説明

建設機械における予備バルブ設置構造

【課題】予備バルブの設置スペースを省略化でき、且つ、予備バルブの据え付け作業及び油圧ホースの連結作業を容易迅速に行えるようにする。
【解決手段】油圧ポンプからの圧油を油圧アクチュエータに給排制御するコントロールバルブ11と、該コントロールバルブ11に油圧ホース23を介して接続された破砕作業等の特殊作業を行うための併用回路専用予備バルブ12とを備えて成る建設機械において、前記コントロールバルブ11上にブラケット16がボルト18により締結固定されていると共に、該ブラケット16上に前記併用回路専用予備バルブ12がボルト22により締結固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械における予備バルブ設置構造に関するものであり、特に、特殊作業を行うための予備バルブをコントロールバルブに接続して成る建設機械における予備バルブ設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体上に上部旋回体が旋回可能に搭載され、該上部旋回体にブーム、アーム及びバケットと、これらを駆動するブームシリンダ等の油圧アクチュエータとが搭載されている。そして、該油圧アクチュエータに油圧ポンプから圧油をコントロールバルブを介して給排制御することにより、前記バケットによる掘削作業を行うように構成されている。
【0003】
ところで、掘削作業以外の破砕作業等の特殊作業を行うために、前記アームの先端部にバケットに代えて破砕機具等の特殊作業機具(予備アタッチメント)を取り付けることがある。そして、前記特殊作業を行うための油圧回路を形成すべく、前記コントロールバルブ以外に特殊作業専用の予備バルブが建設機械に搭載されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−199632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、予備バルブはコントロールバルブの側方に並置して配設され、該コントロールバルブと予備バルブとは油圧ホースにより接続されている。そのため、コントロールバルブ用の設置スペース(設置面積)に加えて、該コントロールバルブの側方やアッパー内外の空きスペース又はアタッチメントに予備バルブ用の設置スペースを別途確保する必要がある。その結果、予備バルブ用の分だけ設置スペースが増大して、限られた設置スペースに予備バルブを搭載することが困難になっている。
【0005】
又、一般にコントロールバルブ側方はスペース的に狭隘であるので、予備バルブの据え付け作業及び該予備バルブへの油圧ホースの連結作業が行い難く、多大な手間と時間を要する。
【0006】
そこで、予備バルブの設置スペースを省略化でき、且つ、予備バルブの据え付け作業及び油圧ホースの連結作業を容易迅速に行えるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、油圧ポンプからの圧油を油圧アクチュエータに給排制御するコントロールバルブと、該コントロールバルブに油圧ホースを介して接続された破砕作業等の特殊作業を行うための予備バルブとを備えて成る建設機械における予備バルブ設置構造において、前記コントロールバルブ上にブラケットがボルトにより締結固定されていると共に、該ブラケット上に前記予備バルブがボルトにより締結固定されていることを特徴とする建設機械における予備バルブ設置構造を提供する。
【0008】
この構成によれば、コントロールバルブ上にブラケットを介して予備バルブが搭載される。依って、予備バルブは、コントロールバルブ上の空きスペースを利用して設置されるので、コントロールバルブの側方に予備バルブを設置するためのスペースを別途確保する必要がない。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記予備バルブのホース接続部は上記コントロールバルブのホース接続部の真上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械における予備バルブ設置構造を提供する。
【0010】
