説明

建築物プランニングツール

【課題】この発明は、敷地部材にレイアウト部材等を配置することで、画像データ生成装置が建築物のレイアウト画像データを生成する建築物プランニングツールに関する。
【解決手段】本発明に係る建築物プランニングツール1は、建築物を構成する構造体に対応するレイアウト部材2と、該建築物が建てられる敷地に対応すると共に、該レイアウト部材2が配置されその識別情報と位置情報とを読取る敷地部材3と、前記識別情報と前記位置情報とに基づいて前記建築物のレイアウト画像データを生成する画像データ生成装置4と、からなるものであり、さらに、前記建築物の内外に配置される付帯設備に対応する付帯部材5を具備するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、敷地部材にレイアウト部材等を配置することで、画像データ生成装置が建築物のレイアウト画像データを生成する建築物プランニングツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建築物を建てる際には、予め顧客に対して、当該住宅完成後の間取り図を見せる等してから住宅の施工に取掛かるが、顧客はその間取り図から住宅が完成した際の様子を連想することが困難であった。そのため、近年CAD技術の向上によって、空間のイメージがわかりやすいように、一定の図法により住宅の内観や外観を立体的に描いた透視図や、描かれた仮想住宅の中を移動することができるウォークスルー機能等を使用することで、完成後の住宅の様子をその施工前に知ることができるようになっている。しかし、CAD等の画像についても表示されるのは平面なディスプレイであり、その平面な表示媒体から空間を的確に把握することは万人には困難であった。
【0003】
また、顧客に対して、間取り図やCAD図面を見せながらその顧客の要望を聞き、その場で、間取り図やCAD図面等を変更して顧客の要望を反映することが困難であった。そのため、顧客はその要望が反映された状態をその場で確認して、現状のものと比較することができなかった。
【0004】
そのため、図7に示すように、任意のレイアウト部材101が配置されるレイアウト部材配置部102aと、該レイアウト部材配置部102aに配置されたレイアウト部材101から読出した部材識別情報と、該レイアウト部材101が配置されている位置情報を画像データ生成装置103へ送信する配置読取部とを備えるデッサンボード102と、前記レイアウト部材101に対応した物品の画像データを記憶する記憶部と、受信にした部材識別情報を基に、前記物品の画像データを記憶部から読出すレイアウト部材データ読出部と、読出した画像データを、受信した位置情報に対応して配置したレイアウト画像データを生成するレイアウト画像データ生成部とを備える画像データ生成装置103と、から構成される画像作成ツール104が考案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−275895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、上記画像作成ツール104では、顧客の目の前でレイアウト部材101を模型のように組立てながら、そのレイアウト画像をディスプレイ等の表示手段に表示することができるため、該顧客は立体的に組立てられたレイアウト部材101で空間を把握しつつ表示手段に表示されたレイアウト画像を確認することができる。そして、例えば間仕切の位置等を顧客の要望で変更した際には、デッサンボード102上のレイアウト部材101を移動するだけで、表示手段に表示されるレイアウト画像にもその変更がリアルタイムに反映され、これを顧客がその場で確認することができる。
【0007】
しかし、実際の住宅において、例えば外壁や、内壁の色や種類等は多数あり、これら全てに対応するレイアウト部材101を作成することは困難であった。
【0008】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、顧客の前でレイアウト部材を組立てながら、同時にレイアウト画像データを生成することができ、且つ、レイアウト部材等の部材の点数を少なくすることができる建築物プランニングツールに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の建築物プランニングツールは、建築物を構成する構造体に対応するレイアウト部材と、該建築物が建てられる敷地に対応すると共に、該レイアウト部材が配置されその識別情報と位置情報とを読取る敷地部材と、前記識別情報と前記位置情報とに基づいて前記建築物のレイアウト画像データを生成する画像データ生成装置と、を具備する建築物プランニングツールにおいて、さらに、前記建築物の内外に配置される付帯設備に対応する付帯部材を具備すると共に、前