説明

建築材料上の被膜および/または汚れの除去を促進する処理剤

本発明は、被膜および/または汚れを建設材料から除去するために使用することができる、落書き防止処理剤などの処理剤に関する。本発明の処理剤はβ−ジカルボニル生成物が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料上の被膜および/または汚れの除去を促進する処理剤に関する。これは、例えば落書き防止処理剤であってよい。本発明の処理剤はβ−ジカルボニル生成物を使用する。
【0002】
被膜および/または汚れ、例えば落書きを建築材料から除去するために、これらの除去を促進するための処理剤が使用される。処理剤は典型的にはこの材料に適用される。誰かが落書きをした場合、好適な組成物を使用することで材料がきれいになる。予備処理によって除去が促進される。
【背景技術】
【0003】
これらの処理剤の場合、フッ素化ラテックス型ポリマーの使用が知られている。建築材料への適用が意図されたこのようなポリマーを含む製品は、特にProtectguard(登録商標)の名称で販売されている。しかし、これらのポリマーで常に満足できる結果が得られるわけではない。さらに、フッ素化ラテックス型のポリマーは高価である。より安価な別の処理剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、建築材料上の被膜および/または汚れの除去を促進するために、β−ジカルボニル生成物の処理剤としての使用を提案することによってこの要求を満たす。
【0005】
本発明は、β−ジカルボニル生成物を材料の表面に適用するステップを含む建築材料の処理方法にも関する。本発明は、β−ジカルボニル生成物を含む、このように処理された材料にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、等級0(表面が清浄でない。)の場合を示す写真である。
【図2】図2は、等級1(表面の20%が清浄である。)の場合を示す写真である。
【図3】図3は、等級2(表面の40%が清浄である。)の場合を示す写真である。
【図4】図4は、等級3(表面の60%が清浄である。)の場合を示す写真である。
【図5】図5は、等級4(表面の80%が清浄である。)の場合を示す写真である。
【図6】図6は、等級5(表面の100%が清浄である。)の場合を示す写真である。
【0007】
被膜および/または汚れは塗料であってよい。建築材料上の被膜および/または汚れの除去を促進する本発明の処理剤は、特に塗料の除去を促進する処理剤であってよい。この塗料は、装飾、芸術、抗議および/または糾弾の目的で一般に作成されるが、この建築材料の所有者、製造者および/または使用者には望まれていない落書きの結果によるものであり得る。従って、本発明の処理剤は落書き防止処理剤であり得る。
【0008】
塗料は、所有者、製造者および/または使用者による特定の目的、例えば表示または安全の目的で適用されている場合もあることに注意されたい。この場合、前記所有者、製造者および/または使用者は、塗料を一時的に適用しており、後に塗料を除去することを意図している。
【0009】
本特許出願において、用語「建築材料」は、公的な領域において見ることができるあらゆる大型構成材料を意味し(企業およびレストランなどの多数の人々が利用可能な建造物内部、第三者が利用可能な建造物の外装部品、輸送手段、床、都市設備など)を意味し、個人的な領域(第三者が利用できないアパートの一部や住宅)とは対照的である。
【0010】
建築材料は、例えば、
セラミック、好ましくは例えば光沢のある陶器製のタイル、
好ましくはセメント、モルタルまたはコンクリートでできた水硬性バインダー材料、
木材、
テラコッタ、例えばれんが、屋根瓦または陶器製床タイル、または
石、好ましくは多孔質の石であってよい。
【0011】
これらは特に、ファサード、採石された石(quarry stone)、バラスター、コーニス、彫像、接合部、開口のまぐさおよびたて部、外装、プリンス、バルコニー、テラス、階段、歩道および通路、囲い、植木鉢台、駐車場、主要通路、車庫の床、プールの縁石、噴水の縁、バーベキュー用の炉、屋根および煙突などの室外の面であり得る。
【0012】
これらは、床、炉胸、調理台、タイルの継ぎ目などの室内の面であってよい。
【0013】
これらは特に、多孔質材料、例えば石灰質の石、大理石、砂岩、花崗岩、粘板岩、テラコッタ(屋根瓦、建築用れんがまたは陶器製床タイル)、コンクリート製品、下塗り(MPC)、再生石またはビチューメンであってよい。
【0014】
建築材料は、プレハブの構成要素であってもよいし、建築現場で製造された建築部材であってもよい。
【0015】
被膜および/または汚れの除去は、全体的な場合も部分的な場合もある。本発明によって特に、
