18の上となるロフト22が配置されている。また、折り返し階段13は、低床ロフト23の部分でさらに折り返して上に向かうようになっており、収納ロフト36に接続されている。
【0037】
屋根の前記ロフト22の上となる部分には、排熱塔27が形成されている。排熱塔27は、煙突状のもので屋根面3から上方に延出するように形成されている。そして、上端開口を有し、排熱塔27の真上からの採光が可能となっている。したがって、排熱塔27の上端開口が天窓となっている。また、上端開口には、透明板28が嵌め込まれている。また、排熱塔27の上端部の側面には、排気口29が全周に渡って複数並んで形成されている。
【0038】
また、排熱塔27の排気口29の下側には、排熱塔27の内部空間を上下に仕切りって配置されるとともに開閉する開閉部材30が設けられている。この開閉部材30を開放すると、屋内側と排気口29が連通し、閉塞すると屋内側と排気口29とが遮断される。
低床ロフト23は、例えば、書斎等として使用されるもので、上部に上述の切妻屋根2の段差1に形成された天窓5が配置された状態となっている。
収納ロフト36は、切妻屋根2の他方の妻面側の棟の下側に設けられ、いわゆる屋根裏収納として用いられる部分である。
【0039】
以上のような建物において、玄関土間7および玄関ホール8の上側が乾燥室18とされている。すなわち、乾燥室18の下階の部屋が玄関土間7および玄関ホール8となる。そして、乾燥室18の上側がロフト22となる。
そして、玄関土間7および玄関ホール8の天井となり、乾燥室18の床となる部分に格子状パネルとしてのグレーティングパネル31が配置されている。グレーティングパネル31は、床材として配置されるもので、乾燥室18の床にかかる活荷重および死荷重を支持可能な構成となっている。
【0040】
したがって、グレーティングパネル31を床とする乾燥室18は、人が出入り可能なものとなっている。
また、乾燥室18の天井となり、ロフト22の床となる部分に格子状パネルとしてのグレーティングパネル31が配置されている。グレーティングパネル31は、上述の乾燥室18の床となるグレーティングパネル31と同じものとなる。
【0041】
したがって、ロフト22も、人の出入りが可能となる。そして、これらグレーティングパネル31は、周知のように格子状で格子同士の間に間隙を有するものであり、通気性と透光性を備えたものとなっている。また、グレーティングパネル31を介してグレーティングパネル31の反対側が見通せるものとなっている。
このように乾燥室18の床と天井とがグレーティングパネル31からなることにより、乾燥室18は、下から上もしくは上から下に通気が可能となっており、乾燥室18の自然乾燥の乾燥能力が高められるようになっている。
【0042】
ここで、乾燥室18の下側には、玄関土間7および玄関ホール8があり、玄関6の扉を開放することで外気の導入および屋内の空気の排出が可能となっている。また、乾燥室18の上側には、ロフト22があり、ロフト22の上側には、上述の排熱塔27があり、その開閉部材30を開放することで、排熱塔27の排気口29から空気の導入と排出が可能となっている。
【0043】
また、ロフト22は、屋根裏空間として、低床ロフト23と連通しており、低床ロフト23には、開閉可能な天窓5が配置されており、天窓5を開放状態とすることで、低床ロフト23の上部空間を介してロフト22への空気の導入とロフト22からの空気の排出が可能となっている。
すなわち、乾燥室18は、その上下の空間とグレーティングパネル31を介して通気可能となっているとともに、乾燥室18の上下の空間は、それぞれ空気の導入と排気が可能となっているので、乾燥室18に空気を通すことになり、被乾燥物の乾燥が容易となる。
【0044】
また、ロフト22の排熱塔27は、透明板28を介して採光可能となっており、排熱塔27からロフト22に光が入射され、この光は、グレーティングパネル31を通って、乾燥室18および玄関土間7および玄関ホール8に至る。
また、天窓5からも斜めに入射した光がロフト22に至るようになっている。この光も反射等により、グレーティングパネル31を介して、乾燥室18と、玄関土間7および玄関ホール8に至るようになっている。
【0045】
また、上下にならぶ玄関土間7および玄関ホール8と、乾燥室18と、ロフト22とに隣接して、低天井収納室11および作業場10、共有領域となる踊り場12、低床ロフト23が配置されている。また、玄関土間7および玄関ホール8、乾燥室18、ロフト22の各床レベルに対して、低天井収納室11および作業場10、踊り場12、低床ロフト23の対応する床レベルが低くなっている。
【0046】
そして、踊り場12は、1階の窓32を有するリビングとなる居室14と、連通する開口部34を有するとともに、乾燥室18と連通する開口部33を有する。したがって、居室14の窓32から踊り場12を介して乾燥室18に対する空気の導入と排出とが可能となっている。
【0047】
これにより、玄関6の扉が閉まっていても、天窓5および排熱塔27と居室14の窓32との間で、乾燥室18を通って空気を流すことができる。なお、折り返し階段13は、1階から屋根裏までの空気の通路となる。
また、ロフト22においても、空気が流れるとともに、天窓5および排熱塔27から直接的に採光ができるため、ロフト22を乾燥室として使用でき、採光性が乾燥室18より優れることから、布団等の寝具の乾燥に適している。ロフト22には、例えば、切妻屋根2の下面側の天井となる部分に、布団等の寝具を掛けるための物干し竿が固定されていることが好ましい。
【0048】
なお、天窓5および排熱塔27は、開放した状態でも、雨水の浸入を抑止するようになっている。天窓5は、窓障子となるガラス板部分が、上側縁部を回転軸として下側が外側かつ上方に回転移動することで開放するので、窓障子を開放した場合に窓障子が庇として機能し、雨水が入りづらい構造となっている。
また、排熱塔27は、上部開口の透明板28が嵌め殺しとなっているとともに側面に排気口29が設けられている。したがって、多少の雨であったら、開閉部材30を開放状態に保持して換気を行うことが可能である。
【0049】