記レイアウト部材が、該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯部材を識別する付帯部材識別情報、及びこれが配置される位置を示す付帯部材位置情報を取得する読取手段と、該読取手段によって取得した前記付帯部材識別情報、及び前記付帯部材位置情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有し、前記画像データ生成装置が、前記付帯部材に対応した画像データを記憶する記憶手段と、前記送信手段から送信された前記付帯部材識別情報、及び前記付帯部材位置情報と、を受信可能な受信手段と、該受信手段が受信した前記付帯部材識別情報を基に、対応する前記付帯設備の前記画像データを前記記憶手段から読出す情報読出手段と、該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記受信手段が受信した前記位置情報に対応する位置にレイアウト画像データを生成するレイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴としている。
【0010】
請求項2記載の建築物のプランニングツールは、請求項1記載の建築物プランニングツールにおいて、さらに、前記レイアウト部材の仕様に関するレイアウト仕様識別情報が付与されたレイアウト仕様タグを具備すると共に、前記レイアウト部材が、該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記レイアウト仕様タグを識別する前記レイアウト仕様識別情報を取得する前記読取手段と、該読取手段によって取得した前記レイアウト仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な前記送信手段と、を有し、前記画像データ生成装置が、前記レイアウト仕様タグに対応した画像データを記憶する前記記憶手段と、前記送信手段から送信された前記レイアウト仕様識別情報を受信可能な前記受信手段と、該受信手段が受信した前記レイアウト仕様識別情報を基に、対応する前記仕様の前記画像データを前記記憶手段から読出す前記情報読出手段と、該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記レイアウト画像データに反映する前記レイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載の建築物のプランニングツールは、請求項1又は2記載の建築物プランニングツールにおいて、さらに、前記付帯部材の仕様に関する付帯仕様識別情報が付与された付帯仕様タグを具備すると共に、前記付帯部材が、該付帯部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯仕様タグを識別する前記付帯仕様識別情報を取得する読取手段と、該読取手段によって取得した前記付帯仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有し、前記画像データ生成装置が、前記付帯仕様タグに対応した画像データを記憶する前記記憶手段と、前記送信手段から送信された前記付帯仕様識別情報を受信可能な前記受信手段と、該受信手段が受信した前記付帯仕様識別情報を基に、対応する前記仕様の前記画像データを前記記憶手段から読出す前記情報読出手段と、該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記レイアウト画像データに反映する前記レイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項4記載の建築物のプランニングツールは、前記レイアウト部材の前記読取手段と前記送信手段、及び前記付帯部材の前記読取手段と前記送信手段が、無線通信可能なシート型スキャナが該レイアウト部材、及び付帯部材のそれぞれの表面に貼付されて形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の建築物プランニングツールによれば、前記レイアウト部材が、該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯部材を識別する付帯部材識別情報、及びこれが配置される位置を示す付帯部材位置情報を取得する読取手段と、該読取手段によって取得した前記付帯部材識別情報、及び前記付帯部材位置情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有している。これにより、レイアウト部材自体が画像データ生成装置と直接通信可能となっている。
【0014】