事前に処理剤を適用しなかった場所よりも除去を増加させること、および/または
同等の処理の場合に、労力および/または除去組成物量を最小限にすることが可能となる。
【0016】
本発明の処理のために、好ましくはβ−ジカルボニル生成物が液体処理剤組成物中に含まれる。この生成物は、例えば浸漬、吹き付け、またはブラシやローラーによる適用によるあらゆる好適な手段で適用することができる。塗装および/または洗浄の分野において私用される手段、例えばスプレーガンまたは加圧噴霧器を特に使用することができる。
【0017】
適用される処理剤の量は、例えば0.005から0.5g/m(乾燥β−ジカルボニル生成物の量として表される。)の間であってよい。
【0018】
処理剤は、1回で適用することもできるし、選択された時間間隔(例えば1年に1回)で数回適用することもできる。
【0019】
一般に、本発明の処理は、被膜および/または汚れが適用された後、特に落書きが形成された後、溶媒および/またはストリッパーを含む除去組成物を使用して被膜および/または汚れを除去するステップによって行われる。使用できる溶媒としては、特に、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン、ジカルボン酸ジエステル、好ましくはジメチルエステル、例えばRhodiaよりRhodiasolv(登録商標)RPDEの名称で販売される製品が挙げられる。除去組成物は、市販もされている。例えば、Graffiguard(登録商標)の名称で販売される製品が挙げられる。
【0020】
処理剤を再生するための除去組成物へのβ−ジカルボニル生成物の添加が排除されるものではない。
【0021】
β−ジカルボニル生成物
本発明のβ−ジカルボニル生成物は、1種類のβ−ジカルボニル化合物または複数のβ−ジカルボニル化合物の混合物もしくは少なくとも1種類のβ−ジカルボニル化合物を含む複合混合物であってよく、これらの混合物は、β−ジカルボニル化合物の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも50重量%、および好ましくは少なくとも80重量%を含む。
【0022】
β−ジカルボニル化合物およびこれらの調製方法は当業者には公知である。このような化合物は市販されている。使用される方法、場合による精製、回収および/または副生成物の品質向上のステップに依存して、より一般的には生成物に期待される要求に依存して、以下の異なる種類の生成物を得ることができる。
【0023】
例えば、β−ジカルボニル生成物の少なくとも95重量%、さらには少なくとも99重量%を含む、純粋または実質的に純粋なβ−ジカルボニル化合物、
β−ジカルボニル化合物が、例えば、少なくともβ−ジカルボニル化合物95%を含む純粋または実質的に純粋である、複数のβ−ジカルボニル化合物の混合物、
β−ジカルボニル化合物の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも80重量%、および一般に95重量%未満を含む、β−ジカルボニル化合物を含む複合混合物、またはβ−ジカルボニル化合物と、β−ジカルボニル化合物ではない副生成物または不純物、例えば脂肪酸との混合物。場合に応じて、特にβ−ジカルボニル化合物の含有率と関連して、これらの生成物は、「粗生成物」、「重質残渣」または「重質残渣から誘導される生成物」と記載されることがある。
【0024】
β−ジカルボニル化合物の重量比率は、ガスクロマトグラフィーによって特に正確に評価することができ、パーセント値としてのこれらの結果は重量比率に等しい。この分析を使用する場合、生成物30mgをクロロホルム1ml中に希釈し、持続性の黄色が得られるまで過剰のジアゾメタン(過剰分は後に除去される。)を使用してエステル化し(これはより厳密には、エステル化される生成物中に含まれ得る酸である。)、続いてトリメチルペンタン20mlを加える。より迅速で、精度は低いが第一近似としては十分である方法では、β−ジカルボニル化合物の含有率は、電位差測定によって求めることができる(酸の量が電位差測定によって求められ、次に生成物から差し引かれる。)。
【0025】
本発明のβ−ジカルボニル化合物は特に全体的に、有機の形態または金属、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の錯体の形態、例えば亜鉛またはカルシウムの錯体の形態であってよい。
【0026】
本発明のβ−ジカルボニル化合物は、アルカリ化剤、典型的にはアミドまたはアルコキシドなどの強塩基の存在下でのエステルとケトンとの縮合反応によって得ることができる。
【0027】