図6から図10は、本発明の第2実施形態の建物を示すものであって、図6は本発明の第2実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に沿った縦断面図であり、図7は第2実施形態の建物を示す屋根の傾斜方向に直交する縦断面図であり、図8は第2実施形態の建物を示す1階の横断面図であり、図9は第2実施形態の建物を示す2階の横断面図であり、図10は第2実施形態の建物を示すロフトの横断面図である。
【0050】
第2実施形態の建物は、屋根部分の構造が一部異なるだけで、屋根より下側の構造は、第1実施形態と同様となっており、図6から図10において、第1実施形態と同様の構成要素に図1から図5に付された符号と同一の符号を付して上記構成要素の説明を省略する。
【0051】
第2実施形態においては、屋根が段差の無い切妻屋根40となっており、屋根面41、42が棟部分で同じ高さ位置に配置されている。したがって、第1実施形態のように段差に天窓5が設けられる構成とはなっていない。また、切妻屋根40には、排熱塔27が設けられておらず、ロフト22の上にロフト22の床を切妻屋根40の屋根面41に投影した大きさの天窓43が設けられている。すなわち、天窓43は、ロフト22の広さとほぼ同等の広さの開口となっており、極めて高い開放感を得られる空間となっている。
【0052】
天窓43には、屋根面41の傾斜方向に直交する傾斜上側の側縁部を軸として回転する透明板を備えた開閉部材44を備えており、開閉部材44を開放した状態でも、ロフト22上を開閉部材44が庇状に覆った状態となり、雨滴の落下を防止するようになっている。すなわち、天窓43は、開放状態でも雨水の浸入が抑制されるようになっている。
これにより、ロフト22を含む屋根裏空間の換気が可能となるとともに、天窓43は、第1実施形態の天窓5および排熱塔27と同様に機能し、乾燥室18に風を通すことが可能となり、乾燥室18の乾燥能力を高めることができる。
【0053】
なお、第2実施形態においては、屋根裏空間の他方の妻面側に第1実施形態の収納ロフト36に対応するロフトが設けられていない。したがって、折り返し階段13には、第1実施形態における低床ロフト23から収納ロフト36に至る階段が設けられていない構成となっている。
【0054】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に乾燥室18において、十分に洗濯物等の被乾燥物を乾燥可能な状況をもたらすことが可能であり、電力を用いる乾燥装置を設ける必要がない。
また、第2実施形態においても乾燥室18の天井および床がグレーティングパネル31により構成されており、第1実施形態と同様の効果を奏するものとなっている。
【0055】
なお、第1実施形態及び第2実施形態における建物は、周知のパネル工法によって構築されるものであるが、軸組み工法、2×4工法、ユニット工法、その他の工法によって構築されるものであってもよい。
また、建物内の各部屋等の配置は、乾燥室18が下階とロフト22との間に設けられ、乾燥室18の天井と床がグレーティングパネル31とからなるものであれば、上記例と異なる配置となっていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
2 切妻屋根(屋根)
5 天窓(屋根の窓)
6 玄関
7 玄関土間(下階の部屋)
8 玄関ホール(下階の部屋)
11 低天井収納室
12 踊り場
13 折り返し階段
14 居室(下階の窓を有する部屋)
18 乾燥室
20 洗面室
22 ロフト
23 低床ロフト
27 排熱塔(屋根の窓)
31 グレーティングパネル(格子状パネル)
32 窓
33 開口部
34 開口部
35 洗濯機用パン
40 切妻屋根
43 天窓(屋根の窓)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物等の被乾燥物の乾燥に用いられる乾燥室を備えた建物であって、
前記乾燥室は、下階と屋根裏に設けられたロフトとの間に設けられ、
前記下階と前記乾燥室との間に前記下階の天井と前記乾燥室の床とを兼ねるとともに、透光性と通気性を有する格子状パネルが設けられ、
前記乾燥室と前記ロフトとの間に前記乾燥室の天井と前記ロフトの床とを兼ねるとともに、透光性と通気性を有する格子状パネルが設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
前記下階の前記乾燥室の下方となる位置には、玄関の屋内側の玄関土間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
屋根の前記ロフト上方となる部分には、換気のために開閉自在で、開閉状態にかかわらず屋内側への雨滴の落下を抑止できる窓が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記下階からその上の上階に至るとともに途中に踊り場を有する折り返し階段を備え、
前記踊り場の床が前記下階の床と前記乾燥室の床との間の高さ位置とされ、
当該踊り場が前記乾燥室に隣接するとともに下階の窓を有する少なくとも一つの部屋に隣接し、
当該踊り場と前記乾燥室との間にこれら踊り場と乾燥室とを連通させる開口部が形成され、
前記踊り場と前記下階の前記部屋との間にこれら踊り場と前記下階の前記部屋とを連通する開口部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記踊り場の下が前記下階より天井の低い低天井収納室とされ、前記踊り場が居住者の共有領域とされ、前記踊り場の上が屋根裏に設けられるとともに、前記ロフトより床の高さ位置が低い低床ロフトとされ、
前記乾燥室に隣接して洗濯機用パンが備えられた洗面室が設けられ、前記洗面室の上部が前記ロフトに連通する屋根裏空間に開放されていることを特徴とする請求項4に記載の建物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−74622(P2011−74622A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225418(P2009−225418)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】