また、建築物の内外に配置される付帯設備に対応する付帯部材を具備している。そのため、敷地部材に載置されたレイアウト部材の表面に付帯部材を貼付することで、当該付帯部材の付帯部材識別情報と付帯部材位置情報とを該レイアウト部材が画像データ生成装置に送信することができ、該画像データ生成装置が生成したレイアウト画像データをレイアウト画像として適宜ディスプレイ等に表示して、顧客に見せることができる。すなわち、顧客と打合せをしている際に、レイアウト部材に貼付された付帯部材を、取外す、若しくは、取り換える等して、建築物の設計をしながら、同時にこれをレイアウト画像データに反映し、そのレイアウト画像を表示手段に表示することができる。
【0015】
そして、レイアウト部材を敷地部材の上に組立てながら顧客がこれを立体的に把握しつつ、生成されたレイアウト画像データがレイアウト画像として表示手段に表示されることで住宅等の建築物の完成イメージを的確に把握することができるので、顧客の設計時のイメージと建築物完成時のイメージとの間にキャップが生じることがない。また、顧客との打合せの間に設計情報が完成するので、その打合せの後に改めてCAD等の入力を行いレイアウト画像データを完成させる必要がなく、作業の効率化に貢献することができると共に、その打合せ時の顧客の要望を反映し忘れる等のCAD等の入力のミスが生じることがない。
【0016】
さらに、顧客と打合せをする担当者は、本発明に係る建築物プランニングツールを使用することで、その担当者自身はCAD等の描画ソフトで建築物を描くという専門的な技術を必要とすることがなく、敷地部材にレイアウト部材を載置し、さらに、該レイアウト部材に付帯部材を貼付することでレイアウト画像データを容易に作成することができるという利点がある。
【0017】
そして、付帯設備としての建築物内の例えば窓に対応する付帯部材等を変更する際には、これらに対応する付帯部材をレイアウト部材に貼付することにより、レイアウト画像データに反映することができ、例えば窓の位置が異なる壁に対応するレイアウト部材を複数用意する必要がなく、レイアウト部材の点数を少なくすることができ、この場合にもCAD等の入力作業を要しない。
【0018】
請求項2記載の建築物プランニングツールによれば、前記レイアウト部材の仕様に関するレイアウト仕様識別情報が付与されたレイアウト仕様タグを具備すると共に、前記レイアウト部材が、該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記レイアウト仕様タグを識別する前記レイアウト仕様識別情報を取得する前記読取手段と、該読取手段によって取得した前記レイアウト仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な前記送信手段と、を有している。これにより、仕様の異なるレイアウト部材を数多く用意しておく必要がなく、レイアウト部材の点数を少なくすることができる。また、レイアウト仕様タグをレイアウト部材の表面に貼付するだけで、その仕様をレイアウト画像データに反映することができ、顧客と打合せをする担当者が直接CAD等の入力作業を行う必要がないという利点もある。
【0019】
請求項3記載の建築物プランニングツールによれば、前記付帯部材の仕様に関する付帯仕様識別情報が付与された付帯仕様タグを具備すると共に、前記付帯部材が、該付帯部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯仕様タグを識別する前記付帯仕様識別情報を取得する読取手段と、該読取手段によって取得した前記付帯仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有している。これにより、仕様の異なる付帯部材を数多く用意しておく必要がなく、付帯部材の点数を少なくすることができる。また、付帯仕様タグを付帯部材の表面に貼付するだけで、その仕様をレイアウト画像データに反映することができ、顧客と打合せをする担当者が直接CAD等の入力作業を行う必要がないという利点もある。
【0020】
請求項4記載の建築物プランニングツールによれば、前記レイアウト部材の前記読取手段と前記送信手段、及び前記付帯部材の前記読取手段と前記送信手段が、無線通信可能なシート型スキャナが該レイアウト部材、及び付帯部材のそれぞれの表面に貼付されて形成されている。これにより、各レイアウト部材、及び各付帯部材等の表面にシート型スキャナを貼付するだけで読取手段、及び送信手段を設けることができ、これらの作成が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明における建築物プランニングツールの最良の実施形態について、以下に説明する。本発明に係る建築物プランニングツール1は、図1に示すように、建築物を構成する構造体に対応するレイアウト部材2と、該建築物が建てられる敷地に対応すると共に、該レイアウト部材2が配置されその識別情報と位置情報とを読取る敷地部材3と、前記識別情報と前記位置情報とに基づいて前記建築物のレイアウト画像データを生成する画像データ生成装置4と、を具備するものであり、さらに、前記建築物の内外に配置される付帯設備に対応する付帯部材5を具備するものである。