より特に、上述の縮合反応で使用されるエステルは次式:R’COOR’に対応し、式中、R’は、1つ以上の基−O−、−CO−O−または−CO−で場合により中断された1から30個の炭素原子を含有する炭化水素系基を表し;R’は、1から4個の炭素原子を含有する炭化水素系基を表す。
【0028】
より特に、基R’は、線状または分岐のC−C30および好ましくはC−C24アルキルまたはアルケニル基;少なくとも1つのC−C10アルキルまたはC−C10アルコキシ基、ハロゲン原子および/またはケイ素原子で場合により置換されたC−C30アリール基;C−C14脂環式基を表す。前記基は、炭素−炭素二重結合を場合により含んでもよく、1つ以上の基−O−、−CO−O−または−CO−で場合により中断されていてもよい。
【0029】
可能性のある基の中では、1つ以上のアルキルまたはアルコキシ置換基を場合により有するラウリル、ミリスチル、ステアリル、イソステアリル、パルミチル、ベヘニル、リグノセリル、オレイル、パルミトレイル、リノレイル、リノレニルまたはベンジル基を挙げることができる。
【0030】
基R’に関して、これは好ましくはC−Cアルキル基を表す。アルカリ化剤の性質に依存するが、縮合反応の条件下で対応するアルコールが揮発性となるように基R’を選択すると好都合となり得ることに留意されたい。特に好都合な方法においては、前記基はメチル基である。
【0031】
エステルはこの単純形態、または部分的または完全に縮合した形態であってよいことに留意されたい。一実施形態によると、エステルがエステル基に対してα位に水素を含有する場合、部分的または完全にβ−ケトエステルの形態で使用することができる。この場合、前出のエステルの式中、基R’を、前出のエステルの式中でR’COR’で置き換えることができる。この場合、この式はR’COR’COOR’となり、R’は前述と同じ意味を有し、二価の基であることを除けばR’も同様である。
【0032】
縮合反応中に使用されるケトンは、より特に、次式:RCOCHに対応し、式中、Rは、1つ以上の基−O−、−CO−O−または−CO−で場合により中断された1から30個の炭素原子を含有する炭化水素系基を表し;Rは、水素原子、または4個以下の炭素原子を含有する炭化水素系基を表す。
【0033】
好ましくは基Rは、線状または分岐のC−C30および好ましくはC−C24アルキルまたはアルケニル基;少なくとも1つのC−C10アルキルまたはC−C10アルコキシ基、ハロゲン原子および/またはケイ素原子で場合により置換されたC−C30アリール基;C−C14脂環式基を表す。前記基は、炭素−炭素二重結合を場合により含んでもよく、1つ以上の基−O−、−CO−O−または−CO−で場合により中断されていてもよい。
【0034】
可能性のある基の中では、1つ以上のアルキルまたはアルコキシ置換基を場合により有するラウリル、ミリスチル、ステアリル、イソステアリル、パルミチル、ベヘニル、リグノセリル、オレイル、パルミトレイル、リノレイル、リノレニルまたはベンジル基が挙げられる。
【0035】
基Rに関して、これは好ましくはC−Cアルキル基を表す。特に好都合な方法においては、前記基はメチル基である。
【0036】
通常、ケトン対エステルのモル比は2/3から1/1の範囲内である。好ましくはエステルは、ケトンに対して最高30mol%過剰で存在し、および非常に好ましくは5mol%から20mol%過剰で存在する。
【0037】
従って本発明のβ−ジカルボニル化合物は式R’COCHCORとなることができ、式中、R’およびRは先に詳述した意味を有する。R’およびRが互いに結合して、β−ジカルボニル化合物が環の形態となることが排除されるものではない。
【0038】
本発明の一実施形態によると、反応は溶媒の存在下で行われる。溶媒は、反応条件下で不活性である化合物から選択される。
【0039】
従来、これは芳香族、脂肪族および環状の炭化水素;炭化水素系画分ならびにエーテルから選択される。
【0040】
好ましくは溶媒は、アルキルベンゼン、例えばトルエン、ジアルキルベンゼンおよびトリアルキルベンゼンから選択されるが、イソプロピルエーテルであってもよく、トルエンおよびキシレンが好ましい。
【0041】
さらに、縮合反応は塩基性剤(またはアルカリ化剤)の存在下で行われる。より特に、前記剤は、アミド、水素化物および1から4個の炭素原子を含有するアルコキシドから選択される。
【0042】
通常、反応中に存在する塩基性剤のモル数は、塩基性剤/(エステルおよびケトンのモル数の合計)が約1となるモル比である。
【0043】
第1の実施形態によると、縮合反応は、水素化ナトリウム、または好ましくはナトリウムアミドの存在下で行われる。
【0044】
ナトリウムアミドが存在する場合、不活性雰囲気下、好ましくは窒素をフラッシングすることによって反応を行うことが好ましい。
【0045】
さらに、反応は好ましくは30から60℃の間の温度で行われる。