この構成によれば、予備バルブのホース接続部は、コントロールバルブのホース接続部の真上に位置しているので、油圧ホースの長さが必要最小限に短縮する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、限られた狭いスペースであっても、コントロールバルブ上に予備バルブをブラケットを介することでコンパクトに搭載でき、予備バルブを設置するための占有スペースが不要になる。又、予備バルブは、コントロールバルブ上のブラケットに締結固定されるので、該予備バルブの据え付け作業及び脱着・交換作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、予備バルブとコントロールバルブとを接続する油圧ホースの長さが必要最小限に短縮するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、油圧ホースの材料コストを削減することができる。又、予備バルブのホース接続部は、コントロールバルブのホース接続部の真上に位置しているので、予備バルブ及びコントロールバルブの双方に対する油圧ホースの連結作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、予備バルブの設置スペースを省略化でき、且つ、予備バルブの据え付け作業及び油圧ホースの連結作業を容易迅速に行えるようにするという目的を達成するために、油圧ポンプからの圧油を油圧アクチュエータに給排制御するコントロールバルブと、該コントロールバルブに油圧ホースを介して接続された破砕作業等の特殊作業を行うための予備バルブとを備えて成る建設機械における予備バルブ設置構造において、前記コントロールバルブ上にブラケットがボルトにより締結固定されていると共に、該ブラケット上に前記予備バルブがボルトにより締結固定されていることにより実現した。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の好適な一実施例を図1乃至図4に従って説明する。図1は本実施例に係る建設機械として油圧ショベル1を示す。同図に示すように、下部走行体2上には旋回機構3を介して上部旋回体4が搭載され、又、該上部旋回体4には上下回動可能なブーム5、アーム6及びバケット7と、これらを駆動するブームシリンダ8、アームシリンダ9及びバケットシリンダ10等の油圧アクチュエータが搭載されている。
【0015】
前記ブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10等の油圧アクチュエータは、図2に示すコントロールバルブ11を介して油圧ポンプ(図示せず)から圧油を給排制御することにより駆動される。
【0016】
本実施例の油圧ショベル1は、掘削作業以外の破砕作業等の特殊作業を行うために、前記アーム6の先端部には、バケット7に代えて破砕機具等の特殊作業機具7aを交換可能に装着することができる。
【0017】
そして、特殊作業を行うための油圧回路を形成すべく、上部旋回体4には、図2に示す特殊作業用のバルブ(以下、「併用回路専用予備バルブ」という。)12が搭載され、該併用回路専用予備バルブ12は、上部旋回体4のフロント部上面に設置したコントロールバルブ11に接続して使用される。
【0018】
図2は、併用回路専用予備バルブ12の設置例を示す。該併用回路専用予備バルブ12は、コントロールバルブ11上の空きスペースを有効利用して配設されている。同図において、架台13上にはコントロールバルブ11が固設され、該コントロールバルブ11の上面部14は水平な平坦面を有している。
【0019】
コントロールバルブ11の上面部14における複数の所定箇所には、図3に示すように、ブラケット固定用のネジ孔15,15…が開穿されている。又、コントロールバルブ11の上面部14には予備バルブ固定用のブラケット16が載設され、該ブラケット16は2本の短脚部17,17を有している。更に、該短脚部17,17は、前記コントロールバルブ11側の各ネジ孔15,15…に螺合するボルト18,18…により締結固定されている。
【0020】
そして、ブラケット16の左端側下部には位置決め用の長脚部19が設けられ、該長脚部19は、コントロールバルブ11の側面(図2における左側面)に接触して垂下している。長脚部19部の内側面をコントロールバルブ11上部の側面に面接触させることで、ブラケット16が正規位置に固定される。
【0021】
更に、ブラケット16の上面部20の複数の所定箇所には、図4に示すように、バルブ固定用のネジ孔21,21…が開穿されている。前記併用回路専用予備バルブ12は、ブラケット16側の各ネジ孔21,21…に螺合するボルト22,22…により締結固定されている。
【0022】
又、併用回路専用予備バルブ12とコントロールバルブ11とは油圧ホース23を介して接続されている。即ち、該油圧ホース23の下端部24は、コントロールバルブ11の一側面に設けたホース接続部25に連結固定され、且つ、該油圧ホース23の上端部26は、併用回路専用予備バルブ12の一側面に設けたホース接続部27に連結固定されている。そして、該併用回路専用予備バルブ12側のホース接続部27は、コントロールバルブ11側のホース接続部25の直上に配置されている。