【0022】
前記敷地部材3は、例えば住宅等の建築物が建てられる敷地に対応する部材であって、図2に示すように、例えば平板状に形成された発泡ポリスチレン製の板部材6の表面に無線通信可能な既知のシート型スキャナ7が貼付されたものであり、図1に示すように、該敷地部材3は読取手段3aと送信手段3bとを具備している。ここで、シート型スキャナ7とは、例えば、有機トランジスタからなる電子スイッチと有機ダイオードからなる光センサーとを別々のフィルムに製造してこれらを張り合わせることにより、電子スイッチと光センサーとで構成される光センサーセルがフィルムに多数配列されたものである。このシート型スキャナ7は読取手段3aと送信手段3bを具備するので、敷地部材3は、該読取手段3aで読取ったレイアウト部材2や付帯部材5の情報を、該送信手段3bで画像データ生成装置4に無線で送信可能となっている。尚、この実施形態のように板部材6を使用することなく、単に机や作業台等の上に直接シート型スキャナ7を広げるようにしてこれを該敷地部材3としいてもよい。
【0023】
さらに、敷地部材3の仕様に関する敷地使用識別情報が付与された敷地仕様タグ31を具備していてもよく、該敷地仕様タグ31は、敷地仕様識別情報が例えば2次元コード等に情報コード化された情報コードAが、図2に示すように、小片8の一方面側に付されたものである。また、敷地仕様識別情報とは、敷地の大きさ、草の生え方、土の色等を始め、その他の仕様を選択して使用することができる。
【0024】
前記レイアウト部材2は、建築物を構成する例えば壁体等の構造体に対応する部材であって、図3に示すように、該壁体等の構造体の形状に模して形成された発泡ポリスチレン製の板材9の表面に記述のシート型スキャナ7が貼付されたものや、該構造体等の写真や絵等が貼付されたものである。また、レイアウト部材2としては、建築物の外壁を始め、階段や屋根等の建築物そのものを構成する構造体に対応するものを使用することができ、またこれらに限定されずその他の構造体に対応するものであってもよいのは勿論である。そして、レイアウト部材2に関するレイアウト部材識別情報は、図3に示すように、予めそのレイアウト部材識別情報を前述のように2次元コード等の情報コードAとしておき、その情報コードAが当該レイアウト部材2の底面に付されている。
【0025】
ここで、レイアウト部材識別情報とは、そのレイアウト部材2がどの構造体に対応する部材であるかという情報を始め、その色や大きさ等の初期設定に関する情報である。そのため、レイアウト部材2を敷地部材3の上に載置した際に、当該敷地部材3の読取手段3aがレイアウト部材2の情報コードAを読取り、該敷地部材3の送信手段3bがその情報を画像データ生成装置4に無線で送信することができる。さらに、敷地部材3は、レイアウト部材2の情報コードAを読取った位置をレイアウト部材2位置情報として、該敷地部材3の送信手段3bが画像データ生成装置4に送信する。
【0026】
そして、本実施形態に係る建築物プランニングツール1は、レイアウト部材2の仕様に関するレイアウト仕様識別情報が付与されたレイアウト仕様タグ21を具備している。このレイアウト仕様タグ21は、レイアウト仕様識別情報が前述のように情報コード化され、その情報コードAが、図4に示すように、小片8の一方面側に付されたものである。また、レイアウト仕様識別情報とは、レイアウト部材2の素材、色、パターン、大きさ等のレイアウト部材2の形に表れないものであるが、これに限定されず各レイアウト部材2に関する周知の仕様をレイアウト仕様識別情報として使用することができる。そのため、敷地部材3の上に載置されたレイアウト部材2の仕様を変更する際には、当該レイアウト部材2の表面にレイアウト仕様タグ21を貼付することにより、該レイアウト部材2の読取手段2aが該レイアウト仕様タグ21のレイアウト仕様識別情報に関する情報コードAを読取って、これが送信手段2bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0027】
前記付帯部材5は、建築物の内外に配置される付帯設備に対応するものであって、建築物内に配置されるテーブルや窓、照明、ソファー、観葉植物、ラグ等、その他にも、建築物外に設置される樹木や、庭石、塀等の付帯設備を模した形状を発泡ポリスチレン等で形成したり、また、図6に示すように、これらの絵や写真等を発泡ポリスチレン板等に貼付して形成されている。そして、図4、図6に示すように、付帯部材5の表面には既述のシート型スキャナ7が貼付されており、読取手段5a、及び送信手段5bを有している。
