説明

建築外構用塀・柵の木製角材積み重ね構造

【課題】従来のコンクリート塀・柵は安全性に欠け、強度が最適ではなく近年の自然環境形成にも添えなくなっている。
【解決手段】 角材の四側面総てに対して反りや歪みを除去する整形を各種公知のプレーナー、モルダー等の装置を用いて施した後、角の面取りをした角材の端部を斜め切りし、角材の端部を台形状と平行四辺形に切取り、角材の上下に凹凸、溝、接着剤で一体化させながら必要な高さまで積み重ね、基礎上にボルト止めで一体化させることにより強度、耐久性、デザインされた隙間による目隠し、風通し、美観を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯持ち角材の建築外構用塀・柵の木製角材の端部斜め切り角材の積み重ね構造及びその構成材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建築外構用塀・柵はコンクリートブロックを積み重ねて構築するのが通例であり、重量が重くて取り扱いしにくく、安全性や専門業者施工等など、施工する場所によっては美観や景観を損なう等の問題が指摘されていた。
【0003】
また、木材での建築外構用塀・柵は部材に木材、板、小径角材を縦型に使用して、各部材間を金具と木材で一定間隔に隙間をとり、風通し、採光性、目隠し、美観に配慮している物や、縦横の枠の中に部材を組み込んだ物などがあるが、いずれも美観、風通し、採光性を重視して隙間を多用すると強度不足となる。建築外構用塀・柵は必要とされるが場所での創意工夫も必要とされ、自然環境形成、地球地域環境に優しい配慮も必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2004−76543号 公報
【特許文献2】 特開2004−60272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンクリートブロックは、旧来からの物であり、安全性に乏しく現在では自然環境形成に添えなくなる等を考慮すると、塀・柵の材料の選別、施工方法、安全性、美観、CO2環境に優しい配慮が必要とされる。
【0006】
さらに、この課題の解決を目指す木製で構築する提案も、美化、美観、風通し、採光性を重視し、強度不足や安全性が確保できない等の問題も考えられる。
【課題を解決する手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、次の通りである。
すなわち、本発明は一本の芯持ち丸太から芯持ち四角材を加工し、該角材の両端を斜めに切り取る。
【0008】
前記角材の斜めの切り方は、塀・柵の横並び構造である角材の端部を台形状と平行四辺形状になるよう切り取る。
【0009】
前記端を斜めに切り取った角材は、四側面全体の表面整形後、角材の上下に凹凸をつけ、接着剤等を施して積み重ね、角を面取りし、防腐剤注入、保護塗料塗布をし、塀・柵構成材とする。
【0010】
次に、前記角材と同じ寸法、同じ仕上げの角材を使用して、塀・柵の長さと高さに応じて複数段積み重ねて下部の鉄筋コンクリート基礎と上部の塀・柵角材をボルトの固定具を介して一体連結させて塀・柵を構築する。
【0011】
また前記角材の積み重ね方法として、積み重ねる各段での端部斜め切り同士の突合せの交差の大小により内部を深く見せるには斜め切りを短くし、内部を浅く見せるには斜め切りを長くして交差させ隙間による目隠し、風通し、採光性、美観を得る。
【0012】
また角材の両端の斜め切りが台形状での組み合わせでは、隙間がハの字型になり、塀・柵前正面から一定の角度での隙間が左右に視野が広くなる。塀・柵前正面からは内部が見えないものである。
【0013】
また角材の両端の斜め切りが平行四辺形での組み合わせでは、隙間が平行型になり、塀・柵前正面から一定の角度での隙間が一方向での視野になる。
【発明の効果】
【0014】
現在の風潮に合った塀・柵になり、又角材の大小により大規模木造建築、民間住宅用に相応しい横列組み方で安定感に満ち、また自然に優しい美観に優れた建築外構用塀・柵の木製角材積み重ね構造になる。
【0015】
さらに木材であるのであらゆる場所でも切り取り等が容易にでき、作業効率もよい。
【0016】
芯持角材を斜め切りすることにより角材特有の年輪が浮かび、また長く斜めに切り取ることにより、年輪の変化が大きくなり、木材の特性を表現できるものになる。
【0017】
デザインに応じた防護塗料を塗ることで年輪を際だたせたり、重厚感を演出したり、色の変化で様々な場面に対応することができる。
【0018】
また車の走行が激しい場所では、鉄筋基礎コンクリートを高くして安全性を保つ配慮をし、その上に化粧的な使用にも応用できる。
【0019】
民家同士の境界塀・柵では交通の安全性の必要はなく、美観性を楽しむことができ、組立式プラモデル的な商品にすることで大都市方面へ通信販売も可能になる。従来は商品価値が低く、利用の少なかった小径木や曲がり材、節の多い材、短径材の使用で二酸化炭素削減にも貢献することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の一実施形態例の全体を示す斜視図である。