【0046】
本発明の第2の実施形態によると、塩基性剤はナトリウムアルコキシドであり、この対応するアルコールは、縮合反応の条件下で揮発性である。好ましくはこのアルコキシドはナトリウムメトキシドである。
【0047】
さらにこの場合、溶媒は、反応温度よりも少なくとも20℃高い沸点を有する溶媒から選択される。
【0048】
好ましくは反応は還流下の溶媒中で行われる。
【0049】
採用されるいずれの変形においても、反応は好ましくは塩基性剤と、適切であれば溶媒とを含むエステル中にケトンを投入することによって行われる。
【0050】
塩基性剤の性質に依存するが、生成したアンモニアまたは生成したアルコールのいずれかを回収する手段を提供することが賢明である。
【0051】
特に前記剤がアルコキシドである場合、反応混合物中に形成されるアルコールを徐々に除去することで、この方法の非常に好都合な特徴が示され、特に、所望のβ−ジカルボニル化合物の収率を増加させることが可能となる。
【0052】
反応終了時、この場合も採用される変形とは無関係に、反応媒体が好ましくは酸性化される。
【0053】
この目的のために、反応混合物が酸の水溶液中に投入され、好ましい酸は酢酸、塩酸および硫酸である。この水層のpHは好ましくは1から3の間の値に調整される。
【0054】
水で少なくとも1回洗浄してから、蒸発などのあらゆる好適な手段によって溶媒を除去して、粗生成物が得られる。
【0055】
この粗生成物は、所望のβ−ジカルボニル化合物(R’COCHCOR)を含み、対称同族体(R’COCHCOR’、ROCHCOR)も副生成物と共に含む。従って、前述したような「複合混合物」であってよい。
【0056】
副生成物の厳密な組成の評価は非常に複雑であることに留意されたい。これらは特に互いのβ−ジカルボニル化合物のクロトン化(crotonization)反応によって生じる可能性もあるし、または塩基性剤が窒素を含む場合にはアミド官能基を含む化学種が出現するために生じる可能性もある。
【0057】
第1の可能性によると、β−ジカルボニル生成物は、縮合反応から得られた粗生成物に相当するする混合物を含む。
【0058】
この可能性の場合、β−ジカルボニル化合物の含有率は一般に40重量%から95重量%の間、および好ましくは40重量%から80重量%の間であり、副生成物の含有率は5重量%から60重量%の間、および好ましくは20重量%から60重量%の間である。
【0059】
この可能性によると、β−ジカルボニル生成物は、分割された固体の形態となる場合があり、使用される形成方法に依存するが、粉末またはフレークの形態となり得る。
【0060】
限定を望むものではないが、組成物の形成方法の中では、フレーキング、溶媒中での沈殿、低温粉砕およびガス流中の噴霧/乾燥を挙げることができる。
【0061】
フレーキングによって、常時冷却される回転ドラムに溶液を通すことによって反応混合物から溶媒を除去することができる。ドラム表面に固化した生成物は、ドクターブレードを使用してフレークの形態で回収される。
【0062】
溶媒中での沈殿技術は、例えば、室温において粗生成物を、この温度においてこの粗生成物に対して良溶媒でない化合物、例えばエタノールまたはメタノールの中に注ぎ、形成された沈殿物を分離することにある。
【0063】
低温粉砕に関して、この方法は、一般に、ミルの中に液体窒素またはCOなどのあらゆる他の不活性液体ガスを投入し、粗い粉砕またはフレーキング技術によって得られた数ミリメートルから数センチメートルの破片の形態の粗反応生成物を投入することによって行われる。
【0064】
最後に、噴霧/乾燥方法は、溶融形態の粗反応生成物を向流方向または並流方向に投入された冷不活性ガス流を介して噴霧することにある。
【0065】
第2の可能性によると、β−ジカルボニル生成物は、精製ステップ中およびβ−ジカルボニル化合物からの分離後に回収される生成物に相当する混合物を含む。
【0066】
この変形によると、粗生成物は好適な溶媒、例えばエタノールなどのアルコールから再結晶される。精製されたβ−ジカルボニル化合物は、特に濾過することによって、溶媒、および副生成物とβ−ジカルボニル化合物との混合物を含む溶液から分離される。次にこの溶液は、例えば蒸発によって、結晶化溶媒を除去する処理が行われる。この第2の可能性によると、このようにして生成物Aが回収される。
【0067】
この可能性によると、β−ジカルボニル化合物の含有率は一般に5重量%から40重量%未満の間であり、副生成物の含有率は60重量%から95重量%の間である。
【0068】
この第2の可能性によるβ−ジカルボニル生成物は、固体および/またはペーストの形態となることができる。
【0069】