【0028】
そして、付帯部材5を識別する付帯部材識別情報も情報コード化され、その情報コードAが該付帯部材5に貼付されている。ここで、付帯部材識別情報とは、その付帯部材5がどの付帯設備に対応する部材であるかという情報を始め、その色や大きさ等の初期設定に関する情報である。そのため、付帯部材5を、図6に示すように、敷地部材3の上に載置した場合には、該敷地部材3の読取手段3aが該付帯部材5の付帯部材識別情報の情報コードAを読取って、これを送信手段3bが画像データ生成装置4に無線で送信することができる。さらに、敷地部材3は、付帯部材5の情報コードAを読取った位置を付帯部材位置情報として、該敷地部材3の送信手段3bが画像データ生成装置4に送信する。
【0029】
また、付帯設備の中でも窓等のように壁体に対応するレイアウト部材2に設けられるものの場合には、図4に示すように、その窓に対応する付帯部材5をレイアウト部材2の表面に貼付することで、当該レイアウト部材2の読取手段2aが該付帯部材5の情報コードAから付帯部材識別情報を読取り、さらに当該情報コードAを読取った位置を付帯部材位置情報として、画像データ生成装置4に送信する。
【0030】
付帯部材5に付された情報コードAには、付帯部材5識別情報と共に、付帯部材5位置情報が付与されていてもよい。すなわち、照明等の付帯設備に関しては、天井の略中央に設置されることが多いので、これに対応する付帯部材5の情報コードAに予め付帯部材位置情報を付与しておくことで、当該付帯部材5をレイアウト部材2に貼付すれば、その読取手段2aが付帯部材識別情報と共に、付帯部材位置情報を読取り、これが送信手段2aによって画像データ生成装置4に送信される。
【0031】
そして、本実施形態に係る建築物プランニングツール1は、付帯部材5の仕様に関する付帯仕様識別情報が付与された付帯仕様タグ51を具備している。この付帯仕様タグ51は、付帯仕様識別情報が前述のように情報コード化されその情報コードAが、図4に示すように、小片8の一方面側に付されたものである。また、付帯仕様識別情報とは、付帯部材5の素材、色、パターン等の付帯部材5の形に表れないものであるが、これに限定されず各付帯部材5に関する周知の仕様を付帯仕様識別情報として使用することができる。そのため、敷地部材3の上に載置された付帯部材5の仕様を変更する際には、当該付帯部材5の表面に付帯仕様タグ51を貼付することにより、該付帯部材5の読取手段5aが該付帯仕様タグ51の付帯仕様識別情報に関する情報コードAを読取って、これが送信手段5bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0032】
前記画像データ生成装置4は、周知のパーソナルコンピューターを好適に使用することができ、図1に示すように、敷地部材3、レイアウト部材2、付帯部材5それぞれの送信手段2a、3a、5aから送信される無線信号を受信するための受信手段4aと、レイアウト部材2、及びその仕様に関するレイアウト仕様タグ21に対応した画像データ、付帯部材5、及びその仕様に関する付帯仕様タグ51の画像データ等の各部材や、仕様に対応する画像データが記憶されている記憶手段4bを有している。さらに、敷地部材3、レイアウト部材2、付帯部材5それぞれの送信手段2b、3b、5bから送信された識別情報を基に、当該識別情報に対応した画像データを記憶手段4bから読出す情報読出手段4cと、情報読出手段4cから読出された画像データと受信手段4aが受信した位置情報等に基づいて例えばCAD等の形式でレイアウト画像データを生成し、また、各仕様識別情報を生成されたレイアウト画像データに反映するレイアウト画像データ生成手段4dを有している。そして、生成されたレイアウト画像データは、図4に示すように、画像データ生成装置4に付属するディスプレイ等の表示手段4eにレイアウト画像として表示される。
【0033】
以上のような、建築物プランニングツール1の使用方法について以下に示す。
【0034】
まず、例えば壁体等に対応するレイアウト部材2を、図3、図4に示すように、敷地部材3の上に当該レイアウト部材2の情報コードAが該敷地部材3の表面のシート型スキャナ7と接触するように載置する。これにより、レイアウト部材2の底面の情報コードAが敷地部材3の読取手段3aに読取られ、その情報コード化されたレイアウト部材識別情報と、読取られた位置におけるレイアウト部材位置情報とが該敷地部材3の送信手段3bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0035】