【図2】 本発明に使用される丸太の斜視図である。
【図3】 本発明に使用される芯持ち角材の斜視図である。
【図4】 本発明に使用される角材に凹凸をつけた斜視図である。
【図5】 本発明に使用される角材の片端を斜め切りにした斜視図である。
【図6】 本発明に使用される角材の両端を斜め切りにした台形状角材の斜視図である。
【図7】 本発明に使用される角材の両端を斜め切りにした平行四辺形状角材の斜視図である。
【図8】 本発明台形状の角材を使用した例を上から見た平面図である。ハの字型
【図9】 本発明平行四辺形状の角材を使用した例を上から見た平面図である。平行型
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0022】
図1は、図2〜図9に示す本実施形態の方法により得られる建築外構用塀・柵の木製角材積み重ね構造の例を示す斜視図である。
【0023】
丸太3から、芯持ち角材4を各種公知の方法で製造する。本発明で使用する芯持ち角材4は横断面形状が正方形あるいは長方形でもよい。
断面寸法は目的とする角材等に応じて適宜に決定することができるが、上記芯持ち角材の断面寸法90mm×90mm、 長さ2000mmの角材を一例として挙げることができる。
【0024】
次いで、上記の角材に対して四側面総てに整形を施し、角材上下に凹凸をつけ、斜め切り取り線8に沿って斜めに切り取り、斜め角材5、9、10を得、塀は柵の高さや横幅に応じた数の角材を作製し、防腐剤注入、保護塗料を塗布し、基礎1へ図8或いは図9のように並べていく。
【0025】
次いで、基礎1へ並べた角材5、9、10を、接着剤を介して接着し、必要な高さまで積み重ねた後、基礎1にボルト2で一体連結固定し強度を得る。
【実施例】
【0026】
以下、実施例に基づき本発明を更に説明する。
【実施例1】
芯持ち角材の四側面全体に整形を施した後、角材に凹凸、溝、角の面取りをし、角材の片端、あるいは両端を台形状、又は平行四辺形に斜めに切り取り、これと同体的な別の角材を作り、防腐剤注入、保護塗料で耐久性を持たせた後、各構成部材を接着剤で接着し、必要な高さに積み重ねた後、基礎上にボルト止めで固定し横に複数並べ塀・柵が構築出来る。
【実施例2】
積み重ねた角材の斜め切り面の方向を変化させることにより、横並びの角材の積み重ね構造間の隙間がハの字型〔図7〕、平行型〔図8〕、隙間なし等様々な組み合わせができる。
【実施例3】
一つの斜め切り角材の斜め切り面の方向を変え組み、また回転することで、富士形、菱形、四角形、波形等の模様を浮かびあがらせることができる。
【実施例4】
角材を斜め切りすることにより角材特有の年輪が浮かび、また長く斜めに切り取ることにより、年輪の変化が大きくなり、木材の特性を表現できるものになる。
デザインに応じた防護塗料を塗ることで年輪を際だたせたり、重厚感を演出したり、色の変化で様々な場面に対応することができる。
【実施例5】
角材の接着する部分を凸と凹ではめこむという加工をすれば、より簡単に角材同士の積み重ねをすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
国、県及び市町村の公共建築物においても外構柵は必要不可欠である。本発明の木材を建築外構に使用することにより、地域産業での森林組合・製材所などの事業発展に対して雇用の促進経済の活性化により地域の浮揚に急進的な役割を果たすであろうと思われる。本製品は化粧用組立プラモデル式にして大都市に通信販売可能になる。国より木材外構エコ補助事業認可を受けたなら建築設計者以外の施主の対応も早くなるであろう。又、本製品だが、間伐材の最小径木と間伐材品質の最小限の木材・節の多い木材・短径木材・曲がり木材等の木材使用が可能であり、コストも削減するものである。
【符号の説明】
【0028】
1 基礎
2 ボルト
3 丸太
4 四角材
5 平行四辺形角材
6 芯
7 凹凸
8 斜め切り取り線
9 片端切り取り角材
10 台形角材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の芯持ち角材を塀・柵の生コン基礎上にボルトナット連結具を介して、上下に凹凸加工した接合部を一体連結し、複数個横並びさせることによって塀・柵を構築する角材の積み重ね構造であって、前記角材は横並び構造の外端の角材は片端、外端以外の角材は左右を斜めに切り、台形状、平行四辺形状を形成し、斜め切り面同士の突き合わせにより、塀、柵外面正面からは塀・柵内部が見えないハの字型隙間と、一方向での視野になる平行型隙間を形成する建築外構用塀・柵の木製角材積み重ね構造を特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−127184(P2012−127184A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269437(P2011−269437)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(510005410)株式会社岩崎組 (2)
【Fターム(参考)】