【0023】
次に、本実施例に係る併用回路専用予備バルブ12の設置手順を詳述する。まず、コントロールバルブ11の上面部14にブラケット16を載置し、該上面部14の所定箇所にブラケット16を位置決めする。この場合、ブラケット16の長脚部19内側面をコントロールバルブ11の上部一側面に面接触させることで、ブラケット16が正規位置に固定される。
【0024】
然る後、コントロールバルブ11側の各ネジ孔15,15…に螺合するボルト18,18…によって、ブラケット16の脚部17,17をコントロールバルブ11に固定締結し、これにより、コントロールバルブ11の上面部14の所定箇所にブラケット16が設置される。
【0025】
次いで、ブラケット16の上面部20に前記併用回路専用予備バルブ12を搭載し、該上面部20の所定箇所に該併用回路専用予備バルブ12を固定する。この場合、ブラケット16側の各ネジ孔21,21…に螺合するボルト22,22…により、ブラケット16の上面部20に併用回路専用予備バルブ12が締結固定される。
【0026】
最後に、併用回路専用予備バルブ12とコントロールバルブ11を、油圧ホース23により接続する。即ち、コントロールバルブ11側のホース接続部25に油圧ホース23の下端部24を連結固定すると共に、該油圧ホース23の上端部26を併用回路専用予備バルブ12側のホース接続部27に連結固定する。以上により、併用回路専用予備バルブ12の設置作業が完了する。
【0027】
叙上の如く本発明によると、併用回路専用予備バルブ12は、コントロールバルブ11上にブラケット16を介して搭載されている。従って、併用回路専用予備バルブ12は、コントロールバルブ11上の空きスペースを有効利用して設置される。斯くして、バルブ設置箇所のスペースが狭い場合でも、コントロールバルブ11上の空きスペースに併用回路専用予備バルブ12をコンパクトに搭載することができる。
【0028】
又、併用回路専用予備バルブ12は、コントロールバルブ11上のブラケット13にボルト22,22…により締結固定されているので、併用回路専用予備バルブ12の据え付け作業若しくは脱着・交換作業を容易に行うことができる。
【0029】
本実施例では、併用回路専用予備バルブ12のホース接続部27は、コントロールバルブ11のホース接続部25の真上に位置しているので、併用回路専用予備バルブ12及びコントロールバルブ11への油圧ホース23の連結作業を一層容易に行うことができる。
【0030】
更に、併用回路専用予備バルブ12とコントロールバルブ11とを接続する油圧ホース23の長さを必要最小限に短縮させることができるので、油圧ホースの材料コストを大幅に低減することができる。
【0031】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る一実施例を示し、建設機械としての油圧ショベルの側面図。
【図2】一実施例に係る予備バルブ設置構造の要部を示す側面図。
【図3】一実施例に係るコントロールバルブの上面部を示す平面図。
【図4】一実施例に係るブラケットの上面部を示す平面図。
【符号の説明】
【0033】
1 油圧ショベル(建設機械)
4 上部旋回体
11 コントロールバルブ
12 併用回路専用予備バルブ
16 ブラケット
23 油圧ホース
25 ホース接続部
27 ホース接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプからの圧油を油圧アクチュエータに給排制御するコントロールバルブと、該コントロールバルブに油圧ホースを介して接続された破砕作業等の特殊作業を行うための予備バルブとを備えて成る建設機械における予備バルブ設置構造において、
前記コントロールバルブ上にブラケットがボルトにより締結固定されていると共に、該ブラケット上に前記予備バルブがボルトにより締結固定されていることを特徴とする建設機械における予備バルブ設置構造。
【請求項2】
上記予備バルブのホース接続部は上記コントロールバルブのホース接続部の真上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の建設機械における予備バルブ設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168871(P2010−168871A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14782(P2009−14782)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【Fターム(参考)】