前述のように送信されたレイアウト部材識別情報とレイアウト部材位置情報とは、画像データ生成装置4の受信手段4aによって受信される。そして、受信手段4aで受信されたレイアウト部材識別情報を基に、情報読出手段4cが対応する構造体の画像データを記憶手段4bから読出し、レイアウト画像データ生成手段4dが、該画像データを受信手段4aが受信したレイアウト部材位置情報に対応する位置にレイアウト画像データを生成する。そして、このように生成されたレイアウト画像データはレイアウト画像として表示手段4eに表示される。尚、この実施形態ではレイアウト部材2に対応する構造体として壁体としたが、その他の構造体の場合であっても同様である。
【0036】
ここで、壁体に対応するレイアウト部材2のレイアウト部材識別情報において、初期設定では該壁体は白色となっており、この壁体の色を水色に変更したい場合には、図4に示すように、該レイアウト部材2にレイアウト仕様タグ21をその情報コードAがレイアウト部材2の表面のシート型スキャナ7に接触するように貼付すればよい。すなわち、壁体に対応するレイアウト部材2の水色に関するレイアウト仕様識別情報を有するレイアウト仕様タグ21を、レイアウト部材2に貼付することにより、該レイアウト部材2の読取手段2aが当該レイアウト仕様タグ21の情報コードAからレイアウト仕様識別情報を読取り、これが送信手段2bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0037】
前述のように送信されたレイアウト仕様識別情報は、画像データ生成装置4の受信手段4aによって受信される。そして、受信手段4aで受信されたレイアウト仕様識別情報を基に、情報読出手段4cが対応する仕様の画像データを記憶手段4bから読出し、レイアウト画像データ生成手段4dが、当該画像データを前述のように生成されたレイアウト画像データに反映して、壁体の色が白から水色になる。そして、このように仕様が反映されたレイアウト画像データがレイアウト画像として表示手段4eに表示される。尚、この実施形態ではレイアウト仕様識別情報に対応する仕様として壁体の色としたが、その他の仕様の場合であっても同様である。
【0038】
そして、前述のように形成された壁体に窓を設置しようとする場合には、図4に示すように、窓に対応する付帯部材5をレイアウト部材2の表面に当該付帯部材5の情報コードAが該レイアウト部材2の表面のシート型スキャナ7と接触するように貼付する。これにより、付帯部材5に付された情報コードAがレイアウト部材2の読取手段2aに読取られ、その情報コード化された付帯部材識別情報と、読取られた位置における付帯部材位置情報とが該レイアウト部材2の送信手段2bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0039】
前述のように送信された付帯部材識別情報と付帯部材位置情報とは、画像データ生成装置4の受信手段4aによって受信される。そして、受信手段4aで受信された付帯部材識別情報を基に、情報読出手段4cが対応する付帯設備の画像データを記憶手段4bから読出し、レイアウト画像データ生成手段4dが、該画像データを受信手段4aが受信した付帯部材位置情報に対応する位置にレイアウト画像データを生成する。そして、このように生成されたレイアウト画像データはレイアウト画像として表示手段4eに表示される。すなわち、表示手段4eには壁体に窓が付与されたレイアウト画像が表示される。尚、この実施形態では付帯部材5に対応する付帯設備として窓としたが、その他の付帯設備の場合であっても同様である。
【0040】
ここで、前述のように壁体に付与された窓に対応する付帯部材5の付帯部材識別情報において、初期設定では該窓の窓枠がアルミサッシとなっており、この窓枠を木製のサッシに変更したい場合には、図4に示すように、該付帯部材5に付帯仕様タグ51をその情報コードAが該付帯部材5の表面のシート型スキャナ7と接触するように貼付すればよい。すなわち、窓に対応する付帯部材5の木製のサッシに関する付帯仕様識別情報を有する付帯仕様タグ51を、付帯部材5に貼付することにより、該レイアウト部材2の読取手段2aが当該レイアウト仕様タグ21の情報コードAからレイアウト仕様識別情報を読取り、これが送信手段2bによって画像データ生成装置4に無線で送信される。
【0041】
前述のように送信された付帯仕様識別情報は、画像データ生成装置4の受信手段4aによって受信される。そして、受信手段4aで受信された付帯仕様識別情報を基に、情報読出手段4cが対応する仕様の画像データを記憶手段4bから読出し、レイアウト画像データ生成手段4dが、当該画像データを前述のように生成されたレイアウト画像データに反映して、窓枠がアルミサッシから木製のサッシになる。そして、このように仕様が反映されたレイアウト画像データはレイアウト画像として表示手段4eに表示される。尚、この実施形態ではレイアウト仕様識別情報に対応する仕様として窓枠の材質としたが、その他の仕様の場合であっても同様である。
【0042】