β−ジカルボニル生成物は好都合には液体処理剤組成物中に含まれる。この処理剤組成物は水および/または溶媒および/またはストリッパーを含むこともできる。β−ジカルボニル生成物が単独で使用される場合、液体である生成物が好ましくは使用される。
【0070】
使用することができるβ−ジカルボニル生成物は特に、
5−メチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオン、
オクタノイルベンゾイルメタン、
ヘプタノイルベンゾイルメタン、
ステアロイルベンゾイルメタン、
ジベンゾイルメタン、および/または
カルシウムまたはアセチルアセトン酸亜鉛
を含む生成物である。
【0071】
このような生成物は、RhodiaよりRhodiastab(登録商標)の名称で販売されている。
【0072】
本発明のβ−ジカルボニル生成物は、他の処理剤、特に、Graffiguard(登録商標)の名称で販売される製品中に含まれるものなどのフッ素化ラテックス型ポリマーと組み合わせることができることに留意されたい。この組み合わせは、典型的には処理剤組成物中で調製される。このような組成物は相補性を付与することができ、即ちより広範囲の被膜および/または汚れに対する作用が得られたり、および/または処理剤の費用の低下に寄与したりすることができる。
【0073】
本発明の処理剤組成物は、媒介物、例えば溶媒を含むこともできる。好適な溶媒は、除去組成物に関して前述している。この組成物は、この種類の処理剤に一般的に使用される添加剤から選択することができる他の添加剤を含むことができる。これらは、例えば、消泡剤または増粘剤であってよい。好ましくは処理剤組成物は、β−ジカルボニル生成物の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも25重量%、および最高100重量%以下、例えば最高90重量%を含む。
【0074】
本発明の他の詳細および利点は、以下の非限定的な実施例を考慮すれば明らかとなる。
【実施例】
【0075】
以下の生成物を使用する。
【0076】
処理剤
「Rh92」:Rhodiastab(登録商標)92
「Rh92/RPDE」:Rhodiastab(登録商標)92 50重量%とRhodiasolv(登録商標)RPDE 50重量%との混合物
Guard Industrieより販売され、Point P shopで流通するProtectguard(登録商標)(比較例)
電話番号(+33)825 077 077で連絡可能な企業による製品によって販売されるNovipro(登録商標)(比較例)。
【0077】
材料
多孔質面および非多孔質面を有する屋外床タイル、Point P shopで流通する36×36タイルと類似、142 1408参照、
松材パネル、
軽量コンクリートブロック。
【0078】
落書きをシミュレートする塗料
Soppecより販売され、Point P shopで流通する蛍光オレンジのエアロゾル塗料「Orange Fluo TP」。
【0079】
除去組成物
A:Rhodiasolv(登録商標)RPDE
B:Guard Industrieより販売され、Point P shopで流通するGraffiguard(登録商標)2030。
C:Guard Industrieより販売され、Point P shopで流通するGraffiguard(登録商標)2050。
【0080】
試験
処理剤を適用し(「含浸」)、塗料を適用し(「適用」)、種々の条件下で塗料をエージングし(「エージング」)、塗料を除去し(「脱インク」)、次に除去された塗料の量を目視で評価する(等級が得られる。)という試験を行う。種々の作業に関する詳細を以下に示す。
【0081】
床タイル上への含浸
処理剤3mlを非多孔質表面に適用し、6mlを多孔質表面に適用し(0.0533g/mで)、これを吸い取り紙で塗り広げ、室温で乾燥させる。
【0082】
木材上への含浸
処理剤をはけで適用する。
【0083】
適用
スプレー缶から塗料を3回適用する。
【0084】
エージング
異なる種類のエージングが行われる。
【0085】
エージング1:室温で24時間乾燥
エージング2:室温で24時間乾燥した後、Xenotest(UVおよび雨をシミュレートする。)中で30日間
エージング3:室温で24時間乾燥した後、食塩水ミスト(5%NaCl、35℃)中に4週間。
【0086】
脱インク
水平に置いたタイルに除去組成物2mlを5分間適用した後、吸い取り紙で拭き取る。
【0087】
等級分け
【0088】
【表1】

【0089】
写真を撮影し、図中に示している。
【0090】
(実施例1から13)
タイルの平滑面の処理
文字Cは比較例を示している。種々の処理剤、種々のエージング、および種々の除去組成物を使用した場合の等級を報告する。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