その他にも、室内に照明を設置しようとする場合には、照明に対応する付帯部材5をレイアウト部材2の表面に、当該付帯部材5の情報コードAが該レイアウト部材2の表面のシート型スキャナ7と接触するように貼付する。これにより、付帯部材5に付された情報コードAがレイアウト部材2の読取手段2aに読取られ、既述のようにその情報コード化された付帯部材識別情報、及び付帯部材位置情報とが該レイアウト部材2の送信手段2bによって画像データ生成装置4に無線で送信され、既述と同様にしてレイアウト画像データに反映され、このレイアウト画像が表示手段4eにより表示される。
【0043】
このように、レイアウト部材2、及び付帯部材5、さらには敷地部材3の仕様はこれらの仕様に対応する仕様タグ21、51、31を貼付することでこれらの仕様をレイアウト画像データに反映することができ、また、これらの仕様に関する仕様タグ21、51、31はレイアウト部材2等に複数貼付することができるのは勿論である。また、前記タグ21、51、31自体をレイアウト部材2等から取外せば、貼付する前の状態にレイアウト画像データが戻り、そのレイアウト画像が表示手段4eに表示される。
【0044】
そして、壁体や床材等に対応するレイアウト部材2を組合わせて2階建ての建築物を敷地部材3の上に作成しようとする際にも、図5に示すように、1階の壁体に対応するレイアウト部材2の上面にもシート型スキャナ7が貼付されており、この上に載置される床材に対応するレイアウト部材2の裏面には既述のようなレイアウト部材識別情報を有する情報コードAが付されているので、該シート型スキャナ7の上に床材に対応するレイアウト部材2を載置した場合には、当該レイアウト部材2の情報コードAを、1階の壁体に対応するレイアウト部材2の読取手段2aが読取り、そのレイアウト部材識別情報とレイアウト部材位置情報とがその送信手段2bによって画像データ生成装置4に送信される。そして、既述のようにしてレイアウト画像データが生成され、このレイアウト画像が表示手段4eによって表示される。
【0045】
また、床材に対応するレイアウト部材2の表面にもシート型スキャナ7が貼付されており、2階の壁体に対応するレイアウト部材の底面にも情報コードAが付されているので、該シート型スキャナ7の上に該2階の壁体に対応するレイアウト部材2を載置した場合には、既述のようにレイアウト画像データが生成され、床材に2階の壁体が設けられたレイアウト画像が表示手段4eによって表示される。尚、この実施形態では2階建ての例を示したが、これに限定されず3階建てでもよく、さらにはそれ以上であってもよい。
【0046】
このように、レイアウト部材2や付帯部材5の表面全体にシート型スキャナ7を貼付しておくことで、何れの面からでも他のレイアウト部材2や付帯部材5、そして、これらの仕様に関する仕様タグ21、51に付された情報コードAを、読取ることができると共に、当該情報コードAから取得した情報を画像データ生成装置4に無線で送信することができる。尚、敷地部材3、レイアウト部材2、及び付帯部材5は実際の建築物を縮小したものであるが、その縮尺も適宜変更することができるのは勿論である。また、仕様タグ21、51等をレイアウト部材2や敷地部材3に貼付したり、付帯部材5をレイアウト部材等に貼付する際には、例えばこれらの接着する側の部材の接着面の縁部等に、繰返し張替えても粘着力が低下しにくい周知の粘着材等を予め設けているため接着される側の被接着部材に取外し自在となっているが、貼付の方法はこれ以外であってもよい。
【0047】
以上のような、建築物プランニングツール1を使用すれば、顧客の前でレイアウト部材2等を組立てながら、同時にレイアウト画像データを生成することができ、且つ、レイアウト部材2等の部材の点数を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る建築物プランニングツール1を使用すれば、住宅等の建築物、及びそのインテリアだけでなくエクステリアのプランニングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る建築物プランニングツールの概略図
【図2】本実施形態に係る敷地部材を示す斜視図
【図3】本実施形態に係るレイアウト部材を示す斜視図
【図4】本実施形態に係る建築物プランニングツールの使用状態を示す図
【図5】他の実施形態に係る建築物プランニングツールの使用状態を示す図
【図6】敷地部材に載置されたレイアウト部材を示す図
【図7】従来技術を示す図
【符号の説明】
【0050】
1 建築物プランニングツール
2 レイアウト部材
21 レイアウト仕様タグ
2a 読取手段
2b 送信手段
3 敷地部材
31 敷地仕様タグ
3a 読取手段
3b 送信手段
4 画像データ生成装置
4a 受信手段
4b 記憶手段
4c 情報読出手段
4d データ生成手段
4e 表示手段
5 付帯部材
51 付帯仕様タグ