(実施例14から27)
タイルの多孔質面の処理
文字Cは比較例を示している。種々の処理剤、種々のエージングおよび種々の除去組成物を使用した場合の等級を報告する。
【0094】
【表4】

【0095】
【表5】

【0096】
【表6】

【0097】
本発明の処理剤は、除去組成物が同じ場合には、塗料の除去に関して比較例と同等以上の結果が得られることが分かった。
【0098】
(実施例27および28)
松材の処理
文字Cは比較例を示している。処理剤を使用する場合または使用しない場合で、除去組成物Aを使用した場合の等級を報告する。
【0099】
【表7】

【0100】
(実施例29および30)
軽量コンクリートブロックの処理
文字Cは比較例を示している。処理剤を使用する場合または使用しない場合で、種々の除去組成物を使用した場合の等級を報告する。
【0101】
【表8】

【0102】
本発明の処理剤は、塗料の含浸を防止する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築材料上の被膜および/または汚れの除去を促進する処理剤としてのβ−ジカルボニル生成物の使用。
【請求項2】
処理剤が、塗料の除去を促進する処理剤であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
処理剤が、落書き防止処理剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
建築材料が、
セラミック、
水硬性バインダー材料、
木材、
テラコッタ、または

であることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の使用。
【請求項5】
β−ジカルボニル生成物が液体処理剤組成物中に含まれていることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の使用。
【請求項6】
組成物が水および/または溶媒および/またはストリッパーを含むことを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
β−ジカルボニル生成物が、1種類のβ−ジカルボニル化合物または複数のβ−ジカルボニル化合物の混合物もしくは少なくとも1種類のβ−ジカルボニル化合物を含む複合混合物であり、これらの混合物は、β−ジカルボニル化合物の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも50重量%、および好ましくは少なくとも80重量%を含むことを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
β−ジカルボニル生成物が、
5−メチル−1−フェニルヘキサン−1,3−ジオン、
オクタノイルベンゾイルメタン、
ヘプタノイルベンゾイルメタン、
ステアロイルベンゾイルメタン、
ジベンゾイルメタン、および/または
カルシウムまたはアセチルアセトン酸亜鉛
を含むことを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
除去が全体的または部分的であることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
β−ジカルボニル生成物を材料の表面に適用するステップを含む、被膜および/または汚れの除去を促進するための建築材料の処理方法。
【請求項11】
β−ジカルボニル生成物が液体処理剤組成物中に含まれることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記処理に続いて、被膜および/または汚れに適用された後に、溶媒および/またはストリッパーを含む除去組成物の助けを借りて被膜および/または汚れを除去するステップが行われることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項10から12の一項に記載の方法により処理された、建築材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−513645(P2010−513645A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542125(P2009−542125)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【国際出願番号】PCT/FR2007/002015
【国際公開番号】WO2008/087271
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】