5a 読取手段
5b 送信手段
7 シート型スキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を構成する構造体に対応するレイアウト部材と、該建築物が建てられる敷地に対応すると共に、該レイアウト部材が配置されその識別情報と位置情報とを読取る敷地部材と、前記識別情報と前記位置情報とに基づいて前記建築物のレイアウト画像データを生成する画像データ生成装置と、を具備する建築物プランニングツールにおいて、
さらに、前記建築物の内外に配置される付帯設備に対応する付帯部材を具備すると共に、
前記レイアウト部材が、
該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯部材を識別する付帯部材識別情報、及びこれが配置される位置を示す付帯部材位置情報を取得する読取手段と、
該読取手段によって取得した前記付帯部材識別情報、及び前記付帯部材位置情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有し、
前記画像データ生成装置が、
前記付帯部材に対応した画像データを記憶する記憶手段と、
前記送信手段から送信された前記付帯部材識別情報、及び前記付帯部材位置情報と、を受信可能な受信手段と、
該受信手段が受信した前記付帯部材識別情報を基に、対応する前記付帯設備の前記画像データを前記記憶手段から読出す情報読出手段と、
該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記受信手段が受信した前記位置情報に対応する位置にレイアウト画像データを生成するレイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴とする建築物プランニングツール。
【請求項2】
請求項1記載の建築物プランニングツールにおいて、
さらに、前記レイアウト部材の仕様に関するレイアウト仕様識別情報が付与されたレイアウト仕様タグを具備すると共に、
前記レイアウト部材が、
該レイアウト部材の表面に取外し自在に貼付される前記レイアウト仕様タグを識別する前記レイアウト仕様識別情報を取得する前記読取手段と、
該読取手段によって取得した前記レイアウト仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な前記送信手段と、を有し、
前記画像データ生成装置が、
前記レイアウト仕様タグに対応した画像データを記憶する前記記憶手段と、
前記送信手段から送信された前記レイアウト仕様識別情報を受信可能な前記受信手段と、
該受信手段が受信した前記レイアウト仕様識別情報を基に、対応する前記仕様の前記画像データを前記記憶手段から読出す前記情報読出手段と、
該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記レイアウト画像データに反映する前記レイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴とする建築物プランニングツール。
【請求項3】
請求項1又は2記載の建築物プランニングツールにおいて、
さらに、前記付帯部材の仕様に関する付帯仕様識別情報が付与された付帯仕様タグを具備すると共に、
前記付帯部材が、
該付帯部材の表面に取外し自在に貼付される前記付帯仕様タグを識別する前記付帯仕様識別情報を取得する読取手段と、
該読取手段によって取得した前記付帯仕様識別情報を無線によって前記画像データ生成装置に送信可能な送信手段と、を有し、
前記画像データ生成装置が、
前記付帯仕様タグに対応した画像データを記憶する前記記憶手段と、
前記送信手段から送信された前記付帯仕様識別情報を受信可能な前記受信手段と、
該受信手段が受信した前記付帯仕様識別情報を基に、対応する前記仕様の前記画像データを前記記憶手段から読出す前記情報読出手段と、
該情報読出手段が読出した前記画像データを、前記レイアウト画像データに反映する前記レイアウト画像データ生成手段と、を有することを特徴とする建築物プランニングツール。
【請求項4】
前記レイアウト部材の前記読取手段と前記送信手段、及び前記付帯部材の前記読取手段と前記送信手段が、無線通信可能なシート型スキャナが該レイアウト部材、及び付帯部材のそれぞれの表面に貼付されて形成されることを特徴とする請求項1乃至3記載の建築物プランニングツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−67025(P2010−67025A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233055(P2008−233055)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】